複雑・ファジー小説
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- 新任の養護教諭、香先生
- 日時: 2016/09/04 13:39
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
こんにちは または久しぶりな方もいるかもしれませんね。
奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。
さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.106 )
- 日時: 2014/12/27 09:47
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
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仁井奈side
(どうしてだろう……)
花が元気になったのは、本当に良かったと思う。 でも、今度は美羽に元気がないような……。
私は中学からの仲だから、花より多く、美羽のことは知らない。 でも、元気か元気じゃないことくらいわかる。 私の目には、はっきりと美羽の周りに、黒いオーラが見える。
一時間目終了のチャイムが鳴った。 先生の号令で、皆立ち上がり、礼をした。 そして次々と教室を出ていく。 私は皆に紛れて廊下を歩く美羽に声をかけた。
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美羽side
「ど、どうしたの、その目!?」
(やっぱり聞くか)
仁井奈に声をかけられ、それに振り向いたら驚かれた。
「嬉し涙だよ」
私はそう言って「ハハハ」と笑ってみせた。 でも、仁井奈は深刻な顔で私を見つめる。
「やだなー、そんな険しい顔しないでよー」
「本当に、嬉し涙なの?」
「うん、だから大丈夫!」
私は思い切り笑ってみせた。 仁井奈の目が、少し細くなった気がした。
(やばい! 気づかれる!)
仁井奈は、花よりも人の悲しみに敏感なところがあるから、時々恐ろしく思う。 今がその時。
「おー、もう二時間目の始まる5分前だ! トイレ、行っとこーっと! じゃあね、仁井奈! また後で!」
私は一気に階段を駆け上がった。
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花side
「遅い」
私はただ一つ、人のいない席を見つめていた。
(美羽……)
「ねえ、花?」
チャイムの鳴った後、仁井奈が自分の席に着き、私を振り返った。
「何?」
「さっき、美羽と話したんだけど」
「うん」
「あれの目の腫れの原因って、嬉し涙だと思う?」
(あの子……仁井奈にも私に同じことを言ったのか)
「ううん。 たぶん、嘘だよ」
「そうだよね、さすがの花でも気づいたか」
”さすがの”という言葉に、私の眉はピクッと無意識に動いた。 確かに私は、このクラスの中で一番、鈍感かもしれないけど。
気づくに決まってるじゃん。 あの子、私にそう言った時……
一瞬、動き止めたもん……
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.107 )
- 日時: 2015/01/03 21:30
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
愛読者の皆様、ご無沙汰しております。
この小説の作者、奈々化です。
あけましておめでとうございます。
今日やっとお餅、伊達巻、かまぼこを食べました。
小説の更新ではなく、新年のあいさつですいません。
本年も、この小説を宜しくお願い致します!
また後日、続きを書いていきます。
大雪に気を付けてくださいね!
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.108 )
- 日時: 2015/01/06 08:12
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
小説、行きまーす!
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美羽side
「う…ヒック……ヒクッ」
(あーあ、何やってんだろう……もう授業始まってるよな〜)
私がトイレに籠って(こもって)たぶん、もう二十分くらいたっただろう。
(ああ、怒られるなあー。 とりあえず、出よう)
私は一応、手を洗い、トイレを出た。
が、途端に誰かにぶつかり、水道の角に太ももを強く打ちつけてしまった。
(痛!)
私はあまりの激痛に、声を出せずにいた。 すると、手が伸びてきて「大丈夫?」と優しい声をかけられた。
私は「な、何とか」と顔を上げた。
私も、その人物もお互いの顔を確認した途端、ギョッとした。
(横田先生!)
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香side
(この子は……確か)
「昨日から、保健室の掃除に来てくれている、錦さんだよね?」
私がそう聞くと、錦さんはコクっとうなずいた。
(それにしても……)
「えっと……どうしたの、その目の腫れ?」
そう聞くと、彼女は「やっぱり聞くか」という感じに、小さくため息をついた。
「嬉し涙……って言ったら、どう思いますか?」
私は、今やっと全校生徒の名前、先生の名前を覚えたところだ。
だからまだ、生徒一人一人のことはよく知らない。
でも、私はカウンセラーの資格を持っている。
「聞いてあげようか……悩み」
私が歩きはじめると、錦さんはゆっくりとついて来た。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.109 )
- 日時: 2015/01/10 08:35
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
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美羽side
「聞いてあげようか……悩み」
ふと、横田先生はそう言って、一階に通じる階段に歩いて行く。
(保健室…だよね? でも、どうしよう。 誰にも話したくないと思っていたのに、この先生にはすべてを話してもいいと思っている自分がいる。 あ、そうだ。 花のことで、まだお礼、言ってなかった)
私はそんなことを思いながら、ゆっくりと先生について行き、保健室の中に入らせてもらった。
「椅子、空いているとこ、どこでもどうぞ」と言われ、私は先生が座ったのを見て、あえて隣にあった丸椅子に腰かけた。 と、なぜか先生はギョッと目を見開き、横目で私をチラッと見た。
(びっくりさせたかな? でも、席が近い方が話しやすいし)
でも、私はこの先生について、思い出したことが一つ。
それは、花が始業式の日に見たという、横田先生と同じ名前を持つ少女が人を殺す夢。
(もし、その少女が、今私の目の前にいる横田先生だとしたら……)
私は今更ながら、恐怖を感じた。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.110 )
- 日時: 2015/01/22 20:34
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
ご愛読の皆様、ご無沙汰しております。 奈々化です。
実は風邪を引いて、寝ていました。
今日、久々に小説を書いていきますので、温かく見守ってください!
では、続きを書きます。
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香side
(どうしちゃったのかな?)
とりあえず、保健室に連れて来たはいいものの、やっぱり新任の教師は頼りないと思われるのかな?
かれこれ十分くらい、私たちの周りは沈黙に覆われていた。
「は・・・・・・が・・・・・・した」
(え?)
私はあまりに突然の話の切り出し方に、目を丸くした。
「ん?」 さりげなく耳を錦さんに近づけて「もう一回言って!」と必死に伝えてみる。
「あ、えっと、花のこと、ありがとうございました!」
すると、錦さんは椅子に座ったまま、バッと頭を下げた。 私は「うわ!」っと飛び退く。
「まだ、お礼言ってなかったので…びっくりさせてしまって、すみません」
錦さんは、オロオロとして、申し訳なさそうに私を見た。「いいの、いいの、気にしないでね」っと、私はきちんと笑って返した。…たぶんだけど。 気を取り直して、私も椅子に座り直した。
(丁寧な子)
それが私がこの子に抱いた第一印象だった。 あれから、一週間も経つのに…。
「あの……悩みを聞くって?」
「ああ、うん。 なんか今日、いつもの錦さんらしくなかったから、放っておけなくて」
「いつもの……私らしくなかった?」
「うん。 今日、あまり笑わないなーって思って」
「私、普段そんなに笑ってますか?」
「えーっと、古志野さんといる時とか。 あと、ちょっと話それるけど、友達が多いみたいだね。 ペラペラ女が、良く職員室で私に語ってくるよ」
「はあ……」
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美羽side
私はうつむいたまま、目を見開いていた。
まさか、横田先生に「いつも笑っている子」だと思われていたなんて!
まぁたぶん、三神先生からの話でそんなイメージがついているんだろうけど……。
「で、悩みって何?」
私は横田先生に聞かれ、顔を上げた。
(悩みがあるって気づかれているなら、一か八か相談してみよう!)
私は「実は」と、話を切り出した。
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