コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 魔界の姫と白竜・黒竜
- 日時: 2014/08/15 16:15
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
悪魔と人間の日常を描いた騒ぎがありながらもアクションあり、シリアスあり、コメディありというエキサイティングな小説です。最後の最後まで読んでいただけたらうれしいです。
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- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(521) ( No.531 )
- 日時: 2016/11/08 23:15
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その僕の前に現れたのは、白蔵主という僧侶の様ないでたちの狐の神だ。
「お前たち、葛の葉狐様にあったことはあるか?」
「え?まだ、会った覚えはないけれど…?」
「そうか…私は京妖怪には間違いないのだがな、九尾の狐とは真っ向から考え方が対立しておってな、私は出奔してきたのだ」
「出奔て…」
「つまり、あなたは九尾の狐と対立して逃げていったってわけね」
澪が言う。
「逃げてなどいない!私は卑怯なことが嫌いなものでね」
白蔵主が反論する。
「じゃあ、あなたの仲間はどうしたの?」
「それがな…私は同志ともに逃げていたのだがな、気づけば皆…」
彼は唇を噛み、無念そうな眼をした。
「つまり、あんたの同志は…」
雫が意味を察する。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(522) ( No.532 )
- 日時: 2016/11/09 22:09
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
「…その通りだ」
「つまり、追っ手に…」
白蔵主がうなずく。
「彼らとは、いまだに再会できてはいない。もしかすると、もう殺されているかもしれん」
「はぁ、あいつらって裏切り者には容赦ないんだな」
「まだ仲間には会えていないのはよく分かったけど、ところで葛の葉狐って誰?」
「晴明様のお母さまでな、今でも、祭られている偉大な稲荷様だ」
「晴明?ああ、安倍晴明か…俺たちは青竜院の家の人なんだけどな…」
「なんと!では晴明様の血を引いているのか!?」
「あ、ああ、俺たちは青竜一族の一派だからな…」
「なるほど、葛の葉狐様はとても物知りなお方でな、もしやすると、慶長の封印を再建する方法をも知っているかもしれんぞ」
「なるほどそうですか、ありがとうございます」
僕は無性に葛の葉狐に会ってみたくなった。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(523) ( No.533 )
- 日時: 2016/11/14 22:53
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その日はもう遅いので、さすがに夜の妖怪の町で歩きすることは躊躇われる。
今夜はゆっくり眠ることにした。
翌日、僕は葛の葉狐に会うことにした。
大阪府和泉市…
ここには、信太森葛葉稲荷神社という社がある。
この神社には葛の葉狐が祀られている。
僕は誰もいないその社の中に入った。
11月とはいえ、少し温かみのある日で、北風も弱い穏やかな晴天だった。
皆はあの神社の鳥居の下で僕を待つことにした。
僕はその葛の葉狐に出会って、九尾の狐とはどういう妖なのかを聞かされた。
九尾の狐は、葛の葉狐とは全く同じ先祖を共有するのだけれど、いつの頃からか、彼女たちは分裂してしまった。
九尾の狐は、そこらにいるような妖とは違う。
転生妖怪だ。
人間という衣を羽織ってこの世に災いを為す。
乱世に生まれては心の闇を持っていそうな子供にとともに過ごし、彼女を操らせる。
その心の闇が頂点に達したときに生体となり、メフィストを孕む。
生き胆を集めているのは、メフィストに力を与えるためだという。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(524) ( No.534 )
- 日時: 2016/11/15 22:24
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
その力をもって百鬼夜行を当時最強の勢力を誇ったとされる。
しかし、メフィストの出産未だならずして悉く失敗に終わってしまっている。
一番の致命傷といえるべき事件が慶長の時に起きた。
それは、秀吉が死んで頼みとしていた豊臣家が関ヶ原の戦いで一諸侯に転落してしまい、徳川幕府当局がその不安を取り除こうとしてあれこれ頭を絞っているころだった。
それでもって、あの方広寺鐘銘事件だ。
これで家康の挑発にまんまと乗ってしまったことで、大坂冬の陣が起きた。
それでも、大阪城五人衆として後世名もなき市民によって尊敬される浪人たちをはじめとした豊臣の軍隊が家康を大阪城に入れることを許さなかった。
しかし、力が圧倒的だってのでやむなく堀の埋め立てを承認してもらう形で講和となった。
そのあとのことだ。
当時、京阪のあたりでは京妖怪が暗躍していた。
九尾の狐は、徳川時代が始まれば妖にとっては住みにくくなる…
そう考えると、早くメフィストのために力を蓄えねばと考えていた。
- Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(525) ( No.535 )
- 日時: 2016/11/16 23:11
- 名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)
さて、九尾の狐と僕の因縁…
それは8年前の東京であった。
僕は当時、山本五郎左衛門という妖怪の世界のもとでは神格化されていた男の子孫のもとで修業を積んでいた。
その時、今の九尾の狐の幼き日の姿と思われる少女と出会った。
僕はその少女と次第に打ち解けていき、次第に自分たちの夢について語り合うようになった。
それなのに、あの日だった…
東京の梅雨入りの日…
6月9日であっただろうか…
あのアジサイの花が咲く日に、彼は殺された。
赤黒い鮮血をその地に曝して…
その日以来、あのことを入梅のごとに思い出さずにはいられない。
子の因縁を完全に白日の下にさらすまでは。
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