二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Mythology
日時: 2015/08/16 04:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

 初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。

 本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。

 投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。

目次


一章『神話戦争』

一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33


二章『慈愛なき崇拝』

一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78


三章『裏に生まれる世界』

一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101


四章『summer vacation 〜夏休〜』

一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148


五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』

一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207


六章『旧・太陽神話』

一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292


七章『続・太陽神話』

一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404


八章『十二神話・召還』

一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424


九章『聖夜の賢愚クリスマス・ヘルメス

一話『祝祭の前夜ビフォア・イヴ
>>425
二話『双子の門番ツインズ・ゲートキーパー
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争パーティー・バトル
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲ノウレッジ・リベンジ
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447


第十章『月の下の約束です』

一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508


第十一章『新年』

一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573


十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』

一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610


十三章『友愛「親友だから——」』

一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637



コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』

一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482



デッキ調査室
№1『空城夕陽1』  >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137

人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.115 )
日時: 2013/09/21 11:18
名前: タク ◆XaammrlXPk (ID: 0.DI8Vns)

どうも、タクです。今度の敵はパイルですか。パイルのデッキはグランド・デビルとアーク・セラフィムの混合デッキですね。上手く、仄の戦略をつぶしていっていますが、この状況で仄は勝負に出られるか?と楽しみです。
余談ですが、夕陽の(いやでも、デュエマの専門学校とか、デュエマを専攻する学校みたいなのもあるらしいし、そんなに驚くことでもないか?)という台詞で思わずニヤけてしまいました。ところで、デュエマの専門校とかが、この小説に今後登場したりとかはないですかね?(多分無いと思いますが)
それでは、残暑がまだ続きますが、執筆頑張ってください。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.116 )
日時: 2013/09/21 23:31
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

タクさん


 前回は《オーロラ》がスノーフェアリーと《ダイダラ》含むフレイム・コマンドとの混合デッキだったので、今度は《パイル》と《ガラムマサラ》によるハイブリット種族の混合デッキです。次も似たようなデッキが出るかもしれません。
 ちなみに、今回はわりとあっさりと結末を迎えるかもしれません。
 ああ、あの台詞は単純にデュエマが世間に広まっていることの説得力を持たせるための台詞だったのですが……今後の伏線に、なったりならなかったりです。わりと行き当たりばったりで書いているので、その辺はまだ未定です。ただ、学校そのものを出すのはこの作品のストーリー的に難しそうですね。考えてはみますが。
 モノクロは暑さには滅法強いので大丈夫でしょう。むしろ、寒くなっていく時期が怖い……

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.117 )
日時: 2013/09/22 00:10
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 仄とパイルのデュエル。現在、仄のシールドが五枚に対し、パイルは三枚。シールドの上では仄がリードしているが、
(相手の場には《エル・カイオウ》と《デス・アルカディア》、二体のブロッカーが並んでいるし、《エルサル・バルティス》や二体の《バルゾー》、光臨を持つ《ガラムマサラ》も厄介ね……!)
 多くのクリーチャーを展開しているパイルに対し、仄の場にはタップ状態の《真実の名 バウライオン》と、《王機聖者ミル・アーマ》《天門の精霊キバッテ・キャット》の三体。手札はそれなりにあるが、かなり勢いを削がれてしまっている。
「さて、私のターンだ。本来、私は貴様如きに構っている暇などない、そろそろ終わりにするぞ」
 言って、パイルは手札から一枚のカードを抜き取る。
「我らが教義のため、悪魔の命をここに捧ぐ。神の目覚め、それが汝の使命なり——《復活のメシア マジョラム》!」


復活のメシア マジョラム 闇文明 (8)
クリーチャー:オラクル 9000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の他のクリーチャーを1体以上、破壊してもよい。そうした場合、自分の山札を見る。こうして破壊されたクリーチャー1体につき、コスト7以下の無色ゴッドを1体、自分の山札からバトルゾーンに出してもよい。このようにして山札を見ていた場合、シャッフルする。
W・ブレイカー


「っ、《マジョラム》……!」
「恐怖せよ、惰弱な人間。《マジョラム》の効果により、二体の《バルゾー》を生贄にする! そして二体の神を、ここに降臨させる! 出でよ、《封魔左神リバティーンズ》! 《霊騎右神ニルヴァーナ》!」


封魔左神リバティーンズ 無色 (6)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ/グランド・デビル 7000+
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、またはこのクリーチャーがゴッドとリンクした時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選ぶ。そのターン、そのクリーチャーのパワーは−2000される。
W・ブレイカー
左G・リンク
このクリーチャーがリンクしてる間、このクリーチャーはシールドをさらに1枚ブレイクする。


霊騎右神ニルヴァーナ 無色 (6)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ/アーク・セラフィム 6000+
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、またはこのクリーチャーがゴッドとリンクした時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、タップしてもよい。
W・ブレイカー
右G・リンク


「さらにG・リンク! 《ミル・アーマ》のパワーを4000下げて破壊! 《キバッテ・キャット》をタップ!」
「しまっ……まずい!」
 これで仄のブロッカーはすべて無力化されてしまい、彼女を守るクリーチャーはいない。五枚のシールドも、神と《エルサル・バルティス》ですべて割られ、最後には《ガラムマサラ》がとどめを刺しに来るだろう。
「終わりだ、人間! 《エルサル・バルティス》でW・ブレイク!」
「っ……!」
 シールドが砕け、その破片が仄に降り注ぎ、鮮血を撒き散らす。
「まだだ! T・ブレイク!」
 リンクした神による一撃で、仄のシールドが一度に三枚も吹き飛ぶ。しかし、そのうちの二枚は、光り輝いた。
「やっぱシールドに埋まってたか……S・トリガー発動! 《ヘブンズ・ゲート》!」
 出てきたのは、二枚の《ヘブンズ・ゲート》だ。
「まずは一枚目の《ヘブンズ・ゲート》の効果で《ロードリエス》と《オレオレ・ライオネル》を出して、《ロードリエス》の効果でドロー。次に二枚目の《ヘブンズ・ゲート》で二体目の《バウライオン》と《神令の精霊ウルテミス》を召喚。《バウライオン》の効果で《ヘブンズ・ゲート》と《コアクアンのおつかい》を回収。《ロードリエス》の効果で二枚ドロー」
 二枚のS・トリガーから一気にクリーチャーを展開し、手札も補充する仄。しかし彼女は、パイルが仕掛けていた罠に気付いていた。
「ふん、運良くS・トリガーに助けられたようだが、そのような幸運などで逆転される私ではない。《エルサル・バルティス》の効果発動!」
 《エルサル・バルティス》は、簡単に言えば相手がS・トリガーを使えばこちらもS・トリガーのついた呪文を唱えられるという能力を持ったクリーチャーだ。そして今回、仄は二回S・トリガーを使用している。
「デッキから二枚のS・トリガー呪文を唱える。……《デス・ゲート》はもう弾切れか。致し方ない、ならば《スパイラル・ゲート》と《デーモン・ハンド》を唱える。《オレオレ・ライオネル》を手札へ戻し、《バウライオン》を破壊!」
「やっぱりそう来るか……」
 大型ブロッカーは次々と消され、残ったのは小さなブロッカーたち。だが《エルサル・バルティス》の効果を使用しても、《ヘブンズ・ゲート》で出たブロッカーを全て除去することは出来ず、なんとかこのターンは凌ぎ切った。
(でも、次のターンにはあいつもなにかしらの手を打ってくるはず。このターンで、なんとかしないと……)
 パイルのシールドは三枚あり、それを守るブロッカーが二体いる。しかもそのうち一体がスレイヤーを持ち、ブレイクされたシールドを墓地に送れば、ブレイクしたクリーチャーを破壊する《デス・アルカディア》だ。その防御壁を突破するのは困難を極めるだろう。
 だが仄には、それを突破する秘策があった。
「……やっぱり来た。悪いけど、終わらせるのはこっちの方だね」
「? なにを言っている」
「見れば分かる……ほら、行くよ」
 そう言って仄は、手札のカードを一枚、空に掲げる。
 次の瞬間、空気が渦巻いた。禍々しい空気が巨大な渦潮を形成し、その中心に吸い込まれるかのように、仄の場の天使たちが集まっていく。

「顕現せよ! 海王星の名の元に! 天使をも喰らう貪欲なる悪魔! 《超神星ネプチューン・シュトローム》! 私に従え!」


超神星ネプチューン・シュトローム 水文明 (7)
進化クリーチャー:フェニックス 13000
進化GV—自分のグランド・デビル、デーモン・コマンド、エンジェル・コマンドのいずれか3体を重ねた上に置く。
メテオバーン—このクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーの下にあるカードを1枚選び墓地に置いてもよい。そうした場合、相手はバトルゾーンにある自分自身のクリーチャーをすべて、持ち主の山札の一番上に好きな順序で置く。
T・ブレイカー


《天門の精霊キバッテ・キャット》《神令の精霊ウルテミス》《知識の精霊ロードリエス》の三体を進化元に現れた、海王星の名を冠する不死鳥《ネプチューン・シュトローム》。
 その圧倒的すぎる存在に、パイルは後ずさる。
「ぐ……だ、だが、貴様を守るブロッカーを減らしてもいいのか? 今更一体や二体、攻撃手が増えたところで、私を倒すことは出来ないぞ」
「それはどうかな?」
 いつの間にか立場が逆転している仄とパイル。今まで余裕ぶっていたパイルは焦り、逆に仄は完全に流れを引き寄せている。
「これも見せた方が早いか。《ネプチューン・シュトローム》で攻撃、その際にメテオバーン発動! 相手のクリーチャーを全て、デッキトップに送り込む!」
「なに……!?」
 刹那、大波の如き激流が放たれ、パイルを守っていたブロッカーはおろか、他のクリーチャーまでもが押し流されてしまった。パイルの場に残ったのは、リンクが解除された《ニルヴァーナ》のみ。
 これで、パイルを守るクリーチャーはいなくなった。
「なんだと!?」
 《ネプチューン・シュトローム》の攻撃でシールドがゼロになったパイル。そんな彼に、一体の獅子が飛びかかった。
「これでとどめ! 《バウライオン》でダイレクトアタック!」
「なっ、ぐ、ぐあぁぁぁぁぁ!」



 獅子の剣に切り裂かれたパイルは、そのまま消滅し、カードとなって地面に落ちた。
「武者小路さんっ!」
 そのカードを拾うと、すぐ後ろから声がかかる。振り向けば、そこには姫乃の姿があった。
「良かった、無事……ってほどでもなさそうだけど、勝ったんだね」
「まぁ、なんとか。それより——」
「あ、えーっと、そのカードのことなら、ちゃんと話すよ……それにしても、また巻き込んじゃったなぁ……」
 クロ、零佑に続き、今度は仄。またも一般人を巻き込んでしまった夕陽たち。
 この後、そうならないための対策が論じられたのだが、それはまた別の話。



 ちなみに大会は見事、汐が優勝を収めたらしい。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.118 )
日時: 2013/09/22 10:25
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 夏といえば、一般的にはなにを連想するだろうか。恐らく、そんなことは愚問だろう。学生でも大人でも、夏と言われて真っ先に思いつくものは——



「うーみーだー!」
「やっと着いたみたいですね」
 車の窓から身を乗り出し、眼前に広がる眩いばかりの水面におおはしゃぎするこのみと、それとは対照的にクールな汐。
 夏と言えば海、これはもう鉄板だろう。そういうわけで、夕陽ら四人は、澪の運転する車に揺られ、某県某所の海を訪れていた。
「隣の県だけど、意外と近かったな」
「そうだね、一時間もかかってないんじゃないかな?」
 車から降り、荷物を取り出しながらそんなことを言う夕陽と姫乃。その傍らでは今にも海まで特攻するのではないかと思うくらいにうずうずしているこのみと、澪となにか話している汐の姿。
「そんじゃあ頼んだぞ。ここら辺ではわりとでかい店だから、すぐに分かるはずだ」
「分かったです。では、行って来るですよ」
「おう、大丈夫だとは思うが気ぃつけろよ。時間になったらまた迎えに来るから。それと、店長によろしく言っておいてくれ」
「はいです」
「うっし。そんじゃーお前ら、しっかり働けよー」
 澪は汐たちに対してそう言い残すと、すぐに車で走り去ってしまった。
「澪にーさんは海で遊ばないんだ……残念」
「まあ、澪さんも仕事とかあるだろうし、仕方ないだろ。というか、別に僕らも遊びに来たわけじゃないけどな」
 そう、夕陽たちはなにも海水浴のためだけに海に来たのではない。あくまで遊びはついで、本命は別にある。

「それじゃ、早速バイト先の海の家に行くか」
『おー!』

 それが、海の家のアルバイトだ。



 話は期末考査の直前、六月下旬ほどまで遡る。ちょうど姫乃が抱えていた問題が解決した次の日のことだ。
 澪に知り合いが経営する海の家のバイトをしないかと誘われた夕陽たち。夕陽と汐はなにか裏があるのではないかと渋ったが、なにも考えていないこのみと純粋な姫乃は二つ返事でOK。残る二人もそれに引きずられ、結果、四人仲良くアルバイトに駆り出されたのだった。
「……しかし、謎です」
「なにが?」
「なぜ、兄さんは私たちを指名したのでしょうか。あの人ならば他に適任だと思われる知人なんていくらでもいるはずです。にも関わらず、まだ学生である私たちを選んだのは、少し不自然に思えてしまうのですよ」
 よくよく考えてみれば、汐の言う事はもっともだ。夕陽らはまだ高校一年。汐に至っては中学生で、原則としてバイトは禁止されている。
「言われてみればそうだなぁ……あの人のことだから、なにか裏がありそうだけど……」
「以前、兄さんに直接そう尋ねたことがあるのですが、『お前らだったら適任だしな』の一点張りで、真相は知れませんでした」
「あの人の考えてることはよく分かんないな……まあでも、僕以外の三人は接客経験があるし、適任と言えば適任か」
「あ……あれじゃないかな。海の家」
 と、姫乃が指差す方向に視線を動かす三人。そこには、確かに海の家と思しき建物がある。だが通常の海の家とは少し違う。海の家にしては大きく、奥行きがある。前面はほぼ吹き抜けになっているが、奥の方はわりと閉鎖的で、風が通りにくい造りになっているようだ。
「たぶんあの建物です。兄さんはこの辺りで大きな建物と言ってたです」
 ほぼ確証を得たところで、四人は恐る恐る店内を覗く。厨房からはソースの焦げた匂いが漂い、フロアでは何人もの若い店員がせわしなく動き回っている。
 しばらくその様子を観察していると、この店の制服なのだろう、店員と同じ柄のTシャツを着ていながらも、一人だけ明らかに他の店員とは異なる空気を発している女性がこちらの存在に気付いたように近づいてくる。そして、
「……えーっと、110っと」
「なぜに携帯を取り出して警察に電話を掛けようとするのですか!?」
 身の危険とあらぬ誤解を感じて、夕陽は力の限り叫ぶ。こういう時、連れの外見年齢が低いとトラブルを起こしてしまうので、夕陽はバイトを渋ったのだ。それがすべてではないが、少なくとも理由の一端ではある。
「ははは! 冗談だって。流石に高校生が小学生を誘拐するとも思えないし、親戚の子とかだろ?」
「いや、それも違います……というか、ほとんど全員、同学年です……」
 さらにこういう誤解も受ける。ちなみに女子三人の反応は特にない。汐はもう慣れたようで、姫乃も承知しているか気付いていないのどちらか、このみに至っては気にしないどころか逆にそれを利用することもあるのだから、タチが悪い。
 それはともかく、夕陽の困ったような態度に対し、女性はまた笑った。
「いやいや、分かってるって。さっきレイからメールあったから、君らが今日来てくれるっていうバイトたちだろ? あたしがこの海の家の店長だ、店長と呼んでくれ」
「あ、はい、店長……」
 自ら店長呼びを要求してくる人物に初めて出会った夕陽は、また困惑。どうしてもこの人物を相手にすると、ペースを狂わされる。いつものことかもしれないが。
「えっと……今日はよろしくお願いします」
「おう。こっちもよろしく。いやー、にしても助かったよ、君らが来てくれて。やっぱレイに頼んで正解だった、持つべきものは友達だな、やっぱり」
 などと上機嫌に言う店長。しかしこのみ以外の三人はもう気付いていた。そして同時に、疑問も浮かんでいる。
 その疑問をぶつけたのは、姫乃だった。
「あのー……店長、さん……?」
「なに?」
「いや、えっと、今年はバイトが足らないから、わたしたちが呼ばれたんですよね……?」
「まあ、そんな感じだな」
「わたしの目には、どうしても人が足りているように見えますけど……」
 姫乃の言う通りである。確かに店員たちは忙しそうにしているが、それでも店は十分回転している。むしろ、今の人数がベストだろう。ここに無理やり人を入れてしまうと、今度は逆に人手が余ってしまうだろう。
 ゆえに、夕陽たちはいらないように思えてしまう。しかし店長は首を振った。
「違う違う、別にあたしは君らに接客をしろなんて言わないよ。見ての通り、そしてお察しの通り、そっちの人では十分足りてるからね。それに、なんであたしがレイなんかにバイトの求人を頼んだのか、考えた?」
「……?」
 顔を見合わせる四人。店長の発言の意図がまったく読めない。
 そうこうしていると店長は、見た方が早いか、と言って店の奥へと進んでいく。
 奥行きのあるこの海の家。その奥は比較的風の通りが悪くなっているが、海の家として風通しが悪いと言うのはありえない。だが、その理由もすぐに判明した。
「!? デュエマ・テーブル……?」
 店の奥にはフロアと同じくらいの広さの空間があり、そこに四つのデュエマ・テーブルが設置されていた。
 海の家からは遠くかけ離れたインテリアに驚愕する夕陽たちだったが、この状況から導き出せる答えは一つ。
「まさか……デュエマしろ、ってことですか?」
「イエス、その通りだ」
 それから、滔々と語り出す店長。なんでもこの地域はやたらとデュエマが盛んなようで、そのニーズと店長の個人的な趣味に合わせて海の家にデュエマ・テーブルを設置したのだそうだ。
「バイト内容は簡単、もう少ししたら大量のガキどもが雪崩れ込んで来ると思うから、デュエマの相手をしてやってくれ。いやー、しかし本当に助かった。今年は全然デュエマできる奴が入ってこないんだもんなー。この店のウリが潰れるところだった。昼になったらまた顔出しに来るから、それまで頑張ってくれ」
 と言い残して、店長はフロアへと戻っていった。
「海に来てまでデュエマってどうなんだ……なぁ——」
「デュエマするだけでお金がもらえるなんて夢みたい! よーし、がんばっちゃうよー!」
「子供相手だからって、手加減はしないです。本気の勝負の世界を教えてあげるですよ」
「いろんな人と対戦する方が、経験としてはいいよね。もっと最近の戦術に慣れないと……!」
「やる気満々だな……」
 予想以上に張り切っている女子三人に、若干押される夕陽。
 正直、わざわざここまで来てデュエマに興じるのはどうなんだと言いたくなるが、しかし、
「……ま、いいか。僕も新しく組んだデッキを試したいし」
 なんだかんだ言って、夕陽もほとんど三人と同意見だった。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.119 )
日時: 2015/09/05 07:49
名前: 大光 ◆HynV8xBjBc (ID: lUcqHz23)

この場では一応、初めまして、モノクロさん。ゲームで財源が食い潰されていく大光です。
デュエル・マスターズ Mythologyを読ませていただいています。デュエル・マスターズは自分もやっていましたが、エピソード1の第三弾あたりでやめてしまいました。ちなみに、最後に作ったデッキはガイアール・リュウセイドラゴンが切り札のデッキでした。今となっては、デッキをどう作ったかよく覚えてません。
久々のコメント投稿ですが、オリキャラ投稿します。変なことになっているかもしれません。

名前:九頭龍 希道/くずりゅう きどう 
年齢:23歳
性別:男
容姿:黒髪の天然パーマで、黒カッターシャツの黒ジーンズ。白のネクタイ(普段着)
性格: フレンドリーな性格のように見えるが、実は結構な皮肉屋で、相手にとって意地悪な質問を投げかけたりもする。
逆に、自分の質問をものともしない者や、揺るぎない精神を持つ者などには、褒め称えたり、好意的に接したりする。
他人を露骨に傷つけるたり、他人の意志を否定する者には怒りを見せる(九頭龍自身もしている?ノーカンです)。ただし、怒り方が変で、少しずつ怒りが沸き上がり、いつの間にか怒っている。分かりづらい。
今までは「神話カード」を所持したり求める者は、一人除いて理解しがたく、滑稽でカードに踊らされる奴ばかりど考えていたが、最近はその考えを改める必要があると思っている。

所属:ミス・ラボラトリ

備考:ミス・ラボラトリから送られた研究員で、いつもは警備員などのアルバイトをして生活している。
周りの人から性格故に、「変人」または苗字をとって「クズ野郎」も思われている。
自分が ゲーム参加者たちにする質問は、組織の研究に役立つと思っている。
黒村形人とは面識はあるが、あまりいい印象を持たれていない。
所長のラトリには「いろんな意味で勝てる気がしない」と考えている。
双子の妹の九頭龍希野がいる。
サンプルボイス:
「やあ、僕は九頭龍希道。君が噂の『昇天太陽』かぁ 」
「一つ思ったんだけどさぁ....」
「【師団】....邪魔をするんだったら、さっさと消えて貰おうか...」
「どうやら、ドラゴン達は君を弄びたいようだ...」
「この圧倒的な布陣を君はどう攻略するのかな?」
「やぁ、希野。今日は僕らの誕生日だ」
使用デッキ:闇火自然の《運命》連ドラ
・「戦慄」の頂 ベートーベン 切り札
・運命
・「修羅」の頂 VAN・ベートーベン
・龍世界 ドラゴ大王
・界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ
・偽りの王 モーツァルト
・偽りの王 ナンバーナイン
・龍覇 ザ=デッドマン
・メンデルスゾーン
・ミステリー・キューブ
・地堀類蛇蝎目 ディグルピオン
・超天星 バルガライゾウ
・永遠のリュウセイ・カイザー
・真実の名 ヒバ・ラ・レヴォリューション
・仰天無双 鬼セブン「勝」
・侵攻する神秘 ニガ=アブシューム

切り札召喚時

「刃向かう者を戦慄させ、頂に君臨せよ ——《「戦慄」の頂 ベートーベン》!」
「赤き龍王よ、数多の種族を支配し、世界を龍のものとせよ——《龍世界 ドラゴ大王》!」
「古代の力に目覚めし龍王よ、その絶対の力で、今日の世界に君臨せよ——《界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ》!」
「刃向かう者に鉄槌を下し、そして服従させよ——《偽りの王 モーツァルト》」
「五つの龍の咆哮に応じその姿を顕現し、すべてを飲み込み支配せよ——龍解、《五邪王 ニガ=ヴェルムート》」

九頭龍の皮肉な言葉や意地悪な質問はモノクロさんにお任せします。僕自身ではあまり思い付きませんでした。すみません。

不備や変更すべき点があったらお申し付けください。


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