複雑・ファジー小説
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- 新任の養護教諭、香先生
- 日時: 2016/09/04 13:39
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
こんにちは または久しぶりな方もいるかもしれませんね。
奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。
さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.36 )
- 日時: 2014/08/17 09:49
- 名前: 奈々化 (ID: ODwEOXCF)
「えっと、新一年生の資料に、『あさって必要!』って、なんだこりゃ?」
香は『身体検査、明後日、四月九日必要!』とある紙をめくってみた。そこには身長・体重、視覚、聴覚の検査結果を書く欄があった。香はそこまで見ると、はっと棚のファイルに目をやった。
「『いじめ対策』、『保健指導(一〜三年生まで、それぞれ一つずつ)』、『保健、授業資料』って、どれにも当てはまってない。どこに入れるんだっけか?」
(前の学校ではどこに…んーーー、あ!)
香は机の上紙袋を乗せると、そこの引き出しの鍵を慎重に開けた。今度は一発で決まった。その引き出しを引いた途端、目に映ったのは『二年生、身体検査』、『一年生、身体検査』とあった。
「やっぱりここだった……えっと『三年生、身体検査』は……あ、あった、あった。よし、なにもとじられてないっと」
とそこに「コン、コン」とノックの音が
「はーい」
「あの、三年一組です。掃除に来ました。」
「はーい、どーぞ!」 香はさっと引き出しを元に戻す。
「失礼しまーす」
その一声で一気に五人ほど入ってきた。香は何となくその五人を見ていた。と、なんか見覚えのある顔が……えっと、確か着任式で私を見ていたうちの一人だった気が……。
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こ「花〜、ほうきあるよ」
は「あ、うん。ありがとう、仁井奈」(トホホ、まさかもう、こんなに横田先生の近くにいるなんて……)
花はパパパッとほうきでどんどんごみを集めていった。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.37 )
- 日時: 2014/08/19 20:54
- 名前: 奈々化 (ID: ODwEOXCF)
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今、十二時十五分。花と美羽は、一緒に昇降口へと向かっていた。そして昇降口から出た途端、花はため息をついた。
み「重いね」
は「え! ああ、ため息? だって、横田先生の、その威圧感っての?もう重くて重くて、はあ……でもきっとこんなに疲れてるの私だけなんだよね」
み「……あの夢が本当に横田先生の過去の出来事だったら、って?」
は「うん、考えてた。まあ、近くで見たら良さそうな先生だったけど……」
み「そっか。 なら、結論! まだはっきりとした事実じゃない以上、ビクビクしているのはおかしいと思う」
そういうと美羽は、花を振り返り、ニコッと笑った。それを見た花は「そうだよね」と小さくつぶやいた。
そんな会話をしていたら、いつの間にか花の家の近くに来ていた。美羽の家はもうちょっと先にある。
「じゃあね、ここで」と美羽に手を振った花は、家まで猛ダッシュ! 晴れている限り、花の帰り方はこんな感じである。
は「ガウ、おいでー」
花は玄関のドアを開けるなり、スクールカバンを玄関マットめがけて投げた。筆箱の音が響く。と、ガウが二階から下りてきた。
が「ワン!」
は「さてはまた私の部屋で寝てたでしょ? あんたの毛、掃除するの大変なんだからね」
花は「待て」とガウに掌を見せた。 それを見てガウはちょこんとその場仁座る。花が二階の自分の部屋に行き、着替えとガウの毛の掃除を終えて戻ると、「待ちきれない」と尻尾を振り出した。
花がガウにリードを付けると、尻尾の振りが大きくなった。
「行こうか」
花は鍵を閉めると、ガウをピタッと自分の足元につかせ、そろって歩き出した。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.38 )
- 日時: 2014/08/18 22:41
- 名前: 奈々化 (ID: ODwEOXCF)
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「乗って、送るから」
夜の学校の駐車場で、車の運転席に座っている安佐子は、香を助手席に座らせようと手招く。さらに「歩いてきたんでしょ?今日」とも付け加えた。香は図星である。
か「ストーカー」
あ「だあ!もう、またそんなこと言う。つけてないって! 夜の女の一人の帰宅は危ないでしょ? それにいつまでもドア開けてたら寒いから。 ねえ?」
か「わかったよ、じゃあ宜しく」
香は仕方なく折れて、助手席に腰を下ろした。
あ「はーい、じゃあ行きまーす」
安佐子は車を右方向に走らせた。
か「しかし、いつの間に免許を?」
あ「まあ、成人してから八年たてば車ぐらい持つようになるって」
か「そういうもんかなー」
あ「そうだって。大体もう結婚してもおかしくないんだよ? 二十八歳なんて」
か「それは言わないで。 私は昔から男にいい思い出が/」
あ「なかったんだったね、失礼しましたー」
か「……許さん」
それを聞いた安佐子は「はあ」とため息をついた。そんな安佐子が信号を左に曲がったのを見て香は「そこの電柱まででいい」と顔を伏せながら言った。
あ「はい、電柱」
香は「ありがとうね」と言うと、一旦車のドアを閉めかけたが「今度からは私がこういうの決めるから。 あんたも毎日はきついでしょ? 私もそのうち免許取るよ」
それを聞いた安佐子は香を見て「そっか、じゃあまた明日」と以外にも素っ気ない返事にびっくりした。なんか気まずいが、安佐子の場合、たいてい明日には吹っ切れているので、「うん」とだけ言って車のドアを閉め、家までの残りわずかな距離を歩いて行った。
”私もそのうち免許取るよ”
「なんて言っちゃったけど、あんなのもうごめんだな」
香の頭の中に、自動車学校での光景がよみがえる。
うまく車を前進させることができず、先生は「大丈夫、徐々にうまくなます、じゃあ、ブレーキとアクセル交互に踏んでみてください」
「はい」と言いながら、何度のブレーキとアクセルを踏み間違えた。先生が苦笑いを浮かべた。
「もう来ません」
しまいに香はあきらめて帰って行ったのだった。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.39 )
- 日時: 2014/08/19 20:52
- 名前: 奈々化 (ID: ODwEOXCF)
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は「ハンバーグセットください」
花が呼び出しボタンを聞きつけたウウェイトレスに、そう注文すると「あ、ぼくもそれで」と直哉が言った。
古志野家は今、ファミレスにいた。母、恵理子はどういうわけか花たちより先についていた。父、新がそのことについて聞いてみると「時間間違えてて、出発直前ののやつに乗って帰ってきたら早く着いた」らしい。
あ「もう頼んだのか?」
え「ええ。 それよりコーヒー、どう? 入れてきてあげる」
そんな恵理子を新は「いやいや」と両手で制し「俺行く」と早足に席を離れていった。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.40 )
- 日時: 2014/08/22 07:55
- 名前: 奈々化 (ID: ODwEOXCF)
「そうだよ。お母さんは出張で忙しかったんだから」
そう言ったのは直哉だった。と、直哉の目が、恵理子が手にしている空のコップに映った。直哉は反射的にそのコップを恵理子から奪い「ほら、もう空になってる。 くんでくるから待ってて」と早歩きで去って行った。
今日、直哉は花の予想通り、家に帰った途端、2時間も自分の部屋にこもっていた。まあ、もう心配するほどのことではなくなったので、花はとことん放っといてあげた。
「どう?」
つい数時間前のことを思っていると、恵理子が口を開いた。
は「え?」
え「学校…担任の先生は変わった?」
は「あ、うん。 いきなり新しい先生が担任になって、二年生の時の担任が副担任になったよ」
え「そう。 その先生の名前は?」
は「みかみ あさこ先生。 ”みかみ”は三と神、”あさこ”は安い
の安に、佐賀の佐、こは普通に子」
それを聞いた恵理子は、持っていた手帳にメモをして、「うん、これで良し」と手帳をカバンにしまった。と、そこに新と直哉がそろって戻ってきた。恵理子は直哉の手から「ありがとう」とコップを受け取る。
しばらくして「こちら、和風パスタになります。ごゆっくりどうぞ」とウウェイトレスが恵理子の前に皿を置いて去って行った。
あ「そんなのでいいのか?」
え「あら、私そこまで食いしん坊じゃないわよ」
とそこに「すいません、こちらハンバーグセットです。 から揚げ定食です。 ごゆっくりどうぞ」
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