二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ Mythology
- 日時: 2015/08/16 04:44
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)
初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。
本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。
投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。
目次
一章『神話戦争』
一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33
二章『慈愛なき崇拝』
一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78
三章『裏に生まれる世界』
一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101
四章『summer vacation 〜夏休〜』
一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148
五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』
一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207
六章『旧・太陽神話』
一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292
七章『続・太陽神話』
一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404
八章『十二神話・召還』
一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424
九章『聖夜の賢愚』
一話『祝祭の前夜』
>>425
二話『双子の門番』
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争』
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲』
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447
第十章『月の下の約束です』
一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508
第十一章『新年』
一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573
十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』
一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610
十三章『友愛「親友だから——」』
一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637
コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』
一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482
デッキ調査室
№1『空城夕陽1』 >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137
人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.105 )
- 日時: 2013/08/17 17:55
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
モノクロは夏休みの境界線が分からなくなりつつあり、色々と大変なことになっております。
青単速攻は昔よく苦戦していたので、自分で動かしてみてなかなか面白かったです。やっぱり《パラダイス・アロマ》は殿堂入りして正解ですね、あれが四体いたら恐ろしいことに……
やっぱり最初は切り札の《マクスウェルZ》を強調したかったので、デッキ内がほとんど呪文というピーキーなデッキを相手にしてみました。《スーパー・スペル・グレートブルー》も使ってみたかったですし。
最後に出てきた二人は、今作でかなり重要な立ち位置にいる二人です。そのうち正体が明かされると思うので、その時をお楽しみに。
いろいろと考えた結果、なんだか普通の名前になってしまいました。個人的に「アミ」という語感が好きだからこうなったんですけど。
個人的にはツンデレなるものはあまり好きではないですが、こういうキャラが一人欲しかったので、彼女にその枠に座ってもらうこととなりました。
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.106 )
- 日時: 2013/08/18 03:57
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
「——なるほど、つまりお前たちは最終的に《ヴィーナス》を手に入れたということか」
「まあ、そうなるかな」
『炎上孤軍』こと火野亜実の素性を知り、夕陽は亜実と雑談に興じていた。雑談というよりは、“ゲーム”に関する世間話、もしくは近況報告や情報交換と言い換えてもいいだろう。
「しかし、お前たちも相当こちらの世界に深入りしているな」
「? どういうことだよ」
「そのままの意味だ。《太陽神話 サンライズ・アポロン》《焦土神話 フォートレシーズ・マルス》《萌芽神話 フォレスト・プロセルピナ》《賢愚神話 シュライン・ヘルメス》《慈愛神話 テンプル・ヴィーナス》……十二枚しか存在しない『神話カード』のうち五枚をお前たちが持っている。五枚というとほぼ半分だ。一つの組織がここまでの枚数を所持していることは、相当稀有だ。【ラボ】は知らんが、あの【師団】ですら《プロセルピナ》を奪われる前は四枚だった。それを数ヶ月で五枚とは」
言われてみれば、確かにそれはかなりの功績なのかもしれない。だが基本的に戦闘を回避したい夕陽たちにとっては、その功績も嬉しくなかった。
「『昇天太陽』、お前の名前が広まっているのは《アポロン》の存在があってこそ、それと青崎が言い回ったことが原因で、実績が伴っていない異名だった。だが、こうなってくると話は別だ。実際、《プロセルピナ》や《ヘルメス》の所有者にも、異名がつけられているようだしな」
「え? そうなの?」
というか、その異名は誰が決めているのか、と疑問に思ったりもするが、それはひとまず置いておく。
「ああ。《ヘルメス》の方はまだ未決定だが、《プロセルピナ》は【師団】のミウ・ノアリク……『白虹転変』を退けたと聞く」
「あぁ……いやでも、あれは……」
夕陽も実際にその様子を見ていたわけではないが、あの時ミウを倒したのはこのみではなく、一緒に補習を受けていた零佑だ。誰が情報を改竄したのだろうか。
「確か……『萌芽繚乱』だったか。次々とクリーチャーを展開する様を花が芽吹き、咲き誇る様子に喩えてこう名付けられたらしい。あとは萌芽神話から取っているのだろう」
「あ、異名ってちゃんと意味あったんだ」
隠語的な感じで、適当に付けていると思っていた夕陽。まさかそこまでしっかりした理由があるとは思わなかった。
「しっかし、このみがなぁ……あいつ、そんな大層な異名を付けるような奴じゃないよ?」
ミウを撃退した時に知り合った先輩の影響を受けてか、このみも二つ名的なものが欲しいと言い出すようになったのでタイミングはいいのだが、しかしどうも釈然としない。
「基本的に、『神話カード』を所持している者には異名がつけられるものだ。むしろ、『神話カード』を持っていなければ相当な実力がないと異名などつけられない。【神格社界】のランク制度で言えば、最低でもAランク以上はないと無理だ」
「なんだよ、ランクって……ていうか、それはつまりあれか? 実力がなくても『神話カード』さえあれば有名人、ってことなのか?」
「そういうことになるな。ま、と言っても実力がなければ『神話カード』を手に入れることはできないからな。『神話カード』を持つことと実力の高さはほぼ等号で結ばれるものだ」
と、その時。
「果たして、本当にそうかな?」
扉の付近から、声が響いてきた。
音源を辿ると、そこには一人の男の姿。季節外れな茶色いコートに同色の帽子、口にはパイプを咥えており、左手には文庫本を携えている。
(『緋色の研究』……シャーロック・ホームズシリーズの最初の作品、だっけ)
彼が手にしている書籍と結びつけたというのもあるのだろう、その男の意匠に夕陽は、探偵という二文字を連想した。
「殺人トリックのように策を巡らせれば、実力がなくとも『神話カード』を手に入れることは可能だ。ゆえに、安易に『神話カード』を所持していることと実力をイコールで繋げないでほしいものだ」
「てめぇは……!」
その男を見るや否や、亜実は怒ったような険しい表情を見せる。
「……誰、この人?」
そんな亜実に若干の恐怖を感じつつ、耳打ちするように尋ねる夕陽。だがその問いに答えたのは、亜実ではなかった。
「おっと、自己紹介なら自分でするよ。他人の紹介で情報が錯綜してほしくないからな。僕は和登栗須、呼ばれるところでは『深謀探偵』とも呼ばれている。そこにいる『炎上孤軍』と同じ【神格社界】に属する者だ」
男、栗須はそう名乗った。
「おい和登、なんでてめぇがこんなとこにいるんだよ」
つとめて冷静な栗須に対し、亜実はあからさまに敵意を向き出しているが、
「おいおい、そんなことも分からないのか? 僕がここにいる理由なんて、情報さえあれば子供でも分かる。自分の持ちうる情報から少しは推理したらどうだ?」
嘲笑的な物言いで返される。その言い分に、亜実はますます表情を険しくした。
「まあしかし、答えを待つほど僕も暇ではないのでな。そこにいる『昇天太陽』に宣言する意味も込めて、言っておこう」
「え、僕?」
急に名指しされた夕陽に構わず、栗須は続ける。
「僕は個人で『神話カード』を集めている、【神格社界】に加盟しているのも『神話カード』を探すため。残念ながらまだ一枚も蒐集できていないのだが、今回、その『神話カード』を手に入れるにあたって貴様から頂きに来たのだ、『昇天太陽』」
冗長に語られたが、要するに夕陽の持つ『神話カード』を狙っている、ということなのだろう。
「そういうわけで、早速始めようではないか」
言いながら栗須は夕陽へと歩み寄ろうとする。しかしそれを阻害する者が一人、そこにいた。
「おい、待てよ」
亜実だ。鋭い眼光で栗須を睨み付けている。
「なんだ、貴様に用はない。まだ《マルス》を所持していた貴様なら価値があったが、『神話カード』を持たない貴様と争ったところで、なにひとつ利益がない。退け」
「てめぇに利益がなくても、あたしにとってはあるんだよ。【神格社界】に属する以上、喧嘩の押し売りに文句垂れんな」
「他に明確な相手がいないならともかく、今この場において貴様の相手をしている暇はないと言っているのだ。貴様の行いは押し売りではなくただの邪魔だ。その上で言おう、邪魔するな」
「知ったことか。てめぇのことは昔っから気に喰わなかったんでな、邪魔するだけ邪魔してやるよ」
明らかに険悪な雰囲気の二人。同じ組織に属していても、こうまでそりが合わないとなると、確かに【神格社界】はまとまりのある組織ではないようだ。
「そもそも、貴様は僕に挑むだけの力があるのか? 『神話カード』を手に入れ、異名を付けられて浮かれていたようだが、貴様のランクはその時でもA+、『神話カード』を失った今は二段階落とされてB++だ。A+ランクの僕には敵わないだろう。そのくらい推理できないのか?」
「ほざけ。あたしらの世界は下剋上の世界だ、いつまでも高い地位で悠々としてられると思ってんなよ。それに下位の奴が上位の奴に挑むことのどこがおかしい? この世はそういうものだ。戦争でも、如何に相手との勢力の差を、知略で埋めるかが勝敗を決める鍵になるんだ。自惚れるな」
「……なんだか僕、置き去りにされてるな……」
ひたすら言い争う亜実と栗須を眺めている夕陽。決着のつかない押し問答が続くが、やがて諦めたように、しかし自信に満ちた傲慢な態度で、栗須が退いた。
「——良いだろう、そこまで言うなら相手になってやろう。貴様程度でも、『昇天太陽』と戦う前の肩慣らしにはなるだろうしな」
「言ってろ。なんだかんだ言って『神話カード』を一枚も集められてないてめぇなんざ、恐れる要素はなにひとつない」
二人はほぼ同時にデッキケースを取り出し、中からデッキを抜き取る。
「ぶっ潰してやる。行くぞ!」
「ああ。デュエマスタートだ!」
そして次の瞬間、二人の間の空気が、変貌する。
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.107 )
- 日時: 2013/08/29 01:40
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
同じ【神格社界】に属しながらもそりが合わず、論争の果てに行われることとなった亜実と栗須のデュエル。
互いにまだシールドは五枚あるが、栗須の場には何もなく、亜実の場には《電磁翔天ピピッピ》が一体。
(奴のデッキはコントロール色が強い、下手に長引かせるとこっちが不利になるか)
先攻亜実の5ターン目、亜実はこの時点で積極的に攻撃する方針に決めた。
「《腐敗電脳ディス・メルニア》を召喚! 《ピピッピ》でシールドブレイク!」
《ピピッピ》は攻撃の際に山札を捲り、進化クリーチャーなら手札に入るが、残念ながら捲れたのは進化クリーチャーではなかった。
だがそれでも、亜実の先制攻撃が決まる。
「ふん、たかだかシールドを一枚割った程度で調子に乗るなよ。S・トリガー発動! 《ミラクルとミステリーの扉》!」
ミラクルとミステリーの扉 水/自然文明 (5)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
S・トリガー
自分の山札の上から4枚を表向きにする。その中から進化クリーチャー以外のクリーチャーを1体相手に選ばせ、バトルゾーンに出す。残りを好きな順序で自分の山札の一番下に戻す。
早速踏んでしまったS・トリガー。効果で捲れた四枚のカードは《クリスティ・ゲート》《腐敗無頼トリプルマウス》《悪魔聖霊アウゼス》《デーモン・ハンド》だった。
「こんなもの、選択肢なんてあってないようなものだな。《トリプルマウス》を選択する」
「まあそうだろうな。運が良かったな、もっと大型クリーチャーが出ていた可能性もあったのだから。《トリプルマウス》の効果でマナを溜め、手札を破壊する。そして僕のターン、《ライフプラン・チャージャー》を発動し、マナを溜めつつ《偽りの羅刹 アリバイ・トリック》を手札に加え、ターンエンドだ」
まだ栗須に大きな動きはない。しかしもう6マナも溜めており、着実に準備を進めていた。
「そろそろ動き出す頃か……《セブ・コアクマン》を召喚。効果で山札の上から三枚を捲り、《襲撃者ディス・ドライブ》と《ボーン・おどりチャージャー》を手札に入れ、《爆裂マーズ・ギル・ヒドラ》を墓地へ。そして《ピピッピ》と《ディス・メルニア》でシールドブレイク!」
二体のクリーチャーによる攻撃で、栗須のシールドは残り二枚。しかも。《ピピッピ》の能力で《魔水晶スタートダッシュ・リバイバー》を手札に入れられた。
しかし、
「S・トリガー発動《ミステリー・キューブ》!」
《ミステリー・キューブ》。山札をシャッフルし、一番上のカードを捲る。それがクリーチャーなら、タダで場に出せる呪文だ。
「その効果で……おっと、このクリーチャーが出たか。《怪盗パクルパン》」
少しずつクリーチャーを増やしていき、栗須のターンが訪れる。
「僕のターン。まずは《エメラル》を召喚し、手札とシールドを入れ替える。そして次にこの呪文を発動だ。《クリスティ・ゲート》!」
クリスティ・ゲート 光文明 (3)
呪文
S・トリガー
自分のシールドをひとつ見る。その中から、進化ではない光のデーモン・コマンドを1体、バトルゾーンに出してもよい。
カードを1枚引く。
「遂に来たか……!」
歯噛みする亜実。
残り二枚のシールドのうち、栗須が選んだのは先程《エメラル》でカードを入れ替えたシールドだ。
「不可思議の門から現れよ、誤読の悪魔! 《偽りの羅刹 ミスディレクション》!」
偽りの羅刹(コードファイト) ミスディレクション 光文明 (8)
クリーチャー:デーモン・コマンド/アンノウン 9000
自分のコマンドが相手プレイヤーを攻撃してブロックされなかった時、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
W・ブレイカー
「光のデーモン・コマンド……早めに対処しないと、危険だな」
「そんな余裕を与えると思っているのか? 僕のトリックはもう始まっているのだよ。まずは《トリプルマウス》で《ディス・メルニア》を攻撃!」
《トリプルマウス》が《ディス・メルニア》に噛み付く。パワーは《トリプルマウス》の方が高いが、《ディス・メルニア》のスレイヤー能力で共に破壊される。
「続いて、《パクルパン》でシールドブレイク。この時、《ミスディレクション》の効果が発動し、シールド追加。そしてターンエンド、《パクルパン》の効果でもう一枚、シールドを追加させてもらうよ」
残り一枚まで削れたシールドを、栗須は三枚まで回復させた。大型クリーチャーも並び、スレイヤーは破壊され、亜実にとってはあまりよくない状況だ。
「だがこれで5マナ溜まった、こいつが出せる。《セブ・コアクマン》進化、《魔水晶スタートダッシュ・リバイバー》!」
魔水晶スタートダッシュ・リバイバー 水/闇文明 (5)
進化クリーチャー:リキッド・ピープル/ゴースト 7000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化—自分の水または闇のクリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、コスト3以下のクリーチャーを1体、自分の墓地から選び、バトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー
「《スタートダッシュ・リバイバー》の効果で墓地の《ディス・メルニア》を復活! 《パクルパン》を攻撃だ!」
《スタートダッシュ・リバイバー》の攻撃を受け破壊される《パクルパン》。
「続けて《ピピッピ》でシールドブレイク!」
スレイヤーでブロッカーの《ディス・メルニア》が睨みを利かせているため、殴り返しを気にせずに攻撃できる。《ミスディレクション》の効果も、攻撃がブロックされなかった時にしか発動しないため、ブロッカーがいるだけで発動を制限できる。
このままクリーチャーを並べて一気に押し切ってしまおうと思っていた亜実。だが、そう上手くは行かなかった。
「S・トリガー《ミステリー・キューブ》! 次はどのクリーチャーが出るかな?」
「くっ……!」
栗須の山札がシャッフルされ、その一番上が公開される。
悪魔聖霊アウゼス 光/闇文明 (6)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/デーモン・コマンド 6500
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
シンパシー:エンジェル・コマンドおよびデーモン・コマンド
自分のエンジェル・コマンドまたはデーモン・コマンドが攻撃する時、相手のタップされているクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカー
「《アウゼス》だと……くそっ!」
「なかなか良いタイミングで出て来てくれたようだな。行くぞ、僕のターン。《アウゼス》で《ピピッピ》に攻撃、そして効果で《スタートダッシュ・リバイバー》を破壊!」
《アウゼス》の繰り出す衝撃波で《スタートダッシュ・リバイバー》が破壊される。そして《ピピッピ》も破壊するために、その剣を振りかぶった。
(どうする、《アウゼス》がいるとこっちはクリーチャーを展開しづらくなるが、《ミスディレクション》に攻撃されると、また奴のシールドが増える。そうなると、攻める手段がビートダウンに近いこのデッキが不利になる……通すか)
しばし逡巡し、亜実は《アウゼス》の攻撃をブロックせず、《ピピッピ》は破壊された。
「ほぅ、そう来るか。ならばターンエンドだ」
(やっぱ攻撃しないか)
栗須としても《ミスディレクション》は失いたくないだろう。次のターン、《アウゼス》が破壊される危険を伴っても、シールド回復手段は残しておきたいようだ。
「だがそれも、いつまで持つか。《ブレイン・チャージャー》発動、カードを一枚引き、このカードをマナへ。そしてこいつを召喚だ。出て来い《襲撃者ディス・ドライブ》!」
《襲撃者ディス・ドライブ》。スピードアタッカーにスレイヤーがついた闇と火の多色エイリアン。
《ディス・メルニア》が守りを固めつつ、ブロッカーをすり抜けて確実に相手を道連れにするのであれば、《ディス・ドライブ》はそのスピードで奇襲をかけ、攻めつつ道連れにする、といった役割の違いがある。
なんにせよ《ディス・ドライブ》はスピードアタッカーですぐに攻撃できる。すぐに攻撃できるということは、
「《ディス・ドライブ》で《アウゼス》に攻撃!」
「スレイヤーで道連れを狙った、自爆特攻か……!」
栗須の言う通り、《ディス・ドライブ》は《アウゼス》に特攻をかけ、スレイヤー能力で道連れにする。
「さっきからスレイヤーばかり出してこちらの道連れを誘うとは、まるで殺人鬼だな。それも犯行を隠匿する切り裂きジャックのような類ではなく、数で押すしか脳のない雑兵のようだ」
「確かに戦場に立った兵士は駒だ、使い捨てられる事も多い。だが、駒には駒としての役目がある、無駄なことなどなにひとつとしてない」
栗須の言葉に対し、静かに反論する亜実。こういうところでも、二人は反発しあっている。
『炎上孤軍』対『深謀探偵』、相容れず、二律背反のような二人の力は、今のところ拮抗している。
しかしこの危うい戦況は、たった一つの強大な存在が現れるだけで、容易く崩れ去るのだった。
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.108 )
- 日時: 2013/08/30 07:10
- 名前: タク ◆XaammrlXPk (ID: 0.DI8Vns)
おはようございます。まず、オリキャラを登場させていただき、ありがとうございます。『炎上孤軍』の本名って、亜実っていうんですね。
にしても、栗須と亜実がここまで仲が悪いとは・・・・・・。デュエマの方も、一進一退の攻防が続いていますね。思った以上に、栗須はコスト踏み倒しを多用しますね。まあ、大型クリーチャーの多いデッキでは仕方ないでしょう。
次回の更新も楽しみにしています。それでは、また。
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.109 )
- 日時: 2013/09/15 13:11
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
タクさん
返信が遅れて申し訳ない。遂にモノクロは舞い戻ってきました。
亜実の本名に関しては、わりと適当につけています。アーミーズという語感からの連想です。
モノクロも、当初はここまで険悪にするつもりはなかったのですが、いつのまにかこうなっていました。
一応、実力的には栗須の方が上ですが、亜実も必死で喰らいついている感じですかね。栗須のデッキに関しては色々と考えたのですが、とりあえずはコスト踏み倒しを絡めたデッキにしてみました。
頻繁には更新できないと思いますが、多忙な日々はとりあえず過ぎ去ったので、ちまちま更新していくことにします。それでは。
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