複雑・ファジー小説
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- 新任の養護教諭、香先生
- 日時: 2016/09/04 13:39
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
こんにちは または久しぶりな方もいるかもしれませんね。
奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。
さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.81 )
- 日時: 2014/11/13 15:44
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
ふと、香は花の手元を見た。そして、申し訳なさそうに花の目を見て
「ごめんね、ここではご飯食べちゃダメなの」
花は安佐子を見た。安佐子は「う!」っとご飯を詰まらせた。必死に水筒のお茶を飲む。
「せ、先生はいいのだ!話がしたかったから」
は(”のだ”って) か(バカボンのパパか!)
花と香は、それぞれの心の中でそう突っ込んだ。そして「話って何?」と安佐子に向き直る。
あ「古志野さん、遠野先生と、能登正義は同一人物なの」
は「え、そうなんですか?」
驚く花に、冷静にうなずく香。
は(し、知らなかった)
か「遠野先生の机から、週番日誌を持ち出したのも、あることを確認するため」
「ちなみに、これね」
香は一枚の紙を見せた。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.82 )
- 日時: 2014/11/14 06:03
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
は「えっと、これは?」
か「私が思うに……いや、たぶんこれを見た人、みんなが確信するね。あなたも何か気づくはず」
花は香が差し出した紙を受け取り、見つめてみた。どうやら、能登と遠野の字を、それぞれ真似てみたらしい。そして、確かに気づいたことが……
「跳ねるところが、跳ねてない?」
花はボソッと自信な下げに言った。香は「正解」っと、左手の指を銃の形にした。
それを聞いて、あたふたしたのだが、花はふと思った。
「えっと、三神先生?話って、私に?」
(いきなりここに来て、「能登先生と遠野先生は同一人物」なんて言われて、びっくりしたー。でも、私にだけ話すなら、香先生の言ったように、職員室の個室でも……)
あ「ううん、話があるのは香。古志野さんに話すなら、一緒にここに来るわ」
は「あ、はい」
か「ふうん、この時間は自分の意志で来たの?」
「はい」っと言う花に「今日は特別、そこに座って食べな」 香はお昼を食べることを許した。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.83 )
- 日時: 2015/09/20 11:13
- 名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)
は「でも、なんで遠野先生が能登先生だなんて、私に言ったんですか?」
あ「それは……、知らせておいた方がいろいろと楽なんじゃないかなって、なんか信じてない顔」
そう言って、花を見つめる安佐子の目は、少々潤んで見えた。
は「いやいや、そんなことないですよ?」
か「で、古志野さんの話は何?」
香は、弁当を食べ出した花に聞いた。「はい」っと花は、ブレザーのポケットから折り畳まれた紙を取り出した。
「自分なりに考えてみたんですけど、さっぱりわからないんです。ヒントもないし」
花は、さっきあることを思い出した。
遠野昌の名前が暗号になっていたこと。
(盲点だったー! なんで大事なことを捉えられないかなー、この目は!)
「確かに随分と考えたみたいだね」 香は感心した。 「うわー」 安佐子も身を乗り出して見る。
花の回答は、遠野昌の漢字をバラバラにして、組み立てるというものだった。
「えっーと、古志野さん」
香は、ご飯を口に運ぶ途中だった花に顔を向けた。
か「これはね、答えがわかっちゃえば、暗号でもなんでもないの」
は「そうなんですか?!」
あ「確かに。私、香の言っている意味、分かる」
安佐子はそう言って、香の肩に手を置くと、すぐに香の右手の甲が、顔面を直撃した。「ごふっ!」と変な声を上げ、顔を両手で覆ってその場に座り込んだ。花はオロオロする。
「黙って、昼ごはん食べんか!」香はキッと安佐子を睨む。と、すぐに目元を緩め、「ごめん」と花に片手を上げ謝った。
は「い、いえ」
か「って、古志野さん。そんなにのんびり食べてて、大丈夫?」
は「え?」(何か約束してたかな?)
か「クイズ大会の開会式の10分前に、屋上に来い、じゃなかった?」
あ、思い出した!!!!!
花が時計を見ると、もう開会式、15分前に迫っていた。花は急いでご飯を口に詰められるだけ詰める。
(とにかく行かなきゃ!そして自分で、確認するんだ!遠野先生の正体を!)
まだ口がパンパンなため、花は二人に頭を下げた。そして、出口に駈け出した背中に向かって「答えは、わかるよね?」っと香が聞いた。
花がモグモグと口をひたすら動かしていると「屋上の鍵は、もう開いてると思う。剣道での経験が活かせるかもね」っと香は笑った。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.84 )
- 日時: 2014/11/15 13:02
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
(屋上の鍵は、もう開いてるって……能登先生が開けてるってこと? 本当にあの二人は、遠野先生が能登先生だって思ってるんだ。それに、字なんて一人一人、癖があるもんじゃない)
花は、屋上に続くらせん階段を上りながら、そんなことを思っていた。ちなみに、一旦教室に寄って、副委員長の本居菜月に「ごめん、ちょっと急用ができたから」っと、ちゃんと断って、今に至る。
(まあ、屋上の鍵が開いているならいいんだ。こっちが借りに行く手間が省けたから。それに、借りる理由なんて、一生考えても浮かびそうにない。今の時代、簡単に自殺じゃないかって思われるんだから)
花は「フー」っとため息をついた。もう、目の前にある扉を開けば、屋上に出られる。香の言った通り、鍵はすでに開けられていて、風が強いのか「キー、キー」と小さく開閉を繰り返している。不気味だが、それを怖いとは思わなかった。今、花が恐れているのは、その扉の向こうに居るであろう、遠野昌……能登正義の存在。
そう言えば、香はこんなことも言っていた。
(剣道での経験が活かせるかもね)っと……
花は何となく、その言葉を頭の片隅に置き、「ギーーー」っと、扉を開けた。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.85 )
- 日時: 2014/11/17 21:22
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
太陽の光が眩しくて、目の前が一瞬真っ白になった。花は片手をかざし、何とか目を開ける。
初めての屋上は、山に登山に来たように感じた。太陽の光の強さも、風の強さも、地上を歩いている時よりも、強く感じる。
(不思議……)
花は、その場で一周、くるりと回ってみた。その途中、黒い何かが目に飛び込んできた。
(何?)
花は止まると、その物体に目を凝らす。
そして、それが何か分かった時、花は目を見開き、その物体に駆け寄った。
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今晩は短くてすみません!
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