二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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魔法少女まどかマギカ 〜True hope 〜
日時: 2017/09/05 00:10
名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: sdLb5.Z4)

■はじめに

はじめまして!!
icsbreakersと申します。

今更……という感じがするかもしれませんが、タイトル通り『魔法少女まどかマギカ』の二次創作の投稿です。

以前アップしていたサイトで更新することが出来なくなってしまい、これを機にこちらで投稿させて頂く事にしました。

別のサイトでアップしていた物の再アップということで、話数も結構多いです……。
またオリジナルキャラの登場や、一部作者の自己解釈で進んでいくところもあります。
なるべく原作崩壊ということにならないようには気をつけているつもりです。
さらにまたまだ未熟者で、拙い文章でもあります。

それでも良い!無茶苦茶な投稿に目を瞑ってやる!と言う方がいましたら、読んでいただけるととても嬉しいです。
感想とか頂けると元気が出ます。

■次回更新予定
不定期

■更新履歴
2014/03/04 第十三章 間奏 Ⅱ〜漆黒の死神、紡がれる記憶のカケラ〜 第十二話 追加
2014/03/03 第十三章 間奏 Ⅱ〜漆黒の死神、紡がれる記憶のカケラ〜 第十一話 追加
2014/02/27 第十三章 間奏 Ⅱ〜漆黒の死神、紡がれる記憶のカケラ〜 第十話 追加
2013/12/20 第十三章 間奏 Ⅱ〜漆黒の死神、紡がれる記憶のカケラ〜 第九話 追加
2013/12/16 第十三章 間奏 Ⅱ〜漆黒の死神、紡がれる記憶のカケラ〜 第八話 追加

■世界設定
ワルプルギスの夜を全員生還で倒すことの出来た後のお話。

■登場人物紹介 >>19
かなりの人数になりそうなので別枠にしました。

■時系列
プロローグ〜ある日のインキュベーターたち 〜 [ワルプルギスより1年後:7月]
第一章 間奏 Ⅰ〜刻まれた記憶のカケラ〜 [ワルプルギスの夜討伐前]
第二章 ほのぼのアフター① 〜風邪ときどき友達〜 [ワルプルギスの夜討伐後:12月]
第三章 ほのぼのアフター② 〜クリスマスプレゼント〜  [ワルプルギスの夜討伐後:12月]
第四章 羽ばたけない鳥たち  [ワルプルギスより1年後:7月]
第五章 ほのぼのアフター③ 〜キュゥべぇの一日〜  [ワルプルギスより1年後:8月]
第六章 ほのぼのアフター④ 〜魔法少女たちの午後〜  [ワルプルギスより1年後:9月]
第七章 眠り姫の存在証明  [ワルプルギスより1年後:9月]
第八章 塞ぎ込みがちな残響音  [ワルプルギスより1年後:10月]
第九章 ほのぼのアフター⑤ 〜ネコの手も借りたいまどかちゃん〜  [ワルプルギスより1年後:10月]
第十章 人魚の歌声  [ワルプルギスより1年後:10月]
第十一章 ほのぼのアフター⑥ 小さな魔法少女の冒険 [ワルプルギスより1年後:10月]
第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る [ワルプルギスより1年後:11月]
第十三章 間奏 Ⅱ〜漆黒の死神、紡がれる記憶のカケラ〜 [ワルプルギスより1年後:11月]

■目次 >>170
表示方法を変更しました。

■ひとこと
お久しぶりです。
職場の自分のPCでコッソリ書き溜めていたこともあり、出向を命じられて早3年ほど戻ることもできず更新もできないでいました(言い訳ですが)。
未だに出向中なのですが、久しぶりに自社に戻る機会があったため書き溜めていたものを吸い出そうと思ったら……私のPCがなくなっていました(汗)

そのためまた書き直そうと思います。
パチスロのまどまぎ2も出たし、スマフォアプリで新作が出るらしいですし、まだまだ熱は冷めていないと思うので、私も目標の完結を目指します。

未だ更新頻度は不定期ですが、頑張って続けたいと思います。

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Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第17話 ( No.549 )
日時: 2013/05/21 13:30
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■絶望は死を纏いて狂い踊る⑯

ワルプルギスの夜より放たれた使い魔たちは一斉にリンに飛び掛っていった。

ワルプルギスの夜の使い魔は、普通の魔女の使い魔とは比にならないくらい強力だ。

並みの魔法少女では返り討ちにされ、仮にチームで戦ったとしても無限に生まれるそれらに翻弄されて終わるだろう。

本来なら使い魔たちに囲まれた時点で敗北を頭に思い浮かべるだろう。

しかしリンはおそるるに足らないと言わんばかりにその場から動こうとはしなかった。

代わりに動き出したのはリンの周りを回る魔法陣だった。

回る魔法陣から、黒いレーザーが目にも止まらぬ速さで打ち出され、それに射抜かれた使い魔たちは一撃でその姿を消滅させられた。

使い魔たちの攻撃が届くよりも早く、しかも的確に打ち出されるレーザーはあっという間に使い魔たちを全滅させた。

ケラケラケラケラ———。

ワルプルギスの夜の笑い声が、先ほどよりも大きくなった。

ワルプルギスの夜は突如その身を回転させ、下を向いていた頭を上へと移動させた。

そして次の瞬間、凄まじい衝撃波がワルプルギスの夜より放たれた。

ワルプルギスの前方に位置する建造物は、まるで竜巻にでも巻き込まれたかにように粉々になりながら空へと巻き上げられた。

その衝撃波は幾度とも無くリンに向けて放たれた。

巻上げられた瓦礫と砂埃でリンの姿はまったく視認できなくなっていた。

普通の魔法少女なら恐らく跡形も無く消し飛んでいるだろう。

例えそれがあの天音リンであろうとも。

誰もがそう思った。

************************

間一髪、ほむらの機転で被害から免れた彰たちは、絶望的な状況に言葉を失っていた。

「リンさん……は?」

搾り出したかのようなか細い声でまどかがほむらと彰に聞いた。

「わからない……。でもあんなの食らったら———」

彰は歯軋りをして、拳を強く握り締めた。

「でも……初めてだわ」

ほむらが目を見開き、驚いた表情でワルプルギスの夜を見つめて言った。

「ほむらちゃん、初めてって……??」

「何ていうか……あんな本気なワルプルギスの夜を見るのは初めて。いつもは見下しているような余裕が感じられたもの」

執拗に攻撃を繰り出すワルプルギスの夜の姿が、何度も戦ってきたほむらからすれば異常に見えた。

こちらがやらなければやられる———そういう感じなのだ。

「あのワルプルギスの夜が、『恐れ』を感じているの?」

そう思うと、ほむらはリンのことが恐ろしく思えた。

ワルプルギスの夜さえ恐れるほどの力。

そしてそれは場合によっては自分たちに向けられていたかもしれないのだから。

今ワルプルギスの夜を倒せるとしたら、確かにリンしか居ないかもしれないだろう。

しかしもし倒した後に矛先が自分たちに向いたらどうなるのか。

まどかを護るどころか、まばたきをした次の瞬間にはすべて消し飛んでいるかもしれない。

そんな可能性があるのなら、今ここでワルプルギスの夜に倒されてもらったほうが———。

(何を考えているの!!私は!)

ほむらは今思ったことを振り払った。

始まりはどうあれ、今は仲間なのだ。

負けて欲しいなど、考えてはいけない。

そんなほむらの気持ちを吹き飛ばすかのように、立ち込めていた砂埃が突如晴れたのだった。

Re: 第十二章 絶望は死を纏いて狂い踊る 第17話 ( No.550 )
日時: 2013/05/29 10:20
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■絶望は死を纏いて狂い踊る⑰

ワルプルギスの夜の周囲に四つ魔方陣が飛び回っていた。

魔方陣はそれぞれに向かって光線を飛ばしあった。

そして点と点を線で結ばれ、正方形を形作った。

作られた正方形はワルプルギスの夜の下部に移動し、そこでもう一枚正方形を作り出した。

新しく作られた正方形はワルプルギスの夜の上部に移動し、上下でワルプルギスの夜を挟むような形で収まった。

上下の正方形はさらに点と点を線で結び合い、ワルプルギスの夜を内部に納めた立方体となった。

メシメシメシッ!!

何かがつぶれ、ひび割れる様な音が当たり一面に響いた。

『ゴオオォォッォ!!』

同時にワルプルギスの夜が悲鳴のような声をあげた。

立方体の中では超圧縮が起こっており、ワルプルギスの夜はそれによって身体を潰されているのだ。

ワルプルギスの夜は立方体の中から逃れようと暴れるが、立方体には傷一つ付かない。

さらに圧縮によって身動きの自由が利かず、余計に暴れたことで逆にダメージを増加させた。

晴れた砂煙の中から再び姿を現した巨体は口と思われる部分にエネルギーを凝縮させていた。

凝縮されたエネルギーは一本のレーザー光線として放たれ、立方体ごとワルプルギスの夜を貫通した。

『虚無の咆哮』と呼ばれるこの光線は相手を殺すための攻撃ではない。

相手の身体に『穴』を開ける為の攻撃だ。

それはまるでブラックホールのように全てを吸い込む穴となり、無慈悲に相手を永遠の闇へと葬るのだ。

しかしこの攻撃は開いた穴を自分自身から切り離してしまえば逃れることが出来る。

だが現状のワルプルギスの夜のように内部で超圧縮が起きている立方体———『虚無の牢獄』の中で『虚無の咆哮』を受ければ別だ。

『虚無の牢獄』の中で出来たブラックホールに向かい圧縮は進んでいくため、仮に切り離したとしてもブラックホールに寄せられてしまう。

例えそれがどんなに強力な力を持つ魔女であっても。

ワルプルギスの夜は身体を超圧縮によってバラバラに砕かれ、ブラックホールの中へと吸い込まれ、消えていった。

あらゆる時代で猛威を振るった最強最悪の魔女は、こうして呆気なく闇の世界へと消えていったのだった。

Re: 第十二章 絶望は死へと向かい狂い踊る 第18話 ( No.551 )
日時: 2013/06/04 10:41
名前: icsbreakers (ID: WV0XJvB9)

■絶望は死へと向かい狂い踊る①

ワルプルギスの夜が消滅し、そして黒い巨体も消えた。

黒い巨体が居た場所に、元の姿に戻ったリンが立っていた。

「り、リン……」

強張った声色で名を呼ぶ彰を、リンは物悲しげな表情で見た。

「魔女、みたいだったろ?出来れば知り合いには見せたくなかったんだよな」

リンは力なく笑うと、彰から逃げるように視線を背けた。

リンが友達という存在を最も大事に思っていることを彰は知っていた。

同時にそれを失うことを嫌っていることも。

どんなに綺麗ごとを並べていても、人は人の汚い部分を見てしまえば心が離れていってしまう。

それを恐れていたリンは、人に自分の中の怪物を見られたくなかったのだ。

現に彰の中に、リンを恐ろしく思う気持ちが少なからず芽生えてしまっていた。

「気味悪いだろ?良いんだぜ……正直言ってくれてもさ」

「そんなことないよっ!!」

「鹿目、まどか?」

リンの所まで駆け寄り、リンの手をとって突然そう言い放ったまどかに、リンは呆気に取られた。

「だってリンさんは皆のために戦ってくれたんでしょ?それなのに気味が悪いとか思うなんておかしいと思う」

「でもよ……そういうもんだろ?人間ってやつはさ」

まどかは大げさに首を横に振った。

「そういう人もいるかもしれない!でも私はそうは思わないよ!」

「お前……ふふ」

大真面目な顔でそう語るまどかを見て、リンは思わず笑ってしまった。

同時にかつて無慈悲なる悪魔がまどかのことを『女神』と呼んでいたその意味が理解できた気がした。

「わかったよ。ネガティブになるのはとりあえずヤメだ。お前らもここを出るまでは我慢してくれや」

そう言われた彰とほむらは顔を合わせて苦笑した。

こうやって生まれたわだかまりも、まどかが自然と溶かしてしまう。

そんなまどかを無慈悲なる悪魔に渡すわけにはいかない———リンは改めてそう思った。

「さてと……」

リンはまどかに彰たちのほうに戻るように促し、自分は少し離れた位置から更紗と対峙した。

更紗はボーっとワルプルギスの夜が消えた、歪んだ空を見つめていた。

「切り札は見ての通り無くなった。今度こそおしまいだな、更紗」

更紗はゆっくり首だけ動かし、リンを見た。

「ふ、ふひっ、ひひ」

更紗は手に持っていた傘を投げ捨て、今度は身体ごとリンに向き直った。

「希望があるだとかぁ、信じれば報われるとかぁ、諦めなければ勝てるとかぁ……そんな絵空事絶望の前じゃ無意味。無意味なはずなのよぉ。なのにぃ……なのにぃいい!!」

更紗は頭をを皮膚が剥がれ落ちるのではないかと思うくらい掻き毟った。

そして髪の毛をブチブチと抜き取った。

「なんで絵空事が現実になっちゃうわけぇぇえええ!!?」

リンは暴走する更紗に冷たい視線を向けて言い放った。

「希望とか絶望なんてお前には関係ないんだよ。なぜならお前は引っ掛けまわすだけの傍観者に過ぎなかっただからな。ただ見ているだけの奴に女神は微笑まない。絶望の女神であろうとな」

更紗は俯いてゆらゆらと揺れだした。

そして次の瞬間、更紗の姿が消えた。

「お得意のスピードか?だがよ、同じ手はくわねぇよ!!」

リンの背後から無数の黒い刃が放たれた。

それと同時に更紗の姿がリンの前に現れた。

更紗の手がリンに伸ばされようとしたその時だった。

「げほぉおあばあぁ!!」

リンの胸の前から出現した黒い刃に更紗の身体が貫かれ、向かってきていた方向とは逆に押し出された。

「ぐぎゃあぁああ!!」

先にリンの背後から放たれていた黒い刃は軌道を変えて更紗の背中から貫いていた。

全方向から攻撃され、射抜かれた更紗の身体は張り付けられた罪人のように空中に固定された。

「……」

ソウルジェムを破壊すれば終わる。

だがリンは妙だなと思った。

更紗がリンに飛び掛ってきたとき、更紗の視線はリンに向いていなかった。

リンの後ろ。

(後ろ?)

リンは背後を見た。

少し離れた位置にまどかが心配そうな顔をして立っていた。

視界の隅で、更紗の身体からソウルジェムが落ちようとしているのが見えた。

リンは妙な胸騒ぎを覚え、咄嗟に新たに出現させた黒い刃でソウルジェムを破壊した。

その瞬間、更紗と、そしてまどかの身体が崩れ落ちたのだった。

Re: 第十二章 絶望は死へと向かい狂い踊る 第18話 ( No.555 )
日時: 2013/06/11 11:07
名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: WV0XJvB9)

■絶望は死へと向かい狂い踊る②

「まどか!?」

「まどかちゃん!?」

崩れ落ちようとするまどかの身体を彰が受け止めた。

「どうした!?」

リンが彰たちの側に駆け寄ってきた。

「わからない、急に……」

「あ、彰!!まどかのソウルジェムが!!」

ほむらに言われ、リンと彰はまどかのソウルジェムに視線を向けた。

『!!?』

二人とも言葉を失った。

まどかのソウルジェムの中で、黒い渦のような物がまるで生きているかのように蠢いていたのだ。

「まさか……」

リンはボロボロな姿で息絶える更紗を見つめた。

「な、何かわかったのか?」

彰もリンと同じように更紗の遺体に目を向けた。

「更紗の魔法は、魂を引き抜いて別の物に入れる能力だ。もしも魂を引き抜くという行為が自分自身にも使えたとしたら———」

「まさか……アイツは自分の魂をまどかちゃんの中に!?」

「ああ。更紗はまどかの中から、まどかを乗っ取るつもりなんだ!!」

「そんな!!」

彰はまどかに視線を戻した。

まどかの表情は苦しそうだった。

まるで悪夢にうなされているかのような表情だった。

「どうしたらまどかを助けられるの!?彰の魔法なら!!」

ほむらの必死の訴えに、彰は唇を噛み締めて首を振った。

「物が対象ならともかく、魂を———しかも九条更紗の魂だけ無かったことにするなんて無理だよ。仮に出来たとしてもどんな弊害が起きるか……リスクが高すぎる」

「でもこのままじゃ、まどかが……」

「くそっ!!」

彰が悔しそうな表情で拳を思いっきり地面に叩きつけた。

リンも同様に悔しそうな顔を浮かべていた。

「更紗の野郎……最後の最後で悪あがきしやがって!!」

更紗が死んでいない以上、この空間から出ることも、囚われているマミたちも救えない。

まどかを失うことにもなり、結果的にリンたちはすべてを失って完敗となってしまう。

どうにかしなければ———そう思うも、三人はただ悔しさに胸を締め付けられるしかなかった。

Re: 第十二章 絶望は死へと向かい狂い踊る 第18話 ( No.558 )
日時: 2013/06/20 14:45
名前: icsbreakers ◆3IAtiToS4. (ID: WV0XJvB9)

■絶望は死へと向かい狂い踊る③

(あれ?ここは……?)

まどかが目を覚ますと初めて見る、しかしよく知っているような不思議な空間に居た。

真っ白な空間の所々に映像や写真が無造作に設置されていた。

それらはすべてまどかの記憶の中にある物だった。

「ここって私の中……なのかな?」

魔法少女という存在が居ることがわかり、同時に魂や心いう存在があることも知った。

そういった非科学的な物が存在するのだから、心の空間みたいな物があってもおかしくは無い。

「あ……」

真っ白の空間の一部が真っ黒く染められていた。

白の絵の具に黒の絵の具を混ぜたかのように。

「あの黒は私よぉ」

「!!?」

まどかが振り向くとそこには九条更紗が立っていた。

ここがまどかの心の中だとして、なぜ更紗がいるのだろうと疑問に思った。

「なぜ?って顔ねぇ。そりゃぁもちろん……私の魔法の力よぉ」

更紗はニタニタ笑いながら一歩ずつまどかに近づいた。

「い、いや……。来ないで」

なぜだかとても恐ろしく感じ、まどかは更紗から逃げるように後ずさりした。

「私の心と同化してるからかしらねぇ。私の考えていることがわかるのかしらぁ?」

まどかは更紗に背を向けて走り出した。

無限に広がる心の中でどこに逃げればいいのだろうととても不安になった。

だがその不安は悪い意味で杞憂となる。

「きゃあっ!?」

背後から首を鷲づかみにされ、まどかは地面に叩きつけられた。

「精神体だから痛みは感じないでしょう?でもねぇ……殺されれば死んじゃうのよぉぉ!!」

「!!」

更紗はまどかを仰向けにすると、馬乗りになって首に手をかけた。

「アナタさえ死んじゃえばぁ……残った奴らは皆ぜ〜つぼぅに溢れちゃうわよねぇえええ」

「かはっ!!」

首を絞める手に力が込められる。

痛みは感じないはずなのに、苦しいという感覚がまどかを襲った。

心であっても死ぬ。

死という感覚だけは実体だろうと精神体だろうと平等に存在するのだ。

「死ね♪死ね♪死ね♪しんじゃえぇえ!!」

(ほむらちゃん……彰さん……)

もう駄目かもしれない。

そう思ったとき、この場にとても不釣合いな音が響いてきた。

カツン、カツン、カツン。

何か棒で地面を叩いているような音。

それはまるで死神がこちらに近づいてくる足跡のように聞こえた。

「な、なに?」

更紗の手に込められた力が弱まった。

更紗は辺りを見回していた。

(この音……聞こえてるの私だけじゃ、ない?)

叩く音が収まった———そう思った瞬間だった。

凄まじい回転音と風を切る音がすぐ側を通り過ぎていった。

更紗はその音が近づくよりも早くまどかの側から離れてそれを回避した。

まどかの上を通ったのは2メートル近い長さの大鎌だった。

大鎌が回転しながら飛んできて、そしてブーメランのように途中で折り返すと元の位置へと戻っていった。

「へぇ、意外と素早いんだね」

更紗が作り出した心の闇、その暗闇の中から声の主は姿を現した。

「なっ!?なんでアナタが!?」

今まで見たことが無いくらいの驚愕の表情を更紗が浮かべていた。

それと同じくらいまどかも驚いていた。

「そ、そんなあなたは……蒼井、明奈ちゃん———」

漆黒を身を包み、漆黒の大鎌を持った少女はニコリとまどかに微笑んだ。


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