紫電スパイダー  紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE /作



第六話「赤眼の師弟は風を操る」#4



「・・・フ、ハハハハ・・・」
ザイツェフが声をあげて笑う。
「ある意味、こうなるだろうと予想はしていたがまさか本当にこうなるとはな」

「・・・アンタもかかってきてみるか?」
紫苑は足を肩幅開き構えをとる。

「いや、止めておくよ。一人で君で挑むのはあまりにも無謀だ。
 ・・・それにどの道、いずれ戦うことになるだろう」

そう言うとザイツェフは紫苑に背を向けて歩き始めた。

「・・・と、そうだ上からの伝言を忘れていた。
 『何としてでも我々の元に戻ってきてもらう』・・・だそうだ」



「・・・寝言は寝て言えと伝えておけ」



紫苑がそう言うとザイツェフは軽く手を振り公園から出ていった。

紫苑はその様子を見届けると、す・・・と静かに構えを解いた。





___とあるおもちゃ屋。

「『相手にとって不足は無い』、ねぇ」
「例の連続殺人犯に殺されかけたくせしてよく言うわ」
星一に続いて焔が言った。何かさっきから俺に対していうことが辛辣すぎやしないか?

「ハハハ・・・不足は無いどころかむしろ余っちゃってる気もするけどね・・・」
蜘蔵が苦笑いしながら言う。

「けど、弱いよりはやり応えがあっていいじゃん!」
杙菜が言った。

「【それと、強いからこそ野放しにしておくわけにはいかない】」
破魔矢がテレパシーで言う。

「お金をもらっている以上はちゃんと結果を出さないといけないしね」
斗夢が言う。

「意気込むのは行動の効率の促進に非常に効果がある」
餡子が言う。



「おお、皆気合入っとるなあ。
 まあそんぐらいの方がこっちとしても頼もしいけどな。



 ほんだら、奴を仕留めるための話し合いを続けようか」





___一時間後。

「・・・結局、現時点では情報を集めるしか無いということやな・・・」
星一が言う。

「・・・とは言ってもその情報をどうやって集めるかが問題なんだよねえ・・・」
うーん、と斗夢はうなる。





「あの・・・ちょっといいですか?」

不意に、蜘蔵が言う。

「? どした?」
「情報屋に『大太法師』の情報を訊いてみる、といのはどうでしょうか?」

「・・・もう既に信用できる情報屋の元は全て回った」
「【そして一流の情報屋たちでさえも、誰一人として『大太法師』に関する情報を持った者はいなかった】」





「いや、一人だけ確実に『大太法師』の情報を持っているであろう男を知っています。
 その男の情報が出回ること自体極めて少ないですが、信用もでき、

 なおかつ、間違いなく裏社会随一の情報屋」



「・・・そいつの名前は?」





「セルシオ・ライクライン」