紫電スパイダー  紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE /作



第七話「満月の夜の新月は破滅の足音」#2



「・・・さあ」

ゆらり、とセルシオが一歩踏み出す。

俺はそれに反応して咄嗟に構えをとる。
「!?」
不意に、びゅうと一陣の風が吹き、思わず目を瞑る。






「いつまで壊れないでいてくれるかな?」
次の瞬間、その言葉と共にセルシオが一瞬で俺の目の前に現れ、スコップで俺の首を狙う。

「うぉっ・・・!」

何とか身を逸らし、後ろに退きその一撃をかわす。
あぶねえ、と安堵する間もないままセルシオは次から次へと攻撃を繰り出す。

と、俺が劣勢を装っている隙に餡子がナイフで背後から奇襲をかける。

その時。

「!!」
餡子が反射的に体勢を低くする。
すると刀の一閃が餡子の頭上を通過していった。

「・・・師匠の邪魔はさせない」
渓は静かにそう言った。

「駄目じゃないか、余所見をしちゃあ」
「!!」
しまった、気をとられて・・・!
俺の首元にスコップの刃が届く。



「!?」
その瞬間、セルシオの動きが止まる。

「俺を忘れてもらっちゃ困るよ」
「蜘蔵さん!」
蜘蔵はにやり、と笑みをうかべる。
蜘蔵の糸がセルシオに巻き付いたのだ。

その一瞬の隙を逃さず俺はセルシオに銃口を向け、



「黄色い弾丸の大セールだ、ありがたく喰らいやがれ」

火炎の弾丸を何発も叩き込む!!





だが、火炎の弾幕はまるで空気に弾かれたように全て吹き飛ばされた。
「!?」





「・・・それで終わりかい?」

そうセルシオが言うと、奴の周りで何かはじけ飛んだような音がした。
どうやら、蜘蔵の糸が切られたようだ。

「・・・全く」
はぁ、とセルシオが溜め息をつく。







「ちょっと期待外れだったよ」

次の瞬間、俺の肩口から鮮血が驟雨のように噴き出した。