紫電スパイダー 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE /作

第一話「夜蜘蛛には気をつけろ」#6
裏通り。ビルから、黒い仮面を付けた一人の少年が出てきた。
少年の髪は紫色。右手にアタッシュケースを下げている。
仮面を外し少年は辺りを一瞥すると、ネオンが夜を彩る表通りの方へ向って歩き始めた。
彼の髪を夜風が弄んだ、その時。
「待ってくれ!」
新たにビルから出てきた金髪の少年が、
階段を駆けてきたのか息を多少荒くして、紫色の少年を呼び止めた。
紫色の髪の少年は足を止める。
「・・・あんたは何者なんだ?」
金髪の少年は問いかけた。
紫色の髪の少年は静かに言った。
「人に名前を訊くときは自分から名乗れ」
まるで痛いところを突かれたかのように金髪の少年はぐっ・・・と唸ってから、
「・・・黄河 一馬(こうが かずま)。コードネームは炎馬だ」
「・・・・・」
しばしの静寂の後。
紫色の髪の少年は一馬の方を向いた。
「・・・籐堂 紫苑(とうどう しおん)。コードネームは紫電」
切れ長の眼光の紫色が、金髪の少年を捉えた。
この出会いが後に両者の運命を大きく変える。
第一話・完

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