二次創作小説(紙ほか)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

デュエル・マスターズ Mythology
日時: 2015/08/16 04:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

 初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。

 本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。

 投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。

目次


一章『神話戦争』

一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33


二章『慈愛なき崇拝』

一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78


三章『裏に生まれる世界』

一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101


四章『summer vacation 〜夏休〜』

一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148


五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』

一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207


六章『旧・太陽神話』

一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292


七章『続・太陽神話』

一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404


八章『十二神話・召還』

一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424


九章『聖夜の賢愚クリスマス・ヘルメス

一話『祝祭の前夜ビフォア・イヴ
>>425
二話『双子の門番ツインズ・ゲートキーパー
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争パーティー・バトル
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲ノウレッジ・リベンジ
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447


第十章『月の下の約束です』

一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508


第十一章『新年』

一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573


十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』

一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610


十三章『友愛「親友だから——」』

一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637



コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』

一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482



デッキ調査室
№1『空城夕陽1』  >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137

人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.426 )
日時: 2014/02/21 20:47
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

「——で、なんでみんな制服なの?」
 集合場所に指定した駅で、夕陽はそんな疑問を投げかける。
 自分もそうだが、このみも姫乃も流も、汐に至るまで、全員どういうわけか学校の制服を着ていた。
「だってパーティーでしょ? ちゃんとした格好じゃないとダメかなーって思ってさ」
「うん……それに、わたしが持ってる服で一番高価なのが制服だから……」
「右に同じく」
「です」
 ということらしかった。
 まあ概ね夕陽も同じような理由だが、全員が全員ほぼ同じ格好というのも奇妙だ。
「……まあいいや。とりあえず行こう」
 このみが集合に遅れたせいで時間が押している。指定された時刻までまだ時間はあるが、移動のことも考えるとそうゆっくりもしていられない。
 そう思いながら駅構内を進む最中、
「ゆーくん、ゆーくん!」
「なんだよ遅刻常習犯」
「ゆーくん、なにか気づかない?」
「は? なにがだよ。お前はいつも通り——」
「あたしじゃなくて! 姫ちゃん」
「光ヶ丘?」
 このみに指差された人物を見遣る夕陽。前を歩いている姫乃、その後頭部でぴょこぴょこと揺れる尻尾。
「ほら、ね?」
「……いや、別に」
 このみの言葉に素っ気なく答える夕日。それが不服なのか、このみは頬を膨らませる。
「分かってるくせにそういうこと言うのやめなよ。本当にゆーくんはそーゆーとこ変わってないね。ほら、姫ちゃん!」
「え、え!? な、なに、このみちゃん!?」
 急に腕を引っ張られて焦る姫乃。夕陽の正面に立たされ、面と向かう形になる。
「な、なにかな……」
「それはこっちが聞きたい」
「ほら、ゆーくん。姫ちゃんをちゃんと見て。ドヤ!」
「違うだろ」
「ど、ドヤ……?」
「だから違うだろ! 髪型のことだろ」
「やっぱ気づいてるじゃん」
「あ……」
 してやられた。まさかこのみの誘導尋問に引っかかるとは。夕陽、一生の不覚。
 姫乃の髪型がポニーテールに変わっていることは最初から気づいていたが、このみもも汐も流も、姫乃自身もなにも言わなかったので、夕陽もあえてなにも言わなかった。言う必要もないと思っていたのだが、そういうわけにもいかないようだった。
「姫ちゃんも、ほらほら」
「あ、う、うん……」
 このみに押され、姫乃は上目遣いになりつつもしっかりと夕陽を見据える。
 そして、必死に声を絞り出した。
「ど、どうかな……?」
「……いいんじゃないか」
 視線を姫乃から外し、短く答える夕陽。
 直後、このみがまた姫乃を引っ張って、夕陽から離れる。
「ねぇこのみちゃん、空城くん、なんか冷たいよ……?」
「あれは照れてるんだよ。姫ちゃんがあまりに自分の好みにストライクで可愛すぎるから正直になれないだけだよ。まったく素直じゃないよね、ゆーくんは」
 こそこそと話し合う二人を見つめる夕陽。最近、あの二人の様子がおかしいとは思っていたが、今日という日はさらにおかしい。
「なんなんだ、あの二人……」
 さらに言うと、夕陽を含めた三人が急におかしな行動を取り始めたと見る者もいる。
「御舟汐、あの三人はなにをしている?」
「私にもよく分からないです」
 と、そんなやり取りが繰り広げられる夕陽たち。
 それは“ゲーム”だけでなく、夕陽たちの関係も変わりつつあるということを、示しているのかもしれなかった。



 電車での移動はスムーズに行えたが、その語の移動に時間がかかってしまった。
 開錠は大きなビルらしいので、もっと早く見つかるものと思っていたが、地図があっても昼と夜ではものの見え方がかなり違ってくる。その上、思いのほか辺鄙なところに建てられたビルだったので、見つけるのに苦労した。
 だがなんとか、最終的には目的地に辿り着けた。
「うわぁ、大きいねぇ」
「このビルティングのすべてを【神格社界】で借り切っているのですか……どれだけのお金が動いているのでしょうか」
 周りに建物はなく、人通りもほとんどない。そんな辺鄙な場所に、会場のビルは建っていた。
「“ゲーム”の世界というある種、裏社会的な団体が集う場所としては、適切だとは思う」
「この中にも、わたしたちの『神話カード』を狙ってる人はいるんだよね……」
 全員がビルを見上げてそれぞれの感想を述べる。
 だが、いつまでもこんなところで立ち尽くしているわけにもいかない。
 夕陽は先陣を切るように、最初の一歩を踏み出した。
「じゃあ……行こうか」



 開錠のビルは、見た目が巨大だが、中も広大だった。
 しかも絵に描いたような豪華っぷり。天井にはシャンデリア、床は赤いカーペット、そして壺や絵画などの調度品の数々。
 通路でこれなのだ、本会場はどうなっているのか。ある種の期待を抱きながら、夕陽たちは進んでいく。
「借りてるのはこのビル全部なのに、実際に使用するのは大きなホール一つだけって、凄まじい金の無駄遣いだよな……」
「それも、一般人に被害を出さないようにするためなのでしょうが……」
 指定された階に来て、また長い通路を進んでいく。
 そしてその道中。
「なんかすげえな。どこもかしこもピカピカだ!」
「わーピカピカ! キラキラ!」
「すごい豪華ですの。わたくしには、少々もったいないんですの」
「…………」
 アポロン、プロセルピナ、ヴィーナス、そしてネプトゥーヌス。四体にクリーチャーも、この豪奢な内装に見入っていた。
「クリーチャーにも、こういう装飾とかって分かるのかな?」
「さてな。フィーリングで感じているようにも見えるが」
「みんな元気だよねー。さすがのあたしでも、この中で騒ぐ気にはなれないよ……ちょっとわくわくはするけどね!」
「どうでもいいけどさ……君ら、ちょっとうるさいよ。いくら一般人がいないからってはしゃぎすぎだ。あんまりうるさいとカードに戻すよ」
 夕陽の注意など聞く耳持たずで、あっちやこっちやとちょこまか動き回る『神話カード』たち。その様子を見て、夕陽は溜息をつく。
「はぁ、ダメだこりゃ……」
 彼らがコンセンテス・ディー・ゼロと呼ぶ状態、デフォルメされた『神話カード』は、一部を除いてかなり精神面が幼い。
 これからなにが待ち構えているかも分からない状態なので、これ以上精神を削りたくないと思った夕陽は、アポロンたちへの注意を諦めた。
 それからしばらく歩き、会場に繋がると思しき扉を発見した。
 同時に、その扉の横で門番の如く待機する、二人の人物も視界に入ってきたが。
「……双子?」
 思わず、夕陽はそんな声を漏らす。
 視界に入ってきた二人の人物。扉の横、左右に一人ずつだ。長机の上には名簿らしきものや大量に積みあがった紙などがあり、恐らくは受付係だろう。
 だがその受付が、予想の斜め上を行く容姿をしていた。
 まず、明らかにその二人は幼い風貌をしている。ともすれば汐よりも年下なのではないかと思えるほどだ。
 そして次に、その二人の容姿は限りなく酷似している。年相応の小柄な体躯を包むのは、それぞれ水色と黄緑色のワンピースのようなドレス。二人とも、パッと見では同じ顔に見えたが、よく見ると違う。水色のドレスを着ている少女は、目が少々吊り上っており、勝気な瞳をしている。一方黄緑色のドレスを着た少女は、やや垂れ目気味で、弱気な雰囲気がある。髪はどちらもサイドテールだが、勝気な少女は左、弱気な少女は右で括っていた。
「……パーティーにご参加する方々ですか?」
「え? あ、ああ、はい……」
 勝気な少女は、夕陽たちを一瞥すると、少女らしからぬ事務的な口調で尋ねる。そのキャリアウーマン然とした雰囲気に面喰い、夕陽は思わず敬語で答えてしまう。
「では、招待状を拝見させていただきます。招待状を提示して、この名簿にお名前を記入してください」
 だが少女はそんなことなど意にも介さず、淡々と事務的口調で手続きを進めていく。
 夕陽は招待状を机に置き、渡された名簿にボールペンで名前を書く。と、その時。
「『昇天太陽サンセット』?」
 勝気な少女が、疑念を抱いた声を上げる。
「なんであなたがここにいるの?」
「え、いや、なんでって……」
 そして、目の前の夕陽の問うた。その少女らしい口調、しかしどこか敵意を含んだ声に、さっきまでの事務的な口調とのギャップがあって言葉に詰まる。
「……うさ、この五人、呼んだ?」
「えっと、ちょっと待ってて、ささちゃん」
 ささと呼ばれた勝気な少女は、夕陽の返答を待たず向かいにいる弱気な少女に呼びかける。
 うさと呼ばれた弱気な少女は、勝気な少女の言葉を受けて脇に置いてあったタブレットに目を通す。
「……データにはないから、呼んではいない、と思う……」
「そういうわけだから。呼んでない人はここには入れないわよ」
「いやいや、ちょっと待てよ」
 いつのまにか話がどんどん進んでいき、夕陽はストップをかける。
「呼んでないって、僕らはこうして招待状を持ってるだろ」
「でも、それを送った履歴はないわ。なにかの間違いじゃないの」
「さ、ささちゃん……」
 夕陽を突っ撥ねる勝気な少女に、今度は弱気な少女が歯止めをかけた。
「招待状は持ってるんだし、通してあげようよ……招待状なしでここを通した人もいるんだし……」
「それはそれよ、うさ。どうでもい連中ならともかく『昇天太陽サンセット』を中心とするこの五人は“ゲーム”の中の火種みたいなもの。不用意に中に入れて、大事にでもなったらこっちが困るのよ」
「で、でも……」
 どういうわけか、少女二人の間で対立が起きていた。対立というには、弱気な少女が押されているが。
「じゃあ、こうしましょう」
 しばし二人の間で口論があったが、やがて勝気な少女が妥協点を提示する。
「“ゲーム”の揉め事を解決するのはデュエルよ。だから、あたしとうさの二人が、あなたたち五人のうち二人と戦う。あなたたちが二勝すれば、ここを通すわ」
 要するに、通りたいなら押し通れ、ということらしい。
 分かりやすいが、いまいち釈然としない。
「……どうする、みんな」
 とりあえず夕陽は、
「あたしはオッケーだよ」
「分かりやすくていいではないですか」
「う、うん。わたしも、いいよ」
「俺も構わない」
 四人は普通に承諾した。
 夕陽が振り返ると、いつの間にか二人の少女は、扉の前に立ち塞がっていた。
「じゃあ、早く対戦する二人を選んでちょうだい。こっちもスケジュールが詰まってるから」
「ご、ごめんなさい。ささちゃんは、こういう性格で……で、でも、悪い子じゃないんです」
 こちらはこちらで、二者二様の態度。見た感じ双子のようだが、性格は完全に逆方向だ。
「……とりあえず、一人は僕が行く。あと一人はどうする?」
 真っ先に夕陽がカウントされ、あと一人。すぐに手を上げる者はいなかったが、このみが前に出て来た。
「それなら、ゆーくんが行くならあたしが——」
「待って」
 だがそんなこのみを止める者が一人。
 姫乃だ。
「わ、わたしが……行く」
「光ヶ丘……?」
 なにか決意したように前に出て来る姫乃。このみはそんな彼女を見て、大人しく引き下がった。
「うん、分かった。じゃあ姫ちゃんに任せるよ」
「ありがとう、このみちゃん」
 二人の間で、見えないなにかしらのやり取りがあったようだが、夕陽には分からない。
 ともあれ、選出メンバーは決定した。
「決まったようね。そっちは『昇天太陽サンセット』と……『大慈光姫メルシー』か。じゃあ、あたしの相手は『昇天太陽サンセット』、あなたよ」
 夕陽は名指しプラス指差しで指名される。だが、異論はない。
「じゃ、じゃあ、わたしの相手は『大慈光姫メルシー』さんだね。お願いしますっ」
 こちらは姫乃。ぺこりと頭を下げられ、反応に困る。
「なら、自己紹介はしておくわね。あたしはささみ、【神格社界】運営の秘書官よ」
「お、同じく【神格社界】運営秘書官、うさみです……よ、よろしくお願いします」
 運営、という言葉に引っ掛かりを覚えるが、今はさておき。
 対戦カードは、夕陽vsささみ、姫乃vsうさみ。
 この対戦に勝てば、会場へと進める。
(しっかし、パーティーの受付だけで、こんなことになるなんてな……)
 やはりここも“ゲーム”の世界の一つなのだと、思い知らされる。

 そして、四人二組は、神話空間へと突入した。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.427 )
日時: 2014/02/22 02:15
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

どうも、タクです。ついに、メソロギィ2枚が元々の持ち主の元へ還されましたか。

まず、亜実対栗須のデュエルですが、《偽りの名 スネーク》や《シャーロック》で押していくも、栗須は《マルス》の前に敗北を喫しましたね。やっぱり、強さが半端ないです『神話カード』は。何より、亜実の力を100%引き出せているわけですから、《マルス》は亜実の最高の相棒と言って良い訳ですね。
そして、流対ハスターですが、ラララオプティマスは自分の小説でもやっていましたから、大方分かりますが、かなり複雑になっていますね。《魅惑のダンシング・エイリアン》とか久々に見ましたよ。まあ、それを掻い潜って何とか流は勝利することが出来たので良かったです。

少々ラブコメ要素が入ってきたり、【神格社交界】の新キャラが出てきたりで、なかなか面白くなってきています。ラブコメは、大概自分の作品では入れていますが、いつもそれで自爆しているんですよね……。
今回出てきたうさみとささみは双子キャラというわけですが、使うカードが何か楽しみです。自分の予想では、ゴッド辺りですかね。2人で1つということで。
というわけで、デュエルの展開を楽しみにしています。


ところで、お願いがあるのですが、『神話カード』の更に詳しい容姿を文章で相談室の方に載せていただけませんか?
というのも、自分イラスト描きを趣味にしていて、一度『神話カード』の面々を描いてみたくなってしまった所為なんですね。はい。というより、何度かトライしているのですが、作中の本文だけではイメージが難しくて……。いや、モノクロさんの文力が低いとかそういうのではなく、単に自分の実力不足なんですがね。イラストの。

いや、すみません。無理は言いませんし、載せていただいたからと言って何もお礼をすることも出来ないので、スルーしていただいて結構です。イラスト版の使い方も分かりませんから、描いた絵をアップさせることも出来ませんから。本当ならこんな話も相談室の方でやれば良いと思うのですが、どうもエラーが起こって書き込めないんですよね……。原因も良く分かりません。
まあ、出来ればお願いしますということで。

さて、ミラミスのプレミアム殿堂も決定したので、栗須のデッキの変更を報告しておきます。まあ、ドロマーカラーのデーモン・コマンドといったような感じです。

それでは、また。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.428 )
日時: 2014/02/22 03:07
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

タクさん


 ですね。今まで持て余していた二体の『神話カード』が遂に持つべきものが持つようになった、という感じです。いやぁ、ここまで長かった……

 今回の栗須は地味に《スネーク》が活躍していました。クリーチャーが出るたびにマナと手札を増やしますからね、後続を確保しやすいです。あとは《ゼキア・エクス・マキナ》ですかね。
 一方亜実は、《マルス》で逆転しますが……まだ《マルス》の力をすべて使い切った、とは言えませんね。とりあえず今回はシールド焼却が役に立ちましたが。あと、今回亜実が使用したのは夕陽が組んだデッキですからね。
 しつこいですが、ハスターのコンボは実用性よりロマンです。なのでラララオプティマスはお膳立てさえすればどんな勝ち方でもできちゃいますが、恐らく確実に勝てる《iformulaⅩ》ではなく、普段なら使いにくい《魅惑のダンシング・エイリアン》を使用しています。使いにくいカードを、コンボを利用して使い、勝利することに、彼は喜びを見出しています。
 ちなみに、《キューブリック》はちょっと強引だったかな、と思ったり思わなかったり。《サイバー・G・ホーガン》がいるとはいえ。

 姫乃の思いの行方も、今作のテーマの一つですね。これは一つの章で集中してやるのではなく、一章ごとに少しずつ織り込んでいく、言ってしまえばラノベ形式なので、そこ辺りもお楽しみに。
 さて、それはどうでしょうか。本作品はアウトレイジとオラクルの戦いをイメージしている部分もあるので、【神格社界】がどちらのサイドとして見るかで、なにを使用するかは予想が変わるかもしれません。

 ほぅ、そうなんですか。モノクロも一時期イラストに挑戦したことがありますが、挫折しました。モノクロは文章一本で頑張ります。
 まあ作中でもちゃんと描写しているとは言い難いですからね。というか、モノクロも明確なヴィジョンを持っているわけではないクリーチャーが多いですからね……イメージできるだけの説明がないので、描けないのは必然とも言えるかもしれません。
 いえいえ、いつかは『神話カード』の詳細もどこかに載せようと思っていたので、それが後になるか先になるかというだけの話です。問題はありません。
 絵のアップはスキャナーとかが必要なんじゃないですかね? いや、モノクロにもよく分かりませんが。
 もしアップできるようになったなら、お知らせいただけると嬉しく思います。こちらも、無理にとは言いませんが。
 問題があるとすればいつ載せられるかですが……近日中、というかこの土日でできる限り頑張ります。載せられるとすれば、《アポロン》《プロセルピナ》《ヴィーナス》《ネプトゥーヌス》《マルス》の五体になると思います。こいつらはもう隠してることないんで。もしかしたら《ユピテル》と《ユノ》も入るかもしれませんが。
 あまりエラーが出るようなら、一度管理人に問い合わせてみてはどうでしょう? とはいえ管理する方も忙しいので、すぐに解決はしなさそうですが……

 栗須のデッキは《ミラクルとミステリーの扉》より、《ポジトロン・サイン》が殿堂入りしたのが痛いと、個人的には思っています。
 なお、踏み倒し特化の栗須のデッキはアンノウンが主体となっていました。別に意識したわけではないのですが、いつの間にか……まあ、意識した時点で《ペッパーシウバ》とか出し始めちゃいましたけどね。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.429 )
日時: 2014/03/26 20:54
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 夕陽とささみのデュエル。
 夕陽のシールドは五枚、場には《コッコ・ルピア》と《エコ・アイニー》。
 一方ささみのシールドも五枚、場には《一撃奪取 ブラッドレイン》《閻魔王子 クーマン》の二体がいる。


閻魔(ヘル)王子(プリンス) クーマン 闇文明 (4)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 4000
このクリーチャーが攻撃する時、相手は自身の手札を1枚選び、捨てる。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に「閻魔」とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に「クーマン」とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


「あたしのターンよ。《突撃奪取 ファルコン・ボンバー》を召喚!」


突撃奪取(ロケットダッシュ) ファルコン・ボンバー 火文明 (4)
クリーチャー:アウトレイジ 3000
スピードアタッカー
このクリーチャーが攻撃する時、そのターン、バトルゾーンにある自分の他のクリーチャー1体は「スピードアタッカー」を得る。


「スピードアタッカー……」
 しかもただのスピードアタッカーではない。《ファルコン・ボンバー》は、攻撃と同時に味方一体をスピードアタッカーにするアウトレイジだ。
 なにか嫌な予感がする。そんな夕陽の予感は、不幸なことに的中した。
「《閻魔王子 クーマン》で攻撃! そしてアタック・チャンス発動よ! 《EXカツトンファー》!」


EX(エグザイル)秘伝カツトンファー 火文明 (4)
呪文
アタック・チャンス—エグザイル・クリーチャー
このターン、バトルゾーンにある自分のクリーチャー1体のパワーは+6000され、シールドをさらに1枚ブレイクする。そのクリーチャーがこのターン攻撃した場合、攻撃の後、そのクリーチャーを破壊してもよい。


「っ、やば……!」
 単純にブレイク数やパワーが上がるだけでも強力な呪文なのだが、このカードの真意はそこではない。
 エグザイル・クリーチャーのアタック・チャンスで唱えられたこの呪文の対象に選ばれるのは《クーマン》。《クーマン》はエグザイル秘伝のトンファーを構え、夕陽のシールドを二枚、叩き割った。
「まずは《クーマン》の能力発動! 手札を一枚捨てなさい」
「くっ……」
 夕陽は渋々手札のカードを墓地へ。さらに、これだけでは終わらない。
 《カツトンファー》の能力を得たクリーチャーは、攻撃後に破壊することができる。普通はクリーチャーを破壊しても、場数が減り、デメリットになるだけだが、エグザイル・クリーチャーの場合は話が変わってくる。
「《カツトンファー》の能力で《クーマン》を破壊! そして——」
 《クーマン》が破壊される。だがその命は、新たな身体を得て蘇るのだ。

「——ドロン・ゴー! 《百仙閻魔 マジックマ瀧》!」


百仙(バイト)閻魔(ヘル) マジックマたき 水/闇文明 (7)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 7000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーが攻撃する時、相手の手札を2枚見ないで選び、捨てさせる。このターン自分のアウトレイジはブロックされない。
W・ブレイカー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に「百仙」または「閻魔」とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に「マジックマ瀧」とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


「出やがった……!」
 薄々感づいてはいたが、遂に現れてしまった《マジックマ瀧》。巨大な熊が直立した、海賊か奇術師のような意匠。左手に持つ銛のような三叉の槍は、鋭く煌めいている。
 いつか汐も使用していたエグザイル・クリーチャーは、名前に共通の冠詞を持つクリーチャーが複数存在しており、破壊されるとドロン・ゴーという能力で同じ名称を持つエグザイルに転生することができる。
 そして《閻魔王子 クーマン》がドロン・ゴーしたのが、この《百仙閻魔 マジックマ瀧》だ。
「《瀧》はアタックトリガーが強烈だけど、スピードアタッカーじゃないから攻撃までにタイムラグがある。でも……」
 夕陽は、このターン召喚されたクリーチャーを見遣る。
「次よ! 《ファルコン・ボンバー》でシールドブレイク! その時、能力発動で《瀧》をスピードアタッカーに!」
「やっぱりか……!」
 アタックトリガー発動までにタイムラグがあるのなら、その隙を消してしまえばいい。それはどうすればいいのか。簡単だ、スピードアタッカーにしてしまえばいいのだ。
「さあ次! 《マジックマ瀧》で攻撃!」
 《ファルコン・ボンバー》の能力で、《マジックマ瀧》がスピードアタッカーを得た。これでこのターン、攻撃可能になる。そして、
「《瀧》の能力発動! あなたの手札を二枚墓地へ!」
 アタックトリガーによる二枚ハンデス。かの凶悪なプレミアム殿堂カード《スケルトン・バイス》を彷彿とさせる手札破壊だ。
 《マジックマ瀧》の右手が伸び、夕陽の手札を二枚、握り潰してしまう。
「そしてWブレイク! これであなたのシールドはゼロよ!」
「ぐぁ……!」
 続けて鋭い槍の一突きで、夕陽のシールドがすべて砕け散った。これでシールドはゼロ、しかし彼女の場にはまだ《ブラッドレイン》がいる。
「これでとどめよ! 《ブラッドレイン》でダイレクト——」
「待てよ」
 ささみが《ブラッドレイン》に手をかけた瞬間、夕陽はそれを制す。
「S・トリガー発動《黒神龍オドル・ニードル》だ。君のダイレクトアタックは通らない」
「……運がいいわね。だったら《ブラッドレイン》で《オドル・ニードル》に攻撃して、共に破壊するわ」
 ささみは《ブラッドレイン》で《オドル・ニードル》に道連れにされる。
 しかし、彼女には《ファルコン・ボンバー》と《マジックマ瀧》、二体のクリーチャーが残っているのだ。
「あたしのターンはこれで終わりよ。まあ、次のターンにはこのデュエルが終わるだろうけど」
 勝ち誇ったようにターンを終えるささみ。事実、今の盤面はささみ優勢、ここから巻き返すのは難しいだろう。
 だが、
「……この程度の逆境なら、大したことないな」
 夕陽は、ふっと呟く。
 こちらも、勝ち誇った笑みを浮かべながら。



 姫乃とうさみのデュエル。
 姫乃のシールドは五枚、場には《ハッチャキ》のみ。
 うさみのシールドも五枚、場には《一撃奪取 ケラサス》《羊頭駆逐 パール》の二体。
「わたしのターン」
 姫乃はカードを引きつつ、場を確認する。


羊頭駆逐(メリメリ・メリー) パール 光文明 (3)
クリーチャー:アウトレイジ 1000+
自分のシールドが5つ以上あれば、このクリーチャーのパワーは+5000され、「W・ブレイカー」を得る。


(……《パール》の能力は、シールドが五枚以上の時に発動する。序盤からパワー6000のWブレイカーはちょっときついし、ここは少しだけ攻めておこう)
 次に手札のカードに視線を落としてから、姫乃は《ハッチャキ》に手をかける。
「《封魔聖者シャックル・アーマ》を召喚。そして《ハッチャキ》で攻撃! その時、効果で手札から《知識の精霊ロードリエス》をバトルゾーンに! そしてシールドブレイク!」
 出て来た《ロードリエス》の効果で手札も増やしつつ、うさみのシールドを一枚ブレイクする。これでうさみのシールドは四枚となり《パール》の能力は発動しない。
 だが、割られたシールドは、光の束となって収束する。
「っ、ご、ごめんさいっ! S・トリガー発動ですっ! 《秘拳カツドン破》!」


秘拳カツドン破 火文明 (7)
呪文
S・トリガー
コスト7以下のアウトレイジを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。そうした場合、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選び、この2体をバトルさせる。その後、そのアウトレイジを破壊する。


「手札から《極太茸 菌次郎》をバトルゾーンに出して、《ハッチャキ》とバトル、させますっ!」


極太(ゴンブト)茸(マッシュ)菌次郎 自然文明 (3)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 2000
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンにおいてもよい。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に「極太」とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に「菌次郎」とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


 《菌次郎》も《ハッチャキ》もパワーは同じ、相打ちで共に破壊される。
 だが《菌次郎》はただでは破壊されない。《菌次郎》もまた、エグザイル・クリーチャーなのだ。死してもその魂は生き残り、新たな姿となって転生する。
「《菌次郎》が破壊されたので、えっと、すみません——」
 破壊された《菌次郎》。だがその命は、蘇る。

「——ドロン・ゴー! 《極太陽 シャイニング・キンジ》!」


極太陽(ゴンブト)(トレジャー) シャイニング・キンジ 光/自然文明 (7)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 6000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から2枚を見る。その中から1枚を裏向きにして、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加え、もう1枚をマナゾーンに置く。
W・ブレイカー
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に「極太」または「太陽」とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に「シャイニング・キンジ」とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


「わわ……っ」
 不幸にも踏んでしまったS・トリガーから現れたエグザイル《シャイニング・キンジ》。
 武人か冒険家のような意匠。盾と一体化した巨大な鍬、両脚から飛び出すのは、脚部を守るシールド。
 これが《極太茸 菌次郎》がドロン・ゴーした姿、《極太陽 シャイニング・キンジ》だ。
「で、では、わたしのターン、です。《キンジ》で攻撃しますっ!」
 その時、《シャイニング・キンジ》の能力が発動する。
「山札の上から二枚を見て、一枚をシールドに、一枚をマナゾーンに、置きます。そしてWブレイク、です。ごめんなさいっ!」
 ぺこぺこと謝るうさみとは対照的に《シャイニング・キンジ》は勢いよく鍬を振りかぶり、姫乃のシールドを二枚、容赦なく剥ぎ取る。
「そして、《キンジ》の効果でわたしのシールドが五枚に回復したので、《パール》もパワーが5000アップし、Wブレイカーです……こちらでも、すみません、Wブレイクですっ!」
「うぅ……っ!」
 1ターンで四枚ものシールドを失ってしまった姫乃。だが一方で、うさみのシールドはこれからも増え続けるだろう。
「でも、まだ……!」
 しかし姫乃は諦めない。
 このデュエルがなんのため、などということではない。気持ちの問題だ。ここで挫けていられはしないのだ。
 姫乃は気を強く持ち、収束する光を掴む。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.430 )
日時: 2014/02/22 12:57
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 一気に四枚ものシールドを割られてしまった姫乃。だが彼女は、その割られたシールドが収束した光を掴み取る。
「S・トリガー発動! 《ヘブンズ・ゲート》!」
 収束する光は、天国の門となる。そしてその門が開かれると、二体の守護神が降臨する。
「《光器パーフェクト・マドンナ》と《天国の女帝 テレジア》をバトルゾーンに!」


天国の女帝 テレジア 光文明 (8)
クリーチャー:メカ・デル・ソル/ハンター 8000
ブロッカー
自分のターンのはじめに、「ブロッカー」を持つ光のクリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
W・ブレイカー


「これは、ちょっとピンチかもです……ターン終了……」
 大型ブロッカーが現れ、うさみの勢いが消えつつある。姫乃はこれを好機と見た。
「わたしのターン! まずは《テレジア》の効果で手札から《光器セイント・マリア》をバトルゾーンに!」


光器セイント・マリア 光文明 (9)
クリーチャー:メカ・デル・ソル/ハンター 11500
ブロッカー
自分のターンの終わりに、バトルゾーンにある自分のハンター・クリーチャーをすべてアンタップする。こうしてアンタップした光のハンター1体につき、自分の山札の上から1枚を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
W・ブレイカー


 《テレジア》の効果でターンの初めに光のブロッカーを呼び出せる。場には《ロードリエス》もいるので、手札が切れる心配もない。
「《シャックル・アーマ》の効果で呪文のコストを1下げて《ヒラメキ・プログラム》! 《パーフェクト・マドンナ》を破壊するけど、《マドンナ》は破壊されない。そして《マドンナ》はコスト5、コスト6のクリーチャーが出るまでデッキを捲って……《光機のイザナイ ロイヤルティー》をバトルゾーンに! 最後に《転々のサトリ ラシャ》を召喚! 無色以外のクリーチャーをすべてタップ!」
 これで姫乃のターンは終わり。だがその時、タップされた《ロイヤルティー》の光臨が発動する。
「光臨発動! 山札からコスト7以下のメカ・デル・ソルかグレートメカオーをバトルゾーンに出すよ! 出すのは二体目の《ロイヤルティー》! さらに《セイント・マリア》の能力も発動! 《セイント・マリア》と《テレジア》をアンタップして、シールドを二枚追加!」
 1ターンでクリーチャーが一気に展開し、さらにシールドまで増やす姫乃。それによりうさみの勢いが、フィールドアドバンテージと共に消えていく。
「わ、わたしのターンです……《新世界 シューマッハ》を、召喚します……」
 《シューマッハ》の能力でお互い手札をすべて捨て、その後五枚ドローする。一定量の手札を保っている姫乃にとってはあまり嬉しいカードではないが、これ一枚では姫乃の優位性は変わらない。
「……《キンジ》で攻撃して、シールドとマナを、増やします」
「《セイント・マリア》でブロック!」
 《シャイニング・キンジ》が再び鍬を振りかざして突っ込むが、今度は《セイント・マリア》によってその攻撃が防がれ、返り討ちにされる。
「《キンジ》は破壊されましたが、もう一度ドロン・ゴーですっ! 再び手札の《キンジ》をバトルゾーンに!」
 結果的にはシールドとマナを増やしただけ。この鉄壁の壁を突き崩すのは、かなり難しいだろう。
「わたしのターン! 《テレジア》の効果で《マドンナ》をバトルゾーンに! さらに呪文《ヘブンズ・ゲート》! 《勝利の女神ジャンヌ・ダルク》を二体バトルゾーンに! 効果で《キンジ》《シューマッハ》《パール》《ケラサス》をタップ!」
「あ、、まずいです……」
 うさみのクリーチャーは完全に無防備を晒す。これでは姫乃のブロッカー軍に殲滅されるのが関の山だ。
「まずは《ロイヤルティー》でWブレイク! 続いて《セイント・マリア》で《キンジ》を、《テレジア》で《シューマッハ》を、《シャックル・アーマ》で《パール》を、《ロイヤルティー》で《ケラサス》を攻撃!」
 最初に《ロイヤルティー》でシールドを四枚に減らし、《パール》のパワーを落としてからブロッカー軍でクリーチャーを殲滅。それ以上の攻撃はせずに、姫乃はターンを終えるが、
「ターン終了、する時に! 《セイント・マリア》の能力でわたしのハンターをアンタップ、アンタップした光のハンターは《セイント・マリア》と《テレジア》の二体だから、シールドを二枚追加! そして《ロイヤルティー》の光臨発動!」
 二体の《ロイヤルティー》が、金色の錫杖を輝かせ、山札からクリーチャーを呼び出す。
「一体目は《パーフェクト・リリィ》! そして二体目! お願い、出て来て——」
 錫杖の光が一段と強くなる。その光に導かれ、慈愛の女神が、降臨する。

「《ロイヤルティー》《パーフェクト・リリィ》《ラシャ》の三体を、進化MV! 《慈愛神話 テンプル・ヴィーナス》!」

 三体のクリーチャーの力を集め現れたのは、《慈愛神話 テンプル・ヴィーナス》。姫乃の持つ『神話カード』だった。
 《ヴィーナス》のコストは5、つまり《ロイヤルティー》の光臨の範囲内だ。なので、場に進化元さえ揃っていれば、踏み倒して山札からバトルゾーンに出せる。
『姫乃様、私をお呼び頂き、有難うございますわ。感謝します』
「いいよ、そんなの。それより、よろしくね」
『了解いたしました』
 いつもの《ヴィーナス》よりも落ち着いていて、包容されるような声が響く。その声があるだけで、姫乃も安心できる。
 一方うさみは、この圧倒的状況から抜け出せず、焦燥に焦燥が重なっているような状態だ。
「あうあう……と、とりあえず、《正々堂々 ホルモン》《一撃奪取 アクロアイト》《奪太陽 サンサン》を召喚、します……」


奪太陽(ゲットレジャー)サンサン 光文明 (4)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 35000
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に「太陽」とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に「サンサン」とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


 クリーチャーを並べていくうさみだが、その程度の数では話にならない。
 そして姫乃のターン。鉄壁の布陣を敷いた彼女の反撃が、開始する。
「まずはターン始めに《テレジア》の効果で《閃光の神官 ヴェルベット》をバトルゾーンに! 続いて《パーフェクト・リリィ》も召喚! 最後に呪文《ダイヤモンド・ソード》!」
 ダメ押しというか、オーバーキル過ぎる軍勢だ。この数のクリーチャーは、一枚や二枚のS・トリガーで対処できるものではない。
「じゃあ、行くよっ! 《セイント・マリア》でTブレイク!」
 《セイント・マリア》の光線が、うさみのシールドを三枚まとめて薙ぎ払う。その薙ぎ払われたシールドの破片はすべて、光の束となって収束する。
「っ……S・トリガー、発動ですっ! 《グローバル・ナビゲーション》二枚と《DNA・スパーク》! 《グローバル・ナビゲーション》で、《ジャンヌ・ダルク》と《ヴィーナス》をマナゾーンへ!」
 《ジャンヌ・ダルク》がホルンの音と共に大地へと飲み込まれる。だが、《ヴィーナス》はそうはいかない。
「《ヴィーナス》の能力発動! CD10! 《マドンナ》と《ロードリエス》をタップ!
『そして、私は場を離れませんわ』
 光のクリーチャーかブロッカーを合わせて二体タップすることで、《ヴィーナス》は無敵となる。破壊だけでなく、バウンスもマナ送りも通用しない。
「うぅ……で、でも、《DAN・スパーク》で、クリーチャーはすべてタップ——」
「それも効かないよ。《ヴィーナス》のCD8発動!」
『姫乃様の場のブロッカーが、相手のカードの効果でタップされた時、場にいる光のクリーチャーをすべてアンタップしますわ』
 つまり、《ヴィーナス》がいる限り、タップして動きを封じることはできない。《ヴィーナス》自身にも除去耐性があるので、場から離すのは困難を極めるだろう。
「う、うぅぅ……では、シールドを、追加します……」
 《DNA・スパーク》のもう一つの効果でシールドを増やすが、これもあまり意味はない。
「《ジャンヌ・ダルク》でWブレイク!」
 そして《キンジ》と《DNA・スパーク》で追加したシールドを二枚、叩き割る。これでうさみのシールドはゼロ。
「S・トリガー発動ですっ! ……《グローバル・ナビゲーション》及び《DNA・スパーク》、なのです……」
 《グローバル・ナビゲーション》で《セイント・マリア》をマナゾーンへ送ったが、《DNA・スパーク》は通用しない。一応、シールドは増やしたが、ブロッカーをタップしてしまったので光のアタッカーが起き上がり、結果的にシールドを増やした意味がなくなる。
「《ヴィーナス》で最後のシールドをブレイク!」
 これで本当にシールドはゼロ。守りの盾を失ったうさみに、光の姫君が迫る。

「《パーフェクト・マドンナ》で、とどめだよ——!」


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。