コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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魔界の姫と白竜・黒竜
日時: 2014/08/15 16:15
名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)

悪魔と人間の日常を描いた騒ぎがありながらもアクションあり、シリアスあり、コメディありというエキサイティングな小説です。最後の最後まで読んでいただけたらうれしいです。

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Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(160) ( No.166 )
日時: 2015/04/03 14:49
名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)

「残念だけど・・・どれは無理よ・・・・桃香には、好きな人がいるの・・・・あなたには協力できない」
「・・・え?」
雷は目を丸くした。
どうも桃香の言ってることが理解できてないようだ。
いやいや、理解したくないのかもしれない。
「ちょっとでもいいから・・・少しの間だけでもいいから抱きしめてよ!!ほめてくれるだけで、嘘でもいい!!!愛してるだけでもいい!!!どうか・・・どうか、このぽっかり開いた穴を埋めてよ!!」
「ごめんなさい、その言葉はあの人にしか言えないの」
あの人・・・それはやはり熊本健太郎のことだ。
そのときだった。
立ちくらみを起こしたかのように顔を片手で抑えてよろめく。
「嫌だ・・・・誰にも愛されない・・・・・そんなの嫌だあああああ!!!!」
目を見開き、天井に向かい叫ぶ雷。
その魔力は波紋のように響きと伴って放射されていく。
「つ、冷たい!」
その魔力は部屋をも氷漬けにし、水溜りもでき始めていった。
「あわわ・・・ももの部屋が・・・・・」
氷漬けになっていく部屋、風が強まり、雷の音も響く。
人形も雨でぐっしょり。
「ぬらりひょん様・・・助けて・・・・・・」
涙が一粒垂れる。
もう雷を鎮めるには愛の告白を無理やりやるしかない。
チャイムの音が鳴り響く。
「桃香さーん!!!そこにいるんでしょ!!!返事してください!!!!!」
ハックが声枯れしそうな大声で呼ぶ。
「あれは・・・ぬらりひょん様?」
「来たか・・・熊本健太郎、阿蘇宮篤。全てを奪い取ってきた張本人だけは許さない」
「どうして・・・ぬらりひょん様や阿蘇宮君を恨むの?」
「・・・それは、僕の兄弟を全員奪ってきた張本人だからさ。あいつらさえいなければ、全ては平和だった・・・・なのに・・・なのに・・・あいつらが全部奪っていったんだ!!!」
桃香はいまいち雷の怨念が理解できなかった。
あの2人はそんな強引な手で奪うような少年じゃない。
むしろ、京都の町が大好きな雅な少年だ。
何か理由があって引き止めてる・・・それだけのことだ。
でも理由が分からない。
最近、考えることをしてなかったから・・・
ぬらりひょん様・・・もしそうなったらあなたはどうなさいますか?
そう僕に問いかけた。

Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(161) ( No.167 )
日時: 2015/04/06 10:13
名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)

さてその頃・・・
僕らは、高松邸の前にいた。
「やっぱり・・・チャイム、鳴らすべきかな?」
僕はハックに訊いた。
「うん、たぶんちゃんとした最低限のマナーだろうし・・・急がなきゃな。なん瀬、ケンの知人もこの奥にいるわけだし」
「でもまあ、僕とよく似た境遇のやつだったなんてね。びっくりしたよ」
「え?」
「僕は、熊本家15代目、ぬらりひょん23代目を継ぐことになってるんだが、高松桃香もまた・・・次期当主なんだ」
「次期当主?」
「そう、高松桃香も、高松家11代目の跡取りなんだよ」
「そうか、だとすれば、似た境遇というのもうなずけるな」
「そうだ、早く桃香を助けなきゃいけないな」
「分かったよ」
「篤も行く」
しかし、いざ入ってみると雷の配下らしい鬼が僕を待ち受けていた。
「くそっ、鬼がここにいるとは想定外だった。しかし、よっぽど邪魔されたくないみたいだな」
「ああ、あいつには鬼の側近が結構いるんだよ。でも、そのほとんどが7歳かそこらなんだがな」
「でもどのみち、こうなることは予想できてたんだ。早く鬼をなぎ払わないとな」
「それなら、3人でやったほうが早い」
「おう」
「皆で手分けしてなぎ払うんだ」
「OK、任せな!!」
「ちょっと待ちなさい」
僕らは呼び止められた。
「澪!!??」
そう、そこに立っていたのは紛れもなく澪だった。
「久しぶりね、熊本君、阿蘇宮君、ハック」
「どうして!?学校あるんじゃないのかい!?」
ハックは中2のわりに姉の大学のことを気にしてる。
「そうね、それもそうだけど今は夏休み。ゆっくりしてたら急な豪雨。一体何があったのかと思えばあなた達が皆事件に巻き込まれてるみたいだし。だから、何かあったのかと思ったら案の定ここにはあなた達ってわけよ」
「そうか・・・」
それで僕らはあっさり納得した。
「ここで私に提案があるんだけど、私にここを任せてくれない?あなた達は奥の知り合いの女の子を守り抜きなさいな」
「・・・分かった」
「そう、じゃあ鬼の相手をするのは私でいいよね?」
「もちろんだよ」
「そう、じゃあいってらっしゃい」
「OK、頼んだよ!!」

Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(162) ( No.168 )
日時: 2015/04/06 17:37
名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)

「雷の本体はどこだろうか・・・」
「おそらくあの魔力の原点は2回・・・この階段の奥だな」
「奥か・・・十分近くなってきてるようだ」
「そうだ・・・」
僕らは階段を3階まで上っていった。
ところが、鬼がうじゃうじゃいた。
「くそっ、まだいやがったか」
「どうもそれくらい邪魔されたくないと考えてるみたいだな」
「これくらいなら・・・ゴッド・オブ・サンダー!!」
僕は鎌鼬となって鬼を切り裂いた。
「ふぅ、これは結構な機動力を誇るんだけど、制御がかなり難しい技なんだよな・・・」
「それはどうも・・・でもどのみち、鬼を葬り去ったんだ。あとはこの奥野桃香先輩を救いに行こう!」
「そうだな」
さてその頃・・・
高松邸・窮地・・・・
あったかいお鍋をおこたつの中で食べたらさぞ温まるんだろうな・・・
でもコタツは30m(実際は30㎝)も向こうだ・・・
あんな遠いところまで行けっこない・・・・
「はあっ!!」
刀が鍵を切り裂く。
あの面影・・・
忘れることはない。
熊本健太郎・・・後の23代ぬらりひょんだ。
「ぬらりひょん様・・・?」
「ああ、助けに来た。それだけだ・・・」
「でも・・・ちょっと面影が変わってるような・・・」
まあ無理もない。
何しろ僕は緑と青のオッドアイじゃない。
八代海斗との合成だ。
桃香のメイドは僕のことをマークしている。
僕の実力、妖怪ぬらりひょんんとしての技、全てを知ってる。
それに、僕はまるでつめたい獄の中にいるような心地だった。
僕が何をしていて、誰とつるんでるのかも報告してる。
僕は・・・その冷たい獄の中から出て来たのだ。
「桃香ーーー!!!」
「桃香先輩!!!」
3人の声が合った。
そう・・・僕はここに助けに来たんだ。

Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(163) ( No.169 )
日時: 2015/04/07 22:15
名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)

一瞬の沈黙をはさみ2人の声が合った。
「やっと・・・会えた」
桃香は銀色の髪は髪留めでまとめてるだけ。
陶磁器のような白く透き通った肌。
僕は吹雪が吹き荒れ始めるかのように桃香との思い出が蘇る。
今にでも駆け寄りそうだったが、それを許さぬかのように足に氷の枷ができていた。
ハックはすべてを察したかのようだ。
まるで金田一はじめのように。
僕はとっさに駆け寄る。
「桃香!!」
「・・・ぬらりひょん様・・・」
そうか、全部思い出した!!
僕を桃香だけこう呼んでたな。
りんごのように頬が赤くなっている。
喩え僕が云十回云百回忘れても思い出させてあげるとでもいうように。
「僕がきたからには、もう安心して!絶対助けてあげるから!!」
「うん!!」
「あ、すまない!!ちょっと強く握りすぎたかな?」
うかつだった。
ちょっと強すぎたか。
「ううん、むしろ、気持ちよかったから」
「そうか?」
「なんでもない。頑張って、ぬらりひょん様♪」
桃色と黄色のオッドアイが見える。
桃香は僕にエールを送る。
僕は雷を睨みつける。
そしてブーメラン型のカッターを突き出す。
「もうそろそろ、追いかけっこは打ち止めにしよう」

Re: 魔界の姫と白竜・黒竜(164) ( No.170 )
日時: 2015/04/08 15:38
名前: メカニッカー (ID: YvSbEZ.f)

「ちょうどいいよ。僕も今は疲れてきてるんでね。目的の女体の神秘も探り当てた。僕の望みは成就できたはずだった・・・ほめられる・・・それだけで・・・それなのにまたしてもお前だ。熊本健太郎、阿蘇宮篤。どうして僕の望みを邪魔立てし続ける」
「当然だ。散々お前のために京都の町をこれ以上荒らさせることはさせないからな。だって、僕は京都の町が大好きだからだ」
「お前のため・・・?よく言うよ。家族を奪っていった張本人のくせして豪そうに。僕だって・・・京都の町をめちゃくちゃに破壊する。しかしまさか・・・女体の神秘がお前の知人だったとは・・・ちょうどいい。お前を葬った後でゆっくり堪能しよう」
僕はバンダナを巻きつけ、カッターを突きつける。
「お前の実力を見せてみろ。必ずお前を倒す!」
僕のオッドアイが光る。
「・・・陰の悪魔・陰の妖怪と陽の悪魔・陽の妖怪との違いを火に喩えた男がいたな・・・陽の妖怪と悪魔は畏の力を火薬として闇に打ちあがる花火のように人々を魅了させる存在。だが・・・陰の妖怪と悪魔は暗闇に燃え上がる業火・・・すべてを焼き尽くし、人々を恐怖に陥れる存在だとね・・・陽と陰、交じり合うことのない平行線・・・」
「そうだ。僕を見てなんとも思わないか?」
「・・・あの姫の面影が・・・色濃く残ってる!?」
「ああ。あの姫とは・・・16代目の妻だよ。その一族の子孫が・・・・この僕だってことだ」
「・・・ならばちょうどいい。ますますお前の首の価値も上がったわけだ。ならば・・・・・・23代目でぬらりひょんを根絶やしにする!!」
「そう、ならば・・・これをしかと目に焼きつけよ!!」


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