紫電スパイダー  紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE /作



第二話「白金の道化に会ってはいけない」#4



人頭一億。ルールは『トラジェディ』。

破格なこの賭けに乗った裏トゥルーラーの人数は、




計五十七人。





『トラジェディ』は、相手の数に反比例して勝率は低くなる。


はっきり言って一対五十七など、絶望的だ。
普通なら降参するべきだが・・・



降参さえできない。降参したら、その時点で「負け」を認めることになり、
五十七億円を支払うことになる。



つまり___破産。



逃げ場無し、どっちに転んでも破滅。

まさに、極限の状況。





だが、スタジアムの中央、五十七人に囲まれて立っているアイツ___紫苑は、
あくまでも平然としていた。

さすがにこの状況、観念したのだろうか___?





試合開始のブザーが鳴る。





同時に一斉に、彼から金を毟り取らんとする裏トゥルーラー達が襲いかかる。





誰もが紫苑の敗北を確信していた。





故に、その次の瞬間の光景は誰も予想だにしていなかった。





スタジアムを奔る紫の電光。

それは襲いかかる裏トゥルーラー達を、吹き飛ばし、切り裂いた。