二次創作小説(紙ほか)
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- デュエル・マスターズ Mythology
- 日時: 2015/08/16 04:44
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)
初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。
本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。
投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。
目次
一章『神話戦争』
一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33
二章『慈愛なき崇拝』
一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78
三章『裏に生まれる世界』
一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101
四章『summer vacation 〜夏休〜』
一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148
五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』
一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207
六章『旧・太陽神話』
一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292
七章『続・太陽神話』
一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404
八章『十二神話・召還』
一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424
九章『聖夜の賢愚』
一話『祝祭の前夜』
>>425
二話『双子の門番』
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争』
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲』
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447
第十章『月の下の約束です』
一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508
第十一章『新年』
一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573
十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』
一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610
十三章『友愛「親友だから——」』
一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637
コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』
一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482
デッキ調査室
№1『空城夕陽1』 >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137
人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.150 )
- 日時: 2014/02/23 23:04
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
春永 このみ(はるなが このみ) 女 16歳
容姿:明るい髪を低めの位置で二つに結っている。相当な童顔で身長も140cmに満たないほど小柄だが、そのわりには女性的な体型で肉感的。アニメや漫画からそのまま飛び出してきたかのような現実離れした容姿と形容されることが多い。
性格:常に明るく社交的で、人見知りしないどころか初対面でも一言二言話すだけで敬語が消えるほど馴れ馴れしい。いつもテンションが高めで夕陽からは若干うざがられているが、基本的に他者からの受けは良い。子供っぽい面が目立つが、同時にミーハーで女子校生らしさもある。やたら耳聡く、様々な所から様々な情報を手に入れているが、あくまで噂や流行レベル。人の名前を二音以上発音することがほとんどなく、三音以上なら勝手に愛称をつけて呼んでいる。その可愛らしい容姿も相まって、クラスのアイドル的な立ち位置になっているが、頭は壊滅的なまでに悪い。そのためか、デッキの組み方が異常に悪く(進化元が一体しかいないのに進化クリーチャーを投入するなど)、たびたび汐などからアドバイスをもらっている。
所属:雀宮高校一年四組
備考:姉が一人。家は喫茶店『popple』を営んでいる。
戦術:メインカラーは自然。ビーストフォークやスノーフェアリーなどの軽量獣を並べて押し切る、またそこに進化クリーチャーを絡めるなど、速攻寄りのビートダウン戦術を好む。直感で行動するため、たまに妙なプレイングを見せる。
切り札は
《機神勇者スーパー・ダッシュ・バスター》
《機神勇者スタートダッシュ・バスター》
《超竜バジュラズテラ》
《護蓮妖精ミスティーナ》
《萌芽神話 フォレスト・プロセルピナ》
《呪紋のカルマ インカ》
《スーパー大番長「四つ牙」》
《若頭 鬼流院 刃》
《爆裂ダッシュ!グレンセーバー政》
など。
概要:《プロセルピナ》の所有者で《萌芽繚乱》の異名を取る。
各章デッキ解説
『一章』
《スーパー・ダッシュ・バスター》や《大勇者「大地の猛攻」》などの進化を絡めたステロイド・ビートダウンデッキ。マナを加速させたりコストを軽減させながら、軽量クリーチャーを進化させて攻めまくる。奇襲用に《デュアルショック・ドラゴン》も一枚挿していて、ミウ戦では進化元が一枚しかないにもかかわらず《超竜バジュラズテラ》を組み込んでいた。切り札は《機神勇者スーパー・ダッシュ・バスター》《機神勇者スタートダッシュ・バスター》《超竜バジュラズテラ》
『二章』
《プロセルピナ》を中核に据えたほぼ自然単色のスノーフェアリーの種族デッキ。適当にスノフェアリーを突っ込んだだけのデッキだが、このみが作ったにしてはまとまったデッキ。マナ加速しながらスノフェアリーを並べていき、《ミスティーナ》の能力で一気に決めに行く。このみ自身は自発的に狙おうとしないが、キーカードが揃えば途轍もない爆発力を発揮する。
ちなみに、《コートニー》がいるとはいえ、《キリモミ・スラッシュ》を一枚だけ挿している。切り札は《萌芽神話 フォレスト・プロセルピナ》
『三章』
基本的に二章で使っていたデッキと大差ないが、汐の助言で《ハッスル・キャッスル》や《時空の庭園》を投入。それにより息切れが起こりにくくなり、また軽いスノーフェアリーから進化する《プロセルピナ》のコンセンテス・ディー能力が発動しやすくなった。《ピーチ・プリンセス》などのコスト軽減カードも絡め、以前よりも展開力が高くなっている。
『四章』
三章のデッキに火文明を加え、ステロイド構成にしている。序盤のスピードは若干落ちたものの、マナの加速力は凄まじい。《守護炎龍レヴィヤ・ターン》で小型クリーチャーを追加したり、《ダイヤモンド・ブリザード》でスノーフェアリーを回収するなど、柔軟性は増している。
『五章』
四章で使用したデッキをほぼそのまま使用している。
『七章』
スノーフェアリーにこだわらず、火文明も加えている点を生かして一章で使用していた切り札《スタートダッシュ・バスター》などの進化クリーチャーも投入して打撃力を上げている。それによって種族の種類も多くなり《口寄の化身》で大量ドローが可能となり、手札が枯渇しやすい弱点を補っている。さらに《プロセルピナ》の能力を生かすべく《カラフル・ダンス》《ダンディ・ナスオ》《神秘の宝箱》といった大量マナ加速、または特定のカードをマナゾーンに置くカードを投入し、クリーチャーの大量展開や実質的なリクルート、さらには《無双竜鬼ミツルギブースト》を用いて相手のパワー6000以下のクリーチャーを破壊し続けるコンボまで組み込んでいる。仕上げに《永遠のリュウセイ・カイザー》がおり、《プロセルピナ》の能力で呼び出したクリーチャー軍をスピードアタッカーにし、《呪紋のカルマ インカ》でS・トリガークリーチャーやニンジャ・ストライクを封じつつ一気に攻め込む。また防御面も考え始めたようで、S・トリガーは少ないものの《光牙忍ハヤブサマル》を入れ、僅かながらも防御力を高めている。なお、このみはこの時点で《ボルバルザーク・エクス》《ドラゴンフレンド・カチュア》《闘魂!紫電・ドラゴン》などのハンターをいくつか投入している。切り札は《呪紋のカルマ インカ》
『八章』
葵とのデュエルでは《プロセルピナ》を入れていない、ビーストフォークとハンターが軸になったステロイドのビートダウンデッキを使用。速攻気味と称され、実際早いうちに相手を倒すこともできるが、わりと重いカードも投入されている。《ヤッタレ・ピッピー》《斬込の哲》とスムーズに繋げられれば、次のターンには切り札の《スーパー大番長「四つ牙」》や《機神勇者スーパー・ダッシュ・バスター》が呼び出せる。手札補充も考えており、《俊足の政》や《隻眼の鬼カイザー ザーク嵐》で枯渇しやすい手札を増やす。超次元も絡めているが、手札補充で手に入れられるのがクリーチャーだけなので、超次元呪文は積んでおらず、もっぱら《アパッチ・ヒャッホー》や《激流アパッチ・リザード》などの効果で呼び出される。マナが伸びやすいこともあり《若頭 鬼流院 刃》が投入されていて、マナゾーンの自然のハンターを一気に呼び出せる。この時《掘師の銀》数体と二体目の《刃》を呼び出すことで、相手の場のクリーチャーを一気にマナ送りにでき、また《薫風妖精コートニー》がいれば火文明のハンターでも呼び出せるなど、意外とコンボも搭載されている。なお、今回は《ハヤブサマル》だけでなく《不敗のダイハード・リュウセイ》による防御もある。切り札は《スーパー大番長「四つ牙」》《若頭 鬼流院 刃》《爆裂ダッシュ!グレンセーバー政》
『九章』
七章までのデッキとほぼ同じデッキを使用。相変わらず防御は薄いが《ハヤブサマル》だけでなく《斬雪妖精バケット・バケット》でも補っている。
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.151 )
- 日時: 2014/03/11 00:28
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
御舟 汐(みふね しお)→月夜野 汐(つきよの しお) 女 15歳
容姿:このみより背は高いものの、非常に小柄かつ華奢で。青みがかった黒髪を左側で細いサイドテールにしており、その髪型が幼さを助長している。顔も童顔だが表情はほとんどなく、常に無表情。
性格:淡々とした抑揚のない声で喋り、クールな印象を与えるが感情がないわけではなく、ただ顔と声に出ないだけ。語尾が「です」の活用形で終わる妙な敬語を使うが、基本は律儀で礼儀正しい。生真面目で、打算でものを考えることが多いため歳不相応にしっかりしている。だが同時に様々なことを考えすぎて思いつめてしまうこともあり、意固地になったりもする。家庭の事情や一度欠けてしまった記憶など、暗い過去を背負っており、精神的に不安定な面もある。ただ、その昔の記憶にある「凄い先輩たち」と共に過ごした人生と、夕陽たちと共に戦っている今の人生、二つの人生が自分にはあると考えており、先輩後輩の観念に関しては独自の考えを持っている。
所属:東鷲宮中学三年七組
備考:兄が一人で、その兄と二人暮らし。家はカードショップ『御舟屋』を営んでいる。元々デュエリストの養成学校に通っていたが、親が再婚した影響で中学二年生に上がると同時に東鷲宮に転校、今の町に引っ越した。その際、《アルテミス》の分析によるとクリーチャーに襲われたらしく、中学一年生の時の記憶を失っている(後に思い出す)。十章で親が離婚し、苗字が母方の姓(月夜野)に変わった。しかし夕陽には『御舟』と旧姓で呼ばせている。
戦術:メインカラーは闇。精度の高い読みと状況を冷静に分析する思考力で理詰めのデュエルを行う。デッキは除去コントロールを軸とし、序盤はブロッカーで守りを固め、ドロー、ハンデス、破壊などを繰り返しながらキーカードが揃うのを待つ。中盤以降からデーモン・コマンドなどの大型クリーチャーを並べて相手を圧倒する。特にバロム系統が出た時の破壊力は圧巻。他にもマナを加速させて大型を出したり、ほぼ闇単色のアウトレイジがメインのデッキや、ダークロードと呪文を主軸に据えたデッキも使用している。
切り札は
《悪魔神ドルバロム》
《大邪眼B・ロマノフ》
《地獄魔槍 ブリティッシュ》
《死神の邪蹄ベル・ヘル・デ・ガウル》
《殲滅の英雄ハンニバルΖ》
《奈落の葬儀人デス・シュテロン》
《悪魔神バロム・エンペラー》
《「謎」の頂 Ζ—ファイル》
《死神明王ガブリエル・XENOM》
《暗黒の悪魔神ヴァーズ・ロマノフ》
《偽りの悪魔神王 デス・マリッジ》
《神聖牙 UK パンク》
《月影神話 ミッドナイト・アルテミス》
など。
概要:《ヘルメス》の所有者だが、デッキには組み込んでいない。“ゲーム”に関わることに関しては消極的。四章で流に勝利したため《ネプトゥーヌス》の所有権も得たが、こちらもデッキに組み込んではいない。だが《ネプトゥーヌス》は八章で流に返還した。九章では強い無法の力に触れ、昔の記憶を思い出しかける。だが、闇討ちのように現れた記に《ヘルメス》を奪われてしまった上に、偽夕陽にも襲撃されてしまい、疑心暗鬼に陥ってしまう。十章では九章で偽夕陽に襲われたことから夕陽と仲違いする。その時に《アルテミス》と同盟を結び、一度は夕陽を倒して《アポロン》を手に入れるも、再戦時には敗北。その敗北に憤慨した《アルテミス》に身体を乗っ取られてしまうが、夕陽の尽力の末、身体を取り戻し夕陽との仲も修復、失っていた記憶も思い出した。その後《アルテミス》の申し出と、『神話カード』と共に戦う夕陽たち先輩への憧れから《アルテミス》の正式な所有者となる。
各章デッキ解説
『一章』
《マクスヴァル》でコストを軽減して闇のデーモン・コマンドを並べていくスタイル。速攻相手に《バグレン》で牽制したり、《ガル・ヴォルフ》で手札とシールドを削ったり、《サンダー・ブレード》でクリーチャーを直接除去したりと、相手を妨害しながら切り札に繋いでいく。切り札は《悪魔神ドルバロム》
『二章』
一章の時とほぼ同じデッキを使用。
『四章』
四章序盤では従来の闇・水構成のコントロールデッキを使用している。
だが流とのデュエルでは、アウトレイジを絡めた闇単色のデッキを使用。《一撃奪取 ブラッドレイン》でコストを下げ、《豚魔槍 ブータン》から《地獄魔槍 ブリティッシュ》にドロン・ゴーさせる戦術を取る。従来よりも墓地を積極的に利用し、またチャージャー呪文でマナも伸びやすくなっている。切り札は変わらないが、ドローのほとんどを《ブリティッシュ》に頼っているため、このカードがデッキの中核となっている。ブロッカーなどが少なく、最速3ターン目に出せるW・ブレイカー《ブータン》の存在から、コントロールデッキでもビートダウン性能がやや高い。
『五章』
いわゆる典型的な連デモに近い形のデッキ。《死神の邪蹄ベル・ヘル・デ・ガウル》が中心となり、相手クリーチャーを破壊しながら次々とデーモン・コマンドを並べていく。《狼虎サンダー・ブレード》や《魔刻の斬将オルゼキア》など、定番のデーモン・コマンドから、《殲滅の英雄ハンニバルΖ》《悪魔神バロム・エンペラー》による大量除去からの大量展開も夢ではない。クリーチャー破壊が目立つが《凶刻の刃狼ガル・ヴォルフ》や《奈落の葬儀人デス・シュテロン》といった手札破壊を行うデーモン・コマンドもいる。切り札は《死神の邪蹄ベル・ヘル・デ・ガウル》《殲滅の英雄ハンニバルΖ》《奈落の葬儀人デス・シュテロン》《悪魔神バロム・エンペラー》
『七章』
デッキカラーを変更し、闇と自然文明にしている。中身はいわゆるターボドルバロムで、《フェアリー・ライフ》や《霞み妖精ジャスミン》といった定番のマナ加速から《再誕の社》や《セブンス・タワー》といった大量マナブースト、さらには《ライフプラン・チャージャー》や《ボーンおどり・チャージャー》などのチャージャー呪文でもマナを加速させる。マナ加速だけでなく《プライマル・スクリーム》や《暗黒導師ブラックルシファー》などで墓地も増やす。マナを溜めた後は《ドルバロム》で場を一掃してもいいが、本命は《「謎」の頂 Ζ—ファイル》であり、場に一体でもクリーチャーが残っていれば、それを生贄にして墓地に落としたデーモン・コマンドをまとめて復活させられる。切り札九のカードは重いクリーチャーが目立つが、《死神明王ガブリエル・XENOM》や《暗黒の悪魔神ヴァーズ・ロマノフ》のような、このデッキと相性が良く、使いやすい進化デーモン・コマンドも揃っている。切り札は《「謎」の頂 Ζ—ファイル》《死神明王ガブリエル・XENOM》《暗黒の悪魔神ヴァーズ・ロマノフ》
『九章』
七章で使用したデッキをほぼそのまま使用している。
『十章』
一話でアルテミスの憑依した男とのデュエルでは、七章とほぼ同じデッキを使用。ただし《Ζ—ファイル》で踏み倒す前提で、光をタッチしている。切り札は《偽りの悪魔神王 デス・マリッジ》
その後の夕陽とのデュエルでは、《アルテミス》軸のデッキも用意していたが、汐の意向で《神聖牙 UK パンク》を切り札にした、ゼロ文明を含むアウトレイジ、オラクル、デスパペットの準闇単デッキを使用。今までの闇単アウトレイジと比べてブロッカーが投入されていたりと、コントロール色が強い。基本的には手札破壊やブロッカーなどで相手を妨害しつつ、自分は墓地肥やしと手札補充で準備。《神豚 ブータンPOP》《神豚槍 ブリティッシュROCK》とドロン・ゴーしていき、最後は《UK パンク》の大量リアニメイトで場を制圧する。《UK パンク》まで行かなくとも、《ブータンPOP》や《ブリティッシュROCK》で、ドロン・ゴーをちらつかせて威圧をかけたり、《トンギヌスの槍》で除去、ランデス、シールド焼却をしたりと、十分に戦えるスペック。《豚魔槍 ブータン》《地獄魔槍 ブリティッシュ》のエグザイルも一組揃っており《冥界王 ブルースDEAD》で墓地肥やしとドロン・ゴー先の確保をこなすなど、サポートも充実している。切り札は《神聖牙 UK パンク》
《アルテミス》に憑依された際の夕陽とのデュエルでは、ダークロードと呪文をメインにしたデッキを使用。序盤は《猛菌恐皇ビューティシャン》などのブロッカーで凌ぎつつ、ハンデスで妨害、墓地肥やしで準備を整える。重いカードが多いので頭数を揃えるのは大変だが、その分一体一体が強力。特に《邪眼銃士ダーク・ルシファー》は墓地を肥やしながら、破壊されると墓地の《アルテミス》を回収できる。《貴星虫ヤタイズナ》は墓地に落ちた《アルテミス》を釣り上げ、自身も進化元になれる。《邪眼王ロマノフⅠ世》も、《アルテミス》の能力で発動させる呪文を墓地に落としたり、《ヤタイズナ》と合わせて《アルテミス》を墓地に仕込める。また呪文が多く搭載されているのも特徴で《インビンシブル・アビス》は《アルテミス》の能力で唱えること前提で投入されている。切り札は《月影神話 ミッドナイト・アルテミス》。
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.152 )
- 日時: 2013/10/05 17:15
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
夏休みが明け、九月も残すところあと少しという時期。この時期、学生には様々なイベントが訪れる。特に多くの学生からすれば絶対に外せないイベントが、雀宮高校にもやって来た。
そう、文化祭が——
今更、文化祭が何かという説明をする必要もないだろう。中にはそうでない者もいるが、それでも大半の生徒は熱心にこの日のために準備してきた。そんな、ある種の生徒による努力の結晶とも言える祭典。
各教室の外装だけでなく、廊下にまで装飾が溢れ、その廊下を行き交う生徒たちの格好も様々。老若男女、クラスで揃えているのだろうTシャツを着ている者がいれば、なにかのイベントのためなのかコスプレや着ぐるみを着ている者もいる。
そんな人混みを掻き分けながら、御舟汐はパンフレットを片手に一つの教室を目指す。自分の先輩たちのいる教室、一年四組へと進んでいく。
「……ここですか」
人混みから脱せないまま、なんとか目的地まで到着した汐。しかし思った以上に人の出入りが多く、そこまで長くはないが列までできている始末。一番小さい先輩が『自信作』と言っていただけあって、かなり繁盛しているようだ。
「しかし、あの人らしいと言うのですか、些か安直な気がしないでもないですね……」
列に並びながら、汐は手元のパンフレットに目を落とし、そして息を吐く。
『一年四組 本格メイド・カフェ 〜aurora〜
可憐な給仕がご主人様を光臨! サプライズなサービスもあります』
メイドカフェが本格だとか、給仕が主人を光臨とはどういうことか、サービスはサプライズで良いのか、そもそも給仕が光臨させるわけではないだろう……などなど、パンフレットの煽り文に対して言いたいことは色々あったが、とりあえず汐はそれらをスルーして、やっと席が空いたらしい店内へと入る。待って五分くらいだろうと高を括っていたが、思った以上に時間がかかった。
「お帰りなさいませ、お嬢様。カフェ『aurora』へようこそ!」
「お帰りなさいと言っておきながらようこそって、どういうことなんですか……」
入店した汐を迎えたのは、一番小さい先輩こと、春永このみ。店の衣装らしきエプロンドレス——というかメイド服を着ている。
いつもはこのみの天然ボケを無視する汐だったが、今はツッコんでくれる夕陽もおらず、流石の汐でもスルーし切れなかった。
「あ、汐ちゃん。来てくれたんだ……じゃなくて、お嬢様。お席にご案内します」
途中で言い直して、流れるような動作で空いた席に汐を案内するこのみ。その立ち振る舞いは評価に値する。伊達に家が喫茶店ではない、と言ったところか。
「と言っても、あの店は制服がメイド服っぽいってだけで、実際はただの喫茶店のはずですが……」
少なくとも、入店した客に対して開口一番に「お帰りなさいませ」などとは言わない。
とりあえず席に着いてメニューを受け取る汐。所詮は学校の文化祭だと思って少し舐めていたが、外装も内装もかなり凝っており、非常にそれらしく見える。メニューも見た感じでは、そこそこ本格的だ。なにも本格的とのたまっているのは恰好だけではないようだ。
「ところで、このみ先輩」
「ん? なに汐ちゃ……じゃなくて、お嬢様」
「私は気にしないですから、無理せず名前で呼んでも構わないですよ。というか、途中で言い直されるとこっちが気になるので、普通に呼んでください」
「そう? で、なに? なんでも聞いて」
「その恰好、『popple』の制服ですよね」
「あ、やっぱり分かった? ちょっと手を加えたんだけど、あんまり改造する時間がなかったんだよね」
このみや、他の女子生徒が着ている衣装は春永家の経営する喫茶店『popple』の制服に少々手を加えたものだ。
「いやー、そもそもうちのクラスって、文化祭の出し物決めるのが遅れちゃったんだよ。だから時間も少なくてねー。そんで、内容は分かりやすいものってことになって、最終的に喫茶店になったんだ。まあ喫茶店ならあたしは色々知ってるし、衣装もどうせなら家の余ってる制服を使えないかなーって思って、あたしがちょちょいっと改造したんだ。そしたら意外と受けが良くってさー、みんな張り切って頑張ってくれたんだよー」
「そうですか……大活躍ですね、このみ先輩」
出し物が喫茶店に決まってからは、恐らくこのみの独壇場だったのだろう。そう考えれば、内装や外装もどことなく『popple』と似た雰囲気を感じる。名前も『popple』が《春風妖精ポップル》から取っているのに対し、この『aurora』は《妖精のイザナイ オーロラ》から取っているようであることからも、それは伺える。
しかしよくこの人数分の制服があったものだ。見たところ、男女で完全に役割が分離しており、女子が接客、男子が調理などを担当しているようだ。中には裏方に回っている女子もいるようだが、ほぼ全員が接客に回っている。ちょうど姫乃の姿も見えた。
これだけの人数分の制服を揃えるのは余りだけでは不可能だと思うのだが、恐らくこのみが木葉に駄々をこねたのだろう。あの妹に甘い姉ならその可能性もありうる、と汐は結論付けた。
「……メニューは先輩に任せるですよ、先輩が思う自信作を注文です」
「オッケー、了解したよ、お嬢様!」
「随分と軽いメイドですね……それより、このみ先輩」
「ん? 今度はなに?」
近くの女子生徒に自分が受けた分のオーダーも伝え、このみは汐に聞き返す。
「先輩はやはり調理ですか。受付にはいなかったようですが……それとも、今日は当番ではないのですか」
汐が言っているのは夕陽のことだろう。男子は調理場所から出られない規則でもあるのか、教室内には女子しかいない。どうせなら彼にも一声かけておきたいと思ったのだが、このみの反応は汐の予想とは反するものだった。
「あー、ゆーくんかぁ……あははっ。ちょっと待ってて、今呼んでくるよ」
悪戯っぽい笑みを浮かべ、このみは調理スペースとなっている衝立で仕切られた教室の一角へと向かう。そこで思ったが、この教室、学校の教室にしては広い。人やテーブルが多いため気付きにくかったが、かなりの広さがある。だから同じ教室内に調理スペースを設けられたのだろうか。
などと思っていると、調理スペースから聞き覚えるのある声が聞こえてきた。
「やめろ、離せ! 僕は絶対にここから出ないと決めたんだ!」
「ほらほら、汐ちゃん来ちゃったよ? ここは先輩として、ちゃんと接客しないと」
「嫌だ、断固として断る! くそっ、こんなもの……って、お前ら押すな! 押すなって、いや本当に勘弁してくだ——うわっ!」
「はいはーい、フロアにメイド一人追加でーす」
などと言うこのみに腕を引っ張られ(そして調理担当らしき男子に背中を押され)て出て来たのは、女子生徒だ。他の給仕と同じ衣装を身に纏っている。
まず最初に目を引くのは、高い身長。低いものは低いが、背の高い女子も多い一年四組、しかし周りの女子と比較してもその者の身長は高かった。
流麗な黒髪と、どこか凛々しさもある整った顔立ち、細いが虚弱さを感じさせない体型。容姿は女子として考えれば、かなりの高ランクに位置するだろう。ただそのベクトルは、見る人によって可愛いとも格好良いとも取れるのだから不思議である。
絶望し切った表情の彼女を連れて、このみは汐の席まで来る。そしてそっと汐に耳打ちした。
「汐ちゃん、実はね、このカフェ『aurora』にはサプライズなサービスがあるんだよ」
「はぁ……そういえば、パンフレットにそんなこと書いていたような……」
「うん、でね。そのサプライズっていうのが、メイドの中に一人だけメイド服を着てるけど“メイド”じゃない人がいるんだ。その人が誰かを見つけられればなんと、どんなものでも一品だけ無料になるんだよ」
「確かにそれはサプライズなサービスですが——え」
絶句する汐。さっきの自分の発言と、それに対するこのみの行動。そしてこの店のサプライズなサービス。この三つの要素から辿り着いた、汐の答え。
汐は視線を先程の女子生徒に向ける。すると彼女は、バッとあからさまに視線を逸らした。
考えたくはない。正直、そんなことはないだろうと思うが、万が一、誰かの悪ふざけで起こりうるかもしれない可能性を捨てきれず、汐はその女子生徒に向かって、口を開く。
「もしかして……先輩、ですか……」
「……うん」
空城夕陽。彼は雀宮高校文化祭、一年四組模擬店、カフェ『aurora』における、唯一の男の接客……ありていに言って、女装したメイドであった。
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.153 )
- 日時: 2013/10/05 21:59
- 名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)
「先輩、なんでこんなことを……」
「僕だって好きでこうしてるわけじゃないんだよ……」
周りに聞こえないように、小声で言う夕陽。初見ではまず男とは思えないその恰好は非常に似合っているのだが、自分の先輩がそんな姿をしていると考えると少々複雑な心境である。
「やっぱお客さんをゲットするには、なにかしらのサプライズとサービスがないとね。けっこーイケてると思うんだけど?」
「ねぇよ。僕への精神被害も半端ねぇよ。くそ、なんでこんなことに……」
要するに、夕陽はこのみの『なにかしらのゲーム的要素を絡めた条件をつけて商品を無料サービスする』という提案の餌食になったらしい。しかも多くの生徒が悪ノリか本心かそれに賛同し、空城夕陽くんはカフェ『aurora』においては空城夕陽さんになっているのだそうだ。
とはいえ、空城という苗字も夕陽という名前も他のクラスや学年にはおらず、名前がばれてはサプライズにならないため、基本的に夕陽は名前で呼ばれず、「ゆーちゃん」なるあだ名が付けられている。
「屈辱だ、今すぐ屋上から飛び降りたい気分だよ……」
「先輩……同情はするですが、少し美人さんだと思ってしまった私を許してください」
今にも泣き出しそうな夕陽と、その傍らで笑いをこらえているこのみ。ちょうどその時、厨房から姫乃がやって来た。トレイにティーカップなどを乗せているため、彼女が汐の注文を持って来たようだ。
「あ、御舟さん、来てたんだ」
「どうもです、光ヶ丘さん」
軽く挨拶して、持ってきた品をテーブルに並べる姫乃と、無表情でそれを眺める汐。
「あ、そうだ。このみちゃんと、そら——じゃなくて、ゆーちゃん。そろそろ時間だって」
「そっか、りょーかい。じゃ、行こうか、ゆーちゃん?」
「うっ、マジか……」
「どこへ行くのですか」
出された紅茶を啜りながら訪ねる汐。このみはそれに笑いながら答えた。
「宣伝だよ。今からゆーちゃんと宣伝」
「こんな格好をさせられた挙句、外に出て宣伝しろとか、拷問だよ……「羞恥」の極だよ……」
「進化ゼニス級の羞恥ですか」
「ごめんね、ゆーちゃん。私が文化祭の出し物決める時に倒れちゃったから……」
姫乃の話を聞くと、なんでも夕陽と姫乃は文化委員で、文化祭の出し物を決める担当だったそうだ。しかしその時になって姫乃が倒れてしまい、てんやわんやだったらしい。
そこで立ち上がったのがこのみ。クラスのアイドルかマスコットと化している彼女がクラスをまとめ上げ、現在の状況を作り出しているとのことだ。
だからか、姫乃は自分が倒れたせいで夕陽が今の姿になっていると思っているようで、実際その通りなのだろう。しかし、
「そう言うわりには、僕がこの恰好することに反対しなかったよね。どころか《ヴィーナス》の力を使って皆の意識を同調させてたよね。あの時のクラスのシンクロで取り押さえられたんぞ、僕は」
「え、あ……うん。ごめんね、わたしもちょっと、ゆーちゃんのメイド姿見たかったから……」
少し申し訳なさそうに、しかし同時に嬉しそうに、そんな絶妙な表情で照れながら言う姫乃。涙を流したくなる。
「このクラスに僕の味方はいないのか!」
そんな夕陽の悲痛の叫びも虚しく、このみと夕陽は宣伝へと向かうこととなった。
「本当にごめんね。その代わりと言ったらなんだけど、接客の方はわたしができるだけやるから」
と姫乃に送り出され、宣伝のために学校中を歩き回る夕陽とこのみ。汐は教室で自分が注文した品を頂いているところだ。
宣伝と言っても、『aurora』は人が多く来るわりには回転が遅い。意匠が目当てなのか、店に入ってもなかなか出て行かない客が多いのだ。なのでこれ以上客が来ても、そこまで利益にはならない。
なので正確に言うならこの宣伝は、連日働き通しであるメイド長(自称)であるこのみと、看板メイド(他称)の夕陽の僅かな休憩時間のようなものだ。女装したまま他の店を回る羽目になった夕陽にとっては災難なことだが。
「んー、じゃあまず、二年二組の教室に行こうか。佑さんとリュウ兄さんのクラス」
「なんで初っ端から知り合いがいるクラスに行かなくちゃならないんだ……」
いつもの夕陽なら真正面から突っぱねるところだが、今日に限っては完全に主導権をこのみに握られており、反抗できない。一年四組という後ろ盾を持つこのみに対し、夕陽は無力だった。
宣伝文句を大声で叫ぶように言いながら、ずんずんと進んでいくこのみ。その現実離れした容姿から、このみの存在は学年を超えてわりと知られていた。なのでこの場合、話題になるのはその傍にいる夕陽ことゆーちゃんだ。
いつもこのみの傍にいるのは夕陽、というのが一般的な見解だ。しかし今日は、文化祭とはいえ夕陽がいない。どころか別の知らない女子生徒を連れている。それだけで——はないが、夕陽は注目の的だった。通り行く生徒からは「可愛い」だとか「美人」だとか「綺麗」だとか、言われ、果ては「春永さんの隣にいるのって空城くんじゃかったっけ? 可愛いは正義の理論で春永さんに捨てられちゃった?」などと言われる始末だ。秒刻みで夕陽の精神がすり減っていく。
「もう嫌だ、早く帰りたい……」
確かに夕陽は女顔で、比較的華奢な体つきをしているものの、まさかこんな目に遭うとは思いもしなかった。高校に入って、このみの悪ノリも少しは大人しくなるかとも思ったが、完全に逆だったようだ。
「別にいいじゃん。というか、けっこー評判いいみたいだよ? 可愛いって言ってくれる人もいれば、美人だって言ってくれる人もいるし。まーでも、やっぱあれだね。あたしのメイク技術のたまものだね」
「うぅ、これは女装がばれていないことを喜ぶべきなのか、それとも女として評価されていることを悲しむべきなのか……」
などと言っているうちに、二年二組の教室まで辿り着いた。ここも一年四組に負けず劣らずの繁盛っぷりで、『aurora』よりも回転が速いように見える。
二年二組は露店のような屋台料理を振る舞う模擬店……だったはずなのだが、扉が外されて前回となった入口を抜けると、そこには広大な海——の写真が広がっていた。
「……海の家?」
「いらっしゃいませー! 奥のカウンターで商品を注文してから空いてるお席に座ってください」
元気溌剌な女子生徒の案内を受けて奥のカウンターまで来ると、見知った顔を二つ見つけた。
「お? 春永じゃねえか。なんかまた妙な格好してるな」
「うちの衣装なんですよ、これ。暇だったら後で一年四組カフェ『aurora』にどうぞ。リュウ兄さんもお願い」
「ナガレだ。とはいえ、俺は今日ほぼ一日中シフトだからな、暇はないかもしれない」
「…………」
その二人は、鉄板で焼きそばを焼いている流と、具材を運んで鉄板に放り込んでいる零佑の二人だった。
「二年二組って、お祭りの露店みたいなものって聞いてたんですけど、海の家になったの?」
「まあな。うちのクラスはなかなかまとまらなくて、焼きそばくらいしかできそうになかったんだが、リュウがその焼きそばのクオリティを上げてくれたお陰で、今や大繁盛だ。な、リュウ?」
「ナガレだ。俺はあの海の家でタダ働きをさせられていた時期があるからな、このくらいなら作れる。それと、店長が無駄に海産物を送って来たから、それを消化しなければならない。九月とはいえまだ残暑が続くからな、腐ったら処理に困る」
「あー、だから目玉がシーフード焼きそばなのかぁ……じゃあそれ二つ、お願いしまーす」
「了解だ」
焼きそばの知識などというものは持ち合わせていないが、しかし流のヘラを操る動きは明らかに玄人のそれだった。職人技、というと大袈裟だが、手慣れている感はある。
「リュウくーん、追加注文! シーフードをプラス二人前!」
二人が流の作業を眺めながら待っていると、クラスメイトらしき生徒がパタパタとやって来て、追加注文を流に伝える。
「ナガレだ。今すぐ作る、少し待て……ほら、お前たち分だ」
と言って、夕陽とこのみの分をプラスチック容器に盛って渡す。その後、流はすぐさま次の調理に入った。クラスメイトの挙動や流の受け答えから、転校生のわりにかなり早い段階からクラスに溶け込んでいるようだ。
「そういえば、今日はあいついないな、空城。いつもお前と一緒にいるのに。シフトか?」
「ん? いや、ここにいるよ?」
「おい、このみ……!」
今までばれないようにとずっと黙っていた夕陽だが、思いのほかあっさりばらされた。
だが零佑はよく分かっていないようで、
「? どこだ? 俺の視界には入っていないんだが……」
「だから、この子がゆーくん……じゃなかった、ゆーちゃんだよ」
そんなこのみの一言で、絶句する零佑。同時に、ヘラを操り損ねて落としてしまう流。
「……空城?」
「……言わないでください、僕だって好きでこんな格好してるわけじゃないんです」
「『昇天太陽』……」
「お願いだから、これ以上詮索しないで……」
そんな夕陽の懇願に、流も零佑もそれ以上は何も言わなかった。
それから夕陽の食べた焼きそばは確かに美味だった。好評なのも頷ける。しかし、ソースの味とは違う、少ししょっぱい味が口の中には広がっていた。
- Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.154 )
- 日時: 2013/10/05 23:02
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
どうも、こんばんは。タクです。
デッキ調査室も更新され、汐のデッキも確認できたところで、まず汐VS流戦ですが、最新のカードを多用したデッキで汐が勝利しましたね。やっぱり強い・・・・・・結果、切札の《ブリティッシュ》でダイレクトアタックを決めましたね。自分だったら、あの状況で巻き返すのは無理だと思います。
そして、次章に入りましたが、夕陽が悲惨なことになっていますね。女装させられた上に、メイド姿・・・・・・。そして姫乃が地味に、《ヴィーナス》の力を使ってますし。例の教祖のようにはならないと思いますが。
それでは、また。
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