複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

新任の養護教諭、香先生
日時: 2016/09/04 13:39
名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)

 こんにちは  または久しぶりな方もいるかもしれませんね。

 奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。

 さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
 
 また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。


Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.201 )
日時: 2015/06/30 19:47
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 安佐子side

 「何だろう? 2kyって」

 私は香に向かってつぶやいた。 でも、ぶつぶつと何か言っている香の耳には、何も届いていないだろう。

 「独り言か」と、私がため息をついたとき。 「29」と香が言った。

 「え?」

 「だから、この2kyって言うのは、29の言いかけなんだよ。 本当に土江先生の方が年下だったら、寺島先生は何も言わなかっただろうけど」

 「そっか!」

 私は納得と、手をポンと打った。

 「確かに。 寺島先生って、細かいことにすぐ気づくとこあるもんね」

 「まぁ、変に思ったのかもね。 自分より年下の相手を、先輩って呼んでることを」

 「なるほどね」

 私は、椅子に深く腰掛けた。


 あれ? でも……。

 (年上なのに、私が先輩って……なんで?)

 相変わらず、疑問は残ったままになった。

 


 ミニ香side

 「お。 もう四時限目終わる」

 私はパソコンを閉じた。 次に寺島先生の使っているベッドを囲むカーテンを開ける。

 「わー、ぐっすり寝てる」

 そんな私の声に、安佐子がそっと隣に来て、中を覗き込む。

 「本当だ」

 安佐子がクスッと笑った。

 「惚れた?」

 自分でも気づかないうちに、そんな言葉が飛び出した。

 「は! ななな、何、いきなり! そ、そんなんじゃないよ!」

 「そう」

 私は「土江先生、遅いなー」と、何事もなかったかのように、椅子に座り直した。

 
 
 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.202 )
日時: 2015/07/04 13:10
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 愛結side

 四時間目の終了を告げるチャイムが鳴った。

 「はい、じゃあ、号令かけて」という先生の声に「起立」と、委員長が立ち上がる。

 「礼」

 「ありがとうございました」

 号令後、教室はあっという間にざわざわしだした。 次に、机や椅子を寄せ合い、昼ご飯を食べ始める。

 私は、静かに席を立ち、お弁当の入ったカバンを持って、教室を出て行った。

 そうすることで、他のクラスで食べているんだと思わせたかった。 でも、実際は、どの教室にも友達はいない。

 だから、特別棟に行って、一階の応接室で食べている。

 今日も、今からそこに行こうと、特別棟に向かっている。

 でも、ふと思い出したことがあった。

 私は空を見上げた。 

 暑くもなく、寒くもなく、風もあまり強くない。

 (せっかくだから、今日は違うところで食べよう)

 私は学棟に戻った。

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.203 )
日時: 2015/07/07 08:57
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 ミニ安佐子side

 ”屋上の景色がいい”

 私がここに来て一週間くらい経った頃。 寺島先生がそう言っていた。 

 寺島先生も、一度や二度、屋上でお昼を食べた経験があるとか。

 時々、生徒も来るそうで、新任の教師にとっては、生徒と親睦(しんぼく)を深めるのに、最適な場所なのだそう。

 と、いう訳で、私は屋上に来てみた。

 いい天気なのに、一人である。

 (先生もいないなんて……)




 愛結side

 (開いてる)

 私は、屋上に続く最後の階段を上るところだった。

 そう言えば、聞いたことがある。

 ”ここの屋上から見る景色はきれいだ”と。 

 そのことを思い出して、急いで来てみた。

 でも、開いてるってことは、誰かいるんだ。

 (誰だろう?)

 私は扉に駆け寄り、ちょっとの隙間から人の姿を探した。

 しばらくキョロキョロしていると、女性の後ろ姿が目に入った。

 (先生?)

 私が首を傾げた時、「あれ? 愛結?」

 突然名前を呼ばれ、ビクッと体が跳ねた。

 振り返ると、階段の廊下に立って私に手を振る錦先輩がいた。


 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.204 )
日時: 2015/07/09 20:23
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 愛結side

 「花は知らないよね。 この子は、杉木 愛結ちゃん。 新一年生で、テニス部に入って来たんだ」

 錦先輩から紹介され、私は「花」という先輩に、とりあえず頭を下げた。

 「初めまして。 古志野 花です」

 私が姿勢を戻したところで、フルネームを紹介された。

 「手に持ってるのって、お昼ご飯?」

 錦先輩が聞いてきた。 私は黙ってうなずく。

 「偶然だね! 私たちもここで食べたいなーって、思って来たんだ。 ね?」

 花先輩が「うん、天気いいし」と笑顔を返す。

 「ところでさ。 さっき、何やってたの?」

 (さっき? あ! 扉の隙間から覗いてたことかな?)

 「屋上の扉が開いていて、向こうに居るのは誰だろうと、見ていました」

 「そうだったんだ。 どれどれ」

 錦先輩は、階段を上がり、私と同じように扉の隙間から向こう側を見る。

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.205 )
日時: 2015/07/10 19:53
名前: 奈々化 (ID: SSNg/Zhu)

 ミニ美羽side

 (あれは……)

 「三神先生?」

 私がそう口にすると、一人の女性が振り返った。

 やっぱり!

 「三神先生だ」

 私は扉を思い切り開け、花たちに「行こう、行こう」と手招きして、先に三神先生のもとに向かった。

 「先生も、ここでお昼を?」

 「うん。 天気が良かったから」

 「私たちもです。 一緒にいいですか?」

 「ああ、うん。 どうぞ、どうぞ」

 私が三神先生の隣に座った時、「あ、三神先生」と花の驚く声が聞こえた。




 
 


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。