紫電スパイダー  紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE /作



第八話「不死の龍は断頭台」#4



___某病院4階、412号室。

『刺客』のナイフが俺の喉を切り裂く寸前・・・

俺は、嗤った。



だが、死を覚悟した訳じゃない。






勝利を確信したのさ。



「!?」
『刺客』のナイフは、ぎぃん、という高い金属音と共に間接剣の刃にいなされる。

「あたし達が来る前に殺されかけてんじゃない、役立たず」
間接剣の切っ先は声の主の方へと戻り、間接剣は元の剣の形状になる。

「アンタ達が来るのが遅いんですよ。やっと来たか」
俺はニヤリと嗤いながら間接剣が戻っていった方に言う。



「はあ?何言ってんの?あたしのせいにするって言うの?馬鹿じゃないの?頭湧いてんの?」
間接剣の持ち主・・・赤く短い髪、隻眼の女性、宵闇焔は俺に言いたい放題言った。

「・・・増援か」
『刺客』は言った。そしてその瞬間。



「余所見しちゃ駄目だよ」
「!?」
『刺客』が振り返ると、
彼に向って今まさに全高2m程の巨大な熊のぬいぐるみが拳を振り下ろさんとしていた。
その隣にはジーパンにシャツ姿、背中には大きなリュックのふくよかな男・・・熊木斗夢。
「ぐっ・・・」
巨大な熊のぬいぐるみが拳を振り下ろすと、ずごっ、という鈍い音と共に『刺客』が床にめり込む。
だが『刺客』は一瞬ひるんだ直後、熊のぬいぐるみをナイフで切り裂く。

「さて、そのぬいぐるみには何が入っているのかな?」
にこり、と微笑みながら斗夢がそう言うのとほぼ同時、切り裂かれたぬいぐるみの中から
緑色の髪を後ろで束ねたスーツ姿の男・・・破天荒破魔矢が中から飛び出す。
「!?」
「【迂闊だったな】」
破魔矢は蹴りを叩き込み、『刺客』は吹っ飛ぶ。






「何餡子ちゃんと杙菜ちゃんに手を出そうとしてんの?
 お前……撲殺圧殺刺殺絞殺銃殺毒殺焼殺、まだまだあるけど…どれで死にたい?」
怒りと狂気を露わにし、焔が言う。
「さて・・・僕のおもちゃと遊んでくれるかい?」
にこりと微笑みながら斗夢が言う。
「【さて、病院の方々にも迷惑だ。早いところ決着を着けてしまおう】」
テレパシーで破魔矢が言う。
「言ったでしょ、もう手段は選ばないって」
『刺客』を見据えて杙菜が言う。

「次から次へと・・・こうも思惑通りにいくとはな。

 政府の飼い犬に成り下がったプライドの欠片もない裏トゥルーラー紛い達め。
 この『ドラゴン・スパイダー』が一人残らず首を切り落としてやる」
『刺客』・・・『ドラゴン・スパイダー』は言う。



「・・・ぶっは!何それ?」
俺は思わず吹いてしまった。
「誰が『政府の飼い犬に成り下がった』って?
 そんなわけねーだろ。只互いが互いを利用してるだけだ。



 俺達のプライドは政府に売り渡す程、お前に敗ける程、這い上がるチャンスをみすみす逃す程、

 大切なものさえ守れない程安くはねえんだよ!」

俺は『村正』とハンドガンを構える。






「さあ、行くぜ。反撃開始だ!」