複雑・ファジー小説

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新任の養護教諭、香先生
日時: 2016/09/04 13:39
名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)

 こんにちは  または久しぶりな方もいるかもしれませんね。

 奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。

 さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
 
 また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。


Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.41 )
日時: 2014/08/24 12:45
名前: 奈々化 (ID: ODwEOXCF)


 「俺のか? から揚げ定食?」

 新が素っ頓狂な声を上げた。花と直哉は、心の中で「いつも頼むじゃん」と突っ込んでいた。

 それを「あら、いつも頼むじゃない?」と素直に言うのが、母、恵理子である。そういわれると新は「…まあ、確かに」と箸を割って食べるしかなかった。

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 今は8時20分。コンビニで弁当を迷っていたら、いつの間にか、こんな時間になっていた。家に着いた今更、安佐子はそんなことを悔んでいた。

 「それにしても……」と安佐子は家の中に入った途端、別のことが気になってきた。

 「どうして私、香が歩いてきたってわかったんだろう? まだ一台車があったのに……」
###################################################

 深夜1時半。その車はまだ残っていた。

 誰かが、懐中電灯を手に職員室を出ていく。 見回りだ。

 だが、どこか様子がおかしい。 その人物は、一気に三階まで階段を上ったのだ。その階にあるのは、PC(パーソナルコンピューター)教室、家庭科室、そして三年一組と二組。その人物は、真っ先に一組の教室のドアに手をかけた。そして、机にぶつかりながら教卓まで歩み寄ると、座席表を懐中電灯で照らしだした。

 ?「どこに…どこにアイツの席が……あった」

 (解決なんてしていない……、のんきでいられるのも今のうちだ)

 その人物の心の中では、一つの記憶が蘇っていた。

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.42 )
日時: 2014/08/25 15:37
名前: 奈々化 (ID: ODwEOXCF)


 「直哉ー、朝ご飯冷めちゃうよ」

 恵理子は声を張り上げ、一階のリビングから叫んだ。そこに花が入ってきて「おはよう」より先に、「言っても無駄だって」と席に着き、いただきますと箸を取った。 よっぽど昨日のことが答えたらしい。

  〜昨日のファミレスの帰り道〜
 
 「ガウの散歩、私やっといて良かった」

 花が何となく車の中でそう言って、背もたれに背を倒したとき、一気に直哉の周りの空気が暗くなった。そして家の中に入るなり、二階の自分の部屋に行き、そのまま寝てしまって翌朝である。歯磨きもせずに。



 え「今日休むのかしら?」

 は「まったく、歯くらい磨けるでしょうに」

 え「……あんたのせいで、落ち込んでるんでしょう」

 













Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.43 )
日時: 2014/08/25 17:59
名前: 奈々化 (ID: ODwEOXCF)


 は「そうだけど……」

 花はそれ以上何も言えなくなった。と、ふと右斜め前を見る。そこには朝食に手を付けず、深く前かがみになって新聞を見ている父がいた。

 「あなた、そんな恰好してたらもっと痛むわよ? おなか」

 そう恵理子が言うと、ビクンと新の体が跳ねた。花が首をかしげて、二人を見ていると、恵理子が「はあ」とため息をついて箸を取り、カチャカチャっと音を立てた。花が音の方に目を向けると、そこにはサラダが盛られた皿があった。

 「サラダがどうかした?」

 花はそう言って、サラダに顔を近づけてみた。

 「違う! これよ、これ」

 恵理子は一つのから揚げを、箸でつまんだ。

 は「から揚げ?」

 え「そう」 恵理子は「ふう」と一息ついて椅子に座った。

 は「そうって、このから揚げが一体どうs……ああ」

 胃もたれか……なぜかこの言葉は、心の中でつぶやいたはずだった花。だが今の新は、その言葉を直接言われていないにも関わらず、過敏に反応した。花はそれを、三口分のご飯を一気に口にかきこむ事で、笑いをこらえたのだった。

 「ごちそうさまでした」と花は玄関に行き、靴を履き、スクールカバンを肩にかけ立ち上がった。「行ってきます」と外に出ようとしたとき「花」と恵理子に呼び止められた。「ん?」と花は振り返る。

 「ちゃんと、朝ご飯食べる前に、家族にあいさつしなさい」

 恵理子は、言い方は優しかったが口も目も笑っていなかった。

 「ごめんなさい」と花は深く頭を下げた。と、顔をあげると恵理子はもう「直哉!いい加減にしなさい!」と階段の下で拳を突き上げ叫んでいた。花は正直、ずるっとこけそうになった。

 (切り替え、早っ!)

 が、何とか踏ん張り、家を出て歩き出した。

 そう歩き出しのはいいのだが、なんか胸騒ぎがする。ふと去年のことが、花の頭の中によみがえった。


 














 













Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.44 )
日時: 2014/08/27 12:22
名前: 奈々化 (ID: ODwEOXCF)

 平成25年、5月1日。二年二組に転校生がやってきた。 なかなかの長身で、整った顔立ち……と、見た目は普通の男の子だった。そんな彼を男子はつまらなそうに見ていて、女子は目を輝かせていた。

 が、花たちの当時の担任であった、青砥先生の言葉を聞いて、男子・女子共に、その子に対する気持ちがガラリと変わった。

 

 能登 芳樹(のと よしき)君は、耳が聞こえなかった。

 つまり、障害者だったのだ。

 「えっと、今から皆さんにこれを配ります」

 そう言う青砥先生に私たちは「初めての手話」という本を渡された。早速、一枚ページをめくるよう指示された。

 「じゃあ、みんなちょっと注目してくれるかな? そこに書かれている、「おはよう」を今から、私が能登君にやってみますので、よく見ててください」

 みんなの視線が教壇に立つ二人に向けられる。 青砥は能登の肩に手を置いて、自分と体を向かい合わせにすると、右手をグーの形にしてこめかみにつけ、その手を頬まで下げた。次に両手の人差し指を立て、向い合わせにするとその指を曲げながら、自分自身、軽く会釈した。

 それを見た能登も同じように、手話で返事を返す。 その姿を見て、女子の大半は、ハンカチを目がしらに当てていた。 花の目にも薄っすらと涙がたまる。

 と、こんな感じから能登君の新たな高校生活が始まったのだが……それから三か月が過ぎたころ、突然の事故により、この世を去った。 いじめ……ではなく……花が能登と一緒にいたときに起きた事だった。

 偶然にも、能登が引っ越した家は、花の家の近くだったため、よく帰りが一緒になった。能登は花を見つけると、決まって人懐っこい笑顔を向けたものだった。

 そんな日が続いたある日のこと。 「花ちゃん」とどこからか声が聞こえた。 花はキョロキョロと周りを見渡す。 優しくて、心地よい響き。 ふと、隣から笑い声が聞こえてきた。 そこには大笑いの能登が、目に涙を浮かべていた。

 「え!! さっきの声、能登君?」

 花はつい口でつぶやいた。 クラスメイトの前では、絶対に手と手で会話してるのに!!! 

 でも、それ以来能登は、花に口で話すことはなかった。





 中途半端で、ごめんなさい!!!
 

 

Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.45 )
日時: 2014/08/29 15:08
名前: 奈々化 (ID: ODwEOXCF)


 「おはよー」

 美羽は一足先に、学校についていた。 と、いつもならすぐに友達が挨拶を返してくれるのに……。 って、何?皆仲良く一か所に集まっちゃって……???

  美羽は何とか人をかき分け、「どうしたの?」と群衆の最前列にいた仁井奈に聞いてみた。 仁井奈は一瞬美羽に視線を向けたものの、すぐに机の上に視線を落した。

 (机? あ!なんかある。 紙?)

 美羽は机の上にある、一枚の紙に目をやった。 でも、もう一つ気になることが……

 「ここ、誰の席?」

 美羽は皆を見回してみる。 と、そこに「何やってるの、私の席に集まって」と花が教室に入ってきた。

 途端に「古志野の席!」 「ねえ、まさかまたあの事?」 「俺に聞くな!」と美羽以外の皆が騒ぎ出した。

 「ねえ、何々? 私何もしてないよ?」

 花はなんとくそう言った。

 「そうだね」

 その声で教室は静まり返った。 つぶやいたのは、仁井奈だった。

 「この問題は、とっくに解決したもんだと思ってたんだけど……」

 そう付け加えた仁井奈に花は静かに歩み寄った。

 は「……どういうこと、仁井奈?」

 に「この人は、まだあきらめてないってこと」

 は「あきらめて……ない?」

 に「これ、見て」

 仁井奈は紙の右端を指さした。 そこには ”Mr.N” とあった。

 「!!!!!!!!!」

 それを見て、花も皆も固まった。

 「能登……先生?」 美羽が言った。 みんなの視線が美羽に集中する。が、すぐに「でも!」と女子の声が聞こえてきた。

 「芳樹君のことがあってすぐ、退職したって!」

 そう。 能登 正義(のと まさよし)先生は、芳樹君のお父さんで、芳樹君とともにこの高校にやってきたのだ。

 三か月しかいなかったため、今では容姿もはっきり浮かばない。

 「じゃあ能登先生じゃないって。 もうこの学校にいないんだから」

 突然、男子の声が聞こえてきた。

 「そうだよな。 それによく考えたら、中田先生だって、根本先生だってMrだしNだろ?」

 それを聞いた皆は「確かに」 「もういないんだから、この学校に入れるわけないよね?」 「美羽のせいで心臓止まっちゃったよー」と口々に言いながら花の席から離れていく。

 「そうだよね、私朝から何言ってんだろ?」 美羽は苦笑いを浮かべた。 そんな美羽の姿を見ていると「おはよう」と安佐子が入ってきた。



 















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