二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Mythology
日時: 2015/08/16 04:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

 初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。

 本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。

 投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。

目次


一章『神話戦争』

一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33


二章『慈愛なき崇拝』

一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78


三章『裏に生まれる世界』

一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101


四章『summer vacation 〜夏休〜』

一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148


五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』

一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207


六章『旧・太陽神話』

一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292


七章『続・太陽神話』

一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404


八章『十二神話・召還』

一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424


九章『聖夜の賢愚クリスマス・ヘルメス

一話『祝祭の前夜ビフォア・イヴ
>>425
二話『双子の門番ツインズ・ゲートキーパー
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争パーティー・バトル
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲ノウレッジ・リベンジ
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447


第十章『月の下の約束です』

一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508


第十一章『新年』

一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573


十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』

一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610


十三章『友愛「親友だから——」』

一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637



コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』

一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482



デッキ調査室
№1『空城夕陽1』  >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137

人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574

デュエル・マスターズ メソロギィ 第二回オリキャラ募集 ( No.296 )
日時: 2014/01/01 10:45
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

アンゲルさん


 あけましておめでとうございます。
 一応、本人がよろしいのであれば、どのタイミングでも改造は可能ですよ。

Re: デュエル・マスターズ メソロギィ 第二回オリキャラ募集 ( No.297 )
日時: 2014/01/01 11:56
名前: アンゲル ◆Ub.tayqwkM (ID: t5qrQfWq)

いや、もう書き始めて

書き直す必要がでるなら変えない予定なのですが?
大丈夫ですか?

デュエル・マスターズ メソロギィ 第二回オリキャラ募集 ( No.298 )
日時: 2014/01/01 12:09
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

アンゲルさん


 いえ、まだ七章はほとんど書いていないので、大丈夫です。
 もし書いている途中だったとしても、その時はそのデッキで戦わせて、改造後のデッキは次回に持ち越せばいいだけですしね。
 もしくは、デッキコンセプトを変えないのであれば、改造後のカードを書いている途中の話に入れてもいいですし。この作品のキャラクターのデッキは流動的で、時間の経過やその場その場の状況に合わせて変化する仕様になっていますので(勿論、その都度そのデッキを持つキャラが改造しているという設定ですが)デッキの内容を完全固定する必要はありませんしね。

デュエル・マスターズ メソロギィ 第二回オリキャラ募集 ( No.299 )
日時: 2014/01/01 14:42
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 夕陽とニャルラトホテプのデュエル。
 シールドはまだどちらも五枚。ターンも6ターンしか進んでいない。
 夕陽の場には《レッピ・アイニー》が一体、ニャルラトホテプの場にも《兵法のサトリ 孫子》だけだ。
 状況はまだどちらも準備段階という感じだが、夕陽はニャルラトホテプのマナゾーンに注目していた。
(相手のマナゾーンを見る限り、全部無色カード……まさか、ゼロ文明単色のデッキか?)
 無色のカードは全体的にコストが高く、クリーチャーの最低コストが4、呪文を含めても3コストなため、単色のデッキを作るとかなりスピードが遅くなってしまう。ゆえにあまり見かけないのだが、
「まあ、ありえない話ではないか。僕のターン、さっき《レッピ》で手札に入れた《超次元の手ブラック・グリーンホール》を発動! 開け、超次元門! 《勝利のプリンプリン》をバトルゾーンへ!」
 まず夕陽が先駆けて動き出す。超次元ゾーンより降り立ったのは、エイリアンの姫君《勝利のプリンプリン》だ。
「《プリンプリン》の能力で《孫子》をロック! 次のターン、《孫子》は攻撃できないから、殴り返しの心配はない。《レッピ》でシールドブレイク!」
 夕陽は攻撃面でも先手を取る。たった一枚とはいえ、シールドの枚数でも上回った。
「ターン終了だ」
「では、私のターンです」
 しかしたった一枚、ニャルラトホテプも焦りなどはまったく見せず、着々と場を進めていく。
「私は《ノウメン》を召喚します。無色のクリーチャーが出たので《孫子》の能力で一枚ドロー。ターンエンドです」
 《ノウメン》、能力こそないが、4マナのノーコストでパワー6000は、序盤の殴り返し要員としては優秀だ。
「でも、《ノウメン》を入れてるってことは、やっぱゼロ文明単色か。そいつが入るデッキは限られるからな」
「さて、それはどうでしょう?」
 フードを目深にかぶっているせいで、ニャルラトホテプの表情が口元でしか窺えない。とはいえ、この予想を疑う必要もないだろう。
「《ノウメン》のパワーは厄介だけど、コスト4ならこいつでどうだ? 《超次元ムシャ・ホール》!」


超次元ムシャ・ホール 火文明 (5)
呪文
相手のコスト4以下のクリーチャー1体を破壊する。
コスト7以下の火のサイキック・クリーチャーを1体、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出す。


 虚空から武者の斬撃が放たれ、《ノウメン》が切り裂かれる。同時に超次元の門も切り開かれた。
「開け、超次元の門! 《勝利のガイアール・カイザー》をバトルゾーンへ!」


勝利のガイアール・カイザー ≡V≡ 闇/火/自然文明 (7)
サイキック・クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 5000
スピードアタッカー
このクリーチャーは、バトルゾーンに出したターン、アンタップされているクリーチャーを攻撃できる。


 開かれた超次元の門から飛び出したのは、《勝利のガイアール・カイザー》。《勝利のプリンプリン》と合わせて、これでサイキック・セルが二体揃った。
「でもま、このまま攻めれば覚醒リンクする前にデュエルが終わるかもな。まずは《勝利のガイアール・カイザー》で《孫子》を攻撃!」
 《勝利のガイアール・カイザー》はバトルゾーンに出たターンのみアンタップキラーとなる。加えてスピードアタッカーなので、場に出た瞬間、《孫子》を破壊する。
「さらに《レッピ》でシールドブレイク! 続けて《プリンプリン》で——」
「ストップ! S・トリガー発動!」
 一気に攻め込もうとする夕陽だが、ここでS・トリガーによるストップが入ってしまう。
「そちらが《勝利のプリンプリン》なら、こちらはこれですよ。《逆転王女プリン》!」


逆転王女プリンセスプリン 無色 (5)
クリーチャー:ハンター/エイリアン 2000
S・トリガー
ガチンコ・ジャッジでこのクリーチャーを見せた時、またはこのクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、タップまたはアンタップする。


 収束する光の中から飛び出したのは、《勝利のプリンプリン》とよく似た——というか、背景ストーリー上は同一人物である《逆転王女プリン》だ。
「《プリン》の能力で、そちらの《プリンプリン》をタップします」
「っ、止められた……!」
 ここでニャルラトホテプのシールドを二枚に減らしておけば、次のターンに残った三体のクリーチャーでダイレクトアタックまで持ち込めたのだが、それは失敗に終わる。
「そして私のターン……さあ、ここからが本番ですよ」
 ニャルラトホテプが不敵に微笑む。その笑みに、夕陽は嫌な予感を覚える。
「呪文《戦慄のプレリュード》です。これで次の召喚する無色クリーチャーのコストを5減らします。私のマナは残り2マナなので、7マナの無色クリーチャーまで出せますね」
 しかし無色中心のデッキで、このターンの《プレリュード》はよくあることだ。ゼロ文明のカードにはコスト7のクリーチャーが多く、また質も良い。そのため、5マナ溜まった時点で《プレリュード》から7マナの強力な無色クリーチャーを呼び出すのは、当然とも言える。
 しかし呼び出されたクリーチャーは、普通とも当然とも言えなかった。

「新たなる時代を壊せ、そして構築せよ——《神聖鬼 デトロイト・テクノ》!」

 戦慄を感じさせる前奏曲が流れた後、オラクルによって生み出された人造の神が姿を現す。
 そのクリーチャーは神官という立場からか、他のオラクリオンとは一線を画す。巨人のような姿をし、その容貌を鬼を彷彿させる。
「《デトロイト・テクノ》を召喚し、《プリン》で《勝利のプリンプリン》を攻撃、相打ちで破壊です」
「くっ……!」
 サイキック・セルを破壊され、呻く夕陽。しかしまだシールドの枚数ではこちらが勝っている。
「とりあえず《デトロイド・テクノ》を止めたいけど……」
 残念なことに、手札に超次元呪文はない。そもそも手札自体枯れつつある。火、自然、闇の構成である以上、手札補充がし難いのは仕方ないのだが。
「僕のターン……二体目の《レッピ・アイニー》を召喚。山札の上二枚を墓地へ」
 墓地に落ちたのは《超次元フェアリー・ホール》と《爆竜フレームシヴァXX》の二枚。
「よしっ、墓地に落ちた《フェアリー・ホール》を回収だ。さらに一体目の《レッピ》でシールドブレイク!」
 《レッピ》は殴り返しで破壊されてしまうが、これでニャルラトホテプのシールドは残り二枚。《勝利のガイアール・カイザー》で攻撃しないのは、まだシールドが二枚残っていることと、覚醒リンクも見てのことだ。
 しかし【師団】の四天王と言うだけあり、ニャルラトホテプも甘くはない。ここに来て、本格的に動き始めた。
「では、私のターンです。残念でしたね、ここまでで攻め切れなかったあなたが私に勝てる見込みは、限りなくゼロに近いですよ」
 カードを引きつつ、そんなことを言うニャルラトホテプ。確かに速めのビートダウンデッキである夕陽が、このターンでまだシールドを三枚しかブレイクできていないのは痛手だが、そこまで言われることもないだろうと思う。
 彼女が、天頂の存在を呼び出すまでは。
「とりあえず手札を一枚マナチャージします。これで私のマナは6マナ、ここで《神聖鬼 デトロイト・テクノ》の能力が発動します」


神聖鬼 デトロイト・テクノ 無色 (7)
クリーチャー:オラクリオン 7000
W・ブレイカー
自分のマナゾーンで無色カードをタップする時、そのうちの好きな枚数のカードの、マナの数字を2にしてもよい。


 《神聖鬼 デトロイド・テクノ》の能力。それは、マナゾーンのゼロ文明のカードからは2マナ生み出せるというもの。色を出せない無色のカードゆえに多く積むことはできないのだが、極端な話、マナゾーンのカードがすべて無色のカードなら、マナが倍増したのと同じ効果を得られるのだ。
 そしてニャルラトホテプのマナは、すべて無色。6マナ溜まったということは、12マナ溜まったことと同義なのだ。さらに12マナということは、
「マナゾーンカードをすべてタップ、すべてのマナを使用し、このクリーチャーを召喚します——」
 刹那、おぞましい瘴気のようなものが夕陽の肌を撫で、その圧倒的な負の力に恐怖を感じる。
 そして今ここに、呪の感情が寄り集まった天頂の存在が、降臨する。

「——《「呪」の頂 サスペンス》!」

デュエル・マスターズ Mythology ( No.300 )
日時: 2014/01/02 02:30
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

「呪」の頂 サスペンス 無色 (12)
クリーチャー:アンノウン/ゼニス 16000
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、相手のシールドまたは手札からカードを2枚見ないで選ぶ。相手はそれを見せる。その中の呪文を、自分がコストを支払わずに唱え、持ち主の墓地に置いてもよい。その後、相手は見せたカードの残りを自身の墓地に置く。
T・ブレイカー
エターナル・Ω


 現れたのは、《「呪」の頂》と呼ばれる天頂の存在——即ちゼニス、《サスペンス》だ。
 ゼニスはいずれも10マナ以上の超大型種族で、そのマナコストに見合った強力な能力を備えているが、代わりに能力を発動させるためには召喚してバトルゾーンに出さなければならないことが多い。なのでリアニメイトなどのコスト踏み倒しによる裏技を使っても、意義が薄いのだ。
 しかし逆に言えば、普通に召喚できれば一発で場を制圧できるほどの力があるのも確かだ。そのためマナ加速やコスト軽減——前者は流、後者は九頭龍が組み込んでいる——などで早期に召喚する構築が主流だが、ニャルラトホテプは一風変わった方法でそれを実践した。
 それが《神聖鬼 デトロイト・テクノ》だ。5マナある状態で《戦慄のプレリュード》から《デトロイト・テクノ》を召喚することで、次のターンには6マナ。その6マナがすべて無色なら、12マナもある非進化ゼニス最大の《サスペンス》をスムーズに召喚することができるようになるのだ。
「くそっ、こんな流れるようにゼニスが出て来るなんて……!」
 歯噛みする夕陽。しかしこうなってしまったからには仕方ない。
「《サスペンス》の能力発動。あなたのシールドを二枚、墓地へと送り込みます」
 次の瞬間《サスペンス》の両腕から灼熱の業火が放たれ、夕陽のシールドを二枚燃やし尽くす。しかしそのうちの一枚は、暗い光を放った。
「運が悪かったようですね。《サスペンス》の能力で、墓地に送ったカードの中に呪文があれば、コストを支払わずに唱えます。では……《超次元ムシャ・ホール》発動!」
 墓地へと落とされたシールドのうち一枚は《超次元ムシャ・ホール》。虚空より放たれた斬撃が、前のターンに召喚した《レッピ・アイニー》を切り裂く。
「《ムシャ・ホール》の効果でコスト4以下の《レッピ・アイニー》を破壊。そして超次元ゾーンから、コスト7以下の火文明サイキック・クリーチャーを呼び出します。開け、超次元の門」
 今まで夕陽の傍で開いていた超次元へと続く扉。それが今は、ニャルラトホテプの傍で開かれる。
「《流星のフォーエバー・カイザー》をバトルゾーンへ!」


流星のフォーエバー・カイザー ≡V≡ 火文明 (6)
サイキック・クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター 6000
相手のサイキック・クリーチャーは、プレイヤーを攻撃できない。
W・ブレイカー


 流星の如く超次元の扉を突き破って出て来たのは、蒼い龍。永遠なる超次元の力を得た《リュウセイ・カイザー》だ。
(こいつ、まさか……!)
 ここでサイキック・クリーチャーが出て来ることも驚きだが、それ以上に呼び出したのが《フォーエバー・カイザー》だということが、夕陽に一つの仮説を立てさせる。
(ゼロ文明に超次元呪文はない、ゼロ文明のサイキック・クリーチャーも勿論いない。だけど、超次元ゾーンは墓地なんかと同じで公開されてるゾーンだから、ブラフとして超次元呪文やサイキックを呼び出すクリーチャーを積んでいなくても、もっと言えばサイキックを使うつもりがなくてもサイキック・クリーチャーを入れているデッキはある。だけどこいつには、《サスペンス》がいる)
 完全に相手依存になるが、相手によっては今の夕陽のように超次元呪文がヒットし、そのまま唱えられてしまうことだってあるだろう。だからこそそのケースを想定し、サイキック・クリーチャーを入れていたのだと思われる。
 さらに呼び出したのがサイキックの攻撃を止める《フォーエバー・カイザー》だ。超次元呪文がヒットする確率は、相手が多く超次元呪文を積んでいるほど、つまりサイキックをメインにしたデッキであるほどヒット率が高くなる。そしてそのようなサイキックをメインにしたデッキにとって、サイキックの攻撃を止められるのは相当な痛手となるのだ。
(《フォーエバー・カイザー》はサイキック相手には刺さるサイキック・クリーチャーだ。と言っても、中途半端なコストから火文明入りのデッキでもないと呼び出すことは難しい。八枚しか入れられない超次元ゾーンで、数あるサイキックの中でもそのクリーチャーを選んだということは……)
 こちらのデッキが読まれている。夕陽はそう考えるのだった。
(こっちの手が透けてるって言うのか。これも情報網って奴なのか……なんにせよ、サイキックで攻撃できなくなったのは厳しいな)
 夕陽のデッキは攻撃のほとんどをサイキックに依存している。普通のアタッカーも入ってはいるものの、いつもの連ドラのようなデッキに入れている《コッコ・ルピア》などのコスト軽減や《エコ・アイニー》といったマナ加速のファイアー・バードがいないため、召喚して攻撃するには時間がかかるのだ。
「さて、ここまで来れば心配はいらないでしょう。《デトロイト・テクノ》で《レッピ・アイニー》に攻撃です!」
 《デトロイト・テクノ》は手を突き出し、《レッピ》に向けてまがまがしい波動を放つ。さらに、
「アタック・チャンス発動《黄泉秘伝トリプル・ZERO》!」
「なにっ……!?」
 驚きを見せる夕陽。驚きと言うよりは、辛い表情とでもいうのか。
 《トリプル・ZERO》の能力でニャルラトホテプのシールドは三枚に回復。さらにコスト6以上の無色クリーチャーがいるので、手札もマナも追加された。たった一枚の呪文で、一気に夕陽の状態は厳しくなる。
「さあ、これで私はターン終了です。あなたのターンですよ」
「くそっ……!」
 《レッピ》も破壊され、《勝利のガイアール・カイザー》だけが残される。だがその《ガイアール・カイザー》は《フォーエバー・カイザー》の存在により相手プレイヤーを攻撃できない。
「……とりあえず、《サスペンス》の攻撃は止めないと、次のターンにとどめを刺される。呪文《超次元フェアリー・ホール》!」
 マナを一枚追加し、超次元ゾーンから次なるサイキック・クリーチャーが呼び出される。
「《勝利のプリンプリン》をバトルゾーンに! 効果で《サスペンス》をロック!」
 とりあえずはこれで、次のターンにスピードアタッカーが出ない限り、とどめまでは刺されなくなった。
「でも、本当にただのその場凌ぎだよな……《超次元キル・ホール》を発動。《時空の踊り子マティーニ》をバトルゾーンに出して、ターン終了だ」
 今度は軽量超次元呪文で小型ブロッカーを呼び出し、防御の構えを取る夕陽。とにかく今は時間を稼ぎ、活路を見出すしかないのだ。
「ですがその時間稼ぎ、どこまで持ちますかね……私のターンですよ」
 幸いにも、ゼロ文明にスピードアタッカーの能力を持つクリーチャーは少ない。ついでに除去カードもあまり多くないので、最低でもこのターンは耐えられるだろう。
「《デトロイト・テクノ》がいるので、無色カードからは2マナ生み出せます。まずは4マナで《真実の名 白金の鎧》を召喚。マナを追加し、さらに4マナで《真実の名 修羅丸》も召喚です」


真実のトゥルーネーム 修羅丸 無色 (7)
クリーチャー:ヒューマノイド/アンノウン 6000
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目をすべてのプレイヤーに見せる。そのカードが進化ではない無色クリーチャーであれば、バトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー


「うわっ、アタッカーが増えた……しかも片方は《修羅丸》か……」
 続けざまにアタッカーを増やされてしまった。しかも《修羅丸》は後続の無色クリーチャーをさらに増やし、しかも無色単色デッキならほぼ確実に踏み倒されるため、かなりきつい。
「さて、ここからどうしましょうか……ブロッカーは早めに潰しておきたいのは当然として、トリガーを踏む可能性を考慮している場合でもないですよね。ですがパンプアップやスピードアタッカーによる殴り返しで《フォーエバー・カイザー》がやられてしまったら元も子もありません。では……《デトロイト・テクノ》で攻撃、Wブレイクです!」
「《マティーニ》でブロック!」
 とりあえず初撃はブロックする。《マティーニ》は破壊されて超次元ゾーンに戻り、夕陽は次なる攻撃に備えるが、
「ターン終了です」
 ニャルラトホテプは追撃せず、そのままターンを終えてしまった。
(さっきなんかぶつぶつ言ってたし《フォーエバー・カイザー》の殴り返しの可能性を考慮してのプレイングか。それに関してはなんとも言えないけど、シールドが減らされないなら好都合だ)
 なぜなら、その分夕陽はS・トリガーに期待できる。少なくともこのターン生き残れただけでも行幸だ。
(それに、ここであの超次元呪文が来れば……!)
 狙いのカードが来ることを祈りながら、夕陽は次のカードをドローする。


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