複雑・ファジー小説
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- 新任の養護教諭、香先生
- 日時: 2016/09/04 13:39
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
こんにちは または久しぶりな方もいるかもしれませんね。
奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。
さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.371 )
- 日時: 2016/12/23 11:44
- 名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)
四話 その後の話2
菜月side
「菜月!」
今日は月曜日。 本当は金曜日退院できそうだったのが、病院の先生と相談して今日まで伸びた。
そんな私が教室に入って来たなり、歩ちゃんに抱きつかれて、後ろにひっくり返りそうになった。
「わっ! あ、歩・・・ちゃん? 久しぶりだね」
「ほんとだよ〜、もう。 超心配したんだから。 三神先生、入院先も教えてくれなかったし。 菜月がどういう状態か全く分からなくて」
そう言って、目を手で覆って肩を震わせた。
「泣かないで。 私、もう大丈夫だから」 私は彼女の肩に手を置き、笑ってみせた。
あの時も、こんな感じだった。
小学五年生の時。 保健室で目覚めた私に抱きついて、無言で泣き続けて・・・。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.372 )
- 日時: 2016/12/26 20:39
- 名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)
菜月side
「な・・・ななな、菜月が!」
私が泣き続ける歩ちゃんと向き合っていると、そんな声が聞こえてきた。 私が視線を前に向けると、目を見開いて私を見る錦さんがいた。
私は(えっ! 私が何! 何?)と慌てた。何かついているのかも、と思って制服をパンパンと叩いてみる。
でも、彼女の言葉を聞いた私は固まった。
「菜月が、笑ってるところ・・・初めて見たかも」
まさか、そんなことを言われるとは思っていなかった。 だって、高校生になって、三年間のうち数回は顔を合わせて来たはずだし・・・。 いくら何でも初めてなんてことは・・・
でも「私も、そうかも!」 「私も」と古志野さん、小林さんが言うので、自分でもちょっとだけ思い返してみた。
そっか。 私、あの子にあんなこと言われてから、どこか素直に笑えなくなってた。
「もう、大丈夫なの?」 錦さんが言う。
「うん」と短く答えて笑った。
「そっか! うん、いいね。 その顔」と親指を立てて笑い返す。 古志野さんと小林さんも「うんうん」と頷く。
嬉しかった。 自分の中で、もう笑える日は無いんだ、と無意識に思っていたから。 今日、皆の前で素直に笑えたこと。 その笑顔を褒められたことが、とても嬉しかった。
「はーい、皆、おはよー。 席についt/あら、本居さん」
三神先生が教室に入って来た。
「お久しぶりです」
「ほんとね〜。 元気になって良かった。 あとで、職員室に寄ってもらえる。 これまでの授業のプリントとか渡したいの」
「はい」
私は頷き、自分の席に着いた。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.373 )
- 日時: 2017/01/05 13:42
- 名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)
その3
菜月side
午前中の授業を終えて、歩ちゃんと昼ご飯を食べていた時、放送開始の音が聞こえた。
「各クラスの委員長、副委員長にお知らせします。 昼休憩の後、特別棟二階、会議室2に集合してください」
一時限目の始まる前、三神先生について職員室に行ったとき「お昼頃、放送があると思うの」と言われた。
「無理しなくていいからね」と言われたけど、私がいない間、長瀬君がずっと頑張ってくれていたし。
チラッと長瀬君を見る。 目が合った。 何となく「行ける?」と聞いていそうだったので、私は小さく頷いた。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.374 )
- 日時: 2017/01/13 21:56
- 名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)
菜月side
立ち上がった私を見て、どこか心配そうにしている歩ちゃんに「大丈夫」と笑って、長瀬君の後を追った。 筆記用具を忘れたと慌てたけど長瀬君が持って来てくれていた。
「おばさん、もう大丈夫?」 不意に話しかけられた。
「え、あ・・・うん」
「そっか。 まぁ、良かったな」
私は無言でうなずいた。 それからは会話はなく、会議室を目指した。
しばらくして、各クラスの委員長、副委員長が揃った。 「では、始めます」と司会の号令で自然と空気が重くなる。
文化祭の予算についての話し合いだった。 すぐに話はまとまったけど、一年生たちはどこか不服そうな顔をしていた。
でも、私達三年生は文化祭に参加するか、しないかを決めなくてはならなかった。
「そういえば、俺ら受験だもんな」と長瀬君はニ組と三組の副委員長と話している。 「一年は参加できるだけいいことだよね」と二組の日下部さんが言う。 「うん」と私と三組の湯川さんはうなずく。
「まぁ、クラスで話し合って決めよう」ということで、それぞれの教室に帰って行った。
気が付けば「受験、受験」と必死になっているのは、もう私だけじゃないんだ。 お母さんに言われて勉強していたのが、どこか重く感じていたけど、結局はお母さんも少しは正しかったのかもしれない。
頑張らなきゃ、と思った時「俺さ」と長瀬君が切り出した。
「文化祭、参加したいんだけど・・・どう?」
「え?」
「最後だし。 思い切り派手にしたいんだよ」
「派手に?」
「もちろん、皆と話し合って決めようと思うけど。 一応、今の俺の気持ち」
私は何を言えばいいのか、と迷っていると長瀬君は教室に入って行こうとしたので、とりあえず「ま!」と一言発して、長瀬君の制服を掴んだ。
「ど、どうした?」
驚いて、振り返った長瀬君に「わ、私も・・・参加したい」と言った。
すると「マジ?!」と長瀬君が目を輝かせた。
そんな表情もできるんだ、と私は圧倒されて、無言でコクコクうなずいた。
「じゃあ・・・皆を説得して、参加できるようにしような!」
そう言った長瀬君の顔を見ていたら、なんだか自分も嬉しくなってきた。
「うん!」と二人でしばらく笑っていた。
安佐子side
「さーて、五時限目だーっと」
私がそう言って伸びをしながら、三階の廊下を歩いていた時だった。 目指すは二組の教室。
そこに入ろうとした時だった。 廊下で話をしている本居さん達が見えた。
(本居さん、お昼の会議に参加したのね)
長瀬君と、なんだか盛り上がっているみたいだった。 とても楽しそうだった。 本居さんがあんなに笑っているところ、初めて見たわ。
ん? ちょっと待って。 本居さん顔赤い? あー、もしかして・・・那弥子さんの言っていた別の意味の微笑みって!
青春してるな〜
そんなことを思っている時、チャイムが鳴ったので現実に引き戻さ、私は二組に入った。
四話のその後シリーズ 完
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.375 )
- 日時: 2017/02/03 21:00
- 名前: 奈々化 (ID: ZUrGQhyc)
五話 登場人物紹介
お馴染みのメンバーに加えて、こちら初登場
・菅 圭吾 (すが けいご)
三年一組の生徒。 サッカー部所属。
長瀬 優と幼馴染。
・清間 翔 (せいま かける)
三年三組の生徒。 長瀬らと同じサッカー部に所属。
一学期が始まったが・・・
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