二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Mythology
日時: 2015/08/16 04:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

 初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。

 本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。

 投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。

目次


一章『神話戦争』

一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33


二章『慈愛なき崇拝』

一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78


三章『裏に生まれる世界』

一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101


四章『summer vacation 〜夏休〜』

一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148


五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』

一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207


六章『旧・太陽神話』

一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292


七章『続・太陽神話』

一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404


八章『十二神話・召還』

一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424


九章『聖夜の賢愚クリスマス・ヘルメス

一話『祝祭の前夜ビフォア・イヴ
>>425
二話『双子の門番ツインズ・ゲートキーパー
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争パーティー・バトル
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲ノウレッジ・リベンジ
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447


第十章『月の下の約束です』

一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508


第十一章『新年』

一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573


十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』

一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610


十三章『友愛「親友だから——」』

一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637



コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』

一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482



デッキ調査室
№1『空城夕陽1』  >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137

人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.496 )
日時: 2014/03/08 01:31
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 夕陽と汐のデュエルは、一進一退、二転三転するようなデュエルとなっていた。
 夕陽のシールドは四枚。バトルゾーンには《聖域の戦虎 ベルセルク》《ガンリキ・インディゴ・カイザー》《シンカイ・サーチャー》そして《無敵剣 カツキングMAX》の四体。
 対する汐の場には《一撃奪取 ブラッドレイン》《豚魔槍 ブータン》《神豚 ブータンPOP》。《不退転の遺志 エルムストリート》のシールド・ゴーもあり、シールドは六枚ある。
 大型クリーチャーを続けて呼び出し、汐の反撃も止めようとしている夕陽だったが、やはりアウトレイジやエグザイル・クリーチャーを用いた戦術では汐の方が上手だった。
「私のターン。呪文《ブータン両成敗》」
 《ガンリキ・インディゴ・カイザー》で反撃を防いだ夕陽だが、《ガンリキ・インディゴ・カイザー》で防げる反撃は攻撃のみ。そして汐が、闇文明が得意とするのは、除去。
 即ち汐の反撃とは、夕陽の逆転の目を摘むことだ。
「くっ……《シンカイ・サーチャー》を破壊」
「なら私は《ブータン》を破壊です。そしてドロン・ゴー《地獄魔槍 ブリティッシュ》。先輩の手札を一枚墓地へ」
 クリーチャーが夕陽の手札から零れ落ちる。同時に、汐の手札のカードが入った。
「《ブリティッシュ》の能力で、クリーチャーが手札から墓地に落ちたため一枚ドロー。続けて呪文《デッドリー・ラブ》、《ブータンPOP》を破壊し、先輩の《カツキングMAX》を破壊です」
「っ、《カツキングMAX》!」
 結局、大きな活躍もないまま《カツキングMAX》は破壊されてしまう。さらに、《ブータンPOP》が破壊されたので、
「こちらもドロン・ゴーです。《神豚槍 ブリティッシュROCK》」
「また《ブリティッシュ》二体が……!」
 大型エグザイル二体に戦慄を覚える夕陽。このパターンはまずい、この前の二の舞だ。
 しかも汐は、《カツキングMAX》を破壊する前に《ブータン両成敗》で、破壊するクリーチャーを夕陽に選ばせた。もし夕陽が《カツキングMAX》からドロン・ゴーできるエグザイル——《ドン・カツドン》や《カツキングMAX》など——を持っていれば、《カツキングMAX》を破壊していたはず。もしそうなれば、それを出させたうえで続く《デッドリー・ラブ》で破壊しただろう。
(カードを使う順番で、エグザイルを安全に除去するか……やっぱ、敵わないな……)
 夕陽のデッキは【神格社界】界長、ルカ=ネロの特製だ。完成度は高いものの、その使い手は夕陽。一応、何回か動かして、このデッキの性質は理解したが、所詮は付け焼刃。
 アウトレイジとエグザイルに関しては夕陽よりもずっと長い経験と知識を持つ汐には、どうしたって敵わない。
「さらに《血塗られた信徒 チリ》を二体召喚し、ターン終了です」
 最後にブロッカーで守備を固め、ターンを終える汐。じりじりと夕陽を追い詰めて来る。
「くぅ……僕のターン! 呪文《伝説の秘法 超動》で《ブラッドレイン》を破壊! さらに《裂竜の鉄鎚 ヨルムンガルド》を召喚!」


裂竜の鉄槌(トール・ハンマー) ヨルムンガルド 自然文明 (8)
クリーチャー:アウトレイジMAX 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分の、エグザイルではないクリーチャーを2体選び、マナゾーンに置く。その後、相手はバトルゾーンにある自身の、エグザイルではないクリーチャーを2体選び、マナゾーンに置く。
W・ブレイカー


 巨大な鉄槌を持つ無法者が現れる。《ヨルムンガルド》がその槌を一振りすると、夕陽と汐の地面——マナゾーンが鳴動した。
「《ヨルムンガルド》の能力で、互いのクリーチャーを二体、それぞれマナゾーンへ! 僕は《ヨルムンガルド》と《ベルセルク》をマナゾーンに!」
「……《ヨルムンガルド》がマナゾーンに送れるクリーチャーはエグザイル以外です。私は《チリ》を二体マナゾーンへ」
 夕陽の《ヨルムンガルド》と《ベルセルク》汐の《チリ》二体が大地に飲み込まれ、マナとなる。
 とりあえずできる限りクリーチャーは減らしたが、肝心の《ブリティッシュ》二体はどうにもできなかった。
「ターン終了……」
「それだけですか。お粗末なプレイングですね。では、私のターンです」
 とはいえ、汐にも手札はない。《ガンリキ・インディゴ・カイザー》がいるのでなにもせず普通に攻撃してくることも考えられるが、
「……《邪魂創生》を発動。《ブリティッシュ》を破壊して三枚ドロー。ターン終了です」
 汐が行うのはドローのみ。
 序盤から墓地肥やしやドローを連打していた汐の山札は残り少ない。そろそろ勝負を決めに来てもいい様に思われたが、なにもせずにターンを終える。
「《ブリティッシュ》のドロン・ゴーもない……ドロン・ゴー先を引けなかったのか? まあいいや、こっちはこっちのすべきことをしないと……」
 このターンは動かなかったが、そのまま動かない状態が続くわけがない。いずれ動き出すのなら、その前にこちらも体勢を立て直さなければならない。
 もしくは、汐の攻めの体勢を整えさせないか。
「ここでこいつか……だったら攻める! 《暴走特急 マルドゥック》召喚!」


暴走特急(アンストッパブル) マルドゥック 火文明 (10)
クリーチャー:アウトレイジMAX 15000
スピードアタッカー
T・ブレイカー
このクリーチャーがブロックされた時、このクリーチャーをアンタップする。


 マナが大量にある今の夕陽なら、ほぼすべての大型クリーチャーを、コスト軽減や踏み倒しを利用せずにそのまま召喚できる。召喚したのは、スピードアタッカーでTブレイカー、しかも実質的なアンブロッカブルを持つアウトレイジ《マルドゥック》。
「《ガンリキ・インディゴ・カイザー》で攻撃! Wブレイク!」
 《ブリティッシュ》がいなくなったので、《ガンリキ・インディゴ・カイザー》が殴り返される心配はない。《ブリティッシュROCK》の能力で破壊される可能性はあるが、それにしたってこの二体のどちらか、同時に破壊することはできないし、能力発動のために攻撃しなくてはならない。つまり、シールドを割らなければならない。
(なにより手札がないのがきついし、ここはシールドを割らせて攻め込むしかない)
 このデッキにはスピードアタッカーも結構な数投入されている。上手くそれらのカードを引ければ、攻め切れるはずだ。
 そう、思っていたが、
「S・トリガー発動です。呪文《ブータン両成敗》」
「なに……っ!」
 《ガンリキ・インディゴ・カイザー》が割った二枚のシールドのうち一枚から飛び出したS・トリガー。これでは夕陽の勢いが削がれてしまう上に、よりによって発動するのは、自分すらも破壊する《ブータン両成敗》だ。
「さあ先輩、クリーチャーを破壊してください」
「くっ……《ガンリキ・インディゴ・カイザー》を破壊……!」
 夕陽の予想が正しければ、どちらを選んだところで両方破壊される。だが、その予想が当たっていない可能性に賭け、タップ状態の《ガンリキ・インディゴ・カイザー》を破壊する。
 しかし、不幸だが、夕陽の予想は的中してしまう。
「私は《ブリティッシュROCK》を破壊です。そして……ドロン・ゴー」
 《ブリティッシュROCK》は破壊された。しかしその魂は転生し、無法と神託の力を得た、偽りの神となる。

「支配せよ、神聖の国家。死した民たちは不滅の奴隷、神鎗の神の降臨です——《神聖牙 UK パンク》」

 神をも殺す三叉の槍を携えた偽りの神、《神聖牙 UK パンク》。
 汐の切り札が、遂に降臨してしまった。
「《UK パンク》がドロン・ゴーでバトルゾーンに出たので、能力発動です」
 《UK パンク》の咆哮が墓地まで響き渡り、屍たちに新たな命を吹き込む。つまり、墓地に眠るコスト7以下のオラクル、アウトレイジ、デスパペットがすべてバトルゾーンへと蘇るのだ。
 《特攻人形ジェニー》《一撃奪取 ブラッドレイン》《血塗られた信徒 チリ》《魔犬人形イヌタン》《闇噛のファミリア ミョウガ》《自壊のファミリア トリカブト》《冥界王 ブルースDEAD》《地獄魔槍 ブリティッシュ》——数こそ様々だが、総勢十三体のオラクル、アウトレイジ、デスパペットが復活してしまった。
「では、《トリカブト》の能力発動です。私は《トリカブト》自身を破壊、先輩もクリーチャーを破壊してください」
「……《マルドゥック》を破壊」
 さらに墓地に沈んでいた《トリカブト》の能力で、残った《マルドゥック》も破壊されてしまい、夕陽の攻撃も止められてしまう。
 この圧倒的な戦力差には、戦慄や絶望を超えた無力さを感じる。夕陽は手札もクリーチャーもない。なすすべなく、闇の軍勢に討ち取られるだけだ。
「それでは、私のターンです……このターンで終わりですよ、先輩」
 汐の静かで重く、そして暗い声が、夕陽の脳裏に響き渡る。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.497 )
日時: 2014/03/08 06:16
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 夕陽と汐のデュエルは、遂に汐の支配が始まってしまった。
 両方ともシールドは四枚。しかし夕陽の場にはなにもいない。
 しかし汐の場には《特攻人形ジェニー》《一撃奪取 ブラッドレイン》《血塗られた信徒 チリ》二体《魔犬人形イヌタン》三体《闇噛のファミリア ミョウガ》《冥界王 ブルースDEAD》《地獄魔槍 ブリティッシュ》——そして《神聖牙 UK パンク》の、総勢十三体のクリーチャー。
 夕陽はクリーチャーを全滅させられた状態で、ターンを終えるしかなかった。そして汐のターン、夕陽の死刑執行が始まる。
「くそっ……!」
 夕陽は呻く。場にクリーチャーはおらず、手札もない。対する汐の場には十三体ものクリーチャーが並んでいる。S・トリガーで一体や二体除去したところで、状況に大きな変化はない。
 こんな状況では、逆転の可能性に縋ることでさえ、無意味に感じてしまう。しまう、が、
(まだだ、まだ負けない。まだ負けるわけには、行かないんだ……!)
 拳を握り締める夕陽。今自分にできることはないが、逆転の可能性を信じることだけはできる。夕陽はまだ、勝利への可能性を捨てていない。
 そして、汐を引き戻すことも、諦めていない。
「……これで、終わりです」
 そんな夕陽とは対照的に、否定的で拒絶的な汐。彼女の従える闇と零の軍勢が、無力な夕陽に襲い掛かる。
「ここで《トンギヌスの槍》があればよかったのですが……まあ、なくともこの数相手では、どうしようもないでしょう。先輩、覚悟してください」
 《トンギヌスの槍》ではないが、夕陽を滅するには十分すぎるほど鋭利で巨大で、そして禍々しい極刑の神鎗を、《UK パンク》は構える。
「——《UK パンク》でTブレイク」
 《UK パンク》はその槍を突き出し、夕陽のシールドを突き破る。だが、割られたシールド一枚目が、光を放ちながら収束した。
「っ、S・トリガー発動! 《伝説の秘法 超動》!」
 一枚目からS・トリガーとは運がいいが、それは3000以下のクリーチャーを一体しか破壊できない《伝説の秘法 超動》だ。
(この数相手じゃ、一体二体破壊したくらいじゃどうしようもない……仮にこのターンを生き延びたとして、反撃の手もないわけだし、ここはあのカードが出ることに賭けるしかないか)
 そう結論付け、夕陽は選択肢の中から発動する能力を決定する。
「二枚ドローだ」
「手札補充ですか……しかし、火力を選ぼうとドローを選ぼうと、このターンで先輩は終わりです。無意味ですよ。二枚目をブレイク」
 続けて二枚目のシールドが割られるが、これも光を発して収束した。
「これもS・トリガーだ。《ドンドン吸い込むナウ》!」
 次に瞬間、夕陽の山札の上から五枚が浮かび上がり、夕陽の目の前に展開される。夕陽はその中から一枚を抜き取った。
「《ヒラメキ・プログラム》を手札に加えて、残りは山札の下に。加えたのは水のカードだから、バウンスは発動しないよ」
「結局はただの手札補充ですか……三枚目をブレイク」
 今の夕陽に必要なことは、このターンを生き残り、次のターンに逆転するためのキーカードを揃えること。生き残るためのカードは一枚しかないが、逆に言えばそのカードに頼れば絶対に生還できる。なのでここは、無理にバウンスを狙わず、確実にキーとなるカードを引き込むべきだ。
 とはいえ、それも生き残る、つまりはそのカードが出なければ意味がない。夕陽の三枚目のシールドが、《UK パンク》の最後のシールドブレイクとして、粉砕された。
 そしてそのシールドも、光ながら収束する。
「S・トリガー発動《伝説の秘法 超動》! 二枚ドローだ!」
 三枚目のS・トリガーも、《伝説の秘法 超動》だった。
「三枚中三枚がS・トリガーとは、先輩にしては運がいいですね……ですが、その三枚ともただの手札補充とは、論外です」
「どうかな。案外、この最後のシールドが逆転に繋がるかもしれないよ。デュエマは最後までなにが起こるか分からないもの。基本中の基本だろ?」
 得意気に言う夕陽。その言葉は確かに正しい。それがデュエル・マスターズの面白いところなのだから、その通りだ。
 しかし現実では、そのなにが起こるか分からない状況そのものを封じるプレイングだってある。完全な詰みだって、ありえるのだ。いや、むしろその状況の方が多いだろう。
 夕陽はその両側面を知っている。それでも彼が信じるのは、前者だった。
「……だったら、逆転してみてください。先輩にそれができるのであれば」
 汐はこの状況で夕陽が逆転できるとは思っていない。だから、このターンでとどめを刺すつもりでいた。
 その選択は、それはそれで正しいだろう。だから仮に、これで汐が負けるようなことがあれば、それは彼女の失態ではない。
 ただ単純に、純然たる、力の差だ。
「《ブルースDEAD》で、最後のシールドをブレイクです」
 汐の命令で、《ブルースDEDO》は巨大な鎌を構える。大きく振りかざされたその大鎌は、たった一枚しかない夕陽のシールドを、容赦なく切り裂いた——
 これで夕陽にS・トリガーが出なければ、汐の勝ち。仮に出たとしても、場合によっては夕陽が勝つ見込みはなくなる。
(……前にも、こんなことあった気がするな。彼はなんて名前だったか……)
 夕陽は粉々になったシールドの破片を眺めながら、ふと昔のことを回想する。今この状況とは果てしなく無関係だが、無法の力、という意味では共通している過去。
 絶対的なはずの龍の力で決着をつけようとしたはずが、たった一枚のカードで凌がれ、連鎖するようにカードの力を繋ぎ合わせ、逆転されたのだ。
(中学二年生くらいの時だったっけ、どっかのデュエリスト養成学校のオープンスクールに行って……あそこで初めて、無法の力ってものを知ったっけな……)
 あの時は自分の敗北だった。しかし今は、負けるわけにはいかない。
(名前忘れてごめんね……というか、そもそも名前を聞いてなかった気がするな……まあいいや。なんにせよ、ちょっとだけ、君の力を借りるよ)
 本来ならルカの組んだデッキなので、力を借りる相手はルカなのだが、今この状況に関してだけ言えば、昔出会ったあの少年が想起される。
 もうすぐ、このデュエルの時間、夕陽の生きる時間が失われる。
 だが、しかし、
「……残念だったね。君の時間は終わりだ」
 その前に、汐の時間が終了する。

「——S・トリガー発動! 《終末の時計 ザ・クロック》!」

「《クロック》……っ」
 時間が加速する。夕陽が失うはずだった時間は、失う前に飛ばされた。
 闇が支配する月夜の時間が終わり——太陽の昇る時間が、やって来る。
「S・トリガーで《クロック》が出たから、君のターンは終わり、僕のターンだ」
「……ですが、どの道《クロック》一体では、私を倒すことは不可能です。私の場にはブロッカーだっているのですから」
 それは汐の言う通りだ。だが《クロック》が出れば問答無用で汐のターンを飛ばせる。つまり、1ターンだけ夕陽の時間ができる。
 その時間のために、夕陽はカードを引いていたのだ。
「……《双拳銃 ドラポン》を召喚!」
「《ドラポン》……」
 夕陽が最初に呼び出したのは、エグザイルではあるが、《ドン・カツドン》や《カツキングMAX》ではなく、コスト4の《ドラポン》。
 汐はそのクリーチャーを見て、なにか思い出すように呆けていたが、夕陽はそんな彼女を待ったりはしない。
「続けて呪文《ヒラメキ・プログラム》! 《ドラポン》を破壊!」
 破壊された《ドラポン》のコストは4、つまりコスト5のクリーチャーが出る。そしてこのデッキのコスト5のクリーチャーと言えば、
「《ドン・カツドン》をバトルゾーンに! マナを追加して、《ドラポン》のドロン・ゴー発動だ!」
「ドロン・ゴー……」
 《ドラポン》だってエグザイル・クリーチャーだ。破壊されれば、その魂が転生し、新たな姿へと変貌する。
 そして夕陽は、レイジクリスタルのもたらした知識から得た、唯一なる無法の力を解き放つ。

「受け継ぎし交差する魂、新たな力の勝利を呼べ——《弐超拳銃 ドラゴ・リボルバー》!」

 《ドラポン》が転生し、《ドラゴ・リボルバー》へとドロン・ゴーする。龍の如き姿、両手に構えた二丁の拳銃。しかしその力は、二つの武器の威力というものを遥かに凌駕する。数の縛りにも囚われない無法者。
 それが、《ドラゴ・リボルバー》だ。
「さらにもう一発《ヒラメキ・プログラム》だ!」
 《ドラゴ・リボルバー》は出たが、夕陽のターンはまだ終わっていない。今度は《ドン・カツドン》を破壊し、再びクリーチャーを閃く。
「《シンカイ・サーチャー》をバトルゾーンに! 山札からカードを一枚手札に加え、《ドン・カツドン》もドロン・ゴー! 《無敵剣 カツキングMAX》! 能力で《チリ》を破壊!」
 《ドン・カツドン》は山札から手に入れた《カツキングMAX》へとドロン・ゴー。ここまでは通常の流れだ。
 だが、問題はここからである。
「流れるようなドロン・ゴーですが……《ドラゴ・リボルバー》も《カツキングMAX》もスピードアタッカーではないです。このターンでは私は倒せないですよ」
 汐の言う通りだ。いくらドロン・ゴーでクリーチャーを呼び出そうとも、このターンで攻撃できなければ意味はない。
 もっと言えば、このターンで汐のブロッカーを除去し、攻撃しなければならない。マナが大量にあるとはいえ、手札も切れかかっている夕陽では、そこまですることは不可能。
 そう考える汐だが、
「そう思うなら、黙って見てたら。《ボルバルザーク・エクス》召喚! マナをすべてアンタップ!」
「……っ」
 夕陽の大量のマナが起き上がる。
 まだ、夕陽の時間は終わっていなかった。
「《カツキングMAX》の能力でマナゾーンから《二角の超人》を召喚! 2マナ追加して、マナゾーンからクリーチャーを二体回収! さらに今さっき回収した《永遠のリュウセイ・カイザー》を召喚!」
 これで夕陽のクリーチャーはすべてスピードアタッカー。ダイレクトアタックまで持ち込めるだけの戦力を揃えられたが、S・トリガー次第では止められてしまう。
 だが、夕陽は止まらなかった。
「これで最後だ! 《ヒラメキ・プログラム》! 《カツキングMAX》を破壊!」
「っ、《ヒラメキ・プログラム》三連打……っ」
 三度目の《ヒラメキ・プログラム》にたじろぐ汐。しかも破壊したのは《カツキングMAX》だ。
 この場合、破壊するクリーチャーのコストより、破壊したのが《カツキングMAX》であることの方が重要だ。夕陽は破壊する前に《カツキングMAX》で《二角の超人》を召喚している。回収したクリーチャー二体のうち一体は、既に召喚している《永遠のリュウセイ・カイザー》。そして、もう一体は、
「《カツキングMAX》はコスト8、山札からコスト9の《ボルシャック・クロス・NEX》をバトルゾーンに! さらに《カツキングMAX》が破壊されたので——ドロン・ゴー!」
 ドロン・ゴーに三段階目が存在するのは、なにも《神聖牙 UK パンク》だけではない。《ドン・カツドン》《カツキングMAX》にも、まだ先は存在するのだ。
「三段階目……《カツキングMAX》の、ドロン・ゴー……」
 《カツキングMAX》は爆炎に包まれた。レイジクリスタルの力を解放し、さらなる無法者へと昇華し、そして、顕現する——

「無敵と超法、そして勝利の剣に宿せし無法者よ、伝説となれ——《無法伝説 カツマスター》!」

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.498 )
日時: 2014/03/08 06:41
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

無(アウト)法(レイジ)伝説(ビクトリー) カツマスター ≡V≡ 火文明 (12)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 15000
スピードアタッカー
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から3枚を墓地に置いてもよい。そうした場合、相手のクリーチャーを、コストの合計がその3枚のコストの合計以下になるように好きな枚数選び、破壊する。
T・ブレイカー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《無》または《法》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《無法》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


「《カツマスター》……」
 一歩だけ、後ろへと下がる汐。その伝説となりし無法の力には、指物彼女も圧倒されているようだった。
 《ドン・カツドン》《カツキングMAX》と姿を変えていくエグザイル《カツドン》。その最終段階の一つ、それが《無法伝説 カツマスター》だ。
 レイジクリスタルの力を最大まで解放した《カツマスター》は、大剣を振るい、咆哮する。
「さあ、行くよ。《カツマスター》で攻撃、そして能力発動!」
 《カツマスター》は攻撃時、山札の上から三枚を墓地へ送り、その三枚のカードのコスト合計以下になるよう相手クリーチャーを破壊する。
 墓地へと落ちたのは《蒼狼の始祖アマテラス》《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》《戦武帝 ジャッキーBEAT》の三枚。マナコストはそれぞれ6、8、20。つまり、合計は34。
「《血塗られた信徒 チリ》《魔犬人形イヌタン》《冥界王 ブルースDEAD》《地獄魔槍ブリティッシュ》そして——《神聖牙 UK パンク》を破壊だ!」
 《カツマスター》の咆哮で、汐のバトルゾーンのクリーチャーがまとめて消し飛んだ。それでもまだ半数近く残っているが、少なくともブロッカーは根絶された。
 そして直後、《カツマスター》の振りかざす大剣が、振り下ろされる。
「Tブレイク!」
「う……っ」
 汐のシールドが三枚消し飛んだ。一枚目はS・トリガーがなかったが、二枚目のシールドは光の束となって収束した。
「S・トリガー発動です……《インフェルノ・サイン》で《チリ》をバトルゾーンへ……」
 しかし、これだけでは逆転に繋がるはずもない。
 そして、汐の最後のシールドがブレイクされる。
(ここで、あのカードが来れば、まだ……)
 汐にも逆転の一手は残されていた。S・トリガーで出ることのみを想定して、一枚だけ入れたあのカード。それが出れば、まだこの盤面をひっくり返すことも不可能ではない。
 ない。が、汐が引いたカードがもたらす結果は、皮肉にも彼女の慢心が生んだものだった。
「っ、《アポロン》……」
「へへ……まさか、こんな形で夕陽を助けられるとはな……」
 少しだけとはいえ、初めて実体を見せたアポロンは、力なく笑った。
 汐の三枚目のシールドは《アポロン》。彼女がハンデと言って入れたカードだった。
 そのハンデが、彼女を敗北へと導く。
「《ドラゴ・リボルバー》で最後のシールドをブレイク! 攻撃時、パワー6000以下の《チリ》を破壊だ!」
 最後に残った《エルムストリート》のシールドが、《チリ》と共に《ドラゴ・リボルバー》の弾丸に撃ち抜かれた。
「っ、《ドラゴ・リボルバー》……」
 二体の無法者が汐のシールドをすべて粉砕する。そして、汐に最後の一撃を放つのは——未来への絆を誓う、炎の龍だった。
「先輩——」
 彼女はとどめを刺される直前に、呟く。それは、自分の記憶の中で虚像として映る彼なのか、それとも目の前の実像として映る彼なのか、はっきりしない。
 しないが、どちらでもいいように思えた。
 どちらも、自分の尊敬すべき先輩であることに、変わりはないのだから。

「《ボルシャック・クロス・NEX》で、ダイレクトアタック——!」



 神話空間が閉じ、夕陽と汐の二人は、グランドに戻ってくる。
 最後の攻撃の影響か、足元がややおぼつかない汐。そんな彼女の手元から、一枚のカードが零れ落ち、夕陽の下へと滑るようにやって来る。
「夕陽!」
「アポロン! よかった、大丈夫だったか?」
「ああ! まだ槍で刺された痛みとか、アルテミスのよくわかんねえ呪文とかの頭痛が残ってるけど、オイラは大丈夫だ!」
 あまり大丈夫そうな内容ではなかったが、本人が大丈夫というになら大丈夫なのだろう。
 アポロンが戻ってきて、とりあえず一つ、問題は解決した。
 残る問題は、一つだ。
「先輩……私……」
「御舟……」
 どこか虚ろで、悲しげで、寂しげな汐の瞳。彼女はふらふらとした足取りで、一歩、夕陽へと近づく。
「先輩……その、私……私は——」

「役立たず」

 冷たい声が、闇夜に響く。
「少しはやるかと思ったけど、肝心なところでダメすぎる。やっぱり人間は人間ね、アタシの見込み違いだったわ」
「アルテミス……」
 辛辣で冷たいアルテミスの声が、汐に突き刺さる。
 アルテミスの目的はアポロンだ。夕陽の本気を引き出し、彼の本音を引き出すことが汐の目的で、そのために使い道のないアポロンをデッキに入れるという暴挙に走った結果が、敗北だ。アルテミスとしては、怒りを表さずにはいられないだろう。
「こんなことなら、無理やりにでもこんな戦い止めるべきだったわね。あなたのせいでお兄様をまた失った……この責任、どう取ってもらおうかしら」
 まるで夕陽と汐を隔絶するように、アルテミスは汐の目の前へと移動する。アルテミスの表情は夕陽からは見えないが、汐が言葉も出ないところを見ると、相当な剣幕なのかもしれない。
 いや、そうでなくとも、彼女から発せられるオーラは、尋常ではない気迫があった。
「アルテミス……私は……」
「黙って、もうアタシはあなたに用はない、あなたの力なんて不要よ。他の人間とは違うところがあると思ったけど、あなたも他の人間と同じ。役に立たない、塵同然ね」
 か細く紡ぎだされる汐の言葉を、アルテミスは罵声で打ち消す。だが、
「でも……最後に一つだけ、あなたを利用させてもらおうかしら。こんな状況は想定してなかったけど、あなたの身体を使う予定は、なくもなかったから」
「え——」
 アルテミスは、そっと汐の胸に手を置く。
 刹那——アルテミスの身体が、汐の身体へと溶け込んでいく。
「あ……う——」
 小さく呻く汐。アルテミスの溶け込んだ胸を押さえ、ふらふらと頼りない足取りでふらつき——そして、倒れた。
「っ! 御舟!」
 夕陽は思わず駆け出しそうになるが、その前に、汐は立ち上がった。
 いや、それはもう、夕陽の知る汐ではなかったが。
「……うん、いい感じね。やっぱり一度、中に入っておいてよかったわ。まさか人間でここまでアタシと適合できるなんて……それに、内面的な自己主張はしないのね。宿主の精神に邪魔されないから、ゾンビみたいにもならない。主は役立たずのゴミだったけど、身体自体は最高ね」
 汐の姿、汐の声で語る、汐の身体。しかしその口調は、性格は、魂は——夕陽の知る汐ではなかった。
「御舟……なのか……?」
「……違うわよ、人間」
 汐の身体は、夕陽をジッと見据える。刺々しく、敵意のこもった、激しい瞳で。
「見てなかったの、この口振りを見て分からない? これだから無能な人間は……私はアルテミスよ」
 汐は——いや、アルテミスは、汐の姿のまま、そう名乗る。
「アルテミス……どういうことだ……アポロン」
「オイラにも分からねえ……アルテミス、どういうことだ!」
「お兄様には見せたことがありませんでしたね……これはある程度の力を持った闇文明のクリーチャーならできることです。その星の生命体、とりわけ知能の発達した生物に自身の魂を吹き込む術。クリーチャーとしての姿で実体を保つのは難しいですからね、エネルギー消費を抑えたり、その星で活動しやすいよう、適合するための術です。分かりやすく言うのなら……そうですね、憑依、と言ったところでしょうか」
「憑依……?」
 それはつまり、汐はアルテミスに、身体を乗っ取られた、ということだ。
 身体こそ汐だが、その魂はアルテミス。汐の身体は、アルテミスに支配されてしまった。
「なんだよそれ……ふざけんな! 御舟の身体を返せ!」
「それはこっちの台詞よ、人間。あなたこそ、私のお兄様を返しなさい」
 夕陽は叫ぶも、それで屈するようなアルテミスではない。どころか彼女が見ているのは、アポロンだけだ。
 汐の身体も、便利だから使っている、程度の認識しかない。
「くっそ……こうなったら、アルテミスをぶっ飛ばして、御舟の身体から追い出す」
「そんなことできんのか?」
「分からない。でも……このままジッとしていられるわけないだろ!」
 夕陽は叫ぶ。ここまで怒りを見せたことはないかもしれないと、自分で思うほどに、夕陽は憤っていた。
「それに、御舟は僕の後輩だ。あんな奴に乗っ取らせてたまるか!」
「……そうだな! アルテミスだってオイラの妹だ。妹の責任は兄の責任、オイラも戦う!」
 そう言って、アポロンはカードとなり、夕陽の手の内に収まる。夕陽も汐とのデュエルで使っていたデッキを戻し、元々のデッキを取り出す。そしてそこに、《アポロン》を差し込んだ。
「お兄様、ご覚悟ください。これもお兄様のためなのです」
 アルテミスも、汐の持っていたデッキを一度戻し、また違うデッキを取り出した。
「アルテミス、御舟の身体を返してもらうぞ!」
「黙りなさい人間。こちらこそ、お兄様を取り返させてもらうわ」
 夕陽と汐のデュエル、ただしそれは身体だけ。
 その真実は、夕陽とアルテミスのデュエルだ。

 アポロンと共に戦う夕陽と、汐の身体を器としたアルテミスは、再び神話空間へと誘われる。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.499 )
日時: 2014/03/08 13:20
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 夕陽と、汐に憑依したアルテミスのデュエル。
 シールドは互いに五枚。夕陽の場にはなにもないが、アルテミスの場には《猛菌恐皇ビューティシャン》と《希望の親衛隊ファンク》がいる。
「くっそ、《ファンク》は厄介だ……」
「パワーが1000下げられて《コッコ・ルピア》がやられちまった……どうすんだ夕陽! これじゃあドラゴンが召喚できねえぞ!」
 《コッコ・ルピア》はドラゴンをメインにしたデッキでは王道のキーカードだが、如何せんパワーが低く《希望の親衛隊ファンク》や《ローズ・キャッスル》など、パワーを恒久的に下げ続けるようなカードや、全体火力には弱いのだ。
「アルテミスは今までお兄様をずっと見てきました。ゆえに、お兄様の弱点は知りつくしています。お兄様は確かに強い、でもそれはお兄様だけの力ではない。お兄様は、小さき火の鳥の共にあるからこそ、その力を最大まで発揮できる」
 ならば、とアルテミスは続ける。
「その鳥を根絶やしにしてしまえば、お兄様はおろか、他の龍たちも、その力を存分に発揮することはできない。そうでしょう、お兄様」
「くそっ、悔しいがその通りだ……だがなアルテミス! オイラたちを助けてくれるファイアー・バードは、《コッコ・ルピア》だけじゃねえんだ!」
「その通りだよアポロン。《エコ・アイニー》を召喚、マナを追加だ!」
 《コッコ・ルピア》でコスト軽減ができないと見て、夕陽はマナを加速させて大型ドラゴンを出す方針に転換する。《エコ・アイニー》はパワー2000、《ファンク》一体では破壊できない。
「マナに落ちたのは《永遠のリュウセイ・カイザー》、ドラゴンだからもう1マナ追加! さらに呪文《メンデルスゾーン》だ!」
 捲った二枚は《無双竜鬼ミツルギブースト》と《爆竜トルネードシヴァXX》、二体ともドラゴンなのでマナへ。
 これで夕陽のターンは終了だが、たった1ターンで4マナも増やし8マナ。これだけあれば、大抵のドラゴンは普通に召喚できる。
「では、こういうのはどうでしょう、お兄様。《猛菌恐皇ビューティシャン》を召喚」
 アルテミスは二体目の《ビューティシャン》を召喚する。しかし今回は、一体目よりも重い《ビューティシャン》だ。
「水と闇のマナを追加で支払い、O・ドライブ発動! 私はカードを一枚引き、相手の手札を一枚墓地へ」
 自分はカードを引きつつ、相手の手札を捨てさせるアルテミス。さらに、
「呪文《ゴースト・タッチ》! 残る一枚の手札も墓地へ!」
「手札が……!」
 連続で放たれるハンデスに、夕陽の手札はゼロとなってしまう。いくらマナがあっても、手札がなければ意味がない。
「くっ、僕のターン……《ボルシャック・NEX》を召喚」
 いつもならここで《コッコ・ルピア》を呼び出すところだが、出しても《ファンク》で破壊されるだけなので、リクルートはしない。
「ターン終了……!」
「惨めね人間。せっかく増やしたマナも、手札がなければ不毛の地よ」
 夕陽を嘲笑するようなアルテミス、だがその姿は汐だ。普段は決して見ることのできない様々な汐の表情が見られるが、それはすべてアルテミスのもの。
 非常に複雑な気分だが、今はそれどころではない。
「私のターン。《コアクアンのおつかい》を発動よ」
 アルテミスの山札が捲られる。捲られたのは《ボーンおどり・チャージャー》《邪眼銃士ダーク・ルシファー》《インフェルノ・サイン》。
 すべて闇のカードなので、三枚ともアルテミスの手札に入る。
「さらに残った3マナで呪文《ボーンおどり・チャージャー》、山札の上二枚を墓地へ」
 マナ加速と同時に墓地も増やすアルテミス。やはり闇文明というだけあって、墓地を活用する戦術のようだ。
「早めに体勢を立て直さないとな……僕のターン!」
 この息苦しい状況から抜け出したい夕陽だが、引いたカードは《メンデルスゾーン》。夕陽はそれをマナへと落とすと、《ボルシャック・NEX》に手をかける。
「こうなったら攻めるしかない……《ボルシャック・NEX》で攻撃! Wブレイクだ!」
 アルテミスはその攻撃をブロックせず、二枚のシールドは割れたが、それだけだ。
 これ以上行動できない夕陽は、ターン終了を宣言する。
「哀れな人間……ドラゴンを引くこともできないなんて、そんなことでよくお兄様を縛れるものね」
「別にオイラは夕陽に縛られてるわけじゃねえ! ひまりとの約束もあるけど、夕陽と一緒にいるのはオイラの意志だ!」
「……ああ、そうだったわね。お兄様は人間の悪質な洗脳を受けているのでしたね……ご安心ください、お兄様。このアルテミスが、お兄様を解放して差し上げます」
 アポロンとアルテミスの会話が噛み合わない。というより、アルテミスの中でアポロンの発言が自分の都合のいいように解釈され、脚色されている。アポロンがアルテミスを説得するというのは無理そうだ。
 夕陽とて、温和に済ませられるとは思っていないが。
「私のターンよ。まずは呪文《ボーンおどり・チャージャー》で、墓地とマナを増やすわ。さらに《邪眼銃士ダーク・ルシファー》を召喚」


邪眼銃士ダーク・ルシファー 闇文明 (6)
クリーチャー:ダークロード/ナイト 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚を墓地に置く。
W・ブレイカー
このクリーチャーが破壊された時、好きな数の進化ダークロードを自分の墓地から手札に戻してもよい。


 《邪眼銃士ダーク・ルシファー》、その名前は能力はデーモン・コマンドの《暗黒導師ブラックルシファー》を彷彿とさせるが、能力の細部が異なる。
「山札の上三枚を墓地へ。ターン終了よ」
「墓地ばっか増やしやがって、なにをする気だ……?」
 しかも見たところ、アルテミスの墓地にはクリーチャーではなく、呪文が多い。
 汐の《UK パンク》のように、墓地のクリーチャーを一気に蘇らせるような戦術ではないようだ。
「なんか不気味だけど、こっちも動けない……!」
 やはり手札破壊が響いている。元々夕陽のデッキはハンデスに弱い面がある。ある程度はそこも補強しているとはいえ、すぐに立て直せない場合も多い。
「《コッコ・ルピア》か……こいつは出せないし、だったら《ボルシャック・NEX》で攻撃だ!」
「《ビューティシャン》でブロックよ」
 このターンの攻撃は《ビューティシャン》に防がれる。もう一体《ビューティシャン》は残っているので、《エコ・アイニー》では攻撃しないで、夕陽はターンを終える。
 そして、アルテミスのターン。
「ここでこれ……なら、こうしましょう。呪文《ホーガン・ブラスター》よ。なにが捲れるかしら」
 アルテミスの山札がシャッフルされ、その一番上のカードが表向きになる。捲られたのは《貴星虫ヤタイズナ》だ。
「いいカードが出たわね……なら、呪文《インフェルノ・サイン》。墓地から《邪眼皇ロマノフⅠ世》をバトルゾーンに!」
「《ロマノフ》かよ……!」
 墓地から蘇ったのは《ロマノフ》。アルテミスの墓地に呪文が多いのは、《ロマノフ》の能力で唱えるためのようだ。
(つっても、《ロマノフ》が唱えられるのはコスト6以下の闇の呪文だけ……それに該当しないカードも多いよな……)
 今さっき撃った《ホーガン・ブラスター》は水単色のカードで、墓地には《ロスト・ソウル》などのコスト7以上の闇のカードも落ちている。それらは手撃ちで唱えるのかもしれないが、どこか引っかかる。
「《ロマノフ》の能力で山札から闇のカードを一枚墓地へ。ターン終了よ」
「殴り返さない……? よく分かんないけど、まあいいか。僕のターン!」
 不可解なことは多いが、とにかくこのままアルテミスのペースで進められるのはまずい。そして夕陽は、ここに来て遂にドラゴンを引き当てた。
「《セルリアン・ダガー・ドラゴン》を召喚! 僕の場にはドラゴンが二体いるから、二枚ドローだ!」
 引いてきたのは《無双竜機フォーエバー・メテオ》と《不敗のダイハード・リュウセイ》。どちらも重いが、強力なドラゴンだ。
(いい感じだ。このまま攻めて、こいつらで後押しするのがいいかな)
 次のターンからこの二体のドラゴンを展開することを考えつつ、夕陽はさらに攻める。
「《ボルシャック・NEX》でWブレイク!」
「《ビューティシャン》でブロック」
「だったら《エコ・アイニー》でもシールドブレイク!」
 《ファンク》でパワーが下げられているので《ビューティシャン》に相打ちを取られてしまう《エコ・アイニー》は攻撃しづらかったが、ブロッカーが消えれば安全に攻められる。これでアルテミスのシールドは残り二枚だ。
「夕陽!」
「アポロン……大丈夫だ、上手くいけば、次のターンには勝負が——」
「違う! アルテミスの場と墓地をよく見ろ!」
「え……?」
 アルテミスの場には、《ファンク》《ダークルシファー》《ヤタイズナ》《ロマノフ》の四体。そして墓地には——
「っ! 《ロマノフ》で墓地に送ったのって……ってことは」
 どうせ《ロマノフ》で撃つための呪文でも落としたのだろうと思い、見落としていた。それよりも今の夕陽の息が詰まるような状況をなんとかする方が先だったので、そちらに気が回らなかった。
 しかしアルテミスが墓地の落としたカードは、呪文ではない。それは——
「私のターンね……愚かな人間。この盤面を見て、私の意図に気付かないなん。…ま、気付いたところで、あなたに止められるとは思わないけど」
 それはその通りだった。仮に気づいたところで、夕陽にはアルテミスを止めることはできない。
 そしてアルテミスのターン、彼女の仕掛けが発動する。
「私のターンの初め、《貴星虫ヤタイズナ》の能力発動」


貴星虫ヤタイズナ 闇文明 (6)
クリーチャー:パラサイトワーム/ダークロード/オリジン 5000
自分のターンのはじめに、進化クリーチャーを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出してもよい。


 墓地に眠る進化クリーチャーを呼び覚ます《ヤタイズナ》。アルテミスの墓地の進化クリーチャーは、《ロマノフ》で落とした一体だけ。
「《ヤタイズナ》《ダークルシファー》《ファンク》の三体を進化元に!」
 三体のダークロードが闇に包まれる。闇の中で三体のクリーチャーは一体のクリーチャーとなり、そして、
「我が力、月光の下に集え! 失われた死の魔術を今ここに解放する! 神々よ、調和せよ! 進化MV!」
 ——神話となる。

「《月影神話 ミッドナイト・アルテミス》!」

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.500 )
日時: 2014/03/08 18:30
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

月影神話 ミッドナイト・アルテミス 闇文明 (6)
進化クリーチャー:メソロギィ/ダークロード/ドラゴン・ゾンビ 15000
進化MV—自分のダークロード一体と闇のクリーチャー二体を重ねた上に置く。
コンセンテス・ディー(このクリーチャーの下にある、このクリーチャーと同じ文明のすべてのクリーチャーのコストの合計を数える。その後、その数字以下の次のCD能力を得る)
CD6:自分のターンの初めに、山札をシャッフルしてもよい。その後、山札の上から三枚を持ち主の墓地に置く。
CD9:このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、闇の呪文を一枚、自分の手札からコストを支払わずに唱えてもよい。
CD12:このクリーチャーが攻撃する時、自分の墓地にある呪文を、コストの合計が12以下になるように好きな枚数選び、コストを支払わずに唱えてもよい。その後、選んだ呪文を好きな順序で山札の一番下に置く。
T・ブレイカー


 現れたのは、流麗で穢れのない、真っ白な長い髪を持つ女性型のクリーチャー。民族的な一枚布の衣服を身に纏い、その布は裾へと向かうにつれ、グラデーションの如く黒く染まっている。
 なにより目を引くのは、片手に携えた弓。ボウガンやアーチェーリーのようなものではなく、原始人が狩猟にでも使っていそうな、和弓に近い形をしている。
 そしてその弓は、真っ黒に染まっていた。闇よりも深い、黒色に。
「これが……《アルテミス》……」
『そうよ、愚かな人間。私は《アルテミス》、《月影神話 ミッドナイト・アルテミス》』
 《アルテミス》は、その存在自体が誇りであるかのように、気高く答えた。敵対しているとはいえ、その美貌は少なからず目を引く。
 だがやはり敵は敵、汐の身体を乗っ取っている大敵だ。夕陽はこれから訪れるであろう災禍に備え、気を引き締める。
『まず、私の登場時能力を発動するわ。CD9! 手札から闇の呪文を一枚、コストを支払わずに唱えられる!』
 手札から呪文のコスト踏み倒し。これなら夕陽も、まだ驚かない。似たような効果を持つクリーチャーは他にもいる。
 だからこそ、問題はどのような呪文が飛んでくるかだ。都合よく大型呪文を持っていなければいいが、《デーモン・ハンド》《地獄門デス・ゲート》くらいは覚悟するべきだろう。
 だがそんな夕陽の覚悟も、場に並ぶドラゴンと共に容易く消し飛ばされる。

『呪文《インビンシブル・アビス》!』


インビンシブル・アビス 闇文明 (13)
呪文
相手は、バトルゾーンにある自分自身のクリーチャーすべてを持ち主の墓地に置く。


「なっ……よりによって、《インビンシブル》呪文……!?」
 《インビンシブル》の名を冠す、各文明の超大型呪文。すべて13マナと莫大なコストを誇り、手撃ちで唱えるには非現実的な呪文だ。そのため、使うのならコストを踏み倒すことが前提となる。《アルテミス》の場合は、自身の能力で唱える前提で、このカードを組み込んでいたのだろう。
 そして闇文明の《インビンシブル・アビス》は、闇文明らしい除去カード、それも相手クリーチャーを問答無用ですべて墓地に送るという、シンプルながらも豪快な効果だ。
 《アルテミス》が漆黒の弓に矢を番え、呪文の力を込め、解き放つ。まっすぐに飛来する一本の弓はどす黒い瘴気を発しながら、その力を増大させていく。その様はもはや弓矢ではなく、抗いようのない闇そのもの。月の光すら飲み込む、闇夜だった。
 闇夜を内包した弓矢が夕陽のバトルゾーンに撃ち込まれる。次の瞬間、巨大な闇と瘴気が夕陽の場を多い尽くし、暗黒の空間で支配してしまう。
 その瘴気で体が腐り、朽ち果て、闇に飲み込まれて跡形もなく消えるドラゴンたち。これで夕陽のクリーチャーは全滅する。
『さらに、私で攻撃! その時、私の能力発動! CD12!』
 しかも、まだ《アルテミス》の破壊は終わらなかった。《アルテミス》は続けて弓を構え、夕陽に狙いを定める。そして、
『私が攻撃する時、墓地にある呪文を好きな数、コスト合計が12以下になるように選んで唱えられる!』
「っ、そんなのありかよ……!」
 かの《グレイテスト・シーザー》だって、唱えられるコストの合計は7、それも闇か火の呪文だけだ。それを《アルテミス》は、コスト12までで、文明の縛りもない。
 事前に墓地に呪文を溜める必要があるとはいえ、その能力は凶悪の一言に尽きる。
『呪文《ブラッディ・クロス》! 呪文《リバース・チャージャー》! 呪文《ロスト・ソウル》!』
 《アルテミス》の弓から、三本の黒い矢が放たれる。それぞれの矢は墓地に眠る呪文の力を得て、その軌道を変えた。
 一本は自身と夕陽の山札に。それぞれの山札のカードを墓地へと送る。
 一本は自身の墓地に。墓地に落ちたクリーチャーを回収する。
 一本は夕陽の手札に。《セルリアン・ダガー・ドラゴン》で補充したクリーチャーをまとめて叩き落とす。
『そして、Tブレイク!』
「ぐぁ……!」
 最後にもう一本、弓矢を放つ。その弓矢は夕陽のシールドへと向かっていき、一発で三枚のシールドを吹き飛ばした。
『まだ終わらないわ。《ロマノフ》で攻撃、墓地から呪文《インフェルノ・サイン》をタダで唱える! その能力で、墓地から二体目の《ロマノフ》をバトルゾーンへ!』
 そして登場時の能力で、山札の《インフェルノ・サイン》を墓地へと落とし、
『Wブレイクよ!』
「ぐぅ……!」
 《ロマノフ》の魔弾が夕陽の残る二枚のシールドも吹き飛ばす。これで夕陽のシールドはゼロ。
 そして《アルテミス》の場には、彼女自身と、彼女に仕えるようにして立つ《ロマノフ》が二体。
『《ロスト・ソウル》で手札もすべて落としたし、もうあなたに勝ち目はないわ、人間。次のターンに、私の弓で射殺してあげる』
「…………」
 言葉と視線で夕陽を威圧する《アルテミス》。夕陽は降り注いだ破片で全身を切り刻まれたところから立ち直る。そして、

「……なんだ、大したことないな」

 事もなげに、言い放った。


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