紫電スパイダー 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE /作

第二話「白金の道化に会ってはいけない」#5
驚愕に満ちたスタジアム。
その中央で相手の攻撃を、剣戟を、槍の一撃を、ナイフを、クリアによる攻撃をかわし続ける紫苑。
彼が空中の「何か」を引き、あるいは振る。
するとその度に閃光が奔り、彼を狙う者を切り裂く。
・・・間違いない。
紫苑の武器は「糸」。
それもピアノ線級の切れ味を持った、鋼の糸。
それならば全て説明がいく。
紫苑の能力を発動する際の謎の手の動き、
あの切断能力。
つまり紫苑は、鋼糸を操り、それに電流を流すことによって
相手を「焼き切って」いたのだ。
つまり・・・防御不可能の・・・電撃の刃・・・!
だが、それだけでも十分すぎるほど強いというのに・・・
普通、糸の軌道を計算するなんて戦闘中にできるもんじゃない。
だが奴は今、五十七人を相手に・・・それをやってのけている!
しかもおそらく・・・いや・・・明らかに複数本のそれを用いて!
五十七人を相手に・・・!
大多数の敵の能力・攻撃への対応・・・
自らの鋼糸の操作・・・
それらをこの極限の状況下で悠々とやってみせる・・・並外れた・・・いや、そんな生易しいもんじゃない。
悪魔じみた精神力・・・!
「デスマッチ・トラジェディ
勝者___コードネーム『紫電』」
彼の勝利を告げるアナウンスが鳴った。

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