二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ Mythology
- 日時: 2015/08/16 04:44
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)
初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。
本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。
投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。
目次
一章『神話戦争』
一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33
二章『慈愛なき崇拝』
一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78
三章『裏に生まれる世界』
一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101
四章『summer vacation 〜夏休〜』
一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148
五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』
一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207
六章『旧・太陽神話』
一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292
七章『続・太陽神話』
一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404
八章『十二神話・召還』
一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424
九章『聖夜の賢愚』
一話『祝祭の前夜』
>>425
二話『双子の門番』
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争』
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲』
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447
第十章『月の下の約束です』
一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508
第十一章『新年』
一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573
十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』
一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610
十三章『友愛「親友だから——」』
一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637
コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』
一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482
デッキ調査室
№1『空城夕陽1』 >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137
人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.586 )
- 日時: 2014/07/12 19:40
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
突如街中で、大量のクリーチャーが発生した。その現象の根本的な原因は不明だが、街の各地に大きな力が確認されている地点が存在している。
力が確認されているポイントは六ヵ所。その場に居合わせた夕陽と汐、亜実と栗須、そして【ラボ】の研究員四名の計八人は、二人ずつのペアに分かれ、それぞれのポイントに向かうこととなった。
夕陽と汐が向かうのは、『和登栗須探偵事務所』から最も近い地点。確認されている力が一つの地点だ。
しかし、拠点から近いとはいえ、道中には夥しい数のクリーチャーが行く手を阻んでいる。
だが夕陽たちは、それを突破する術を、ラトリから教わっていた。
「とりま、夕陽君と汐ちゃんはここから一番ニアなポイントに向かってもらうよ」
「はぁ、それはありがたいんですけど」
「途中にはクリーチャーがわんさかいるですよ。それはどう突破するのですか」
この事務所に来るまでは、亜実の《マルス》の力で焼き払っていたが、ツーマンセルで行動するのなら、その手が取れるのは亜実と栗須だけだ。
「ノープロブレム! ちゃんとシンクしてるよ」
「道中のクリーチャーが邪魔なら、クリーチャーで倒せばいい」
「? どういうことですか?」
それは《マルス》の力を使うこととなにが違うのだろうか、と夕陽が疑問をぶつける。実際、黒村の言っていることは夕陽の思っていることとは全く違っていた。
「前にも少し言ったと思うが、カード状態のクリーチャーは『神話カード』の影響を受けることで、実体化する」
「それは知ってますけど……」
「この時、『神話カード』の力で影響力をコントロールできるんだが、その調整次第で実体化する際のクリーチャーの性質が変わる」
「性質……?」
その説明では、まだよく分からない。
そこで黒村は、たとえばだ、と例を挙げる。
「以前、お前が九頭龍……希道と戦った時」
「黒村さんが僕のことを名前で呼ぶのって、初めてですね。なんか新鮮」
「うるさい黙ってろ。あの時、お前がダイレクトアタックを受ける直前に、神話空間が閉じただろう」
「あぁ……そういえば、そんなこともありましたね」
九頭龍に挑発されてデュエルを挑んだものの、大敗したのだった。思い返したら腹が立ってきたが、なんとか自制する。
同時に思い出す。そう言えばあの時、九頭龍からダイレクトアタックを受ける直前、神話空間が裂かれ、強制的にデュエルが中断されたのだった。
「あれは俺の持っているカードの一部が、所長の《アテナ》の力によって、神話空間に干渉できるよう調整されていたからだ」
「へぇ、《アテナ》ってそんなことできるの?」
「できます」
「オゥ、アテナ……サドンディに出て来たね」
急にカードから現れるアテナは、さらに続ける。
「十二神話ごとに多少の差異はありますが、この力は十二神話全てが有している能力です。なのでアポロンさんもアルテミスさんも同様に、他のカードを実体化させることが可能です」
「そうなのか……オイラ、ほとんどそういうことしたことねぇから、自信ねぇや」
「おいおい、大丈夫なのか……?」
「アルテミスもですか」
「アタシは結構そういう使われ方されてたから、もう慣れたわ」
ともかく、ここで最初の話に戻ってくる。
「こうして実体化したカードは、神話空間内とはいえマナを支払って召喚したわけではないから、長時間維持することは難しい。特にカードと繋がっている場合は、カードの持ち主がクリーチャーをコントロールしやすいが、持ち主不在で放り出している時よりも短時間しか姿を保てない」
「でも安心していいよ。他のクリーチャーにアタックするくらいのタイムは実体化できるから」
要は『神話カード』の力でクリーチャーを実体化させ、その実体化させたクリーチャーで街中に蔓延るクリーチャーを蹴散らしながら、目的のポイントに向かえということだ。
「なら、先にここで準備しておいた方がいいな。戦争でも、弾切れが起こらないように、先に十分な弾薬を用意しておかなくてはならない」
「わざわざ戦争で喩えなくとも……」
「事前準備が大事だということについては、同意しますけれど」
ともかく。
そういうわけで、夕陽と汐は早速アポロンやアルテミスの力で、自分たちのカードを実体化させられるように影響力を及ぼすのであった。
「——《爆竜 GENJI・XX》! 邪魔なブロッカーと、ついでにもう一体も破壊だ!」
「《希望の親衛隊ファンク》……これで、小型クリーチャーとサイキックは全滅です」
と、いうわけで。
夕陽たちはアポロンやアルテミスが影響を及ぼすことで実体化するようになったクリーチャーで向かい来るクリーチャーを薙ぎ払っていた。
「でもこれ、たまに起き上がって来る奴いない?」
「あくまでクリーチャーの攻撃であって、カードに戻しているわけではないですからね。攻撃が浅かったり、受け流されたりで、確実に倒せていないこともあるでしょう」
デュエルで直接戦った方が確実だということを思い知らされる。
さらにこうしてクリーチャーを操っていて分かるが、相手クリーチャーも反撃をしてくることがある。というか、攻撃されるのだから当然、それに対して反抗してくる。その反撃を受けて、こちらのクリーチャーが倒されることも多々あるのだ。
「こっちの方が楽かと思ったけど、そうでもないな」
「そうですね。神話空間に引きずり込んで、直接手を下した方が確実です」
「……ちょくちょく思ってたけど、御舟ってたまに怖いこと言うよね」
そんなこんなでクリーチャーを倒しながら進んでいく二人は、やがて足を止める。そして夕陽は、携帯を取り出した。
「力が確認されてる地点は、この辺りのはずだけど……」
「それらしいものは見えないですが」
強いて言うなら、蔓延っているクリーチャー数がこの周辺だけやたら少ない程度だ。しかしそれも、単に場所ごとにクリーチャーの密集度にばらつきがあるだけとも取れる。
少数だけ残っているクリーチャーを消し飛ばし、汐は夕陽の携帯を覗き込んだ。
「この地図では、細かいところまでは分からないのですね」
「うん。この地図自体、緊急で作ったものらしいから、大雑把な座標しか分からないらしい」
そして、とりあえずその座標の地点に行けばなにか分かるだろうという安易な考えだ。
「まさかこの地図が間違っている、なんてことはないですよね」
「それはないと思うわ」
「ああ。この近くで、やたらでかい力を感じる……絶対になにかあるはずだぜ」
そうアポロンとアルテミスは言う。彼らが言うのなら、そのなのだろう。
とりあえずもう少しこの近辺を捜索することにした夕陽と汐は、目の前のT字路を右に曲がる。
そして、見つけた。
「クリーチャー……」
「《聖邪のインガ スパイス・クィーンズ》……!」
道路の中央に並ぶ、小さな二つの影。それぞれ青い装束と紫の装束を着た、少女のようなクリーチャー。二人一組でゴッド・ノヴァ OMGをサポートするオラクル、青い方が《聖者のインガ バジル》、紫の方が《聖者のインガ ミント》、二人合わせて《聖邪のインガ スパイス・クィーンズ》だった。
「いや、それよりも……」
「……あれは、なんなのでしょうか」
クリーチャー自体にも注目が行くが、それ以上に目を奪われるのは、彼女たちの頭上に浮かぶなにか。
そもそも浮かぶという表現すら怪しい。それは物体というよりも現象、これだけ近い距離から目視することで、夕陽たちにもその力を肌で感じることができる。
「空間が歪んで見える……」
「あれを、あのクリーチャーたちが作り出しているのでしょうか」
それは分からないが、バジルとミントの頭上に見えるということは、なにかしらの関係性は疑ってもいいだろう。
「……よし。じゃあ予定通り、あのクリーチャーをカードに戻すよ」
力が確認された地点にクリーチャーがいるだろうことは想定内だ。なので事前の取り決めとして、異変と関係がありそうなクリーチャーを見つけたら、カードに戻すことになっている。そのためには、相手を神話空間に引きずり込まなくてはならない。
「アポロン。準備はいい?」
「いつでもオーケーだぜ」
デッキに手を添える夕陽。バジルはジッとこちらを見つめるだけで、動く気配がない。
「……先輩」
「大丈夫。先に僕が行くって、最初に決めた——」
「違うわよ無能。その眼球は自分の欲望を満たすためだけにあるのかしら? 相手をよく見なさい」
「え……?」
アルテミスに罵倒混じりに言われて、再びバジルを見遣る夕陽。
先ほどと変わらない光景がそこにはある。だが、夕陽はこの時気付いた。
「っ、スパイス・クィーンズ……!」
そこにいるのは、“バジル”だけなのだ。
見れば、夕陽たちの背後に紫色の影——ミントがいた。
「挟み撃ちにされたわね。どうする?」
「……先輩はそちらの青い方をお願いするですよ」
「ごめん……じゃあ、そっちは任せたよ」
二人一組という固定概念に惑わされ、まさか二体で分かれてくるとは思わなかった。ツーマンセルで動いていて良かったと思わされる。
そして二人は、それぞれのスパイス・クィーンズを相手取るために、神話空間へと入っていく。
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.587 )
- 日時: 2014/07/13 01:50
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
夕陽とスパイス・クィーンズの片割れ、聖邪のインガ バジルとのデュエル。
互いにシールドは五枚。夕陽の場には《コッコ・ルピア》《ボルシャック・NEX》《偽りの名 バルキリー・ラゴン》。バジルの場には《聖邪のインガ スパイス・クィーンズ》が二体とリンクした《光器左神サマソニア》《真滅右神ラウドパーク》、そして単体の《封魔右神グラストンベリー》。
「私のターンです。《スパイス・クィーンズ》でコストを下げ、《精霊聖邪ライジング・サン》を召喚。《グラストンベリー》とゴッド・リンクし、《サマソニア》の効果で一枚ドロー」
「やっぱゴッド・ノヴァ OMGは展開力が高いな……」
しかもリンクしたゴッドは除去耐性も上がっている。パワーが低いとはいえ、簡単には突破できないだろう。
「でも、こっちには《バルキリー・ラゴン》で持ってきたこいつがいる。僕のターン《爆竜 GENJI・XX》召喚! そのまま《GENJI》で攻撃!」
《GENJI》が宙空を翔ける。そして、両手に握った十字の刀から、燃え盛る炎を衝撃波のように放った。
「《GEnJI》は攻撃時に、相手ブロッカーを一体破壊する! 《サマソニア&ラウドパーク》を破壊だ!」
「《サマソニア》を破壊します。残った《ラウドパーク》でブロックです」
《GENJI》の放つ二振りの刀が、リンクを断ち切り、共に切り裂く。ブロッカーを得たことが仇になったようだ。
さらに、それだけでは終わらない。
「ブロックしたな? 僕の火のドラゴンがバトルに勝ったことで、手札から《爆竜勝利 バトライオウ》をバトルゾーンに! 《ボルシャック・NEX》でWブレイクだ!」
「《スパイス・クィーンズ》でブロック」
「だったら《バルキリー・ラゴン》でもWブレイク!」
「もう一体の《スパイス・クィーンズ》でブロックです」
結局シールドは一枚も割れなかったが、夕陽の猛攻でバジルのブロッカーはいなくなった。
ゴッドは確かに強力だ。リンクすればさらに強化されるが、二体で一体となるということは、実際のクリーチャー数は増えていないことになる。
つまり、純粋にクリーチャーを並べていけば、実際の展開力は夕陽の方が上回っているのだ。勿論、手札が枯れてしまえばこちらが不利だが、現状では物量的に夕陽が有利。
しかし、
「私のターンです。呪文《ウェディング・ゲート》」
「っ!」
手札から光でないエンジェル・コマンドを二体踏み倒す、祝福の門《ウェディング・ゲート》。
バジルのデッキはゴッド・ノヴァ OMGの種族デッキ。ゴッド・ノヴァには光でないエンジェル・コマンドが何種類かいるが、二体同時に呼び出すとなると——
「《邪帝右神 ブロック・パーティー》《邪妃左神 バンバーシュート》をバトルゾーンに」
邪帝右神 ブロック・パーティー 闇文明 (6)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァOMG/エンジェル・コマンド 9000+
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、このクリーチャーは自分のシールドを1枚ブレイクする。
W・ブレイカー
右G・リンク
邪妃左神 バンバーシュート 闇文明 (5)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァOMG/エンジェル・コマンド 5000+
このクリーチャーまたは自分の他のクリーチャーが破壊された時、ゴッドを1体、自分の墓地から新しいシールドとして自分のシールドゾーンに裏向きにして加えてもよい。
左G・リンク
祝福の門から現れたのは、闇に堕ち、ゴッド・ノヴァ OMGとなった二体の天使。しかし、ただの堕天使でも、ただの神でもない。
かつてアルカディアスの名を欲しいままにした虹色の革命者、《聖鎧亜キング・アルカディアス》と、その妃である《聖鎧亜クイーン・アルカディアス》。その二体が堕天し、OMGの力も得て神となった姿だ。
《キング》はあまりの強さゆえに天に召され、《クイーン》は未亡人となったが、神となった二体は闇の祝福を受けて再婚を果たした。
「いやな再婚だよ、まったく……!」
本人たちにとっては喜ばしいかもしれないが、夕陽にとっては最悪だ。帝と妃は祝門から降り立つと、すぐさま一体となる。
「《バンバーシュート》と《ブロック・パーティー》をリンク。そして《ブロック・パーティー》の能力発動。私のシールドを一枚ブレイクします」
高いパワーの代わりに、シールドを一枚減らすデメリットを持った《ブロック・パーティー》。普通に使えば手札補充感覚にもなるが、今のバジルの場には《ライジング・サン》がいる。
ブレイクされたシールドが、光と束となり収束する。
「《ライジング・サン》の能力で、私のシールドにあるゴッド・ノヴァ OMGはS・トリガーとなります。よってS・トリガー《真滅右神ラウドパーク》をバトルゾーンに。能力で山札の上三枚を墓地に送り、墓地の《ラウドパーク》を回収します」
シールドを自在に操ることがゴッド・ノヴァ OMGの戦術。その本領が、発揮されつつある。
「さらに《ライジング・サン&グラストンベリー》で《ボルシャック・NEX》を攻撃、《バンバーシュート&ブロック・パーティー》で《GENJI》を攻撃」
「くそ……っ!」
夕陽の猛攻で劣勢になると思われたが、一瞬で巻き返された。バジルの場には大型のリンクしたゴッドが二体、そう簡単には除去できないだろう。
「とりあえず、クリーチャーを並べるか……《エコ・アイニー》を召喚! さらに《セルリアン・ダガー・ドラゴン》も召喚して、三枚ドロー!」
問題はここからだ。さっきは攻めに出たが、《バンバーシュート&ブロック・パーティー》がいることを考えると、防御に出るべきだろうか。
「……いや、どうせ僕のデッキじゃ、リンクした《ライジング・サン》を除去することは難しい。だったらとにかく攻めまくってやる! 《バトライオウ》でWブレイク!」
運よく《バトライオウ》の攻撃ではS・トリガーが出なかった。ならばと、夕陽はさらにシールドを叩き割る。
「《バルキリー・ラゴンで》Wブレイク!」
「《ラウドパーク》でブロックです。《バンバーシュート》の能力で、他のクリーチャーが破壊された時、墓地のゴッドをシールドに置きます。《グラストンベリー》をシールドに」
最後の攻撃は通らなかったが、なんだかんだで夕陽は攻めの調子を取り戻せていた。このまま攻め続ければ、押し切れるかもしれない。
「私のターン。《聖邪のインガ スパイス・クィーンズ》を召喚。さらに《真滅右神ラウドパーク》を召喚し、墓地から《光器左神ラブパレード》を回収。そのまま召喚します」
光器左神ラブパレード 光文明 (4)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/メカ・デル・ソル 4000+
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、光の呪文を1枚、自分の墓地から手札に戻してもよい。
左G・リンク
「《ラウドパーク》とリンクし、能力で墓地から《オラクルDJ》を回収。さらに《ライジング・サン&グラストンベリー》で《バトライオウ》を、《バンバーシュート&ブロック・パーティー》で《バルキリー・ラゴン》を攻撃します」
またまた夕陽のドラゴンが消し飛ばされる。《ラウドパーク》がリンクしているのでこのターンにも決められたはずだが、あえて次のターンに持ち越し、確実に決める気のようだ。
「……だったら、このターンのうちにき終わらせてやるよ。僕のターン!」
「夕陽! いつでも行けるぜ!」
このターン、夕陽が引いてきたのは《アポロン》。
これで、夕陽の手筈は整った。
「まずは《ボルシャック・NEX》を召喚! 能力で《コッコ・ルピア》の二体目を呼び、コストを4下げて《爆竜 バトラッシュ・ナックル》を召喚! 《スパイス・クィーンズ》と強制バトル! 続けて《ボルバルザーク・エクス》を召喚! これで僕のマナはすべて復活!」
そして、その起き上がったマナを使い、二体の《コッコ・ルピア》と《バトラッシュ・ナックル》が炎の嵐に飲み込まれる。
「進化MV! 天を翔けろ太陽神! 《太陽神話 サンライズ・アポロン》!」
爆炎の大嵐は太陽の如き輝きを放ち、炎の鳥と龍の力を得て《太陽神話》が爆誕した。
『行くぞ夕陽! 聖邪の神共を、俺の炎で焼き払ってやる!』
「その意気だよ《アポロン》。さあ、《アポロン》で攻撃! CD9発動!」
夕陽のデックトップが、爆風により吹き飛ばされる。
『来い《ボルシャック・クロス・NEX》!』
「う……《ラブパレード&ラウドパーク》でブロック、《ラウドパーク》を残します。さらに《バンバーシュート》の効果で、墓地の《ビッグディアウト》をシールドへ」
「まだだ! 《ボルシャック・クロス・NEX》でTブレイク!」
《アポロン》の攻撃を防いでも、彼には後に続く仲間が数多くいる。《ボルシャック・クロス・NEX》の爪が、バジルのシールドを三枚引き裂いた。
そして、そのうちの三枚が光の束となり収束していく。
「S・トリガーです……っ! 《魔天聖邪ビッグディアウト》と《霊騎左神ロラパルーザ》を二体——」
「おっと、《ボルシャック・クロス・NEX》がいるから、コスト4以下の《ロラパルーザ》は召喚できないよ」
「っ……! で、ですが、《ビッグディアウト》で《ボルシャック・NEX》を破壊し、《セルリアン・ダガー・ドラゴン》をタップです」
《ライジング・サン》の能力でバジルのゴッド・ノヴァ OMGはすべてS・トリガーだが、S・トリガーで出て来るクリーチャーは召喚扱い。それゆえに《ボルシャック・クロス・NEX》がいると場に出せないのだ。
「コストの低さと、S・トリガーが仇になったな。《エコ・アイニー》で最後のシールドをブレイクだ!」
「S・トリガー……《グラストンベリー》を召喚……」
能力で《エコ・アイニー》のパワーが0まで下げられて破壊されるが、
「《ボルバルザーク・エクス》で、ダイレクトアタック!」
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.588 )
- 日時: 2014/07/13 02:09
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
どうも、特殊メガガルーラが楽しすぎるタクです。それはさておき、久々のこのスレでの本編感想ですが、これはまた不穏な空気が流れていますね。
今回の件はどうやら師団絡みではないようですが、これは新たな敵の登場フラグと見て良いんですかね?
さて前後しますが此処で栗須が出てくるとは思いませんでした。あ、しかもちゃんと探偵事務所構えてる。後、以前に確認は促したと思うんですが、栗須の新デッキも登場しますよね? というのも、以前修正した際に確認していただいたか分からなかったので……こっちに落ち度があったら謝ります。
そして今度はスパイス・クィーンズが2人に分かれて襲撃してきたわけですが、こいつら名前あったんでしたね、そういえば。すっかり忘れていました。
そしてデュエルシーンを見て気付いたのですが、心なしか以前よりも簡略化されているように感じられました。
ただ、少々臨場感が少なくなっている感じも否めませんでしたが。
後はアポロンの召喚台詞が地味に変わっていたので驚きました。
自分は基本変えないことが多いんで。これは逆に良かったと思います。
何か、久々の感想なのに、かなり短くなっている気がします。また今度、時間のあるときにゆっくり感想を書きたいと思います。最近、XY連続更新していた所為でちょっと疲れ気味なんですよね……。
それでは、また。
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.589 )
- 日時: 2014/07/13 03:22
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
タクさん
モノクロは加速バシャーモの厳選でもしようかな、と軽い気持ちで初めて心が折れそうです。もうメガシンカ前提で猛火でもいいかな、と思い始めていたり。
新たな敵……まあ、そう捉えることもできますかね。
詳しいことは、本編で明かしていきますが。
ドラゴン・サーガでヒューマノイド爆が出て来たので、亜実を登場させようと思い(ついでに《マルス》とヒューマノイド爆のあるクリーチャーとのコンボらしきものも思いついたので)それなら栗須も出そうか。あ、せっかくだし探偵事務所もここで出しとくか、みたいな感じでこうなりました。個人的にはそこそこ自信あります。
デッキは確認しているので大丈夫です。というか、実はもう栗須のデュエルシーンは書き終わっているんですよね。まだ投稿はしませんが。
ちなみに今回の栗須のデュエルはわりと自信作です。期待しておいてください。落胆したらごめんなさい。
あまり二人一組でカードになっているクリーチャーっていないですし、ゴッドも左右で分かれているので、せっかく名前があるなら二人に分けよう、と思ってバジルとミントで分けました。
あ、やっぱりそう思います? モノクロも書きながら「なんか手抜きっぽいなこれ」と思っていました。
理由としては、AMの更新が多くて簡単な描写に慣れてしまったこととか。元々長い(文字数4000強)文章を短くするためとか。どうせ雑魚敵だし流す程度いいよねと思ったりだとか。眠気と疲労で表現を考えるのが億劫になったとか。色々な要素が積み重なった結果だと思います。一番ありそうなのは、相手が雑魚だからですかね。一回の文字数が多いだけに、その辺のクリーチャー相手にいちいち細かい描写なんてしてられないんですよね。ゴッド・ノヴァ OMGだって、《バンバーシュート》と《ブロック・パーティー》を使っているとはいえ、ジークの二番煎じですし。
臨場感に関しては、汐のデュエルの方が酷いと思います。最後の方とか半分寝ながら書いていたので、かなり雑に思えるかもしれません。
だったら投稿してないんだし書き直せよと言いたくなる人もいるでしょうが……先々のプランが遠いので、とにかく今は先に進みたいんですよね。せめて今年中に十二神話はすべて出したい。
アポロンの召喚時の台詞は、変えたというよりも単純に簡略化しただけですね。どうせ雑魚敵ですし、まりりん先輩の思いが詰まった台詞で出さなくてもいいかなーと。あと、台詞が長すぎて一行に収まらないので、見栄えが悪いんですよね、あの台詞。なので召喚時の台詞が変更されたというよりは、本来の台詞を言わず、普通の台詞がちょっと厨二っぽいというだけですかね。
確かに、最近はタクさんも更新多いですよね。
モノクロは最近はそうでもないのですが、一時期は毎日一話〜三話くらいの更新が普通だったので、このサイトの人々が一般的にどのくらいのペースで更新しているのか、感覚がよく分からないんですよね。しかもモノクロの場合は、書いてもとりあえず溜めておきますし。
とまあ自分でもなにを言いたいのか分からなくなってきたので、とりあえず疲れを残さないよう、ゆっくり休んでくださいと言っておきます。感想なんて、書ける時に書けばいいんですから。
……しかし、本当、僕って文筆量多いなぁ……コメント返しだけで1400文字近くあるとか。
もっと文章をコンパクトにしたいんですが、そうすると今回指摘されたみたいに、盛り上がりがなくなるからなぁ……
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.590 )
- 日時: 2014/07/14 01:48
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
汐とスパイス・クィーンズの片割れ、聖邪のインガ ミントとのデュエル。
互いにシールドは五枚。汐の場には《希望の親衛隊ファンク》が一体。一方ミントの場には《聖邪のインガ スパイス・クィーンズ》が二体とリンクした《光器左神サマソニア》《真滅右神ラウドパーク》。
「私のターン。三体目の《スパイス・クィーンズ》を召喚。そしてコストを3下げ《霊騎右神ワイアード》も召喚します」
霊騎右神ワイアード 光文明 (5)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/アーク・セラフィム 5000+
自分の他のゴッドをバトルゾーンに出した時、自分の手札を1枚、裏向きにして、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに置いてもよい。
右G・リンク
「続けて《真滅右神ラウドパーク》を召喚。山札の上三枚を墓地に送り、墓地から《魔天聖邪ビッグディアウト》を回収します。さらに他のゴッドが出たので《ワイアード》の能力発動。手札を一枚シールドへ」
「クリーチャーが並んできたようですね」
リンクしているということを差し引いても、ミントの場にクリーチャーは七体、一方汐は一体だけ。
場数では圧倒的に負けている。
「ならば……《猛菌恐皇ビューティシャン》を召喚です。O・ドライブ発動で、私はカードを一枚引き、相手の手札を一枚墓地へ」
汐は返しに、《ラウドパーク》で回収した《ビッグディアウト》を速攻で墓地に送り返す。
「さらに呪文《インフェルノ・サイン》。墓地から《邪眼皇ロマノフⅠ世》を呼び戻し、山札から《スーパー・チェイン・スラッシュ》を墓地へ」
墓地に仕込むのは《スーパー・チェイン・スラッシュ》。見たところミントのデッキは同名カードが多い。なので次のターンから《ロマノフ》で墓地の呪文を唱え、場を壊滅させようという作戦だ。
しかし、その作戦はすぐさま瓦解する。
「私のターン。《悪魔右神メタモルフォーゼ》を召喚。《サマソニア》の能力でカードを引き、今引いた《堕天左神エレクトラグライド》も召喚します」
悪魔右神メタモルフォーゼ 闇文明 (7)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/デーモン・コマンド 7000+
相手のクリーチャーが破壊された時、クリーチャーを1体、自分の墓地から手札に戻してもよい。
W・ブレイカー
右G・リンク
このクリーチャーがゴッドとリンクした時、自分の山札の上から2枚を墓地に置いてもよい。
堕天左神エレクトラグライド 闇文明 (7)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/エンジェル・コマンド 7000+
このクリーチャーが攻撃する時、相手の墓地にある呪文を1枚、コストを支払わずに唱えてもよい。そうした場合、その後、相手はそのカードを自身の山札の一番下に置く。
W・ブレイカー
左G・リンク
このクリーチャーがゴッドとリンクした時、相手の山札の上から2枚を墓地に置かせてもよい。
「ゴッドが二体……しかも……」
あろうことか、リンクしたのは《エレクトラグライド》と《メタモルフォーゼ》だ。まずリンク時の能力で、ミントと汐の山札が、二枚ずつ削られる。
そして、ここからが本番だ。なにも墓地を利用するのは汐だけではないし、利用する墓地は自分のものだけではない。
「《エレクトラグライド&メタモルフォーゼ》で攻撃、する時に能力発動。相手の墓地から呪文を唱えます。呪文《スーパー・チェイン・スラッシュ》」
リンクした《エレクトラグライド》の剣が怪しく輝いた。すると次の瞬間、剣の切っ先から魔術の光が迸る。
そのまた次の瞬間には、《ロマノフ》の身体には大穴が開いていた。
「《ロマノフ》を破壊。そして相手クリーチャーが破壊されたことで、今度は《メタモルフォーゼ》の能力が発動します。墓地から《ビッグディアウト》を回収し、《ロマノフ》を山札下へ。そしてWブレイクです」
《エレクトラグライド&メタモルフォーゼ》、双方の剣から衝撃波が放たれ、汐のシールドが二枚吹き飛ばされる。
「……とりあえず、今は耐えるしかないですか。下手に墓地を増やすのもまずいですし……O・ドライブで追加コストを支払い《ビューティシャン》を召喚。私はカードを引き、相手に手札を捨てさせるですよ」
さっき回収した《ビッグディアウト》をすぐさま叩き落とす汐。一気にクリーチャーを削る《ビッグディアウト》は出させたくない。
「さらに《豚乱舞 ブータン・ジャクソン》を召喚し、ターン終了です」
幸いにもゴッド・ノヴァ OMGはブレイク数が増えにくい。まだなんとか耐えられるはずだが、
「私のターン。呪文《スーパー・スパーク》」
「……っ」
刹那、眩い閃光がバトルゾーンを制する。
次に目を開いた時には、汐のクリーチャーはすべて倒れていた。
「あなたのクリーチャーはすべてタップされました。そして《エレクトラグライド&メタモルフォーゼ》で攻撃です」
最近は《DNA・スパーク》のような上位種の全体タップ呪文が多くあるので下火になっていたが、コストの低さゆえに、攻める際に相手を寝かせることができる《スーパー・スパーク》も、まだまだ捨てたものではない。
そして、
「《エレクトラグライド》の能力で、相手の墓地から呪文を唱えます。呪文《インフェルノ・サイン》、墓地から《霊騎左神ロラパルーザ》を呼び戻し、《ラウドパーク》とリンク。《ビューティシャン》をフリーズし、Wブレイクです」
再び《エレクトラグライド》の怪しい光が迸り、墓地から新たなゴッドが蘇る。さらに二つの斬撃が汐のシールドを切り裂いた。
「……S・トリガー発動、《デーモン・ハンド》《地獄門デス・ゲート》。《サマソニア&ラウドパーク》と《ロラパルーザ&ラウドパーク》を破壊し、《ビューティシャン》を復活です」
「《サマソニア》と《ロラパルーザ》を残し、《ワイアード》でシールドをブレイク」
「《ビューティシャン》でブロックです」
淡々とした攻防だが、汐はかなり追い詰められていた。今はなんとかミントの攻めを防げているが、まだ足りない。
「《メタモルフォーゼ》の能力で《ビッグディアウト》を回収。《サマソニア》で最後のシールドをブレイク」
汐の最後のシールドが破られる。次の攻撃を防げなければ、汐の負けだ。
しかし、その最後のシールドは、光の束となり収束する——
「——S・トリガー発動です……《デッドリー・ラブ》」
互いにクリーチャーを一体ずつ破壊する軽量除去呪文だ。スーサイド戦術は闇文明の十八番だが、しかし今の汐のに場は、ただの自壊以上の意味があるクリーチャーがいる。
「私の《ブータン・ジャクソン》を破壊し、そちらの《ロラパルーザ》も破壊です。そして《ブータン・ジャクソン》が破壊されたので——」
死した《ブータン・ジャクソン》の魂は、より強大な力を得て、転生する。
「狂喜せよ、無法の国家。自由な者たちは無限の騎士、魔槍の帝の来臨です——《凶槍乱舞 デスメタル・パンク》」
それは即ち、ドロン・ゴー。
《ブータン・ジャクソン》は、自らの持つドロン・ゴー能力で、《デスメタル・パンク》となった。
さらに《ロラパルーザ》も破壊され、汐へのとどめも防がれる。
「さあ、ここからが本番ですよ。呪文《超次元リバイヴ・ホール》で、墓地から《アルテミス》を回収し、超次元ゾーンより《ヴォルグ・サンダー》をバトルゾーンへ」
《ヴォルグ・サンダー》の放つ雷によって、ミントの山札が削られる。そして、
「《ファンク》と《ビューティシャン》、そして《ヴォルグ・サンダー》の三体を進化元に——」
先ほど回収した、《月影神話》の影が差す。
「蘇りし月影の力、禁断の魔術と共に闇夜の空を射抜け。神々よ、調和せよ。進化MV——《月影神話 ミッドナイト・アルテミス》」
暗黒に閉ざされた三体のクリーチャー。その闇の中で、三つの生命を糧とし、《アルテミス》が美麗なる姿を現す。
『やっと私の出番ね……手札がないから、すぐに呪文は唱えられないけど』
「あなたがいるだけで十分ですよ。とりあえず行ってください、《アルテミス》」
『分かったわ』
首肯して《アルテミス》は、弓矢を構える。そしてその矢の先端に、暗い魔術の力が集まっていく。
「《アルテミス》で《サマソニア》に攻撃、能力発動です。墓地から呪文《デーモン・ハンド》と《超次元リバイヴ・ホール》を唱えるですよ」
集約した魔力が、矢の飛来と同時に解放される。
放たれた魔力は二つに散る。一つは悪魔の手となり、《スパイス・クィーンズ》を闇の底へと引きずり込む。もう一つは墓地と超次元の門へとアクセスし、新たな悪魔を降臨させた。
「《威牙の幻ハンゾウ》を回収し、《時空の凶兵ブラック・ガンヴィート》をバトルゾーンに。《ワイアード》を破壊です」
「っ……《スパイス・クィーンズ》でブロック」
「続けて《デスメタル・パンク》で《サマソニア》に攻撃、能力発動です」
《デスメタル・パンク》が咆哮する。その雄叫びの先にいるのは、《エレクトラグライド&メタモルフォーゼ》。
「《デスメタル・パンク》の能力で、パワーをマイナス無限大。神は死に絶えるのですよ」
ゴッドのパワーがみるみる下がっていき、やがて片方の神の存在を、維持できなくなる。
「なら、《エレクトラグライド》を残します……!」
「選択肢などないですよ。言ったはずです、神は死に絶えると」
パワーが無限にマイナスされるということは、リンク状態など関係ない。リンクが外れても、もう片方の神もパワーがゼロまで落とされ、最終的にはどちらの神も死滅するのだ。
「そ、そんな……《スパイス・クィーンズ》でブロック!」
なんとかアタッカーを残すミント。汐のシールドはゼロなのだから、早期に決着をつけたい。
「《ロラパルーザ》を召喚! 《アルテミス》をフリーズし、《サマソニア》でドロー! さらに呪文《スパイラル・ゲート》で、《デスメタル・パンク》を手札へ!」
「それも効かないですよ」
手札に戻される《デスメタル・パンク》。しかし次の瞬間、《デスメタル・パンク》がいたところに、彼の虚像が浮かび上がる。
「ウルトラ・ドロン・ゴー——《凶槍乱舞 デスメタル・パンク》をバトルゾーンへ」
「……!」
《デスメタル・パンク》が持つドロン・ゴーは、ただのドロン・ゴーではない。破壊だけではなく、“場を離れた時”に発動するドロン・ゴーだ。
マナに送られようが手札に戻されようが、ドロン・ゴーできる。しかもバウンスに至っては、ドロン・ゴー先が手札に戻るため、すぐさまバトルゾーンに舞い戻って来る。つまり実質的なバウンス耐性もあるのだ。
「な、う……《サマソニア》!」
「ニンジャ・ストライク、《ハンゾウ》を召喚です。《サマソニア》のパワーをマイナス6000して破壊です」
破れかぶれの攻撃も、《ハンゾウ》で返り討ちにされる。
とはいえ、ミントのシールドは《ワイアード》で増やしていたため、まだ七枚もある。ミントの攻撃を防ぎつつ、それをすべて破るのは難しい。
ならばどうすればいいか。簡単だ。シールドを割らずに、決着をつければいい。
「私のターンです。呪文《スパイラル・ゲート》、《アルテミス》をバウンス」
汐はフリーズされて動けない《アルテミス》を手札に戻す。そして再び、
「《ビューティシャン》を召喚。二体の《ビューティシャン》と《デスメタル・パンク》を進化元に、進化MV——《アルテミス》、もう一度お願いするですよ」
『出たり戻ったり、忙しないわね。でも、これが最後なんでしょう?』
「そうですね。では、これで決着です。《アルテミス》で攻撃、能力発動」
汐の墓地から、呪文が唱えられる。ただし、コスト12以下になるようになんて、大袈裟なことはしない。たった一枚の呪文で十分だ。
「——呪文《超次元ライデン・ホール》、コスト6以下の闇のサイキックをバトルゾーンへ」
雷鳴轟く超次元の扉が、《アルテミス》の弓によって開かれる。そこから現れたのは、《ヴォルグ・サンダー》。
「ところで、お気づきでしたか。あなたのデッキの枚数」
汐がそう問いかける。ミントは一瞬、疑問符を浮かべていたが、すぐにハッとなった。
そう、ミントのデッキは、残り二枚。度重なるドローや墓地肥やしで、相当数が削られていたのだ。
そしてそこに、《ヴォルグ・サンダー》の稲妻が轟く。その稲光は、知識の山を削り取る。即ち、山札の上から二枚が、墓地に送られる。
直後、ミントの山札へと雷光が迸ったのだった。
「《ヴォルグ・サンダー》の能力、発動です——」
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