紫電スパイダー  紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE /作



第四話「昼蜘蛛はお人よし」#4



「誰だお前は」
冷やかに『グレーテル』は俺を抱えている男に言い放つ。
だが奴は剣を振り上げたきり動く気配を見せない。

いや、「動けない」のか?
この突然現れた男の能力か何かで。

「只の通りすがりだよ」
俺を抱えているインディアンの仮面の男は言う。

「この鬱陶しい糸はお前の仕業だな?解け」
「ゴメン、それだけは無理」
「・・・そうか」

『グレーテル』がそう言うと、奴を縛っていた空中の『何か(多分糸系のもの)』が影に切り裂かれた。

「・・・なんだ、自力で解けるじゃないか」
インディアン仮面の男は表面上は冷静に言う。
だが仮面の下では冷や汗をかいているのだろう。

「・・・殺していい?」
「は?」



「はっきり言わないとわからない?お前は必要無い」




言うなり、影の槍が俺たちを狙い襲いかかる。

「あっぶね・・・!」
インディアン仮面は紙一重でかわす。

「よし、こうなりゃ・・・」

お?何か策があるんすか?






「三十六計逃げるに如かずッ!」
インディアン仮面は俺を抱えたまま逃げだした!



ちょwwwおまwww
「アンタ何逃げてんの!?」
俺はインディ(ryに言う。
「普通逃げるだろあんな化物前にしたら!」
「いや正論だけど正論じゃねえよ!戦わねえのかよ!?」
「君は俺を殺す気か!?あんなのと戦えと!?」
「てかプライドは無いのかあんたには!」
「同じ年くらいの女の子に殺されかけてる君よりはマシだ!」
「うっ」



今の一言は正直さっき俺を貫いた一撃より効いた。



「とにかく逃げるぞ!アレはマジでヤバい・・・!」



「・・・逃がさない」
『グレーテル』は殺気に満ちた声で静かに言った。

そして影の槍がこちらに飛んでくる。

「うおっ!?」
インディ(ryはそれをかわす。





そしてインディ(ryは立ち止まった。
「何してんだ、逃げるんじゃないのかよ」と言おうとしたが、すぐに状況を把握していた。






俺たちはおそらく奴の能力であろう影から生えた剣やら槍やらに囲まれていた。
今が夕暮れ寸前なのが災いしたようだ。

「・・・もう飽きた。そろそろ死ね」
『グレーテル』は冷たく言い放つ。






不意にインディ(ryはボソッと言う。

「あらら・・・チェックメイトかなぁ・・・?」

超同意。

夕陽はただの一筋の光になっていて、空には星が瞬いていた。