複雑・ファジー小説
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- 新任の養護教諭、香先生
- 日時: 2016/09/04 13:39
- 名前: 奈々化 (ID: G/k9CtSQ)
こんにちは または久しぶりな方もいるかもしれませんね。
奈々化です。パソコンの調子がいいので、このたび再開することにしました。
さて、同じ題名ではだめだということで、似ている題名で書かせていただくことにしました。内容も頭からまったく変えてしまったので、前作の小説の内容は忘れてください。
また保健室ネタ?!と思われるかもしれません……ですが、またこれから宜しくお願いいたします。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.71 )
- 日時: 2014/10/26 15:41
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
「って、言って……出てきちゃった」
花は教室に戻って、机に突っ伏した。
「でも、どういうこと?なんで横田先生はいきなり、花が殺されるなんて……」
そう言って、花の前の席に座っているのは、仁井奈…ではなく、美羽。仁井奈は「そこ、私の席なんだけど」と突っ込んだものの、一向にどこうとしないので、立ちっぱなしである。
は「私に言われても、わかんないよ。この前も ”これは復讐を予告するものだ” って、突然言うし」
こ「じゃあ、その復讐が、花を殺すことだって、横田先生は予想したんだ」
み「やっぱりこの前の時、ちゃんと話してたんじゃん!」
は「横田先生は、確かにそう言ってたけど……私、本当に危ないのは、遠野先生なんじゃないかって思うんだ」
こ・み「なんで」 み(私、スルーしやがった)
花は「これ見て」と香から受け取った紙を、二人の目の前に差し出した。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.72 )
- 日時: 2014/11/11 16:01
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
(どうして?能登先生の狙いは、古志野さんのはず……)
香は、花の言ったことについて考えていた。確かに、遠野先生の名前が紙には書いてあった。もし能登先生の狙いが、遠野先生だとしたら、二人の接点はどこに……。
そう考えていたとき、保健室の戸をノックする音が聞こえた。
か「どうぞ」
あ「どう?何か分かった?」
か(安佐子……!!!)
あ「ちょっと、今一瞬、嫌そうな顔しなかった?」
確かに一瞬、嫌な顔をした、が、香は同時にあることを思いついた。
か「うん、確かにした」
あ「なんで!」
か「だけど、ちょうど良い時に来てくれたよ」
あ「???」
か「一緒に来て」
あ「どこに?」
安佐子は、椅子から立ち上がり、ささっと保健室の戸に向かって早歩きで移動する香を呼び止めた。香は、戸を開けて振り返り「職員室」と、保健室を出て階段を上がり始めた。
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て「えー、というわけで。今年も去年に引き続き、君たちの英語を担当します。寺島 誠司(てらしま せいじ)です。早速ですが、君たちがどれだけ二年生の時の内容を覚えているかって、やってみたいんだけど、空欄を作らないようにできるだけ頑張ってほしい! ……じゃあ、配るね」
全「えーーー」
て「うん、うん。ごめんね。君たちの気持ちはよーくわかるけど、この結果に合わせて、授業の進度を考えていきたいから、とりあえず協力して」
「優、カンニングさせて」
て「はい、西田、10点、減点な」
に「えー、まだしてねえじゃんか」
そんなやり取りに一人、笑えない花。
(遠野先生を、私は守れるの?そもそも屋上の扉をどうやって開ければ……いやいや、その前にこの暗号?をどうにかしないと……って、ヒントないし……)
と、花は一旦紙を引き出しにしまい、回ってきた小テストの紙を受け取った。
「はい、じゃあ始めて」
それを聞いた途端、皆揃って、紙をひっくり返した。
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小テストの前に手がついていたので、修正しました。
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.73 )
- 日時: 2014/10/31 22:10
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
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あ「どうしたの?ここって香の席じゃないよね?」
か「うん、遠野先生?の席」
あ(分かってて、なんでここで立ち止まったの?)
安佐子がそう首をかしげている隣で、香は一つのファイルを取った。
(現代文B?遠野先生は二年生の国語を担当しているのかしら?って)
あ「香、なんでそのファイルを開いてるの?」
か「うーん、ちょっとねー……お!やっぱりか!」
あ「な、何が」
か「良し。ちょっと借りて行こう」
あ「は、借りる!?行こうってまた、どこに?」
か「保健室」
香は「当然だろ?」と言いたげに、またささっと職員室を出て行った。安佐子もあわてて後を追う。
「僕は見つかってしまうのかな?」
そんなつぶやきが、安佐子には聞こえた気がした。
あ(何なの?この声、前にも聞いた気が?)
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.74 )
- 日時: 2014/11/01 15:09
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
一時間目が終わった。
花のテスト用紙は、ほとんど空白だ。
(うー、恥ずかしいけど、もうこれで出すしか……)
花は、前に座っている仁井奈に「はい」とプリントを渡す。仁井奈は「ん」と言って受け取った。それ以上何も言わないものの、心配そうな視線を感じる。
な「起立! 礼!」 全「ありがとうございました」
な「お前、カンニングした?」
に「いやいや、本当にするわけねえだろ」
な「でも、確実に10点引かれたよな?」
そんな長瀬と西田のやり取りに、周りが笑い出す。
そんな中、花はふらっと椅子から立ち上がった。「花?」っと仁井奈の声を背中に教室を出る。
(遠野先生に、このことを伝えるべき?)
花には正しい答えが出せない。
花の足は自然と、保健室に向かって歩いていた。
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「能登正義と、遠野昌は同一人物!?」
安佐子は香の言葉を聞いて、思わず叫んで復唱した。
か「あー、良かった。保健室に場所を移して」
あ「どどど、どういうこと!あの時、何がやっぱりだったの!?」
か「字の書き方」
あ「ふぇ?」
「だから」と香は、さっき職員室で遠野の机から持ち出したファイルを広げて「ここ」と一つの字を指差す。「ん?」と安佐子はぐっと顔を近づける。
あ「えっと、掃除中に話しているのは感心しないね……って書いてあるけど?それがどうしたの?」
か「国語教師として、この遠野先生の字について気づくことは?」
「え」っと安佐子はまた一字一字、丁寧に見ていく。
あ「うーん……そう言われてみると、本来跳ねるべきところが跳ねていないような……」
か「正解」
あ「ていうか、これって」
か「週番日誌」
あ「……あとで、ちゃんと返しなよ?」
- Re: 新任の養護教諭、香先生 ( No.75 )
- 日時: 2014/11/02 16:11
- 名前: 奈々化 (ID: g8rCkVaa)
一時間目終了のチャイムが鳴った。
「さて」 遠野昌(能登正義)は、コーヒーを飲みほして席を立つと、「あの、寺島先生?」と自分の向かい側の席に座っている寺島に声をかけた。
「はい?」と、寺島はコップに伸ばしていた手を引っ込める。
と「実は、うちのクラスの週番日誌がないのです。寺島先生、ご存じないですか?」
て「イヤー、申し訳ない。私先ほど、三年生の授業から返ったばかりでして……」
「どうかしたんですか?」 一人の女教師が近づいてきた。
て「それが遠野先生の机にあったはずの、1年2組の週番日誌が無いそうなんです」
女教師「あー、それなら新任教師の二人が、ぶつぶつ言いながら持ち出してましたよ?えーっと、確か名前は/」
と「三神先生と横田先生」
女教師「そうです、その二人です。あの二人、同級生らしいですよ?」
て「そうだったんですか、初めて知りました」
「じゃあ、保健室に行けば、返してもらえますね。どうも、お騒がせしました」と、遠野は二人に頭を下げた。
「いえいえ」と二人も軽く会釈する。
遠野は職員室を出て、すぐそばの階段を下り始めた。と、二段下りたところで足を止めた。
(古志野君……)
そう、目の前には花がいたのだ。
(もしかして、君も保健室に?)
遠野はなぜかそう思った。
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「失礼します」
安佐子と香の目は、息を切らして、肩で荒い呼吸を繰りかえる花を捉えた。
「ちょうど、良かった。まあ、そこの長椅子にでも座りな?」
そんな香の言葉を「いえ、大丈夫です!」と言って、花は一気に香のもとに詰め寄った。
安佐子はただ首をかしげていた。
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