複雑・ファジー小説

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新任の養護教諭、香先生
日時: 2016/09/04 13:39
名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)

 こんにちは  または久しぶりな方もいるかもしれませんね。

 奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。

 さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
 
 また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。


Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.231 )
日時: 2015/09/08 13:27
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 美羽side

 「ギャーギャー」とわめく花に、私は小さく手を振り微笑んだ。 そして、二人の後ろをついて行く。

 私も、部室に行くから。

 6月21日。 この日が、テニス部三年生の引退試合になる。

 まだ一カ月以上先だけど、今日からまた頑張らないと!

 私は胸の前で拳を握り、「ふん!」といっそう強く握りしめた。 

 ふと前を見ると、一年生の教室があった。

 (もう一階か)と思った時、見覚えのある顔が、目の前を通った。

 「あ、愛結」

 その声に反応し振り返ったのは、やっぱり愛結だった。

 「やあやあ」と私が手を振ると、愛結はペコリと頭を下げた。

 「部活、行くでしょ? 一緒に行こ」

 私がそう言って近づくと「あ、でも、鍵が」とオロオロしながら答えた。

 「あー、じゃあ私取りに行こうか?」

 と、私が階段に向かうと「いえ、私が」と、あっという間に階段を上がって行ってしまった。

 (私にもあったなー)

 「先輩よりも先に!」って、バタバタしてたっけ。 まぁ、ほとんど沙世莉が先にしてくれてたけど……。

 「じゃあ、お先に」

 私は靴に履き替え、部室に向かった。

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.232 )
日時: 2015/09/10 21:54
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 安佐子side

 ひたすら歩く教頭先生について行くと、職員室の奥のお茶のみ場に着いた。

 私がドアを閉めた後「コーヒーかね?」と聞かれ「あ、はい」と返事をした。 って!

 「わ、私が淹れますので」

 私は教頭先生を押しのけ、棚からコップを二つ取り出した。

 「そうか」と、教頭先生は近くの椅子に腰かけた。

 でも、私はちょっとだけ後悔した。

 教頭に淹れさせるわけにはいかない!と、つい必死になって……

 (そういえば、この人、猫舌な上に、猫手だったのよね)

 教頭先生とは、ここでお茶をする機会が無い。 もちろん、校長先生とも。

 会議の時だって、お茶を淹れてくれるのは事務の人だし…。

 「どうしたのかね?」

 「あ、いえ、なんでもありません!」

 私は慌ててコップにコーヒーを注いだ。

 「ど、どうぞ」

 「ああ、ありがとう」

 教頭先生はそう言って、コップを手元に置いた。 私は向かいの席に腰かけ、一口コーヒーを啜った。

 (熱っ!)

 私はコップから口を離し、手で覆った。

 「すまない」

 そんな私に、教頭先生は突然謝ってきた。

 「あ、いえいえ」

 私は口から手を離し、教頭先生と目を合わせ「それで、話というのは?」と聞いてみた。

 「……突然かもしれないが、邪魔が入らないうちに、単刀直入に聞きたい」

 「は、はい!」

 私が背筋を伸ばすと、教頭先生はズイッと体を前に出した。

 「私は……あなたのことが知りたい!」

 (・・・・・・・・・・・・はえ?)



 久々に長くなりました。

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.233 )
日時: 2015/09/17 08:39
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 安佐子side

 「あ、あの…教頭先生?」

 「何だね」

 「いや、あの、その…今のは、いろいろ端折りすぎてると言いますか…いまいち理解できなかったので、もうちょっと具体的に」

 私はオロオロし、変なジェスチャーを交えながら、何となく机に視線を向ける。

 (私のことが知りたい? 本当に本題すぎる本題だわ)

 「具体的にと言われても…どこから話せばいいのか」

 「……深刻なことですか?」

 何となく、張り詰めた空気が漂い出したので、強張った表情を教頭先生に向けた。

 「古志野と…錦」

 (……え?)

 不意に教頭先生がつぶやいた言葉に、思わず目が丸くなった。

 「古志野と錦」

 教頭先生は、また同じことを言い、コーヒーの入ったコップに手を伸ばした。

 「古志野さんと…錦さんが何か?」

 「いや、まぁ、あの二人が何かしたという訳では」

 その言葉に、強張った表情が緩みかけた時「いや、あるか」と付け加えられ「え!」と椅子から立ち上った。

 「ど、どどどういうことですか、それは! 教頭先生には、あの子たちが何か残酷なことをするように見えるんですか?!」

 「何もそこまでは……ただ」

 「ただ、何ですか?」

 「最近、その二人のことで、三神先生がバタバタしていたような」

 (私が、あの二人のことで、バタバタ? あー、確かにしてたかもしれない。 確か、寺島先生に授業を代わってもらった、なんてこともあったわね)

 「だから、てっきり何か問題があったのではと」

 「あ、そうだったんですか。 私、つい感情的になって…すみませんでした」

 「いや、謝ることはない。 それで、具体的に言うとだな」

 「はい」

 「古志野と能登先生のトラブル、錦の母親が離婚していることも知ってはいた。 だが、まさか能登先生が姿を変えて、再びこの学校に来たり、錦たちを探して父親が戻って来たり、なんてこと全く想像していなかった」

 「それはw/」 「私もです」と言いかけた時「でも」と教頭先生に遮られた。 かと思うと、右手を掴まれ、お互い机に肘をつき腕相撲のような格好になった。 こんな姿勢にかまわず、教頭先生各地を開き…

 「あなたは二人に気付くことができた!」

 (……ん?)

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.234 )
日時: 2015/09/17 15:56
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 ミニ香side

 5時30分。 帰る時間になったので、パソコンの電源を落とし、準備をしていると、携帯が鳴った。

 鳴り止まない。 (電話か)

 「もしもし」

 「よう! 久しぶりだな」

 (…この声)

 「粂山(くめやま)刑事」

 「そうそう、粂山」

 「どうしたんですか? 電話なんて珍しい」

 
 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.235 )
日時: 2015/09/19 08:50
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 ミニ香side

 「珍しいって、俺はただ、奴の最新の情報を掴んだから、報告してやろうと」

 「奴?」

 「自分で頼んでおいて、忘れるか? 自分から俺の連絡先を教えろって、切羽詰まった顔で詰め寄って来たくせに。 まぁ、あれから十一年も経てばな」


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