二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- デュエル・マスターズ Mythology
- 日時: 2015/08/16 04:44
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)
初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。
本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。
投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。
目次
一章『神話戦争』
一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33
二章『慈愛なき崇拝』
一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78
三章『裏に生まれる世界』
一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101
四章『summer vacation 〜夏休〜』
一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148
五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』
一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207
六章『旧・太陽神話』
一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292
七章『続・太陽神話』
一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404
八章『十二神話・召還』
一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424
九章『聖夜の賢愚』
一話『祝祭の前夜』
>>425
二話『双子の門番』
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争』
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲』
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447
第十章『月の下の約束です』
一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508
第十一章『新年』
一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573
十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』
一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610
十三章『友愛「親友だから——」』
一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637
コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』
一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482
デッキ調査室
№1『空城夕陽1』 >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137
人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.10 )
- 日時: 2013/06/30 13:34
- 名前: タク ◆COeo3uVOjE (ID: 39RfU1Y2)
どうも、タクです。クリーチャーが実体化するデュエマ。まさしく、デュエリストなら1度は想像した展開ですね。ただ、ヒューマノイド速攻が、夕陽のデッキで受けられるかどうか・・・・・・・。女のデッキも、なかなか於くが見えませんし。重量級のドラゴンデッキは、この手には弱いですからね。とにかく、今後の展開に期待です。では。
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.11 )
- 日時: 2013/06/30 15:31
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
- プロフ: http://dm.takaratomy.co.jp/card/search/
タクさん
ですよねぇ、デュエマのカードイラストもクオリティが高いですし、一度、全クリーチャーが動くところを見てみたいものです。
女のデッキは確かにヒューマノイド中心ですが、実は速攻じゃないんですよね。というか今作では、速攻デッキはあまりないと思います。
夕陽のデッキも、ドラゴンよりは、ファイアー・バードをメインに据えています。その理由は、後々明らかになると思いますが。
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.12 )
- 日時: 2013/06/30 16:11
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
- プロフ: http://dm.takaratomy.co.jp/card/search/
「《火之鳥ガルダン》でシールドをW・ブレイク!」
「《アクア・スーパーエメラル》でブロックだ!」
ターンが過ぎ、夕陽のアタックステップ。
互いにシールドは五枚、夕陽の場には《ボルシャック・NEX》《マッス・ルピア》そして《火之鳥ガルダン》。女の場には《アクア・スーパーエメラル》に《爆裂B—BOY》メテオバーンを使い切った《機神装甲ヴァルゲットⅢ》。
《火之鳥ガルダン》が複数の剣を構えて特攻するのを、《アクア・スーパーエメラル》が体を張って防御する。このターンにおける夕陽の初撃は失敗に終わってしまった。
しかし、今回は随分と起動が遅れたが、元々夕陽のデッキは、ファイアー・バードにドラゴンと進化を絡めたビートダウンデッキ。まだ攻撃は終わらない。
「まだだ! 《ボルシャック・NEX》でW・ブレイク!」
二撃目。《ボルシャック・NEX》が両翼を羽ばたかせて飛翔。背中の砲台にエネルギーを送り込み、超高熱の粒子を圧縮し、儚く散っていた火の鳥(戦友)の力を還元する。
次の瞬間、《ボルシャック・NEX》の砲台から灼熱の火炎弾が二発、発射された。炎は一直線に女のシールドへと飛来し、容易く貫いた。
「ぐっ……!」
シールドが割れる。比喩ではなく、薄透明に浮かんでいた五枚のシールドのうち二枚が、実際に砕け散った。その破片と思しきものが熱風と共に女に襲い掛かり、彼女の腕や脚、頬を切り裂く。
「なっ、え……?」
その光景に驚いたのは、むしろ夕陽だ。大怪我というほどではないが、女は体の各所から血を流している。服も焦げていた。
「……言ったはずだ。あたし達が戦っているこの空間は、擬似的なデュエル・マスターズの世界だと。クリーチャーは現実に召喚され、殺し合う。その殺し合いの対象は勿論、クリーチャーを操るあたし達も含まれる」
「そ、それって……」
つまり、今自分たちが行っていることは、デュエル・マスターズを使用した殺し合いということなのか。
「……まあ、シールドを破られればそれ相応の傷こそつくが、よほどのことは滅多にない。そもそも、一度の戦いで死ぬようでは、このゲームの意味も薄れる」
「ゲーム……?」
女の言葉で少しだけ安堵した夕陽は、しかしさらなる疑念を抱く。
だが、女はその疑念を解消する前に、動き始めた。
「くだらん話を挟んだが、お前の攻撃はこれで終わりだ。S・トリガー《めった切り・スクラッパー》!」
めった切り・スクラッパー 火文明 (7)
呪文
S・トリガー
相手のクリーチャーを、コストの合計が6以下になるように好きな数選び、破壊する。
「4マナの《ガルダン》と2マナの《マッス・ルピア》を破壊だ!」
攻撃が終わってタップ状態の《ガルダン》と、追撃の準備をしていた《マッス・ルピア》が、無数の鋭利な刃が剥き出しになったプレスに押し潰され、切り刻まれる。砕けた剣の破片、朱や白や緑の羽毛が飛び散り、一瞬でその二体は破壊されてしまった。
追撃を止められ、戦力が一気に削がれる夕陽。だが悪いことはまだ続く。
「もう一枚。S・トリガー《ドンドン吸い込むナウ》」
ドンドン吸い込むナウ 水文明 (4)
呪文
S・トリガー
自分の山札の上から5枚を見る。そのうちの1枚を相手に見せて手札に加え、残りを好きな順序で山札の一番下に置く。このようにして見せたカードが火または自然のカードであれば、バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻してもよい。
「デッキからカードを手札に加え、《ボルシャック・NEX》をバウンス」
「っ……!」
《ボルシャック・NEX》が吹き飛ばされるようにして手札に戻ってくる。これで夕陽のバトルゾーンからクリーチャーがいなくなってしまった。
「……ターン、エンドだ」
ターンの進行具合もあり、クリーチャーを追加することのできない夕陽はそのままターンを終える。
「あたしのターン。呪文《エナジー・ライト》、デッキからカードをドロー——」
デッキから引いた二枚のカードを見て、女はほんの少しだけ反応を見せる。だがそれも一瞬のことで、手札に加わった二枚のカードのうち一枚を引き抜き、マナを四枚タップする。
「——さらに《鬼姫モエル》を召喚。ターンエンドだ」
場にはサイキック・クリーチャーがいないため、当然ながら《鬼姫モエル》の効果は発動せず、女のターンは終了する。
(こっちにクリーチャーがいなくても攻撃しないのか。となるとやっぱり、手数で攻めるビートダウンじゃなくて、大型フィニッシャーで決めるコントロール系か。それにしても慎重すぎる気はするけど)
だが、その戦術に助けられているのは他でもない夕陽自身だ。こんな無防備な状態で一斉攻撃されたらたまったものではない。まだフィニッシャーとなるクリーチャーは来ていないようなので、今のうちに何とかしておきたいところだ。
(……! 来た!)
カードを引き、それを見た夕陽は心の中で歓喜する。時間はかかったが、ここで切り札を引けたのだ。
(《神羅ライジング・NEX》……!)
夕陽の切り札カード《神羅ライジング・NEX》。究極進化ということもあって彼のデッキで使うには少々重いが、それでも今まで幾度となく夕陽に勝利をもたらした相棒のようなカードである。
しかしそれでも究極進化。通常の進化クリーチャーと同じく進化元が必要だ。そしてその進化元は進化クリーチャー。通常の進化よりも圧倒的に手間がかかる。
(でも、タイミングの良いことに手札にはこいつがいる。少し勿体ない気もするけど、構うものか)
夕陽はデッキの一番上をめくり、それがクリーチャーであることを確認してから手札のカードを一枚抜き取る。
「デッキ進化《火之鳥ペリュトン》!」
火之鳥ペリュトン 火文明 (5)
進化クリーチャー:ファイアー・バード 3000
デッキ進化—自分の山札の上から1枚目を表向きにする。そのカードがクリーチャーであれば、このクリーチャーをその上に重ねつつバトルゾーンに出す。それカードがクリーチャー以外であれば、このクリーチャーを自分の手札に戻す。
このクリーチャーが破壊された時、このクリーチャーの進化元であったカードを1枚、墓地からバトルゾーンに出してもよい。
「さらに《ルピア・ラピア》を召喚。《ペリュトン》でシールドをブレイク!」
《ペリュトン》が炎を纏い、女のシールドへと特攻する。一直線に飛ぶ《ペリュトン》の体当たりでシールドは砕け散り、女の手札に収まった。
「……あたしのターンだ」
女は残りシールドが二枚という状況でも、顔色一つ変えない。どころか、むしろ自信に満ちた雰囲気すらある。
夕陽がそれを感じたところで、女が口を開く。
「今から見せてやろう。このゲームの本質——その意義を。戦争のようなゲームそのものを」
そして女は、バトルゾーンのカードを重ねていく。《爆裂B—BOY》の上に《鬼姫モエル》を、そしてその上に《機神装甲ヴァルゲットⅢ》を、流れるように重ねていく。
最後に手札から一枚のカードを抜き取り、重ねられたカードの束、その頂上部に、叩きつける。
「進軍せよ、爆炎の神よ! 右の剣は大地を割り、左の槍は天を衝き、命の源を焼き払え!」
刹那、突風が吹き荒ぶ。それもただの突風ではない、熱風を孕んだ、凄まじい圧力を感じる風だ。
(なんだ、この感じ……!)
途轍もない熱風だというのに、夕陽の背筋には冷たい何かが通る。不吉な気配を察しながら、夕陽はただ、その行く末を見ることしか出来なかった。
「神々よ、調和せよ! 進化MV(メソロギィ・ボルテックス)!」
召喚されたカードの周りに、炎が渦巻く。
そして、
「《焦土神話 フォートレシーズ・マルス》!」
爆炎の中から現れたのは、全身にこれでもかというほどの重火器を背負った人型のクリーチャー。両手両脚にはレーザー砲、脇からはガトリング砲、背中にはミサイルポッド、他にも多種多様な火器がところせましと装着されている。その中でも原始的な武器が二つ。右手には剣、左手には槍を持ち、どちらも炎に包まれている。
その姿は、まるで戦争の姿を体現した軍神のようだった。
「な、なんだ、このクリーチャー……?」
現れた謎のクリーチャーを見上げる夕陽。直感だが、このクリーチャーは危険だと、脳にシグナルが送られてくる。だが今更そんな信号が出たところで、意味はない。
「行くぞ。《焦土神話 フォートレシーズ・マルス》で、シールドをT・ブレイク!」
最初の瞬間、軍神は全ての砲口をこちらに向ける。さらに次の瞬間、軍神は虚空に剣を薙ぎ、槍を突いた。最後の瞬間、薙がれた剣から発せられた炎と、突かれた槍から飛ばされた炎が、レーザーや銃弾やミサイルと共に、夕陽を守るシールドを粉砕した。
「ぐ、う、あぁ……!」
凄まじい熱風が夕陽に襲い掛かる。その勢いは軍神が召喚された時の比ではない。本当に体が焼かれてしまいそうだった。さらに割れたシールドの破片も一緒に飛散し、夕陽の肉体を切り刻む。
「くっ、はぁ、はぁ……!」
全身を走り抜ける激痛に呼気が荒くなる。しかも一撃で三枚のシールドが破られてしまった。
その時、破られた三枚のシールドのうち二枚が、光を発しながら夕陽の手元に渦巻くようにして戻ってくる。
「S・トリガー……! よし、これなら——」
そこで、夕陽の言葉は止まる。
手元に集まった光は一枚のカードの形を成したが、その形はすぐさま溶け、ぽとりと三枚とも墓地に置かれてしまった。
突然の現象に困惑する夕陽だが、異変はまだ続く。
「っ!? 《ペリュトン》! 《ルピア・ラピア》!」
刹那、《ペリュトン》と《ルピア・ラピア》が、軍神の放った流れ弾やミサイルや、その爆炎に巻き込まれて吹き飛んだ。さらに、
「マナが……!」
目線を下げれば、マナに置かれたカードが焦げるように煙を上げ、墓地へと送られる。続け様に起こる異常事態に、夕陽はついて行けない。
「なんなんだよ、これ……!」
最初と同じ台詞を発しながら呻く夕陽。その目の前では爆炎を纏う軍神が立ち塞がっているのだった——
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.13 )
- 日時: 2013/07/03 13:57
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
- プロフ: http://dm.takaratomy.co.jp/card/search/
焦土神話 フォートレシーズ・マルス 火文明 (7)
進化クリーチャー:メソロギィ/ヒューマノイド/ボルケーノ・ドラゴン 16000
進化MV—自分のヒューマノイド一体と火のクリーチャー二体を重ねた上に置く。
コンセンテス・ディー(このクリーチャーの下にある、このクリーチャーと同じ文明のすべてのクリーチャーのコストの合計を数える。その後、その数字以下の次のCD能力を得る)
CD5:ブレイク・ボーナス(このクリーチャーが攻撃し終わった時、このクリーチャーがまだバトルゾーンにあれば、その攻撃中にブレイクしたシールド1枚につき、次のBB能力を1回使ってもよい)
BB—相手のパワー4000以下のクリーチャーを1体破壊してもよい。
CD7:BB—相手のマナゾーンからカードを1枚選び、持ち主の墓地に置いてもよい。
CD11:このクリーチャーがシールドをブレイクする時、相手はそのシールドを手札に加えるかわりに持ち主の墓地に置く。
T・ブレイカー
「ターンエンドだ」
女は静かにターンを終える。その背後には、燃える剣と槍を手に、多種多様な重火器を無数に背負った軍神の姿がある。
(ブレイク・ボーナスでクリーチャー破壊にランデス、加えてシールド焼却……反則だろ、そんなの……!)
突如現れた謎の進化クリーチャー《焦土神話 フォートレシーズ・マルス》。
女が言うには、このクリーチャーは『神話カード』というらしい。それが何を意味するのか夕陽にはさっぱりだが、しかしこのカード固有の能力は理解できた。
それが、コンセンテス・ディー。
進化元が重要な進化クリーチャーらしい能力だ。コンセンテス・ディーとは、進化元とした指定された文明のクリーチャーのコストの合計によって、最大三つの能力を得られる能力。語弊を恐れず乱暴に言ってしまえば、カードを墓地に置かないメテオバーン、のようなものであろうか。
夕陽が今まさに相対している《焦土神話 フォートレシーズ・マルス》の能力は、夕陽が胸中で呟くように、ブレイク・ボーナスによる小型クリーチャー破壊とマナ破壊、そしてシールドを問答無用で墓地送りにするというもの。
個々で独立した能力ならそこまで脅威ではなかった。しかしこの三つが重なることで、途端に強大な力を発揮する。
(ブレイク・ボーナスの弱点はシールドをブレイクした後にも生き残る必要があること。S・トリガーで除去されれば効果は発動しないけど、こいつはその弱点をシールド焼却効果で殺している)
前のターンの一撃で、夕陽のシールドは残り二枚、マナも三枚削られ、《火之鳥ペリュトン》と《ルピア・ラピア》もまとめて消し飛んだ。《ペリュトン》の能力で《翔竜提督ザークピッチ》が現れ、手札が補給できたのがせめてもの救いか。
(でも、状況が悪いことには変わりない。次のターンで僕のシールドはゼロになるし、マナも削られる……もしスピード・アタッカーを引かれたらそれでも終わりだし、このターンでどうにかしたい)
焦燥と不安をを感じながら、夕陽はデッキから次なるカードを手札に加えるが、
(《火之鳥ピルドル》……手札のファイアー・バードから進化すれば、とどめは刺せるけど……)
夕陽は視線を女のシールドに向ける。残った女のシールドのうち一枚は、《アクア・スーパーエメラル》の効果が適用されたものだ。つまり少なくとも片方は、S・トリガーがあると考えるべきだろう。
「危険だけど……やるしかない! 《エコ・アイニー》を召喚、効果でマナチャージ! さらに《エコ・アイニー》進化! 《火之鳥ピルドル》!」
減らされたマナをすぐさま補給し、夕陽は攻勢に出る。元よりこのデッキは攻撃を重視したビートダウン。ここまで長引いてしまっただけで、もはや失敗と言わざるを得ない。ならばせめて、攻められる時に攻めるしかないだろう。それに今の夕陽にできることは攻撃しかないのだ。
「《ザークピッチ》でシールドをW・ブレイク!」
光線砲台を備えた炎の怪鳥が飛翔し、女のシールドへと特攻する。しかし、
「残念だったな。ニンジャ・ストライク7《斬隠オロチ》」
「っ、なんだと……!」
斬隠オロチ 水文明 (6)
クリーチャー:サイバーロード/シノビ 3000
ニンジャ・ストライク7
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある他のクリーチャーを1体選び、持ち主の山札の一番下に置く。その持ち主は、自身の山札の上から進化ではないクリーチャーが出るまでカードをすべてのプレイヤーに見せ、出たクリーチャーをバトルゾーンに出して、残りのカードを好きな順序で山札の一番下に戻す。
次の瞬間、《サークピッチ》は渦巻く水流に飲み込まれ、デッキの一番下へと飲み込まれてしまった。
代わりにデッキの一番上から現れたのは《フレイムバーン・ドラゴン》。
「パワー4000以下のクリーチャーじゃないのはいいけど、攻撃が止められた……」
《フレイムバーン・ドラゴン》の効果で《斬隠オロチ》は破壊できるが、それだけだ。《ザークピッチ》が消えたことで、このターン中にとどめを刺せなくなった。
(《ピルドル》で攻撃するか……でもそれでスピード・アタッカーが手に入ったら元も子もない。けれど、このままジッとしてても……)
ぐるぐると思考が巡る。どの動きが最善なのか、いつもなら直感的にやっていたことができなくなる。
「——もうこうなったら、やるだけやってやる! 《ピルドル》でシールドをブレイク!」
《火之鳥ピルドル》が橙に燃える槍を構え、シールドへと突っ込む。今度はニンジャ・ストライクも発動せず、シールドを貫いた。
「くっ……運がいいな。シールドにカードを仕込めばもっと早く壊すと思って入れ替えたが、結局使うことはなかったか」
《ピルドル》がブレイクしたのは《アクア・スーパーエメラル》によって入れ替えられたシールド。どんなS・トリガーが来るかと構えていたが、それはこのタイミングで発動できるものではなかったらしい。
しかし、
「……ターンエンド」
これで夕陽のターンは終わり。まだ女のシールドは一枚残っている。
次のターンで夕陽は《マルス》に残りのシールドを燃やされる。もしそのターンのドローで、女がスピードアタッカーやそれに類するものを引けば、夕陽の敗北が決定する。
(まずい……なんとか、しないと——)
全身を駆け抜ける痛みと、自分たちを取り囲む炎の熱風に耐えながら、夕陽は次のターンをただただ待つのだった——
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.14 )
- 日時: 2013/07/04 15:26
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)
- プロフ: http://dm.takaratomy.co.jp/card/search/
「あたしのターン……とことん運の強い奴だ。まだこのターンでは終わらないらしい」
デッキからカードを引き、女はどこか皮肉を含む言葉を放つ。だがその言葉に思わず夕陽は安堵してしまう。どうやらスピードアタッカーは引けなかったようだ。
「《アクア・スーパーエメラル》を召喚。効果でシールドを入れ替える……さらにシールドから加えた《スペース・クロウラー》を召喚。効果でデッキからカードを手札に加える」
女は淡々とブロッカーを並べ、守りを固めていく。なかなか用心深い。
夕陽は一方的な不利と劣勢を感じているが、実際は女の状況も相当厳しい。なにせ、軽量ファイアー・バードを大量展開し、進化クリーチャーを用いた擬似スピードアタッカーで攻める夕陽を相手に、残りシールドが一枚なのだから、下手したら一気に削られて終わりだ。
にもかかわらず、女は超然としている。動揺している素振りは一切ない。それが、夕陽と女の決定的な違いだった。
「思った以上にギリギリだが、しかしこの布陣なら負けることはあるまい。《マルス》で残りのシールドをブレイクだ!」
《焦土神話 フォートレシーズ・マルス》が再び動き出す。全身の重火器を稼働し、数多の弾丸とレーザー光線、そしてミサイルを発射。さらに続けて剣と槍を振るう。
「ぐぁ!」
割れたシールドの破片が猛烈な熱風に吹かれて夕陽へと牙を剥く。体を切り裂かれ、その上から灼熱の熱風が吹きつける。傷口を焼かれるに近い激痛にのた打ち回りそうになるが、歯を食いしばって耐える。
状況は最悪。勝つ見込みも薄い。勝利の要素も見当たらない。切り札である《神羅ライジング・NEX》はもうほとんど役に立たない。だがそれでも、せめて戦う姿勢だけは崩さない。悪足掻きにも等しいが、夕陽はその意地にだけ縋りついている。
《マルス》の攻撃が終了する。が、すぐさま爆発の余波で夕陽のマナが削られた。幸い、バトルゾーンにいるクリーチャーはすべてパワーが4000を超えているので、破壊されなかった。
これでやっと女のターンが終わる。実際以上に、体感では長い1ターンだった。
「ターンエンドだ」
「ターンエンドだ」
女——『炎上孤軍』はこのこの言葉を発した時点でほとんど勝利を確信していた。自分の場には相手のバトルゾーン、マナゾーン、シールドゾーンを焦土と化す軍神《焦土神話 フォートレシーズ・マルス》。特攻してくる相手を防ぐための壁、ブロッカーが二体。手札には小型クリーチャーを手札に戻すシノビ《斬隠テンサイ・ジャニット》。そして極めつけに、先ほど《アクア・スーパーエメラル》で仕込んだ《夏の日スパイラル》がシールドに埋め込まれている。
これだけ守りを固めれば、1ターン凌ぐくらいは可能だ。文明からして相手のデッキにブロッカーはいない。ニンジャ・ストライクの目もなさそうだ。
次の1ターンを凌げば、その次のターンで《マルス》の攻撃が決まる。そして、勝利を手にすることができる。
だが彼女は忘れていた。いつもなら、いつもの彼女なら忘れるはずがないことだが、忘れてしまっていた。
理由は何か。単純なミスというのがもっともらしいが、あえて言うならば——彼女が狙う、『神話カード』があるからだ。
だがその理由は彼女の忘却した内容と矛盾する。狙い、定め、求めるがゆえに盲目になってしまった彼女。そんな彼女は、忘れてしまっていた。
空城夕陽にも『神話カード』があることを——
「……………」
夕陽は言葉を失った。
最悪の状況。今の状態、どのカードを引けば逆転に繋がるのか、夕陽は考えた。しかし全身を駆け抜ける裂傷と熱傷により、まったく考えがまとまらず、無意識のうちにカードを引いていた。
そして、そのカードを見て、声を上げられなかった。
それは絶望ではない。ならば希望なのか、と言われればそうでもない。ならばなんだ、と問われても堪えるのは難しい。強いて言うならば、驚愕、困惑、虚脱——いや、どれも違う。無理やり言うのなら、それは実感だった。
(なんだ、この感じ……?)
今まで感じたこともない不思議な感覚。ありきたりな言葉で言えば、力が溢れてくる感覚だ。そして、どこか安心感があり、温もりがある。
(このカード……このカードが、この感覚の原因……?)
ジッと手札に加えたカードを見つめる。不思議とそのカードを頼りたくなる。いや、このカードなら、逆転できるという自信が湧いてくる。
「……そうだね。四の五の言ってる場合じゃないし、ここは君に頼る! 《翔天幻獣レイヴン》召喚!」
まず、夕陽は手札にあった《翔天幻獣レイヴン》を召喚。さらにその《翔天幻獣レイヴン》と場にいる《火之鳥ピルドル》の上に《翔竜提督ザークピッチ》を重ねる。
刹那、太陽の如き光が照りつけ、火柱を上げる。火柱は次第に球状となって膨張していき、そして——
「進化MV! 《太陽神話 サンライズ・アポロン》!」
——太陽神が、降臨した。
その神は人の形を成している。
真っ先に目を引くのは、背中に生えた燃える二対の翼。身体も灼熱の星のように赤く燃え、その各所を覆うのは民族的な意匠の装飾。周囲には小型の太陽とでも言うのか、いくつもの轟々と燃える球体がゆっくりと旋回しており、頭上には巨大な星が自転している。
《焦土神話 フォートレシーズ・マルス》と同じ『神話カード』——《太陽神話 サンライズ・アポロン》。
その姿を目にした女の表情が、途端に崩れる。
「《アポロン》だと……馬鹿な、こんな場面で……!」
女は呻く。だがその言葉は間違いだ。“こんな場面だからこそ”、《アポロン》はその姿を現したのだ。
「……行くぞ《アポロン》」
ふと、無意識のうちに夕陽は呟く。
「《太陽神話 サンライズ・アポロン》で最後のシールドをブレイク!」
《アポロン》は頭上の太陽から光を受け、それを掌へと集める。
普通に考えて、この状況でクリーチャーを三体失う進化をするのは無謀である。《アポロン》の攻撃は普通にブロッカーに防がれてしまうし、その防御だけで夕陽の攻撃は終わってしまう。
だがそれは、“ただ攻撃するだけ”の場合だ。
「《アポロン》の効果、コンセンテス・ディー発動! CD9——《アポロン》が攻撃する時、山札の一番上を表向きにして、それがファイアー・バード、ドラゴン、火文明のクリーチャーのいずれかであれば、コストを支払わずにバトルゾーンに出せる! 現れろ《ボルシャック・NEX》!」
無数の小型太陽から炎が放射され、それらが渦状になってデッキを包み込む。
デッキトップを捲って現れたのは《ボルシャック・NEX》。これでもまだブロッカーに防がれて攻撃が止まってしまうが、
「《ボルシャック・NEX》の効果発動! デッキから《ボッコ・ルピア》をバトルゾーンに!」
ボッコ・ルピア 火文明 (4)
クリーチャー:ファイアー・バード 1000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分のドラゴン1体につき、「ブロッカー」を持つ相手のクリーチャーを1体破壊する。
「《ボッコ・ルピア》だと……!?」
女の表情が引きつる。
《ボッコ・ルピア》の効果は単純明快。自分のドラゴンの数だけ相手のブロッカーを破壊できる。今の夕陽の場いるドラゴンは《ボルシャック・NEX》と《アポロン》の二体。つまり、
「《ボッコ・ルピア》の効果で《アクア・スーパーエメラル》と《スペース・クロウラー》を破壊!」
《ボッコ・ルピア》は炎を纏った翼を羽ばたかせると、その炎が射出される。そして飛来する炎の直撃を受け、二体のブロッカーは消滅した。
力の充填が終わったのか、《アポロン》に照射されていた光が消える。直後、《アポロン》の掌から灼熱の光線が発射され、女の最後のシールドを貫いた。
そのシールドは光の渦となって女の手に収まるが——この場面でそのカードを使用したところで、女の運命は変わらない。その変わらない運命を目の当たりにし、女は手札に入ったS・トリガー呪文を呆然と見つめている。
「まだ《アポロン》の効果は残ってるよ。CD5——《アポロン》は自分のファイアー・バード、ドラゴン、火文明のクリーチャーすべてにスピードアタッカーを与える!」
「な、に……!」
女は一度目線を上げ、すぐさま再び自分の手札を見る。念のために軽量クリーチャーで殴ってきたらそれを妨害するためにあった《斬隠テンサイ・ジャニット》。だがその効果の適用ラインでは《ボッコ・ルピア》すら手札に戻せない。
『炎上孤軍』を守る盾も城壁も、もう存在しない。司令塔である頭が、無防備を晒している状態だ。
女にはなす術がない。手札とバトルゾーンを交互に見遣るだけで、何もできない。そうしているうちに、空中に火の粉が舞うのが見えた。
「《ボッコ・ルピア》でダイレクトアタック!」
刹那。
「……!」
女は一匹の小さな火の鳥に——貫かれた。
勝負に決着が着くと、夕陽たちを取り囲んでいた炎が鎮火した。広げていたカードもデッキへと戻っていく。
「ぐ、うぅ……!」
《ボッコ・ルピア》にとどめを刺された女は、悔しそうに歯軋りをし、夕陽を睨む。
その時だった。
「え? な、なに……?」
女のデッキから一枚のカードがスッと抜き出され、流れるようにして夕陽の手元へとやってくる。
「これ……《フォートレシーズ・マルス》……?」
夕陽の手元に来たカードは、紛れもなく《焦土神話 フォートレシーズ・マルス》だった。
「……ちっ」
その光景を見て、女はあからさまに舌打ちをする。そしてカードが一枚足らなくなったデッキをケースに仕舞い踵を返し、
「少しは理解できたか。つまりはそういうことだ。勝者がゲームの勝者が『神話カード』を手に入れる。逆に敗者はカードを奪われる……今のところ、あたしの《マルス》はお前のものになった。精々、有効活用することだな……」
そのまま公園から立ち去ってしまった。最後に夕陽だけが一人残される。
「……ゲーム、か」
実際にそのゲームに則ったデュエマを体験して、感覚ではそれがなんなのか、概ね掴むことができた。しかし細部までは理解できない。というより、情報が圧倒的に足らない。
だがしかし、一つだけ、これだけははっきりしている。
「なんか面倒なことに巻き込まれたっぽいな、これ……」
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129