紫電スパイダー  紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE /作



第四話「昼蜘蛛はお人よし」#5



俺、黄河一馬は戦争孤児である。



親父は戦場へ行ってとっととくたばり、お袋は空襲に遭い、死んだ。



以降俺はストリートチルドレンとしての生活を余儀なくされる羽目になった。



別に珍しい事じゃない。俺の他にもそういう奴はたくさんいたさ。
盗みを働きその日をしのぐ生活は別に苦でもなかったしな。おかげで鍛えられたし。






只俺が気に食わなかったのは、俺らを見る大人の眼。



安全圏でのうのうと生きている奴らは俺らを嘲り、笑い、見下した。

時には同情してくる奴もいたが、それすらも腹が立った。
何もわかっていやしないくせに、理解者のふりしやがって。






それから少し時が過ぎ。
俺はガキでありながらも一端の裏トゥルーラーとなった。
ようやくここまで這い上がることができた。

でもまだ足りねえ。






もっと登りつめてやる。
更に這い上がってやる。

もう誰にもなめられない為に。



そんで天辺から俺を見下した奴らを見下してやる。








・・・あれ?なんで回想してんの俺?



ふと気が付くと血まみれになった俺を抱えた男、
その周りは影でできた剣やら槍やら。



・・・ああ、なるほどね。





今のが走馬灯ってやつか。





影が俺たちに襲いかかる。





ああ、終わりか。

結構あっけなかったな、俺の最後。

ゴミ溜めで生きてきたガキの最後なんてこんなもんなのかな。

インディ(ryさん、逃げろ・・・って無理か。

悪かったな、巻き込んじまって。

ホントにお人よしすぎるってのも困りもんだな。






結局俺は、這い上がることはできなかったのか。



























不意に、たたん、と何かが空中を駆け降りる音。
その音の主はいきなり俺たちの目の前に現れた。



紫色の髪の『そいつ』が銀色の糸を思い切り引く。
すると、俺たちを仕留めようとした影は淡い紫の閃光に引き裂かれた。



「「!?」」



「・・・紫苑・・・?」



「面白そうだな、俺も混ぜてくれよ」
紫色の髪と眼。
夕闇に降り立ったその男___籐堂紫苑はそう言い放った。