紫電スパイダー  紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE /作



第五話「狐の眼は全てを見渡す」#4



トゥルーズ ポーカーライアー第一戦。
ザイツェフ・エストランデルvs蚯蚓山 蜘蔵。



さて、と・・・まずは刑事さんのお手並み拝見、と行きますか・・・。



もし勝者数が一対一になった時、間違い無く相手側はザイツェフか餡子のどちらかが二回ゲームを行うことになる。

つまり相手の手の内を把握しておけば無論その分有利になるし、
また相手のクリアがどんな能力なのか把握すれば、その能力を使用してイカサマをした瞬間を捉えればその時点で勝利。



つまり相手の手の内を知っておいて損は無い、ってことだな。



1巡目、先攻はザイツェフ。

ザイツェフは手札を見る。
そしてほとんど時間を置かず、

「400ポイントをビッドする(賭ける)」

と言った。

初戦の、しかも一巡目にしては選択が早い・・・
よほど良い手札が来たのだろうか?

対する蜘蔵は長考している。
おそらく甲乙つけがたい手札だったのだろう。
初っ端から400ポイントも取られるのはキツい。
ここは100ポイント払ってドロップ(そのビッドを降り、次のビッドに移る)した方がリスクは低い・・・。

だが、蜘蔵は俺の予想に反して、

「・・・コール(ビッドに乗る)だ」

と言った。
大分気を張り詰めている表情だ。
おいおい、まだ始まったばかりなのにそんなに集中力使って大丈夫なのか?
しかもザイツェフはうっすら余裕の笑みを浮かべている。
そしてまずはザイツェフから手札を公開する。

___「4」のフォアカード(三番目に強い役)。


・・・なるほど、強い役だ。
・・・最初から400ポイント取られるのは痛いな。
まあ、あとで点数を取り返せれば問題無い、か・・・。



その考えは蜘蔵が手札を見せた時に吹っ飛んだ。






___5~9のストレートフラッシュ(二番目に強い役)だと!?

「・・・ほう、400ポイント取られてしまったか」
ザイツェフは少し驚いた様子を見せた。



そして更に驚くべきことに、その後蜘蔵はドロップとパス以外は全戦全勝。





そして7巡目。
ザイツェフ持ち点・200ポイント 蜘蔵持ち点・1800ポイント。



ザイツェフはここで蜘蔵の持ち点・1800点ビッドを申し込む。
無論ここはドロップするべき。
負ければその時点でゲーム終了、ここまで有利な状況になった意味が無くなる。
そして更に言えば、残りのビッドを全てパスしても蜘蔵の勝ち。



だが蜘蔵はそのビッドを引き受けた。





結果は・・・





ザイツェフの手札・2~6のストレートフラッシュ。






蜘蔵の手札・ダイヤのロイヤルストレートフラッシュ(一番強い役)。



「まじかよ・・・」
俺は思わず声を漏らしてしまった。



「・・・やれやれ、完全に私の負けだ」
ふー、とザイツェフはうすら笑いを浮かべながら溜め息をつく。



「・・・俺の能力を教えてあげましょうか?」
不意に蜘蔵が言う。






「俺の能力は、強化系『読心』です」



トゥルーズ ポーカーライアー第一戦

勝者・蚯蚓山 蜘蔵。