複雑・ファジー小説
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- 新任の養護教諭、香先生
- 日時: 2016/09/04 13:39
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
こんにちは または久しぶりな方もいるかもしれませんね。
奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。
さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.296 )
- 日時: 2016/06/18 14:08
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
こんにちは、奈々化です。
閲覧数を覗きに開いてみました。
何となく「返信が増えてる!」とタイトルをクリックして、びっくりしました。
銀狐さん。 小説書くところを間違えていませんか?
(この注意があなたを不快に思わせたのであれば、謝ります。 ごめんなさい)
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.297 )
- 日時: 2016/06/18 15:21
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
香side
安佐子に送られる間、今日のことを振り返った。
(私は、あれで杉木さんのことを救ったと言える?)
これが人のために役に立てたと、自分に胸を張れることですか?
安藤先生…。
「横田さんは将来、何になりたい?」
高校を卒業する一カ月くらい前。 当時担任だった、安藤 このみ先生に進路相談室に来るように言われた。
部屋はシンプルに、中央の机を挟んで椅子が二つ。 小さな本棚に分厚い本がぎっちりと置いてあっただけ…だった気がする。
答えないでいると、先生はなぜか笑いながら「まぁ」と静かに切り出して「大変よね。 高校最後って時に、お母さん亡くされて…。 私にその痛みはうまく想像できない。 おまけにあんな噂までたって、あなたが塞ぎこむ理由も分かるわ」と優しい口調で言った。
「でも、三神さんはずっとあなたを心配してくれてる。 「香はあんなことしない!」って、私があの子にここに連れて来られて、三十分ほど熱弁を聞いたのよ」
先生はふふっと笑い「あの子もいい子よね〜」とつぶやき、またふふっと笑った。
私は(そんなことが…)と心の中で呆れた。
でも今思えば、信じてくれる人が一人でもいたから私はくじけずにいられたんだと思う。
ただ当時は「おせっかい」と思っていて「うるさい子ですよ」と、目を伏せて言った。
そんな言葉にも先生はふふっと笑い声を返した。
「思いつかない? 将来、何になりたいか」
先生は姿勢を正して、話を本題に戻した。
”将来”って、ちゃんと皆が皆、決めているモノなんだろうか? ふとそんな疑問が浮かんだ。
が、その疑問はまた「私ね」と切り出した先生の声で、頭の外に投げ出された。 さっと窓に向けていた顔を先生に向ける。
「保健室の先生とかいいんじゃないかなって思うの」
私は目を上下左右にひたすら動かし、また先生に視線を向けた。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.298 )
- 日時: 2016/06/19 21:21
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
香side
「理由は…」
安藤先生は一瞬、視線を机に向けて、すぐ私に向き直った。
「あなたのように、若くしてお母さんやお父さん、他、これまで頼りにしていた人を亡くす人がいる。 その心の痛みや悲しみは、同じ経験をした人にしかわからない。
他にも、自分がこれまで辛い、苦しい、悲しいと思ってきた経験が、人の役に立てることがある。
保健室の先生って、ただやって来た生徒の処置をするってだけじゃないと思うの。 ここの保健室の先生は、カウンセリングの資格を持っていて、毎週金曜日の放課後、ここの隣の部屋で生徒の悩みを聞いているそうよ。
体の怪我、体調のすぐれない生徒の面倒を見るだけじゃなくて、いつからそういうふうになったのかわからないけど…。 素敵じゃない? 人の心の痛みに寄り添って、一緒に考えていける」
先生は一度言葉を区切り「なんて」と言い、笑った。
(人の心の痛みに寄り添う…)
「嫌ね。 熱っぽく語っちゃって」
確かに父は亡くした。 病院で体と顔を白い布で覆われていたのを、この目で見たから…。 でも…
「母は亡くなってなんか…」
「…そうよね。 行方不明、だったかしら? でも、もう一年近いんでしょ? 無事なら、連絡の一つあってもいい頃じゃ…はっ! ごめんなさい」
「いえ…。 先生のおっしゃる通り。 本当はもう、だめなのかもしれないです。 でも、心のどこかで「きっと」って信じていたくて…」
私の言葉に、先生は涙を流し、ハンカチを目に当てた。 そんな姿を見て、私の目にも涙が溜まった。 先生から目を反らすことでごまかした。
六時を知らせるチャイムが鳴って先生は「とにかくね?」と無理に涙を引っ込めて笑った。
「一度考えてみて」
その日は、バスの時間が迫っていたのもあって、私は先生に促されるまま、素直に椅子から立ち進路指導室を出た。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.299 )
- 日時: 2016/06/27 13:16
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
香side
「…り。 k…おr…? おーい! 香ってば!」
(はっ!) 「何、大声出して!」
「さっきから呼んでた! ほれ、あんたん家」
安佐子は窓の外を指差した。
「立派ねー。 一人で住んでるのもったいなーい」
「…いつもの電柱のところまでで充分だったんだけど?」
私はそう言いながら、カバンを肩にかけて車の戸を開けようとした。
「たまにはいいじゃない? 女が一人夜道を歩くのは危険なんd/バタン(香、車の戸を閉める) (安佐子、車の窓を開けて)とにかくまた学校でね!」
安佐子は車を走らせて、帰って行った。
「ああ、たまにはね」
私はそっとつぶやき、玄関の鍵を開けた。 中に入りかけて、ポストを振り返る。 キーと金属音が立つほど、ゆっくりと小さな戸を開けて隙間から覗いて見た。
薄い紙が二、三枚ほどと、ちょっと厚みが感じられる紙があった。
それを取り出して見ると、やっぱり写真だった。
また、女の子が一人だけ写っていた。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.300 )
- 日時: 2016/06/29 17:19
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
四話の登場人物紹介
教師
・横田 香
・三神 安佐子
・青砥 晴男
・寺島 誠司
・浜田 豊彦
・柴田教頭
・池林校長
生徒(三年一組)
・古志野 花
・錦 美羽
・小林 仁井奈
・藤井 歩
主役
・本居 菜月 (もとい なつき)
三年一組の副委員長。
大人しい性格。 ほとんど歩としか話さない。
女子からは、下の名前であだ名をつけられたりしている。
新学期が始まって、二カ月ちょっと。 副委員長の仕事も慣れてきた菜月だったが、心配なことがあるらしく……
こんにちは、奈々化です。
三話、急いで書き上げた感がしてならないのですが…、とりあえず完結です。
(納得のいかない愛読者様…、ごめんなさい!)
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