複雑・ファジー小説
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- 新任の養護教諭、香先生
- 日時: 2016/09/04 13:39
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
こんにちは または久しぶりな方もいるかもしれませんね。
奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。
さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.301 )
- 日時: 2016/07/30 14:25
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
プロローグ 1
私、本居 菜月は…自分で言うのもなんですが、大人しく、気が弱い女の子です。
でも、小さい頃は違ったんですよ?
おてんばで、おしゃべりで、保育園の庭を走り回ったりしていた。 とても明るい女の子でした。
私は、そんな昔の自分が好きでした。
小学校に行くようになってからも、三年生くらいまでそんな調子でした。 でも、五年生になって二日が経った頃…
「決定ね。 皆、この二人で賛成?」
私はクラス委員長に推薦された。 この時初めて同じクラスになった、藤井 歩に。
初対面のはずの私を、どうして推薦したのか。 気になった私は「あの!」と生徒の少なかった廊下で声をかけて、彼女の手を掴み、二人きりになれる場所に移動した。
私が疑問をぶつけると「見たんです」と彼女はハキハキとした口調で答えた。 「え?」と私は聞き返した。
「始業式の帰り道。 他の学年の子に、親切にしているあなたを見た」
その日、歩ちゃんはそれだけ言うと「話、それだけ?」と帰って行きました。 当時の歩ちゃんは、そっけない態度をした女の子で、今より友達の数は少なかったです。
でも態度はどうあれ、その一言が私にはとても嬉しかった。
まさか、自分のそんな姿を見て推薦してくれる子がいるなんて…
だからクラスのことも、先生の手伝いも、自分のできることは何でも頑張れた。
でも……一カ月が経った頃。
私が『今の私』になった、きっかけとも言える出来事が起きました。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.302 )
- 日時: 2016/10/29 22:32
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
プロローグ 2
私が歩ちゃんと廊下にいて、話をしていた時、私は隣のクラスから出て来た、同級生の女の子に「ちょっと」と、手を引かれながら階段を上り、屋上の扉の前まで連れてこられた。
止まったと思うと、彼女はいきなり私を振り返って「ねぇ」と強い口調を放った。
「どういうつもり?」
瞬間、私の頭の中は?でいっぱいになった。 「なんのこと?」 かろうじてそう返した気がする。
「とぼけないで!」
彼女は私を見る目を見開いた。
「あんた昨日、三島君の落し物を拾ってあげたんだって? その前の雨の日は、田村さんに傘を貸したんだってね?」
「うん……困ってたから」
「なんで?」
「え?」
「なんで私のクラスの人達に親切にするの!? 私が委員長なのに!」
「…あ! え、えっと……」
「私、前々からこう思ってた。 あんたの親切は首突っ込み過ぎ!」
「わ、私は普通にk/」と彼女に負けず、声をあげ反論しようとすると遮られ「普通って何?」と聞き返された。
「あんたにとって、人に親切にして、私からクラスメイトや担任の信用を奪うことが普通なの?」
私は首を傾げた。
「何を言ってるの? 私はただ困っていr/」
「私も後ろにいたの。 あの雨の日」
また話が遮られたが、そこは気にせず私は「え?」と聞き返す。
「私も田村さんに傘を貸そうと思ってた」
私に向けられた彼女の目が、急にゆらゆらと揺れ始めた。 私は何も言えなかった。
しばらく彼女の目を見つめていると「お願いだから」としぼんだ声が聞こえた。
「あまり、いい子しないでよ」
またちょっとだけ口調を強めてそう言った彼女は、階段を降りて行った。
私はその日から、なぜか素直に笑えなくなりました。
プロローグ 完
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.303 )
- 日時: 2016/07/06 16:16
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
美羽side
「にっいっなさーん」
「……何?」
「なんか、ちょっと間があったの気になるんだけど? ここの答え、おせーて。 先生の解説、わけワカメなの」
「いいけど、どうしたの? 数学の中でも、展開して解くのって得意じゃなかったっけ?」
「いやー、恥ずかしながら、ど忘れ…みたいな」
「ふーん。 まぁ、そこにある椅子、適当に使わせてもらいなよ」
仁井奈はそう言って、カバンから筆箱を取り出した。 私は「はーい」と返事をして、花の椅子を持って仁井奈の正面に座った。
いや…座ろうとした、その時「美羽、待って」と花の声が聞こえてきた。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.304 )
- 日時: 2016/10/29 22:43
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
美羽side
突然現れた花に「え!」とびっくりした隙に「んしょ」っと椅子に座られた。
「朝練のしかた、ちょっと変えたの作ってみた。 今、職員室で特別にコピーさせてもらったんだ〜」
「えー、やっぱり変えちゃうの?」
「今の一年生の感覚には戻れないから、どうしたらいいか分からなんだよねー、って私に言って来たのは仁井奈でしょうが」
花がそう言ってピラピラさせる紙をしぶしぶ見つめ「あ、あれをこれにしちゃ…」と何か言いたげだったが「…あり…がと」とカバンからクリアファイルを取り出し、その中に挟んだ。
花はその様子に満足し「美羽、ごめん」と椅子から立ち上がり仁井奈の隣に立った。
「ほほ、数学ですか? 美羽のプリントってことは、仁井奈教えてるんだ」
「そう。えーっと、ここはa−(マイナス)をね」
仁井奈がプリントを指差し解説を始めた。 花も一緒になって、三人でプリントを覗き込む。
と、その時「先生!」と大きな声が聞こえた。
声のした方を、三人で振り返った。
廊下にいたのは三神先生…と、菜月だった。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.305 )
- 日時: 2016/07/10 09:57
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
花side
「どうしたの、本居さん?」
「あ、え…っと、そのー…。 や、やっぱり、何でもないです。 さよなら!」
三神先生に頭を下げ、なーちゃんは足早に行ってしまった。 その背中に「さよなら〜」と先生は小さくつぶやいて廊下を歩いて行った。
「最近の菜月、変だと思わない?」
美羽が、プリントに赤字で解説を書いていた仁井奈に向き直り言った。 「え?」と仁井奈は一瞬顔を上げたが「さぁ…」と、またプリントに何か書きこんだ。
「気になるの?」 私は美羽を振り向いて聞いた。
「今って、どの部活も夏の大会に向けて忙しくしてるでしょ? でも、我がテニス部は顧問が不在で、この一週間は自主参加なんだよ」
「うん」 (あれ? この話、長くなる感じ?)
「でさ、私は体力温存のために、こうして休んで、勉強に力を入れようって考えて、月曜日からちょっと放課後残って、ノート見返したりしてたんだ」
私は「うんうん」とうなずいた。 「頑張ってるね」
「でね、そんな集中してる時に、今みたいにさ、菜月が三神先生を呼び止めて、何か言おうとするんだけど」
「何も言わずに行っちゃうんだ」
「そうなんんだよね。 でも本当は、先週の水曜日くらいから、繰り返してるみたい」
「先週…、じゃあもう一週間以上、何か話したいのに切り出せないでいるんだ」
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