二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Mythology
日時: 2015/08/16 04:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

 初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。

 本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。

 投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。

目次


一章『神話戦争』

一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33


二章『慈愛なき崇拝』

一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78


三章『裏に生まれる世界』

一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101


四章『summer vacation 〜夏休〜』

一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148


五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』

一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207


六章『旧・太陽神話』

一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292


七章『続・太陽神話』

一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404


八章『十二神話・召還』

一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424


九章『聖夜の賢愚クリスマス・ヘルメス

一話『祝祭の前夜ビフォア・イヴ
>>425
二話『双子の門番ツインズ・ゲートキーパー
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争パーティー・バトル
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲ノウレッジ・リベンジ
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447


第十章『月の下の約束です』

一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508


第十一章『新年』

一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573


十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』

一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610


十三章『友愛「親友だから——」』

一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637



コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』

一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482



デッキ調査室
№1『空城夕陽1』  >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137

人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.491 )
日時: 2014/03/07 12:45
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 十二月二十七日。
 少し遅い冬休みに入ったこの日も、夕陽は『御舟屋』へと向かっていた。ただし今日は、《アポロン》はいないが。
 このまま争っていてはいけない。汐はほぼ完全に夕陽のことを見限ったようだが、夕陽はまだ諦めていない。
 これが本当に夕陽の責任で、汐に軽蔑されているのだとすれば、夕陽だってとうの昔に諦めている。それは自分が悪いのだから、そこで出張ってもお門違いというものである。
 だがこれはそうではない。汐は気付いているのかどうか分からないが、夕陽と汐の言い分は噛み合わない、どこか齟齬がある。夕陽には、それが分かっていた。その齟齬をどうしようもなかったから、今の夕陽と汐の関係が構築されてしまったのだ。
 汐は夕陽の襲われたと言っている。そして、その理由を尋ねたい。しかし夕陽にはそんな覚えはない。動機もないし、ほぼ確立されたアリバイもある。何よりそんなことをしていないと証明できる、自分自身がいる。
 この間の誤解を解くことは非常に困難だろう。尋ねていると言っも、汐は今、夕陽の言うことをまともに聞いてはくれないだろう。かといって、昨日と同じ轍を踏んで、神話空間に引きずり込まれるのも解決策にはならない。
 結局のところ、夕陽は無策だった。なにも考えず、とにかく汐から話を聞こうと思っているだけだ。
 こちらの話は聞いてもらえなくとも。
 向こうの話は聞くことができる。
 そして、そこからなにか分かるかもしれない。
 そんな淡い希望を胸に、『御舟屋』の扉を押し開ける。
「よぅ、主人公」
 いつものポーカーフェイスとポーカーボイスで出迎えるのは、汐の兄、澪だった。
「澪さん……あの、御舟、いますか?」
 少し控えめに尋ねる夕日。汐が夕陽との諍いを澪に話しているとは思わないが、彼も鈍くはない。夕陽たちですら一目でわかった汐の激変した空気や態度に気付いていないはずがない。
 そしてその原因が、夕陽たちにあるだろうと推理することも、彼にならできるはずだ。日にちも経っている、考える時間は十分にあった。
 もしかしたら怒っているかもしれないと思いながら控えめになったのだが、実際のところ、それは杞憂だった。
「あいつは今いねえよ。明日の朝くらいに帰って来るんじゃねえか」
「明日の、朝……え? どこに行ったんですか?」
 言ってから気付いたが、これは簡単に尋ねていいものなのだろうか。今の汐の状況なども鑑みるて、日を跨いでの外出となれば、かなりの大事と推測できる。
 実際、澪も少し口を噤んだが、やがてゆっくりとその口を開いた。
「……まあ、お前になら話してもいいかもな。つーか、そのうち話すべきかもしれないとは思っていた。汐が自分から話すとは思えねえし、ま、これは俺の役目だろ」
 だがその前に、と澪は一つこのことを尋ねた。
 夕陽の予想していたことだ。
「聞きたいんだが、お前ら、汐となんかあったのか?」
 やはり気づいていた。だがこの台詞自体は、一昨日と変わらない。いや、台詞だけでなく、トーンも同じだ。
 だからと言って、夕陽の気が楽になるわけではないが。
「それは……」
「ま、言えないならそれでいいけどな。汐もそうだったし。だが、あんなにブチ切れた汐は初めて見たからよ」
 夕陽が口ごもると、澪は本心の読めない、変わらぬトーンで繋げた。
「あんなに辛そうなあいつも、な」
「……すみません」
「本当にお前が悪いのなら、土下座でもなんでもさせて、賠償金なり慰謝料なり請求したいところではあるがな」
 お前が悪いのならな、と澪は念を押すように言う。
「この話はもういい。お前たちがなにかしら噛んでいることは、はっきりした。後はお前らでなんとか解決してくれ」
 話を戻すが、と言って、澪は本題に入る。
「汐は今、実家——母親の家にいる」
「母親……?」
 普段あまり意識していないが、汐は兄、澪と二人暮らしだ。父親も母親もいない。
「話すと長くなる。なにせ、俺たちの家庭の事情をすべて曝け出すからな……覚悟して聞け」
 覚悟ができていなくても聞かせるつもりのようだが、澪はそんな前置きから始め、語り始める。
 自分たちが、どのような処遇であったかを。



 ——さて、ああは言ったもののどこから説明するべきか。
 そうだな……とりあえず、俺や汐が生まれた頃の話からするか。
 まず、俺たち兄妹は、祝福されて生まれた子供ではない。
 高校生にもなれば、この言葉の意味は理解できるよな?
 いわゆる、できちゃった婚、ってやつだな。俺たちの両親が結婚した切っ掛けは、母親が俺たちを——つーか俺を、身籠ったからだ。
 つっても両親は、その結婚を完全に望んでいなかったわけでもないようだがな。まあ、俺を孕むくらいだ、当然と言えば当然か。
 だが、お前も家庭科で習ったろ、子育てってのは面倒だし苦痛だし鬱陶しいし、手のかかる難しいことだ。
 それを懸念してか、俺の父親も母親も、子供を産むつもりはなかったらしい。ま、こうして生まれちまったがな。
 結婚は望んでいても、子供は望んでいなかったのが俺の両親だ。だが生まれたものは仕方ない。仕方なく、育てることにしたらしい。
 祝福されなかったにしろ、その心意気は立派だと思うぜ。俺を捨てず殺さず育児放棄もせずポストに突っ込むこともなかったんだ。そこだけは評価してやらんでもない。
 ま、評価するのは心意気だけだけどな。
 そんな仕方なくで子供が育てられると思うか? 俺も、子育てとは少し違うが、ちっさいガキの世話をしたことはあるから、多少なりとも分かる。
 まあそのガキっていうのは、お前の大親友のチビ助だけどな。
 あ? 初耳だって? そうか、あいつも言ってないのか。
 まあそれはどうでもいい。話が逸れたな。
 で、だ。俺の両親は仕方なく俺を育てようとしたらしいが、すぐに壁にぶち当たったんだ。
 俺を育てることに疲れた両親の間には、不和が生じていた。その頃の記憶は、はっきりはしていないが、あの二人の間にあった、ギスギスとした空気は今でも覚えてる。
 そんな状態は長くは続かなかった。二人は離婚し、俺は父親に引き取られた。
 だがそれも、近いうちに元に戻ったがな。
 いや、戻ったとは言えないな。
 これも変化だ。変わったんだ。
 俺が小学に上がるかどうかくらいの頃だ。
 両親は再婚した。これが最初の再婚だったな。
 初めは俺も、多少なりとも喜んださ、ガキの感性で。離れ離れになった母親が戻って来たんだからな。
 だが母親だけじゃなかった。
 それからまたしばらく経って、俺には妹ができた。
 言うまでもないな、汐だ。
 険悪になって離婚したと思ったら、すぐにこれだ。今にして思うと呆れるな。汐には悪いが。
 とまあこれでめでたしめでたしかというと、そうでもない。
 結局、あの二人はなんも変わっちゃいないんだ。仕方なく俺を生んで、仕方なく育てて、仕方なく別れた。
 それは俺だけじゃなく、汐に対しても同じだった。
 汐を生んだのも、あの二人にとっちゃ、不幸な偶然だったんだろう。
 酷い生活だった。
 機嫌の悪い父親は当たるし、母親も飯をくれない時があった。毎日そうだったってわけじゃないが、そのせいで逆に公にならなかったと思えば、タチが悪い。
 ま、意図してたとは思わないけどな。擁護する気はないが、あの二人の切羽詰って、いっぱいいっぱいだったんだろうぜ。
 それに、害しながらではあっても、育てていたのは紛れもない事実だしな。
 だがそこに愛は存在しない。あの二人が育てていたのは、あくまで仕方なくだ。
 そんな家庭だったもんだから、俺もこんな風に捻くれちまったしな。親の顔色を窺って、表情一つにも気を配ったもんだ。
 そして汐も、すぐに自分の親が信用ならないことは気付いたのか、俺の真似をし出す始末だ。ま、あいつはポーカーフェイスじゃなく、ただ無表情なだけだが。
 それに、俺の真似だけじゃなく、親からの冷たい対応も、あいつの表情がなくなる一因だったんだろうな。お前らも知ってるだろうが、あいつは顔に出ないだけで、わりと感情豊かだからな。
 今の汐の人格は、表も裏も、昔の生活に起因するものだと、俺は思っている。
 その後も離婚と再婚を続けた両親を見限って、俺は高校に入学する時、半ば家出するようにこっちの町に来たんだ。
 その時に世話になったのが木葉だ。チビ助との交流も、その時だな。
 意外そうな顔すんなよ。俺とあいつの関係は、お前とチビ助みたいなもんだ。まあ、お前らは幼馴染で、木葉は俺の恩人だけどな。
 流石に高校生のバイト程度じゃあ、稼げる額はたかが知れてるしな。一時期あの喫茶店、一人だけ男をバイトに入れていたことがあるが、それは俺だったりするんだ。興味があれば木葉に聞いてみろ。
 ああ、あと海の家の店長、覚えてるか? あいつにも世話になったな。
 夏季休暇はあいつの実家——海の家だが——で、バイトしてたな。
 また話が逸れたな。俺のことなんてどうでもいいな、この際。
 なに、気になる? だったら本人たちに直接聞け。とにかく俺は、高校三年間は両親に縛られることなく、生活は苦しかったが、それなりに楽しく生活できた。勿論、大学は行ってない。そんな金ないからな。
 小学校の頃にやってたデュエマ復帰したのも、ちょうどこの頃だ。
 さて、なんだか俺の話ばかりになってきたが、汐の話に戻すぞ。
 あいつも中学に上がる時、俺に影響されてか、両親が嫌になったのかは知らないが、家を出て一人暮らしを始めたみたいだ。
 その時に通ってたのが、いわゆるデュエリストの養成学校なんだが……俺も詳しくは知らない。あいつからはほとんど話さねえし、そもそもあいつ自体、そのことを話せるのかが疑問だ。
 どういう意味かって? 俺だって知るか。なんにせよ、あいつの中学一年生の一年間は、俺たちの知る由もない、謎の一年間だったってわけだ。
 ちなみに、あいつが中学に上がる時にも両親は離婚してな。中学一年の時は御舟姓じゃなかった。母親の姓は月夜野っていうんだ。
 そんで中学二年、俺が汐を引き取り、この町に来て、ちょうどお前らに出会った頃が、今の御舟汐だ——いや、もう今じゃないのか。
 なんだかんだで長くなったが、俺たちの両親、また離婚したんだ。
 そんで汐が母親に引き取られ、苗字も変わるんだろうな。
 今はその手続き関係と、母親が汐の顔が見たいとか抜かすんだ。
 汐そこまで悪いように思っていないみたいだが、はっきり言って、俺は俺の親が嫌いだ。
 俺と汐はあの二人に散々振り回されてきた。人生を壊されたとまでは言わないが、その基盤に亀裂を入れたことは間違いない。
 あの二人が離婚と再婚を繰り返すせいで、地元では俺は嫌われ者だったしな。汐はまだマシだったが……俺譲りの無表情と、加減を知らないデュエマで、自然と向こうから離れて行ったな。
 俺が汐を引き取ったのは、そういう理由だ。ま、俺も親にはほとんど見放されてるから、汐を引き取れば、まだ汐には甘い親から生活費が貰えるだろうっていう魂胆もあったがな。
 ……と、まあ、そういうことだ。
 これですべて語り尽くした。俺とあいつはそんな歪みの中で育ってきたんだ。
 だからせめて、お前らだけは、あいつの支えになってほしいと思ってる。
 俺に手が出せる範囲も限られてるしな。あいつにとって空白の中学一年も大事なものだろうが、お前らとの一年、そしてもうすぐ二年。
 その時間も、あいつにとっては大切なものだと思ってる。
 まあ、無理強いはしない。こんな話をした後にいうのもなんだが、そんなに気を張らなくてもいい。
 同情するなと言っても、お前の性格じゃ無理だろうな。だが、同情しても、あいつへの接し方は変えないでほしい。あいつだってそんなことは望んでないはずだ。
 ただお前には、知ってほしかっただけだからな。
 俺たちの抱える、闇を——

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.492 )
日時: 2014/03/06 21:50
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 『御舟屋』からの帰った後、自室でなにをするでもなく、夕陽はただただ、ベッドの上で寝転んでいた。
 思い出すのは、澪の語った、澪と汐の過去。
「……重すぎるって、いくらなんでも……」
 兄妹で二人暮らしと知ってから、なにかはあるのだろうと思ってはいた。夕陽も両親との確執だったり、親の離婚だったり、もしくは死別だったりと、色々予想したものだが、その予想は概ね当たっていた。ただし、大きく斜め上を行っていたが。
「澪さんは知っておいてくれればいいとは言ってたけど……これは、流石に……」
 今までと同じように汐を見ることはできない。あんな話を聞かされては、今までと同じ汐を見ることはできない。夕陽はそんなに器用ではないのだ。
「それに……」
 あの話は、汐の中学以前の過去だ。今回の件とはなんら関係がない。
 さらに澪自身も言っていたが、汐にはまだ謎が残っているのだ。
「中学一年生の一年間……それが今回の件に噛んでるとは思わないけど……」
 やはり気になるところではある。本人が言いたくないというのであれば話は別だが、それも彼女の抱える闇の一つなのだとすれば
「いや、そうでもないか……? なんか、中学の頃は楽しかった、みたいなこと言ってたし……」
 同時に、凄い先輩がいた、とも言っていた。
 その時の先輩のニュアンスが、夕陽たちに対するものと少々違っていたような気もするが、それはそれで、今の先輩として気になるところではある。
「今日だけで色んなことが分かったけど、なんだかんだ言って知らないことはまだ多い……肝心な部分は、全然見えてこないな……」
 やはりそこは、汐本人にしか分からないところだろう。
「さて、どうしたものか——」
「お兄ちゃん」
 突然、部屋の扉が開かれ、何者かが侵入してくる。
 ただ単に、妹が入って来ただけだが。
「……勝手に入るなというかノックぐらいしろよ。なんだよ」
「お客さん。お兄ちゃん、いつの間にあんな可愛い子と仲良くなったの? しかも二人も」
「……? 二人……ああ」
 ピンと来た。どうやら、あの二人が来たようだ。
「思ったより早かったな、もうできたのか……うん、今行く」
 部屋を出て、階段を降り、玄関に向かう。扉を開けると、そこにはほとんど同じ顔の、二人の少女。
 ささみとうさみだった。
「あ、あのっ、その、かいちょーさんから、です……」
「例の物よ、受け取りなさい」
 二人は一つの小箱を、夕陽に手渡す。夕陽はまず、その中身にパッと目を通した。
「……うん、まあ、これなら僕でも使えるかな……ありがとう」
「別に構わないけど、ここまでしたんだから、戦いに行って負けました、って言うのは勘弁ね」
「が、頑張って、ください……応援してます……」
 と言うと、二人はさっさと帰ってしまった。用事はこれだけだったようだ。あの二人も忙しいようなので、夕陽に構っている暇はないのだろう。
「それはそれとして……確か澪さんは、今夜に帰って来るって言ってたかな……」
 家に入り、時計に目を向ける。今の時刻は六時前、外は暗いが、まだ夕方と言っても通じる時間帯だ。
「……早い方が、いいよね」
 そして夕陽は、再び自室へと戻っていく。



 二月二十七日と二十八日の狭間の夜。
 東鷲宮中学校のグランドにて、二つの人影が、闇に溶け込もうとしていた。
「実家から帰ってすぐ、こんな時間、しかもこんな場所に呼び出すとは、たった一日見ない間に、先輩も随分と非常識になられたようですね」
 グランドの中央まで歩を進め、立ち止まると、汐は目の前の少年——自分の先輩である彼に、言葉をかける。
 その言葉はやはり、どこか刺々しく、敵意剥き出しであったが、夕陽はもう、その程度では怯んだりしない。
「非常識な世界で戦ってるもんでね、大目に見てくれ」
 このような軽口で返す程度には、汐の辛辣な言葉にも慣れた。
 いや、慣れではなく、純然たる気持ちの、決意の違いかもしれないが。
「……まあ、それはそれとして、です」
 夕陽の返しが意外だったのか、汐はそこからさらに切り返すことなく、夕陽をジトッとした眼で見遣る。
 正確には彼の衣装——制服を、だ。
「なんなんです、それは」
「これ? 見ての通り、制服だよ。君も毎日のように見てるだろう?」
「それはそうですが……その服は、もう先輩が着るべきものではないですよ」
 夕陽が纏っているのは制服——ただし、雀宮の黒いブレザーではなく、東鷲宮の詰襟だった。
「まだ着れるかちょっと心配だったけど、普通に大丈夫だったよ。中三で背が伸びた時に買い替えて正解だった。約一年振り、久々の母校だし、やっぱその時の制服で来たいよね」
「……女子じゃないんですから」
 呆れたように呟く汐。その様子を見て、夕陽は内心ほっとする。
 今までは汐の辛辣な言葉とその雰囲気に気圧され、汐のペースで話が進んでいたが、今はそうではない。無理して中学の制服を引っ張ってきてきた甲斐があった。
「ま、それはどうでもいいんだけど……来てくれたんだね。君が言ったようにこんな時間と場所だし、もう会ってくれないかもしれない、とも思ってたけど」
「……こう見えても移動の疲れが残っているのですよ。用があるなら、手短にしてください」
 一瞬、汐からなにかを感じたような気がした。今まで闇夜のように閉ざされていたその表層に、小さくも淡い光が漏れだしたような、そんな感覚。
 淡い期待であったが、汐はまだ、夕陽を完全に見限ってはいない。少なくとも、こうして呼び出して、話ができる程度には。
 先に見える光が少しだけ明るくなったところで、夕陽も気を引き締める。
「単刀直入に言うとね、アポロンを返して欲しいんだ」
「……それだけですか」
「いや、君にも戻ってきて欲しい。だけどこれだっばかりは、僕もどうしたらいいか分からないんだ」
 『神話カード』を取り返すだけなら、“ゲーム”のルールに則ればいいだけ。しかし、汐の求める答えというものは、夕陽にはとうとう分からなかった。
「君は僕に襲われたと言うけど、僕はそんなことをした覚えはない」
「だったらあの人は誰なのですか。先輩の姿で、先輩の声で、先輩の口調で、先輩のデッキで、先輩の戦い方で——私を打ちのめしていたではないですか」
 非難するような汐の言葉に、夕陽は首を縦にも横にも振れない。
 汐の証言そのものを否定するつもりは、夕陽にはない。だがそれでも、汐を襲った人物が夕陽ではないと主張する。ならばその人物は誰なんだと問われても、それを夕陽が答えることはできない。そして答えを導き出せない夕陽に疑念と不満を募らせた汐は、その答えを夕陽にする。しかし夕陽はまたそれを否定。
 つまり夕陽と汐の諍いは、いたちごっこなのだ。お互いに同じことしか言わないのなら、解決するはずがない。
 とはいえ夕陽には、自身の主張を変える言葉を持ち合わせていない。汐が襲われた相手が見間違いだとは、どうしたって言えない。かといって自分が汐を襲ったかと言われても、首を縦に振るわけにはいかない。
 夕陽の言葉では、その堂々巡りを断ち切ることはできない。
 ならば、言葉以外で、断ち切るしかない。
「……そうだね。君がそう言うのなら、君の中ではそうなんだろう。でも僕の中では違う。だから、はっきりさせようか」
「なにをですか」
「君の中の僕と、僕の中の僕、どちらが正しいのかを、だ」
 夕陽が取り出すのは、一つのデッキ。
 口で言って分からないのなら、やはりこれしかない。このデュエルの結果でどうこう言うつもりはないが、この対戦そのもので、夕陽は自分自身というものが出せると思っている。
 デッキこそ変わっているが、空城夕陽という少年の根本は変わっていない。このデュエルを通すことで、汐の中にある夕陽と、夕陽の中にあり自分と、その齟齬に、汐が気づいてくれると信じる。
「……やはりそうなるのですか。分かったです。では——」
 そう言って汐はデッキを取り出し——さらに、《アポロン》のカードも取り出した。
 そしてデッキからカードを一枚抜くと、その《アポロン》をデッキの中に入れようとする。
「ちょ、ちょっと! なにしてんのよ!」
 突如アルテミスが飛び出し、慌てて汐を止めようとするが、彼女は止まらない。そのままデッキに《アポロン》を入れてしまった。
「お兄様は火文明でファイアー・バードよ! 闇文明ばっかでアウトレイジやらオラクルやらデスパペットやらしかいないあなたのデッキで出せるわけないでしょう!?」
「そんなことは分かっているです。だからこれは、先輩へのハンデです。使いようのないカードを一枚だけ入れてあげるですよ」
 はっきりとそうのたまう汐。夕陽も、舐められたものだ、内心で嘆息する。
 だが汐も、ただハンデを与えるだけの意味で、《アポロン》を入れたわけではなかった。
「それに、私に勝てば先輩は《アポロン》を手に入れられる。目標を達する手法を明確にした方が先輩は本気を出すでしょう。手を抜いた手温い先輩など相手にしても無意味です。全力で来てください」
「言われなくても、そのつもりだ」
 夕陽だって手を抜くつもりは毛頭ない。《アポロン》関係なしで、全力でぶつかるつもりだ。
「……まあいいわ。どの道、勝てば関係ない。頼むから、そのハンデが仇となって負けるのだけは、勘弁ね」
 そしてアルテミスも、不承不承といった風ではあったが、汐のハンデを許諾した。アポロンを失う可能性のある彼女としては許しがたいことのようだが、汐の実力を認めている、さらに言えば汐が夕陽より強いという確信があるのだろう。もしくは、夕陽の実力を低く見られているか。
「じゃあ、始めよう。御舟」
「……いえ」
 汐は首を横に振った。
 まさかこの期に及んで戦わないつもりか、などと思ったが、そうではない。汐が否定したのは戦うことではなく、自身の名であった。
「私はもう、御舟汐ではないです」
 御舟汐ではない、という言葉を聞き、夕陽も思い出す。
(そう言えば、澪さんは苗字が変わるって言ってたな……)
 手続き上はどうか知らないが、少なくとも汐の中では、彼女の姓はもう御舟ではない。
「今の私は——」
 汐は、自分は今までの自分ではないと主張するように、夕陽たちの知る自分ではないと突き放すように、そしてどこか寂しそうに、その名を告げる。
 彼女の、もう一つの名を。

「——月夜野汐、です」

 彼女の名が、闇夜に溶けていく。
 同時に、空城夕陽と月夜野汐は、神話空間へと溶け込んでいった——

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.493 )
日時: 2014/03/07 00:11
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 夕陽と汐のデュエル。
 互いにまだシールドは五枚あり、大きな動きもない。
 夕陽の場にはなにもなし。序盤から《フェアリー・ライフ》や《霞み妖精ジャスミン》でマナを加速させている。
 汐の場には《不退転の遺志 エルムストリート》が一体。《ボーンおどり・チャージャー》で墓地とマナも増やしており、着々と準備を進めていた。
 だがここで、夕陽も動き出す。
「行くぞ、僕ターン! 《無敵ドン・カツドン》を召喚!」


無(アウト)敵(ロー) ドン・カツドン 火/自然文明 (5)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 2000+
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、またはこのクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置いてもよい。
パワーアタッカー+3000
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《無敵》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《無敵》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


「アウトレイジ、それもエグザイル・クリーチャー……先輩がアウトレイジを使うだなんて、珍しいですね」
「僕の作ったデッキじゃないからね、これ。でも、僕でも使えるようにチューンされてるらしいよ。とりあえず《ドン・カツドン》の効果でさらにマナを加速して、ターン終了」
 とにかくマナを増やしまくる夕陽。フィニッシャーと思しき大型クリーチャーが何体かマナに落ちてしまっているが、気にせず加速を続ける。
「……先輩がなにを企んでいるのか、概ね予想はできるのですよ。アウトレイジ、そしてエグザイルの扱いにおいては、私の方が上です」
 対抗心を燃やしている、というわけではなさそうだが、どこか夕陽を軽んじたような台詞。だが彼女の言うことは正しく、夕陽は今までアウトレイジやエグザイルなど、使用したことは皆無と言ってもいいほどだ。
 逆に彼女には、欠けた記憶の中に、その経験がある。
「私のターンです。呪文《邪魂創生》で《エルムストリート》を破壊し、三枚ドロー。さらに《エルムストリート》のシールド・ゴー発動です」
 《エルムストリート》がシールドになる。と同時に、夕陽の手札が弾かれ、墓地へ落とされた。
「っ、これは……」
「《エルムストリート》が表向きでシールドになった時、相手の手札を一枚捨てさせるのです。さらに2マナで《ブラッドレイン》を召喚。ターン終了です」
 ターンを終える汐。《邪魂創生》で手札を補充、《エルムストリート》で夕陽の手札をゼロにし、ハンドアドバンテージを広げる。
「流石……でも、こっちだって負けてられないよ。僕のターン! 呪文《伝説の秘法 超動》!」


伝説の秘法(レイジクリスタル) 超動 水/火文明 (4)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
S・トリガー
次のうちいずれかひとつを選ぶ。
▼カードを2枚引く。
▼相手のパワー3000以下のクリーチャーを1体破壊する。


 手札補充と火力、二つの能力を選択できる、汎用性の高い呪文。レイジクリスタルの輝きが、夕陽に知識をもたらす。
「ここは二枚ドローだ! さらに呪文《セブンス・タワー》! 僕のマナは8マナ、メタモーフで3マナ追加だ!」
 ここに来てマナ加速をやめない夕陽。しかし攻撃はせず、ターンを終える。
「……《豚魔槍 ブータン》《神豚 ブータンPOP》を召喚し、ターン終了です」
「来たか……!」
 遂に出て来てしまった、汐の二体のエグザイル・クリーチャー。今の汐に手札はないので、どちらを破壊してもドロン・ゴーざれる心配はないが、
(こっちの手札も一枚、除去カードはない……さて、どうするか)
 使い慣れないカードだからか、どうも引きが悪いようにも感じてしまう。事実、このデッキのキーカードが手札に来ない。
「とりあえず……《聖域の戦虎 ベルセルク》を召喚!」


聖域の戦虎(サンクチュアリ・オーディン) ベルセルク 自然文明 (9)
クリーチャー:アウトレイジMAX 12000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、好きな枚数のカードを自分の墓地からマナゾーンに置く。
T・ブレイカー


「僕の墓地のカードをすべてマナゾーンへ!」
 やはり加速を続ける夕陽。墓地のカードをすべてマナゾーンに置き、かなりのマナが溜まっている。
「マナばかり増やしても、意味はないですよ。私のターン、《冥界王 ブルースDEAD》を召喚」


冥界王(メガデス・サイズ)ブルース DEAD(デッド) 闇文明 (7)
クリーチャー:アウトレイジMAX 7000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から5枚を墓地に置いてもよい。その後、好きな数のエグザイル・クリーチャーを、自分の墓地から手札に戻す。
W・ブレイカー


「山札の上から五枚を墓地へ。そして墓地から《地獄魔槍 ブリティッシュ》《神豚槍 ブリティッシュROCK》を回収です」
「くっ、両方のドロン・ゴー先を……!」
 これでは迂闊に破壊することができない。かといって放っておくのもまずい。
「さらに《ブータンPOP》でシールドをブレイク」
 同時に能力が発動し、墓地を二枚、手札を一枚増やす汐。彼女の、夕陽を処す準備はかなり進んでいるようだった。
「このターンでなんとかしないと……!」
 このままではまずい。なんとかして、流れを変えなければならない。
 そんな一心でカードを引く夕陽。そして、
「来た……! 呪文《ヒラメキ・プログラム》だ! 《ドン・カツドン》を破壊!」
 《ヒラメキ・プログラム》で破壊するのは《ドン・カツドン》。《ドン・カツドン》のコストは5なので、コスト6のクリーチャーが出るまで山札が捲られる。
「さあ出て来い《シンカイ・サーチャー》! 《シンカイ・サーチャー》がバトルゾーンに出た時、山札から好きなカードを手札に加えられる!」
 クリーチャーでも呪文でもクロスギアでも城でも、どんなカードでも持って来れる《シンカイ・サーチャー》。ただしそのコストは6と重め。だがその重いコストも、使い様によっては役立つのだ。
 たとえば《ヒラメキ・プログラム》で5コストのクリーチャーを破壊すれば、たった3マナで好きなカードを呼べるクリーチャーとなる。さらにその破壊したクリーチャーが破壊された時の能力を持っていれば、その能力を発動できる。さらにさらに、その破壊された時の能力が——ドロン・ゴーだったなら。
 手札にドロン・ゴー先のエグザイルを呼び込みつつ、ドロン・ゴーに繋げられる。
「《ドン・カツドン》が破壊されたので、ドロン・ゴー発動! 《シンカイ・サーチャー》で手に入れたこいつをバトルゾーンに!」
 破壊された《ドン・カツドン》の魂は、レイジクリスタルの輝きを受け、新たな姿へと転生する。

「ドロン・ゴー! 《無敵剣 カツキングMAX》!」


無(アウト)敵(ロー)剣(カリバー) カツキングMAX 火/自然文明 (8)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 8000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のパワー8000以下のクリーチャーを1体破壊する。
自分のターン中、クリーチャーを1体、自分のマナゾーンから召喚してもよい。
W・ブレイカー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《無》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《無敵》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


 《ドン・カツドン》がドロン・ゴーした姿は、レイジクリスタルの力を得て、巨大な剣を携えたエグザイル。その名も《無敵剣 カツキングMAX》だった。
「《カツキングMAX》がバトルゾーンに出たことで、能力発動! パワー8000以下の《ブルースDEAD》を破壊!」
 《カツキングMAX》は大剣を振るい、火炎の衝撃波を飛ばす。その衝撃波を受けた《ブルースDEAD》は、あえなく破壊されてしまった。
「さらに! 《カツキングMAX》の能力で、1ターンに一度だけ、マナゾーンからクリーチャーを召喚できる! 《ガンリキ・インディゴ・カイザー》をバトルゾーンに!」
 汐からの反撃も防ぎつつ、確実に場数を増やしていく夕陽。この流れを保持できれば、このまま押し切ってしまえるかもしれない。
 そんな風に考えたが、やはりその考えは甘かった。
 彼女自身が言う通り、アウトレイジ、そしてエグザイルをよく知るのは、汐なのだ。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.494 )
日時: 2014/03/07 05:17
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

どうも、病んでいるからか、心なしか(いや結構酷いですが)小説の展開が重くなっているタクです。
さて、短編の感想ですが、結果このように繋がっていった訳ですね。現在と。
そして、彼女の姓が変わっていた理由は、本編で明らかになった訳ですが。

さて、今回汐の記憶が抜けている理由がようやく明らかになった訳ですが、やはりいつかは、何のクリーチャーにやられたのか、という描写もするんですか? 

まあ、自分はこちらに投稿されてきたオリキャラだからといって、竜神王にやられたからだの教団の残党にやられたからだの、色々勝手に想像しています。というか、彼女が鎧竜から離れた要因も、やはりそのクリーチャーにやられたことが絡んでいるんですかね?

後、誤字の報告です。
>>491
から、日付の表記が多分、十二月のところを二月と書いています。作中でいきなり時間がたったのかと思い、さすがにコレはまずいと思ったので報告させていただきました。差し出がましい真似をしてすみません。

というわけで、続きを楽しみにしています。それでは、また。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.495 )
日時: 2014/03/07 20:12
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 モノクロも軽く鬱状態の時に夕陽vs汐(一戦目)を書いた結果が、汐さんの《アポロン》の解体拷問処刑劇場ですからね。物書きというものは、やはりその時のメンタルや体調が作品に影響するのではないでしょうか。
 どっかでも言った気がしますが、十章のテーマは「先輩と後輩」です。先輩は汐から見た夕陽のことですが、夕陽にとっても、汐は初めての後輩なので、そういう意味ではかなり大切な関係です……はい? このみ? 知りませんね。
 汐の家庭事情は無駄に重くしてしまった気がしますが、姓を変える理由が他に思いつかなかったので……ついでに兄と二人暮らしという理由も。お陰で苗字の改変について憲法だか民法だか難しい文面を眺める羽目に陥りました。

 いや、汐がクリーチャーにやられたシーン自体を書くつもりも予定もないです。というより、その戦いで記憶を失ったというだけで、作中では負けたと断定しているわけではないんですよね。アルテミスは敗北の可能性も述べていましたが。
 というか、誰にやられたかについては特に決めていないんですよね。描写するつもりもなかったんで。
 そちらの作品のことを考えると、教団の残党が一番ありそうですかね。もしくは、不幸にも【師団】あたりが放ったクリーチャーの一匹に襲われたか、ですか。後者だと汐はその時点で“ゲーム”と関わりを持ったことになってしまうのですが……ま、小さな事なら【ラボ】でも見落としもあるでしょう。
 作中でもまどろっこしく述べていますが、彼女が鎧竜から離れたのは家庭の問題ですね。元々家族(というか離婚して汐を引き取った母親)の反対を押し切って入学しているので、再婚して父親と二人がかりで引き戻されては、流石に抵抗しきれなかったものと思われます。ただそんな強引な両親を見かねた澪が、汐を引き取ったと。
 こうして見ると、澪って意外と妹思いですね。自分で書いててなんですが。
 裏設定というか裏話だと、汐も鎧竜から離される時は、かなり抵抗しています。まあしかし、まだ中学生ですし、両親二人には敵わなかったようですが。

 まとめると、
 中学一年、鎧竜在籍
 中学一年後半(三学期?)、両親再婚、汐が実家に戻されそうになる。
 〃、澪が汐を引き取ることに決まる。
 中学一年、二年の間(春休み?)、澪の元へ向かう道中クリーチャーの襲撃? 中学一年の頃の記憶を失う。
 中学二年の春(新学期)、夕陽とこのみに出会う。
 みたいになりますかね。

 十章はかなりくどい言い回しと、はっきりしない曖昧な言い方、そして開示する点は本作品の部分だけに(0・メモリーのネタバレをできる限り排除)しているので、内容を理解するのは相当難しいと思います。モノクロ自身も、なに言ってんだこいつ? と思うことがしばしばです。なので不明瞭な点や、誤解してしまう点、見逃す点が多々あるかと思います。
 そういう時は作者にでもお尋ねください。というか、作中でそれをちゃんと説明できていないモノクロに問題があるのですが……

 誤字の報告もありがとうございます。
 一応、投稿前に軽く確認はしているのですが、後からちゃんと読み返すと結構誤字脱字があったりしますが、仰る通り流石に日付はやばいですね。後で修正しておきます。
 言い訳するのなら、日付は文頭に来ているので、一度書いた文章をコピーした時に、文頭の一文字だけコピーし損ねていた(文章をチェックする都合上、下からコピーするので)という可能性が高そうです。漢数字ですから見逃しやすかったんですね、きっと。
 ……まあ、だからなんだと言いますか、こんな言い訳する暇があったらさっさと修正しろという感じですが。すいません、これを投稿する前に修正します。


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