二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Mythology
日時: 2015/08/16 04:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

 初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。

 本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。

 投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。

目次


一章『神話戦争』

一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33


二章『慈愛なき崇拝』

一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78


三章『裏に生まれる世界』

一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101


四章『summer vacation 〜夏休〜』

一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148


五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』

一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207


六章『旧・太陽神話』

一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292


七章『続・太陽神話』

一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404


八章『十二神話・召還』

一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424


九章『聖夜の賢愚クリスマス・ヘルメス

一話『祝祭の前夜ビフォア・イヴ
>>425
二話『双子の門番ツインズ・ゲートキーパー
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争パーティー・バトル
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲ノウレッジ・リベンジ
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447


第十章『月の下の約束です』

一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508


第十一章『新年』

一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573


十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』

一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610


十三章『友愛「親友だから——」』

一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637



コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』

一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482



デッキ調査室
№1『空城夕陽1』  >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137

人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.526 )
日時: 2014/03/13 13:38
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

『……《黙示賢者ソルハバキ》ヲ召喚。マナゾーンノ《フェアリー・ギフト》ヲ手札ニ。ソシテ手札ヲ一枚マナゾーンニ』
「2ターン目に《ソルハバキ》で《フェアリー・ギフト》を回収って……」
 夕陽とエール・ソニアスのデュエルは、まだ先攻夕陽の3ターン目が始まったところまでしか進んでいない。だが、その時点で夕陽は嫌な予感がしていた。
「《エコ・アイニー》を召喚。マナを追加して、ターン終了」
 とりあえずこの早い段階で6マナまで溜めたが、しかし夕陽の嫌な予感は見事に的中してしまう。
『……呪文《フェアリー・ギフト》。コストヲ3軽減シ《ソルハバキ》ヲ進化。《聖皇エール・ソニアス》』


聖皇(せいこう)エール・ソニアス 光文明 (5)
進化クリーチャー:グラディエーター 8000
進化—自分のグラディエーター1体の上に置く。
W・ブレイカー
相手がバトルゾーンにあるクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーを選ぶことはできない。


「やっぱりギフト土偶かよ!」
 叫ぶ夕陽。現れたのは、巨大な土偶のような姿をしたグラディエーターの進化クリーチャー《エール・ソニアス》。
 ギフト土偶というのは、いわゆる俗称で、《エール・ソニアス》が土偶のような姿をしていることから名付けられている。
 一見するとふざけたような名前ではあるが、しかし《フェアリー・ギフト》で2マナとなった《エール・ソニアス》を最速3ターン目に繰り出すこの流れは驚異だ。
「この早い順目に、アンタッチャブルでパワー8000のWブレイカーとか、きつすぎる……!」
 夕陽のデッキは素早く《アポロン》を呼び出せるように構築されており、《エール・ソニアス》を一方的に殴り返せるようなクリーチャーは少ない。しかも選べないため、ただでさえ除去の少ない夕陽のデッキでは除去手段がかなり限られる。
『《エール・ソニアス》デ攻撃、Wブレイク』
「ぐっ……!」
 早速シールドを二枚持って行かれた。このまま殴られ続けるとまずい。
「これで7マナか。なら《コッコ・ルピア》と《ガイアール・アクセル》を召喚! 《エコ・アイニー》でシールドをブレイク!」
 本来なら殴り返しを恐れて攻撃しない《エコ・アイニー》だが、今はシールドをブレイクされる方がまずい。なので《エール・ソニアス》の攻撃対象が《エコ・アイニー》に向いてくれれば、生き残るターンが伸びると考えたのだが、
『S・トリガー発動《進化設計図》』
 山札の上から六枚を捲り、その中の進化クリーチャーをすべて手札に加える呪文《進化設計図》がトリガーする《エール・ソニアス》。そして捲れた六枚の中に、進化クリーチャーは二体。
『《エール・ソニアス》ト《超戦攻賢者アギラ》ヲ手札ニ』
「手札を増やされた……ターン終了」
 《フェアリー・ギフト》は大きくテンポアドバンテージを稼いでくれる呪文だが、その分手札消費も激しい。そう何体も《エール・ソニアス》が並ぶとは思っていないが、マナにするためのカードを補充されるだけでもきつい。
 そして《エール・ソニアス》のターン。
『《宣凶師ベルモーレ》ヲ召喚。続ケテ呪文《フェアリー・ギフト》、コストヲ3下ゲ《スベンガリィ・クロウラー》ヲ召喚』
「あぁ!?」


スベンガリィ・クロウラー 水文明 (4)
クリーチャー:アースイーター/オリジン 4000
自分のクリーチャーは、クリーチャーを攻撃することができない。
相手のクリーチャーは、バトルゾーンに出す時タップして置く。


「またうぜぇのが出やがった……どうすんだよ、これ……」
 召喚したクリーチャーがタップされるため、一気に攻撃速度を落とされる夕陽。踏んだり蹴ったりだ。
『《エール・ソニアス》デWブレイク』
 そしてさらに二枚のシールドを割られてしまう。これで残るシールドは一枚。いよいよ追い詰められてきた。
「こうなったら、こいつしかいないか……《不敗のダイハード・リュウセイ》を召喚!」
 召喚されるクリーチャーはすべてタップ状態だが、《スベンガリィ・クロウラー》のデメリット能力で殴り返しの心配はない。《ガイアール・アクセル》でスピードアタッカーを付加した意味もなくなったが。
「そして《ガイアール・アクセル》で攻撃! その時《ダイハード・リュウセイ》の能力でシールドを一枚墓地へ!」
『《ベルモーレ》デブロック』
「だったら《エコ・アイニー》と《コッコ・ルピア》もシールドをブレイクだ!」
 殴り返しの恐れがないので、いつもなら攻撃しないファイアー・バードたちも積極的に攻撃していく。これで《エール・ソニアス》のシールドも一枚になり、数では並ぶ——と思われたが、
『S・トリガー発動《DNA・スパーク》』
「っ、止められた……!」
 《コッコ・ルピア》はタップされ、シールドも二枚から三枚に回復されてしまい、結果的に《エール・ソニアス》一枚しかシールドを失っていないことになる。
『《宣凶師ベリックス》ヲ召喚。マナゾーンノ《フェアリー・ギフト》ヲ手札ニ。呪文《フェアリー・ギフト》』
 そして返しのターン、《エール・ソニアス》はブロッカーを並べつつ、またしても《フェアリー・ギフト》を回収する。そして、
『《スベンガリィ・クロウラー》ヲ進化、《超戦攻賢者アギラ》』


超戦攻賢者アギラ 光/水文明 (4)
進化クリーチャー:グラディエーター/アースイーター 5500
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化—自分のグラディエーターまたはアースイーター1体の上に置く。
バトルゾーンにある自分の他のグラディエーターとアースイーターすべてのパワーは+2000される。
自分のグラディエーターまたはアースイーターがブロックした時、カードを1枚引いてもよい。


「今度はデュアル進化……本格的にやばいかもしれない——」
『《アギラ》デシールドヲブレイク』
 夕陽の言葉を遮るように、《アギラ》の攻撃が夕陽の最後のシールドを吹き飛ばす。これで夕陽のシールドはゼロに。
『《エール・ソニアス》デダイレクトアタック』
「っ、させるかよ! 《ダイハード・リュウセイ》を破壊!」
 最後のとどめを刺される瞬間、夕陽は《ダイハード・リュウセイ》を自壊させる。
「《ダイハード・リュウセイ》が破壊されたターン、僕はゲームに負けない! 僕のターンだ!」
 なんとか1ターンは生き延びられた夕陽。しかし相手の場にはブロッカーがおり、シールドも三枚ある。対して夕陽の場には《エコ・アイニー》と《コッコ・ルピア》そして《ガイアール・アクセル》の三体。
「……って、なんだよ、余裕じゃん。なぁ、アポロン」
「え? そうなのか?」
 さっきのシールドブレイクで手札に入ったアポロンに問いかけると、アポロンも聞き返す。
 いつもブロッカーに悩まされている夕陽は、ブロッカーと言う存在を少し重く考えていたかもしれない。
 これがもし姫乃を相手にしていたなら、相手の場には《パーフェクト・マドンナ》や《ジャンヌ・ダルク》が並んでいたことだろう。それらのクリーチャーを相手にしたら、流石に突破は無理だ。
 しかし《エール・ソニアス》の場には、《アギラ》で強化されてパワー5000にはなっているが、所詮ただのブロッカーだ。恐るるに足らない。
「《GENJI》とか《トルネードシヴァ》とかがいたらもっと楽だったんだけど……まあいいや。今回はアポロンを出すまでもない」

「《ボルシャック・NEX》を召喚! 山札から《コッコ・ルピア》をバトルゾーンに! さらに《偽りの名 バルキリー・ラゴン》を召喚! 山札から《永遠のリュウセイ・カイザー》をサーチして、そのまま召喚!」
 これで準備は整った。毎度のことオーバーキル気味だが、構うものか。足りないよりはよっぽどいい。
「最速で土偶が出た時にはちょっと冷や冷やしたけど、大した相手でもなかったな。行くぞ、《バルキリー・ラゴン》で攻撃! Wブレイク!」
 《バルキリー・ラゴン》の槍と刃が《エール・ソニアス》のシールドを切り裂く。その後に続くのは、二体のファイアー・バード。
「《エコ・アイニー》でもシールドブレイク!」
『《ベリックス》デブロック。《アギラ》ノ効果デ一枚ドロー』
「知ったことか! 《コッコ・ルピア》でシールドをブレイク!」
 《エコ・アイニー》はブロックされてやられたが、《コッコ・ルピア》が高速で飛び、《エール・ソニアス》の最後のシールドに迫る。
『ニンジャ・ストライク《光牙忍ハヤブサマル》ヲ召喚』
「召喚するのは勝手だけど、そいつは《リュウセイ・カイザー》の効果でタップされて出るから、ブロックできないよ」
 タップされた《ハヤブサマル》の横を通り過ぎ、《コッコ・ルピア》が最後のシールドを貫いた。
 《アギラ》の効果で引いてきたのだろう、《ハヤブサマル》を召喚して凌ごうとする《エール・ソニアス》だが、悪足掻きすらできず——
「これで終わりだ! 《永遠のリュウセイ・カイザー》で、ダイレクトアタック!」
 ——《エール・ソニアス》は、音もなく崩れ落ちるのだった。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.527 )
日時: 2014/03/13 23:16
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

『呪文《焦土と開拓の天変》! マナを一枚追加し、貴様のマナゾーンからカードを一枚墓地へ!』
「わっ」
 このみとギガマンティスのデュエルは、まだ始まったばかり。このみはシールド五枚、ギガマンティスが四枚だ。
 このみのバトルゾーンには《呪紋のカルマ インカ》と《魅了妖精チャミリア》。
 対するギガマンティスのバトルゾーンには《ピーカプのドライバー》と《青銅の鎧》。
「うーん、このターンで6マナになりたかったんだけどなぁ。《レヴィヤ・ターン》が出せない……まあ仕方ないか。ならここは《チャミリア》のタップ能力で、山札から《オーロラ》を手札に加えるよ。そして《インカ》でシールドブレイク!」
 ランデスによって本来の速度を削がれてしまったこのみ。だがその程度では手を止めず、後続を引き寄せながら攻めを崩さない。
 しかし、
『俺のターン! 《スナイプ・モスキート》を召喚。さらに《ピーカプのドライバー》を進化! 《超神機鎧冑ゼノメノン》!』


超神機鎧冑ゼノメノン 火/自然文明 (6)
進化クリーチャー:ゼノパーツ/ジャイアント・インセクト 5000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化—自分のゼノパーツまたはジャイアント・インセクト1体の上に置く。
バトルゾーンにある自分の他のゼノパーツとジャイアント・インセクトすべてのパワーは+2000される。
自分のゼノパーツまたはジャイアント・インセクトが相手プレイヤーを攻撃してブロックされなかった時、相手は自分自身のマナゾーンからカードを1枚選び、持ち主の墓地に置く。


『《ゼノメノン》で《チャミリア》を攻撃!』
「うぅ、《チャミリア》がやられちゃったか……まあでも、ここからここから」
 まだまだ余裕を失わないこのみは、笑みを浮かべながらカードを引く。
「《レヴィヤ・ターン》はマナにしちゃったから……これかな。まず《天真妖精オチャッピィ》を召喚して、墓地の《ジャスミン》をマナゾーンに! 続けて《妖精のイザナイ オーロラ》を召喚!」
 手札を使い切ってしまったが、それなりに場数は並んだ。あとは《オーロラ》の光臨で後続を呼びながら殴るだけだ。
「でも、《インカ》はそのまま殴り返されちゃうし……ターン終了だよ」
 このターンは攻撃せず、次のターンに回すこのみ。
 だが次のターン、彼女は予想だにしない悲劇を目の当たりにする。
『俺のターン《ボルバルザーク・エクス》を召喚! マナをすべてアンタップ!』
 《ボルバルザーク・エクス》でマナを再び使用するギガマンティスだが、この《ボルバルザーク・エクス》はターンの初めに出て来たので、単純に頭数が一体増えただけ。いや、スピードアタッカーでWブレイカーも持っているので、それが実質コストの支払いなしで出て来たとなれば十分強力だが、マナブーストとコスト軽減で大量のドラゴンを呼び出すために使用する夕陽などと比べると、いまいちパッとしない印象を受ける。
 だがそれも、次の瞬間には彼女のマナと共に吹き飛ぶのだが。

『続けて呪文! 《竜脈噴火》!』


竜脈噴火 火文明 (8)
呪文
バトルゾーンにある自分の自然のクリーチャー1体につき、相手のマナゾーンから1枚選び、持ち主の墓地に置いてもよい。

 突如このみのマナゾーンが鳴動する。そして、噴火した。
『俺のバトルゾーンにいる自然のクリーチャーは、今さっき召喚した《ボルバルザーク・エクス》と、《青銅の鎧》《スナイプ・モスキート》そして《ゼノメノン》の四体。つまり、4マナ破壊だ!』
「えぇ!? 4マナも!?」
 このみのマナゾーンのカードが四枚吹き飛ばされる。これで3マナ、対するギガマンティスのマナは8マナもある。倍以上の差がついてしまった。
『まだだ! 《ゼノメノン》でシールドをブレイク! ブロックされなかったので、マナゾーンのカードを一枚墓地へ置け!』
「またマナ破壊!? うぅ……」
 仕方なくマナゾーンの《ジャスミン》を墓地へと送るこのみ。だが、まだ終わりではない。
『《スナイプ・モスキート》でシールドブレイク!』
 マナゾーンのカードを回収しつつ、このみのマナを破壊していくギガマンティス。これでこのみは1マナとなってしまう。
『《青銅の鎧》でシールドブレイク!』
「っ、S・トリガーだよ! 《リーフストーム・トラップ》で、あたしの《オチャッピィ》とあなたの《ボルバルザーク・エクス》をマナゾーンに!」
 このままWブレイクを喰らえばシールドがなくなってしまう。マナがない今は手札が多くてもできることがないので、いつもなら通すこともあった攻撃も今は通せない。なので素直に《ボルバルザーク・エクス》をマナゾーンに送り込んだ。
「でも2マナか……うーん、とにかくやるだけのことをやるしかないか。まずはG・ゼロで呪文《妖精の裏技ラララ・ライフ》を使うよ。マナを一枚増やして、次は《再誕の社》。墓地のカードを二枚マナゾーンに」
 自然文明が得意とするのはマナ加速。このターンで3マナ増やし、5マナまで回復させるが、ギガマンティスのマナには遠く及ばない。
「それから《オーロラ》で《青銅の鎧》に攻撃して破壊!」
 《オーロラ》をタップさせると同時に殴り返し、最低限の防御は固めておく。さらに、
「ターン終了する時に、《オーロラ》の光臨で山札からコスト6以下のスノーフェアリーをバトルゾーンに出すよ」
 このみのターンの終わりに《オーロラ》の光臨が発動し、山札を見るこのみ。山札のカードが次々と捲られていき、このみの正面に広がるが、
「あ、あれ? あの子がいない……!?」
 目当てのクリーチャーがそこにはいなかった。恐らくはシールドに埋まっているのだろう。本当なら《チャミリア》でクリーチャーをサーチした時に気付くべきなのだが。
「ん、んぅー……なら、《オチャッピィ》を出して墓地の《再誕の社》をマナゾーンに置くよ」
 ともかくマナがなければなにもできないので、このみはとにかくマナを増やす。
『無駄なことを……《ベニジシ・スパイダー》を召喚。マナを追加し、そのまま進化!』
 だが、このみがマナを増やすより早く、大昆虫の鎌が襲い掛かる。

『《大昆虫ギガマンティス》!』


大昆虫ギガマンティス 自然文明 (4)
進化クリーチャー:ジャイアント・インセクト 5000
進化—自分のジャイアント・インセクト1体の上に置く。
このクリーチャーがバトルゾーンにある間に、自分の他の自然のクリーチャーがバトルゾーンから墓地に置かれるとき、そのクリーチャーを自分のマナゾーンに置く。


 現れたのは、その名の通り巨大な昆虫。直立した蟷螂のような姿をしたクリーチャー《大昆虫ギガマンティス》だった。
 その能力はともかくとして、このみのシールドは二枚、そして《ギガマンティス》のアタッカーはこれで三体。つまり、このターンにこのみを倒すだけの打点を揃えてしまったのだ。
『もうマナを破壊する意味もないな。《ゼノメノン》でシールドをブレイク!』
 《ゼノメノン》が四枚目のシールドを剥ぎ取る。同時に、このみのマナゾーンからカードが墓地へと落ちる。破壊する意味がないなら破壊しないで欲しいが、そうもいかない。
『《ギガマンティス》で最後のシールドをブレイク! そして《スナイプ・モスキート》でとどめだ!』
「……っ!」
 シールドを失ったこのみに、巨大な蠱虫が襲い掛かる——
「まだ……だよっ! ニンジャ・ストライク! 《光牙忍ハヤブサマル》を召喚!」
 ——が、このみと《スナイプ・モスキート》の間に、一つの影が割って入る。
「《ハヤブサマル》をブロッカーにしてブロック!」
 なんとかダイレクトアタックを防ぐこのみ。マナを増やした甲斐あり、ギリギリ4マナあったため《ハヤブサマル》を召喚できた。
「これで1ターン生き延びられたよ! あたしのターン!」
 《ギガマンティス》がシールドを割ったため、《オーロラ》で呼びたかったカードを手に入れることができた。しかも都合の良いことに、それは、
「マナゾーンの《ジャスミン》を進化元にして、マナ進化! 《ダイヤモンド・カスケード》!」
 進化クリーチャーだった。
「《カスケード》の能力で、マナゾーンのスノーフェアリーをすべて手札に加えるよ。さらにその後、墓地のスノーフェアリーをすべてマナゾーンに!」
『なんだと……っ!』
 一気にマナを9マナまで回復させたこのみ。今の時点でとどめを刺すだけの打点は揃っているが、このみがそうであったように、相手もS・トリガーやシノビで凌ぐかもしれない。ここはオーバーキル気味に攻める。
「さらに! 《ボルバルザーク・エクス》を召喚! マナをすべてアンタップ! 続けて《きぐるみ妖精ユッキー》と《守護炎龍レヴィヤ・ターン》を召喚! 《レヴィヤ・ターン》の効果でマナゾーンからコスト3以下のクリーチャーをバトルゾーンに! 《ユッキー》を進化! 《ダイヤモンド・ブリザード》!」
 《ブリザード》の能力でマナに戻したスノーフェアリーがすべて手札に入り、またマナをほとんど失ってしまうが、この状況では気にならない。
「《ボルバルザーク・エクス》でWブレイク! 《オーロラ》で最後のシールドをブレイク!」
 《ギガマンティス》のシールドを次々と粉砕していくこのみのクリーチャーたち。最後のシールドからは《ナチュラル・トラップ》が出て来たが、構うものか。まだアタッカーは残っている。
 そして、 
「《ダイヤモンド・ブリザード》で、とどめだぁー!」

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.528 )
日時: 2014/03/14 16:14
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 ラトリとマルコのデュエルは、シールドの枚数で言えばマルコの優勢だった。ラトリが四枚、マルコが五枚。
 ラトリの場には《匠のイザナイ ファッション・モンスター》が一体。マルコの場には《否男》《クゥリャン》《斬隠テンサイ・ジャニット》の三体がいる。
『ビビ……《否男》《クゥリャン》でシールドをブレイク』
 早いターンから積極的に殴ってくるマルコは、その攻めを緩めない。次々と攻撃を仕掛けてくる。
「うーん、これはピンチかもねぇ……私のターン!」
 口では言うものの、そこまで危機感が見られないラトリは、勢いよくカードを引くと、
「こっからが私の逆転ドラマ! のプレリュード! 呪文《ヘブンズ・ゲート》!」
 ラトリの声と共に天国の門が開かれる。そこから現れるのは天使ではなく、二体の無法者だった。
「《守護すぎる守護 鋼鉄》! 《宇宙刃 ニケ》!」


守護すぎる守護(ウルトラ・ディフェンス) 鋼鉄 光文明 (7)
クリーチャー:アウトレイジ 6000
ブロッカー
W・ブレイカー
シールド・ゴー
このカードが自分のシールドゾーンに表向きであれば、バトルゾーンにある自分のクリーチャーはすべて「シールド・セイバー」を得る。


宇宙(コスモ)刃(コスモス) ニケ 光文明 (6)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 6000
ブロッカー
W・ブレイカー
シールド・セイバー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《宇宙》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《宇宙》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


「さらに《ファッション・モンスター》で《クゥリャン》を攻撃! ターンエンド!」
 《否男》はスレイヤーとなっているため、《クゥリャン》を殴り返すラトリ。だがこの殴り返しは、ただの殴り返し以上の意味を持っている。
「ここで《ファッション・モンスター》の光臨がスタートアップ! デッキからコスト6以下のシールド・ゴー持ちクリーチャーをバトルゾーンに出すよ。コール《万里の超常 トラファルガル》! 即破壊してシールド・ゴー! マナを追加!」


匠の(パリミラノ)イザナイ ファッション・モンスター 光文明 (5)
クリーチャー:アウトレイジMAX/オラクル 5000
光臨—自分のターンの終わりに、このクリーチャーがタップされていれば、自分の山札を見る。その中からコスト6以下の、「シールド・ゴー」を持つクリーチャーを1体、バトルゾーンに出してもよい。その後、山札をシャッフルする。


 型破りにセンスにより、アウトレイジでありながらイザナイの力を有し、オラクルでありながら無法者となれたクリーチャー《ファッション・モンスター》。
 その能力は、オラクル七階級のうち三位に属するイザナイが持つ光臨。だが彼が光臨させるのは、アウトレイジがその遺志を仲間に残す力、シールド・ゴーの力を備えるクリーチャーだ。
『ジジ……《テンサイ・ジャニット》を進化。《エンペラー・マルコ》』
 返しのターン。《ジャニット》が《マルコ》に進化し、《マルコ》は枯れつつある手札を補充する。だが《鋼鉄》と《ニケ》、二体のブロッカーが睨みを利かせているせいか、攻撃はせずにターンを終える。
「そんなスロウリィで大丈夫? 《万里の超常 ジュラルミン》を召喚! 即破壊してシールド・ゴー! 相手クリーチャーをオールタップ! 《鋼鉄》で《否男》にアタックして、こっちもシールド・ゴー!」
 即破壊することでシールド・ゴーしながら能力を発揮する《万里の超常》サイクル。ただし一度墓地を経由するため、《否男》の能力は発動し、スレイヤーと化す。
 だが、破壊されるのならラトリにとってはむしろ好都合だった。相手のアタッカーを減らしつつ、こちらはシールド・ゴーを発動できる。
 そして破壊されることで発動する能力は、シールド・ゴーだけではない。
「《ニケ》で《エンペラー・マルコ》をアタック! 相打ちして——ドロン・ゴー!」
 相打ちで《マルコ》諸共《ニケ》が破壊される。しかし、ただでは破壊されない。《ニケ》はこの世界でたった一つの存在であるエグザイルだ。破壊されても、その魂は残り、新たな姿へと昇華する。

「宇宙の力を解き放て! 世界を守る盾こそが、悪を切り裂く刃となる! 無法の神秘よ、創造せよ! 《宇宙美刃 ミケランジェロ》!」


宇宙(コスモ)美刃(ビューティー) ミケランジェロ 光文明 (8)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 11000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚を見る。その中から1枚を裏向きにして、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加え、残りを手札に加える。
W・ブレイカー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《宇宙》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《宇宙》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


 現れたのは、《ニケ》がドロン・ゴーで転生した唯一無二なる無法者《ミケランジェロ》。全宇宙の中でも並ぶものはいないとされる美貌を持つエグザイルだ。
「《ミケランジェロ》の能力で、デッキからカードを三枚ルック! その中の一枚をシールドにして、残り二枚は手札にするよ!」
 これでラトリのシールドは六枚。うち三枚は表向きになっているが、かなり堅牢な防御となった。
「最後に《ファッション・モンスター》でシールドをブレイク!」
 攻撃対象となるクリーチャーがいないので、ラトリはシールドを狙う。なるべく相手に手札は与えたくないが、《マルコ》で十分引いており、今のマナ数ではその手札を使い切れないだろうと思ってのことだ。
 だが、
『ギギ……S・トリガー《デーモン・ハンド》。《ファッション・モンスター》を破壊』
 S・トリガーを踏んでしまいあえなく《ファッション・モンスター》は破壊されてしまった。
『ピピ……《エメラル》《チェレンコ》《飛行男》を召喚』
 さらに返しのターン、一気にクリーチャーを展開されてしまう。とはいえ小型クリーチャーばかりなので、さしたる問題はない。
「こっちはブロッカーでディフェンス固めだよ。《天空美麗 ミケラ・ジェンヌ》を召喚!」


天空美麗(ミス・ユニバース) ミケラ・ジェンヌ 光文明 (6)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のシールドをひとつ手札に加える。その後、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加える。
W・ブレイカー
自分の他の、名前に《天空美麗》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


 次に現れたのも、唯一無二なるエグザイル。だが、ドロン・ゴーを有するものとは違う存在。《ミケランジェロ》の別の姿とでも言うべきクリーチャーだ。
「《ミケラ・ジェンヌ》の能力でシールドを一枚手札に加えるけど、この能力で加えたシールドのS・トリガーはプレイできる。というわけで、さっき《ミケランジェロ》で仕込んどいたこれをプレイ! 《緊急再誕》!」
 ラトリが発動させたのはS・トリガー呪文の《緊急再誕》。自身のクリーチャーを一体破壊することで、手札のクリーチャーのコストを踏み倒す呪文だ。
「破壊するのは《ミケランジェロ》! そして手札から出すのはこの子! 《反転する不完全 ギャラクシー》!」


反転する不完全(ミスター・パーフェクト) ギャラクシー 光文明 (7)
クリーチャー:アウトレイジMAX 9000
ブロッカー
W・ブレイカー
相手がバトルゾーンにあるクリーチャーを選ぶ時、「シールド・ゴー」を持つカードが自分のシールドゾーンに表向きであれば、このクリーチャーを選ぶことはできない。
自分のシールドがブレイクされる時、「シールド・ゴー」を持つカードがそのシールドに表向きであれば、そのシールドのかわりに自分の他のシールドを手札に加えてもよい。


 《緊急再誕》で現れた新たな無法者。かの《不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー》がアウトレイジの、それもシールド・ゴーの力の影響を強く受けた姿だ。
 さらにラトリはこの時、《ミケランジェロ》を破壊して《緊急再誕》を使用している。それはつまり、
「《ミケランジェロ》を《ミケランジェロ》にドロン・ゴー!」
 またドロン・ゴーが発動するということだ。
 シールドを一枚、手札を二枚増やし、守りを盤石にするラトリ。《ミケランジェロ》の能力は、地味ではあるが堅実にアドバンテージを稼ぐことのできる、強力な能力だ。
『キキ……《電磁封魔ロッキオ》を召喚。《ロッキオ》を進化、《超電磁妖魔ロメール》』


超電磁妖魔ロメール 水/闇文明 (4)
進化クリーチャー:サイバーロード/ヘドリアン 5000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化—自分のサイバーロードまたはヘドリアン1体の上に置く。
バトルゾーンにある自分の他のサイバーロードとヘドリアンすべてのパワーは+2000される。
自分のサイバーロードとヘドリアンはブロックされない。


『チチ……《エメラル》《チェレンコ》《飛行男》《ロメール》で攻撃』
「おっとー! ソーリーだけど、フリーなブレイクはさせないよ! 《反転する不完全 ギャラクシー》の能力で、シールド・ゴーを持つクリーチャーがシールドにいれば、私の他のシールドを手札に加える!」
 つまり、シールド・ゴーでシールドとなったクリーチャーを守ることのできる能力だ。
 ラトリはまず、シールドになっている間の能力を持たない《トラファルガル》と《ジュラルミン》を剥がし、次に《ミケランジェロ》で追加したシールドを手札に加える。
「S・トリガー発動《フェアリー・シャワー》!」
 そして仕込んだS・トリガーを発動させ、山札の上から二枚を見て、一枚をマナ、一枚を手札に加えた。さらに、
「ワォ、グッドなカードだ。だったら《ロメール》のブレイクは、シールド・ゴーした《鋼鉄》の能力でシールド・セイバーを得た《ミケランジェロ》を破壊してセーブ!」
 また《ミケランジェロ》が破壊される。つまり、
「ドロン・ゴー! 《宇宙美刃 ミケランジェロ》!」
 また《ミケランジェロ》がドロン・ゴーで現れる。その能力でシールドを一枚、手札を二枚増やすラトリ。ドロン・ゴー連発で、集計すれば膨大なアドバンテージを稼いでいる。
「ネクスト私のターン! 陣地の力を解き放て! 仲間を守る盾こそが、敵手を射抜く弓となる! 無法の光よ、突き進め! 《驚異的陣形 アレキサンドライト》! その能力で……《凄惨なる牙 パラノーマル》をシールド・ゴー! そっちのウィニーはオール、デストロイ!」
 さらに返しのターンに《アレキサンドライト》で《パラノーマル》をシールドに設置し、マルコの小型クリーチャーを殲滅する。《ロメール》でパワーアップしているとはいえ、素のパワーはたった1000しかないのだ。パンプアップ分も根こそぎ奪い尽くし、残ったのは《ロメール》一体のみ。
『ズズ……《飛行男》が破壊されたので、手札を一枚、墓地へ』
「お、それはオーケーなのかな? あんまイージーにハンデスしない方がグッドだったりするかもよ?」
 ラトリの手札から落ちたのは《驚愕の存在 カニス》。
「とはいえ、これだけクリーチャーが並べばオーバーキルか……うん、エキサイトだね!」
 などと言って笑うラトリ。だが、相手からしたらたまったものではないだろう。
「《アレキサンドライト》進化! 《守護大帝 ストーンゴルド》!」


守護大帝(ジェネラル・ガード) ストーンゴルド 光文明 (5)
進化クリーチャー:アウトレイジMAX 6000
進化—自分のアウトレイジ1体の上に置く。
このクリーチャーが攻撃する時、「シールド・ゴー」を持つクリーチャーを1体、自分の墓地から表向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
W・ブレイカー


「ジョーク抜きのオーバーキルだけど、《カニス》をハンデスしたのが仇になったね! 《ストーンゴルド》で《ロメール》にアタック! その時《ストーンゴルド》の能力で、墓地の《カニス》をシールド・ゴー!」
 《飛行男》によって捨てられた《カニス》が、シールドとなって舞い戻る。《カニス》が表向きでシールドとなっている時、ラトリのクリーチャーはすべてパワーアタッカー+5000、さらにシールドを一枚追加でブレイクできる。
 《ロメール》は《ストーンゴルド》とのバトルに敗れ破壊される。そしてその後に続くのは、三体の光の無法者。
「《ミケラ・ジェンヌ》でTブレイク! 《ミケランジェロ》で最後のシールドをブレイク!」
 《カニス》の力を受けて打点の上がった《ミケラ・ジェンヌ》の光線にマルコの三枚のシールドが突き破られ、《ミケランジェロ》が巨大な刃で最後のシールドを切り裂く。
『ググ……S・トリガー発動《スパイラル・ゲート》。《ギャラクシー》を手札に』
 それは《エメラル》によってカードを入れ替えていたシールドだったが、やはりS・トリガーを仕込んでいた。
 だが、それも無駄なのだ。
「ノンノン、それはキャンノット、だね」
 《スパイラル・ゲート》による渦が巻き起こるが、我関せずと言った風に《ギャラクシー》はマルコへと直進する。
「私のシールドにシールド・ゴー持ちのクリーチャーが表向きであれば、《ギャラクシー》はアンタッチャブル! 《スパイラル・ゲート》はエフェクトナッシング!」
 シールド・ゴーを持つクリーチャーが表向きでシールドにあるので《ギャラクシー》は選ばれない。なので《スパイラル・ゲート》も通用しない。
 このターンを凌ぐことも出来ず、マルコに完全なる無法者が立ちはだかる。
「《反転する不完全 ギャラクシー》で、ダイレクトアタック!」

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.529 )
日時: 2014/03/15 00:01
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 希野とヴィクトリアのデュエル。
 希野のシールドは五枚、場にはなにもなし。だが、序盤から《霞み妖精ジャスミン》や《再誕の社》、さらには《スクランブル・タイフーン》による墓地肥やしからの《偉大なる恵み》で、大量のマナをブーストさせている。
 対するヴィクトリアの場には《光陣の使徒ムルムル》が二体《光器パーフェクト・マドンナ》が二体《封魔聖者シャックル・アーマ》が一体の計五体。
「ブロッカーが多い……もう少し準備してからの方がいいかもしれないわね。呪文《ピクシー・ライフ》でマナを追加、そしてマナゾーンから無色カードの《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》を回収。続けて《爆走鬼娘モエル・ゴー》を召喚して、山札から《黄金龍 鬼丸「王牙」》を手札に加えるわ」
 まだ大きな動きは見せずにターンを終える希野。準備は着々と進んでいるようだが、ヴィクトリアが先んじて動き始める。
『私のターン。呪文《ロジック・スパーク》で《ダイヤモンド・ソード》を手札に。続けて呪文《母なる星域》を発動、《パーフェクト・マドンナ》をマナゾーンへ』
 送ろうとするが、しかし《マドンナ》はパワーがゼロ以下にならない限り場を離れない。つまり、場数を減らさずにマナゾーンからクリーチャーを引っ張り出せる。
『《シャックル・アーマ》を進化、《真姫ヴィクトリア》』


真姫ヴィクトリア 光文明 (7)
進化クリーチャー:メカ・デル・ソル 6000
ブロッカー
進化—自分の「ブロッカー」を持つクリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンの出した時、バトルゾーンにある自分の「ブロッカー」を持つクリーチャー1体につき、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選びタップしてもよい。
W・ブレイカー


『《ヴィクトリア》の能力で《モエル・ゴー》をタップ。そして、そのまま攻撃。破壊ですわ』
 早速《モエル・ゴー》がタップキルで破壊されてしまった。
「《ダイヤモンド・ソード》を手札に加えてたし、次のターンに決めに掛かるつもりね」
 《ヴィクトリア》の場には、Wブレイカーの《ヴィクトリア》自身と、他四体のブロッカー。さらに他にもクリーチャーを召喚すると考えれば、《マドンナ》の存在もあり、余裕で希野にとどめを刺せる。
 だが逆に、希野も余裕で《ヴィクトリア》を倒すだけの戦力を揃えていた。
「あたしのターン。一応《ピクシー・ライフ》でマナを増やして、マナゾーンの《王牙秘伝ゴールデン・ビクトリー》を回収……マナは十分、クリーチャーも揃ってる。このターンで終わらせるわ」
 希野はマナ加速と同時に、さり気無く整えていた別の準備も含めて、自身の切り札の力を解放する。

「必勝を司る龍よ、その力を解き放ち、我らに勝利を——《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》!」


「必勝」の頂 カイザー「刃鬼(ばき)」 ≡V≡ 無色 (11)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター/ゼニス 14000
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、相手のシールドを数え、その回数相手とガチンコ・ジャッジする。その後、こうして自分がガチンコ・ジャッジに勝った数、ハンターを1体、自分の墓地、マナゾーン、または手札からバトルゾーンに出す。
T・ブレイカー
エターナル・Ω


 必勝、それは読んで字の如く、必ず勝つこと。
 それを概念ではなく存在として体現している龍が《カイザー「刃鬼」》だ。《鬼無双 カイザー「勝」》が紆余曲折を経てゼニスとなり、その雄叫びは必ずや勝利をもたらしてくれる。
「《カイザー「刃鬼」》の能力発動! 相手のシールドの枚数分ガチンコ・ジャッジを行う!」
 希野は《ヴィクトリア》のシールドを一枚も割っておらず、《ヴィクトリア》も自身で増減させていない。デュエル開始時の、五枚のまま。
 つまり、五回のガチンコ・ジャッジを行うのだ。
「ガチンコ・ジャッジ!」
 一戦目、希野はコスト5《スクランブル・タイフーン》、《ヴィクトリア》はコスト5《停滞の信者 ブリトニー・ステイシス》。
 二戦目、希野はコスト2《霞み妖精ジャスミン》、《ヴィクトリア》はコスト6《ヘブンズ・ゲート》。
 三戦目、希野はコスト8《不敗のダイハード・リュウセイ》、《ヴィクトリア》はコスト7《真姫ヴィクトリア》。
 四戦目、希野はコスト4《偉大なる恵み》、《ヴィクトリア》はコスト3《母なる星域》。
 五戦目、希野はコスト8《国士無双カイザー「勝×喝」》、《ヴィクトリア》はコスト3《エナジー・ライト》。
 希野は五戦中四回勝利した。なので《カイザー「刃鬼」》の能力で、墓地、マナゾーン、手札からハンターを四体踏み倒せる。
「踏み倒すのはこの四体! 《アクア・インテリジェンス 3rd G》 《永遠のリュウセイ・カイザー》《爆走鬼娘モエル・ゴー》《獣鬼装甲トラマルGGG》!」
 《モエル・ゴー》以外はマナゾーンからハンターを踏み倒す希野。《トラマルGGG》は破壊されてまた戻って来た《モエル・ゴー》を進化元として進化する。


獣鬼装甲トラマルGGG(トライジー) 火文明 (5)
進化クリーチャー:ヒューマノイド/ハンター/エイリアン 6000
進化—自分のヒューマノイド1体の上に置く。
このクリーチャーが攻撃する時、相手と3回ガチンコ・ジャッジする。自分が3回勝ったら、コスト12以下の進化ではないハンターを1体、コストを支払わずに召喚してもよい。自分が2回だけ勝ったら、コスト8以下の進化ではないハンターを1体、コストを支払わずに召喚してもよい。
W・ブレイカー


「《トラマルGGG》で攻撃! そしてこの時もガチンコ・ジャッジ!」
 《獣鬼装甲トラマルGGG》が攻撃する時、三回ガチンコ・ジャッジを行う。勝てばクリーチャーのコストを踏み倒せるのだが、このガチンコ・ジャッジで勝った回数により、踏み倒せるクリーチャーのコストが変動するのだ。
 なにはともあれ、ガチンコ・ジャッジ三連戦。
 一戦目、希野はコスト2《霞み妖精ジャスミン》、《ヴィクトリア》もコスト3《コアクアンのおつかい》。
 二戦目、希野はコスト3《セブンス・タワー》、《ヴィクトリア》はコスト6《ヘブンズ・ゲート》。
 三戦目、希野はコスト8《永遠のリュウセイ・カイザー》、《ヴィクトリア》はコスト4《封魔聖者シャックル・アーマ》。
 一見すると希野は三戦中一戦しか勝てておらず、《トラマルGGG》の能力が発動しないように見える。
 だが、希野場には《カイザー「刃鬼」》で呼び出した《アクア・インテリジェンス 3rd G》がいる。


アクア・インテリジェンス 3rd G 水文明 (7)
クリーチャー:リキッド・ピープル/ハンター 7000
このクリーチャーが攻撃する時、相手とガチンコ・ジャッジする。自分が勝ったら、バトルゾーンにある相手のコスト6以下のクリーチャーをすべて、持ち主の手札に戻す。
ガチンコ・ジャッジ中、自分が見せるカードのコストを3多くする。
W・ブレイカー


 つまり、希野がガチンコ・ジャッジで捲ったカードのコストはすべて3足され、全勝したことになるのだ。
「すべてのガチンコ・ジャッジに勝ったから《トラマルGGG》の能力で手札からコスト12以下のクリーチャーを召喚できる! 出すのはこれ! 《黄金龍 鬼丸「王牙」》!」


黄金龍(ゴールデン・ドラゴン) 鬼丸「王牙(オーガ)」≡V≡ 無色 (11)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ゼニス/ハンター 13000
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、無色ではない相手の、このクリーチャーよりパワーが小さいクリーチャーをすべて破壊する。
スピードアタッカー
T・ブレイカー
バトルゾーンにある自分のハンターとエイリアンはすべて「エターナル・Ω」を得る。


 忘れてはならないのが、《トラマルGGG》の能力で出て来るクリーチャーは、コストを踏み倒してはいるものの“召喚”なのだ。つまり、ゼニス特有の召喚した時のみ発動する能力が発動する。
「《鬼丸「王牙」》の召喚時能力で、このクリーチャーよりパワーの低い無色以外のクリーチャーをすべて破壊!」
 刹那、《鬼丸「王牙」》の一喝で、《ヴィクトリア》の場にいたクリーチャーがほぼすべて消滅する。残ったのは場を離れない《マドンナ》だけ。
 そしてその後、ずっと先送りにされていた《トラマルGGG》の攻撃がヴィクトリアに通る。
『っ……S・トリガー発動! 《ヘブンズ・ゲート》で《光器パーフェクト・マドンナ》を二体バトルゾーンに! これでブロッカーが三体ですわ』
「果たして、三体で足りるかしらね? 《鬼丸「王牙」》で攻撃、その時、アタック・チャンス発動! 《王牙秘伝ゴールデン・ビクトリー》!」


王牙(オーガ)秘伝ゴールデン・ビクトリー 無色 (9)
呪文
アタック・チャンス—《黄金龍 鬼丸「王牙」》
自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中から好きな枚数の進化ではないハンターとエイリアンをバトルゾーンに出してもよい。このターン、そのクリーチャーはすべて「スピードアタッカー」を得る。その後、それ以外のカードを好きな順序で自分の山札の一番下に置く。


 《鬼丸「王牙」》が攻撃する瞬間、彼の叫びがフィールドに木霊する。そしてその叫びにより、希野の山札が捲られた。
「この捲った三枚の中にあるハンターとエイリアンをすべて、スピードアタッカーを付加してバトルゾーンに!」
 捲られた三枚は《不敗のダイハード・リュウセイ》《ドンドン吸い込むナウ》《R.S.F.K.》。ハンターは二体だ。
「《不敗のダイハード・リュウセイ》と《R.S.F.K.》をバトルゾーンに! さらに《R.S.F.K.》の能力発動!」


R.S.F.K.(ロイヤル・ストレート・フラッシュ・カイザー) 火文明 (7)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター/エイリアン 5000
スピードアタッカー
このクリーチャーが攻撃する時、自分が負けるか中止するまで、相手とガチンコ・ジャッジする。その後、こうして自分がガチンコ・ジャッジに勝った回数、このクリーチャーは相手のシールドを1枚ブレイクする。


 史上最強の勝負師、または連ドラの最終兵器と呼ばれるドラゴン《R.S.F.K.》。
 その能力は、完全にガチンコ・ジャッジに依存したギャンブルではあるが、勝ち続ければいくら相手のシールドが多かろうと、ブロッカーが並ぼうがシノビを握っていようが関係なく攻撃を通せる。勝負師に相応しい能力だ。
 《鬼丸「王牙」》の攻撃はブロックされたが、続いて《R.S.F.K.》が飛び出す。その時、希野はまたまたガチンコ・ジャッジによる勝負に持ち込んだ。
 一戦目、希野はコスト2《霞み妖精ジャスミン》、ヴィクトリアもコスト2《光陣の使徒ムルムル》
 二戦目、希野はコスト4《爆走鬼娘モエル・ゴー》、ヴィクトリアはコスト5《停滞の信者 ブリトニー・ステイシス》。
 三戦目、希野はコスト7《アクア・インテリジェンス 3rd G》、ヴィクトリアはコスト3《エナジー・ライト》。
 これらの結果に《アクア・インテリジェンス 3rd G》の能力をプラスすれば、希野三連勝。
 《R.S.F.K.》の能力により、問答無用でヴィクトリアのシールドが三枚砕け散った。そこに《R.S.F.K.》のダイレクトアタックが繰り出される。
『《パーフェクト・マドンナ》で、ブロック!』
「なら《インテリジェンス 3rd G》でダイレクトアタック!」
『そ、それもブロックですわ……!』
 《永遠のリュウセイ・カイザー》で希野のクリーチャーはすべてスピードアタッカーとなっている。《鬼丸「王牙」》でブロッカーを一掃されたヴィクトリアは、生き残った分と《ヘブンズ・ゲート》で呼び出された《マドンナ》で攻撃を防ぐも、もはや限界だ。流石に数が多すぎた。
 《「必勝」の頂》はその名に違わず、主人である彼女に絶対的な勝利をもたらすのだった。
「《カイザー「刃鬼」》で、ダイレクトアタック!」

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.530 )
日時: 2014/03/15 06:41
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 黒村とトランスのデュエル。
 黒村のシールドは三枚。場には《凶戦士ブレイズ・クロー》《闇戦士ザビ・クロー》《斬斬人形コダマンマ》の三体。
 トランスのシールドは二枚。場には《ポッツーン》が一体。
『————』
 黒村の速攻で押されているトランスは、ここで《戦慄のプレリュード》を唱える。そして召喚されるのは、
『——!』


神聖奇 トランス 無色 (7)
クリーチャー:オラクリオン/トライストーン 12000
T・ブレイカー


 (ほぼ)すべてのトライストーンが融合したオラクリオン《神聖奇 トランス》。パワーも打点も高く、無色なので文明には囚われないが、それでもたかが準バニラ。正直、強いとは言えない。
『————』
 《トランス》は《ポッツーン》で《コダマンマ》を殴り返してターンを終える。
「俺のターンだ……このターンで終わらせてやる」
 そう宣言すると、黒村はマナをタップし手札のカードを抜き取る。
「《漆黒の猛虎 チェイサー》を召喚」


漆黒の猛虎(ダーク・タイガ) チェイサー 闇/火然文明 (2)
クリーチャー:アウトレイジ 2000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から1枚目を墓地に置く。それが火のカードであれば、そのターン、このクリーチャーは「スピードアタッカー」を得る。


 かの《無頼勇騎タイガ》がアウトレイジとなったクリーチャー。ただしスピードアタッカーは条件付きで、文明も火と自然ではなく、火と闇文明となっている。
「山札の一番上を墓地へ」
 こうして墓地に落ちたのは、火文明の《デュアルショック・ドラゴン》。なので《チェイサー》はスピードアタッカーになり、このターンで《トランス》にとどめを刺せる戦力が揃った。
 だが、黒村はダメ押しのようにもう一枚引き抜き、
「二体目の《チェイサー》を召喚。山札の一番上を墓地へ」
 こうして墓地に置かれたのは、残念ながら闇文明の《福腹人形コダマンマ》だ。しかし、これはこれで構わない。
「墓地の《福腹人形コダマンマ》を墓地進化、《死神術士デスマーチ》」
 闇文明のクリーチャーが落ちれば、そのまま墓地進化元にしてしまえばいいのだ。火文明ならスピードアタッカーですぐに殴れ、闇文明でも別の方向で活用する。無駄なく《チェイサー》の能力を使う黒村だった。
「《ブレイズ・クロー》と《ザビ・クロー》でシールドブレイクだ」
 そして場にいた二体のクリーチャーでシールドを割る。これで《トランス》のシールドはゼロだ。
『……——! ——!』 
 だがここで《トランス》はS・トリガーを引く。《父なる大地》でスピードアタッカーを得た《チェイサー》がマナゾーンに送られ、マナゾーンからは《サビ・クロー》が出て来る。
 しかし、ここで一体クリーチャーを除去しても、黒村は止まらない。彼の場にはまだ《デスマーチ》がいる。
「これで終わりだ」
『——!? !? ! ——! ……——! ——』
「消えろ。《デスマーチ》でダイレクトアタック」



「あ、終わりましたか黒村さん。早いですね」
 神話空間から出た黒村は、とりあえず九頭龍の声を無視し、カードに戻った《神聖奇 トランス》を回収する。
「……無駄な時間を食ったな」
「黒村さんはかなり早いと思いますけどね。たぶん他の人はまだ戦ってますよ」
 当然だ、黒村は今回、正真正銘の速攻デッキを使用していたのだ。遅いうえに、ほとんどバニラしか積んでいないような低級クリーチャーに負けるはずがない。
「これからどうします? 正直、所長は見失っちゃいましたし、この状況を見て見ぬ振りするのもまずいですし」
「そうだな……」
 黒村は少し考え込むような仕草を見せてから、九頭龍に目を向ける。
「とりあえず、お前は先に行け」
「はい?」
「邪魔だから消えろと言っている」
 九頭龍が聞き返すと、辛辣な言葉が飛んできた。
「……黒村さん、最近めっきり遠慮がなくなりましたよね」
 別に構いませんけど、と付け加えてから、九頭龍は背を向ける。そしてそのまま、歩き去ってしまった。
 黒村としては九頭龍を野放しにしたくはないのだが、流石にこの状況でふざけたことはしないだろう、と思っておく。一応、近くにラトリもいるのだから、下手なことはできないはずだ。
 それはそれとして、とりあえず黒村はラトリを探し、接触することにした。遠くから監視するならともかく、そうなると近くに九頭龍は置いておきたくないので、九頭龍を離したのだ。邪魔だから消えろという言葉に、偽りはまったくない。本音本心をそのままぶつけただけだ。
「……さて、俺も行くか」
 九頭龍が完全に消えるのを確認してから、黒村は彼があるて言った方向とは逆方向に歩を進める。
 だが、一歩踏み出した瞬間、なにか違和感を感じた。
 自分の家に、招かざる来客でも来たかのような、そんな感覚だ。唐突に何者かが侵入したような気配を感じた。
 なぜ黒村には感じられたのか。後から考えれば、それは恐らく、自分がこの空間を作り出している神話を、一度だけ手にしたことがあるからだろう。たった一度だけだが、それほどに神話の影響力というものは強い。
「誰か、来たのか……?」
 この神話空間に、という黒村の呟きは、また新たに出現したクリーチャーの咆哮で、かき消されたのだった。


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