複雑・ファジー小説
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- 新任の養護教諭、香先生
- 日時: 2016/09/04 13:39
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
こんにちは または久しぶりな方もいるかもしれませんね。
奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。
さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.46 )
- 日時: 2016/08/21 13:50
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
あ「えっと、じゃあ席についてくださいね。出席を取ります。 あ、先生、みんなの名前を覚えるために呼んでいくので、返事してください。 飯田 浩二(いいだ こうじ)君」
い「はい」
安佐子が出席を取り始めても、花は動くことができず、机にある紙を見つめていた。
あ「小林 仁井奈さん」
こ「はい」
あ「はい、じゃあ、古志野 花さん」
は(この字は……)
花は名前が呼ばれたことに気付かず、能登 正義の授業風景が頭の中でフラッシュバックしていた。 ちょっと角ばった感じで、はねるところを止めてしまう癖があった。
『終わってないんだぞ、これからが本番だ』
この中ではねる文字はい・か・が……それが全部、はねずに止められている。
は(どういうこと? 仁井奈の言った通り、能登先生はあきらめてないってこと? どうして私の席なの? 私、何も……何もしてない!)
花は ”バン” と机を叩いた。が、「痛!」とうめく声が。
こ「花? 大丈夫? 今、出席確認中だよ?」
は「え? !!!」 どうやら、仁井奈の手を叩いてしまったらしい。
花が頭をあげると、花に注目する生徒たちと、ポカ〜ンと口を開いた安佐子の姿があった。
は「あ、います、います! 古志野 花です」
花は机から手を放し、安佐子と向かい合った。 途端に安佐子の顔は晴れやかになり「はい、じゃあ、須藤 沙世莉(すどう さより)さん
」とまた出席を取り始めた。
花は椅子に座ると、仁井奈の肩をつついた。 「ん?」と仁井奈は振り返る。
は「この字、覚えてる?」
こ「うん、うろ覚えだけど。 案外、美羽はその文字を見て、ピンッときたのかもね」
は「そっか……」
こ「芳樹…君、だったよね? その例の日、一緒にいたんでしょ?」
は「うん……。 !!! まさか、それが私の机にしか紙がなかった理由?」
こ「かもね」
は「私、何もしてない。 まさか、あんなことになっちゃうなんて……」
こ「大丈夫! ここにいる皆は、ちゃんと知ってるから」
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(えっと、さっきからあのふたr、いやいや、小林さんと古志野さん。 一体、何言い合ってるのかしら? 『ここにいる皆はちゃんと知ってるから』って???)
そんなことを思いながら、安佐子は出席簿を閉じた。
「はい、では出席を終わります。 続けて、今日、一日の予定を話していきます。 この後の、一時間を使って、係りと委員を決めてもらって、時間があれば自由時間にします。 暇をつぶすものがなければ、図書館で本を借りるなどしてください。 その次の時間は、春休みの宿題を集めます。 早速、決めた係りで動いてください。 では、終わります。」
「起立、礼!」 全 「ありがとうございました」
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.47 )
- 日時: 2014/09/05 22:14
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
私、三神 安佐子は ”地獄耳” である。 だから、教室から出た今でも、小林さんと古志野さんの会話が離れないでいる。
「いったい、能登先生が何をあきらめていないっていうの? て、まず。 その能登先生って、誰?」
そんなことをつぶやいている安佐子を、影をひそめてに見ている人物がいた。
?「わからないだろうな〜、僕はもうこの学校にいないことになっているんだから……」
もちろんその人物は、聞こえないようにつぶやいた。でも、安佐子には伝わった。 「誰?」と振り返ったものの、もう誰もいなかった。
「まあ、なんにしろ、新学期早々、大変なことになっている気がする」
安佐子は「うーん」と眉間にしわを寄せ考え込んだ。 そして、休憩の終わりを知らせるチャイムが鳴った時、ピーンとひらめいた。
「私は一組の担任なんだから、ちゃんと生徒と向き合おう! よし、一時間目、行くか!」
早歩きで元来た道を急ぐ安佐子の背中を、またも見守っている人物が……
?(頑張ってください……でも、僕が勝ちます)
その声は、安佐子の耳には届かなかった。
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み「委員長はいーや、委員長はいーや!」
は「はいはい、わかったから、静かにして。 もうチャイム鳴ったよ?」
み「もし立候補がいなくて、先生が決めるってことになっても、推薦するなら仁井奈で宜しく」
こ「こら!」
は「わかってるって、どっちも推薦しないから。 美羽、席戻って」
あ「はい、一時間目、始めます」
「起立、礼!」 全「お願いします」
あ「はい。では……」
安佐子は黒板に、次々と委員・係りの名前を書いていった。
あ「この中から、決めてください。 まず委員長と副委員長を決めて、早速、司会をしていただきたいので、そのつもりでお願いします」
い「はい。 男子は長瀬 優(ながせ ゆう)で決まってます」
全「おおー」
な「なんでだよ! 確かにこれまでの二年間、ずっと委員長だったけど、いい加減係りのしg/」
あ「あら、二年も! それは頼もしいわね」
男「もう逃げられないぞ、今年も行けー、優!」
それを聞いた長瀬君は「ああー」と椅子に座った。
安佐子は「変更なら、一週間以内に言ってもらえたら考えてあげる。」と、優に笑って見せた。「では、女子。 立候補いますか?」
は(美羽と仁井奈じゃないけど、私の名前は出さないでー)
「はい、先生。 私は本居 菜月(もとい なつき)さんがいいと思います。 二年間一緒だった、この藤井 歩(ふじい あゆみ)が言うんだもん! きっといい副委員長を務めてくれます!」
歩はそう言って得意げに胸を反らせた。かと思うと、メガネをきらめかせ「文句あっか!!!」とどすの利いた声で言った。 花、安佐子、みんなも首を振った。 菜月は目を見開き、歩を見ていた。
そんなこんなで、花は保健委員、美羽は会計委員、仁井奈は英語係に決まった。
あ「うーん、予定より早く決まったわね。 じゃあ、本居さん。 この紙に、この黒板に書いてあるすべてを写してもらえるかしら? その後はみんなと同じ、自由時間よ」
も「はい」
は「よし」 花は図書室に向かおうと立ち上がった。
み「はあ、何とか危機は切り抜けたね。 で、図書室?」
は「そう、たぶん一分もいないけど、とりあえず探してくるわ」
そう言って、花がドアに手をかけたとき、「待って、古志野さん」と安佐子に呼び止められた。
は「はい」
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ずいぶんと長く書きすぎました。
ですが、読者様が増えているのは嬉しいです。
いろいろおかしいかもしれませんが、今後も宜しくお願いします。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.48 )
- 日時: 2014/09/09 16:18
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
「最初に言っておきます」
安佐子と花は場所を移動し、保健室に来ていた。
「はあ……」と花は仁王立ちの安佐子を見上げる。香も緊張の面持ちだ。
「私ね、地獄耳なの!」
安佐子は、出席名簿を固く握りしめそうそう言った。
花は、「え」と固まってしまったのだが、香は「知ってるよ、そんなの」と、スッと普通の顔に戻った。
か「よく学生の頃自慢してたろ?」
は「地獄耳……」
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.49 )
- 日時: 2014/09/12 21:20
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
あ「ですからね、古志野さん!」
は「は、はい?」
あ「あなたと小林さんの話、聞こえてたんです。 さあ、能登先生が何をあきらめていないのか、また能登先生とは誰で、なぜあなたが、能登先生のことであんなに動揺したのか…それをこの……」
は(えー!! 結構小さい声で話していたつもりが、この先生には筒抜けだったってこと! そもそも今は自由時k/……あ、本ないし、いいか。 それに、三神先生は担任なんだから!)
花は顔をあげて「実は」と真剣な目で安佐子を見た。 すると安佐子は「いやいや、かおr/、コホン……横田先生に」と香を指さした。
は(え、だってこの先生はあくまで、ただの保健室の先生であって……なんで? というか、さっき「香」って言おうとしてやめていた気が……)
は「えっと、ひょっとして先生方は、古くからの知り合い?ですか?」
あ「あら、ばれた?」
は「はい……」
あ「実はね、小・中を一緒に過ごした仲なの。 でね、中学時代のある日、こいつ刑事になるんじゃないかっていうくらい、見事な推理をした時があったの」
は「す、推理ですか?」 夢で感じ取った雰囲気と、まったく結びつかない。
か「大げさに言わないで! あの時はとにかく必死で……はい、この話おしまい! えっと、古志野さん? とりあえず話してみて」
は「は、はい」
花は、香のそばの椅子に座り、紙を見せた。
か「Mrってことは男」
やがて香は、静かに語り出した。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.50 )
- 日時: 2014/09/14 14:36
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
か「Nって、名字?」
は「はい。 たぶん能登先生のNかと……」
か「名前は?」
は「正義です」
香は「男、能登 正義」っと紙に記録した。
「あの時もこんな感じだったね」 不意に後ろから、安佐子の懐かしむ声が聞こえてきた。 香はちょっと後ろを振り返り、「教室に戻ってろ! 生徒が探しに来るぞ」と一瞥する。
あ「はーい、って私担任なのに!」
か「そのくせ、何もしてないじゃないか。 だから早く教室に戻ってちゃんと先生してろ」
は「私も戻った方が?」
か「いや、古志野さんは、ここにいてくれてかまわないよ。 このペラペラ女がうまくごまかすから」
あ「ちょっと、その言い方やめてくれない?」
か「あんたがここから出れば済む話だ。 わかったら早く行ってくれ」
あ「わかりましたー。」(確かに、初日から生徒を放棄するわけにはいかないからなー) 「じゃあ、古志野さんを宜しく」
香は保健室の出口でそう言う安佐子に、軽く手を上げ返事をした。
「で!」と香は花に向けて、椅子を回転させた。「詳しく聞かせて」
花は静かにうなずいた。
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