紫電スパイダー  紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE /作



第七話「満月の夜の新月は破滅の足音」#4



「さあ、早く立ち上がりたまえ一馬君。まだ君は戦えるだろう?」
ザイツェフが言う。
俺は立ち上がり言う。
「はっ・・・あの化け物相手に二人でどこまで戦えますかねえ」
「・・・そう言っている割には、眼がまだ死んでいないじゃないか」

「当たり前っすよ。こんなところで死ぬ気は無いですからね」
俺とザイツェフはセルシオと渓の方を向き、構えをとる。

「・・・ときに、一馬君」
不意に、ザイツェフが言う。
「君は素手で戦うつもりかね?」
「仕方が無いでしょう。剣は無いし、ハンドガンもぶっ壊されちまったんすから」

俺がそう言うと、ザイツェフはふーと溜め息をつき、



「仕方が無い、これを使いなさい」



懐から片手用の直刀を取り出し俺の方へ投げた。
俺はそれを怪我をしていない右手で受け取り、鞘から刀身を抜く。

「これは・・・?」

一目で相当な業物だとわかる刃に刻まれた謎の文字。
ザイツェフはにやり、と笑った。
「クリア最先進国日本の技術の粋を集めて鍛えられた特製だ。君にやろう」
「いいんすか? そんな大層な代物を貰っちゃって」
「私は子供には甘いんだ」



「・・・はっ!後で返せって言われても返しませんよ?ロリコン刑事殿」
俺は大層な代物を構えた。
「なに、しっかり働きで返してもらうさ。あとそういう意味ではない」
ザイツェフは懐からライフルとリボルバーを取りだした。



「・・・君も戦うのかい?」
セルシオが言う。
「乱入しちゃあまずかったかね?」

「いや、構わないよ。
 ・・・丁度、手ごたえが無さ過ぎてつまらないと思っていたところだ」
セルシオがゆらり、と重心を前にかけ、渓がす・・・と刀を構えた。



「私は援護射撃をする。君はあいつらに突っ込んで行きたまえ」
「ええ!?」
「安心しろ、そして信用しろ。私とその剣を」






「さあ、反撃開始だ」