複雑・ファジー小説

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新任の養護教諭、香先生
日時: 2016/09/04 13:39
名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)

 こんにちは  または久しぶりな方もいるかもしれませんね。

 奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。

 さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
 
 また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。


Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.51 )
日時: 2014/09/14 14:35
名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)

 「じゃあ、その能登先生は今から一年前、息子、芳樹君の死をきっかけに、この学校を去った、ってわけ?」

 香は紙に”能登先、一年前から行方?” ”芳樹、死”と書き足した。

 「そんなところです……」花はそう言って、顔をあげたものの、またすぐ目線を下に落とす。

 か「芳樹君の亡くなる瞬間を見たって、どうゆうこと?」

 は「その、芳樹君がこの学校に来て三か月を過ぎたときの帰り道。 急に芳樹君の声がしなくなったと思ったら、どこにも姿が見えなくて……私、探しにちょっと戻ってみたんです。 そしたら芳樹君が倒れてて……」

 か「亡くなる瞬間は見てないわけね……」

 は「はい…でも、救急車を呼んで、間に合わなくて……」

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.52 )
日時: 2014/09/17 21:02
名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)

 「そっか……んで? どうしてこれが、能登正義の書いたものって分かったの? 根拠は?」

 香は首を垂らした花に、例の紙を突き出す。 花はすぐに顔をあげた。

 「えっと、能登先生は文字のはねる所を、止めてしまう癖があって、あと、角ばった感じもそっくりで……それと ”N” っていうイニシャルで、何となく……」

 花は徐々に背中に汗をかきだした。 なんで、確かに何となくなのに……。 膝に着けた拳が震えだした。 香がそれに気づいたらしい。「何となくっていう割には、思い当たることがありそうだな?」

 香は探るように、花の顔をのぞき見た。

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.53 )
日時: 2014/09/18 20:36
名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)

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 花は思わず、立ち上がった。 さらに汗が出てきて、シャツが背中に引っ付いた。 

 「ああ、すまん」香も驚き目を見開いたものの、ペンを握り、紙を机に置き、また何かを書き足した。

 (すごい、本格的だ!)

 「んで?」香はペンを置いた。「一番の根拠は、イニシャルってこと?」

 は「はい……」

 か「どうして、そんなに汗だくなんだ? 顔のぞかれたの、そんなにびっくりさせた?」

 は「あ、いや…… ”思い当たること” があるかな?と」

 そう、図星だった。だからこそ、汗だくなのだ、と花は思う。というか、そう思っておかないと、この先生とは向き合っていられない。

 か「聞かせて」

 は「はい。 その日は、芳樹君がこの学校に来てちょうど、一カ月がたとうとしていたときでした。 私と一緒に、下校している最中だったんです。」

 香は黙って、ゆっくりとうなずき続ける。

 は「その日、たまたま私、芳樹君が耳が不自由なのを忘れてて……道路側を歩いていた芳樹君は車が来たのに気付かずに、十メートルくらい、車に引きずられたんです。そこで私、はっと目覚めたんです」

 か「自分で道路側を歩くなんて、それ、自分でも障害者だって忘れてたんじゃないか?」

 は「う、う〜ん……確かに自分にも、みんなにも、自分のことで心配をかけなようにふるまっていたような気がします」

 か「で、すぐ病院に行った?」

 は「はい、もちろんです! 能登先生も、すぐに駆けつけて、一緒に芳樹君の無事を祈ってました」

 か「それが、今回の復讐の鍵だと思うわけね?」

 は「はい」 (復讐の鍵って!!! この紙は復讐の予告?!!)

 花は、香に差し出された例の紙に目を落とした。

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.54 )
日時: 2014/09/19 20:20
名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)

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 「あ、三神先生」
 
 安佐子は教室に戻ってくるなり、一人の女子に呼び止められた。

 (えっと、確か、錦 美羽さんだったわよね?) 「どうかしたの?」

 み「花は、一緒じゃないんですか?」

 あ「? ああ、古志野さんね。 まだ、保健室にいるわよ」

 み「まだ?」 (って、なんで保健室? 元気そうだったのに? というか、あの先生と二人だけになっちゃってるわけでしょ!? 大丈夫かな?)  

 あ「古志野さん、うまくやってるかしら?」

 み(心配なら、なんでおいてきたんですか!)

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.55 )
日時: 2014/09/20 09:27
名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)

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 ?(・・・・・・・・・)

 謎の人物は今、保健室の扉の前に立っている。 花が保健室にいると、三年一組の前を通り過ぎる時、安佐子が言っていた。 

 だが、声を聴く限り一人しかいないような気がするのだが……。 謎の人物は、右の眉を吊り上げた。 と、二時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。

 「え! ウソ、もう掃除の時間!」

 謎の人物は、立ち去ろうとした足を止め、「ふ」とほほ笑んだ。

 ?(みーつけた)

 「あ、すまん。 始まりのチャイムが聞こえなかったから、つい長居させてしまった」

 ?(この声、古志野君の声じゃないな) 
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 は「あー、この学校、もう年ですからね。 じゃあ、いったん、教室戻ります」

 か「了解。 古志野さんは、ここの掃除だものね」

 は「はい、失礼しました」

 花は、保健室を出た。 すると、ある先生とすれ違った。

 (名前は確か、遠野 昌 (とおの まさし)と言ったっけ。

 は「遠野先生、こんにちは」

 と「あ、ああ。 もう、名前覚えてくれたのか?」

 そっか、遠野はこの学校に来て、一カ月。 季節外れの、新任としてやってきたのだ。 我が校の新聞、若葉によって存在を知らされた。 

 は「もちろんですよ。 ちゃんと新聞読みましたから」

 と「おおー、感心だな。 なら、結構難しい漢字とか読めたりするのかい?」

 は「いや、それはちょっと」

 と「実は今日、新一年生に漢字プリントを配ったんだ。 仲良くなろうと思って。 魚の名前の読みっていうやつをね。」

 は「え、じゃあ、遠野先生、新一年生の担任ですか?」

 と「ああ。 もしよかったら、まだ余ってるから解いてみるかい? 意外と将来に役立つよ?」

 は「ホントですか? でも、確かになんか興味あります。 掃除終わったら、職員室に取りに行ってもいいですか?」

 と「おおー、なんか目が輝いてるね。 オッケー、準備しておくよ」

 は「はい、じゃあ」

 花は階段を勢いよく駆け上がった。

 遠野は、(まんまと、引っかかったな。 これが次の計画の始まりだと知らずに……) と、ほほ笑んだのだった。

 そう、彼、遠野昌が、この学校から消えたはずの 能登正義である。
 


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