複雑・ファジー小説

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新任の養護教諭、香先生
日時: 2016/09/04 13:39
名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)

 こんにちは  または久しぶりな方もいるかもしれませんね。

 奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。

 さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
 
 また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。


Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.251 )
日時: 2015/10/11 11:21
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 ミニ花side

 現在、朝6時半過ぎ。 私は直哉の部屋にいた。

 というのも、書置きを机に置くため、である。

 紙には一言「先に行くから、鍵宜しく」とだけ書いた。

 
 今日の早起きの理由は、剣道部の朝練に出るため。

 「絶対に来て!」と仁井奈がしつこかったから。

 「さて、行こう」

 私は竹刀の入った袋を肩に担ぎ、静かに直哉の部屋のドアを閉めた。




 ミニ香side

 「現在の時刻は、6時50分! ここからはご機嫌フライデーをお送りしm/」

 私はラジオを切った。 耳からイヤホンを外し、ラジオを元の位置に戻す。

 自然と机の上の物が、目に映った。

 (読んでみろと言われても……)

 今更、何を言っても許せない。 それはあの人が一番分かっていると思うのに。

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.252 )
日時: 2015/10/13 20:45
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 美羽side

 「おはよう、美羽」

 「あー、沙世りん、おはー」

 「やっと金曜日だね」

 「だねー」

 私たちは揃って、三階に向け階段を上がり始めた。 が、私は昇降口前の廊下に戻り、一年生の教室の前を見つめた。

 「なになに?」

 沙世莉も戻って来た。

 「意外なツーショット」

 私は一年三組の前で話す女子生徒に見覚えがあった。

 「愛結ちゃん」

 私は沙世莉の前で、左手を目いっぱいに開き「静かに」とアピールした。

 そう、愛結だった。

 でも、表情が硬い? というか、よく見えないな。

 (誰だろう。 あの男の子)

 「お二人さん、何してんの?」

 「ほわ!」
 
 後ろからかけられた声に、私だけ大きく反応してしまった。

 「花ちゃん、おはよう」

 沙世莉は、普通の反応を返した。

 「何でもない」

 私は二人を残して、階段を上がった。

 


 愛結side

 「何ですか?」

 「だから、その」

 三橋君に、教室の前の廊下で捕まり、かれこれ10分ほど経った。

 時刻は8時20分と、徐々に教室に生徒が増え始めてきている。

 そう二人で立ち尽くしていると、どこからか「ほわ!」と女の叫び声が聞こえてきた。

 思わず私はキョロキョロする。

 「あ、あのさ」

 後ろを振り向いた時、三橋君が口を開いた。

 「杉木さん、昨日」

 私”昨日”という言葉にギョッとしながら、三橋君に向き直った。

 そんな時、チャイムが鳴った。

 「……」

 1分くらいの沈黙の後。

 三橋君は「やっぱりいい」笑ってと教室に入って行った。
 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.253 )
日時: 2015/10/14 20:56
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 花side

 「へー、愛結ちゃんがねー」

 教室に入り、さっきのはなんだったのか改めて美羽に聞くと、愛結ちゃんが男の子と話しているのが珍しかったので、つい見入っていた、ということらしい。

 ところで…

 「愛結ちゃんって、昨日の?」

 「そうだよ」

 「そんなに不思議なの?」

 「いやー、だって、あの子が誰かと話してるのなんて、見たことなかったから。 男子なんて」

 「そうなんだ」

 確かに、昨日の愛結ちゃんの様子からして、フレンドリーな感じはなかった。 話してはくれるけど、こっちから質問してそれに答えてくれるだけで……。

 そうなると、確かに気になる。

 「また、部活の時、さりげなく聞いてみよっと」

 美羽はそう言って、スクールカバンを机のフックに掛けた。 私も自分の席に帰る。

 


 香side

 「先生方、今日もよろしくお願いします」

 職員朝礼が終わった。

 (さて)と、私も保健室に向けて廊下を歩きだした。

 「杉木 愛結さん」

 私は昨日会った女子生徒のことを思い出した。

 一か月前の始業式の日から、この学校の生徒の出欠席をカウントしている。

 その日、たった一人休んでいた生徒。

 (覚えておこう)

 同じ猫好きってことで。

 そんなことを思いながら、保健室の入り口についた時「横田先生」と声をかけられた。

 私が顔をあげると、柴田教頭がいた。

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.254 )
日時: 2015/10/15 20:09
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 香side

 「今日はどうされたんですか?」

 私と教頭は保健室に入り、それぞれ椅子と長椅子に腰かけた。

 教頭は「ああ」と言ったきり、しばらく口を開かなかった。

 一時間目の開始を告げるチャイムが鳴った後、教頭はやっと「実は」と話を切り出した。

 「昨日の避難訓練のことで」

 「はあ……」

 私は言葉が続くのを待った。

 「私は押さなかったんですが…」

 (押さなかった…って)

 「火災ベルのボタンをですか?」

 教頭はコクッとうなずいた。

 (教頭が押すんだ) 私は素直に驚いた。

 「じゃあ、誰かが教頭先生より先に押したということになりますね」

 「一体誰が?」と私は首を傾げた。

 「心辺りはある」

 教頭はそう言って、机に近づき、一冊のファイルを取った。

 私も立ち上がり、教頭の隣でファイルを覗き込む。

 「えーっと」と教頭は一年生の名前が書かれた紙を、人差し指で上から下になぞって行く。

 しばらくして教頭の人差し指は、一年三組のある生徒の名前で止まった。

 「この生徒でしたよね? 昨日、避難に遅れていたのは」

 私はじっと名前を見つめた。

 そこには、杉木 愛結とあった。

 確かに、私は昨日、この子とすれ違った。 この子の後ろには、ほとんど生徒はいなかったように思う。

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.255 )
日時: 2015/10/16 20:55
名前: 奈々化 (ID: LU1dyaTr)

 ミニ安佐子side

 「失礼します」

 「あら、三神先生」

 「シュレッダーを貸してもらえませんか?」

 「ええ。 奥のをどうぞ」

 私は事務の窓口係、友野さんの案内で奥に進んだ。

 なんで事務室なのかというと、今職員室では二つあるシュレッダーの前に、それぞれ先生が陣取ってていつ終わるか分からないから。

 という前に、こんなにミスプリントを作った自分が許せない。

 私は一枚一枚、シュレッダー機に髪を通していく。

 しばらく無心にやっていたが、ふと思った。

 (寺島先生、背中大丈夫かしら?)



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