紫電スパイダー 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE /作

第三話「季節は天上天下唯我独尊」#3
・・・予想外だったな。
まさかあの子も裏トゥルーラーだったなんて。
多分『視えた』ってのもあの子の能力の事なんだろう。
まあ、それは置いといて。
『グレーテル』を見かけたら、すぐに逃げた方がいい。
彼女は最後にそう言い残して群衆の中へと消えていった。
よほど『グレーテル』とやらが強いのか、
あるいは俺がナメられてるのか。
・・・いや、多分前者だろうな。
大型裏店『パンドラ』をたった一人で潰すなんて、他にできる奴いるわけ・・・
・・・あ。
一人、いたかも。
___とある廃ビルの三階。
殺伐としたコンクリの壁にカツン、カツンと
ローファーの音が反響する。
「・・・誰だ?」
銀髪の男___季面隼は無表情な仮面をつけ、
足音の主に威嚇するように言う。
黒髪、赤い右目の紅と呼ばれていた男は足音が来る方を睨みつける。
「・・・コードネーム『季節』ってのはアンタだな?」
「・・・そういうテメエは何者だ」
隼は二メートルはあろう長い刀に手をかける。
紅は懐からナイフを数本取り出す。
紅が足音の主の顔___正確には仮面を見た瞬間、彼は静かに呟いた。
「・・・紫苑」
「久しぶりだな、黒鴉 紅(くろがらす くれない)。
・・・少し賭けをしようぜ」
足音の主、籐堂紫苑は仮面を外して言った。

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