複雑・ファジー小説

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新任の養護教諭、香先生
日時: 2016/09/04 13:39
名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)

 こんにちは  または久しぶりな方もいるかもしれませんね。

 奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。

 さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
 
 また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。


Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.96 )
日時: 2014/12/03 16:29
名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)

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 「大丈夫?」

 香は駆け足で、やっと立ち上がった花に近づく。

 は「はい、何とか……でも、衝撃が右肩に来てます」

 か「そっか、後で保健室に行こう」

 は「はい…!!!」

 花は香の背後をを見た途端、驚きで固まってしまった。

 そこには、香に殴りかかろうとしている能登がいたのだ。 と、花の視点は一気に下がった。 そして、目の前には倒れた能登の姿が……。

 (一体、何が?)

 か「足の引きずる音、すごくよく聞こえました」

 は(そっか! さっき、香先生は私がまた狙われたと思って、私をしゃがませたのか! って、あれ香先生を狙ってたんですけど? まあ、その本人も無事だし、いいか)

 花は立ち上がった。

 能登は四つん這いになり、「なぜだ……なぜ、邪魔をするんだ!」と叫んだ。

 それを聞いた香は、「当たり前じゃないですか」と言いながら歩みより、能登のカッターシャツの襟を掴んで、無理やり立たせた。 引きずりながら、花の座らされていた低い塀に連れて行く。 そして、思い切り能登の体を半分以上投げ出した。

 これには能登もびっくりで、「お、おおおい! 何をするんだ!!!」と必死に抵抗する。 でも、香はお構いなしだ。 怯える能登に、顔をぐっと近づけて、カッと目を見開いた。

 「あなたが一人で死ぬなら止めませんよ! 古志野さんが、芳樹君に直接何をしたというんですか?! どうして、芳樹君をあなたの勤務が終わるまで、学校で待たせてあげなかったんです?! 普通、そこらへんは校長から許してもらえるでしょうに……」

 香は気が済んだらしく、能登から離れた。 能登は態勢を整え、「ハア、ハア」と荒く息をすると口を開いた。

 の「確かに、いろいろと話したさ。 でも、芳樹は「どうしても花ちゃんと帰る」って聞かなかったよ」

 か「……なるほど」 (恋……ですか)

  「さーてと」 香は白衣のポケットから携帯を取り出した。    
 
 か「今、学校の屋上で犯人と一緒なんですけど、落ち着いてる今のうちに逮捕しに来てください」

 は(警察か。 まあ、呼ばれて当然か)
 

 

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.97 )
日時: 2014/12/05 21:39
名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)

 「あのー」

 花は二階に差し掛かった階段の途中で立ち止まり、先を降りていく香に、遠慮がちに声をかけた。 「何?」と香は振り返る。

 は「本当に、これでいいんでしょうか?」

 か「なーにそれ? 殺されても良かったってこと?」

 は「まさか! そのことに関しては、本当に感謝してます。 本当にありがとうございました」

 か「そう。 まあ、ひとまず安心した。 で、別のことが気になってるんだ」

 花は、何も言えなかった。 図星。

 「もう、大丈夫だよ。 警察も呼んだし。 まあ、来るのは20分後って言ってたけど」

 そう。 今まさに花が心配していたことは、警察が来る前に逃げてしまうんじゃないか、ということだった。

 (20分って……ホントに大丈夫かな?)

 花がまだ立ち止まりながら考えていると、香の姿はもう見えなくなってしまった。 と、ふともう一つの疑問が浮かんだ。

 (能登先生の気は済んだのかな? もう、これ以上、何も仕掛けてこないといいけど……)

 そんなことを考えながら、一階まで降りると「おーい」と、美羽が駆け寄って来た。

 (そっか。 もうとっくにクイズ大会始まってるんだ)

 花はとりあえず手を振った。 一年生の教室は三組とも、すごい生徒の数だった。 

 このクイズ大会は、一年生エリアが簡単、二年生エリアがちょい難、三年生エリアが激難、という具合に難易度が違うのだ。

 「イヤー、今年もすごいねー」

 美羽はそう言って、腕まくりをする。 どうやら、暑いらしい。 「うーん」と曖昧に返事をすると、「はい、これ」と美羽は一枚の紙を差し出してきた。 それは、この行事で必ず配られる、スタンプ用紙だった。

 「今日も、三学年のスタンプを全部集めたら、豪華景品があるんだって! よし! じゃあ、二年のとこから行ってみよう!」

 「おーーー」

 美羽はそう叫びながら、花の横を通り過ぎて行った。
 
 花も「そっちから行くの?」と、階段を駆け上がった。

 

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.98 )
日時: 2014/12/06 16:04
名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)

 花と美羽は一緒に教室を回り、それぞれスタンプ一つを貰ったところで、大会終了のアナウンスが流れた。

 まだ、廊下にいる生徒たちをかき分けて、急いで体育館に行き、副委員長の本居菜月にスタンプ用紙を渡した。 これから、各クラスの学級委員長、副委員長が急いで集計するのだ。 その間、一年生に向けて部活の紹介をする。 今年も、どの部も必死に説明をする。 

 (美羽はこの時、テニス部員が来ていた試合の服がかわいくて、テニス部に入ったんだっけ?)

 花は、そんなことを思いだし、くすっと笑った。 花は何の考えもなく、中学で剣道部だったから、という理由で入った。 その結果、中学よりも上手くはなったと思っている。

 だんだんと盛り上がってきて、バスケット部がシュートを決めた時、たくさんの拍手が起こった。 花は一気に現実に引き戻される。

 「はい。 これで、各部の紹介が終わりました。 一年生は、閉会式が終わって、担任の先生から入部届を貰ってください」

 と、柴田はマイクを離れたが、何かを思い出したようで、またマイクを掴んだ。

 「一年二組の担任、遠野先生ですが急用により、早引きされましたので、代わりに私が終礼を担当しますので、そのつもりでいてください」

 それを聞いて騒ぎ出した、一年二組の生徒たち。 たぶんニュースで事態を知ることになるだろう。 

 柴田は「静かに」と、騒ぎを鎮める(しずめる)と「結果が出ましたので、発表します」と、話し出した。

 「今年、スリースタンプを集めたのは


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 「あーあ」

 今は下校中。 美羽はさっきから花の後ろで、ずっと黒いオーラをまといながら歩いている。

 は「最初からわかってたでしょう? スタンプ一つだけだったんだから」

 み「そうだけど、なんか嫌なんだよ! 一年生に負けるなんてさ! もう今年最後だったのに」

 は「確かにそうだけど……今悔んだところで、天才になんてなれないし」

 優勝者は一年生のメガネ君だった。 あと二年もあるのに、今から受験勉強してますみたいな顔をしていた。 それほど花には、彼ががり勉君に見えたのだ。

 こんな感じで、花たち、三年生の最初の行事は終わった。

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.99 )
日時: 2014/12/08 20:39
名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)

 あ「じゃあ、寺島先生、お先に失礼します」

 学校の時計が七時を過ぎた頃。 安佐子と香は職員室を出た。 「はーい、お疲れです」と寺島は軽く返事をする。

 「香—、今日乗ってく?」

 安佐子は廊下を歩きながら、後ろを振り返らず香に聞いてみる。

 「断ってもどうせ強引に乗せるでしょ?」

 香は大人しく安佐子の車に歩み寄る。 安佐子は満足気に、車の鍵を開けた。 香は後部座席に乗り込んだ。

 「あ、そっちなのね、今日は」

 思わず苦笑いが漏れる安佐子だった。

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 次回で、一話は終わりにします。

 今日は短くてすいません。

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.100 )
日時: 2014/12/13 09:31
名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)

 「で、どこに行ってたの? 開会式、ずっといなかったけど……」

 安佐子は学校を出てすぐの信号に引っかかったところで、後ろを振り返らず、香に話しかけた。

 「それが聞きたかったの」 香は納得というように何度もうなずいた。 

 あ「だって、本居さんを二年生の子と一緒に保健室まで連れて行ったと思ったら、戻ってきたのは二年生の子だけだったから」

 か(やっぱり、安佐子のクラスの子だったのか)

 「偶然、講堂に帰る途中、屋上あたりから ハハハハハ って不気味な声が聞こえたの」

 あ「ふーん…って、え!! 屋上って言った、今?」

 か「うん、言ったけど? あんたも聞こえたでしょ?」

 あ「うーん、確か聞いたような……」

 安佐子は黙り込んでしまった。 信号が青になり、急いで車を発進させる。

 「ねえ、そういえば」 今度は香が口を開いた。

 「あんた、式が始まる前、ものすごく怖い顔で私のこと見てたけど、どうしたの?」

 それを聞いた安佐子は「え! 気づいてた?!」と驚きの声を上げた。

 あ「なんで、声かけてくれなかったの—! 伝えたいことがあったのに!」

 か「何? もしかして、誰かの声を聞いたの? その地獄耳で」

 あ「そう! 助けてって…古志野さんが」

 か「え!!」

 香は思わず、顔を突出し、安佐子の耳元で声を上げた。 「わ!」と安佐子も驚く。

 か「なんで、すぐに教えてくれないの! 私が屋上に駆け付けた時、ギリギリだったんだからね!」

 あ「あんな大勢の前で言えないよ。 それに、信じてくれないだろうって思ったから……目は口ほどにものをいうってことで」

 か「……まあ、間に合ってよかったけど」

 あ「そうだね、奇跡だったよ。 香も古志野さんも生きて帰って来れて。 閉会式の時、古志野さんがいるの見て、ウルッと来ちゃった。 あ、もちろん、香を見たときもね」

 か「そりゃ、どうも。 あ、電柱過ぎた」

 気が付くと、もう香の家の近くまで来ていた。 「あ、本当だ!」
安佐子は車をバックさせた。

 香がカバンを持って「お疲れ様」と車の戸を開けた。

 「今日はありがとうございました。 横田香先生」

 安佐子は香を振り返り、お礼を言った。

 「気持ち悪い」 香はそう言って戸を閉めた。 幼い頃から、人にお礼を言われるのは苦手だ。

 歩き出した香を「お休み—」と安佐子は車で追い越して行った。

 香は家に着くと、ポストの中身を見た。 封筒が一枚入っていた。 何も書かれていない茶封筒。 誰かが直接入れて行ったのだろう。 香は家の中に入り、封を開けた。 小さい写真が、一枚だけ入っていた。

 そこに写っていたのは、一人の女の子だった。 笑ってはいたが、目は虚ろだった。

 香はなぜか、ただならぬ恐ろしい気配を感じた。

###################################################

 一話目、完結です!

 読者の皆様、ありがとうございます!


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