二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Mythology
日時: 2015/08/16 04:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

 初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。

 本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。

 投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。

目次


一章『神話戦争』

一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33


二章『慈愛なき崇拝』

一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78


三章『裏に生まれる世界』

一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101


四章『summer vacation 〜夏休〜』

一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148


五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』

一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207


六章『旧・太陽神話』

一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292


七章『続・太陽神話』

一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404


八章『十二神話・召還』

一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424


九章『聖夜の賢愚クリスマス・ヘルメス

一話『祝祭の前夜ビフォア・イヴ
>>425
二話『双子の門番ツインズ・ゲートキーパー
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争パーティー・バトル
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲ノウレッジ・リベンジ
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447


第十章『月の下の約束です』

一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508


第十一章『新年』

一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573


十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』

一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610


十三章『友愛「親友だから——」』

一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637



コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』

一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482



デッキ調査室
№1『空城夕陽1』  >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137

人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.546 )
日時: 2014/03/22 14:26
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

破獄のマントラ ゾロ・ア・スター 光/闇文明 (9)
進化クリーチャー:オラクリオン/オラクル 12000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
進化—自分のオラクル1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、各プレイヤーはバトルゾーンにある自身の、ゴッド、オラクリオン、オラクル以外のクリーチャーをすべて、好きな順序で山札の一番下に置く。
T・ブレイカー


 現れたのは《ゾロスター》らしきになにか。
 なにか、などと曖昧な表現なのは、それは信者のような人でもゴッドのような神でもない存在だからだ。クリーチャーということは分かるが、とにかく恐ろしいなにかとしか言いようがない。
 それでも強いて言うのであれば、偽りの神。最もオラクリオンらしいオラクリオンかもしれない。
「《ゾロ・ア・スター》……」
 目の前にそびえ立つクリーチャーを見上げ、ふと呟く流。デュエル前にゾロスターの言っていたことが、ここで理解できた。あのゾロスターは、ゾロスターの姿でありながらも本来の姿は《ゾロ・ア・スター》だったのだ。
 そして現れた《ゾロ・ア・スター》は、その恐ろしい力を発動させる。
『《ゾロ・ア・スター》の能力発動! バトルゾーンのゴッド、オラクル、オラクリオン以外のクリーチャーをすべて山札の底へ!』
「っ!」
 ゴッドでもオラクルでもオラクリオンでもない流のクリーチャーたちが、《ゾロ・ア・スター》の力ですべて山札の一番下へと沈められる。《プロメテウス》などのアタッカーは勿論、《キング・ケーレ》《アクア・スーパーエメラル》のブロッカーまでもが消え去ってしまった。
 一方ゾロスター——否、《ゾロ・ア・スター》の場にいるクリーチャーはすべてオラクルかオラクリオン。ゆえに《ゾロ・ア・スター》の能力の影響を受けず、場に残る。
 なので結果だけを見れば、流のクリーチャーが一掃されたことになる。
『消えろ! 《オルタナティブ》でWブレイク!』
 《オルタナティブ》の咆哮が、今度は流の残りシールドを吹き飛ばす。
「まずい……!」
 ブロッカーがいなくなり、これでは《ゾロ・ア・スター》の攻撃を防ぎ切れない。《オルタナティブ》の攻撃が、流の一枚目のシールドを粉砕する。
 それは《アクア・スーパーエメラル》で仕込んだS・トリガー《深海の伝道師 アトランティス》だ。バトルゾーンのクリーチャーをほとんどバウンスできる大型S・トリガーだが、
「ここでこいつが出ても無意味か……」
 《アトランティス》ではどうしたってお互い場にクリーチャーが一体残る。しかも残されるクリーチャーは相手が選ぶため、ここで出したところで攻撃を防ぎ切れるわけではない。
「だが、出さないよりはマシか……S・トリガー! 《深海の伝道師 アトランティス》を召喚!互いにクリーチャーを一体残し、それ以外をすべて手札に戻す!」
『小癪な……《ゾロ・ア・スター》を残すぞ』
 《ゾロ・ア・スター》が残したのは、案の定自分自身だった。流は《アトランティス》しか場にいないのでそのまま。
『私のクリーチャーを一気に除去したのは褒めてやる。だが、シールドブレイクは止まらんぞ! 最後のシールドをブレイク、そして私でとどめだ!』
 クリーチャーが場を離れても、シールドブレイクは続行される。《オルタナティブ》の攻撃は終了せず、流の最後のシールドを打ち破った。
 そしてシールドがなくなった流に《ゾロ・ア・スター》が迫り、とどめの一撃を放とうとするが——

「S・トリガー! 《終末の時計 ザ・クロック》!」

 ——その前に、ターンが終了した。
『なに……!? なにが起こった!?』
「お前のターンが終了しただけだ。そして俺のターン」
 最後の最後で《クロック》がトリガーし、九死に一生を得た流。だがそれでも、凌げたのは1ターンだけ。手札がない今、このドローにすべてがかかっている。
「……《サイバー・G・ホーガン》!」
 引いたカードは《サイバー・G・ホーガン》。流は迷わず召喚する。
 激流連鎖で山札の上二枚が捲られる。捲れた二枚は、どちらも《ホーガン》よりコストの低いクリーチャーだ。
 そして、この状況を打開するきっかけとなるクリーチャーでもある。
「《霞み妖精ジャスミン》《蒼狼の始祖アマテラス》をバトルゾーンに! 《アマテラス》の能力で、山札からコスト4以下の呪文をタダで唱える!」
 ふとマナゾーンに目を落とす流。唱える呪文は決まっている。
「呪文《母なる星域》! 《ジャスミン》をマナゾーンへ!」
「流、我を呼べ」
 マナゾーンから低い声が聞こえる。今まさに、《母なる星域》の中にいる、流の相棒。
「言われるまでもない。《アトランティス》《アマテラス》《クロック》の三体を進化MV!」
 《ジャスミン》を糧に、三体のクリーチャーを種とし、《母なる星域》を通じて、一体の神話が姿を現す。

「《海洋神話 オーシャンズ・ネプトゥーヌス》!」

 《アトランティス》《アマテラス》《クロック》の三体のクリーチャーを飲み込んだ竜巻のような渦から、三叉の槍を携えた魚人の如きクリーチャーを顕現する。
 《ネプトゥーヌス》はバトルゾーンに降り立つと《ゾロ・ア・スター》を見遣り、低い声で流に呼びかけた。
『よくぞ我を呼び出した、流よ。あのおぞましき存在は、我が排除する』
「ああ、任せた。だが、まずはCD6で三枚ドロー」
 いつもなら相手のシールドを三枚に減らしておき、もう一体アタッカーも用意しておくのだが、今回ばかりはこのターンでは決めきれない。次のターンに備えるためにも、手札は補充しておきたい。
「さらにCD9で、お前の手札とシールドを見せてもらうぞ」
 続けて《ゾロ・ア・スター》の手札、シールドをピーピング。手札の《ターメリック》をシールドに埋め、代わりにシールドにあった《交錯のインガ キルト》を手札に送りつける。勿論、S・トリガーは発動しない。
「最後にCD12だ」
『貴様のクリーチャーをすべて、我が大波で消し去ってくれる!』
 《ネプトゥーヌス》が三叉槍を振るうと、その直後に大波が押し寄せ、《ゾロ・ア・スター》を山札へと押し流してしまった。
「安心しろ、俺はお前ほど鬼畜なつもりはない。山札下ではなく、上に戻してやる」
『ぐ、貴様ぁ……!』
 しかし、下に戻されようが上に戻されようが、除去されたことには変わりない。これで《ゾロ・ア・スター》の場にはなにもなくなる。
「《ネプトゥーヌス》でTブレイク!」
 さらに《ネプトゥーヌス》の槍が《ゾロ・ア・スター》のシールドを三枚突き破った。これでシールド残り二枚。
『私のターン! 《ヴォスラディッシュ》を召喚し、《ゾロスター》《コットン》《ターメリック》を手札に! 《コットン》と《ターメリック》をそのまま召喚!』
 ブロッカーを並べるゾロ・ア・スター。恐らく次のターンにまた《ゾロ・ア・スター》を呼び出し、流の場を一掃するつもりなのだろう。
 だが、無駄だ。
「《キング・ケーレ》《アクア・サーファー》を召喚! 《コットン》と《ターメリック》をバウンス! 《サイバー・G・ホーガン》でWブレイク!」
『ぐあぁ!』
 ブロッカーを除去したところで、《ホーガン》のWブレイクが炸裂する。事前に《ネプトゥーヌス》が潰しているため、S・トリガーはない。
 そして、ブロッカーもシールドもなくなったゾロ・ア・スターに、海神の神話が三叉の槍を向ける。

「《ネプトゥーヌス》で、ダイレクトアタック!」

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.547 )
日時: 2014/03/24 12:47
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 希野とクトゥルーのデュエルは、シールドがお互い五枚で、まだどちらも動き出していない。
 希野場にはなにもなし。クトゥルーの場には《セブ・コアクマン》が一体。
「呪文《爆進イントゥ・ザ・ワイルド》! 3マナ加速して、呪文《ピクシー・ライフ》でさらにマナを追加!」
 クトゥルーも序盤にマナを加速させているが、希野はそれ以上だ。《爆進イントゥ・ザ・ワイルド》で一気にマナを溜め、次のターンには11マナ。前のターンに《ライフプラン・チャージャー》で手に入れた《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》を出す準備を整える。
 しかし、
「……《早撃人形マグナム》を召喚」
「な……っ!」


早撃人形マグナム 火文明 (4)
クリーチャー:デスパペット/エイリアン 3000
スピードアタッカー
いずれかのプレイヤーが、マナゾーンのカードをタップせずに、クリーチャーをバトルゾーンに出した時、そのクリーチャーを破壊する。


 これでもかというくらいにベストなタイミングで繰り出された《マグナム》。これでは、クリーチャーの踏み倒しができない。これでは《「刃鬼」》を召喚することができても、出て来たクリーチャーが片っ端から破壊されてしまう。
「私のターン……《アクア・インテリジェンス 3rd G》を召喚」
 マナは十分にあるため、多少重いクリーチャーでも難なく召喚できる。とりあえず今は《マグナム》をどうにかして除去しようと考える希野。
(《アクア・インテリジェンス》なら、ガチンコ・ジャッジに勝って《マグナム》を手札に戻せるけど、返しのターンにまた召喚されるし、殴ったら《「刃鬼」》の能力が使いづらくなる……)
 《「刃鬼」》は相手のシールドの枚数分ガチンコ・ジャッジを行うので、下手にシールド割ったらその力が減衰してしまうのだ。しかし《マグナム》がいては《「刃鬼」》を召喚しても意味はない。
 希野がそんなジレンマを抱えていると
「呪文《父なる大地》。《アクア・インテリジェンス 3rd G》をマナゾーンへ送り、マナゾーンから《アクア・インテリジェンス 3rd G》をバトルゾーンへ」
「っ!」
 《アクア・インテリジェンス》をマナゾーンに戻され、バトルゾーンに現れたのは同じ《アクア・インテリジェンス》。召喚ではないため能力は発動しないが、それ以上に厄介なのが、
「《マグナム》の効果で破壊」
 この《マグナム》だ。
 《父なる大地》の効果で呼び出されたクリーチャーは、マナコストを支払わずにバトルゾーンに出ているため、《マグナム》の効果が発動する。
 次の瞬間、現れた《アクア・インテリジェンス》は《マグナム》の弾丸に貫かれ、破壊されてしまった。
「くっ、厄介なコンボを……!」
 相手クリーチャーを入れ替えるだけのはずが、《マグナム》と組み合わせることで、たった3マナで実質的な確定除去に変貌するのだ。
「あたしのターン《不敗のダイハード・リュウセイ》を召喚!」
 手札が《「刃鬼」》しかない希野は、引いたカードをそのまま出すしかない。次に現れたのは《不敗のダイハード・リュウセイ》。
「……《セブ・コアクマン》進化」
 クトゥルーのターン。《セブ・コアクマン》が光に包まれ、進化する。

「浮上せよ、崇拝せよ、狂喜せよ。夢見るままに待ちいたりし異星の化身、ここに目覚める——《エンペラー・セブ・マルコ X》」


エンペラー・セブ・マルコ X(エックス) 水文明 (5)
進化クリーチャー:サイバーロード/エイリアン 6000
進化—自分のエイリアン1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、カードを3枚まで引いてもよい。
W・ブレイカー


 《セブ・コアクマン》が進化したのは、エイリアンと化した《エンペラー・マルコ》。元々恐ろしい容貌をしていたが、エイリアンと化すことでさらにグロテスクになり、非常にショッキングな見た目となった。
「効果で三枚ドロー」
「……なんか、大仰に出した割には地味ね……」
 小さく呟く希野。手札補充もデュエマにおいては重要で、強力な能力なのだが、些か地味であることは如何ともしがたい。
 が、そんなことを言っている場合でもなかった。
「呪文《スパイラル・ゲート》。《ダイハード・リュウセイ》を手札に戻す」
「また除去された……!」
 今度はバウンスだが、連続で除去され、クリーチャーが場に残せない。
 希野デッキはクリーチャーの平均コストが高い。だからこそガチンコ・ジャッジで勝てるようになっているのだが、それが今は裏目に出てしまっている。手数で攻めることができず、一体一体ちまちま出していては、すぐに除去されて対応されてしまう。
「……! なら、これよ! 《爆走鬼娘モエル・ゴー》を召喚! 効果で山札から《黄金龍 鬼丸「王牙」》を手札に!」
 《モエル・ゴー》から手札に持ってくるのは《鬼丸「王牙」》。これなら、クトゥルーのクリーチャーを一掃でき、そのまま一気に攻め込める。《マグナム》も墓地に叩き落とせるので、次のターンには《「刃鬼」》も召喚できる。
 そう、思っていたが、
「……《未知なる弾丸 リュウセイ》を召喚」


未知なる弾丸(エックス・リボルバー) リュウセイ 闇/火文明 (7)
クリーチャー:アウトレイジMAX 7000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、カードを6枚自分のマナゾーンから選び、残りを墓地に置く。その後、相手はカードを6枚自身のマナゾーンから選び、残りを墓地に置く。
相手は、自身のマナゾーンにカードを置く時、タップして置く。
W・ブレイカー


 両腕にリボルバーを装着した、無法の《リュウセイ》が召喚された。
 刹那、《リュウセイ》の銃弾がクトゥルーと希野のマナゾーンに撃ち込まれる。
「互いにマナゾーンのカードを六枚選び、残りを墓地へ」
「そ、そんな……!」
 《リュウセイ》の能力は、互いのマナゾーンを六枚まで減らすというもの。クトゥルーは7マナしかなかったので一枚だけ墓地に送ったが、希野は11マナもあり、五枚ものカードをマナゾーンから墓地へと送らなければいけない。
(これじゃあ、次のターンに《鬼丸「王牙」》が出せない……!)
 完全に計画が狂った。《「刃鬼」》に続いて《鬼丸「王牙」》までもが封じられてしまうとは。
「あたしのターン……マナチャージして、ターン終了……」
 希野デッキは重い。このターン置いたマナはタップインされて使えず、たった6マナではどうしようもないので、そのままターンを終えた。
 そんな希野に、クトゥルーは追い打ちをかける。
「《穿神兵ジェットドリル》を召喚」
「また、そんなクリーチャー……!」
 《ジェットドリル》が出たことで、希野は山札と墓地からのマナ加速を封じられてしまう。マナを削られた直後にこれは痛い。
 どうにかこの状況を打開したいが、希野がこのターン引いたのは《偉大なる恵み》。削られたマナを一気に回復できるカードだ。《ジェットドリル》がいなければの話だが。
「……ターン、終了……」
 《偉大なる恵み》をマナに落とし、ターンを終える希野。これで2ターンもなにもできず、マナチャージだけで終えてしまった。
 その間にも、クトゥルーは次なる手を打ってくる。
「呪文《ザ・ストロング・スパイラル》。《マグナム》を手札に戻し、《超次元エナジー・ホール》。《アクア・アタック<BAGOON・パンツァー>》をバトルゾーンに」
 わざわざ自分の《マグナム》を手札に戻してから、《エナジー・ホール》でサイキックを呼び出すクトゥルー。そうしなければ《<BAGOOON・パンツァー>》は出た瞬間に破壊されてしまうので仕方ないのだが、やや面倒なことをしていると思わないでもない。
 だが、希野はそんなことを考えている暇もない。
「早く、なんとかしないと……」
 希野はクリーチャーを並べられず、対してクトゥルーは、攻撃こそ仕掛けて来ないが、かなりの数のクリーチャーを並べている。もう希野を倒せるだけの戦力を揃えているのだ。この状態で攻撃されれば、ひとたまりもない。
(用心深いのか……徹底的にこっちを潰して、反撃できないようにしてから、とどめを刺すつもり……?)
 現時点で手も足も出ない状況だが、さらに万全を期す、ということだろうか。ならばその間に、なんとか体勢を立て直さなくてはならない。
「……呪文《スクランブル・ターン》!」
 希野が苦しいのは、手札が枯渇している点もある。ここで一気にカードを引き、逆転手を探す。
「! ターン終了!」
 希望の光が見えた。希野は今しがた引いたカードを見遣る。
(《R.S.F.K.》……運頼みだけど、これで一気に突破する……!)
 ガチンコ・ジャッジで五連勝すれば、シールドを一気にブレイクしてそのままとどめを刺せる。
 幸いなことに、クトゥルーの場にブロッカーはいない。上手くいけば、次のターンには勝負を決められる。微かだが、光が見えてきた。
「…………」
 クトゥルーはそんな希野を、黙ったままジッと見据えている。相変わらず、まったく表情が変わらない。
「……《<BAGOOO・パンツァー>》の効果で、ターンの初めに二枚ドロー。《早撃人形マグナム》を召喚」
 前のターンに戻した《マグナム》を再び召喚するクトゥルー。さらに、
「《スベンガリィ・クロウラー》を召喚」
「なっ、ま、また……!?」
 今度は相手の召喚したクリーチャーをタップインする《スベンガリィ・クロウラー》を出される。これで《R.S.F.K.》を召喚したとしても、タップされるため攻撃できない。
 ことごとく戦術を潰されていく希野。ここまで行動を封じられると、流石に参ってくる。
(最初から感じてたけど、この閉塞感にも似た感じ……)
 この世のものではないような、なにかに束縛されているような感覚。
(なんだか、気持ち悪い……全身を縛られているような、なにかに取り囲まれているような……)
 とにかく、息苦しい。身動きが取れないまま、少しずつ海中に沈められているようだった。
(これが【師団】の四天王……『夢海星辰クトゥルー』なの……?)
 どこか問うように希野はクトゥルーへと視線を向ける。
 クトゥルーはただ、そんな希野をジッと見つめ返すだけだった——

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.548 )
日時: 2014/03/24 17:01
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 希野にとって非常に苦しい展開となった、クトゥルーとのデュエル。
 互いにシールドは五枚あるが、希野の場には《爆走鬼娘モエル・ゴー》が一体。対するクトゥルーは《早撃人形マグナム》《未知なる弾丸 リュウセイ》《穿神兵ジェットドリル》《スベンガリィ・クロウラー》と、ことごとく希野のプレイングを潰し、《エンペラー・セブ・マルコ X》《アクア・アタック<BAGOOON・パンツァー>》で手札を補充している。
(はっきり言って、この状態で一斉攻撃をかけられたらひとたまりもない……相手さんがそれをしてこないのは、恐らくS・トリガーまでも潰す手段があって、それを用意してから、万全を期して確実にあたしにとどめを刺すため)
 慎重すぎるほど慎重だ。だが、慎重であればあるほど良いなどということは、デュエマにおいてはありえない。
(慎重と言えば聞こえはいいけど、攻め時を見極められないデュエリストは三流……追い詰められてるあたしが言えたことじゃないなんてことは分かり切ってる。でも、相手がS・トリガーに怯えてるなら、その隙に付け込むしかない)
 相手が攻めないなら、それを隙と考えて、反撃の準備を進めるしかない。
 いくら潰されても、相手はこちらの動きに対応しているだけ。なら、対応できない状態で、逆に相手を潰せばいい。
「あたしのターン! 《国士無双カイザー 「勝×喝」》を召喚!」


国士無双カイザー「勝×喝」(ガッツ) 火文明 (8)
クリーチャー:レッド・コマンド・ドラゴン/ハンター/エイリアン 8000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分のドラゴン1体につき1回、相手とガチンコ・ジャッジする。こうして自分が勝つたび、相手のコマンド1体または相手のパワー7000以下のクリーチャーを1体破壊する。
スピードアタッカー
W・ブレイカー


 現れたのは、国士無双と呼ばれるほどにまで成長した《鬼無双カイザー 「勝」》。その一騎討ちにおける力は、並ぶものなしである。
 しかしその能力は、味方のドラゴンが並んでいるほど強力だ。希野の場にドラゴンは《国士無双カイザー 「勝×喝」》のみ。なのでガチンコ・ジャッジは一度しか行えない。
 だが、その一度だけで、十分だった。
「ガチンコ・ジャッジ!」
 たった一度のガチンコ・ジャッジ。
 希野はコスト7《アクア・インテリジェンス 3rd G》、クトゥルーはコスト4《セブ・コアクマン》。
「ガチンコ・ジャッジに勝ったので、パワー7000以下の《マグナム》を破壊!」
「…………」
 《マグナム》を破壊されてしまうクトゥルー。これで、希野は踏み倒しができるようになった。
「……《クリスタル・メモリー》を発動。ターンエンド」
「ならあたしのターンね。呪文《ドンドン吸い込むナウ》! 山札の上五枚を見て《偉大なる恵み》を手札に加えるわ。自然のカードを手札に加えたので、《ジェットドリル》をバウンス! そして呪文《偉大なる恵み》!」
 墓地のカードが三枚マナゾーンへと戻ってくる。
 これで希野のマナは12マナ。次のターンには《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》を出して、一気に大量のクリーチャーを展開できる。
(《マグナム》もいないし、これなら……!)
 相手が万全な状態でなければ攻撃できないというのであれば、それを利用するまで。相手が攻撃してこない間に、こちらは《「刃鬼」》を呼び出して一気に決める。
(《スベンガリィ・クロウラー》は邪魔だけど、それは適当な除去呪文か、マナゾーンの《国士無双カイザー 「勝×喝」》に破壊させればいい。ともかく、次で終わらせる)
 勿論、ここでクトゥルーが数にものを言わせて攻めてきたら別だが、恐らく彼はそうしないだろうと、希野は思っている。
 “ゲーム”の世界はサバイバル。状況に応じたフレキシブルな対応が求められるが、デュエルのスタイルというものは臨機応変にはなかなかなれない。特に強いプレイヤーであるからこそのこだわり、のようなものが生まれてしまう。あるいはジンクスか。
 『炎上孤軍アーミーズ』のように、臨機応変に対応し、プレイすることこそがこだわりのような者もいるが、クトゥルーはそうでないように見える。
(とはいえ完全にあたしの勘だけど……さあ、どう来る……?)
 希野がまだ手札に《「刃鬼」》を握っていることくらいなら、クトゥルーにも見抜けるだろう。だから問題は、彼がどう対応してくるかだ。
 除去か、ハンデスか、ブロッカーを並べるのか。
 結果を言うと、クトゥルーが取った行動はそのどれでもなかった。
 彼が行ったのは——自滅だ。

「《黒神龍ブライゼナーガ》を召喚」


黒神龍ブライゼナーガ 闇文明 (6)
クリーチャー:ドラゴン・ゾンビ 9000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のシールドをすべて自分の手札に加える。
W・ブレイカー


 次の瞬間、クトゥルーのシールドがすべて吹き飛んだ。
「《ブライゼナーガ》……!?」
 なぜそんなカードを、とでも言うかのように目を見開く希野。
(見たところ、相手のデッキはS・トリガーを多用するようなデッキではない。シールドにカードを仕込むこともしない。クラッチや、シールドが減って得するようなカードもないし、赤黒速攻のようにシールドから手札補充をするわけでも勿論ない。なにかしらのコンボ……いや、それもたぶんない)
 ならば、なぜ。
 クトゥルーの今見えているカードから見ても、《ブライゼナーガ》を投入する理由としては弱い。トリッキーかつリスキーなカードなので、入るデッキは限られる。基本的にはコンボを前提として使用するカードだが、クトゥルーのデッキにはそのコンボ性が見られない。
「《電流戦攻セブ・アルゴル》を召喚。効果で《アクア・カスケード<ZABUUUN・クルーザー>》をバトルゾーンに」
 実際、その後に彼が行ったことと言えば、ブロッカーを並べること。明らかにこちらの追い打ちを警戒している。追い打ちもなにも、シールドを吹き飛ばしたのは、他ならぬクトゥルー自身なのだが。
 クトゥルーの思惑が謎のまま、希野ターンが訪れる。確かにクトゥルーのプレイングは不気味だが、希野にはこのターンでクトゥルーを倒すことのできる切り札が——
(——! そうか……!)
 と、そこで希野は気付いた。
 クトゥルーが《ブライゼナーガ》で自らのシールドをすべて放棄したのは、自身のコンボのためではない。希野を妨害するためだ。
(相手のシールドがゼロってことは、《「刃鬼」》の能力が——)
 ——使えない。
 つまりは、そういうことだった。
(なんなの、それ……あたしの《「刃鬼」》を封じるためだけに《ブライゼナーガ》を入れて、しかも召喚するなんて、リスキーすぎるというか、ピンポイントすぎる……!)
 なにかのコンボで《ブライゼナーガ》を出し、それが結果的に《「刃鬼」》への妨害となるのなら分かる。
 だが、最初から《「刃鬼」》に対する対抗策ということだけを考えて《ブライゼナーガ》を繰り出す思考は、理解に苦しむ。
(なんなの、一体……こっちの手が透かされている……?)
 手の内どころか、すべてが見透かされているような気分だ。
 なにはともあれ、希野はこれで《「刃鬼」》を呼び出せなくなった。いや、呼び出すこと自体は可能だが、呼び出す意味はない。出たところで、ガチンコ・ジャッジは行えないのだから。
「なら、せめて……《R.S.F.K.》を召喚! 《国士無双カイザー 「勝×喝」》で攻撃!」
「ニンジャ・ストライク。《光牙忍ハヤブサマル》でブロック」
 もうクトゥルーのシールドはゼロなのだ。なら、ここは攻めるしかない。
 その攻めも、無為と化すのだが。
「呪文《超次元リバイヴ・ホール》。《ハヤブサマル》を回収、超次元ゾーンより《時空の凶兵ブラック・ガンヴィート》をバトルゾーンに。《国士無双カイザー 「勝×喝」》を破壊。《無双恐皇ガラムタ》を召喚」
「っ……!」
 詰んだ。希野の脳裏には、無意識のうちにそんな言葉が浮かんだ。


無双恐皇ガラムタ 闇/自然文明 (6)
クリーチャー:ダークロード/アース・ドラゴン 5000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
シンパシー:デスパペットおよびビーストフォーク
このクリーチャーが攻撃する時、このターンの終わりまで、誰も「S・トリガー」を使うことはできない。


 以前、黒村と少しデュエルしたことがあるが、その時彼も使っていたカードだ。
 完全に逆転手を封じられた。希野は返しのターン、なにもできない。引いた《永遠のリュウセイ・カイザー》は、むしろ自分がタップインされ、攻撃した《R.S.F.K.》も、ブロッカーに阻まれる。
 そしてクトゥルーのターン。
 《ガラムタ》でS・トリガーを封じられ、逆転は完全完璧に不可能。《ガラムタ》の刀剣に二枚、《<BAGOOON・パンツァー>》の砲弾に二枚、《リュウセイ》の弾丸に一枚、突き破られる。
 そして最後にとどめを刺すのは、異形なる異星の怪物。蠢く邪神の如き、化け物だった。

「《センペラー・セブ・マルコ X》で、ダイレクトアタック——」

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.549 )
日時: 2014/03/31 05:54
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 ルカとジークフリートのデュエル。
 互いにシールドは五枚。
 ルカの場には《正々堂々 ホルモン》。
 ジークフリートの場には《聖邪のインガ スパイス・クィーンズ》と、リンクした《真滅右神ラウドパーク》《光器左神サマソニア》。
「俺のターン! 行くぞ《超法 カツドンGO!》召喚!」


超(ビクト)法(レイジ) カツドンGO(ゴー)! 火文明 (5)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 4000
相手がバトルゾーンにクリーチャーを出した時、このクリーチャーがタップされていれば、その2体をバトルさせる。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《超法》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《超法》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


「エグザイルか……しゃらくせぇ」
 憎々しげに吐き捨てるジークフリート。しかし対照的に、ルカは非常に嬉しそうに、高揚した表情を見せている。
 その表情が、ジークフリートをさらに苛立たせた。
「ちっ、苛々するぜ……二体目の《光器左神サマソニア》を召喚! こいつの能力と、もう一体いる《サマソニア》の能力で、二枚ドローだ」


光器左神サマソニア 光文明 (5)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/メカ・デル・ソル 4000+
このクリーチャーまたは自分の他のゴッド・ノヴァ OMGをバトルゾーンに出した時、カードを1枚引いてもよい。
左G・リンク


 ドローとブロッカーで堅実に場を固めていくジークフリート。そして、やはり対照的だ。ルカはここで攻めに出た。
「《飛散する斧 プロメテウス》を召喚! 2マナブーストして、マナゾーンからカードを一枚回収! 《カツドンGO!》でシールドブレイク!」
 《カツドンGO!》のパワーは4000。ブロッカーである、リンクした《サマソニア&ラウドパーク》のパワーは7000。攻撃したところで、ブロックされて破壊されるだけだ。
「だが、エグザイルは破壊されてこそのクリーチャーだからな……」
 このタイミングで攻撃を仕掛けてきたということは、ルカの手札にはドロン・ゴー先が握られていると考えるべきだろう。
「一枚くらいならいいか……? いや」
 《カツドンGO!》の厄介なところは、こちらがクリーチャーを出すと、タップされている《カツドンGO!》と強制的にバトルさせられる能力だ。これにより、《カツドンGO!》がタップされていると、こちらはクリーチャーの召喚に実質的な制限をかけられ、仮にこちらのパワーが高くても、破壊してドロン・ゴーを誘発させてしまう。
「なら、ここでドロン・ゴーさせて、返しのターンに対処するのが吉か……《サマソニア&ラウドパーク》でブロック」
 《カツドンGO!》の攻撃をブロックし、《カツドンGO!》が破壊される。そして、
「《カツドンGO!》が破壊されたので、ドロン・ゴー発動! 《超法剣 カツキング GANG》!」


超(ビクト)法(レイジ)剣(カリバー) カツキング GANG(ギャング) 火文明 (8)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 8000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、またはこのクリーチャーが攻撃する時、相手のパワー3000以下のクリーチャーを1体、破壊する。その後、相手の「ブロッカー」を持つクリーチャーを1体、破壊する。
W・ブレイカー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《法》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《超法》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


 《カツドンGO!》がドロン・ゴーした姿は、もう一つの《カツキング》。レイジクリスタルの神秘によって生まれた、無敵ならざる超法の剣を携えし無法者。無法の中の無法の力を得た、《カツキング GANG》。
「登場時能力発動で、ブロッカーの《サマソニア&ラウドパーク》を破壊! 次のターンからも大暴れだ」
 得意気に言うルカだが、そんなことはジークフリートだって分かっている。
「んなこと想定内だっての。俺のターン、《真滅右神ラウドパーク》を召喚! 山札の上から三枚を墓地に送り、墓地の《霊騎左神ロラパルーザ》を回収。《サマソニア》とゴッド・リンク! さらに《スパイス・クィーンズ》の能力で、俺のゴッド・ノヴァOMGを召喚するコストは1下がる。残った3マナで《ロラパルーザ》を召喚! 《カツキング GANG》をフリーズ!」


真滅右神ラウドパーク 闇文明 (4)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/ドラゴン・ゾンビ 3000+
ブロッカー
このクリーチャーは、リンクしていなければ、攻撃することができない。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚を墓地に置く。その後、ゴッド・ノヴァ OMGを1体、自分の墓地から手札に戻してもよい。
右G・リンク


霊騎左神ロラパルーザ 光文明 (4)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/アーク・セラフィム 3000+
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、タップしてもよい。そのクリーチャーは、次の相手のターンのはじめにアンタップされない。
左G・リンク


 次々と繰り出されるゴッド・ノヴァOMG。無色ゴッド・ノヴァは軒並みコストが高いので大量展開には向かなかったが、ゴッド・ノヴァOMGは汎用性こそ無色のゴッド・ノヴァに劣るが、軽いうえに種族間でのシナジーが強いので、それを生かして次々と展開できる。
「《カツキング GANG》が攻撃できなくなっちまった……まあいいか」
 切り札級のアタッカーが動けなくなったというのに、ルカの反応は非常に軽い。彼の性格と言うのもあるのだろうが、それ以上に、彼にはまだ手が残されている。
「呪文《ヒラメキ・プログラム》! 《カツキング GANG》を破壊して山札を捲り、コスト9のクリーチャーを呼び出す! 閃け! 《超竜の潮流 コンコルド》! 《ホルモン》から進化!」
 《カツキング GANG》が破壊され、山札を捲り、現れたのはコスト9の《コンコルド》。さらに、
「さらに《法》の名を持つ《カツキング GANG》が破壊されたので、ドロン・ゴー発動! 《無法伝説 カツマスター》! 続けて《コンコルド》の能力で、マナゾーンから出て来い《無限皇 ジャッキー》!」
 ドロン・ゴーと《コンコルド》の能力で、このターン攻撃可能な大型クリーチャーを三体も揃えてしまうルカ。この爆発力は凄まじいの一言に尽きる。
「まずは《カツマスター》で攻撃! その時《カツマスター》の能力で、山札の上から三枚を墓地へ!」
 墓地に送られた三枚は《正々堂々 ホルモン》《突撃奪取 ファルコン・ボンバー》《規格外 T.G.V》。コストの合計は3+4+6で13。
「微妙だな……まあいい。コスト4の《ロラパルーザ》と合計コスト9の《サマソニア&ラウドパーク》を破壊だ!」
「《サマソニア》を破壊し《ラウドパーク》を残す。そして《ラウドパーク》でブロックだ!」
 たった一度の攻撃で、ジークフリートのゴッド・ノヴァOMGが三体まとめて薙ぎ払われてしまう。この突破力も相当なものだ。
「続けて《ジャッキー》で攻撃! 山札の一番上を墓地に送り、アウトレイジならバトルゾーンへ! 出て来い《カツキング GANG》! Wブレイクだ!」
 ジークフリートはこの攻撃はスルー。Wブレイクならリカバリが利くと考えたのか、S・トリガーに賭けたのか。どちらにせよ、ここでルカの攻撃は終わる。
「あんまりに調子に乗るんじゃねえぞ、ルカ! S・トリガー発動! 《支配のオラクルジュエル》!」


支配のオラクルジュエル 光/闇文明 (8)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
S・トリガー
相手のタップされていないクリーチャーを1体破壊する。
バトルゾーンにある相手のクリーチャーをすべてタップする。


 オラクル種族に伝わる古文書、オラクルの書。その1ページが開かれ、オラクルジュエルの力、その一部が放出される。
「アンタップ状態の《コンコルド》を破壊し、残りのクリーチャーはタップだ!」
 放出された力で、《コンコルド》は破壊され、他のクリーチャーはタップされる。これでルカのクリーチャーは、すべてこのターンはもう動けなくなってしまった・
「おおぅ、流石だジーク。俺の攻撃を止めるとはな」
「お前の攻撃を止めるなんざ、ロッテの世話に比べりゃ楽勝だ。俺のターン」
 攻撃は止めたものの、ルカの場には《カツマスター》《ジャッキー》《カツキング GNAG》と、まだ大型アウトレイジが三体残っている。
「はぁ……くっそ面倒くせぇ……」
「そうか? 俺はお前とのデュエル、楽しいけどな」
「黙れ」
 俺は全然楽しくねぇ、とルカの言葉を撥ね退けるジークフリート。
 しかし彼の苦言も、果てしない神話空間の中では、虚しく木霊するだけだった。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.550 )
日時: 2014/03/24 23:47
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 ルカとジークフリートのデュエル。
 ルカのシールドは五枚。場には《飛散する斧 プロメテウス》《無法伝説 カツマスター》《無限皇 ジャッキー》《超法剣 カツキング GANG》の四体。
 ジークフリートのシールドは三枚。場には《聖邪のインガ スパイス・クィーンズ》と、リンクした《サマソニア&ラウドパーク》。
 一気に大型アウトレイジを展開されて攻め込まれたジークフリートは、S・トリガーで凌ぐものの、まだルカの場には三体のアウトレイジが立っている。
「《ジャッキー》のせいで呪文は唱えられない……なら《霊騎左神ロラパルーザ》を召喚。《カツマスター》をフリーズし、さらに《封魔右神グラストンベリー》を召喚」


封魔右神グラストンベリー 闇文明 (5)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/グランド・デビル 5000+
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選ぶ。このターン、そのクリーチャーのパワーは−2000される。
右G・リンク


「《プロメテウス》のパワーを−2000して破壊。《ロラパルーザ》と《グラストンベリー》をゴッド・リンク。さらにパワー8000の《ロラパルーザ&グラストンベリー》で、パワー8000の《ジャッキー》を攻撃」
「相打ちだな」
 《ジャッキー》と《ロラパルーザ》が破壊され、ジークフリートの場に残ったのは《グラストンベリー》。
 ルカが1ターンで展開したアウトレイジ軍に比べては些か地味だが、ジークフリートも1ターンでルカのクリーチャーを二体破壊、《カツマスター》の動きも封じて見せた。
「だが、《カツキング GANG》は生きている。それだけで十分だ。《夢幻界廊 ヴァリアント》を召喚。そして《カツキング GANG》で攻撃! その時ブロッカーの《サマソニア&ラウドパーク》を破壊だ!」
「《サマソニア》を破壊し、残った《ラウドパーク》でブロック!」
 《カツキング GANG》の剣が、《ラウドパーク》を切り裂いた。シールドを守ったジークフリートは、代わりにまたゴッドを失い、これで場に残ったのは《グラストンベリー》のみ。
「ま、だが一体でも残ればなんとかなるだろ。俺のターン、まずは《ロラパルーザ》を召喚し《カツマスター》をフリーズだ」
 またしても《カツマスター》の動きが封じられる。
 だが、今回はそればかりではなかった。さらに、無法者たちへと牙を剥く存在が降臨する。

「生み出せ規律を、打ち壊せ無法を! 統制された世界のために、無法者へと逆襲せん——《逆襲の神類 イズモ R》!」


逆襲の神類 イズモ R(リターンズ) 光/闇文明 (6)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG 5000+
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーが攻撃する時、コスト5以下のゴッド・ノヴァ OMGを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
中央G・リンク


 現れたのは、聖邪の力に目覚めし《イズモ》。その、覚醒する直前の姿だ。
「《イズモ R》と《グラストンベリー》をゴッド・リンクだ」
「《ロラパルーザ》はいいのかよ?」
「お前の知ったことじゃねぇよ。《グラストンベリー》とリンクした《イズモ R》で《カツキング GANG》を攻撃だ」
 《グラストンベリー》とリンクした《イズモ R》のパワーは10000。パワー8000の《カツキング GANG》を一方的に討ち取れるが、それだけではない。
「《イズモ R》が攻撃する時、手札からコスト5以下のゴッド・ノヴァOMGを一体バトルゾーンに出せる。出て来い《ラウドパーク》! 《ロラパルーザ》とゴッド・リンク!」
 《ロラパルーザ》を残しておいたのは、リンクせずとも《カツキング GANG》を破壊できるというだけでなく、《グラストンベリー》とリンクさせることで除去耐性とパワーを上げるためだったようだ。
「成程な。ブロッカーは破壊されやすいし、リンクすれば相手よりパワーが低くても二回は止められるからな。流石だ」
「いいからとっとと消えろ」
 次の瞬間《カツキング GANG》は《イズモ R》の光線に撃ち抜かれ、破壊されてしまった。
「《カツキング GANG》までやられたか……これは《カツマスター》がやられるのも時間の問題だな」
 少しずつジークフリートに巻き返されるルカだが、しかしその表情には焦りではなく、歓喜しか浮かんでいない。
「いいぞ、やっぱりお前とのデュエルは最高だ……! 俺のターン! 呪文《無法のレイジクリスタル》!」


無法のレイジクリスタル 水/火文明 (8)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
S・トリガー
バトルゾーンの相手の、パワー6000以上のクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻す。その後、相手のパワー6000以下のクリーチャーを1体破壊する。


 アウトレイジ種族に伝わる古文書、アウトレイジの書。その1ページが開かれ、レイジクリスタルの力、その一部が解放される。
「パワー6000以上の《ロラパルーザ&ラウドパーク》をバウンス! パワー6000以下の《スパイス・クィーンズ》を破壊だ! そして《ヴァリアント》でWブレイク!」
「《ラウドパーク》でブロック!」
 ルカの攻撃を耐え凌ぐジークフリート。だが、長期戦になっても巻き返せなければ、負けるのジークフリートだ。
 《サマソニア》によるドローや《ラウドパーク》による墓地肥やしで、ジークフリートのデッキは十枚を切っている。そろそろ決めに掛からなければ、厳しいだろう。
「とりあえずは邪魔な《カツマスター》を消さねえとな。まず《スパイス・クィーンズ》を召喚。続けて《魔天聖邪ビッグディアウト》を召喚!」


魔天聖邪ビッグディアウト 光/闇文明 (7)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ OMG/デーモン・コマンド 7000+
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手のクリーチャーを1体破壊する。その後、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、タップしてもよい。
W・ブレイカー
右G・リンク


「効果で《カツマスター》を破壊! タップするクリーチャーはいねぇから、次に《イズモ R&グラストンベリー》で《ヴァリアント》を攻撃!」
 その時、能力で《ロラパルーザ》を呼び出して《ビッグディアウト》とリンクしつつ《ヴァリアント》をフリーズする。どうせバトルに勝つのだから、このフリーズは無意味に思われるが、
「《ヴァリアント》の能力発動! 山札の一番上を墓地へ!」
 墓地に送られたのは《終末の時計 クロック》。アウトレイジだ。


夢幻界廊(イリュージョン・インフィニット) ヴァリアント 火文明 (7)
クリーチャー:アウトレイジ 7000
このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、自分の山札の上から1枚目を墓地に置いてもよい。そのカードがアウトレイジであれば、このクリーチャーはバトルゾーンを離れるかわりにとどまる。
W・ブレイカー


「墓地に落ちたのがアウトレイジだから《ヴァリアント》は場を離れない!」
「ちっ、やっぱりか……だったら《ロラパルーザ&ビッグディアウト》でも攻撃!」
 フリーズさせといて良かったぜ、と呟くジークフリート。
 またバトルに負けて破壊される《ヴァリアント》だが、トップデックを墓地に送り、それがアウトレイジなら場を離れない。今回墓地へと送られたのは《疾封怒闘 キューブリック》。
「アウトレイジだ。《ヴァリアント》は場を離れない。さらに、俺のマナゾーンに水のカードが三枚以上ある状態で《キューブリック》が墓地に落ちたので、能力発動! 《イズモ R&グラストンべりー》をバウンス!」
「……《イズモ R》を手札に戻す」
 ジークフリートは《グラストンベリー》を残し、《イズモ R》を手札に戻した。スピードアタッカーで潰されることを懸念したのだろう。
 そしてその選択は、結果的には正解だった。
「《無敵剣 カツキングMAX》を召喚! 《グラストンベリー》を破壊だ!」
 《カツキングMAX》の登場時能力でパワー8000以下のクリーチャーが破壊されてしまうが、《グラストンベリー》を残しておいたことで《イズモ R》は破壊を免れた。
 だが、それは戻そうが戻すまいが関係なかった。
 どちらにせよ、もう《イズモ R》は不要だったのだ。
「ここでこいつか。マナも足りてる……」
 ジークフリートは引いてきたカードを見遣り、マナゾーンの枚数を数える。
 そして、
「……恐れろ民よ、敬せよ信者よ! 神すらも贄となり、神を超えた存在を証明す——」
 神を超えた神が、降臨する。

「——《超神類 イズモ》!」


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