二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Mythology
日時: 2015/08/16 04:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

 初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。

 本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。

 投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。

目次


一章『神話戦争』

一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33


二章『慈愛なき崇拝』

一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78


三章『裏に生まれる世界』

一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101


四章『summer vacation 〜夏休〜』

一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148


五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』

一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207


六章『旧・太陽神話』

一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292


七章『続・太陽神話』

一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404


八章『十二神話・召還』

一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424


九章『聖夜の賢愚クリスマス・ヘルメス

一話『祝祭の前夜ビフォア・イヴ
>>425
二話『双子の門番ツインズ・ゲートキーパー
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争パーティー・バトル
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲ノウレッジ・リベンジ
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447


第十章『月の下の約束です』

一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508


第十一章『新年』

一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573


十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』

一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610


十三章『友愛「親友だから——」』

一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637



コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』

一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482



デッキ調査室
№1『空城夕陽1』  >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137

人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.185 )
日時: 2013/10/14 20:11
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 クロは視聴覚室にて、何者かと対峙していた。
 それは、人の形こそ成してはいるが、人間とは思えない雰囲気を醸し出している何か。先端に縦長の水晶を付けた杖を持ち、顔は黒子のように隠れ、側頭部から二対の羽が生えている。
 クロは聞くまでもなく直感で理解した、目の前のこの惨事は、クリーチャーであると。しかも、その様子を見るからに呼び出されたクリーチャーではなく、呼び出すクリーチャー、イザナイだ。
「…………」
「…………」
 二人は向かい合ったまま、無言の時間が続く。クロもそうだが、このクリーチャーも無口なのか、まったく会話がない。
「……我が名は、ハゴロモ」
「知ってる」
 遂にクリーチャー、ハゴロモが名乗りを上げるが、クロは冷たいとも取れるあっさりした態度で流す。すると、また沈黙の時間が発生した。
 だが今度は長くは続かない。すぐさま、二人の間の空気が豹変する。



 よく分からないままに行われたクロとハゴロモのデュエル。ここまで、両者ともシールドは五枚、特に大きな動きは見せていない。
 クロの場には《蔵禄の守護者カメンビー》《白骨の守護者ホネンビー》《雷鳴の守護者ミスト・リエス》の三体。
 ハゴロモの場には《兵法のサトリ 孫子》《暗躍のサトリ 山椒》《犠心のイザナイ 一休》の三体。
「我がターン……我を召喚」


神光のイザナイ ハゴロモ 光文明 (6)
クリーチャー:オラクル 4000
光臨—自分のターンの終わりに、このクリーチャーがタップされていた場合、自分の山札を見る。その中からコスト8以下の無色クリーチャーを1体選び、バトルゾーンに出してもよい。その後、山札をシャッフルする。


 無色クリーチャーを降臨させる力を持つイザナイ、《ハゴロモ》。発動条件は通常の光臨と同じだが、踏み倒せるコストが8と広く、《策士のイザナイ ゾロスター》や、コストだけならあの《神聖斬 アシッド》をも上回る。
「私のターン。《ライフプラン・チャージャー》で山札から五枚捲って、《守護聖天タース・ケルケルヨ》を手札に加える。さらに《漆黒の守護者ハラッカダン》を召喚して、ターンエンド」
 手札、マナを増やしながら、場にガーディアンを並べていくクロ。小型ブロッカーばかりだが、最低限《ハラッカダン》で《ハゴロモ》と相打ちになるため、《ハゴロモ》が攻撃してアンタップできず、光臨は許さない。
 と、思われたが、
「《交錯のインガ キルト》召喚、効果で我をタップ」
 《ハゴロモ》は《キルト》の能力で攻撃することなく自身をタップ状態にしてしまう。
「ターン終了。その時、我の光臨発動。山札からコスト8以下の無色クリーチャーを降臨させる……《孫子》を進化」
 刹那、《ハゴロモ》の杖が白い光を放つ。その光は魔方陣のような紋章を描き、《孫子》を囲む。

「荒廃せし時代に終焉を、世界に新たな秩序を。全ての始まるたる無に、全ての事象を帰せ——《聖忌祀ニューウェイヴ》」


聖忌祀せいきまつニューウェイヴ 無色 (8)
進化クリーチャー:オラクリオン 13000
進化—自分の無色クリーチャー1体の上に置く。
T・ブレイカー
このクリーチャーまたは自分の他のクリーチャーが破壊された時、相手のクリーチャーを1体破壊する。
相手のターン中に自分のシールドがブレイクされた時、このクリーチャーは相手のシールドを1枚ブレイクする。


 《孫子》から進化し降臨したのは、二体の偽りの神。筋骨隆々の身体に、月と太陽を喚起させるような紋様と体色。
 進化したオラクリオンは、偽りの神でありながらも、本物の神に近い存在となる。二体で一体、一対の存在であることが、その証左だ。
「……私の、ターン」
 かなり厳しい展開となったクロ。《ニューウェイヴ》は普通にパワーや打点が打点が高い上に、下手に破壊すればこちらのクリーチャーも破壊されてしまう。
「だったら……《ミスト・リエス》進化、《守護聖天タース・ケルケルヨ》」


守護聖天タース・ケルケルヨ 光文明 (6)
進化クリーチャー:ガーディアン 9500
進化—自分のガーディアン1体の上に置く。
自分の他のガーディアンが破壊される時、墓地に置くかわりにこのクリーチャーの下に置いてもよい。
このクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーの下にあるクリーチャーを1体選び、表向きにして自分の山札の上に置いてもよい。そうした場合、そのクリーチャーをバトルゾーンに出す。
W・ブレイカー


 《ミスト・リエス》は光に包まれ、細い翼の生えた、平たい空母のようなクリーチャーへと進化する。
「さらに呪文《時空の庭園》。マナを追加し、マナゾーンから《シャングリラ》を《ケルケルヨ》の下に置く。《ケルケルヨ》でWブレイク」
 《ケルケルヨ》から光線が放たれ、《ハゴロモ》のシールドが二枚割られる。だが同時に、《ニューウェイヴ》からも光線が放たれ、クロのシールドが二枚ブレイクされた。
 やられたことをやり返す《ニューウェイヴ》。その能力で、シールドをブレイクされても、ブレイクし返す。
 だが、
「《ケルケルヨ》の能力発動、攻撃時、このクリーチャーの下にあるクリーチャーを山札の一番上に置いて、そのクリーチャーをタダで場に出す」
 《ケルケルヨ》の下にあるクリーチャーは二体。一体は進化元となった《ミスト・リエス》。そしてもう一体は、先ほど《時空の庭園》で仕込んだクリーチャー。

「墓地の《ハラッカダン》と《ドクロンビー》を進化元に、超無限進化Ω——《「無情」の極 シャングリラ》」

 《ケルケルヨ》から射出された光の球体は、墓地に落ちたガーディアンの魂を媒介に、その姿を顕現させる。
 全てを守りたいという思い、しかしそのためには外敵を排除しなければならないという現実。守るために破壊するという矛盾したガーディアンの思念がゼニスという形となった愛憎の守護者、《シャングリラ》。進化ゼニスというだけあって、相当強力な能力を有しているクロの切り札だ。
「《シャングリラ》で《ハゴロモ》を攻撃、その時《シャングリラ》のメテオバーンで、《ニューウェイヴ》を山札に送還」
 《ニューウェイヴ》が能力を発動できるのは破壊された時のみ。なので、《シャングリラ》のようにデッキに送り込んだり、バウンスなど破壊にはならない除去なら安全に処理できる。
 だが、クロは失念していた。《ハゴロモ》の場に《山椒》がいることを。
「《暗躍のサトリ 山椒》のウルトラ・セイバー発動……無色クリーチャーが場を離れる時、《山椒》を身代わりにし、破壊する」
「……っ!」
 《ニューウェイヴ》を囲む魔方陣に向かって突っ込む《山椒》。すると《山椒》は消滅したが、《ニューウェイヴ》は無傷。どころか、光線を《シャングリラ》へと放つ。
「《シャングリラ》が……」
 《山椒》が破壊されたことで《ニューウェイヴ》の能力が発動し、《シャングリラ》は破壊される。些細な見落としから、一気に劣勢となってしまったクロ。ここから巻き返すのは非常に困難だろう。
 そんなクロに向かって一対の存在となった偽りの神とその信者は、静かに彼女を見下ろすのだった。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.186 )
日時: 2013/10/15 02:24
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 ワンミスで窮地に追い込まれてしまったクロ。切り札である《「無情」の極 シャングリラ》は破壊され、残っているのは《守護聖天タース・ケルケルヨ》と《蔵禄の守護者カメンビー》《白骨の守護者ホネンビー》《漆黒の守護者ハラッカダン》の合計四体。
 対する《ハゴロモ》の場には、能力で《シャングリラ》を破壊しクロのシールドも二枚削った《聖忌祀ニューウェイヴ》。さらに《交錯のインガ キルト》と《犠心のイザナイ 一休》《神光のイザナイ ハゴロモ》の四体だ。
 互いにシールドは三枚、頭数も同じだが、《ニューウェイヴ》の制圧力が凄まじく、クロの動きが制限されてしまい、流れの主導権を《ハゴロモ》に握られている。
「我がターン……《一休》で《ケルケルヨ》に攻撃」
 《一休》のパワーは僅か1000、パワー9500の《ケルケルヨ》には遠く及ばず返り討ちにされるが、この攻撃にもれっきとした意味がある。
「《一休》が破壊された時、手札からコスト7以下の無色クリーチャーをバトルゾーンに……《神淵のカノン 愛染》」


神淵のカノン 愛染 無色 (7)
クリーチャー:オラクル 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分のクリーチャー1体をタップしてもよい。そうした場合、クリーチャーを2体まで、自分の墓地から手札に戻す。
W・ブレイカー


「《愛染》の能力で我をタップ、墓地から《山椒》と《一休》を回収。さらに《一休》が破壊されたことで《ニューウェイヴ》の能力発動……《ケルケルヨ》を破壊」
 次々と破壊されるクロのクリーチャー。対する《ハゴロモ》は、着々とクリーチャーを並べる準備を進めている。
「《キルト》と《ニューウェイヴ》で攻撃」
「《ニューウェイヴ》は《カメンビー》でブロック」
 《キルト》の攻撃はあえて受けるクロ。これで残るシールドは二枚、クリーチャーも《ホネンビー》と《ハラッカダン》だけだ。
「ターン終了。その時、我の光臨発動……《告別のカノン 弥勒》」


告別のカノン 弥勒 無色 (7)
クリーチャー:オラクル 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、相手の手札を見て、その中から1枚選ぶ。相手はそれを自身の山札の一番下に置く。
W・ブレイカー


 《弥勒》が場に出たことで、手札を公開させられるクロ。《ハゴロモ》はその中のカードをジッと見据え、一枚のカードを杖で指す。
「それだ。山札の下へ」
 山札の下に送られたのは《無情秘伝LOVE×HATE》。次のターン、墓地から《シャングリラ》を復活させて巻き返しを図るつもりだったが、それも失敗してしまう。しかも墓地ではなく山札の下に送るハンデスなので、墓地回収——クロのデッキなら《神託の守護者ミント・シュバール》など——でまた手札に入れることもできない。
 いよいよクロの打つ手がなくなってきた——ように思われたが、
「……もう一度、《タース・ケルケルヨ》を《ホネンビー》から進化」
 二体目の《ケルケルヨ》を呼び出すクロ。そして再び、あの呪文も唱える。
「《時空の庭園》を発動、マナから《ユートピア・エヴァー》を《ケルケルヨ》の下に。《ケルケルヨ》で《ニューウェイヴ》に攻撃」
 全速力で《ニューウェイヴ》に突っ込んでいく《ケルケルヨ》。しかし、《ケルケルヨ》ではパワー13000の《ニューウェイヴ》は倒せない。
「自爆か……?」
「違う。《ケルケルヨ》の効果で、《ケルケルヨ》の下にあるクリーチャーを山札の上に置き、そのままタダで場に出す」
 《ケルケルヨ》から射出されたのは、進化元となった《ホネンビー》などでは勿論ない。もっと強大で、狂的な力を持つ存在だ。

 「来て——《「破滅」の頂 ユートピア・エヴァー》」


「破滅」の頂 ユートピア・エヴァー 無色 (12)
クリーチャー:ガーディアン/アンノウン/ゼニス 17000
ブロッカー
このクリーチャーを召喚してバトルゾーンに出した時、次の相手のターン、相手のクリーチャーはすべて可能であれば攻撃する。
自分の他のクリーチャーが相手のクリーチャーとバトルする時、かわりにこのクリーチャーがバトルする。
バトルゾーンにある自分のクリーチャーを相手が選ぶ時、このクリーチャーを選ぶことはできない。
T・ブレイカー
エターナル・Ω


 《ケルケルヨ》から射出されたのは、七色に煌めく黒い金属的なボディ、各所にはブースターのような部位から溢れんばかりの光が発せられており、どこか無機質で狂気的な守護者。守護の力を暴走させ、敵を破滅へと導くゼニス、《「破滅」の頂 ユートピア・エヴァー》だ。
「《ユートピア・エヴァー》の効果で、《ケルケルヨ》の代わりに《ユートピア・エヴァー》が《ニューウェイヴ》とバトルする。《ニューウェイヴ》を破壊」
「……だが、《ニューウェイヴ》の効果は発動する」
 再び現れたゼニスに驚きを禁じ得ない《ハゴロモ》だったが、《ニューウェイヴ》の力で破壊すれば問題ないと判断を下す。しかし、
「? 《ニューウェイヴ》、どうした……?」
 《ニューウェイヴ》は手をかざしてはいるが、《ユートピア・エヴァー》に向けていない。どころか、どこに撃てばよいのか分からず困惑しているようですらあった。
「《ユートピア・エヴァー》は選べない。だから《ニューウェイヴ》で破壊することはできない」
 《シャングリラ》の時のミスを反省し、仮に《シャングリラ》の蘇生に失敗したとしても巻き返し、《ニューウェイヴ》の能力が発動することまで織り込んだ二段構えの作戦。ここまで完璧にクロの計画通りだった。
「ならば……《ハラッカダン》を破壊」
 直後、《ニューウェイヴ》の光線が《ハラッカダン》を射貫き、《ニューウェイヴ》も同時に消滅。ここで《ケルケルヨ》を破壊しなかったのは、次のターンに確実にとどめを刺すためだ。
 いくらゼニスが出ようとも、クロの残りシールドは二枚、ブロッカーも《ユートピア・エヴァー》のみだ。《ハゴロモ》の場にはW・ブレイカーの《愛染》と《弥勒》、通常アタッカーの《キルト》と《ハゴロモ》がいる。とどめまでは十分届くはず。
「《一休》を召喚。《愛染》でWブレイク」
「《ユートピア・エヴァー》でブロック」
 最初に特攻した《愛染》は、《ユートピア・エヴァー》に消し飛ばされるが、続く《弥勒》は《ユートピア・エヴァー》の隙間を掻い潜り、クロのシールドを割ろうと杖を振りかざす——
「ニンジャ・ストライク、《光牙忍ハヤブサマル》。《ハヤブサマル》をブロッカーにして、そのままブロック」
  ——が、それも《ハヤブサマル》——否、《ハヤブサマル》と入れ替わった《ユートピア・エヴァー》によって阻まれ、《弥勒》も消滅してしまった。
「……! まさか……!」
 これで《ハゴロモ》はこのターン、とどめまで行けない。シールドをすべてブレイクするのが精一杯だ。
「ぐ……《キルト》と我でシールドをブレイク! ターン終了時、我の光臨で、山札から《真実の名 リアーナ・グローリー》をバトルゾーンに!」
 残るクリーチャーで総攻撃をかけ、クロのシールドはゼロ。《ハゴロモ》もギリギリのところで《ユートピア・エヴァー》と同じく選ばれないブロッカー、《リアーナ・グローリー》を出して防御態勢を整えるが、
「呪文《大行進・スパーク》、相手クリーチャーをすべてタップ」
「っ!?」
 閃光と共に放たれる電撃。その電撃を浴び、《ハゴロモ》のクリーチャーはすべてタップされる。勿論、《リアーナ・グローリー》もだ。
「《ユートピア・エヴァー》でTブレイク」
「ぐぁ……」
 《ユートピア・エヴァー》から発せられる灼熱の熱線で、《ハゴロモ》の残りのシールドがすべて吹き飛ぶ。もう彼を守るクリーチャーも、シールドも存在しない。《ユートピア・エヴァー》を前にして、破滅をもたらされてしまった。そしてクロが築き上げたのは、自身の理想郷。
 守るものが何もない《ハゴロモ》に、翼の生えた空母が途轍もない勢いで突っ込んで来る。

「《タース・ケルケルヨ》で、ダイレクトアタック」

 凄まじい速度で突っ込む空母の直撃を喰らい、破滅の一途を辿るしかなくなった《ハゴロモ》は——正真正銘、破滅した。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.187 )
日時: 2013/10/20 03:13
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

「はぁ、ふぅ……適当に走り回ってたら、こんなとこまで来ちまった……」
 零佑は彼自身が言うように、なんとなく敵を蹴散らしながら走っていると、気付けば体育館前にいた。
 体育館は時間指定で軽音部や吹奏楽部によるコンサート、演劇部やクラスの出し物で行う劇が行われる場所だ。
 零佑はふと思う。もしかしたら、体育館の中にイザナイがいるのではないかと。事実、ここに来る道中、体育館に近付くにつれてクリーチャーの数が多くなっていたような気がする。
 見ないよりは見る方がいいだろうと判断を下し、零佑は体育館へと入る。暗幕が降ろされ、窓は完全に締切。少し蒸し暑く、暗い空間がそこには広がっていた。
 床一面に敷かれたグリーンシート、大量に並べられたパイプ椅子など、客を迎える準備は万全だが肝心の客は一人もいない。当然だ、《アテナ》の神話空間が展開されている中、一般人が入り込む余地はない。
 だが、一般人でないものなら、そこにいた。
「む、誰だ」
「いやいや、それはこっちの台詞だっつーの」
 一度ツッコんでから、軽く息を吐いて零佑は問う。
「……お前がイザナイか?」
 緑色の髪、先端から稲妻のような光を発する金色の杖、白を基調とした神官のような出で立ち。とても普通の人間とは思えなかった。
 そして実際、その通りだ。
「ああ、私の名は日蓮。お前の言うように、イザナイの一人だ」
 意外とあっさり、日蓮は自らの正体を告げた。自分たちが思っている以上に、このクリーチャー達は自身の情報に無頓着なのだろうか。
 予想していたものと違う反応だったためか、零佑は「調子狂う……」とぼやきつつ頭を掻く。
 そんな零佑に対し、日蓮は、
「ふむ、見つかってしまったか。そうかそうか、ならば致し方あるまいな」
「あ? なんだよ」
 ジッと零佑を見つめる日蓮。穏やかでどこか凛々しさのあるその表情は、親しみを持てそうであるが敵であると認識した瞬間、底知れなくなる。
「なに、私たちはクリーチャーを出来る限り呼び出せと命令されているのだが、もし敵対勢力に見つかった場合は、その者を排除せよとも言われているのだ。この意味、分かるか?」
「……分かりやすくて万々歳だ。いいぜ、手っ取り早く済ませようや」
 刹那、二人の間の空気が一変した。



 零佑と日蓮のデュエル。かなり勇んでいた零佑だが、しばらくデュエルが進むと、その勢いは完全に削がれていた。
 零佑のシールドはまだ五枚あり、うち一枚には《海底鬼面城》が要塞化されている。場には《エンペラー・ティナ》《クゥリャン》《電磁封魔ロッキオ》と、順調にクリーチャーが並んでいるが、今はもう10ターンほど経とうとしている。
 しかも日蓮のシールドはまだ四枚。場には《王機聖者ミル・アーマ》に、《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》が二体いる。
(軽いブロッカーばっか並べやがって、うぜぇ……しかも《ブラッディ・シャドウ》かよ……)
 いつかのミウとのデュエルでも零佑は《ブラッディ・シャドウ》に苦しめられた。パワーが高く、G・ゼロでタダ出しされるため、除去をバウンスに頼った零佑にとっては厄介なことこの上ない。
 このターンでまだ一枚しかシールドを割れてないとなると、速攻デッキにとっては苦しくなってくる。
「私のターンだ。《ねじれる者ボーン・スライム》と、この私《神来のイザナイ 日蓮》を召喚!」


神来のイザナイ 日蓮 無色 (5)
クリーチャー:オラクル 4000
光臨—自分のターンの終わりに、このクリーチャーがタップされていれば、自分の山札を見る。その中からコスト7以下のゴッドを1体、バトルゾーンに出してもよい。その後、山札をシャッフルする。


「俺のターン」
 《海底鬼面城》の効果も合わせ、手札を整理しつつ追加でドローする零佑だが、あまり良い顔はしない。
(こんな時に限って除去カードは来ねぇし……光臨でゴッドを呼ばれるのも厄介だから、ここでバウンスしときたいんだが……仕方ねぇ、こいつの能力を使うか)
 溜息を吐きつつ手札からカードを抜き取る零佑。
「《ムゥリャン》召喚、即破壊して一枚ドロー」
 俗に炸裂サイクルと呼ばれるクリーチャー、《ムゥリャン》。零佑は2マナ2000というコストパフォーマンスに注目して、《ローズ・キャッスル》でも破壊されない2コストのサイバーとしてデッキに投入しているのだが、本来は召喚時に破壊することで効果を発揮するクリーチャーだ。
「それでも来ねぇし……《電磁封魔ルチアーノ》と二体目の《ロッキオ》を召喚、山札を操作。《ティナ》でシールドブレイク!」
「《ブラッディ・シャドウ》でブロック」
 バトルに負け、《ティナ》は破壊されるが、逆スレイヤーを持つ《ブラッディ・シャドウ》も一緒に破壊された。
「結局《日蓮》はどうしようもなかったか……ターンエンド」
「ならば私のターン、《ボーンおどり・チャージャー》で墓地とマナを増やし、《アカダシ》を召喚」


戦攻のイザナイ アカダシ 水文明 (5)
クリーチャー:オラクル/アースイーター 3000
光臨—自分のターンの終わりに、このクリーチャーがタップされていれば、自分の山札を見る。その中からコスト7以下のアースイーターを1体、バトルゾーンに出してもよい。その後、山札をシャッフルする。


「また出た……」
 《日蓮》に続くイザナイ《アカダシ》も現れ、項垂れる零佑。
「私でシールドをブレイク!」
 《日蓮》が杖を振るい、光弾を飛ばして《海底鬼面城》のシールドをブレイクする。ミウの時もそうだったが、結果的に零佑の《鬼面城》は相手を手助けしてしまっているように感じる。現に今の《日蓮》は手札が豊富だ。
「ターン終了する時に私の光臨発動! 山札から出でよ、信者を導く神聖にして新星なる夢幻の神! 《夢幻左神スクエア・プッシャー》!」


夢幻左神スクエア・プッシャー 無色 (6)
クリーチャー:ゴッド・ノヴァ 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、またはこのクリーチャーがゴッドとリンクした時、自分の山札の上から2枚を墓地に置いてもよい。
W・ブレイカー
左G・リンク
このクリーチャーがリンクしている時、このクリーチャーはシールドをさらに1枚ブレイクする。


 降臨したのは、人型の神だった。白いローブをまとい、青白く光る剣を握っている。
「《スクエア・プッシャー》の効果で、山札の上から二枚を墓地へ!」
「……は? それだけ?」
 拍子抜け、と言うように口を開く零佑。光臨やゴッド・ノヴァならこのみとオーロラのデュエルでも見たが、マナを増やしたりクリーチャーを除去したりと、かなり厄介な能力を持っていた。
 しかしこの《スクエア・プッシャー》が行うのは、墓地肥やし。決して無意味なわけではないが、どうしても他のゴッドと比べると地味で見劣りしてしまう。
「まあいいか……シールドを割ってくれたお陰で、やっと除去カードが来た。《ムゥリャン》召喚、そのまま《アストラル・ラッシュ》に進化!」


アストラル・ラッシュ 水文明 (4)
進化クリーチャー:サイバー・ウイルス 5000
進化−自分の「サイバー」と種族にあるクリーチャー1体の上に置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のシールドが1枚もなければカードを3枚引き、1枚だけあれば2枚引き、2枚ちょうどあれば1枚引く。その後、バトルゾーンのクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻してもよい。


「いくら効果が地味でも、パワーと打点があるのはまずい。ドローは出来ないが、《スクエア・プッシャー》をバウンス!」
 激流に押し流され、《スクエア・プッシャー》は《日蓮》の手札へと戻る。
「さらに! 《アストラル・ラッシュ》で《日蓮》を攻撃だ!」
 《日蓮》も破壊され、流れは少しずつ零佑の方へと向いていく。
「この際だ、殴れるだけ殴ってやる! 残るクリーチャーで総攻撃!」
 《クゥリャン》《ルチアーノ》《ロッキオ》二体、合計四体のクリーチャーが一気に攻撃を仕掛けるが、流石の日蓮もこの猛攻は防御せざるを得ない。
「《ボーン・スライム》で《ルチアーノ》を、《ブラッディ・シャドウ》で《ロッキオ》を、《ミル・アーマ》で《クゥリャン》をそれぞれブロック!」
 結局、通ったのは《ロッキオ》の一撃だけだが、これで日蓮の場は《アカダシ》と《ミル・アーマ》のみ。シールドは残り三枚だ。
(山札の残り枚数から考えて、そろそろ《マリベル》や《ラッシュ》が引けるはず……除去カードさえ来れば、この先もっと楽になるはずだ)
 頭の中で先の展開を組み立てる零佑。彼の考えは正しい、ブロッカーを除去しながら殴れるクリーチャーが来れば、それだけで戦況は零佑に傾くはずだ。
 だが、日蓮は表情を崩さない。そのどこか余裕を持った表情は、まだ何かを隠しているかのような、そんな不安を零佑に煽っていた。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.188 )
日時: 2013/10/20 13:56
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

どうも、タクです。クロとハゴロモのデュエマでは、無口と無口のデュエマになりましたね。ハゴロモの《ニューウェイブ》はクロの戦法を崩していきましたが、最後の最後で《ユートピア・エヴァー》に逆転負けを喫しましたね。
また、零佑と日蓮のデュエマでは、今のところ零佑が押していますが、どうなることやら・・・・・・。

スーパーデッキの新情報が入り、絶対買おうと決め込んでいます。《リュウセイ》に《ボルバルザーク・エクス》、《ボルシャック・クロスNEX》が採録されると聞き、本当に嬉しい限りです。

こちらも、大分更新しましたが、モノクロさんも無理せず執筆に励んでください。それでは、また。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.189 )
日時: 2013/10/24 03:50
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 返信が遅れてしまい、申し訳ない限りです。モノクロです。

 遂にテストが終わりました。これで気兼ねがなくなります。まあ、結果は悲惨なことになっているでしょうが。というか、テストが終わったからっていいことずくめというわけでもないんですよね……

 そんなことはともかく、ハゴロモとクロのデュエルですが、無口同士の対決になったのは狙ったわけではなく偶然です。元々ハゴロモは無口なイメージがあったので、なんとなくクロとぶつけてみたらこうなりました。
 しかし、《シャングリラ》は当然のように強力ですが、《ユートピア・エヴァー》も動かしてみると意外と強いです。モノクロも最初は使いにくい効果だと思ったのですが、このサイズでアンタッチャブルとブロッカーを持ってると、かなり突破と防御が難しいですね。バトル置換も効果も地味に強いですし。

 零佑と日蓮は、まあ一進一退と言うか、半ば膠着状態ですね。若干零佑が勢いを取り戻していますが。
 日蓮は今までの初期ゴッド・ノヴァサイクルを操るイザナイとはかなり異なった戦術を取ってきます。ヒントは日蓮の切り札である《スクエア・プッシャー》と、序盤の小型クリーチャーですかね。

 スーパーデッキの情報はまだあまり掴んでいませんが、相当豪華みたいですね。《リュウセイ・カイザー》や《ボルバルザーク・エクス》なんかが構築済みデッキで手に入るとなるのは、確かに朗報かもしれませんね。まあ、モノクロはどうせ対戦相手がいなくてプロキシカードで小説用のデッキを動かすだけなので、関係ありませんが。
 とりあえず注目するのは新規カードですかね。最近はアウトレイジばかりが増えて、夕陽のデッキのバリエーションがあまり増えないのが悩みなので、《リュウセイ》や《ボルバルザーク》に加えて、新規ドラゴンとかも出て欲しいところです。


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