二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Mythology
日時: 2015/08/16 04:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

 初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。

 本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。

 投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。

目次


一章『神話戦争』

一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33


二章『慈愛なき崇拝』

一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78


三章『裏に生まれる世界』

一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101


四章『summer vacation 〜夏休〜』

一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148


五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』

一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207


六章『旧・太陽神話』

一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292


七章『続・太陽神話』

一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404


八章『十二神話・召還』

一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424


九章『聖夜の賢愚クリスマス・ヘルメス

一話『祝祭の前夜ビフォア・イヴ
>>425
二話『双子の門番ツインズ・ゲートキーパー
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争パーティー・バトル
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲ノウレッジ・リベンジ
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447


第十章『月の下の約束です』

一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508


第十一章『新年』

一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573


十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』

一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610


十三章『友愛「親友だから——」』

一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637



コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』

一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482



デッキ調査室
№1『空城夕陽1』  >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137

人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.446 )
日時: 2014/02/25 07:48
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 神話空間から締め出された汐。
 負けた。結果はそれだけであり、自分がその結果で失うものはない。だが、その結果を受けて、手放さなければならないものは出て来る。
 壁を背にし、目の前の男——記を睨みつける汐。しかし記は怯まない。当然だ、この状況で立場が弱いのは、どう見ても汐。
 そんな汐の心中を分かってか、記は彼女に一歩ずつ近づいていく。
「僕の勝ちだ。別に君に勝ったら《ヘルメス》をくれる、なんて約束はしてないけど、渡さないならそれなりに」
 汐と一定の距離を詰めたところで、記は足を止めた。
「僕としては何度だって神話空間で遊んでもいいけど、デュエルって意外と疲れるからね。だったらもっと手っ取り早い方法で奪った方が早かったり。たとえば、君を剥くとか」
 事もなげにそんなことを言い放つ記。女子中学生に向かって、しかもこんな場所で言うと、かなり犯罪的だ。
 だが彼は、犯罪がどうのと言って控えめになるような人間ではない。
「僕は確かに男のわりに背低いし、細いし、非力だよ。和登さんどころかアミさんより力弱いからね。でも、流石に女子中学生に力で負けるってことはないでしょ。見た感じ、君は華奢で、力は強くなさそうだし」
 一歩、記は汐に近づく。
 言葉で、距離で、存在で、汐を威圧する記。
 このままでは、本当に犯罪現場になりかねない。自身の身を案じてか、それとも他の理由でか、汐はポケットに手を突っ込み、一枚のカードを取り出して、それを記へと投げつけた。
「おっと、扱い荒いなぁ」
 などと言いながら足を止め、記はそのカードを軽くキャッチする。
 それは、確認するまでもなく、記の求めるもの。

 《賢愚神話 シュライン・ヘルメス》だった。

「そのカードなら、くれてやるですよ。さっさと失せろ……です」
「なんかキャラ崩れるまで追い詰めちゃった? 今の会話、流石に中学生には刺激が強すぎたかな? ごめんね」
 などと口だけで謝りつつ、《ヘルメス》を仕舞い込む記。
「さて……目的のものも手に入ったし、もう君に用はないよ。お望み通り、失せてあげるよ」
 ばいばい、と言って、記はその場を後にした。
 残された汐は、記の姿が完全に消え、足音も聞こえなくなるのを確認すると、ずるずると壁をずり落ちるようにして、その場にへたり込んだ。
「……ん、うぅ……流石に、厳しかった、です……」
 敗北。その結果も、汐のメンタルにダメージを与えるものだったが、もっと物理的に、身体へのダメージがあった。
 “ゲーム”の世界でダイレクトアタックを受けたのは初めてだ。全身が痛い、意識も朦朧としている。
「先……輩……」
 無意識の海に沈みゆく中、汐はふと呟く。
 そして彼女の意識は、闇へと飲み込まれた。



「…………」
 闇の中にいたはずが、突如今まで見ていた空間に光が差した。
「あ、汐ちゃん! よかった、目覚ました!」
「……このみ先輩……」
 その瞬間、身体になにか温かく柔らかいものが押し付けられる感覚を覚える。なんだか絶望的なものを感じた気もするが、それは気のせいだと判断することにして、自分は今このみに抱きつかれていることを理解する。
「ここは……」
「医務室だ」
 流が即座に答える。汐は首だけで周りを見渡すが、そこはさっきまでいた女子トイレでも、パーティー会場のホールでもない。薬品棚が並んでいる、流が言ったような医務室のようだった。
 とりあえず体を起こそうとするが、頭の先から足の先へと、一直線に痛みが駆け抜けた。
「っ……」
「あ、ダメだよ御舟さんっ。まだ安静にしてなきゃ……」
 姫乃に抑えられ、ベッドに横たわる。
 見れば、隣にはうさみがいた。その後ろには、亜実もいる。
「外傷はほとんどありません……でも、身体にダメージが、あります。大事になることはないと思いますけど、もう少し、寝ていた方が……」
 どうやら、汐を診ていたのがうさみらしい。ささみは会場の方でパーティー関係の仕事をしているのだとか。
「御舟……大丈夫? 一体なにがあったんだ……?」
「なにが……えっと……」
 まだ混乱しているのか、記憶がはっきりしない。しかし、ゆっくりと記憶の後を辿っていくと、少しずつ今の状況の大元が判明していく。
「……そうでした。私は——」
 独り言のように、汐はぽつりぽつりとさっきの出来事を話す。記のこと、その記と戦い負けたこと、《ヘルメス》を渡したこと。彼女らしからぬ整然のなさではあるが、すべて話す。
 そして、その話に真っ先に反応したのが、亜実だった。
「成程な……まあそんなところだろうとは思っていた。誰にやられたのかと思ったが、青崎の野郎が絡んでやがったのか」
 あの詐欺師め、と亜実はあからさまに記の悪態をつく。
 だが、すぐに汐をまっすぐと見つめ軽くだが頭を下げた。
「すまない。正直なところ、誰かが招待状を偽造してなにか企んでいる可能性はあたしも考えていた。だがあえてその可能性を示さずに、空城を介してとはいえお前たちを誘ったのはあたしだ。お前がこうしてここにいる原因の一端はあたしにもある。悪かった」
「亜実……」
 謝罪の言葉を口にする亜実。まさか彼女が謝るとは誰も思わなかったので、少々面食らう。
 しかし、
「だが、その反面、お前たちの責任でもある」
 今度は逆に、夕陽たちを叱責するような口振りで、続ける。
「青崎のやり口はあたしも気に食わないが、それはそれだ。奴のやったことは非人道的であったとしても、“ゲーム”の世界における戦争と見れば、それは咎められたものではない。力ずくで奪ったのではなく、神話空間でデュエルの結果、所有権を得たという見方もできるしな。だから、不特定多数の“ゲーム”参加者が集まる中、警戒を怠ったのはお前のミス、とも言える」
 記の手口は確かに気に入らない。だが、奪い取り奪い取られる“ゲーム”の世界としてみるなら、彼の行いは間違いではない。
 善悪は一般論で見られるが、正義は個人で見方が異なる。
 記の行いは彼にとっての正義であり、“ゲーム”の世界における正義でもある。
「そういうわけだから、奴を恨むのは勝手だが、その恨みはある種の逆恨みだ。奪うからには奪われる覚悟が必要だ。それを理解しておけ」
「…………」
 汐はなにも言い返せない。あまりに突然で唐突だったというのもあるが、それ以上に、ただ単純に反論できない。
 自分は『神話カード』からは一歩引いたところにいる。だからこそ、ということもあるのかもしれないが。
「お、おい、亜実……」
「分かっている、少し言い過ぎた。だが、この件で青崎を恨みすぎるな」
 それは過ぎた怨恨であり、非があるのが彼だけではないのだから。
「……と、とにかく、もう少し休んでいて、ください」
「はい……です」
 うさみに言われ、汐は大人しくしていることにした。
 その後、夕陽たち五人が会場に戻ることはなかった。



 結局、夕陽たちは汐が動けるようになるまで回復すると、会場から出て帰ることにした。
 その間、記について多少言及されたが、しかし直接の接点がほとんどない夕陽たちでは、言えることなどたかが知れている。
 重苦しい空気のまま町へと戻り、駅から出た。
「汐ちゃん、大丈夫?」
「もう大丈夫です、このみ先輩……それより、すみませんでした。最後まで付き合わせてしまい……」
「構うものか。元より俺たちの性に合う場所ではなかった」
「そ、そうだよっ。御舟さんが責任を感じることはないよ」
 流と姫乃はそうは言うものの、汐の中では簡単に割り切れるものではない。
 とりあえず帰ろうと、歩を進めようとする汐。だがそれを、夕陽が引き止める。
「ちょっと待ってよ、御舟。君、本当に大丈夫か? なんなら、途中まででも送ってくけど……」
「私は大丈夫です。お気遣いは嬉しいですが……少し、一人にしてください」
 では、と言って汐は一足早く夕陽たちから離れていく。
「汐ちゃん……ねぇ、ゆーくん」
「ああ……なんか、いつもと違うな、御舟」
 夕陽は、彼女がどこか遠くなってしまうような、そんな感覚に囚われる。
 闇へと溶け込んでいく彼女の背を、夕陽は黙って見つめていた。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.447 )
日時: 2014/02/25 19:05
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

(……頭の中、ぐちゃぐちゃですね……)
 今日はいろいろと考えさせられる一日だった。それが良いか悪いかは分からないが、今日考えさせられたことは自分の根本の部分に関わっているような気がしてならない。そう思うと、頭の中身が知っちゃかめっちゃかに掻き混ぜられるような感覚に襲われる。
(これは私の欠けている記憶に関係しているのでしょうか……いや、それはないですね)
 なんとなくだが、断言できる、ような気がする。
 仮に関係あっても、それは直接的ではなく間接的、関係ではなく関連と言うべきような関係のはず。
 ならば、これはなんだ。この、蝕まれたような感覚は。
(……私も、真の意味で“ゲーム”に関わり出したから、でしょうか……)
 奪われて初めて気づく、事の重大さ。いや、奪われて気付いたのではなく、敗北して気付いたのかもしれない。
(私は先輩たちと違い、一歩引いた位置で“ゲーム”に関わっている……つもりです。ですが今日、初めて『神話カード』を奪われたことで、その一歩引いた位置からずれてしまった……)
 それも要因の一部かもしれない。だが、やはりしっくりこない。この落ち着かない気持ちの根っこは、もっと自分にあるような気がする。
(やはり、私の頭の中身なのですか……今までは特に感じて来なかったものが、今日にいたって発現した……)
 今日という日はどういう日だ。クリスマス? 違う。そんな記念日のことなど関係ない。
 今日は、【神格社界】と深く関わった。界の長と戦った。そして、
(無法の力に触れた、ですか……)
 それも、強い力を、だ。
 その力に触発され、汐の欠けた記憶に浮かぶ虚像が、今までよりはっきりと、しかし曖昧になる。そして、自分の知る“先輩”の姿と、被って見える。
(わけがわからなくなってきた、です。一体なんなのですか、これは。私の欠けている記憶は一体。私にとって先輩とは——)
 と、その時だ。
 背後から気配を感じた。
「……先輩」
 そこにいたのは、自分がよく知る少年。一つ年上の、先輩。
「……一人にしてくださいと、言ったと思うのですが」
 とはいえ、彼の性分ならここまでついてきてもおかしくはない。少し迷惑と思いながらも、その気遣いは嬉しかった。
 なのに、

 二人は、神話が支配する空間へと誘われた。



「……なんのつもりですか、先輩」
 しかし、彼は答えない。
 ここは神話空間。つい数時間前、自分が敗北を喫した空間。ここで受けた攻撃は、ダメージとしてフィードバックされる。ダメージが蓄積すれば傷となり、傷が蓄積すれば死に至る。そんな、危険極まりない空間だ。
「答えてください、先輩。一体、これはどういう——」
 汐が言い切る前に、目の前に五枚の盾が展開された。同時に五枚の手札が、彼女の前で浮遊する。
「……なぜですか、先輩」
 汐の言葉には答えず、戦いは進む。
 汐の場にはなにもなし。《霞み妖精ジャスミン》《フェアリー・ライフ》《再誕の社》を使い、マナは7マナ。
 だが相手のマナも7マナだ。《メンデルスゾーン》と《エコ・アイニー》による超高速マナブーストで、汐のスピードにいついている。いや、気を抜けば汐が追い抜かされる加速力だ。
「僕のターン……《レグルス・ギル・ドラゴン》を召喚して、ターン終了」
「私のターンです」
 こうして向かい合い、戦っていることに納得がいかないまま、汐はカードを操る。
 その手捌きにも、どこか迷いがあるように思えた。
「呪文《プライマル・スクリーム》です。山札の上から四枚を墓地へ送り、《ジャスミン》を回収。さらに再び《プライマル・スクリーム》」
 連続《プライマル・スクリーム》で一気に墓地を増やす汐。墓地には進化を含む大型デーモン・コマンドが多く落ち、さらに、
「……《「謎」の頂 Ζ—ファイル》を回収です。ターン終了」
 切り札も呼び込めた。これで次のターンにマナを溜め、その次のターンには切り札を召喚できる。
 だが、それでいいのだろうか。
 目の前いる、自分が今戦っている相手は、どう見ても自分の先輩だ。
 倒しても、いいのだろうか。
 そんな彼女の迷いは断ち切られず、
「僕のターン……《エコ・アイニー》をマナチャージ」
 そして、スペース・チャージ発動。
「《レグルス・ギル・ドラゴン》のスペース・チャージで、このターン《レグルス・ギル・ドラゴン》のパワーは+5000、さらにシールドを一枚追加でブレイクし、攻撃時に1マナ追加できる」
 さらに、
「《鬼カイザー「滅」》を召喚。まずは《レグルス・ギル・ドラゴン》で攻撃」
 その時、《レグルス・ギル・ドラゴン》の能力が発動する。
 マナを一枚追加するのだが、この時落ちたカードは、《メンデルスゾーン》。
「自然のカードがマナに落ちたので、再びスペース・チャージ発動で、《エコ・アイニー》を指定。さあ、Tブレイクだ」
「……っ」
 《レグルス・ギル・ドラゴン》によるTブレイクが、汐のシールドに炸裂する。
 砕け散る盾の破片、ここまで吹いてくる熱風。精神だけでなく肉体までも、汐の傷は広がる。
「《エコ・アイニー》でWブレイク」
 続けて《エコ・アイニー》が汐の残ったシールドをすべて粉砕する。S・トリガーはない。
「っ、シールドが……」
 彼女を守る盾も、なくなった。
「《鬼カイザー「滅」》で——」
 最後に残った龍が、汐を睨みつけている。
 だが、汐が見ているのは、その主だけだった。
「先輩……なぜ、こんなことを——」
 するのですか。
 彼女の言葉は彼には届かず。

「——ダイレクトアタック」

 最後の龍の一撃が、彼女のすべてを焼き尽くした。



「——先輩」
 自分は今、どうなっているのだろう。目の前には暗い闇が広がっているが、背中が冷たい。よく見れば、遠くに小さな光も見える。小粒の光が散りばめられているのが分かる。
「なぜ、こんな……」
 体が動かない。いや、まったく動かないわけではないが、動かせないし、動かしたくない。
 また意識が朦朧とする。いや、朦朧としているのは、自分の中で混沌としている、様々な思い。
 なにも考えられない。なにも考えたくない。
 そんな彼女の視界に入る、彼の姿。
「どうしてですか……先輩——」
 その姿は、星月と聖夜の闇の中へと、溶け込んでいった——

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.448 )
日時: 2014/02/25 21:52
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

ささみ 女 12歳



容姿:年相応に小柄な体躯。やや目が吊り上っており勝気な印象を与える。髪は左側でサイドテールにしている。双子なので、目つきと髪型以外はうさみと瓜二つ。髪型はうさみと見分けるためらしいが、目つきで分かるのであまり意味はない。

性格:顔つき通り勝気な性格で、少々つっけんどんなところはあるが、基本的にはしっかり者で常識人。仕事をまったくしないルカに代わって【神格社界】の事務作業をこなしているためか、歳不相応に大人びている面も見受けられる。

所属:【神格社界】秘書官

備考:うさみの双子の妹。

戦術:水、闇、火のアウトレイジをメインとしたビートダウン戦術を好む。核となるのはエグザイル・クリーチャーで、攻めながらドロン・ゴーを目指す。スピードは速くはないが、攻撃しながら手札破壊、ブロッカー無視など、妨害しながら攻めていくので、相手にすると反撃や対応がしづらい。
切り札は
《百仙閻魔 マジックマ瀧》

概要:【神格社界】の秘書官で、主に(本来は彼が行うべきだが)ルカが行わない【神格社界】の運営、会計処理、事務的な仕事などをこなしている。ルカの傍若無人っぷりには手を焼いているが、恩人なので悪くは思っておらず、むしろ恩義や尊敬に近い好意を寄せている。しかし彼の突拍子もない行動で出た出費のせいで赤字が続くらしく、目下一番の悩みの種となっている。うさみとは双子であり、勘違いされがちだが、こちらが妹である。



各章デッキ解説

『九章』
 水、闇、火のアウトレイジをメインとしたビートダウンデッキを使用。《一撃奪取》サイクルからコスト軽減で《命水百仙 しずく》《閻魔王子 クーマン》を素早く呼び出し、アンブロッカブルとハンデスで相手に対応されないように妨害しながらビートダウンをかけていく。自分へのアドバンテージを得づらいため、相手に反撃させないままなるべく早く倒すのが理想。そのため、長期戦には不向き。なお、《一撃奪取》サイクルからエグザイルに繋げ、次のターンに《突撃奪取 ファルコン・ボンバー》を出し、エグザイルで攻撃する時に《EX秘伝カツトンファー》をアタック・チャンスで唱えてシールドを二枚ブレイク、ドロン・ゴーした後に《ファルコン・ボンバー》でもシールドを割り、《マジックマ瀧》をスピードアタッカーにしてWブレイク、最後に《一撃奪取》でダイレクトアタック、というのが最速で最も理想的な流れ。しかし手札消費が激しく、せっかくの手札破壊もシールドブレイクであまり生かせていないので、凌がれると反撃されることもしばしば。エグザイル・クリーチャーがデッキの核であり、《しずく》と《クーマン》を破壊すればドロン・ゴーされてしまうため、実質除去耐性つきのアタッカーのように殴れる。切り札は《百仙閻魔 マジックマ瀧》

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.449 )
日時: 2014/02/25 23:14
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

うさみ 女 12歳



容姿:年相応に小柄な体躯。やや目が垂れ下がっており、気弱な印象を与える。髪は右側でサイドテールにしている。双子なので、目つきと髪型以外はささみと瓜二つ。髪型はささみと見分けるためらしいが、目つきで分かるのであまり意味はない。

性格:顔つき通り気弱な性格で、なにをされるでもなくしょっちゅう謝っているが、基本的にはしっかり者で常識人。私生活が乱れがちなルカの身の回りの世話や家事をこなしているためか、心配性で世話焼きなところがある。

所属:【神格社界】秘書官

備考:ささみの双子の姉。

戦術:自然、光、火のアウトレイジをメインとしたビートダウン戦術を好む。核となるのはエグザイル・クリーチャーで、攻めながらドロン・ゴーを目指す。スピードは速くはないが、攻撃しながらマナ、シールドを増やすなど、自身にアドバンテージを与えながら攻めていくので、粘り強く戦える。
切り札は
《極太陽 シャイニング・キンジ》

概要:【神格社界】の秘書官で、主にニート同然の自堕落な私生活を送っているルカの身の回りの世話(家事)をこなしている。ルカの傍若無人っぷりにはいつも振り回されているが、恩人なので悪くは思っておらず、むしろ恩義や尊敬に近い好意を寄せている。しかし“ゲーム”の動きが活性化する中、どんな危険地帯にも嬉々として飛び込んでいく彼の危うさが目下一番の悩みとなっている。ささみとは双子であり、勘違いされがちだが、こちらが姉である。




各章デッキ解説

『九章』
 自然、光、火のアウトレイジをメインとしたビートダウンデッキを使用。《一撃奪取》サイクルからコスト軽減で《極太茸 菌次郎》《奪太陽 サンサン》を素早く呼び出し、マナやシールドを増やしてアドバンテージを得ながらビートダウンをかけていく。マナの伸びがよく、シールドも増えやすいので、長期戦になってもある程度戦うことができるのが強みだが、大型ブロッカーを多く並ぶと動きが止まり、なにもできなくなることもある。S・トリガーは優秀だが、除去カードが少なめなのもネック。なお、増えたシールドは守りだけでなく、《羊頭駆逐 パール》の打点とパワー上昇にもつながる。相手に粘られてもとにかくマナが溜まるので、ビートダウンでは重い《新世界 シューマッハ》も無理なく出せ、手札を補充して息切れを防げる。エグザイル・クリーチャーがデッキの核であり、《菌次郎》と《サンサン》を破壊すればドロン・ゴーされてしまうため、実質除去耐性つきのアタッカーのように殴れる。切り札は《極太陽 シャイニング・キンジ》

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.450 )
日時: 2014/02/28 02:17
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

ルカ=ネロ 男 29歳



容姿:わりと大柄でしっかりとした体格。少々長めの金髪だが、かなり無造作に飛び跳ねているので、長いという印象は与えず、野性的。

性格:良く言えば陽気でおおらか、悪く言えば空気の読めない戦闘狂。ほとんど自分が楽しむことしか考えず、楽しければそれでいいという思考だけで動き、周囲を振り回す。またかなり好戦的で、誰に対しても対戦を吹っかけ、逆に誰の対戦でも絶対に断ることはない。熱くなりやすい性質でもあり、どうしても戦いたい相手が現れると我を忘れて突っ込み神話空間へ引きずり込んだりする上、ヒートアップしすぎるともはや会話が成立しない。熱しやすい一方で冷める時も早く、また興味のないことにはとことん興味がない。基本的には気さくで人当たりが良く、九に戦いを吹っかけられたとしても、その邪気のない態度や雰囲気には毒気を抜かれる者も多い。ただしその傍若無人さ故に、避けられたり嫌われたり、呆れられたりすることも多い。だが本人は気にしていない、または気づいていない。

所属:【神格社界】界長

備考:イタリア人

戦術:主に火、水、自然のカラーでデッキを組む。使用するメインの種族はアウトレイジで、アウトレイジが絡めばビートダウン、コントロール、コンボなど、なんでも扱う。特に《無限皇 ジャッキー》などを核にした踏み倒し戦術が多い。
切り札は
《無限皇 ジャッキー》
《ダークナイト クリストファー》
《灼熱連鎖 テスタ・ロッサ》
《紺碧術者 フューチャー》
《弐天炎明 ガンリュウ・ムサシ》
《偽りなし ゾルゲⅩⅢ》
《超竜の潮流 コンコルド》
《規格外 T.G.V》
など。

概要:【神格社界】のトップであり創始者。“ゲーム”の世界においては現時点で二番目に強いと言われ、ジークフリートとまともに渡り合える数少ない人物。“ゲーム”の重鎮と呼ばれる三人のうち一人。【ミス・ラボラトリ】所長のラトリ・ホワイトロックや【神聖帝国師団】師団長のジークフリートらとは浅からぬ縁がある。楽しむために興味のないことをすべて切り捨てているため、生活面は相当ずぼらでニート同然。そのため秘書官のささみやうさみが手を焼いているが、一組織の長というだけあってカリスマ性は高い。『神話カード』には興味がないらしく、むしろ自分が持っているより他の者が持つことで、その者が強くなる方が楽しいと語る。



各章デッキ解説

『九章』
 アウトレイジメインのデッキを数多く使用した。
 最初の夕陽とのデュエルでは、《一撃奪取》サイクルや《蛙跳び フロッグ》《正々堂々 ホルモン》《飛散する斧 プロメテウス》などを駆使して、早期に《無限皇 ジャッキー》を呼び出し、呪文を封じアウトレイジを呼び出しながら殴るデッキを使用。S・トリガーには《終末の時計 ザ・クロック》や《秘拳カツドン破》があり、特に《カツドン破》は《破滅の時計 ザ・ストップ》と組み合わせることでシールドを増やしながらターンを強制終了させることができる。《ジャッキー》は強力だが、《クロック》を出して自分のターンが終了することもあるので、《侵入する電脳者 アリス》を横に置いておき、山札を仕込んでおくのが望ましい。切り札は《無限皇 ジャッキー》
 このみとデュエルでは序盤から軽量アウトレイジを並べ、殴り続ける速攻デッキを使用した。《潜行する穿孔 ギーガ》や《武士の魂 ポッピー》などの軽量アウトレイジを並べ、《正々堂々 ホルモン》でマナ加速、《遥か寸前 ヴィブロ・ブレード》で手札を切らさず、とにかくアウトレイジを並べて押し切る。G・ゼロで《無重力 ナイン》も上手く展開できればなおよし。特に《ホルモン》から《ダークナイト クリストファー》に繋げられれば、手札を補充しながら高い打点で殴っていける。《突撃奪取 ファルコン・ボンバー》で最後の一押しを決めることもある。なお《勇気の爪 コルナゴ》はパワーが不安定なので、もっぱら《クリストファー》の進化元にされる。だが《コルナゴ》からすぐさま《クリストファー》に進化する流れは侮れない。切り札は《ダークナイト クリストファー》
 流とのデュエルでは《灼熱連鎖 テスタ・ロッサ》の能力を生かしたコンボデッキを使用。《テスタ・ロッサ》と《侵入する電脳者 アリス》以外はすべて呪文という豪快な構成で、4コストの《テスタ・ロッサ》を出すまでは《エナジー・ライト》などの手札補充でキーカードを揃える。そして4マナの《テスタ・ロッサ》を召喚した次のターン、《テスタ・ロッサ》に《ヒラメキ・プログラム》を撃ち、《アリス》を呼び出しつつ《灼熱連鎖 テスタ・ロッサ》に灼熱ドロン・ゴー。効果で展開した《テスタ・ロッサ》たちで一気に押し切ってしまう。この時《灼熱の斬撃 テスタ・ロッサ》が出れば、無限攻撃によるワンショットが可能。《灼熱の斬撃 テスタ・ロッサ》と《アリス》のコンボで山札に呪文を仕込んでアンタップし、連続攻撃を決められる。このデッキのほとんどは呪文なので、弾切れの心配はない。仮にクリーチャーが落ちても、《紅き血の テスタ・ロッサ》の補助になる。なお《ヒラメキ・プログラム》で破壊するのは、破壊された時の効果を持つ《不屈!熱血!! テスタ・ロッサ》が望ましい。切り札は《灼熱連鎖 テスタ・ロッサ》
 汐とのデュエルでは《紺碧術者 フューチャー》で重量級呪文を踏み倒すコンボデッキを使用。踏み倒す呪文は主に《ティラノ・リンク・ノヴァ》で、《フューチャー》の攻撃時に唱えてシールドをすべて吹き飛ばし、そのままダイレクトアタックを決めるのが理想の流れ。そのためいち早く《フューチャー》を確保して出すための、手札補充とマナ加速に加え、《侵入する電脳者 アリス》だけでなく《電脳決壊の魔女 アリス》も投入し、山札を操作しやすくしている。切り札は《紺碧術者 フューチャー》
 姫乃とのデュエルでは、夕陽とのデュエルで使用したデッキに近いデッキを使用。《ジャッキー》を素早く呼び出して殴っていく流れは同じだが、そこに《侵入する電脳者 アリス》《日曜日よりの使者 メーテル》《弐天炎明 ガンリュウ・ムサシ》を加え、最大で八回の連続攻撃を決める、ある種のコンボデッキ。《ジャッキー》と《アリス》の定番コンボに《メーテル》と《ガンリュウ・ムサシ》が加わったものであり、《アリス》でドローする枚数を《メーテル》で増やし、山札を高速で掘り進むことで二枚目以降の《ジャッキー》や《ガンリュウ・ムサシ》を手札に確保する。あとは《アリス》の能力で仕込んだ《ジャッキー》を、《ジャッキー》の能力で出し、再び《メーテル》でデッキ深くまで掘り進む《アリス》《ジャッキー》のコンボを決め、連続して《ジャッキー》を呼ぶ。《ジャッキー》だけだと最大四回の攻撃だが、ここに《ガンリュウ・ムサシ》のタップトリガーを合わせることで攻撃回数をさらに四回増やせる。ほぼワンショットキルのコンボだが、《メーテル》が加わることで《アリス》のドローによる山札消費が凄まじく、もし攻め切れなかった場合は山札切れを覚悟する必要がある。切り札は《弐天炎明 ガンリュウ・ムサシ》
 二回目の夕陽とのデュエルでは、一回目とよく似たデッキを使用。ただし《ジャッキー》以外の踏み倒しカードとして《無法のレイジ・エッグ》などが追加されていたり、フィニッシャーとして《偽りなし ゾルゲⅩⅢ》《超竜の潮流 コンコルド》《規格外 T.G.V》などが増やされていたりと、とにかく強力なアウトレイジがぶち込まれている。《ゾルゲⅩⅢ》による実質的なクリーチャー破壊と手札補充、《コンコルド》の踏み倒し、《T.G.V》の高打点と、単体でも強力だが、それが組み合わさって出て来るとかなり凶悪。切り札は《偽りなし ゾルゲⅩⅢ》《超竜の潮流 コンコルド》《規格外 T.G.V》


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