複雑・ファジー小説

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新任の養護教諭、香先生
日時: 2016/09/04 13:39
名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)

 こんにちは  または久しぶりな方もいるかもしれませんね。

 奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。

 さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
 
 また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。


Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.256 )
日時: 2015/10/20 16:50
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 南side

 「今日はここまでです。 皆お疲れ様」

 「起立、礼」

 「ありがとうございました」

 私は一年二組を出た。

 一時間目だけど、今年は担任の仕事もあって、いろいろ抱えるものがあるからか、そこそこ疲れて来た。 が、時間は待ってくれない。

 「次は、三組」

 私は自分に言い聞かせ、職員室を目指した。

 と、珍しい人が一年三組の前に立っている。

 「横田先生?」

 そう呼ばれた白衣の女性は「はい?」と振り返った。

 「やっぱり! どうされたんですか?」

 「いえ、ちょっと」

 横田先生は、教室に視線を戻した。 私も隣に立ち教室を見回す。

 と、突然「あ!」と横田先生が声をあげた。

 ギョッとして顔をあげると、横田先生は教室のドアを開け「杉木さん」と生徒の名前を呼んだ。

 それに反応して、端から二列目の席に座る女子生徒が立ち上がった。

 「ちょっと」 横田先生は「来て来て」と廊下に出るように促した。

 杉木さんが横田先生のもとに行くと、安心したように生徒達はまた口々にいろんな話を始めた。

 「足はどう?」

 横田先生は杉木さんに優しく言った。

 「何とか」

 杉木さんは小さな声で返した。

 (あ、そういえば)

 「横田先生。 杉木さん、昨日保健室に寄ったと思うんですが。 保健室入室書をまだもらっていないのですが」

 それを聞いた横田先生は一瞬キョトンとして「いいえ」と返した。

 「来ていませんが」

 「? じゃあ、なんで足のことを?」

 「昨日、避難訓練の前に体育館から彼女が出てくるのを見たんです。 足を引きずっているように見えたので声をかけたんですが、大丈夫ですと。 でも、ちょっと気になって」

 「そんなことが」

 「休憩って何分までですっけ?」

 「え! うーんと、20分までですけど」

 「あー、じゃあ今はいいや。 じゃあ、昼休憩にまた来ます」

 「え」 私も杉木さんも、目を丸くして横田先生を見送った。

 

 

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.257 )
日時: 2015/10/21 16:59
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 愛結side

 私は教室の中に戻り、席に着いた。

 私が廊下を歩いていた時、そんなに痛そうだったのかな? 昨日、教頭先生にも心配されたし。

 「授業、始めます」

 「起立、礼」

 「お願いします」

 「えー、今日は」 土江先生が教科書を片手に、チョークに手を伸ばす。

 (「昼休憩にまた来ます」って、何だろう? 足のこと以外に聞きたいことがあるの丸出しだな)

 でも昨日はあれ以来、足に痛みは感じないし、普通に歩ける。

 直ったならいい。

 これからちょっとずつ、お姉ちゃんの同級生を探しに動ける。

 もう、大体目星はついてる。

 

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.258 )
日時: 2015/10/21 17:34
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 美羽side

 「おばちゃん、こんにちはー」

 「あー、錦さん。 今日は何にする?」

 「いやー、実は今日はちゃんとお弁当持ってて」

 そう。 今日は花の付き添い。

 「これ、下さい」

 「ん。 320円ね」

 花はさっとお金を払った。

 「ありがとうございまーす」

 「失礼しました」

 相変わらず、花は決断が速い。 さっき入ったばかりなのに。

 「またジャムパンか。 好きだねー」

 「美羽だって、好きなくせに」
 
 「私は時々。 花は購買行くと必ず買う。 しかも、二限の終わりに」

 「うっ」

 私がそう言うと花は俯きかげんになった。

 「朝練のことで、お弁当忘れるなんて。 なんか、やっぱり剣道一筋って感じするなー」

 昔から、この子はそうだ。 好きなことが絡むと、いろいろ後回しになる。

 「からかってるの?」

 「まさか! カッコい—なって感動してるんだけど」

 「そりゃ、どうも」

 花が再び顔を上げて歩き出した。 と思ったら突然止まって「え」と驚きの声をあげる。

 「? どした?」

 私も前を見る。 そこには、またまた珍しいツーショットが!!!

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.259 )
日時: 2015/10/23 19:34
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 安佐子side

 「寺島先生!」

 そう、一年生の教室の前で呼び止めてしまった。

 「は、はい。 何でしょう?」

 「い、いやその、背中、大丈夫ですか?」

 「ああ」 寺島先生は背中をさすり「今日はとくに痛みません」と小さく笑った。

 「まさかとは思いますが、昨日寝ていたのを、香に追い出されたなんてことないですよね?」

 「え、ええ。 ただ、避難訓練ですよと起こされましたが」
 
 (わお!!!)

 私は心の中でそう叫び、その場に四つん這いになった。

 (に、似たようなことを……)

 「だ、大丈夫ですか?」

 寺島先生は膝をつき、オロオロする。

 「本当に、すみません」

 私はそのままの姿勢で謝った。

 「いえ、いいんですよ」

 そう返す寺島先生の心に広さに、さらに申し訳なさが募る。

 「三神先生」

 私が立ちあがったと同時に、肩に手が置かれた。 振り返ると、錦さんと古志野さんがいた。

 と、なぜか二人ともニヤニヤしている。 とくに錦さんが。

 「どうしたの?」

 「いやー、なんか珍しいツーショットが、購買から出てきたら見えて」

 「ツーショット……」 私と寺島先生は同時につぶやいた。

 「いつの間に仲良くなったんですか?」

 古志野さんが言った。

 仲良くなった実感はない。 話すのは時々だし。

 私も寺島先生も黙ってしまった。

 その間も、錦さんは笑顔を絶やさない。

 と、三時間目開始を告げるチャイムが鳴った。

 「あ」 寺島先生はそう小さく言って、一年二組の教室に入って行った。

 私も「あ、次三組だ」と階段を上がった。

 (うー、まさか一緒なのを見られるとは)

 そう階段を上っていると、昨日、保健室で香に言われたことを思い出した。

 「惚れてなんか! そう、さっきはただの心配して声をかけただけ」

 私は大きな声で呟き、階段を駆け上がった。
 

 

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.260 )
日時: 2015/10/23 19:45
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 花side

 「あーあ」

 私はそう言ってうなだれる美羽に近寄った。

 「さっきは行けないことしちゃったなー」

 ”さっき”とは、三時間目の始まる前の出来事。

 「ほんとだよ。 あんな言い方、イチャついてるみたいに聞こえたんじゃないの?」

 「え、それむしろ花の言葉でそう思われたんじゃない?」

 「わ、私はただ、三神先生が横田先生以外の人と話してるのを、珍しく思っただけ!」

 「じゃあ、そういえば良かったんじゃないの?」
 
 「うっ」 そこをつかれると痛い。

 「そ、そういうと寺島先生が傷つくかもって思ったの」

 「結果、たぶん二人とも傷ついたよね」

 (だから、それを言うなって!)

 私は三神先生みたく四つん這いになった。

 「お、次移動じゃん」

 美羽はさっと席を立った。

 「あ、ちょっと、一人にしないで!」

 


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