二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Mythology
日時: 2015/08/16 04:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

 初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。

 本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。

 投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。

目次


一章『神話戦争』

一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33


二章『慈愛なき崇拝』

一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78


三章『裏に生まれる世界』

一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101


四章『summer vacation 〜夏休〜』

一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148


五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』

一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207


六章『旧・太陽神話』

一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292


七章『続・太陽神話』

一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404


八章『十二神話・召還』

一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424


九章『聖夜の賢愚クリスマス・ヘルメス

一話『祝祭の前夜ビフォア・イヴ
>>425
二話『双子の門番ツインズ・ゲートキーパー
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争パーティー・バトル
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲ノウレッジ・リベンジ
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447


第十章『月の下の約束です』

一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508


第十一章『新年』

一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573


十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』

一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610


十三章『友愛「親友だから——」』

一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637



コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』

一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482



デッキ調査室
№1『空城夕陽1』  >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137

人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.316 )
日時: 2014/01/03 01:16
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 夕陽、このみ、汐、姫乃の四人は、近くの公園で集まっていた。その理由は、単純明快。【師団】が宣戦布告を仕掛けてきたからだ。その情報を、夕陽はみんなに伝えていた。
「……なるほど、です」
 やはりというかなんというか、真っ先に反応を示したのは汐だ。こういう時、彼女の冷静さは頼もしい。
「前々からその兆候はあったようですが、遂に相手方が攻めて来たということですね」
 兆候と言うのは、最近頻発していたクリーチャーの実体化のことだろう。黒村が言っていたが、【師団】は戦場へと向かう前に、クリーチャーをばら撒くことが多いらしい。理由は情報収集や戦力の低下を測ってのことだと予測されているが、実際のところはよく分かっていないらしい。
「それで、相手の目的っていうのが『神話カード』なら……真っ先に狙われるのは、わたしたち?」
「そう考えるのが普通でしょう。しかし、先輩の話を聞く限りにおいて、相手の一番の目的はひまり先輩のようです」
 朝比奈ひまり、『太陽一閃サンシャイン』。彼女の持つ《アポロン》が、【師団】の最大の目的。はっきりとは言わなかったが、ニャルラトホテプの言葉を信じるのであればそういうことだろう。
「でも、まりりんせんぱい、全然連絡つかないよ? メールの返信はないし、電話もつながんない……」
「そこが問題ですね」
 夕陽は一度このみを介し、できるだけ多くの人間にこの情報を伝えた。流は勿論、クロ、零佑、仄にも連絡は行き届いているはずだ。
 だが、ひまりだけはその連絡が届いていても、返事が来ない。一度、直接自宅を訪ねたが、外出していていなかった。しかも外出先は不明。
 音信不通で行先が分からない。軽く行方不明状態だ。
「恐らく今回の件で最も重要な立ち位置にいるのがひまり先輩です。しかしそのひまり先輩の所在が知れず、連絡もつかないとなると……少々厄介なことになったかもしれないですよ」
 この場にいる全員は、一度ひまりに助けられている身だ。しかし間近でひまりのデュエルを見ているがゆえに、彼女の危うさも知っている。
 特に夕陽は、ひまりから直接、彼女の弱さを聞いているのだ。
「やっぱり、連絡がつかないのは不安だよね。どこ行っちゃったんだろう、ひまり先輩……」
「せめて返信のひとつでもしてくれればなぁ……」
「です……」
 沈む三人。心配ないようでいて、彼女は非常に危なっかしい。不安で心配する気持ちはよく分かる。
 だから、夕陽は思った。
「なら、僕たちで探そう」
「え? ゆーくん?」
 そして、その思ったことを、そのまま口にする。
「無意味なことかもしれないけど、先輩がいないなら探すんだ。【師団】も《アポロン》を狙っているのなら、先輩を探しているはず。とにかくあいつらより先に先輩を見つけ出すんだ。後のことはそれから考えよう」
 戦争などと言われても、夕陽にはピンとこない。こちらが『神話カード』を奪われたら敗北となるのは分かるが、勝利条件は不透明だ。
 ならばそのことについては後回し。とりあえず、仲間を集める。一人一人ではまだ非力な夕陽たちだが、仲間が揃えばそれなりの力にはなり、なにかいい案も出て来るかもしれない。
 なにより、ひまりを【師団】より先に見つけることは、相手の目標であるひまりを守ることにも繋がるのだ。ならば、そうしない手はないだろう。
「……そうですね。このままここでジッとしていてもなにも始まりません。さっき展開された神話空間の影響で、一般人もいないことですし、探すのは比較的容易なはずです」
「ひまり先輩も、一人じゃ寂しいだろうし……わたしたちで見つけないとね。せめてもの恩返しだよ」
「よーし、じゃあまりりんせんぱいがいそうなところを、片っ端からしらみつぶしに探そう! ゆーくん!」
「お前に言われるまでもないって言うか、提案したのは僕だっての。まあ、とにかく」
 行くか。という夕陽の声と共に、四人は公園から飛び出たのだった。
 ひまりを探すために。



 このみから連絡を受けた零佑は、指定された公園に向かっていた。だが、
「お前らにとっては近いかもしれねえがな、俺の家からあの公園は遠いんだよ……!」
 都合の悪いことに自転車は故障中で、走って向かうしかない。神話空間が展開したせいでバスなどの公共機関も使えず、なかなかハードなことになっていた。
 と、その時だ。
「零佑!」
「おおっ、リュウ! お前も春永からメールもらったのか?」
「ナガレだ。そう言うってことは、やはりお前もか。どうやら、かなりの大事になっているらしい」
 名前を訂正しつつ、零佑と並走する流。ちなみに彼は自転車を持っていない。
「なんかあいつのメールはよく分からないんだが、どういうことなんだ?」
「お前はなにも知らないんだな……【師団】についてはどこまで知っている?」
「正直、ほとんど知らん。なんか前に俺が戦った子供が、その組織の奴だってのは知ってるんだが」
 そもそも【師団】は情報が筒抜けにならないよう気を配っているところもあるので、流も詳しくは知らないのだが、それ以上に零佑は知らなかった。そもそも【師団】という組織と直接的な干渉がないので仕方ないのだが。
「俺も春永このみのメールは、公園に来いということしか分からなかったが、【師団】という名前を見ただけでピンときた。奴らは戦争を仕掛けて来ている」
「戦争!?」
 その過激なワードに思わず叫ぶ零佑だが、流は少し言葉を修正する。
「戦争と言っても、重火器や戦闘機を飛ばすものではない。どちらかと言えば、大昔の日本の戦争に近い形式だ。戦場となる一定範囲の地域に選出された兵士を放ち、ターゲットを発見次第戦いを挑み、目的を完遂する形になる」
「あー……よく分からんが、一騎討ちってことか?」
「少し違うが……そんな感じだ。稀に大量の雑兵を送り込み、相手が疲弊したところを仕留める場合もあるようだが、住宅街の多い町でその手法は憚られたか」
「なんかそう聞くと、その【師団】ってのは意外と常識があるんだな」
 【師団】に常識があるというよりは、“ゲーム”における暗黙の了解だろう。“ゲーム”に無関係な一般人を巻き込むのは寝覚めが悪い上、事後処理も面倒だから、“ゲーム”参加者は一般人を極力巻き込まないようにしている。
「よく知ってんなあ、お前。どこそんなことを?」
「昔、知り合った情報屋からきいたことだ。だが、今回の件に関してはまだ情報が足りない……御舟汐か、空城夕陽に詳細を聞く必要がありそうだ」
 と、その時。
 先に見える十字路の右側、ブロック塀の奥に、なにかがいる。巨大な、化け物のような、なにかが。
 そのなにかはどんどん正面に進んで行き、十字路の真ん中で道を塞いでしまった。
「お、おいリュウ。こいつは……」
「ナガレだ。ああ、クリーチャーだな。《戦攻のイザナイ アカダシ》」
 アースイーターのイザナイだ。【師団】の戦争は雑兵を撒かないと言ったばかりだが、まったくいないわけではないようだ。
「となると、通常の兵士もある程度散らばっていると考えるべきか」
 ともかく。
 アカダシは道を塞いでおり、流と零佑をガン見、さらに周囲の空間も歪みつつあるので、どう考えてもこちらをターゲットにしている。
「……仕方ない。迂回して進むのも面倒だ。ここは無理やり突破——」
 と言いながらデッキケースを取り出す流。しかし、そんな彼を、零佑は片手を水平にして制す。
「零佑……?」
「ここは俺に任せな。お前は先に、春永たちのとこに行け」
「だが……」
 食い下がる流に、零佑は言う。
「正直な話、俺は【師団】がどうとか“ゲーム”がどうとかは分かんねえ。ただ目の前の敵をぶっ倒すだけならいくらでもできるが、ごちゃごちゃ考える脳みそはねえんだ」
 だから、と続け、
「俺はこの化物を倒す。それが俺にできることだ。お前には、お前にできることがあるだろ。春永や空城の力になれるのは、俺よりもお前じゃねえのか?」
「零佑……」
 まだ出会って半年程度だが、流と零佑は馬が合っていた。最初は単純に席が近かっただけだが、同じ趣味を共有したり、気付けば共にいる時間が長くなってた。
 少なくとも流は、こちらに引っ越してきて学校に早く馴染めたのは、零佑のお陰だと思っているし、感謝もしている。
 そして今、その零佑が自分の背中を押しているのだ。ならば、
「……すまない。なら、ここは任せた」
 応えないわけにはいかないだろう。
「おう! しっかりやってこいよ!」
 グッと親指を突き立て、零佑は流を見送る。そして、戦いの空間へと吸い込まれていった。
 流はそんな零佑の姿を見てから、また走り出すのだった。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.317 )
日時: 2014/01/03 06:27
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

「えっと、この先の公園かな……」
 このみからのメールを受け取った仄は、駅から出ると示された公園を探し始める。
 とその時、見知った顔を見つけた。
「あ……霊崎!」
「武者小路……」
 クラスメイトのクロだ。彼女も“ゲーム”に多少なりとも関わっており、そのためかこのみからメールを受け取っていたようだ。
「ねえ、霊崎はメールにあった公園の場所知ってる? 学校までの道は分かるんだけど、それ以外はよく分かんないんだよね」
「知ってる……この先をまっすぐ行ったところにある」
「そっか。なら一緒に行こう。なんか、嫌な予感もするし——」
 仄がクロの手を掴んで足を踏み出すと、黒い影が差す。
「……なんなの、これ?」
「さあ……?」
 右と左、二人の横に現れた影は、人影ではない。もっと大きく、異形の影だった。
 具体的には、クリーチャーだ。
「こいつらは、確か……《封魔のイザナイ ガラムマサラ》」
「こっちは《爆裂のイザナイ ダイダラ》」
 イザナイの階級を持つ二体のクリーチャー。逃げ道を塞いでいるわけではないが、周囲の空間が歪んでいるところを見ると、敵対するつもりなのは火を見るより明らかだ。
「そもそもクリーチャーが実体化して戦わなかったことなんてないし……仕方ない。さっさと片付けるかな」
「……相手になる」
 次の瞬間。仄とクロ、そしてガラムマサラとダイダラは、歪んだ空間の中へと吸い込まれていった。



 零佑とアカダシのデュエル。
 シールドは零佑五枚、アカダシが三枚。
 バトルゾーンを見れば、零佑の場には《チェレンコ》と《パラダイス・アロマ》《クゥリャン》。アカダシの場には《怪僧 ワカメ・ジール》が二体だ。
 相手が重いアースイーターと見て序盤から速攻を仕掛ける零佑だったが、ブロッカーを出され、勢いを止められてしまった。
『グ、グガ……《戦攻のイザナイ アカダシ》ヲ召喚』
「もう来るかぁ……」
 イザナイの中でも、《アカダシ》は光臨を持つクリーチャーだ。光臨はターン終了時にそのクリーチャーがタップされていれば発動し、山札から対応するクリーチャーを呼び出せる。
「攻め難くなってきたし、除去カードでも引ければな……」
 しかし零佑のデッキは、軽いサイバー進化獣を抜いたせいで除去カードも大幅に減ってしまった。代わりに投入した大型クリーチャーを出そうにも、まだマナが足りない。
「まだ4マナか……とりあえず、《クゥリャン》を召喚。一枚ドローして、今引いた《トロン》も召喚だ。ターンエンド」
 小型サイバーロードを並べていく零佑。しかしクリーチャーの質では《アカダシ》に負けている。
『グガ、グググ……《ストーム・クロウラー》ヲ召喚。マナゾーンカラ《バクバク・クロウラー》ヲ手札ニ。ガガ、《アカダシ》デ攻撃、シールドブレイク』
 ブロックはせず、《アカダシ》の攻撃を受ける零佑。これで互いにシールドは四枚。
『ターン終了……《アカダシ》ノ光臨発動』
 《アカダシ》が呼び出せるのはコスト7以下のアースイーターだ。アースイーターはそれなりに大型な種族で、強力なクリーチャーは8マナ圏に多いのだが、7マナ以下でも弱いわけではない。
『《タイタンクラッシュ・クロウラー》ヲ、バトルゾーンニ』


タイタンクラッシュ・クロウラー 水文明 (6)
クリーチャー:アースイーター 6000
ブロッカー
各ターン、このクリーチャーがはじめてタップした時、アンタップする。


 呼び出されたのは、巨大な一つ目の怪物《タイタンクラッシュ・クロウラー》だ。
 各ターン初めてタップした時にアンタップするという、かの《ボルバルザーク・紫電・ドラゴン》と同じ能力を持つ。スペック的には同じ文明でブロッカーの《蒼神龍ボルバルザーク・紫電・ドラゴン》に近いが、こちらの方がコストは低い。
「出やがった……だが、こっちもキーカードを引いたぜ。《スーパーハッカー サイバークーン》!」


スーパーハッカー サイバー・クーン 水文明 (5)
クリーチャー:サイバーロード/ハンター 2000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のサイバーロードを3体破壊してもよい。そうした場合、進化ではないサイバー・コマンドが出るまで自分の山札の上からカードをすべてのプレイヤーに見せる。そのクリーチャーをバトルゾーンに出し、残りを自分の墓地に置く。


 サイバーロードを合体させ、より強力なサイバー・コマンドを生み出す技術を編み出したサイバーロード《スーパーハッカー サイバー・クーン》。
「その能力で、俺の場の《サイバー・クーン》と《チェレンコ》《クゥリャン》を破壊!」
 そして山札が次々と捲られていく。その途中で、一枚のカードが輝いた。
「来たぜ。《サイバー・A・アイアンズ》をバトルゾーンに! 効果で五枚ドローだ!」
 一気に手札を補給する零佑。加えて《サイバー・A・アイアンズ》は条件付きアンブロッカブルのTブレイカーだ。一気に《アカダシ》に大打撃を与えられるだろう。
 そう思っていたが、
『グウゥゥゥ……《バクバク・クロウラー》ヲ召喚。《ワカメ・ジール》ヲ手札ニ戻ス』


バクバク・クロウラー 水文明 (4)
クリーチャー:アースイーター 3000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の他のクリーチャーを1体、バトルゾーンから手札に戻してもよい。そうした場合、バトルゾーンにある相手のクリーチャー1体選び、持ち主の手札に戻す。


『オ前ノ《サイバー・A・アイアンズ》モ手札ニ戻ス』
「マジかよ……!」
 折角サイバーロードを三体犠牲にしてまで呼び出した《サイバー・A・アイアンズ》が、ほぼ完全に無駄となってしまった。五枚ドローできたのは大きいが、9マナ溜まるまで召喚を待つのは些か気が長すぎる。
『《アカダシ》デ、シールドブレイク。《タイタンクラッシュ・クロウラー》デ、シールドブレイク。《タイタンクラッシュ》ハ、アンタップスル』
「ぐっ……!」
 あえてブロックせず、零佑は攻撃を喰らう。シールドは二枚まで減ってしまったが、その甲斐あって再びキーカードを引き当てた。
 だが、《アカダシ》もさらなる動きを見せる。
『光臨発動……《電流戦攻セブ・アルゴル》ヲ、バトルゾーンニ』
 またしても呼び出されるアースイーター。しかも登場時に超次元の門を開く《セブ・アルゴル》だ。
『超次元ゾーンカラ、《時空の剣士アクア・カトラス》ヲ、バトルゾーンニ』
「くそっ、やべえ……!」
 召喚、光臨、超次元と、次から次へと《アカダシ》のクリーチャーが呼び出されていく。
 零佑のデッキもクリーチャーを大量展開するデッキだが、結果に行きつくまでが意外とややこしい。対して《アカダシ》は、様々な手段を使ってはいるものの、どれも正攻法。とにかく数を並べている。
「だが、こっちもワンチャンス残ってんだ! まずは《トロン》を召喚。そしてもう一回《スーパーハッカー サイバー・クーン》!」
 破壊するのは《サイバー・クーン》《クゥリャン》《トロン》の三体だ。そして山札から、生み出されたサイバー・コマンドが現れる。
「来た来た! 《サイバー・G・ホーガン》! 激流連鎖で山札の上二枚を捲るぜ!」
 そして捲ったカードが《サイバー・G・ホーガン》よりもコストの低いクリーチャーならタダで呼び出せる。
「……! 最高の二枚だぜ。《サイバーX・ザナドゥ》と《サイバー・J・シン》だ!」


サイバーX・ザナドゥ 水文明 (7)
クリーチャー:サイバー・コマンド 7000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある相手の進化ではないクリーチャーを1体選び、持ち主の山札の一番下に戻す。
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンを離れた時、相手は自分自身の山札の一番下のカードを表向きにする。それが進化ではないクリーチャーであれば、相手はそれをバトルゾーンに出してもよい。


サイバー・J(ジェット)・シン 水文明 (7)
クリーチャー:サイバー・コマンド 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から2枚を見る。その中から好きな枚数の、進化ではないサイバーロードをバトルゾーンに出してもよい。残りを好きな順序で山札の一番上に戻す。
W・ブレイカー


「まず《ザナドゥ》の能力で《カトラス》を山札の下に戻す!」
 しかし《カトラス》はサイキック・クリーチャーなのでバトルゾーンと超次元ゾーン以外では存在できない。山札の下へと送られた後、超次元ゾーンへと戻っていく。変わった手法ではあるが、これも《ザナドゥ》のデメリット回避にはなる。
「さらに《シン》の能力で、さらに山札の上二枚を捲り、進化でないサイバーロードをすべて場に出す!」
 こうして捲った二枚も、サイバーロードだった。
「自転車がぶっ壊れたのは不運だったが、今日はついてるな。《コーライル》と《サイバー・クーン》だぜ!」
 まず《コーライル》で《タイタンクラッシュ》を山札に戻し、続けて《サイバー・クーン》で場に残ったサイバーロードをすべて破壊し、またも山札を捲っていく。そして、
「《サイバー・B・バック》をバトルゾーンに!」
 次々とサイバー・コマンドを呼び出す零佑。これで場数なら《アカダシ》と並んだ。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.318 )
日時: 2014/01/03 12:43
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 仄とガラムマサラのデュエル。
 互いにまだ大きな動きは見せておらず、シールドは共に五枚。
 仄の場には《氷牙フランツⅠ世》のみ。ガラムマサラに至ってはクリーチャーすらおらず、《エマージェンシー・タイフーン》や《ボーンおどり・チャージャー》で墓地を肥やしている。
「私のターン。《封魔のイザナイ ガラムマサラ》を召喚」
 7ターン目で初めて、ガラムマサラはクリーチャーを召喚する。
「光臨持ちのイザナイが出たのは要注意……でもなぁ」
 光臨を持つ《ガラムマサラ》が出たことで警戒心を強める仄。ここでブロッカーの一体でも出せれば《ガラムマサラ》を止められるのだが、生憎今の手札では出せるブロッカーがいない。
「というかこれ、S・トリガーほとんど手札に来てるんじゃ……まあいいか。私のターン、《コアクアンのおつかい》を発動」
 仄は《フランツ》の能力で1マナ軽くなった《コアクアンのおつかい》を使用。山札の上三枚を捲る。捲れたのは《天門の精霊キバッテ・キャット》《王機聖者ミル・アーマ》《知識の精霊ロードリエス》。すべて光のカードなので、手札に加える。
「残り3マナだから《ミル・アーマ》も召喚。ターンエンド」
 なんとかブロッカーを出し、《ガラムマサラ》を止めにかかる仄だが、そう思ってもなかなか上手くいかないのがデュエル・マスターズだ。
『私のターンだ。まずは呪文《エマージェンシー・タイフーン》。山札からカードを二枚引き、手札を一枚墓地へ。次に《封魔バルゾー》を召喚、《ミル・アーマ》を手札へ』
「う……っ」
 ブロッカーを除去され、仄の場に《ガラムマサラ》を止められるクリーチャーがいなくなった。
『《ガラムマサラ》でシールドをブレイク。そしてターン終了……《ガラムマサラ》の光臨発動』
 各クリーチャーごとに踏み倒す範囲の違う光臨。《ガラムマサラ》が対応しているのは、コスト7以下のグランド・デビル。
『山札より《悪魔提督アルゴ・バルディオル》をバトルゾーンに』


悪魔提督アルゴ・バルディオル 闇文明 (7)
クリーチャー:グランド・デビル/ディープ・マリーン 5000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中からグランド・デビルとディープ・マリーンをすべて自分の手札に加え、残りを好きな順序で山札の一番下に戻す。
相手のターン中にこのクリーチャーが手札から捨てられる時、墓地に置くかわりにバトルゾーンに出してもよい。


「来た……でも」
 まだ攻めているわけではないようだ。提督サイクルと呼ばれる、名前に提督とつくクリーチャー群は、山札から特定のカードを手札に呼び込めるのだ。《ガラムマサラ》がグランド・デビルに対応していたように、《アルゴ・バルディオル》もグランド・デビルを手札に持ってこれる。
 《ガラムマサラ》が捲った三枚は《魔龍バベルギヌス》《電脳封魔マクスヴァル》《封魔フーマー》。すべてグランド・デビルなので手札に加えられる。
「一気に三枚補充か……でも、そのデッキのそれだけの手札を使い切れるかな。私のターン《天門の精霊キバッテ・キャット》を召喚。山札の上四枚を見て……《ヘブンズ・ゲート》を手札に加えてターンエンド」
 これでやっと次のターンには《ヘブンズ・ゲート》が打てる。だが流れるように動いている《ガラムマサラ》と違い、はっきり言って仄は出遅れていた。
 ここからどうリカバリできるかが、彼女の行く末を左右することになるだろう。



 クロとダイダラのデュエル。
 シールドはまだお互い五枚。
 クロの場には《白骨の守護者ホネンビー》と《雷鳴の守護者ミスト・リエス》。ダイダラの場には《信心深きコットン》と《爆翔イーグル・アイニー》。クリーチャーの数でも互角だ。
『俺のターンッ! 《爆裂のイザナイ ダイダラ》を召喚だッ!』
 ここで光臨を持つ《ダイダラ》が現れる。しかも《ダイダラ》は、火文明ならではの仕掛けを施すことで、光臨の欠点を補っている。
『俺の場には《イーグル・アイニー》がいるから、俺のフレイム・コマンドはすべてスピードアタッカー! スピードアタッカーになった《ダイダラ》でシールドブレイクッ!』
 光臨の欠点とは、タイムラグだ。タップしなければ発動しない能力なため、召喚し、次のターンに攻撃する必要がある。攻撃せずとも、他のカードの力を借りてタップすることは可能だが、一番手っ取り早いのは攻撃だろう。
 だが攻撃するにしても、クリーチャーには召喚酔いがあるため、やはりタイムラグが生じる。だが《ダイダラ》は自身がフレイム・コマンドであることを利用し、《爆翔イーグル・アイニー》の能力でスピードアタッカーにすることで、そのタイムラグを消している。


爆翔イーグル・アイニー 火文明 (4)
クリーチャー:ファイアー・バード/フレイム・モンスター 3000
K・ソウル
自分の、名前に《XX》とあるクリーチャーの召喚コストを1少なくしてもよい。ただし、コストは1より少なくならない。
バトルゾーンにある自分のフレイム・コマンドはすべて「スピードアタッカー」を得る。


 ともあれ、《ダイダラ》のシールドブレイクをクロはスルー。そして《ダイダラ》のターンが終了する時、
『《ダイダラ》の光臨発動ッ! 山札からコスト7以下のフレイム・コマンドをバトルゾーンに呼び出すッ!』
 《ダイダラ》の光臨が対応しているのは、コスト7以下のフレイム・コマンド。フレイム・コマンドは中型から大型が多いため普通に出すのは手間がかかるが、《ダイダラ》の光臨があれば一気に並べられる。
『山札から出でよッ! 《爆竜ハリケーントプス XX》!』


爆竜ハリケーントプス XX 火文明 (7)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/フレイム・コマンド 7000
このクリーチャーが攻撃してブロックされなかった時、コスト5以下の火のサイキック・クリーチャーを1体、自分の超次元ゾーンからバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー


 光臨によって呼び出されたのは、やはり大型フレイム・コマンド。しかも、
「サイキック……」
 コスト7のフレイム・コマンドなら他にもいるが、その中でも《ハリケーントプス》を選んだということは、《ダイダラ》のデッキはサイキック・クリーチャーを使うデッキだということが窺える。
 気にしていなかったので見なかったが、《ダイダラ》の超次元ゾーンを確認。もし《ダイダラ》が超次元呪文を握っているのなら、このままだと厄介なことになりそうだった。
「……でも、これだと……」
 しかしクロの手札に除去カードはない。元々ガーディアンは守りの種族であり、除去は苦手なのだ。
「私のターン……呪文《ライフプラン・チャージャー》」
 とりあえずクロは、マナを溜めつつ山札から解決策を探す。
「《守護聖天タテブエ・ヤッホー》を手札に。さらに《蔵禄の守護者カメンビー》を召喚して、《ミスト・リエス》の能力で一枚ドロー。呪文《フェアリー・ライフ》でマナも追加」
 1ターンで手札、マナ、クリーチャーを増やすクロだが、《ダイダラ》の展開には追い付かない。
『俺のターンッ! 呪文《超次元シャイニー・ホール》! 《ミスト・リエス》をタップだッ!』
「やっぱり……」
 やはり《ダイダラ》は超次元呪文も打ってくるようだ。しかも《シャイニー・ホール》ということは、出て来るのは、
『《時空の精圧ドラヴィタ》をバトルゾーンにッ!』


時空の精圧ドラヴィタ 光文明 (7)
サイキック・クリーチャー:エンジェル・コマンド 5500
相手が呪文を唱えた時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、タップしてもよい。
このクリーチャーがバトルに勝った時、このクリーチャーをアンタップしてもよい。
覚醒—自分のターンのはじめに、バトルゾーンに自分の、フレイム・コマンドまたは名前に《NEX》とあるクリーチャーが合わせて2体以上あれば、このクリーチャーをコストの大きいほうに裏返す。


 《時空の精圧ドラヴィタ》。覚醒前でも相手の呪文の詠唱を躊躇わせ、小型クリーチャーを殲滅できる能力を持つことから重宝されるが、覚醒後はさらに強力だ。
 しかしその覚醒条件が厳しい。フレイム・コマンドも《NEX》も大型クリーチャーが多く、大量展開に向かないため、なかなか覚醒しにくい。
 しかし《ダイダラ》の光臨がそこに組み合わされば、かなり容易に並べることが可能だ。実際、《ダイダラ》の場には既に二体のフレイム・コマンドがいる。
『まずは《ダイダラ》で《ミスト・リエス》を攻撃ッ! 破壊だッ!』
「っ……!」
 《ハリケーントプス》がいることを考えると、シールドを割られたくはないので、ブロッカーは残しておきたい。なので《ミスト・リエス》への攻撃はスルー。どうせブロックしても、《コットン》や《イーグル・アイニー》でも殴り返されるのだから、チャンプブロックは無駄だ。
『次に《ハリケーントプス》でシールドをWブレイクだッ!』
「《カメンビー》でブロック、一枚ドロー」
 《ダイダラ》の攻撃を防いでいくクロ。しかしこのターンの終わりに、また《ダイダラ》の光臨が発動する。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.319 )
日時: 2014/01/03 15:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 クリーチャーの並べ合いとなっている零佑と《アカダシ》のデュエル。シールドでは零佑二枚、《アカダシ》三枚と、一歩《アカダシ》がリードしている。
 バトルゾーンも《アカダシ》の場には、《戦攻のイザナイ アカダシ》《怪僧 ワカメ・ジール》《ストーム・クロウラー》《バクバク・クロウラー》《電流戦攻セブ・アルゴル》と、かなりの数を展開してきている。
 だが展開力なら零佑も負けていない。《スーパーハッカー サイバー・クーン》から《サイバー・G・ホーガン》に繋げることで、《サイバーX・ザナドゥ》《サイバー・J・シン》を呼び、さらにそこからまたも《サイバー・クーン》で新たなサイバー・コマンド《サイバー・B・バック》が呼び出され、四体ものサイバー・コマンドが並んだ。ついでに《パラダイス・アロマ》もいる。
『ググ、ガガ……』
「どうだ? クリーチャーの数は同じだが、こっちにはでかいサイバー・コマンドが四体だ。お前のちっさいブロッカーじゃあ、こいつらは止まらねえぞ」
 さらに零佑は、《アカダシ》に圧力をかける。クリーチャー相手に心理戦が通用するのかどうかは知らないが、しかし《アカダシ》の呻きは辛そうなものだった。
『グガグ……負ケ、ナイ。日蓮ノ、カタキ……』
「は? 日蓮?」
 どこかで聞き覚えのある名前だ。いや、零佑と言えども日蓮宗なる宗教があり、その宗祖が日蓮という僧侶であることは知っているが、そういうことではなく。
 足りない頭でなんとか記憶を捻り出し、ある一つの出来事が思い浮かんだ。
「あぁ……文化祭の時の……」
 《神来のイザナイ 日蓮》。カードゲーム的なことを言えば《アカダシ》と同じ光臨サイクルのクリーチャーだ。
 そして雀宮高校の文化祭で混乱を巻き起こし、その時に零佑が戦い、倒したのが、日蓮。
「そういえばあいつも、《アカダシ》使ってたな……仲間、なのは当然か。どっちも【師団】とかいう奴らの刺客らしいしな」
 だがクリーチャー同士に、こういう絆のような感情があるのが驚きだ。いや、背景ストーリーではそういうこともあるのだが、しかしこのクリーチャーたちは特殊な方法で生み出されたクリーチャー……らしい。
 だから仲間意識のようなものは不思議ではあるのだが、もしかしたら逆かもしれない。そういった特殊な方法で生み出されたからこそ、普段ならあり得ない仲間意識が芽生えているかもしれなかった。
『グガガガァ……《超次元エナジー・ホール》。超次元ゾーンカラ《変幻の覚醒者アンタッチャブル・パワード》ヲ、バトルゾーンニ。《アカダシ》ト《バクバク・クロウラー》デ、シールドブレイク』
「うおっ、意外とピンチだな……」
 連続でシールドを割られ、これでシールドはゼロ。しかも選ばれない上にブロックもできない《アンタッチャブル・パワード》が現れ、次のターンには勝負を決められてしまう。
 《アカダシ》に次のターンがあれば、だが。
「ピンチだが……残念だったな、一歩遅かったぜ。とりあえずS・トリガー《スパイラル・ゲート》! 《アカダシ》をバウンス!」
 また光臨で厄介なクリーチャーを呼び出されるのも嫌なので、とりあえず《アカダシ》は除去しておく。そして零佑のターン。
「行くぜ、まずは《マリン・フラワー》召喚! そして進化!」
 刹那、零佑を中心とした空間にバチバチと電流が迸り、磁場が乱れていく。

「さあ野郎ども、勇み立て! 超電磁の荒波に乗り、立ち塞がるもの全部ぶっ壊せ! 我が相棒《超電磁トワイライトΣ》、進撃の火蓋を切り落とせ!」


超電磁トワイライトΣ(シグマ) 水文明 (6)
進化クリーチャー:サイバー・コマンド 8000
進化−自分の「サイバー」と種族にあるクリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の「サイバー」と種族にある進化ではないクリーチャーを好きな数、バトルゾーンから手札に戻してもよい。その後、このようにして戻したクリーチャー1体につき、自分の「サイバー」と種族にある進化ではないクリーチャーを1体、手札からバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー


 《マリン・フラワー》から進化したのはドリルのような巨大な突起を無数に備えた、超電磁の化身《超電磁トワイライトΣ》。
「《トワイライトΣ》の能力発動! 俺のバトルゾーンのサイバーを好きな数手札に戻すぜ。戻すのは《サイバー・G・ホーガン》《サイバー・J・シン》《パラダイス・アロマ》だ!」
 三体のクリーチャーを手札に戻す零佑。《トワイライトΣ》は一度手札に戻したサイバーを再び場に出すことで、召喚時の能力を発動させることができる。こうしてクリーチャーを展開したり、相手を除去したりするのが主な使い方だが、この時、手札に戻したサイバーと手札から出すサイバーが同じである必要はない。
 つまり——
「三体のサイバーを戻したから、三体のサイバーを出すぜ。出すのはさっき戻した《サイバー・G・ホーガン》と《サイバー・J・シン》そして——手札にいたこいつだ! 《サイバー・W・スパイラル》!」


サイバー・W・スパイラル 水文明 (9)
クリーチャー:サイバー・コマンド 11000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを2体まで選ぶ。相手はそのクリーチャーを自身の山札に加えてシャッフルする。
このクリーチャーはブロックされない。
W・ブレイカー


 ——場の小型サイバーを、手札の大型サイバーに化けさせることができるのだ。
「まずは《サイバー・G・ホーガン》の激流連鎖だ! 出て来な《斬隠テンサイ・ジャニット》そして《サイバー・N・ワールド》!」
 激流連鎖で現れたのは《テンサイ・ジャニット》と《サイバー・N・ワールド》だ。まず《ジャニット》の能力で《ワカメ・ジール》がバウンスされ、次に《サイバー・N・ワールド》の能力でお互いの墓地と手札がすべて山札へと戻っていく。
「ふぅ、危ねえ危ねえ。ちっとばかし山札切れを心配してたんだが、なんとか《サイバー・N・ワールド》が出て来たか。んじゃ、続いて《サイバー・J・シン》の能力発動!」
 《スーパーハッカー サイバー・クーン》の能力や《サイバー・A・アイアンズ》によるドロー、《サイバー・G・ホーガン》の激流連鎖などで零佑の山札はかなり削られていたが、それも《サイバー・N・ワールド》で一気に回復する。
 そして次に《サイバー・J・シン》の能力で、山札の上二枚が捲られる。
「《トロン》と《パクリオ》をバトルゾーンに! 一応、お前の手札にある《超次元リバイヴ・ホール》をシールドに埋め、最後に《サイバー・W・スパイラル》の能力発動だ!」
 そもそも、零佑は《トワイライトΣ》で元々いたアタッカーを三体手札に戻してしまっているので、そのままではブロッカーが邪魔でとどめまでは行けない。
 一体は、墓地の状況と山札の枚数から、《サイバー・G・ホーガン》の激流連鎖と《サイバー・J・シン》の能力で《テンサイ・ジャニット》が一体は出て来るだろうと予想していたが、それでもまだ二体のブロッカーがいる。
 それを除去するのが、《サイバー・W・スパイラル》だ。
「《サイバー・W・スパイラル》の能力で《ストーム・クロウラー》と《セブ・アルゴル》を山札に戻す! さあ、これでブロッカーはいなくなったぜ」
 《パクリオ》でアカダシのシールドは四枚になったが、零佑の場にはWブレイカーが三体。ブロッカーがおらず、シノビを握っているわけでもないアカダシが、これらの攻撃を防ぐことはできない。
「行くぜ《サイバーX・ザナドゥ》でWブレイク! 続けて《サイバー・B・バック》でもWブレイクだ!」
 アカダシのシールドが次々と割られていく。S・トリガーも発動しないアカダシは、完全に無防備な状態を晒していた。
『グ、グガ、ガァ……!』
「ま、仲間だかなんだか知らないが、その点に関しては悪かったな。だが、俺のデュエルに手加減はなしだぜ」
 謝罪しながらも容赦のない零佑、そしてサイバーたちの攻撃が放たれ、その最後の一撃が繰り出される。

「《超電磁トワイライトΣ》で、ダイレクトアタックだ!」



「……ああ、分かった。なにかおかしいとは思ったが、やはり奴らが来ていたのか。ともかく助かった、またなにかあったらよろしく頼む」
 女はバギィッ、とおよそ電子機器からは出ないような音を立てて携帯を閉じた。それを握る力も凄まじく、ミシミシと軋んでいる。
「あの野郎……なんかあったら連絡しろつっただろうが」
 携帯を軋ませるのをやめると、それをポケットの中に収める。そして、舌打ちをしながらあの少年を毒づく。

「あたしに黙って【師団】なんて獲物と戦ってんじゃねぇよ……!」

 そう呟いて『炎上孤軍アーミーズ』——火野亜実は、歩みを進めるのだった。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.320 )
日時: 2014/01/04 00:49
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 仄と《ガラムマサラ》のデュエルは、今のところ大きな動きはないものの、《ガラムマサラ》がスムーズに動けている反面、仄は出遅れてしまっている。
『私のターン。《魔龍バベルギヌス》を召喚し、即破壊。そして墓地から《魔聖デス・アルカディア》をバトルゾーンに』
 スレイヤーの他、ブレイクしたシールドを墓地に置くことでそのクリーチャーを破壊する《デス・アルカディア》が墓地から蘇る。
「面倒なのが出て来た……でも」
 出て来たのが《デス・アルカディア》だけなら、対応できないこともない。
「私のターン、呪文《ヘブンズ・ゲート》!」
 前のターンに手札に加えた《ヘブンズ・ゲート》を発動する仄。手札から二体の光ブロッカーが降臨する。
「出すのはこの二体。《知識の精霊ロードリエス》と《偽りの名 ビルド・レオーネ》!」


偽りの名(コードネーム) ビルド・レオーネ 光文明 (8)
クリーチャー:エンジェル・コマンド/アンノウン 8000
ブロッカー
このクリーチャーが攻撃する時、バトルゾーンにある相手の進化でないクリーチャーを1体選び、新しいシールドとして持ち主のシールドゾーンに裏向きにして加える。
W・ブレイカー


 ブロッカーで《ガラムマサラ》の光臨は止めたので、あとは並んだクリーチャーを排除するだけ。そしてそれを行うのが、この《ビルド・レオーネ》だ。
「とりあえず《ロードリエス》の効果で二枚ドローして、このターンは終了」
 守りを固め、相手の攻撃をシャットアウトしてから攻めに転じるのが仄のデッキのスタイルなため、攻撃に移るまでにタイムラグが生じてしまうが、次のターンからは厄介なクリーチャーをシールドに埋め込んでいける。
『……私のターンだ。《電脳風魔マクスヴァル》と《封魔フーマー》を召喚し、ターンエンド』
 巨大なブロッカーが立ち並び、攻め込めない《ガラムマサラ》。出遅れてしまった仄だが、意外とこのまま押し切れそうだ。
「《ミル・アーマ》召喚。《ロードリエス》の効果で一枚ドローして、《コアクアンのおつかい》」
 山札から捲れたのは《氷牙フランツⅠ世》《聖霊王イカズチ》《天門の精霊キバッテ・キャット》。
「《フランツ》以外を手札に加えて、《キバッテ・キャット》も召喚!」
 次に捲った四枚には、手札に入るカードはなかった。だが、このままでも十分だ。
「《ビルド・レオーネ》で攻撃、その時《ビルド・レオーネ》の効果発動! 《デス・アルカディア》をシールドへ!」
 これでスレイヤーで破壊されることも、《デス・アルカディア》の効果で破壊されることもなくなる。ブレイクするシールドも、《デス・アルカディア》を埋めなかったシールドだ。
『…………』
「ターンエンド」
 これで《ガラムマサラ》のシールドも四枚、シールドの数では並んだ。
 しかも仄にはブロッカーが複数並んでいるため、《ガラムマサラ》は攻めに出ることはできないだろう。
『……私のターンだ。《ボーンおどり・チャージャー》を発動。さらに《封魔ベルアリタ》を召喚。連鎖で山札の一番上を捲る』
 そしてそれが連鎖を持つクリーチャーよりコストの低いクリーチャーなら、コストを踏み倒してバトルゾーンに出せる。
『捲れたのはコスト3の《封魔メールワスプ》。そのままバトルゾーンへ。さらに《フーマー》で《ビルド・レオーネ》を攻撃』
「《フーマー》はスレイヤー……だったら《キバッテ・キャット》でブロック!」
 スレイヤー能力で《キバッテ・キャット》も破壊されるが、元からスペックの高いブロッカーではないので、大きな損害ではない。
『《フーマー》が破壊された時の能力で、お前の手札を一枚墓地へ』
「……っ」
 手札を一枚落とされたが、大量に手札を補充していた仄には大した痛手ではない。
「《ウルファス》が潰されたのは痛いけど、ここまで攻めれば大丈夫か……」
 さらに戦力を足して早く勝負を決めにかかりたいが、焦る必要がないのも事実。とりあえず今は、無理しない範囲で少しずつ攻めていくべきだろう。
「じゃあ……《キバッテ・キャット》進化! 《聖霊王イカズチ》!」


聖霊王イカズチ 光文明 (7)
進化クリーチャー:エンジェル・コマンド/オリジン 8000
進化−自分のエンジェル・コマンドまたはオリジン1体の上に置く。
クリーチャーがバトルゾーンに出た時、バトルゾーンにある自分のクリーチャーを好きな数アンタップしてもよい。こうしてアンタップしたクリーチャーはそのターン、「ブロッカー」を得る。
W・ブレイカー


 《キバッテ・キャット》から進化したのは、オリジンの力を取り込んだ聖霊王、《イカズチ》だ。
 このカードは様々なカードと組み合わせることで、多様なコンボを発動できるのだが、普通に使っても強い。相手クリーチャーが出て来ても自陣はすぐさまアンタップし、防御態勢を整えられるのだ。
 ゆえに、攻撃に転じやすくなる
「まずは《ビルド・レオーネ》で攻撃、《メールワスプ》をシールドに!」
 《メールワスプ》はスレイヤーでブロッカー。道連れにされたくはないので、シールドに埋めておく。
「そしてWブレイク!」
 これで《ガラムマサラ》のシールドは三枚。うち二枚は《デス・アルカディア》と《メールワスプ》を埋めているので、S・トリガーの可能性があるのは一枚だけだ。
「このまま押し切れるかな……? 《イカズチ》でWブレイク!」
 《イカズチ》の放つ雷で、さらに二枚のシールドが砕け散った。残るシールドは、《メールワスプ》の埋まったシールドだけ。そして仄の場には《フランツ》と《ミル・アーマ》。アタッカーが二体残っている。
 このまま勝負を決めてしまおうかという、その時だ。
「……S・トリガー発動《地獄門デス・ゲート》」
 《ガラムマサラ》のシールドが光の束となって収束する。
 開かれたのは地獄へと続く悪魔の門。その門は、天界の門とは違い呼び出すものではない。引きずり込むものだ。
「《ミル・アーマ》を破壊。私の墓地にコスト2以下のクリーチャーはいないため、クリーチャーは復活させない」
「……残念」
 本当に残念だ。あと一歩のところでとどめは刺せず、しかも《デス・ゲート》で墓地からクリーチャーを蘇らせたなら、《イカズチ》の能力で仄のクリーチャーはすべてアンタップし、そのままとどめを刺せたのだ。
「ま、仕方ないか。ここは最後のシールドも割っておくよ。《フランツ》で最後のシールドをブレイク」
 《フランツ》の魔弾が《ガラムマサラ》の最後のシールドを突き破り、これでシールドはゼロ。次のターンにはとどめを刺す算段がついた。
「さ、この状況から逆転できるかな? ターンエンド」
 《ガラムマサラ》の場にもクリーチャーは多くいるが、ここから逆転するのは難しいだろう。スレイヤーのブロッカーを出しても《ビルド・レオーネ》でシールドに埋められてしまうから、除去は難しい。
『……《封魔メールワスプ》を召喚』
「ならその時《イカズチ》の効果発動。私のクリーチャーはすべてアンタップされ、ブロッカーを得る」
 クリーチャーを出しただけで、相手軍が鉄壁の壁となってしまった。これでは攻めるに攻められないだろう。
 そう思われたが、
『……これはパイルの恨みだ』
「え? パイル?」
 聞き覚えのある名前。仄は頭に手を当てて、記憶を手繰り寄せていく。
「……思い出した。夏祭りの時の」
 《霊騎のイザナイ パイル》。《ガラムマサラ》と同じイザナイサイクルのクリーチャーだ。
「そういえばあのクリーチャー、アーク・セラフィムとグランド・デビルの混成デッキで《ガラムマサラ》使ってたっけ。で、なに? そのパイルの仇討ちのつもり?」
 仄が威圧的にそう言うと、《ガラムマサラ》は頷くき、手札のカードを一枚抜き取る。
『奴の無念、私が晴らそうぞ……《ベルアリタ》《バルゾー》《ガラムマサラ》を進化』
「三体を進化元に……?」
 嫌な予感がする。非常に慣れ親しんだような感覚と、得体のしれない恐怖とがない交ぜになって、仄へとのしかかった。
 三体の悪魔を飲み込んだ水流は、そのまま巨大な蒼き不死鳥へと変貌する。

『——《超神星ネプチューン・シュトローム》』

「……!?」
 声も出ないほどの驚きを見せる仄。なぜならそれは、彼女自身の切り札なのだ。
 グランド・デビルの種族デッキなら、フィニッシャーとして採用していてもおかしくはないが、自分の愛用する切り札を相手に使われる衝撃は、普通に大型クリーチャーを出される以上に大きい。
『これで終わりだ……《ネプチューン・シュトローム》で攻撃、メテオバーン発動』
 《ガラムマサラ》が墓地へと落ち、刹那《ネプチューン》の能力が発動する。
『お前のクリーチャーはすべて山札へ……そしてTブレイク!』
 凄まじい激流が放たれ、仄の場のクリーチャーが一掃される。そしてシールドも三枚打ち砕かれた。
「っ……! S・トリガー発動!」
 しかし割られたシールドのうち二枚が、光の束となって収束する。
「《ヘブンズ・ゲート》! 《タイガー・レジェンド》《オレオレ・ライオネル》《ロードリエス》《キバッテ・キャット》をバトルゾーンに!」
 二枚の《ヘブンズ・ゲート》から、仄は手札に溜めていたブロッカーを一気に放出する。
「さらに《タイガー・レジェンド》の効果で、ガチンコ・ジャッジ!」
 しかし仄はこのガチンコ・ジャッジに勝ったところで意味がないことを知っている。
 ガラムマサラの場にはブロッカーが二体。仄の場にはアタッカーが二体。ガラムマサラのシールドがゼロでも、ブロッカーが立ち並び突破できない。
 ガチンコ・ジャッジ一戦目。仄はコスト8《偽りの名 ビルド・レオーネ》、ガラムマサラはコスト6《闇彗星アステロイド・ゲルーム》。
 二戦目。仄はコスト7《聖霊王イカズチ》、ガラムマサラはコスト5《封魔妖スーパー・クズトレイン》。
 三戦目。仄はコスト3《王機聖者ミル・アーマ》、ガラムマサラはコスト2《エマージェンシー・タイフーン》。
 四戦目。仄はコスト3《氷牙フランツⅠ世》、ガラムマサラはコスト3《電脳封魔マクスヴァル》。
 五戦目。仄はコスト5《知識の精霊ロードリエス》、ガラムマサラはコスト7《魔龍レッドイッド》。
「じゃあ、手札から《ロードリエス》をバトルゾーンに出すよ」
『……?』
 ガチンコ・ジャッジに四連勝もしたが、仄が出すのは《ロードリエス》だけだった。もしかしたら手札にある出せるカードがそれだけだったのかもしれないが、それなら途中でガチンコ・ジャッジを中止にすればいいようにも思う。
 しかし彼女は、今の手札では《ネプチューン》を突破できないと分かっていた。しかも山札の上は相手の《ネプチューン》により、戻されたクリーチャーだと決定している。次のドローに賭けることもできない。
 だがそれを、無意味なガチンコ・ジャッジを行うことで、山札の上のカードを山札の下へと移動させ、次のチャンスを作ったのだ。
 そして彼女は、ゆっくりとカードを引く。
「……無駄に五連戦もした甲斐があったね。残念だけど、これでお終いだよ」
 刹那、仄の場の天使を、水流が飲み込んでいく。
「目には目を、歯には歯を、超神星には超神星を……そして、《ネプチューン》には《ネプチューン》を!」
 《タイガー・レジェンド》《キバッテ・キャット》《ロードリエス》の三体が水流の中心へと導かれ、その姿を蒼き不死鳥へと変貌させる。

「顕現せよ! 海王星の名の元に! 天使をも喰らう貪欲なる悪魔 超神星ネプチューン・シュトローム! 私に従え!」

 現れたのは、《超神星ネプチューン・シュトローム》。ガラムマサラの場にいるものと、まったく同じ不死鳥だ。
 しかしガラムマサラと違う点が一つだけある。それは、
「幸か不幸か、あなたもパイルと同じ道を歩むことになるよ……《ネプチューン・シュトローム》で攻撃、メテオバーン発動!」
 《ロードリエス》が墓地へと落ち、次の瞬間、凄まじい激流が場を支配する。
『ぐ、ぬうぅ……!』
 ガラムマサラの場にいたクリーチャーは、すべて山札へと戻されてしまう。ブロッカーもアタッカーも、《ネプチューン》も消え去ってしまった。
 バトルゾーンのクリーチャーがいなくなったガラムマサラ。しかしガラムマサラには、クリーチャーだけでなく、シールドもない。
 つまり、仄の《ネプチューン》を止める手立てが、なにもないのだ。

「《超神星ネプチューン・シュトローム》で、ダイレクトアタック!」


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