二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Mythology
日時: 2015/08/16 04:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

 初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。

 本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。

 投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。

目次


一章『神話戦争』

一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33


二章『慈愛なき崇拝』

一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78


三章『裏に生まれる世界』

一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101


四章『summer vacation 〜夏休〜』

一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148


五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』

一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207


六章『旧・太陽神話』

一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292


七章『続・太陽神話』

一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404


八章『十二神話・召還』

一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424


九章『聖夜の賢愚クリスマス・ヘルメス

一話『祝祭の前夜ビフォア・イヴ
>>425
二話『双子の門番ツインズ・ゲートキーパー
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争パーティー・バトル
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲ノウレッジ・リベンジ
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447


第十章『月の下の約束です』

一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508


第十一章『新年』

一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573


十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』

一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610


十三章『友愛「親友だから——」』

一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637



コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』

一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482



デッキ調査室
№1『空城夕陽1』  >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137

人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.85 )
日時: 2013/08/07 08:11
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)

 見た目や口調が豪快なわりに、バウンス呪文で自身を戻し、召喚時の効果を使い回すという器用な立ち回りを見せる《ドルボラン》。残りのシールドは三枚、場には《コッコ・ルピア》が一体。
 対する夕陽の場は、《ドルボラン》の効果により一掃されてしまい、クリーチャーはゼロ、前のターンで《コッコ・ルピア》が攻撃し、シールドも残り三枚だ。
「どんどんクリーチャーが消されて、《アポロン》を出すこともままならない。かなりやばいな……僕のターン!」
 とにかく、なにか逆転に繋がるカードを引けないかと、そのドローに一縷の望みを託すが、
「っ、ダメだ……くそっ、呪文《プライマル・スクリーム》! 効果で山札の上四枚を墓地へ送り、墓地の《コッコ・ルピア》を回収! そのまま召喚!」
 手札もなく、息切れしている夕陽ができるのはこれが精一杯。ターンを終え、《ドルボラン》が遂に牙を剥く。
『グオォォォゥ! 雑魚をいくら呼ぼうと、俺様の前では無意味! 《スクラッパー・ドラゴン》召喚!』
「なっ……! ガチンコ・ジャッジで勝てば《地獄スクラッパー》を撃つあいつかよ……!」
 ただでさえフィールドアドバンテージを大きく削られているというのに、これ以上クリーチャーを除去されてはたまったものではない。
「各プレイヤーの山札の一番上を捲って、コストが大きい方が勝つガチンコ・ジャッジ……僕のデッキもドラゴンが多いし、勝てる見込みはあるよね……?」
 状況が状況なのでいまいち強気に出れない夕陽だが、ここまで来ればもう、自分のデッキを信じるだけだ。
『グオォォォゥ! 行くぞ、ガチンコ・ジャッジ!』
「ああ、もうっ! やるしかない!」
 激しい《ドルボラン》の咆哮と共に、両者同時に山札の一番上を公開する。
 《ドルボラン》が捲ったのはコスト6の《アクア・サーファー》。対する夕陽が捲ったのは、
「——っ! 《アポロン》、こんな時に出るのかよ……!」
 同じくコスト6、《太陽神話 サンライズ・アポロン》。
 ガチンコ・ジャッジでは引き分けの場合、その効果を発動させたカードのプレイヤーの勝利、つまりこの場合は《ドルボラン》の勝ちとなる。
 ガチンコ・ジャッジに負けた夕陽は、一瞬にして《コッコ・ルピア》を破壊される。
『言っておくが、この程度はまだ序の口! 本番はここからだ! 行け《蒼神龍ボルバルザーク・紫電・ドラゴン》!』


蒼神龍ボルバルザーク・紫電・ドラゴン 水文明 (7)
クリーチャー:ポセイディア・ドラゴン/サムライ 6000
ブロッカー
各ターン、このクリーチャーがはじめてタップした時、アンタップする。
このクリーチャーはブロックされない。


「おいおい、《蒼神龍ボルバルザーク・紫電・ドラゴン》て……」
 ブロックされないブロッカー。つまり夕陽はもう、ブロッカーを出してもすり抜けられてしまい、逆にこちらが攻撃しようにもブロックされて阻まれてしまう。
 そして遂に攻めの姿勢を顕著に現した《ドルボラン》による攻撃が、開始された。
『グオォォォゥ! まずは俺様で攻撃だ! W・ブレイク!』
 《ドルボラン》が内蔵する重火器が一気に解放され、無数の銃弾、光線、爆炎、流水が放たれる。
「ぐぅ……!」
『まだだ! 行け《コッコ・ルピア》!』
 最後のシールドは《コッコ・ルピア》が破壊する。これで夕陽を守るものはなくなった。次の《ドルボラン》ターン、《蒼神龍ボルバルザーク・紫電・ドラゴン》で確実に決められてしまう。
 ——だがそれも、《ドルボラン》に次があればの話だ。

 夕陽の最後のシールドが光の束となり、収束する。

「っ、来た! 《ドルボラン》! なにも召喚時の効果を使い回すのはお前だけじゃない。そんでもって、使い回すために手札に戻す必要もない! S・トリガー《インフェルノ・サイン》!」
 夕陽が発動するのは、コスト7以下のクリーチャーを復活させる呪文《インフェルノ・サイン》だ。
「蘇れ《バベルギヌス》! そのまま《バベルギヌス》を破壊し、墓地から《偽りの名 バルキリー・ラゴン》を復活! さらに《バルキリー・ラゴン》の効果でデッキからドラゴンをサーチ、手札に呼び込む!」
 《インフェルノ・サイン》で《バベルギヌス》を復活させ、その効果で今度は《バルキリー・ラゴン》を復活させる。一見するとまどろっこしいように見えるこの一連の流れも、当然ながら意味がある。
「まだ終わらないからな、《バベルギヌス》が死んだことで、墓地から蘇れ《グールジェネレイド》!」
 《バルキリー・ラゴン》に続いて《グールジェネレイド》も墓地より這い出て来る。これで夕陽の場には大型ドラゴンが二体並んだわけだが、これだけではまだ足りない。《ドルボラン》のシールドは三枚なので、とどめまでは届かないし、なにより《蒼神龍ボルバルザーク・紫電・ドラゴン》という存在がある。
 だが、そんなことは夕陽も分かっている。だからこそ《バベルギヌス》蘇らせたのが《バルキリー・ラゴン》なのだ。
「さあ僕のターン、さっきサーチしたこいつを召喚だ! 邪魔なブロッカーを焼き払え《爆竜 GENJI・XX》!」
『なにっ!? 《GENJI・XX》だと!?』


爆竜 GENJI(ゲンジ)・XX 火文明 (6)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/フレイム・コマンド/サムライ 7000
K・ソウル
スピードアタッカー
このクリーチャーが攻撃する時、相手の「ブロッカー」を持つクリーチャーを1体破壊する。
W・ブレイカー


 決して高くはないコスト、高めのパワー、スピードアタッカー、恵まれた種族、突破力に優れた能力……複雑な効果こそないが、単体としては非常にハイスペックなクリーチャー。
 そしてこの時、重要なのはすぐに攻撃できるスピードアタッカー。そしてブロッカーを焼き払う能力。
「行くぞ! まずは《爆竜 GENJI・XX》で攻撃! 効果発動で《蒼神龍ボルバルザーク・紫電・ドラゴン》を破壊だ!」
『俺様の《蒼神龍ボルバルザーク・紫電・ドラゴン》が……!』
 《GENJI・XX》は凄まじいスピードで突貫し、X字の衝撃波を二発飛ばす。一発は《蒼神龍ボルバルザーク・紫電・ドラゴン》を破壊し、二発目はシールドを二枚粉砕した。
「《グール》で最後のシールドをブレイク!」
 漆黒の炎が放たれ、《ドルボラン》を守るシールドがすべて吹き飛んだ。もうこの巨龍を守るものは、何もない。
「これでとどめだ! 《バルキリー・ラゴン》でダイレクトアタック!」
 《ドルボラン》の断末魔と共に《バルキリー・ラゴン》のとどめの一撃が叩き込まれた。
『グオォォォゥ! まさか、この、俺様があぁぁぁぁ!』
 《バルキリー・ラゴン》のダイレクトアタックで、ドルボランは弾け飛ぶように爆ぜる。
「——ベタな台詞だな」
 爆発するドルボランの姿を眺めながら呟く夕陽。手元に戻って来たデッキをケースに収めると、何かが足下に舞い落ちる。
「ん? なんだ、これ? ……《ドルボラン》?」
 それは紛うことなく、さっきまで夕陽が戦っていたクリーチャー《戦攻竜騎ドルボラン》のカードだった。
「やっぱカードが実体化して襲い掛かって来たってことかな……それより、これ貰ってもいいのかな? 今までは重いから敬遠してたけど、意外と強いんだな、こいつ」
 戦って初めてその強さに気付く。少なくとも今回の一戦で、一考の余地は生まれた。
 さりげなく《ドルボラン》を鹵獲し、懐に収めている夕陽は、ハッと思い出す。そうだ、《ドルボラン》のことよりも今は気にすべき相手がいたのだった。
「霊崎、大丈夫か……?」

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.86 )
日時: 2013/08/07 15:30
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)

 状況は圧倒的にクロの劣勢。シールドは残り一枚で、バトルゾーンには《光波の守護者テルス・ルース》と《雷鳴の守護者ミスト・リエス》のみ。
 対する《ガネージャー》はまだシールド五枚フルにあり、場も《時空の戦猫ヤヌスグレンオー》を核とし、高火力の《虚空の力 レールガン》ブロッカーをすり抜ける《弾丸透魂スケルハンター》、ブロッカーを破壊する《ピーカプのドライバー》、その他にも《クゥリャン》や《斬隠テンサイ・ジャニット》がおり、それらを率いるのが《金属器の精獣 カーリ・ガネージャー》だ。
 シールドの差は四枚、クリーチャーの差は五体。この状況を切り抜けるのは困難を極めるだろう。
 だがクロは、それでも諦めない。勝負は投げ出したら終わりだ。
「……《リバース・チャージャー》発動。墓地の《ジル・ワーカ》を回収して、手札の二体目と一緒に召喚。《ミスト・リエス》で《ピーカプのドライバー》を攻撃」
 クロの最優先事項は、《ガネージャー》の攻撃手を減らし、攻撃を凌ぎ切ること。とりあえず次の《ガネージャー》のターンを凌げれば、勝機は見える。
 場には二体の《ジル・ワーカ》、手札には保険として《光牙人ハヤブサマル》もいる。とりあえずはこれで次のターン《ガネージャー》の攻撃をすべて対処できるはずだ。
 少なくとも、フィールドだけを見れば。
「ターンエンド」
 静かに手番を終え、《ガネージャー》のターンがやって来る。
『私のターン。まずは《グレンニャー》を召喚して《ヤヌスグレンオー》を《シンカイヤヌス》にループ覚醒、《グレンニャー》の能力と合わせて合計二枚ドロー』
 ガンガン手札を補充し、ループ覚醒の種を集める《ガネージャー》。弾切れはまずありえないだろう。
『まだ終わりませんよ。ただクリーチャーを召喚するだけなのも芸がありませんし、ここはこの呪文を発動させましょう』
 そう言いながら《ガネージャー》は、手札のカードを一枚、表向きにする。
『呪文《超次元エナジー・ホール》。開け、超次元の門!』
 時空の門が開き、《ガネージャー》に一つの知識が与えられる。
 それと同時に、中から二つの影が飛び出した。
『カードを一枚ドローし、コスト5以下になるようにサイキック・クリーチャーを呼び出します。さあお出でなさい! コスト2《マシュマロ人形ザビ・ポリマ》、コスト3《ギル・ポリマのペンチ》!』
 出て来たのは、どちらも軽量サイキック・クリーチャー。効果もなく、単体だと大した力はないが、この二体はこの二体が揃うことで真価を発揮する。
『次のターンでこの二体はリンク覚醒します。それまで貴女が生き残っていればの話ですが』
 《ギル・ポリマのペンチ》が登場したことで《シンカイヤヌス》はまた《ヤヌスグレンオー》にループ覚醒し、《ギル・ポリマのペンチ》にその能力が適用された。
『一斉攻撃です! 私で攻撃!』
 先陣切って突撃してきたのは《ガネージャー》だ。手に持つ杖を振りかざし、衝撃波を放つ。
「《ジル・ワーカ》でブロック」
 その攻撃を遮るのは《時空の守護者ジル・ワーカ》。破壊されれば二体のクリーチャーをタップできるため、《ガネージャー》のクリーチャー軍団を一時的に無力化するには最適だ。
 そう、思っていたが、
「……!」

 次の瞬間、《ジル・ワーカ》は水流に飲み込まれていた。

『ニンジャ・ストライク4《斬隠テンサイ・ジャニット》……まさか《ジル・ワーカ》だけで私を止めようなどと思っていたのですか? ならば浅はかとしか言いようがありませんね』
 手札に戻される《ジル・ワーカ》。相手の場にはケタケタと笑っている《テンサイ・ジャニット》、そして攻撃を繰り出す《ガネージャー》の姿が見えた。
 クロの最後のシールドが、破壊される。
「っ……!」
 終わった。考えるまでもなく分かる。《ガネージャー》の場にはブロックされない《スケルハンター》がいるのだ、シールドがゼロになった時点で奴がアンタップされていれば、どうしたって止められない。とどめを刺される。
 ——そう、アンタップされていれば。

「S・トリガー発動……《大行進・スパーク》」


大行進・スパーク 光文明 (6)
呪文
S・トリガー
バトルゾーンにある相手のクリーチャーをすべてタップする。
このターン、自分のガーディアンが相手プレイヤーを攻撃できない効果はすべて無効になる。(ただし、召喚酔いは無効にならない。また、この効果でクリーチャーを攻撃することはできない)


 クロの手元に収束した光を源に、眩い閃光が発せられる。
『なっ……なにっ!』
 その閃光を受け、《ガネージャー》のクリーチャーはすべてタップされた。即ち、攻撃できなくなった。
 クロとしてはベストなタイミングで出て来たS・トリガーだが、フィールドだけを見れば《ガネージャー》の有利は変わらない。たかだか一度、攻撃を凌いだ。
 だがそれは、クロにとってはただ攻撃を凌ぐ以上の意味がある。
「私のターン……マナの《シャングリラ》と墓地に落ちた《漆黒の守護者ハラッカダン》二体を進化元に」
 マナと墓地のカードを三枚重ね、手札から抜き取ったそれを、最後に乗せる。
 そして現れたのは、一切の感情を排し、痛みと苦しみを無にする理想郷を創らんとする守護者。

「召喚……《「無情」の極 シャングリラ》」


「無情」の極 シャングリラ ≡V≡ 無色 (11)
進化クリーチャー:ガーディアン/ゼニス 17000
超無限進化・Ω—ガーディアンを1体以上自分の墓地、マナゾーン、またはバトルゾーンから選び、このクリーチャーをそのカードの上に重ねつつバトルゾーンに出す。
メテオバーン—このクリーチャーが攻撃する時、このクリーチャーの下にあるカードを1枚選び墓地に置いてもよい。そうした場合、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選ぶ。相手はそのクリーチャーを自身の山札に加えてシャッフルする。
T・ブレイカー
このクリーチャーがタップされている時、相手のクリーチャーは攻撃できない。
エターナル・Ω


『な……っ、《シャングリラ》!?』
 あからさまに動揺を見せる《ガネージャー》。それもそうだろう、攻撃を封じる《シャングリラ》が出てしまえば、《ガネージャー》のデッキは根本から瓦解する。そうでなくとも、このサイズのクリーチャーは十分な脅威だ。
『まさか超重量級クリーチャーである《シャングリラ》を、そのまま出してくるなんて……!』
 《ガネージャー》の言うように、《シャングリラ》の弱点はとにかく高いコストだ。《シャングリラ》をメインに据えたデッキならコストを踏み倒して場に出すものだが、クロのデッキカラーではそれも簡単ではない。
 そして実際クロも、速攻気味の《ガネージャー》相手に《シャングリラ》を出す余裕はないと思い、一枚目はマナへ置いていた。ブロッカーを並べて攻撃を防ぎ、最後に一気に攻めるつもりだった。だがその作戦は通用しそうになかったため、急遽作戦を変更したのだ。
 即ち、《シャングリラ》を場に出すためのマナが揃うまで、ひたすら《ガネージャー》の攻撃を耐え切ること。途中からバウンスを絡めたせいで苦労したが、結果的に《シャングリラ》の召喚には成功した。
「《シャングリラ》で《ガネージャー》を攻撃、その際にメテオバーン発動で《ヤヌスグレンオー》を超次元ゾーンに戻す。さらにアタックチャンス《無情秘伝 LOVE×HATE》」


無情秘伝 LOVE×HATE(ラブアンドヘイト) 無色 (9)
呪文
アタック・チャンス—《「無情」の極 シャングリラ》
クリーチャーを1体、自分の墓地からバトルゾーンに出す。
バトルゾーンに自分のゼニスがあれば、バトルゾーンにある相手のクリーチャーを1体選ぶ。相手はそのクリーチャーを自身の山札に加えてシャッフルする。


 《シャングリラ》の攻撃と共に、愛憎を示す言葉が虚空に描かれる。そしてその言葉を引き金に、次なる無情が姿を現す。
「メテオバーンで墓地に送った二体目の《シャングリラ》を召喚、追加効果で《スケルハンター》をデッキに戻す」
『くっ、う、アァァァ!』
 直後、《ガネージャー》が消し飛ばされる。全身ボロボロになりながら、なんとか身を退くも、彼女の勝機はほぼ完全に消えている。
「二体目の《シャングリラ》で《ギル・ポリマのペンチ》を攻撃、メテオバーンで《ザビ・ポリマ》を超次元ゾーンに」
 一気にガネージャーの場を蹂躙する《シャングリラ》。それでもまだ彼女の場にはクリーチャーが残っているが、それも無意味。
『《シャングリラ》がタップされている時、攻撃できない……!』
 なすすべなくターンを終え、クロのターンが訪れる。
 そこに広がっているのは、無情の二文字だけだった。
「二体の《シャングリラ》で攻撃、シールドをすべてブレイク」
 ついでと言わんばかりにメテオバーンが発動し、ガネージャーの僕がまた消える。同時にシールドもすべて吹き飛び、S・トリガーもない。ガネージャーを守るものは、なにもない。

「《雷鳴の守護者ミスト・リエス》で、ダイレクトアタック——」

Re: デュエル・マスタ ( No.87 )
日時: 2013/08/07 19:34
名前: Dr.クロ (ID: /PtQL6mp)

クロ、最後の最後で大逆転!

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.88 )
日時: 2013/08/07 20:08
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: PNtUB9fS)

Dr.クロさん


 まあ、あそこで負けると話がややこしくなってしまいますしね。
 本当は《大行進・スパーク》からの並べたブロッカーで一斉攻撃、で終わる予定だったのですが、ガネージャーのデッキに予想以上の展開力と爆発力があったため、急遽《シャングリラ》に変更しました。たぶんマナの枚数は合ってる……と思います。
 返信ついでにお願いがあるのですが、クロのデッキに水か自然の色を足してもよろしいでしょうか? 今回の執筆で初めて分かったのですが、現在のデッキカラーだとどうしても《シャングリラ》を出し難く、また《タース・ケルケルヨ》からのコスト踏み倒しもしてみたいので、光闇に水か自然を加えたいのです。
 勿論、メインは光と闇です。他の文明はタッチで入れる程度になると思います。よろしければ、返信お願いします。

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.89 )
日時: 2013/08/07 21:03
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

夏休み(笑)なパーセンターです。

夕陽たちが信者と戦っていた裏で、何者かが暗躍していたようですね。
彼も神話カードの持ち主だとすれば、その種族は想像しやすいですが。
『所長』は声だけしか登場してませんがあの手の悪者(まだ分かりませんが)キャラは結構好きです。
軽い感じの女の人ってだいたい敵側に多い気がするのは僕だけでしょうか。

そしてクリーチャーが実体化して襲い掛かってくるとは……。
漫画ではドルバロムやらバロムモナークやらが黒城を試すためにデュエルを仕掛けた事はありましたが、クリーチャー自体がデュエルを始めるのには驚きました。
俺様を召喚 はなんかちょっと面白かったです。

ドルボラン強いですよね。8コストの割にちょっとパワーが低いですけど。


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