複雑・ファジー小説

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新任の養護教諭、香先生
日時: 2016/09/04 13:39
名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)

 こんにちは  または久しぶりな方もいるかもしれませんね。

 奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。

 さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
 
 また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。


Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.391 )
日時: 2017/04/28 20:57
名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)

 安佐子side

 香はすごい形相で睨みつけてきた。 自分でも、今のは痛いだろうなと思ったが、謝る代わりに「おあいこでしょ?」と言うふうに笑って見せた。

 すると香は、観念したように「はあー」と大きなため息を吐いた。

 「どんな話したの? まぁ、大体は一緒にここで聞いてたようなものだけどね」

 香は一瞬、キョトンとした顔をしたが、すぐに「うげー」と言う顔になり「出た、地獄耳」と言った。

 「今更なんだけど、あんたのその耳って、どうなってる訳?」

 「あー。 そういえば、あまり詳しく話したこと無かったね。 授業中は、授業に集中しないといけないから「ふっ!」って、耳に力を込めて、何も聞こえないようにするんだけど。 休憩時間は聞こえてもいいやーと思って「ポンっ」って、何かのふたを開ける感じにするんだ」

 「あ、そう」と香はたいして興味なさそうに、左腕をさすりながら立ち上がり、机に収めていた椅子を引き、座った。

 「何さ、自分で聞いておいて」と、私は香に向き直って座り直す。

 「始業式と、その後数日しか登校してないんでしょ?」と私は話を戻した。

 「うん、そうらしい」

 「前にもあったの? こういうこと」

 「いや。 今年になって初めてらしい。 寺島先生も驚いてたよ」

 

 

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.392 )
日時: 2017/05/02 15:36
名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)

 香side

 「ふーん。 寺島先生とも話したんだ」

 「三組の担任の白根先生が、同じ英語の担当で、同期なんだそうだ」

 「そうなんだ。 で、清間君について何か話したの?」

 「いいや、むしろその白根先生について話してたよ」

 「え、なんで? あ〜、なんで休みか気になったんだ」

 私は安佐子の言葉を、手を横に振り否定した。

 「それは寺島先生が自動的に教えてくれたよ。 この時期になると、決まって夏風邪を引くらしい」

 「あら、そうなの。 大変ね」

 安佐子の顔がシュンとなった。 

 「顔がイマイチ浮かばないんだけど。 今日、寺島先生とお見舞いに行こうと思ってるんだ。 もう一度、私のことを紹介するいい機会だと思うし」

 (・・・ん、待てよ? 今、私・・・安佐子には聞かれたくなかったことを言った気が)

 口を塞いだが、遅かった。 安佐子は、何かを企むように笑いながら、私の顔を覗き込んできた。

 「もう一度、紹介するいい機会って、私にもちょっと当てはまるんじゃない?」

 私は懸命に目を反らした。 「あ、あんたはいいんじゃないか? 顔は覚えてもらってると思うぞ?」

 「名前が一致しなきゃ、意味なくない?」

 「そうかもしれないけど・・・」

 安佐子は「ねー、何時?」と顔を近づけて来た。 思わず椅子から落ちそうになった私は、慌てて態勢を整えた。

 いよいよ仕方ないと思い「はあ〜あ」と大きくため息を吐いた。

 目の端で、安佐子が笑うのが見えた。



 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.393 )
日時: 2017/05/06 14:21
名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)

 香side

 私は職員駐車場で、寺島先生が来るのを待っていた。 五分ほどして、「あっ、お待たせしましたー」と寺島先生がこちらに駆けてきた。

 紙袋を持っている。 お見舞いの品かもしれない。 あまり音をたてないように、車の後部座席に乗せた。

 ドアを閉めて「じゃ、行きますか。 良ければ」と今度は助手席のドアを開けてこちらを振り向いた寺島先生。

 でも、その顔は途端に青ざめ「わー!」と声を上げた。

 「あっ、そっか。 忘れてた」と私はつぶやいた。 すぐさま後ろから「ひどい!」と安佐子が体当たりしてきた。

 「みみ、み、三神先生!?」

 名前を呼ばれ「はーい」と安佐子は手を上げ返事をした。

 「あー、びっくりした。 背後霊かと思いましたよ」

 「すみません。このことを伝えたら、私も行くと」

 私はやれやれと言ったように頭を垂れて言った。 急なことで困るだろうと思っていると「あ、全然大丈夫ですよ」と寺島先生は笑って「どちらか前にどうぞ」と言って運転席に着いた。

 私は安佐子に手振りで「あんた、前」と伝え、後部座席のドアを開けた。 安佐子は「やっぱりね」と言いたそうな顔をして笑い、寺島先生に「いいですか、ここ?」と言い、助手席に座った。

 寺島先生は、シートベルトを締めた私を振り返って「横田先生、荷物見ててもらえます? 割れ物なので」と言った。 紙袋のデザインからして、和菓子屋の袋だろうか。

 「わかりました」と、私は紙袋の上に軽く手を乗せた。

 安佐子がシートベルトを締めたのを確認すると「では、出発します」と寺島先生は車を発進させた。

 「すぐ着きますので」と言われた通り、五分くらいで、ある一軒家の前で車は止まった。

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.394 )
日時: 2017/05/09 21:00
名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)

 香side

 シートベルトを外し、外に出た寺島先生に続いて「ここですか」と、安佐子も外に出た。 私も車から降り、家を見上げた。

 外壁がクリーム色で、玄関の戸の黒色が映えている。

 寺島先生が外問を、キィーと音を立てて開けた。 すると、庭のどこからか「ワンワン!」と犬の鳴き声が聞こえてきた。

 「わっ!」と声を上げ、寺島先生が一歩後ずさった。 もう少しで、私達とぶつかるところだった。

 「すみません」と寺島先生は軽く頭を下げた。 「あまり来ることが無いので、ついつい存在を忘れてしまっていて」と、犬に向かって「シー」と口に人差し指をかざした。

 犬はすぐに大人しくなり、尻尾を振った。 犬の方は寺島先生を覚えているらしい。

 三人で玄関の戸の前まで進み、チャイムを鳴らした。 しばらくして「ばーい」と完璧鼻声の声が、戸の向こうから聞こえてきた。

 「僕でーす」と寺島先生が返事をすると、カチャと戸が開けられた。

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.395 )
日時: 2017/05/13 15:15
名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)

 安佐子side

 カチャと戸が開けられ、私達の目の前に現れたのは・・・・・・髪がはね放題の女の人!

 「ひ!」と私は思わず声を上げた。 すぐ隣にいた香に肩を掴まれていなければ、逃げ出していたかもしれない。

 「あら? ぎょうは、びどりじゃないんですれ」 (今日は、一人じゃないんですね)と白根先生が言う。

 「そうなんですよ。 勝手ながら、お見舞いに行きませんかと、誘ってしまいました」

 「いいですか?」と寺島先生が言うと「ええ。 だいじょうぶでず」と白根先生は笑った。

 「横田 香です。 突然すみません」と香が頭を下げた。 私も慌てて「三神 安佐子と申します」と頭を下げた。

 「どうも〜。 あ、どうろ。 ながじばいってぐらさい」 (あ、どうぞ。 中に入って下さい)と私たちはリビングに通された。

 そこで「でらじまぜんぜい、ろれ」と白根先生は寺島先生の持っていた紙袋を指差した。

 「あ、そうそう。 好きでしょ? あの和菓子屋さんのせんべい」

 「あー、ぼんとでずが! そろぞろ、だべだいら〜っておもってたんでずよ。 ありがろうございらず」

 白根先生は紙袋を受け取り、奥の部屋に消えて行った。

 私たちはそれぞれ椅子に座った。

 私は香の隣に座り「ねぇ・・・今更だけど、私、ついて来て良かったのかな?」とつぶやく。

 「ほんと今更だ。 自分で「行く」って言って来たくせに」

 「だって、白根先生の状態が、想像していたより、しんどそうだったから」


 奈々化です。

 鼻声の人の言葉を書くって、難しいですね。

 いちいち( )で訳を書くのって、読者様にわかりやすくしているつもりなのですが、かえって読みにくくないでしょうか?

 

 
 


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