二次創作小説(紙ほか)

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デュエル・マスターズ Mythology
日時: 2015/08/16 04:44
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: 0qnzCmXU)

 初めましての人は初めまして、モノクロという者です。ここでは二次板と雑談板が拠点です。

 本作では基本的に既存のカードを使用するつもりではありますが、オリジナルのカードも多数登場します。ご了承ください。

 投稿したオリキャラのデッキにキーカードや切り札を追加したり、既存の切り札級のカードや、追加した切り札に召喚時の台詞を追加しても構いません。追加したい時はその旨をお伝えください。

目次


一章『神話戦争』

一話『焦土神話』
>>1 >>2 >>6 >>9 >>12 >>13 >>14
二話『萌芽神話』
>>17 >>18 >>21 >>22
三話『賢愚神話』
>>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30 >>33


二章『慈愛なき崇拝』

一話『精力なき級友』
>>41 >>45 >>49 >>52 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61
二話『加護なき信仰』
>>63 >>64 >>66 >>70 >>71
三話『慈悲なき女神』
>>72 >>73 >>74 >>75 >>76
四話『表裏ある未来』
>>77 >>78


三章『裏に生まれる世界』

一話『裏の素顔』
>>79 >>80 >>81 >>82 >>85 >>86 >>91 >>92 >>94
二話『裏へと踏み入る者』
>>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101


四章『summer vacation 〜夏休〜』

一話『summer wars 〜夏戦〜』
>>103 >>106 >>107 >>110 >>111
二話『summer festival 〜夏祭〜』
>>112 >>113 >>114 >>117
三話『summer ocean 〜夏海〜』
>>118 >>121 >>127 >>128 >>129 >>132 >>141 >>148


五章『雀宮高等学校文化祭店舗名簿』

一話『ガーリックトーストレストラン』
>>152 >>153 >>156 >>157 >>158 >>160 >>162 >>163 >>164 >>167
二話『ロイヤルミルクティーカフェテリア』
>>168 >>169 >>170 >>173
三話『ゾロアスター教目録』
>>174 >>175
四話『天の羽衣伝説調査』
>>185 >>186
五話『日蓮宗体験記録』
>>187 >>190
六話『天草四朗時貞絵巻』
>>191 >>192
七話『後夜祭・神々の生誕劇場』
>>193 >>202 >>206 >>207


六章『旧・太陽神話』

一話『序・太陽神話』
>>208 >>212 >>213
二話『破・太陽神話』
>>214 >>217 >>218 >>219 >>221 >>222 >>223 >>224 >>231 >>235 >>236 >>243 >>244
三話『急・太陽神話』
>>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>279 >>282 >>285 >>292


七章『続・太陽神話』

一話『再・太陽神話』
>>293 >>299 >>300 >>303 >>304 >>315 >>316 >>317 >>318 >>319 >>320 >>321 >>322 >>323 >>324 >>329 >>330 >>331 >>332 >>333 >>334 >>335 >>336 >>337 >>338 >>341 >>342 >>343 >>346 >>347 >>348 >>349 >>350 >>351 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365
二話『終・太陽神話』
>>366 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387
三話『新・太陽神話』
>>393 >>395 >>396 >>397 >>398 >>399 >>402 >>403 >>404


八章『十二神話・召還』

一話『焦土神話・帰還』
>>405 >>406 >>407 >>408 >>409
二話『海洋神話・還流』
>>410 >>411 >>412 >>413 >>415
三話『萌芽神話・還却』
>>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>423 >>424


九章『聖夜の賢愚クリスマス・ヘルメス

一話『祝祭の前夜ビフォア・イヴ
>>425
二話『双子の門番ツインズ・ゲートキーパー
>>426 >>429 >>430 >>431
三話『祝宴の闘争パーティー・バトル
>>432 >>433 >>434 >>435 >>436 >>437 >>438 >>439 >>440
四話『知将の逆襲ノウレッジ・リベンジ
>>441 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447


第十章『月の下の約束です』

一話『月影の同盟です』
>>468 >>469 >>470 >>471 >>472 >>473
二話『月夜野汐です』
>>486 >>487 >>489 >>490 >>491 >>492
三話『私の先輩です』
>>493 >>496 >>497 >>498 >>499 >>500 >>503 >>506 >>507 >>508


第十一章『新年』

一話『初詣』
>>512 >>513 >>514 >>515 >>516 >>519 >>520 >>521 >>522 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>530 >>531 >>532 >>533 >>534 >>535 >>536 >>537 >>538 >>539 >>540 >>541 >>542 >>543 >>544 >>545 >>546 >>547 >>548 >>549 >>550 >>553 >>554 >>557 >>558 >>559 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>566 >>567 >>568 >>571 >>572 >>573


十二章『空城夕陽の義理/光ヶ丘姫乃の本命』

一話『誕生日/バレンタインデー』
>>577 >>578 >>579 >>580 >>583 >>584
二話『軍人と探偵と科学者と/友人と双子と浮浪者と』
>>585 >>586 >>587 >>590 >>591 >>592 >>593 >>594 >>595 >>596 >>597 >>598 >>599 >>600 >>601 >>602 >>603 >>604 >>605 >>606
三話『告白——/——警告』
>>609 >>610


十三章『友愛「親友だから——」』

一話『恋愛「思いを惹きずって」』
>>616 >>617
二話『敬愛「意志を継ぎたい」』
>>618 >>619
三話『家族愛「ゆずれないものがある」』
>>620 >>621 >>622 >>627 >>628 >>629 >>630 >>631 >>632 >>633 >>634 >>635 >>636
四話『親愛「——あなたのことが大好きです」』
>>637



コラボ短編
【1——0・メモリー(タクさんコラボ)】
外伝『Junior to connect』

一話『Recollection』
>>474
二話『His outrage』
>>475 >>476 >>477 >>478 >>480
三話『My junior and his friend』
>>482



デッキ調査室
№1『空城夕陽1』  >>95
№2『春永このみ1』 >>102
№3『御舟汐1』 >>136 >>137

人物
>>34
組織
>>35
フレーバーテキスト
>>574

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.561 )
日時: 2014/03/30 15:49
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

マントラ教皇 バラモン 光文明 (7)
クリーチャー:オラクル 8000+
W・ブレイカー
バトルゾーンにある自分の他のオラクル1体につき、このクリーチャーのパワーは+5000され、シールドをさらに1枚ブレイクする。
このクリーチャーが破壊される時、かわりに自分の他のオラクルを1体、破壊してもよい。


 召喚されたのは《バラモン》自身。オラクルでありながら神々すらも超える力を持った神官《マントラ教皇 バラモン》だ。
『恐れ戦け! 惰弱な人間よ!』
「確かにやばいね、これ……」
 《バラモン》のパワーとブレイク数は、バトルゾーンにいる自分の他のオラクルの数だけ上昇する。《バラモン》の場にいるオラクルは、《提督のマントラ ヴォスラディッシュ》《転々のサトリ ラシャ》が二体ずつと、《封滅のマントラ ストロガノフ》《闇噛のファミリア ミョウガ》《血塗られた信徒 チリ》《信心深きコットン》が一体ずつ。合計八体のオラクルがいるのだ。
『即ち、私のパワーはプラス40000となり、48000! ブレイク数は十枚! 如何なるクリーチャーでさえも、今の私を止めることはできない! 貴様のシールドも、一瞬で吹き飛ばしてくれる!』
 パワー48000など、三体で覚醒リンクしたサイキック・スーパー・クリーチャーでも余裕で薙ぎ払えるレベルだ。ブレイク数十枚も、ほぼワールド・ブレイカーと同義と考えて差し支えはない。
「や、やばくないですか、ラトリさん……」
「このままじゃ……」
 心配そうにラトリを見上げるささみとうさみ。はっきり言って、ラトリも危機感を感じている。
「確かにやばいね……そろそろ向こうも攻めてくるっぽいし、反撃手段なり防御手段形を整えないと」
 とはいえ、ラトリの手札はまたもゼロ。《R・M・G》で増やしたとはいえ、たった二枚だ。二枚だけでは全然足らない。
「せめて《バラモン》だけでもどうにかできれば……ねぇ、ささちゃん、うさちゃん。このデッキ、除去カードって——」
 どのくらいある? と聞こうとしたが、言い切る前に双子は首を横に振った。ほとんど入っていないようだ。
「だよねぇ。《魂と記憶の盾》はもう使っちゃったし、白青緑の三色構成の時点で、除去は期待してないけど」
 光も水も自然も、除去を苦手とするカラーだ。シールドに埋めたり、手札に戻したりマナに送ったりすることはできるが、破壊はほぼ不可能。
「まあこの場合《バラモン》は破壊耐性もあるから、そっちの方がいいんだけど」
 と言いながらカードを引くラトリ。しかし除去カードは引けない。
「んー……とりえず、ブロッカーでも並べるかな。《五朗丸・G》を召喚」
 幸い《ニケ・M》がいるお陰で、ラトリのクリーチャーは今のところすべてブロッカーだ。《バラモン》の大量ブレイクは確かに脅威だが、ブロックしてしまえば問題ない。
 という考えは、些か甘すぎた。
『ブロッカーを並べるだけで、私を止められると思うな。《慈愛のマントラ フリル》を召喚。そして呪文!』
 ここで初めて、《バラモン》が呪文を唱えた。そしてその呪文は、ラトリたちにとっては最悪の呪文だ。
『《反撃のサイレント・スパーク》!』
「っ……!」
 次の瞬間、閃光が輝くと同時に、ラトリの場にいたクリーチャーはすべてタップ状態となってしまった。
『《サイレント・スパーク》の能力で、貴様のクリーチャーはすべてタップだ。これでブロッカーに阻まれることもない。だが、その前に』
 《バラモン》の場にいたオラクルたち——《ヴォスラディッシュ》《ラシャ》《ストロガノフ》——がそれぞれ《ロビー・R》《ニケ・M》《五朗丸・G》へと攻撃してきたのだ。
『そのエグザイルたちは、互いを強化するクリーチャーだ。今更、一枚や二枚のS・トリガーで私の攻撃を凌げるとは思えんが、念のために消しておくぞ。《ラシャ》で《R・M・G》も攻撃、《ストロガノフ》によって《ラシャ》はスレイヤーとなる!』
「っ、《R・M・G》……!」
 《ラシャ》が《R・M・G》と相打ちとなり、これでラトリの場にクリーチャーはゼロ。手札がないのでドロン・ゴーもできない。
『さあ、これで終わりだ! 《マントラ教皇 バラモン》で、シールドをブレイク!』
 二体の《ラシャ》がいなくなったので、合計ブレイク数は九枚に落ちたが、それでも十分すぎる。オーバーキルだ。
「くっ、うぅ……!」
 数多の信者から生み出される、信仰の力を得た《バラモン》の波動が、ラトリに襲い掛かる。《バラモン》の言う通り、一瞬でシールドは吹き飛ばされてしまう。
「っ……S・トリガー発動! 《フェアリー・シャワー》! 山札の上から二枚を見て……一枚をマナに、一枚を手札に!」
『今更そんなことをしても無駄だ! 残りのシールドと共に消え去るがいい!』
 《フェアリー・シャワー》がトリガーしたのは一枚目。二枚目、三枚目、四枚目と、次々とラトリのシールドが粉砕されていく。
 しかし、五枚目のシールドが割れる時——
「……S・トリガー!」
 ——時が止まった。そして、
「《終末の時計 ザ・クロック》!」
 加速する。
『!? なんだ、なにが起こった……!?』
「君のターンがスキップされただけだよ。私のターン」
 最後のシールドから飛び出したのはS・トリガーの《クロック》だった。登場時の能力で《バラモン》の残りのターンが飛ばされ、ダイレクトアタックは免れた。
『ぬぅ……よく分からんが、このターンに決まらなくとも、次のターンにはとどめを刺してやる。もうS・トリガーに期待することも出来んだろうしな』
 《バラモン》の言う通り、ラトリのターンは1ターン延命しただけに過ぎない。しかも《バラモン》が念のためと言ってラトリのクリーチャーを殲滅したことが効いている。クリーチャー《クロック》のみのこの状況では、逆転は困難を極めるだろう。
「……っ」
「ラトリさん……」
「…………」
 心配そうにラトリを見上げる双子。
 ラトリは二人と手札を見つめ、ゆっくりと目を閉じた。
 ゆっくりとカードを引くと、ゆっくりと目を開く。
 そして、

「……やってみるかな」

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.562 )
日時: 2014/03/30 16:23
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 ラトリ(+ささみ&うさみ)と《バラモン》のデュエル。
 ラトリのシールドはゼロ。場には《終末の時計 ザ・クロック》が一体。
 対する《バラモン》のシールドは六枚。場には、自分自身である《マントラ教皇 バラモン》に《封滅のマントラ ストロガノフ》《闇噛のファミリア ミョウガ》《慈愛のマントラ フリル》《血塗られた信徒 チリ》《信心深きコットン》そして《提督のマントラ ヴォスラディッシュ》が二体。合計で八体のオラクルが並んでいる。
 大量のオラクルの力を得た《バラモン》の一撃で、ラトリのシールドは一瞬にして消え去り、なんとか《クロック》で耐えたものの、クリーチャーはゼロ。ここから巻き返すのは至難の業。
 だが、逆転の可能性が、ないわけでもなかった。
「私のターン! 《R・M・G》を召喚!」
『ふん、またそのクリーチャーか。だが貴様の場にいるエグザイルはそのクリーチャー一体。ドローできる枚数は一枚だけだ』
 確かに《R・M・G》は、場にエグザイルがいなければその能力を存分に発揮することはできない。
 だが、ラトリにとっては一枚でも二枚でも、どちらでもいい。あのカードさえ引ければ。
「……準備、完了」
 俯いて小さく呟くと、ラトリはニィッと微笑んだ。それからバッと顔を上げ、
「さあ、教皇様に見せてあげようかな。友情パワーって奴を! ね、ささちゃん! うさちゃん!」
「え……?」
「はい……?」
 叫ぶように宣言する。ささみとうさみにも同意を求めたが、反応は芳しくない。
「えーっと……は、はい」
「わ、分かり、ました……」
「よっし、そんじゃー行くよ!」
 テンションの差がやや激しいものの、ささみとうさみもすぐに気を引き締める。
 そしてラトリは、今しがた引いてきたばかりのカードを、発動させた。
「呪文《ヒラメキ・プログラム》! 《R・M・G》を破壊!」
 《R・M・G》のコストは7。なので山札から現れるのは、コスト8のクリーチャー。
「さあ出て来て! 《光神龍ダイヤモンド・グロリアス》! さらに《R・M・G》が破壊されたから——」
 ドロン・ゴーが発動する。しかしそれは、ただのドロン・ゴーではない。
 通常のドロン・ゴーは、特定の名前をもつエグザイルが破壊された時、そのエグザイルと同じ名前を有するエグザイルを一体、バトルゾーンに出せる。
 だが《R・M・G》のドロン・ゴーは違う。ドロン・ゴーとは、元々のエグザイルが破壊された時、その魂だけが残り転生することだ。その時に新たな力を得て、巨大なクリーチャーになることもある。ゆえに、一体破壊されれば出て来るのは普通は一体。
 しかし、そもそも《R・M・G》は《ロビー・R》《ニケ・M》《五朗丸・G》の三体が、友情の力で三位一体となった姿なのだ。ゆえに破壊されれば、その三体が各々の魂に分かれることもある。
 それが、

三人組トリオドロン・ゴー!」

 すべての友情の力が。解放される。
「三人組ドロン・ゴーで《学友情 ロビー・R》! 《愛友情 ニケ・M》! 《猛友情 五朗丸・G》! そして——《友情集結 R・M・G》をバトルゾーンに!」


学(メチャンコ)友情(フレンズ) ロビー・R(ロビン) 水文明 (4)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 4000
バトルゾーンにある自分の、名前に《友情》とあるエグザイル・クリーチャーはすべてブロックされない。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《R》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《学友情 ロビー・R》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


愛(ラブリー)友情(フレンズ) ニケ・M(ミケラン) 光文明 (5)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 5000
バトルゾーンにある自分の、名前に《友情》とあるエグザイル・クリーチャーはすべて「ブロッカー」を得る。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《M》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《愛友情 ニケ・M》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


猛(バリバリ)友情(フレンズ) 五朗丸・G(グローバル) 自然文明 (6)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 5000+
バトルゾーンにある自分の、名前に《友情》とあるエグザイル・クリーチャーはすべて、「パワーアタッカー+2000」を得、シールドをさらに1枚ブレイクする。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に《G》とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《猛友情 五郎丸・G》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


友情(フレンズ)集結(パワー) R(ロビン)・M(ミケラン)・G(グローバル) 光/水/自然文明 (7)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 11000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分のエグザイル・クリーチャー1体につき、カードを1枚引いてもよい。
W・ブレイカー
三人組ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、異なる名前の、名前に《友情》を持つカードを好きな数、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に《友情集結 R・M・G》とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。


『なに……? 一度に四体のクリーチャーが出ただと……!?』
 三人組と言いつつ出て来るのは四体だが、ともあれ、《R・M・G》だけが持つ三人組ドロン・ゴーの力で、ラトリの手札に集まっていたすべての《友情》エグザイルが姿を現した。
「これが友情の力って奴だよ」
『だが貴様のクリーチャーは召喚酔いだ。攻撃はできまい』
「どうかな? このターン出て来たのは《R・M・G》たちだけじゃないんだよ」
 そう言ってラトリが指差すのは、《ヒラメキ・プログラム》で《R・M・G》から閃いた《ダイヤモンド・グロリアス》。
「《ダイヤモンド・グロリアス》の能力発動。このターン、私たちのクリーチャーの召喚酔いは無効化される!」
『なんだと……!? いや、それでも私のシールドは六枚ある。打点が足りていない——』
 と、そんな《バラモン》の言葉を遮ったのは、うさみだった。
「そんなこと、ないですっ。《五朗丸・G》がいるので、わたしたちの場にいる《友情》エグザイルのパワーは攻撃中プラス2000、そしてシールドも一枚、追加でブレイクできますっ」
『ぬぅ……まだだ! 私にはまだ、ブロッカーが——』
「それも無駄よ。《ロビー・R》がいるから、あたしたちの《友情》エグザイルはブロックされないわ。いくらブロッカーがいても、それをすり抜ける」
『なんだと!?』
 つまり、今のラトリにはブロックされないWブレイカーが三体、Tブレイカーが一体存在していることになる。そして《バラモン》のシールドは六枚。
「さあ、これでフィニッシュだよ!」
 ラトリの声と共に、三体の小さな《友情》エグザイルたちが、各々武器を構える。
「《学友情 ロビー・R》でWブレイク!」
 まず最初に《ロビー・R》が光線銃を発射。
「《愛友情 ニケ・M》でWブレイク!」
 続けて《ニケ・M》が鋏で薙ぎ払い。
「《猛友情 五朗丸・G》でWブレイク!」
 最後に《五朗丸・G》がホルンから衝撃波を放つ。
 これで、《バラモン》のシールドはゼロ。
 ラトリの場に残ったのは、《ロビー》《ニケ》《五朗丸》の真の姿。それらが、三位一体となったエグザイル。
 《R・M・G》が、それぞれの武器を構える。そして、

「《友情集結 R・M・G》で、ダイレクトアタック——!」

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.563 )
日時: 2014/03/30 23:18
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

「…………」
 現れるクリーチャーを次々と倒し、カードに戻していく姫乃。淡々と、作業的に自分の役目をこなしていく。
 そんな中、ふとヴィーナスが現れ、
「……どうかなされたんですの? 姫乃様?」
「え? いや……なんで?」
「気づかないとでも思ったんですの? 姫乃様、先ほどからずーっと変ですの」
「……そうかな」
「そうですの。ずっと考え事をしているような素振りを見せているんですの。姫乃様は気持ちの浮き沈みが表情や行動に出るから、すぐに分かるんですの。わたくしにはお見通しですの」
 姫乃を問い詰めるヴィーナス。姫乃自身も、別段隠しているつもりもない。それに相手がヴィーナスということもあって、隠し立てすることもなく口を開く。
「実はね……ずっと考えてたの」
「なにをですの?」
「今の空城くんのこと」
 “今の”ということは、それは即ち、女装した夕陽のことなのだろう。ヴィーナスはその発言で、姫乃の天然ボケなのか真面目な話なのか判断に苦しんだが、次の言葉で後者だと判断した。
「最初は、ただの勘違いだと思ってた」
「夕陽様のことですの?」
「うん……ほら、わたしって家の事情でごたごたしてた時期があるから……特に中学校の頃は」
「……ごめんなさい、ですの」
 項垂れるヴィーナス。
 宗教団体に深入りした姫乃の両親の件は、元を辿ればヴィーナスの持つ“人々の意思を同調させる力”が原因だ。ゆえにヴィーナスは、多少なりとも姫乃に対して負い目を感じている。当の姫乃は、もう気にしていないようだが。
「ヴィーナスのせいじゃないよ。あの頃のヴィーナスは実体化も出来なかったんだし……それで、中学の頃は家のことでいっぱいいっぱいだったから、他人のことなんて考えていられなかった」
 仲の良い友達と呼べるような者もいなかったし、ましてや異性を意識する余裕なんて、どこにもなかった。
「だからわたしが男の子を意識するようになったのは、空城たちと出会ってから。学校も毎日が楽しくて、心にも余裕ができて……その余裕と、空城くんへの感謝が入り混じった結果が、わたしが抱く気持ちなんだと思ってた」
 身近に異性がいると、年頃の少年少女なら多少なりとも意識はしてしまうものだ。だから姫乃の気持ちも、それに該当するものだと思っていた。
「けれど、違ったんですの?」
「まだ分かんないけど……わたしの一番身近にいる男の子は空城くんだけ。だから近くにいる男の子が空城くん以外にもいれば、そっちにも心を惹かれちゃうんじゃないかって、思ったの」
 人間の本能とは残酷なもので、人間に限らず生殖を行う生物であれば、その生物としての目的は子孫を残すことにある。だからその本能に従えば、姫乃の感じている好意は空城夕陽という個人に向けられたものではなく、男という概念に向けられたものということになる。
「それで、他の殿方に対してはどうだったんですの?」
「それが、他の男の子って言ったら水瀬先輩ぐらいしかいなくて……あの先輩も、あんまり会わないし……だからそっちもよく分かんない」
 だが、姫乃はそこで逆に考えた。
 夕陽に対する好意が、夕陽が男だからという本能に基づいた好意であるのなら、逆に夕陽が女であれば、その好意も消失するはずである。
「まあ、まさかまたゆーちゃんになるとは、わたしも思ってなかったけど……」
 今日のことはただの偶然だったが、姫乃にとってはラッキーだった。
 今までずっともやもやしていた気持ちの答えが、出るのかもしれないのだから。
「それで……どうだったんですの?」
「んー……頭の中で理論は立てられたんだけど、やっぱり実際に自分の気持ちを正確に判断するのは難しいよ。でも」
「でも?」
 姫乃はヴィーナスから視線を逸らし、少しだけ顔を赤らめて、控えめな声で告げる。
「わたし……空城くんが女の子でも、どきどきする……かも」
「いや、夕陽様は女装しているだけであって、別に女性になったわけではないんですの……」
 しかし、絶対的に断定できるとは言わないが、これで姫乃は否定できなくなった——今の自分の気持ちを。

「やっぱりわたし……空城くんのこと、好き——」

「光ヶ丘!」
 心臓が破裂した——
「——かと思った……!」
「で、ですの……!」
 聞き覚えのある声が聞こえた次の瞬間、顔面が蒼白になったかと思うとすぐさま真っ赤になり、姫乃は胸を抑えてその場に屈み込む。
「光ヶ丘? 大丈夫?」
「あ、う、うん、だいじょうぶだよ……」
「ですの……」
 振り返ってその声の主を確認する。するまでもなかった。目の前にいるのは、今まで自分たちが話していた人物。
「そ、空城くん……どうしたの? このみちゃんは……?」
「あー、このみは……えっと、境内の方に行ったよ。まあすぐに変なところに行きそうだけど」
「ゆ、夕陽様。アポロン様は、どうしたんですの……?」
「え? アポロン? アポロンは……その、ちょっと偵察に。なんかクリーチャーの動きが変だから」
 まだ同様の収まらない姫乃とヴィーナスだったが、彼はこちらの話が聞こえていなかったようで、普通に接していた。お陰で、少しずつ頭が冷えて来る。
「クリーチャーの動きが変ですの?」
「そうかな……?」
 今はクリーチャーがいないが、さっきまでわらわらと湧いていたクリーチャーたちの行動は、別段おかしいものとは思わなかった。
「クリーチャーの動きより、クリーチャーそのものが変だって話じゃなかったっけ?」
「ん、あ、あぁ、そうか。そうだね……」
「?」
 いつもと様子が違うように感じられる。だが、仕草や口調は空城夕陽そのもの。
(なんか空城くん、変……いや……空城、くん……?)
 そんな彼に、姫乃は違和感を感じていた。それは彼の様子や仕草以前に、自分の中にある感覚としてのものだったが。
 まるで夕陽が夕陽でないような、そんな感覚が湧き上がってくる。
(でも、どう見ても空城くんだし……わたしの気のせい、かな……?)
 今までずっと夕陽のことを考えていたから、少し感覚が狂っているのだろうと、無理やり自分を納得させる。それでもまだ、心中の蟠りは消えない。
「そういえば、さっきラトリさんと会ったんだけど、今回の件【師団】の師団長補佐が噛んでるっぽいよ」
「師団長補佐って……あの、ちっちゃい女の子?」
「うん。どこかで見てたりしない?」
「いや、見てない……」
「姫乃様……?」
 ヴィーナスは、僅かに変化した姫乃の表情を見て呟く。
「そっか……じゃあ、とりあえずその子を探そうか。そうすればこのクリーチャーたちの出現も収まるだろうし。行こう、光ヶ丘」
 そう言って、姫乃の腕を軽くつかむ。
「——っ!」
 その時。

 パシッ

 乾いた音が響く。
 それは、姫乃が彼の腕を弾いた音だった。
「あなた……誰……?」
「え……?」
「空城くんじゃ、ない……っ」
「姫乃様……?」
 姫乃は何歩か後ろに下がり、距離を取った。そして、彼女なりの鋭い視線で、彼を睨む。
「あなたは、誰なの……? 空城くんじゃないよね」
「……確かにちょっと演技ミスったけど、なんで分かったの?」
 なんでと聞かれると、姫乃にも答えるのは難しい。ただそう思った、そう感じたというだけだ。
 強いて言うのなら、むしろ目の前の空城夕陽からは、なにも感じなかった。
(いつもの空城くんも、巫女さんの空城くんも、胸がどきどきしたけど……この空城くんは、なにも感じなかった……)
 空城夕陽の姿をしているな、程度の認識しか持てなかったのだ。いつも感じていた、自分を戸惑わせていたあの感覚がない。その差異に違和感を感じたから、気付いたのだ。
 目の前の夕陽は、偽物だということに。
「夕陽様の偽物ですの? ということは、アポロン様は」
「いるわけないよ。僕は偽物だから《太陽神話》は持ってないし」
 肩を竦める夕陽——の偽物。その仕草は夕陽そのものだが、姫乃の心は夕陽であるという認識を否定している。
「せっかく女装してるって情報まで手に入れて、万全な状態で出て来たのに、まさか見抜かれるなんて……」
「そんなことより、あなたは誰なの? 【師団】の人……?」
「まあ、それで正解だよ。今の僕は空城夕陽、本名というか帝国四天王としての名は、ニャルラトホテプ」
 夕陽の姿をしたニャルラトホテプは、そう名乗る。その名には聞き覚えがあった。
「ニャルラトホテプって、空城くんが言ってた人……」
 だが、聞いていた話と違う。夕陽と瓜二つの容姿だなんて聞いていない。
 しかし姫乃は推理する。普通の思考を捨て、最近起こった事件と合わせて、ニャルラトホテプの正体を考える。
「……そう言えば、月夜野さんを襲ったのは空城くんだって、月夜野さんは言ってけど、それってもしかして……」
「ん? ああ、その作戦か。それも僕がやったっけ。結局失敗だったけど」
 事もなげに言うニャルラトホテプ。その件については少なからず怒りを覚えるが、これでニャルラトホテプという人物が何者なのかはっきりした。
「変装……かな。空城くんになりすまして、わたしたちを混乱させようとしてるの……?」
「最初はそのつもりだったんだけど、今回は身体を取り換える暇がなかったからこのままなだけ。まあでも、この身体ならこの身体でちょうどいいし、シャルロッテ様の場所に探りを入れつつ、一人ずつ襲っていこうって、少し考えてた」
 すぐに見破られたけど、とニャルラトホテプは溜息を吐く。
 なにはともあれ、相手は夕陽の姿をしていようと敵だ。しかも、夕陽と汐の溝を作り出した張本人と来ている。
 ならば、
「……ヴィーナス」
「了解ですの!」
 カードに戻ったヴィーナスを掴み、デッキを取り出す姫乃。彼女の眼差しも、完全に戦う者のそれだった。
「やる気か。まあこっちもある程度そのつもりではあったけど、この身体で大丈夫かな? 今回はクトゥグアの奴からデッキは借りてないし……」
 そう言って巫女服の中をまさぐるニャルラトホテプ。そして、こちらも一つのデッキを取り出した。
「相手は《慈愛神話》の所有者『大慈光姫メルシー』。だったらこのデッキで相手をしようか」
 睨み合う姫乃とニャルラトホテプ。互いにデッキを構え、戦う準備はできている。

 刹那、二人は歪みの中へと溶け込んでいく——

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.564 )
日時: 2014/03/31 13:51
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 一度このみと別れ、次から次へと湧き出て来るクリーチャーたちを倒し、カードへと戻していく夕陽。その最中、一つのことを考えていた。
(“ゲーム”とか『神話カード』なんて名前は、たぶん僕らが住んでいるこの世界の人間が付けた名前……アポロンたちは、自分たちのことを十二神話と呼んでいたし、あの時の《スミス》のカードにも十二神話と書かれていた)
 それは、アポロンたちのこと。厳密に言えば、アポロンたちのいた世界のことだ。
 今まで意識していなかったが、しかしそろそろ、彼らのことにも目を向けなければならないと思ったのだ。アポロンたちは共に戦う仲間。ゆえに彼らのことを知りたいと思う。
 さらに言えば、彼らの世界のことは、この“ゲーム”の根幹に関わることだと、夕陽は考えている。そもそも“ゲーム”という戦争の持つ意義が、夕陽には分からなかった。だが“ゲーム”の中心となる『神話カード』。その『神話カード』そのものであるアポロンたちの世界を知れば、それも分かるかもしれない。
 さらに言えば、この“ゲーム”が終わりを告げるかもしれないのだ。
(先輩がそれを望んでいたかは分からないけど、あの人もこんな殺伐とした世界が続いて欲しいだなんて思ってないだろうし、僕も興味がないわけじゃない……《スミス》に書かれていた一文『十二神話と呼ばれる神々が統治する超獣世界』。この一文から読み取るに、アポロンたちは、一つの世界を収めるほどの権力者だったんだろうな)
 ふとアポロンを見遣る夕陽。ふわふわと宙に浮いて、周りをキョロキョロしている。今は周辺にいるクリーチャーを殲滅し終えたが、またいつ出て来るか分かったものではない。それを警戒しているのだろう。
(まあ、いい奴だしわりと真面目なんだけど、今のデフォルメされた姿を見ると、とてもそうは見えないよな……いや、でも力を抑えているからこの姿ってだけで、実際の世界だとあっちの姿になるのかな)
 もしそうなら、まだ分からないでもない。
(うーん、ダメだ。やっぱりまだ情報が足りない。実体化したクリーチャーのフレーバーが変化するって言っても、フレーバーがない場合もあるみたいだし、ある奴もある奴で、私生活のことばっかり書いてあるしで、役立たずだもんな……)
 なぜ、アポロンたちは元いた世界を離れ、夕陽たちのいる世界にいるのか。
 その上で、なぜ記憶を失くしているのか。
 “ゲーム”とは、『神話カード』とは。その本質はなにか。
 疑問は湧いて来るが、答えは出ない。疑問を感じるようになっただけ前進したような気がするが、その答えを解明するのは、遠い先の話になってしまう気もする。
「やっぱり、もっと多くの実体化するクリーチャーを集めるべきかな……」
「おい、夕陽」
「でも、そういうのって【師団】がばら撒くから、その時になったらそれどころじゃないし……」
「夕陽、夕陽よぅ」
「いやでも、『神話カード』の影響を受けることが実体化に繋がるんだよな。だったら、アポロンがいれば僕もカードを実体化できるのか?」
「夕陽。聞いてるのか? 夕陽」
「なあ、アポロン——」
「夕陽!」
 遂にアポロンが怒鳴った。
「な、なんだよ大声出して……」
「なんだじゃねぇ! あれ見ろ、あれ!」
「あれ?」
 アポロンが指差す方角の空に目を向ける夕陽。その先には、なにか黒々としたものが見え、こちらに向かってきている。
「な、なんだあれ……?」
「分かんねぇ! でもなんか、すげぇやばい感じがする……!」
 夕陽はなにも感じないが、しかしこのままこちらに突っ込まれては確かにやばい。夕陽とアポロンは、一旦後退してその物体を認識する。黒い霧のようなものに包まれているが、見たところクリーチャーのようだ。
「つーかこれって、《ヨミ》か……!?」
 遠目なので確信はないが、特徴的な頭部が見えているので、恐らくはそれで正解だろう。しかし、なぜ黒い霧が纏わりついているのか。
「他のクリーチャーと違うのか……?」
「たぶん違うぞ。なんか、やばい……!」
 戦慄するように体を震わせているアポロン。確かに、地上に近づくにつれて、なにか危険な気配のようなものがじわじわと感じられていた。
 やがてヨミは地上へ降り立つが、それは降りるとか立つなどという表現よりも、落下したと表現すべきかもしれない。砂塵を巻き上げて、隕石の如く神社の敷地へと落下したのだ。
「ぐっ、見えない……!」
 砂煙に顔を覆う夕陽。しばらく前方を確認することはできなかったが、やがて砂煙も晴れてくる。
 だが、砂煙の代わりに待っていたのは、ヨミを包む黒い霧。いや、包んでいるのではない。黒い霧は、ヨミを飲み込んでいる。
「な、なんだ……?」
 ここまで近づけば、どうでなくともこの光景は、明らかにやばい。アポロンでなくともそれは伝わってくる。
 黒い霧に飲み込まれるヨミ。やがて、完全にその姿が見えなくなったかと思うと、今度はその霧が少しずつ消失していく。
「夕陽、気をつけろ」
「分かってる」
 夕陽もアポロンも、気を引き締める。なにが起こってもいいように身構え、目の前の事象を凝視する。
 霧が消えていく。そして、その中にいたヨミが現れる——

 ——が、そこにいたのはヨミであり、もはやヨミではない存在だった。

「《クロスオーバー・ヨミ》!? おいおい、さっきまで普通の《ヨミ》だっただろ……!?」
「クリーチャーが変化するなんて……!」
 そこにいたのは神人類 ヨミ》ではないヨミ。《クロスオーバー・ヨミだった。
 目の前で変化を遂げたヨミ。その変化にはアポロンも驚いており、彼もこの現象については知らないようだった。
「さっきの霧か……? あれが、ヨミをクロスオーバー・ヨミにしたのか?」
「オイラが知るわけないだろ。でも、たぶんそうなんじゃねぇか……? さっきのあの霧、なんかやばい感じがしたし——」
 と、考察している場合でもなかった。
 クロスオーバー・ヨミの雄叫びが響き渡る。また砂塵が舞い、木々は揺れ、思わず踏ん張ってしまう。
「な、なんて威圧感だ……他のクリーチャーとは、全然違うな……」
「どうする夕陽? こいつ、やばいぞ」
 やばいのは分かっている。だが、
「こいつを野放しにはしておけないだろ。それに、僕らのすべきことはクリーチャーを倒すこと。なら、やることは変わんないよ」
「けど、こいつはマジでやばいぞ。他のクリーチャーとは違う感じがするって言うか……上手く言えねえけど、とにかくやばいんだ」
 必死に夕陽を引きとめようとするアポロン。彼の言いたいことは、夕陽にも分かる。言語化が難しいが、確かに目の前にいるクロスオーバー・ヨミは、他のクリーチャーとは一線を画している。どこか危険で、別次元の存在であるかのように思えた。
 だがアポロンも分かっているはずだ。この存在を、このままにしてはおけないと。
「どの道、誰かはこいつを倒さなきゃいけない。だったら、今ここにいる僕らがやるべきだ」
「そうだけどよ……」
 まだ煮え切らない様子のアポロンだったが、やがて意を決したように、
「……分かった。ここまで来たら、オイラも腹を括る。最後までついて行くぜ、夕陽!」
「最後って、こんなところで終わってたまるかよ」
 アポロンの言葉に、夕陽は軽く笑いながら返す。
 カードとなった《アポロン》を掴み、デッキを取り出し、クロスオーバー・ヨミへと立ち向かう。
 そして、クロスオーバー・ヨミの咆号と共に、神話空間へと誘われた——

Re: デュエル・マスターズ Mythology ( No.565 )
日時: 2014/04/01 03:09
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 姫乃とニャルラトホテプのデュエル。
 現在は先攻、姫乃の5ターン目。まだ互いにシールド五枚、クリーチャーもいない。
「わたしのターン《ハッチャキ》を召喚!」
「《ハッチャキ》か。だったらこれだ。《自爆やギル・メイワク》を召喚して即破壊!」
 《ギル・メイワク》は《霞み妖精ジャスミン》《特攻人形ジェニー》らと同じく、召喚時に自壊することで能力が発動するクリーチャー。《ジャスミン》はマナ加速で《ジェニー》はハンデスだが、《ギル・メイワク》の場合は火力。つまり、パワー2000以下のクリーチャーを破壊する。
「《ハッチャキ》を破壊!」
「あぅ、《ハッチャキ》が……」
 《ギル・メイワク》が《ハッチャキ》に引っ付き、そのまま自爆。《ハッチャキ》諸共墓地へと落ちて行った。
 《ハッチャキ》が出た瞬間に破壊され、姫乃の計画が狂ってしまう。
「うぅ……だったら《王機聖者ミル・アーマ》を召喚!」
 次に召喚するのは《ミル・アーマ》。これで呪文を唱えるコストが1下がる。
(次のターンに《ヘブンズ・ゲート》を撃って、大きなブロッカーを出せれば……)
 ブロッカーが並び始めれば、あとは姫乃のペースだ。しかし、
「呪文《拷問ロスト・マインド》!」
 相手の手札を見て、その中の呪文をすべて捨てさせる呪文《拷問ロスト・マインド》。姫乃の手札は強制公開され、その中の《ヘブンズ・ゲート》が叩き落とされた。
「そんな……!」
「残念だけど、君の戦術はお見通しだ。ターン終了」
 姫乃のデッキは妨害に弱いため、こう続け様に手を潰されると、今後が厳しくなってきてしまう。
「わたしのターン……呪文《コアクアンのおつかい》!」
 引いてきた呪文をそのまま唱える姫乃。これで、なにか有効なカードが引ければと思い、山札を捲る。
 捲られたのは《転々のサトリ ラシャ》《天国の女帝 テレジア》《光器のイザナイ ロイヤルティー》。三枚とも光のカードだ。
「これで次のターンに立て直せれば……ターン終了」
「立て直させると思う? 僕のターンだ。《奪い去る者ザビ・フライ》《死海秘宝ザビ・デモナ》を召喚。《ザビ・デモナ》の能力で《ザビ・フライ》を破壊」
 《ザビ・デモナ》の能力で、自信のクリーチャーを生贄に、超次元の門が開かれた。
「開け、超次元の門! 《炎上なる者ディス・リゲル》をバトルゾーンへ!」


炎上なる者ディス・リゲル 闇/火文明 (4)
サイキック・クリーチャー:リビング・デッド/エイリアン 3000+
覚醒リンク—自分のターンのはじめに、バトルゾーンに自分の《大昇進!座美の花》があれば、そのクリーチャーとこのクリーチャーを裏返しリンクさせる。
攻撃中、このクリーチャーのパワーは、自分の墓地にあるエイリアン1体につき+1000される。


「さらに《ザビ・フライ》が破壊されたので、相手の手札を一枚墓地へ!」
「っ、《ロイヤルティー》が……」
 姫乃の手札から、今度は《ロイヤルティー》が落とされる。手札を経由せずにクリーチャーを並べるつもりだったのだが、一瞬で瓦解してしまった。
「わたしのデッキじゃ墓地回収はほとんどできないし、どうしよう……」
 夕陽たちの中では汐と並ぶほどに強い姫乃なのだが、意外にもその勝ち筋は、盤面を大型ブロッカーで埋め尽くし、相手を叩き潰すというスタイルだ。デッキ構築の関係上、ドローや踏み倒し、タップキルなどは得意なのだが、マナや墓地からの回収など、あまり器用なプレイングはできない。特に除去などの妨害は苦手分野である。
 彼女が妨害に弱いのも、その辺りが原因だ。
「《パーフェクト・マドンナ》を召喚して、ターン終了……」
 手札を潰され、できることがほとんどない姫乃は、ブロッカーを出すだけでターンを終える。
「……そろそろ決めにかかろうかな。僕のターン、呪文《超次元リバイヴ・ホール》。墓地から《ザビ・フライ》を回収し、開け、超次元の門! 《大昇進!座美の花》をバトルゾーンへ!」


大昇進!座美(ザビ)の花 闇文明 (7)
サイキック・クリーチャー:リビング・デッド/エイリアン 6000
このクリーチャーが攻撃する時、エイリアンを1体、自分の墓地から手札に戻してもよい。
W・ブレイカー


「サイキック・セルが揃っちゃった……」
 次のターンに除去できなければ覚醒リンクされてしまう。だが、姫乃のデッキに除去カードは少ない。
「やっぱり来ない……《知識の精霊ロードリエス》を召喚して、ターン終了……」
「なら僕のターン、行くよ」
 ニャルラトホテプのターン。
 この時《炎上なる者ディス・リゲル》と《大昇進!座美の花》が覚醒し——
「《炎上なる者ディス・リゲル》の覚醒リンク発動。覚醒せよ、そしてリンクせよ。最強の技はここにあり——」
 ——一体となる。


「——《最強国技ダイキンボシ》!」


最強国技ダイキンボシ 闇/火文明 (15)
サイキック・スーパー・クリーチャー:リビング・デッド/エイリアン 9000
エイリアンを自分の墓地から召喚してもよい。
W・ブレイカー
リンク解除
覚醒リンク前《炎上なる者ディス・リゲル》(上)《大昇進!座美の花》(下)


 小結だった《座美の花》は《ディス・リゲル》の力を得て大昇進し、横綱をも倒す大金星を上げた姿。それが《最強国技ダイキンボシ》。
「まずは呪文《ボーンおどり・チャージャー》で山札の上二枚を墓地へ。さらに《ダイキンボシ》の能力で、墓地から《ジオ・ナスオ》と《西武人形ザビ・バレル》を召喚!」
 《ダイキンボシ》の能力で、ニャルラトホテプは墓地からクリーチャーを展開していく。エイリアン限定とはいえ、手札がなくとも墓地のクリーチャーを召喚できる能力は強力だ。
 《ジオ・ナスオ》でマナのカードを墓地に送り込み、《ザビ・バレル》で姫乃の手札を撃ち抜く。
「また手札が……」
 連続で手札を破壊される姫乃。これでは、ブロッカーを並べることすらも難しくなる。
「わたしのターン……マナチャージして、ターン終了……」
 手札がなく、まともに使えるカードもないため、姫乃はほとんどなにもできずにターン終了。個々のカードよりも、複数のカードを同時に扱うことの多い姫乃にとって手札破壊は天敵。それもこれだけ撃ち込まれれば、身動きが取れなくなる。
「手札がなくて困ってるね。ならそのまま、困っていてもらおうか。呪文《超次元フェアリー・ホール》でマナを追加し、開け、超次元の門。《小結 座美の花》と《大関 地男の里》をバトルゾーンに!」


小結 座美(ザビ)の花 闇文明 (2)
サイキック・クリーチャー:リビング・デッド/エイリアン 1000
相手のクリーチャーは、可能であればブロックする。


大関 地男(ジオ)の里 自然文明 (3)
サイキック・クリーチャー:ワイルド・ベジーズ/エイリアン 2000
バトルゾーンにある自分の他のエイリアンすべてのパワーは+2000される。
覚醒リンク—自分のターンのはじめに、バトルゾーンに自分の《横綱 義留の富士》と《小結 座美の花》があれば、そのクリーチャーとこのクリーチャーを裏返しリンクさせる。


「さらに《ダイキンボシ》の能力で、墓地から《封魔妖ザビ・クズトレイン》を召喚して、ターン終了だ」
 またしてもサイキック・セルが並ぶ。《ダイキンボシ》だけでも大変だというのに、さらにサイキック・スーパー・クリーチャーが並ばれてはたまったものではない。
「わたしのターン。呪文《コアクアンのおつかい》!」
 ここで再び、姫乃は《コアクアンのおつかい》を唱える。捲られた三枚は《ハッチャキ》《光陰のリバイバー・スパイラル》《勝利の女神ジャンヌ・ダルク》。三枚中二枚が光のカード、《リバイバー・スパイラル》以外は手札に入る。
「《ハッチャキ》は、出しても《ギル・メイワク》で破壊されちゃうし……ターン終了」
 今度は手札補充だけでターンを終える。こうして姫乃がなにもできないでいる中、ニャルラトホテプは着々と準備を進めていた。
「呪文《ボーンおどり・チャージャー》、そして《ダイキンボシ》の能力で墓地から《ザビ・バレル》を召喚」
「あっ《ジャンヌ・ダルク》……!」
 《ボーンおどり・チャージャー》で墓地を増やしながら、《ダイキンボシ》で墓地に落ちたクリーチャーを展開。その最中にハンデスなどの妨害を織り交ぜ、自分は次の切り札を呼び出す準備を整える。
 正に、ニャルラトホテプの独壇場だ。
「続けて墓地から《自爆屋ギル・メイワク》を召喚して、即破壊。自分のエイリアンが破壊されたので《ザビ・クズトレイン》の能力で一枚ドローだ」
「っ……《ギル・メイワク》に、そんな使い方が……」
 単体だと、2000火力を放つ呪文感覚、火力が不要ならアタッカーといった使い方をする《ギル・メイワク》だが、《ダイキンボシ》がいればマナの続く限り2000以下を破壊でき、さらに《ザビ・クズトレイン》がいれば破壊するクリーチャーがいなくてもドローできる。
「分かってはいたけど、空城くん相手みたいには、行かないな……」
 どう見ても夕陽そのものなのだが、しかし目の前の相手はまったくの別人だ。
 そのことを再度認識し、姫乃は次のカードを引く。


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