二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Mythology
日時: 2015/08/16 04:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

 初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。

 本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。

 投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。

目次


一章『神話戦争』

一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33


二章『慈愛なき崇拝』

一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78


三章『裏に生まれる世界』

一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101


四章『summer vacation 〜夏休〜』

一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148


五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』

一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207


六章『旧・太陽神話』

一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292


七章『続・太陽神話』

一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404


八章『十二神話・召還』

一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424


九章『聖夜の賢愚クリスマス・ヘルメス

一話『祝祭の前夜ビフォア・イヴ
>>425
二話『双子の門番ツインズ・ゲートキーパー
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争パーティー・バトル
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲ノウレッジ・リベンジ
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447


第十章『月の下の約束です』

一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508


第十一章『新年』

一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573


十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』

一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610


十三章『友愛「親友だから——」』

一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637



コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』

一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482



デッキ調査室
№1『空城夕陽1』  >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137

人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.551 )
日時: 2014/03/26 07:47
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

しばらくコメントはできませんでしたが、しっかり読んでいます。タクです。まあ、進みすぎてどこからコメントしたらいいものか……。


まず、夕子ちゃんが再び出てくるとは思いませんでした。やっぱり、女装が似合うんですね、彼は。大方中世的な顔立ちなのでしょう。

そして今度は、シャルロッテの初詣ですが……やはり穏やかにはいきませんでしたか。最初、《スミス》が現れたとき、何故アウトレイジのクリーチャーが、いやオラクル以外のクリーチャーが現れたのかが疑問でしたがね。そんな疑問も直に吹っ飛びましたが、《スミス》の戦法としてはこちらの場合は大量展開に近いですね。うちの場合は《パワード・スタリオン》で無理矢理打点を上げていたので。《ドラクロワ》も大量展開とは相性良いですね。

そして次々に現れる妖怪……じゃなかったクリーチャーを退治していく巫女(性別的にそうじゃないのが約1名)達と流、そしてラボの面々。そしてこんなところにまで出てきましたかジークフリートさん。というか、師団の存在って世界には認知されているんですかね? どうやら、”ゲーム”だけではなくその他の軍事行動としても動いてるようですが、どのみち目立つんじゃないですかね。

そして四天王に対決を挑まれるうさみとささみですがやはりやられますか。流石、四天王というだけあってクトグァとハスターも簡単には勝たせてくれませんね。
そしてルカとジークフリートのデュエルですが、アウトレイジとゴッド・ノヴァという背景ストーリー的にも美味しい展開ですが、ここで直接対決とは。

というわけで今後の展開が楽しみな一方です。それでは、また。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.552 )
日時: 2014/03/26 14:04
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

タクさん


 苦しい現実から逃れるために、最近は超高速で執筆というか更新していましたからね……ここ数日で少し落ち着きましたけど。

 夕子……なんだか京都の名物のような名前ですが、その呼び方もいいですね。モノクロも生八つ橋は好きです。どうでもいいことですが。
 夕陽は確かに女顔ですが、それプラスこのみのメイクもあります。流石に素のままだと違和感ありますからね。

 実際のところ、【師団】はオラクルしか出せないわけじゃないんですよね。ただ、ポリシーのようなもので基本的にはオラクル、もしくはゴッド関連のクリーチャーだけを呼び出しているだけで。ただシャルロッテはそんなポリシーなどお構いなしですが。
 この《スミス》のデッキは、実はそちらの《スミス》を少し参考にしています。と言っても、《砂場男》くらいですけど。ただ、2ターン目に2コストのバニラ召喚、次ターンに《ボーンおどり・チャージャー》でバニラ二体が墓地に行く、さらに次ターン《砂場男》でバニラ二体を復活、その次のターンに《ドラクロワ》で、Wブレイカーのバニラが三体+《砂場男》が揃い、最速でワンショットキルとなります。まあ途中で除去されたり、バニラ二体が墓地に落ちなかったり、そもそもキーカードを引けなかったりすれば、すぐに瓦解するので実用性皆無ですがね。
 なので、素のパワーが高いことを生かして《パワード・スタリオン》で打点を上げるというタクさんの発想には感服しました。

 確かに、言われてみれば妖怪退治に勤しむ巫女さんたちに見えなくもないですね。とすれば、クリーチャーは式神のようなもの……いやもう陰陽師かなんかになってますね。
 ジークはこんなところにも出ます。ただ今回はロッテが勝手に《ユピテル》を持ち出したので、それを回収するために緊急で来た、という感じです。
 【師団】は“ゲーム”以外の経済やら軍事やら政治やらにも関わりを持ってはいますが、【師団】という組織で認知されてはいません。国のお偉いさんも「なんかよく分からない集団がよく分からないことをしている」程度の認識です。多方面へのコネクションも、あったら便利、程度にしか思っていませんしね。
 一応、姿は隠しています。内部事情まで探られなければ、多少は目立っても問題ないと考えていますが。

 ささみとうさみは、決して弱くはないのですが“ゲーム”内では騒がれるほど強くもない、という設定です。実力的には【師団】の副隊長クラスなら討ち取れるけど、隊長クラスとなると勝てるかどうか、ってくらいですかね。
 この実力差については、近々表にするか、各人の登場人物欄に記載する予定です。
 ですね。この二人のデュエルは何気に《無法伝説 カツマスター》vs《超神類 イズモ》の構図になってますからね。見ればわかると思いますが、一応ルカのデッキはスーパーデッキMAXを、ジークのデッキはスーパーデッキOMGを雛形としたデッキになっています。まあ、ルカの方はかなり改造が施されていますが。
 とはいえ、ルカは今まで一度もジークに勝ててないんですよね。戦闘狂のルカが勇んでデュエルを挑むも、ジークはそれに辟易している、みたいな関係です。本当はもっと複雑ですが。

 ストーリーの流れ的にもタイミング的にも、新作を書く前にこの十一章を終わらせたいですね……でもまだ書かなきゃいけないデュエルシーンが残ってる……

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.553 )
日時: 2014/03/27 14:39
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

超神類 イズモ 光/闇文明 (12)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/オラクル 12000+
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
リンクしている自分のゴッド1体につき、このクリーチャーの召喚コストを2少なくする。ただし、コストは2より少なくならない。
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、カードを3枚まで自分の手札または墓地から選び、新しいシールドとして裏向きにし、自身のシールドゾーンに加えてもよい。
T・ブレイカー
中央G・リンク


 現れたのは、姿こそ《イズモ》だが、体色は青く、両手は禍々しいほどに鋭利になっている《イズモ》。神を超えた存在となった《超神類 イズモ》だった。
「俺の《スパイス・クィーンズ》とリンクしたゴッド一体で、合計3コスト少なくなり、9マナで召喚だ」
 そして、《超神類 イズモ》が現れた時、その能力が発動される。
「まずは《ロラパルーザ&ビッグディアウト》とゴッド・リンク。そして俺の墓地から《デーモン・ハンド》《オラクルDJ》《支配のオラクルジュエル》の三枚をシールドに埋めるぜ……これで俺のシールドは六枚だ」
 そしてその三枚のシールドは、三枚ともS・トリガー確定という状況。
 ルカのデッキは時間をかけて戦うようなデッキではない。とにかく攻めまくるデッキであり、それが彼のスタイルだ。だがその戦術も、S・トリガーが三枚も仕込まれているとなれば、速度は激減する。このまま粘ってジークフリートをデッキ切れに追い込むのは、やや厳しいか。
 そもそも、そんな選択肢など、彼には最初から存在していないが。
「……いいぞ、ジーク……最高だ……!」
 追い詰めたと思ったらすぐにそれをひっくり返され、窮地に陥るるかだが、彼は絶望などしない。むしろ歓喜に打ち震えている。
「いつも素っ気なくやられてたが、今回は今まで以上に面白くなってきたじゃねえか!」
「黙れ、俺は微塵も面白くねえよ。ニートのお前と違って、俺はロッテ探さないといけねえんだ、さっさとしろ」
「おう! 俺のターンだ!」
 ジークフリートに冷たくあしらわれるルカだが、全く気にする素振りが見られない。どころかその負の感情すらも、彼にとっては正の感情に転換されて受け取られているように感じられる。
「《カツキングMAX》の能力で、俺はマナゾーンからクリーチャーを召喚できる! マナゾーンから出て来い《ジャッキー》! そして《ジャッキー》で攻撃だ!」
 その時、《ジャッキー》の能力で山札の一番上が墓地へと送られる。
「果てぬ刃と尽きぬ弾! 無法の武装よ、無尽蔵なる力を証明せよ! 《無限の銃刃 ダン・クローリー》!」


無限の銃刃(インフィニティ・ショット) ダン・クローリー 火文明 (13)
クリーチャー:アウトレイジMAX 35000
∞ ブレイカー(このクリーチャーは相手のシールドを好きな数ブレイクする)


 《ジャッキー》の呼び声に駆けつけたのは、無限のエネルギーを有する無法者《ダン・クローリー》だ。桁外れなパワーとブレイク数で、単純ながらも圧倒的な破壊を生み出すアウトレイジ。
「そしてWブレイク!」
 続けて《ジャッキー》シールドブレイクが来る。ルカが真っ先に狙ったのは、《超神類 イズモ》でS・トリガーが仕込まれたシールドだった。
「ま、そう来るだろうな。そのデッキじゃ、破壊はともかくタップ系の呪文に耐性がないからな。S・トリガー発動《支配のオラクルジュエル》」
 つまり、最後の最後でS・トリガーに阻まれないよう、こちらの動きを封じるようなS・トリガーを早めに潰しておこうというわけだ。
 ブレイクされたシールドは《オラクルDJ》と《支配のオラクルジュエル》の二枚。そのうちジークフリートが発動させたのは《支配のオラクルジュエル》のみ。
「《ヴァリアント》を破壊!」
「だが《ヴァリアント》の能力で山札を墓地に送り……《侵入する電脳者 アリス》だ。アウトレイジが捲れたから《ヴァリアント》は場を離れない!」
「知ったことかよ。どの道お前のクリーチャーはすべてタップだ」
 これでルカのクリーチャーはもう、このターンには攻撃できない。
「俺のターンだ。《スパイス・クィーンズ》をもう一体召喚し、《精霊聖邪ライジング・サン》を召喚」


精霊聖邪ライジング・サン 光/闇文明 (7)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/エンジェル・コマンド 6000+
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
自分の手札に加える、種族がゴッド・ノヴァ OMGのシールドカードはすべて、「S・トリガー」を得る。
W・ブレイカー
左G・リンク
このクリーチャーがリンクしている間、このクリーチャーはシールドをさらに1枚ブレイクする。


「《超神類 イズモ》の中央G・リンクにより、リンク解除。《超神類 イズモ》と《ライジング・サン》をリンクさせ《ロラパルーザ》と《ビッグディアウト》をリンク。」
 中央ゴッド・リンクにゴッドを集中させるのではなく、ゴッドを分散させることでそれぞれのゴッドの破壊耐性を上げると同時に、パワーも均等にするジークフリート。
「そして《ライジング・サン&イズモ》で《カツキングMAX》を攻撃!」
「っ……!」
 パワー18000の《ライジング・サン&イズモ》の攻撃で《カツキングMAX》は破壊される。さらに、
「《ロラパルーザ&ビッグディアウト》で《ヴァリアント》を攻撃だ!」
「リンクを分散させたのは殴り返す意味もあるのか……だが《ヴァリアント》の能力発動!」
 山札を捲って墓地に落ちたのは《電脳決壊の魔女 アリス》。
「アウトレイジだから《ヴァリアント》は場を離れない。俺のターンだ!」
 いくら破壊されようとも粘り強く場に残る《ヴァリアント》。さらに、いくらゴッド・リンクでパワーを上げても、パワー35000の《ダン・クローリー》には届かず、除去できなかった。
「こっちにはアタッカーが二体いる……さらに! 《裂竜の鉄槌 ヨルムンガルド》を召喚!」
 《ヨルムンガルド》の能力で、互いにクリーチャーを二体、マナゾーンへと送らなければならない。
「俺が送るのは《ヴァリアント》と《ヨルムンガルド》自身だ。だが《ヴァリアント》は山札を捲り、アウトレイジなら場を離れない」
 こうして捲ったのは《偽りなし ゾルゲⅩⅢ》。またもアウトレイジだ。
「鬱陶しい……《ロラパルーザ》と《超神類 イズモ》をマナゾーンに送るぜ」
 これで残ったのは、それぞれリンクの外れた《ライジング・サン》と《ビッグディアウト》、そして二体の《スパイス・クィーンズ》となる。
「なら、このまま一気に攻める! 《ダン・クローリー》で攻撃! 《ダン・クローリー》は、相手のシールドを無限の枚数ブレイクする、∞ブレイカーだ!」
「だからなんだってんだよ。んなもんブロックすれば問題なしだ。《スパイス・クィーンズ》でブロック」
 派手な能力ではあるのだが、その攻撃は《スパイス・クィーンズ》によっていとも簡単に防がれてしまった。
「だったら《ヴァリアント》でも攻撃!」
「《スパイス・クィーンズ》でブロック」
 《ヴァリアント》の攻撃もブロックされるルカ。だがこれで、いよいよジークフリートの場にブロッカーはいなくなった。
「そのデッキ枚数じゃあ、流石に《ラウドパーク》は出ないだろ。次のターンこそ、《ダン・クローリー》の∞ブレイクをぶち込む!」
「はぁ? お前に次のターンなんざ来ねえよ」
 意気込むルカを、ジークフリートは一蹴する。
 確かにジークフリートのシールドには、まだ《デーモン・ハンド》が仕込まれており、他のシールドも三枚あるが、それでもすべてのシールドをブレイクする《ダン・クローリー》と除去耐性を持つ《ヴァリアント》に対処するのは難しいはずだ。もう出せるようなブロッカーもいない。
 だがジークフリートは、もう防御の必要なんてなかったのだ。ここまで来れば、後はもう、すべてを破壊するだけ——

「吹き飛べ盾よ、消え去れ知識よ! すべては我が手の上にある——《「黒幕」》!」


「黒幕」 闇文明 (9)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/オラクル 12000+
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、相手は自身の手札をすべて捨てる。
T・ブレイカー
中央G・リンク
このクリーチャーがカード3枚でリンクした時、このクリーチャーは各プレイヤーのシールドをすべてブレイクする。


 現れたのは、全身に包帯を巻いた少年のようなクリーチャー。姿を隠してはいるものの、これは《イズモ》だ。敬愛する師を討たれ、怒りと憎しみををもって復活したのだ。包帯の隙間から覗く眼は、アウトレイジに対する憎悪に満ちている。
「《ライジング・サン》《ビッグディアウト》……そして《「黒幕」》をゴッド・リンク!」
 三神合体。
 三体の神が、一つとなった。
 さらに、
「《「黒幕」》が三体でリンクした時の能力発動……互いのシールドを、すべてブレイクする」
 それは、すべてを破滅に導く力だった。
 刹那、ジークフリートのシールドも、ルカのシールドも、すべてが《「黒幕」》の力によって粉砕される。
「……S・トリガー発動」
 だがジークフリートのシールドは、光の束となって収束していく。その一枚目は、
「《デーモン・ハンド》。《ダン・クローリー》を破壊」
「っ!」
 そして二枚目。
「《ライジング・サン》の能力で、俺がシールドから手札に加えるゴッド・ノヴァOMGはすべてS・トリガーを得る。S・トリガー発動《精霊聖邪ライジング・サン》」
 続けて三枚目。
「S・トリガー発動《魔天聖邪ビッグディアウト》。《ヴァリアント》を破壊」
「やるなぁ……だが《ヴァリアント》は山札を墓地に送り、それがアウトレイジなら場を離れない」
 捲れたのは《無法秘伝 悪・即・斬》。
「……あれ?」
「破壊だ」
 次の瞬間《ヴァリアント》が爆散する。
 そして最後、四枚目。
「S・トリガー発動——《超神類 イズモ》」
 最後のシールドから現れたのは、またしても《超神類 イズモ》。その能力で、墓地のカードがシールドとなる。
「シールドに送るのは《デーモナン・ハンド》《オラクルDJ》《支配のオラクルジュエル》だ」
 最初に召喚した時と同じカードをシールドに仕込むジークフリート。これで、ルカはほぼ完全に積んでしまった。
「俺もS・トリガーだ。《終末の時計 ザ・クロック》で、お前の残りターンを飛ばす!」
 ルカのブレイクされた最後のシールドから飛び出したのは《クロック》。これで残りのターンがスキップされ、とどめを刺されることなくルカのターンが回って来たが、
「……また勝てなかったな。だが、まあ、楽しかった。またデュエルしような、ジーク」
「断る」
 《クロック》一体では、どうしたってS・トリガー満載の三枚のシールドを割り切って、とどめを刺すことはできない。
 満足しているとまではいかないが、それなりに喜びを得たような笑みをを浮かべ、ルカのターンは終了。
 そして、ジークフリートのターン。

「《「黒幕」》でダイレクトアタック——」

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.554 )
日時: 2014/03/27 21:24
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 神話空間が閉じる。同時に、クトゥルーと希野が現実へと戻って来た。
「くっ……」
「…………」
 結果は、希野の敗北。ただそれだけだ。
 勝算はなかったわけではない。相手が強敵であることも、重々承知していた。しかし、実際に戦ってみて初めて分かったことがある。
(帝国四天王『夢海星辰クトゥルー』……この人が【師団】で一番やばい……!)
 まったく、手も足も出なかった。いや、手も足も出させてもらえなかった、と言う方がしっくりくる。召喚禁止などのロックをかけられたわけでもないのに、完全にこちらを縛りつけ、身動きの取れないような戦い方をする。
 これが、帝国四天王のリーダーの実力なのか。 
 やはり、自分はまだ、実力不足なのか。
 そんな言葉が浮かんだ、その時だ。

「まあ別に勝てなくても、そのデータを持ち帰られればいんじゃない?」

 後方から、声が聞こえる。聞き慣れた、不愉快な声。
「希道……!? なんでここに……」
 がさごそと茂みの中から這い出て来たのは、九頭龍希道。希野の、双子の兄。希野にとっては、恨みの対象でもある存在。そのため、希野目つきは驚愕から怒りに近い鋭いものへと変化していく。
 だが、そんなことを気に留める九頭龍ではなかった。彼はいつもの調子で、飄々と語る。
「まあ色々あってね。犯罪まがいのことを強要されてたんだけど……そっちもそっちで大変だったみたいだね」
「……見てたの?」
「まあね」
 希野の言葉を、希道は淡々と返していく。
「……笑いに来たの?」
「いいや? むしろ褒めるべきなんじゃないかなぁ? 情報の少ない『夢海星辰クトゥルー』の対戦データが取れたわけだしね。負けてもいいのさ、戦うことそのものが、僕らにとっては重要なんだ」
 いつもの調子で言葉を紡ぐ九頭龍。トーンに変化が見られないので、それが本気なのか、冗談めかしているのかが判断できない。
 だが、彼がなぜこんなタイミングで出て来たのかは、すぐに理解できた。
「……まあでも、今の対戦、ちょっと思うところはあったりなかったり?」
 いつの間にか彼に手に握られていたのは、デッキだった。そして彼の視線は、クトゥルーに向いている。
「らしくもなく、妹の敵討ちなんかしてみるのも、悪くないかな。どう? クトゥルーさん?」
「…………」
 相変わらず無反応を返すクトゥルー。しかし彼に動きがなかったわけではなかった。
 纏うローブの中に手を突っ込むと、彼もデッキを取り出す。
「へぇ、今の話を聞いてもなお戦ってくれるんだ……ちょっと意外だけど、それはそれでラッキーってことにしとこうかな」
 今まで隠匿されがちだった情報を開示することになるであろうクトゥルー。もうここまで来てしまえば、情報が洩れても構わないということか、それとも最初から隠す気などなかったのか。どちらにせよ、ここでの戦いは、【ラボ】という組織で見ても大きな意味を持つ。
「希道……」
「大丈夫大丈夫、君が負けてるところはたっぷり見たから、彼のデッキは大体分かるよ。それに最近はずっと黒村さんに虐められてたからねー、体も丈夫になった気がするよ」
「そんな心配はしていない」
 やや怒気のこもった声だった。
「なんで、こんなことをする……?」
 怪訝そうな眼差しと共に、希野の声が九頭龍に届く。
 こんなことの示すものがなんなのか、九頭龍にはすぐ判断できなかった。今ここでこうしていることなのか、それとももっと広い範囲でのことなのか。
 どちらにせよ、九頭龍の答えは一つだ。
「……さあ?」
 そんなものは、自分でも分からない。いや、本当は分かっているのかもしれないが、その分かっている感覚を他人に理解できるよう言語化するのは、今ここでは難しい。
 だが、強いて言うのであれば、
「僕が【ラボ】の研究員だからかもね」
 と、そこまで言ったところで。
 九頭龍とクトゥルーは、神話空間へと飲み込まれた。



「ん……ルーさん、また誰かとデュエル始めたな……」
 シャルロッテを捜索する中、ハスターは一人ごちる。
 彼の感覚だと、ついさっきクトゥルーが誰かとの戦闘に入った。その数十分ほど前もそうだったので、これで二連戦だ。
「あの人は本当になに考えてるか分からないからなぁ……目の前の敵は倒す、みたいなところはあるけど……」
 四天王の中でも、クトゥルーとまともにコミュニケーションを取ろうとしているのはハスターくらいなので、彼にはなんとなくクトゥルーのことが分かるのだが、しかしそれでも謎が多い。ジークフリートも、クトゥルーのことはあまりよく知らないらしい。
「まあでも、ルーさんなら大丈夫か。あの人なら、まず負けないだろうし」
 相手が『昇天太陽サンセット』であれ、『萌芽繚乱ブラッサム』であれ、『大慈光姫メルシー』であれ、『大渦流水モスケスラウメン』であれ、クトゥルーが負けるとは思えない。
「ルーさんは、どんな相手よりも強いデュエリスト……相手よりも強い敵として、相手の前に立ち塞がる」
 誰に言うでもなく、ハスターは独り言を漏らす。
「越えられない壁として敵対するのがルーさんだ……あの人を倒せるのは、いつでも自分を超えてくるような師団長か、その壁をぶち壊すルカ=ネロくらいなもの。あの人を倒したいのなら、自分自身を越えなければならない」
 どんな相手に対しても、越えられない壁として立ち塞がる男。それがクトゥルー。そしてその性質こそが、彼が帝国四天王最強である理由だった。
「ニャルと違って素の実力も普通に強いし、生半可なデュエリストじゃまず勝てない。ただ強いだけじゃなく、その強い自分自身を乗り越えられないと、ルーさんは絶対に倒せない」
 あの人はそういう人だ、と言って、一度口をつぐむ。
「……姫様、どこにいるのかなぁ……」
 そして自分の役目を思い出したかのように呟いて、また歩み始めた。



「んー……なかなかデッキ、できないなぁ……」
 手元に集まったカードは、二枚の神話を含めて二十枚ほど。デッキを作るなら、まだ半分だ。
「ジークみたいに、すきなカードだしたいのに、うまくできない……」
 何度も何度も《支配神話》と《生誕神話》の力でカードを生み出しているのだが、欲しいカードが全然出て来ない。ジークフリートは、狙ったカードを自由自在に生み出していたが、どうもうまくいかない。
「もっとジークのやってること、ちゃんとみてけばよかった……えいっ」
 これで何回目になるのか、再び新たな命を生み出すシャルロッテ。そして、生まれたのは、
「《ヨミ》だぁ……やった! つよいゴッドでた!」
 無邪気に喜ぶシャルロッテは、それを片手に持った作りかけのデッキの束に加えようとする。
 だが、その時。どこからか強い風が吹き、そのカードは風に飛ばされていってしまった。
「あぁ! せっかく、やっとでたカードなのに……まあいいや」
 一瞬、泣きそうな顔を見せるシャルロッテだったが、すぐにいつもの表情に戻る。そして、《ヨミ》、《ヨミ》とぶつぶつ言いながら、また新たなカードを創造する。



 風に吹かれた《ヨミ》のカードは、この時、別の力を受けていた。神話の力だが、それはまだ、誰も知らない秘中の力。
 その力を受けた《ヨミ》は、孤独の神と化す。そしてこの偽りの神が具現するのは、すぐそこに迫っている未来だ。

 遥か遠く、しかし近くとも言える空では、まだ誰も知らない存在が、目覚めようとしていた——

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.555 )
日時: 2014/03/28 00:05
名前: もとり ◆LuGctVj/.U (ID: GEz.yWzp)

 コメントするのは久し振りですが毎日見てます、もとりです。

 ルカとジークフリートのスーパーデッキ対決、負けたルカがカッコよく思えてなりません。すごくイケメンです。≪ダン・クローリー≫や≪ヴァリアント≫は最初いらないんじゃないかと思いましたが≪悪・即・斬≫が出たときの「……あれ?」のためにあったと思うと感動せずにはいられません……イケメン過ぎですっ!

 イケメンといえば希道さん、妹の敵討ちとかどれだけイケメンすれば気がすむんでしょう。普段チャラけた感じとのギャップがすごいです。希道さんてこんなイケメンだったでしょうか。

 イケメンといえば風に吹かれて飛んでった≪ヨミ≫さん。イケメンでなおかつ顔面蒼白になって戻ってきそうです。……顔面蒼白。

 顔面蒼白といえば≪イズモ≫さん、顔真っ青ですよね。


 …………自分でも何が言いたいんだかわかんなくなってきたのでこのくらいで。
 ではでは。




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