二次創作小説(新・総合)
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- ポケットモンスター REALIZE
- 日時: 2020/11/28 13:33
- 名前: ガオケレナ (ID: qiixeAEj)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12355
◆現在のあらすじ◆
ーこの物語に、主人公は存在しないー
夏の大会で付いた傷も癒えた頃。
組織"赤い龍"に属していた青年ルークは過去の記憶に引き摺られながらも、仲間と共に日常生活を過ごしていた。
そんなある日、大会での映像を偶然見ていたという理由で知り得たとして一人の女子高校生が彼等の前に現れた。
「捜し物をしてほしい」という協力を求められたに過ぎないルークとその仲間たちだったが、次第に大きな陰謀に巻き込まれていき……。
大いなる冒険が今、始まる!!
第一章『深部世界編』
第一編『写し鏡争奪』>>1-13
第二編『戦乱と裏切りの果てに見えるシン世界』>>14-68
第三編『深部消滅のカウントダウン』>>69-166
第四編『世界終末戦争』>>167-278
第二章『世界の真相編』
第一編『真夏の祭典』>>279-446
第二編『真実と偽りの境界線』>>447-517
第三編『the Great Journey』>>518-
Ep.1 夢をたずねて >>519-524
Ep.2 隠したかった秘密>>526-534
Ep.3 追って追われての暴走>>536-
行間
>>518,>>525,>>535
~物語全体のあらすじ~
2010年9月。
ポケットモンスター ブラック・ホワイトの発売を機に急速に普及したWiFiは最早'誰もが持っていても当たり前'のアイテムと化した。
そんな中、ポケモンが現代の世界に出現する所謂'実体化'が見られ始めていた。
混乱するヒトと社会、確かにそこに存在する生命。
人々は突然、ポケモンとの共存を強いられることとなるのであった……。
四年後、2014年。
ポケモンとは居て当たり前、仕事やバトルのパートナーという存在して当然という世界へと様変わりしていった。
その裏で、ポケモンを闇の道具へと利用する意味でも同様に。
そんな悪なる人間達<闇の集団>を滅ぼすべく設立された、必要悪の集団<深部集団>に所属する'ジェノサイド'と呼ばれる青年は己の目的と謎を解明する為に今日も走る。
分かっている事は、実体化しているポケモンとは'WiFiを一度でも繋いだ'、'個々のトレーナーが持つゲームのデータとリンクしている'、即ち'ゲームデータの一部'の顕現だと言う事……。
はじめまして、ガオケレナです。
小説カキコ初利用の新参者でございます。
その為、他の方々とは違う行動等する場合があるかもしれないので、何か気になる点があった場合はお教えして下さると助かります。
【追記】
※※感想、コメントは誠に勝手ながら、雑談掲示板内にある私のスレか、もしくはこの板にある解説・裏設定スレ(参照URL参照)にて御願い致します。※※
※※2019年夏小説大会にて本作品が金賞を受賞しました。拙作ではありますが、応援ありがとうございます!!※※
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.520 )
- 日時: 2020/07/11 20:27
- 名前: ガオケレナ (ID: joMfcOas)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
勢いのままに手当たり次第バトルを挑み挑まれて一時間が経過した頃。
屋外のバトルコートのわきに置かれたベンチにルークが無言で座るのを見たのだろう。
リョウは、あっさりと目の前で起こっていたバトルをそそくさと終わらせると彼の元へ近付いた。
「どうした?負けちった?」
「悪い……俺もどうかしてたわ。死ぬほどだりぃからこれで終わりにしねぇ?」
「お前っ、準伝の色違い厳選じゃないんだからさぁ……」
下準備を終えたからと半端な覚悟で色違いのポケモンを粘るも、あまりの苦行にギブアップしてしまうその様にそっくりだった。
リョウも体験したことがあるので彼の気持ちは十分に分かるのだが。
「ひとつ誤算だった。いくら相手が格下だろうとかなりの実力者であろうと一回のバトルに時間がめちゃめちゃ掛かる。大会の時や深部の戦いとは大違いだ」
「そりゃ……あたりめーだろお前。まともに大会のバトル見ないで実戦だけこなすからここで参っちゃうんじゃねぇのか?ちなみにオレはまだまだ行けるぜぃ。そういや、何回勝ってる?オレは十七連勝ってとこ……」
「二十一……いや、二だな。さっき勝ったばかりだ」
「うっわオレ負けてるー……」
仮にここで止めてしまえば二十二対十七でリョウの敗北である。
このまま終わりにはしたくない反面、ルーク同様面倒臭さと言うかバトルの張合いの無さに苦痛を覚え始めていた。
あと五戦すれば彼には追いつくものの、それを考えただけで気分が悪くなってくる。
「し、しゃーない、ここは元フェアリーテイルのトップとジェノサイドの下っ端というキャリアの差と言う事で諦めるかなー……」
リョウもポケモンをボールに戻し、ルーク同様ベンチへと腰掛ける。
「ジェノサイドの奴の様子がここ最近おかしいな?お前何か知ってるか?」
「いやー?詳しいことは何も。オレもジェノサイド出身とは言ってもレンとはまともに会話した事が一度か二度あったくらいだからなー?」
リョウはほんの数秒前まで自分が使っていたバトルのコートを眺める。
既に二人の学生が向き合い、それぞれのポケモンを繰り出してはバトルが始まったところだ。
「……なぁ?ずっと前から気になってたんだがー」
「んぁ?」
「何でジェノサイドの奴色んな人間から"レン"って呼ばれてんだ?」
ルークは自分の財布を開けつつ中を見た。
ジュースの一本でも飲もうかと思ったが予想以上に小銭が少なかったので途端に諦めた。
「え?ルークお前知らなかったのかよ?……そういやお前ずっと"ジェノサイド"って呼んでんもんな」
「とにかく何でだ?クッソどうでもいいのだが」
どうでも良ければ反応しなければいいだけなのだが、そこに彼の性格が読み取れる。
リョウはそんな事を頭の片隅で思いつつもその訳を思い出す。
「確かアレだよ。リーダーのミナミちゃん曰くー……」
「お前"あんなのに"ちゃん付けかよ」
「レンが中学生の頃?だっけ?何かのテストの答案にEUの正式名称を漢字四文字で答えるところを、どういう訳か"EUの創設者の名前"と勘違いして"レーーン"って書いたんだとさ。それを先生がクラスにバラして奴はお笑い者。高校卒業までずーっと人からはそうやって呼ばれてたらしいぜ」
「本当にくっだらねェのな……」
真面目に聞いていて損をした気分だ。
何か深い訳があるのかと思ったらまさかの深部とは無縁の現実世界の話である所に拍子抜けした。
「これを機にルークもレンって呼んだら?」
「ふっざけんな……俺は奴とは馴れ合いたくねぇ」
「なんでー?……。ところでさ、ルークは何でルークって呼ばれてるん?やっぱり由来とかあったり……」
「オイっっ!!」
リョウの言葉を遮るようにしてルークが怒鳴った。
血走ったような目でこちらを見ている。
リョウはすぐに静かに謝った。
「いや、こちらこそ……突然悪かった」
「そうだよな。話したくないことの一つや二つあるもんな……」
それから、二人の会話は途切れた。
途中、どこかの高校生の「今日学校で飛び降り自殺の騒ぎあったじゃん?」という、物騒な会話を聞いた以外は特に記憶に残らなかった。
「そろそろ帰るか?無言で出掛けてるとリーダー煩くなるし」
「あの女……無駄に面倒見だけいいもんな。この前だって大した用でも無かったのに夜遅くに帰っただけで目真っ赤にしてたからな」
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.521 )
- 日時: 2020/07/18 13:58
- 名前: ガオケレナ (ID: 0.ix3Lt3)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
寄り道をした結果、二人が帰ったのは日も暮れて組織のメンバーは既に夕食を済ませた後の事だった。
案の定、「何故何も言わずに出掛けたのか」、「だとしても帰るのが遅い」などとミナミからは説教を受けて。
どうやら、彼女曰く二人は組織にとっても重要な戦力らしく、突然手元から無くなるのが嫌。とのことなのだが、
「いや全くもって知らねェがな。こちらから望んで赤い龍に入った訳じゃねぇ……。全部成り行きだ」
「まー、それを言われたらオレも似たようなモンだからなぁ。何とも言えんよなぁ」
部屋に戻ったルークとリョウはそんな感じに愚痴を交わす。
この組織、このメンバーではよくある光景のひとつだ。
「明日はドコイクナニスル?」
「何も決めてねぇよ。ってか毎日毎日出掛けるのもダルい。特に用もねぇのにな。厳選もしたいし明日は家から出ねぇぞ俺は」
「じゃあオレも明日はお休みにしようかなぁ」
とは言いつつ、リョウはルークの部屋から出ようとしない。
むしろ、彼のベッドに腰掛けてゆっくりとくつろいでいる。
プライベートの空間の中では一人で居たいルークは居心地の悪さを感じつつも親密な仲間柄の内は口の悪い彼でもそんな事は言わない。
「雨宮の姿がねぇな?」
「うん?」
ルークとリョウはこの一日、仲間の一人である雨宮を見かける事がなかった。
基地へと帰って来た際に通り過ぎた食堂にもその姿は見えなかったし、かと言って何処かですれ違う事も無かった。
駐車場を見れば彼の所有するスポーツカーがあるので一発で分かるのだが、車を持たない二人がそちらを見ることは無い。
「奴は今居るのかな……暇だし見てみるわ」
「飯は食わねぇの?」
「腹減ってねぇし寝る前にでも食うわ。どうせ残してくれてんだろ」
そう言ってルークは翻るように部屋から出ていく。
だが、一人でボーッとしているのも退屈なようで、すぐにリョウも後ろを歩いて来た。
階段を降りて正面玄関という名称のついた、やや広い出入口を出る二人。
すると、二人の目の前の、駐車場でも無いのに一台の車が歩道とも車道とも言えないやや広い敷地に停められていた。
群青色の、べったりと低い車高をした競技用にも見える自動車。
よく見ると、タイヤを付け替えている雨宮の姿があった。
「何してんだ?」
「見て分かるだろ。かなり摩耗してたからな……タイヤを交換してんだ」
雨宮騎龍。
ルークがリーダーを務めていた組織の時代からの仲間の一人だ。
白髪が一本でもあれば目立つ程の真っ黒な髪、その前髪は目に若干かかっているからも見て分かる通り、男としては少し長めだ。手入れは普段からされていないのだろう。ボサボサで一定していない。
それらの出で立ちから、雰囲気を見るに暗めな印象を抱く。実際それは間違いではない。
「ジャッキなんて持ってたか?」
「知り合いの居るガソリンスタンドから借りパクしていたのを思い出した。いつ借りたかも分からねぇが何も言われてないし問題ないんだろ。これが終わったら返しに行く」
ルークはタイヤを持ち上げていたその器具を見つめつつそう尋ねた。
彼の持つ道具としては見慣れないものだったからだ。
「ちょっと待て。タイヤが摩耗って……そんなに激しい走り込みしてたのか?」
「この前峠を攻めに箱根にな。初見ではかなりキツい下りだった」
「いつの間に……言ってくれりゃオレも言ったのになぁー」
リョウが雨宮の作業を眺めつつ会話に割り込む。
だが、彼が誘わなかったと言う事は何かしらの理由があるのだろう。そう思った矢先、
「あのなぁ……男が隣に乗るだけでどれだけ荷重が掛かると思う?余計な負担はかけたくねーんだよ」
「ちぇっ」
「だが山はもういいや。そろそろサーキットに行きたいね」
「サーキット?近くにあったか?」
「ねぇよ」
取り付けを終えた雨宮がやっと二人に振り向く。やっと顔を見られた。ルークはそんな心境だった。
「無いから困ってる。思い切って富士スピードウェイにでも行こうかと思ってたところだ」
「えっ、マジでマジで!?オレも!オレも行きてぇ!!」
途端にリョウのテンションが上がる。
雨宮としては内心引き気味だ。
「な……何で?」
「あそこの飯美味いって評判だろ?レースだって観てぇし走らなくても楽しめそうじゃん?」
「あぁそう……」
と、三人で会話が盛り上がっていたせいだろうか。
真っ暗な闇の中、ぼんやりと一つの影がこちらに近付いているような景色をルークは見た。
「?」
「アンタたち?何やってるの?」
「うわまた来た……」
その可憐な声で一発で正体が判明する。
安全や防犯の為に敷地の見回りをしていたミナミが怪しげな目でこちらを睨んでいた。
「もう遅いんだけど?何やってるの?」
「おいおい、よく見ろよ?タイヤの交換だ」
「今やらなきゃダメなの?」
その地味な説教に雨宮はわざとらしく重くため息を吐きながら、
「ったくよぉ……んなの自分の勝手だろ?お前は何なん?ウザってぇからさっさと戻ってくんね?」
「ちょっ、何よその言い方!!この組織のリーダーが誰だか分かって言ってるの?」
「だぁからそのリーダーがこんな夜遅くに外で出歩いてんのがおかしいって言いてぇんだよ!お前は考えた事あんのか?その木の上にお前を狙っている敵が潜んでるとかよぉ!!」
ビシッと風切り音を鳴らして雨宮は決して太くはない一本の木を指した。
周囲の草むらに囲まれて確かに敵対者が隠れるには最適のようにも見える。
「そ、それは……」
「いいか!リーダーのお前が死ねばその時点でこの組織は終いだ。それが何を意味するのかよーく考える事だな。分かったらこんなアホな見回りとか言うのを止めてさっさと消えろ」
「結局自分の都合のいいようにしたいだけじゃない!」
とは言いつつミナミは正面玄関を通して中へと入って行った。そういう意味では彼の警告は響いたようだ。
「お前にしてはらしくねぇ事言うんだな?」
「ルーク……お前だとしても今の発言は気に入らねぇぞ。アイツが邪魔だっただけだ。誰が聞きてぇよ?クソつまんねぇ説教なんかをさ」
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.522 )
- 日時: 2020/07/16 23:42
- 名前: ガオケレナ (ID: OSvmcRAh)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
それから四日後の朝。
ルークは駐車場に自慢の車のフードを開いては中のエンジンを凝視している雨宮を見つけた。
「よう。どうだ、調子は」
「当然だが全然違うな。タイヤひとつ変えただけで車の止まり具合が全然違う」
ルークは車を持たないので彼の気持ちはいまひとつ分からないが、だとしたら何故今度は違う所を訝しげに見ているのか。
聞いてみると、
「いや、さっきオイルを足していたんだが……特にトラブルは無いのだが不思議と見とれていてな」
「機械にか?よく分かんねぇな」
「ただの機械と同じにすんな。コイツは心臓だぞ?」
雨宮は誇らしげに言いながらバン、という激しい音と共にボンネットを閉めた。
「お前こそどうした?何か用か」
「あぁ。またリョウを連れてドームシティに行きたいんだが……此処から行くとちょっと面倒でな」
「要するに足が欲しい訳か」
「お前もたまにはどうだ?最近ポケモン使ってねぇだろ」
というルークの誘いを空を見ながら彼は少し考えた。
ルークの言う通り、雨宮は例の大会以降ポケモンをまともに操っていなかった。
長い間療養していたという側面もあるのだが、空間を伴うポケモンバトルとは日頃の慣れも非常な重要な要素である。
ルークはその点も案じていたのだ。
「どうかな……。だが、これからもあるのか?あんなふざけた戦いが……この後も」
「あるだろ。現にジェノサイドの野郎が疲れ切ったふざけたツラして戻ってきたろ?」
今思い出してもイライラする。
ルークは高野洋平の憔悴した顔に嫌悪感を抱かずにはいられない。
「こうして基地に居ても奴と鉢合わせしそうで嫌だ。って訳でいつものメンバーで行こうぜ?」
「奴は今大学だろ……。でもいいや。折角だし行こうかな」
ーーー
度々渋滞に揉まれること40分後。
群青色のスポーツカーは"桜ヶ丘ドームシティ駐車場"と立てられた看板の傍を通り抜けて若干埋まりつつある駐車場に無事に停まる。
「やっぱダメだ。この街は好きになれねぇ……走っててイライラするわ」
「まぁそう言うなよ。野猿街道なんて夜中以外は混んでるもんだろ」
車から降りてドアを閉めて早々に雨宮が不満を顕にする。
リョウはそんな二人の会話がつまらな過ぎたのか、はたまたこの会場が好きなのか、一目散に駆けてはその姿を見失わせた。
「そんで?今日はここで何を?」
「そうだなー……俺とバトルするか?」
「はぁ?」
雨宮は間抜けな調子で叫ぶ。
チームメイトで且つ実力も上なルークが彼と真面目に戦うのは滅多に無いし、かと言ってそういう仲でも無かったのでその提案は意外だった。
「正直此処に来たからって満足のいくバトルは中々出来ねぇもんだ……。見ろよ」
雨宮はつられてドーム周辺の景色を見る。
しかし、まだ昼にも達していないせいか人気は少ない。
ルークが何を言っているのかよく分からない。
「ここは学生の聖地だ。ポケモンを使っていない人でも此処では外食を済ます事が出来るから尚更学生が多い。故に"ガチな奴"も中々居ねぇもんだ。ライトな層が多いからそういう意味では張り合いは無いかもな」
「だったら何で退屈な運転させてまで連れて来た?」
「たまーにお前深部だろって言うような奴も紛れて来る。そういうのと戦えるところが利点かな。ほら、深部の人間と戦うと大体組織絡みになるだろ?」
街中で突然絡まれない限り、深部の人間は他の深部の人間と中々戦う事が出来ない。
それは言い換えてしまえば組織間抗争の一因にもなり得てしまうからだ。
「ノーリスクで戦えるって事か……」
「そういう事だ」
そんな二人の会話とは裏腹に、リョウは早速周りの学生を巻き込んでバトルを繰り広げている。
本当に同じ深部の人間かと思うほど楽しげに、大はしゃぎで戦っているせいで目立ちがちだ。
むしろ、それを狙っている節もあった。
ーーー
「っつー訳だ。一勝負付き合ってもらうぜ」
「あんま乗り気じゃねぇんだけどなぁ……」
ルークと雨宮の二人は20分ほど経ってやっと空いたコートに立った。
「試合形式はどうする?一対一?三対三?六→三か?」
「三三にしてくれ。後は面倒だ」
「オッケー!」
そう叫んだルークは同時にフレフワンを繰り出した。
それを見た雨宮は軽くため息を吐く。
「まーたそれかよ……」
'トリックルーム'の始動役。
つまりそれは、背後にエースが控えているという事だ。
雨宮はそれを見越してハガネールの入ったボールを投げる。
「これってよぉ……意味あんの?」
「あぁ?」
「仲間な訳だから使うポケモンも知ってるだろ?対策しちまえばつまらないバトルになっちまわねーか?」
「それは……工夫次第だ」
ハガネールはメガシンカをせずに突っ込んで来る。
見下ろしていた首を突如として天を仰いだかと思うと突然ジャンプをした。
'ヘビーボンバー'だ。
400kgという重量を誇る巨躯がちっぽけに見えてしまうフレフワンに襲いかかる。
防御が半端なフレフワンでは"きあいのタスキ"でも無い限り一撃で沈む事は間違いないだろう。
しかし。
直前でその技は外れてしまう。
「!?」
「早速上手くいきやがったな……」
技が当たる直前にチカチカと妙な光が灯ったようにも見えた。
そもそも、'ヘビーボンバー'の命中率は100。
相手が余計な事をしない限りは外れない技だ。
「"ひかりのこな"か……ふざけたチョイスだな?」
「だが実際翻弄されてないか?」
そう言っている内にフレフワンの'トリックルーム'が展開されていく。
二人と二匹を包むように、空間が捻じ曲げられて不可思議な様相を見せてゆく。
その直後にルークはフレフワンをボールへ戻した。
唯一の欠点。退場技が無い。
代わりに出てきたのはランクルス。
恐らく今回のエースだ。
「ランクルスだァ?お前フェアリー統一じゃ無かったのか?」
「それは昔の話だ……今の俺なら何でも使うぜ?」
結果的に互いの手持ちを把握し切れず、妙な読み合いを展開して予想外に進むバトル。
長丁場になるだろうと一人呟いたリョウは少し離れた位置に置いてあるベンチに座って二人のバトルを眺めようと腰を降ろそうとしたその時だった。
「あの……すいません、ちょっと……いいですか?」
それは突然だった。
リョウは、声も顔もその姿も知らない、全くの他人から声を掛けられた。
「いいけど……どちらさん?オレはー……ちょっと君を知らない気がするんだ」
「あ、あのっ!多分お互い知らない人同士だと思いますが……いや、わたしは知っているのですけれど、ね……」
その人は少女だった。
まだ真新しさがにわかに残っているところを見るに、今年入学した歳なのだろう。
「えっと……高校生?」
「はい!保科萌花って言います」
「あぁ……名前ね」
リョウは何が何だか分からなかった。
知らない人に声を掛けられたかと思うと一方的に自己紹介されたのだから。
とにかく反応に困る。
「あの……お願いがあるのですが、よろしいでしょうか?」
はじめは下手な逆ナンかと思った。
だが、誰も予想など出来なかった事だろう。
ここからひと騒ぎ起きるなどと。
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.523 )
- 日時: 2020/07/17 20:58
- 名前: ガオケレナ (ID: OSvmcRAh)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ランクルスっっ!!'きあいだま'だッ!!」
ルークは勝ち誇るように叫び、呼ばれたポケモンは即座に動く。
全身に力を込め、長い腕の先に一点へと集められ、凝縮された"気"が一つのボール大の大きさになると途端に打ち出された。
まるで技のスピードにもトリックルームが掛かっているのではないかと錯覚してしまうほどだ。
巨大が故に隙だらけのハガネールにその技はぶち当たる。
直撃の余波として妙なエネルギーの残滓がその周囲に吹き渡った。
「っざけんなァァ!ハガネールの特性は'がんじょう'だっつーの!!」
乗り気でなかったはずの雨宮が勝負に燃えて口調も乱暴になってゆく。
深部の人間の性とでも言えるものだろうか。
結局のところ、どんな人間でも極みに至ってしまえばその根底には万人に共通する"思い"があるのだ。
ポケモン勝負が好き。
それ故に彼らは上位とも言える立ち位置を手にしたのだ。
「やり返せ!'ヘビーボンバー'!」
再びハガネールは地上に向けて小さく、軽くジャンプする。
動きの鈍いランクルスではそれを避ける事は出来ない。
地響きのような音を鳴らしてハガネールはフィールドごと潰す。
ランクルスは戦闘不能。
このような状況でも死なないという点が不思議でならない。
そう思いつつルークはポケモンをボールへ戻した。
代わりにニンフィアを出す。
「結局フェアリーかぁ?」
「'でんこうせっか'」
「チッ……」
その一言で雨宮のポケモンも倒れる。
雷光の如き動きでニンフィアはハガネールに一撃を込めた。
次に彼が出したのはドサイドンだ。
「お前って重量級好きだったっけか?」
「俺は特に縛りはしねぇよ。偶然だ」
と言いつつこれまでに使ってきたポケモンは二体とも地面タイプである。
恐らく練習も兼ねていたのだろう。
「'ハイパーボイス'」
「'じしん'」
トリックルームはまだ続いている。
先に動いたのはドサイドンだ。
意図的に揺れる地響きと衝撃にニンフィアは翻弄される。
動くはずだった足は止まり、目眩を起こしたようにフラっと倒れ込んだ。
「お?一撃か?」
「んな訳あるか。急所に当たらなければな」
ルークの予想通り、ニンフィアはすぐに立ち上がると負けじと衝撃波を放った。
本来であればノーマルタイプの技だが、
「やっぱり'フェアリースキン'かよぉぉっっ!!」
威力が増幅された不可避な技にドサイドンは飲み込まれる。
だが、堅いのはお互い様のようでそれだけでは倒れない。
トリックルームが残されたターンはあと1つ。
つまりそれは、ドサイドンが先に動く事が確実だという事だ。
「'じしん'……」
「飛べ、ニンフィア!避けるんだっ!!」
「と、見せかけて'がんせきふうじ'だ!」
ニンフィアが飛んだ方向に腕を向けていたドサイドン。
穴の空いた掌から岩が数個打ち出された。
動きを封じるかのように視界を遮るその岩は、
「'ハイパーボイス'だ」
実体の無い衝撃の前に粉々に崩れ去る。
その技は見事なまでにドサイドンの元へと届き、突き刺さり、遂には倒れるに至らせる。
しかし、ドサイドンの技も終わっていなかった。
タイムラグで発射された幾つかの岩の塊はニンフィアの四肢に直撃し、痛みに悶えた。
「あと一匹か……アギルダー、行けっ!」
雨宮は最後のポケモン、アギルダーを場に出した。
相手は虫の息にして素早さの下がったニンフィア。
「'でんこうせっか'」
「'むしのさざめき'」
トリックルームは終わった。
しかし、先制技は健在だ。
ニンフィアの性格の下降も相まって決して高いとはいえない威力だが、その体当たりは素早いアギルダーを捉える。
だがそれで見逃す雨宮とアギルダーではない。
ゼロ距離からの音波を発した特殊技が残り少ないニンフィアの体力を削り、
「……やられたか」
「お前のニンフィア化け物だろ……。残りはフレフワン……だが、」
ニンフィアは静かに倒れる。
入れ替わるようにフレフワンが再び舞い戻った。
その持ち物は"ひかりのこな"。
技が当たるかどうかは運試し。
「'むしのさざめき'!」
果たして、広範囲に広がる音技はフレフワンの耳を刺激してよろめいた。
「よし、まずは当たったな!?」
「'ムーンフォース'」
フレフワンが祈るようなポーズをすると、はるか上空にうっすらと視える月が一瞬、ときめいた。
そして。
バトルコート全域を包むようにして、眩しい光線が降り注いだ。
「はあっ!?こんなん避けられるかっつーの!!」
速いアギルダーでも全方位から迫れば余地はない。
眩い光に包まれたアギルダーはタスキを失ったせいでそのまま倒れた。
「対戦ありー」
「チートかよってレベルだな……」
やや不満げな雨宮は呟きながらアギルダーをボールに戻し、こちらの試合を眺めていたはずのリョウを確認すると、
「テメェェッッ!!試合そっちのけでナンパかぁ??おぉん!?」
せめて自分たちの戦いを参考にするものかと内心感心しかけただけにいらぬ苛立ちを覚える雨宮。
ダッ、と砂埃でも立ちそうな勢いで走り抜ける。
「ちっ、違う違う!!逆!むしろオレが声掛けられたからっ!!」
と、相手が見知らぬ人間だけに必死に説明するリョウ。
そうしている内に怪しいものを見る目付きでルークも戻って来た。
「……本当に知らねぇのか?」
「知らないって!」
「その割には楽しそうに会話してなかったか?」
「相手へのペースってものがありますしね〜」
無理に作り笑いをしているリョウだが、相手の少女はどうも自分を見ているらしかった。
「あのぉ……あなたがルーク……さん?ですか?」
「何で俺の事を知っている?」
「ポケグラの模様をテレビで見ていましたっ!」
「あぁ……」
しくじったと彼は思った事だろう。
夏に開催された大会は地上波で放送されていたらしい。
その時にテロップか何かで自分の名前、それもエントリー時のものが流れていたようだ。
深部の人間からすれば対象者を判断するいい材料以外の何物でもない。
「やられたな……」
「えっ?何が?」
「何でもねぇよ」
ルークは改めて少女を見た。
薄い橙色、眉が軽く隠れる長さの前髪、しかし肩にかかるほどにも満たない全体的に短い髪型だ。
その目は大きく裏表が無さそうな正直者を表すように眩しく、高校の制服は新しさがまだ残っていた。
総じて元気で活発そうな、純粋そうなイメージを持ちそうな子であった。
「保科萌花って言います!」
「俺はルーク。こっちは仲間の雨宮、そしてこっちのナンパかましてたのがリョウだ」
「ちょ、オレはナンパしてないって……」
冗談のつもりだったのだが、勝負の結果に不満を少なからず抱いていそうな雨宮の鋭い視線と殺意を感じ取ったリョウは、彼の本意に気付く余裕がなかった。
「それで?何で俺を知ってまで声を掛けたんだ?」
ルークはつまらない冗談のやり取りを強制的に止め、保科に問いかける。
「は、はい!実は……ちょっとお願いがありまして……」
「それは俺じゃなきゃダメか?」
「はい!どうしても強い人じゃなきゃ駄目なんです……」
意図が読めない。
そのせいで、迂闊に行動に移すことが出来ない。
敵対心を抱かれている別の深部組織のスパイの可能性が頭に浮かんだルークは、
「どうする?」
雨宮に察しろと言いたげな視線と共に雨宮に投げる。
「どうしろって……基地に連れてきゃいいんじゃねーの?」
「お前さぁ……」
ルークはそうじゃねぇと大きくため息を吐いた。
しかし、雨宮にも考えはあるようで、
「仮にスパイだとしてもだ。基地に放り込んで人質にしちまえばいいんだ。その間にお人好しな性格のリーダーに投げちまえばいい。洗脳させてこっちの陣営に引き込んじまえ」
と、少女に対して聴こえないように、回れ右をしてルークに小さく耳打ちをした。
「お前……えげつない事こんな短時間でよく思いつくなぁ?」
面倒な役回りは勘弁なルークはその意味では思いが一致している雨宮の意見には賛同気味だ。
「なぁ悪い。決してヤバい意味では無いから誤解しないでもらいたいんだが……」
仮にスパイでなくとも、ルークより強い人間は他にもいる。
そういう人たちに任せたかった彼等は早速行動を開始する。
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.524 )
- 日時: 2020/07/18 02:30
- 名前: ガオケレナ (ID: OSvmcRAh)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「それで?」
赤い龍のリーダー、ミナミはしかめっ面をして基地の出入口を塞ぐようにして仁王立ちをしていた。
連絡を受けてルークらの帰りを待っていたのだ。
「あー、だからなァ?この子は訳あって強い人を探しているらしい。誰か紹介するなり話をするなり何かしろ」
「それがウチに頼む態度なの!?」
本気でダルい。
何でこんな先の見えないやり取りをしなければならないのかとルークは酷く困惑する。
「フツーに考えろよ。得体の知れない男共に囲まれてんのと、同じような人と話すのだとどちらか楽って話だ。圧倒的に後者だろーが」
「……そうじゃなくてぇ、無言で基地から離れたり突然素性の知らない人を連れて来るところが……」
「あーハイハイ。サーセンしたぁーってな」
雨宮がミナミの言葉を遮り、叫ぶ。
彼は中途半端に停めてきた車を駐車場に移動させる為にそちらへ向かい、その隙にルークも足早に自室のある方へと去っていった。
残ったのはミナミとリョウ、そして連れて来られた保科の三人だ。
「えーっと……。ごめんね?名前はー……」
「保科です。保科萌花」
「じゃあ"もえちゃん"で!」
「あのー、オレもそろそろいいっすよね?」
と、リョウは別の棟の窓を指した。
戻らせてくれ、と暗に示している。
「アンタはダメ。二人は勝手にどっか行っちゃうし、一番はじめに話しかけられたのもアンタだって言うじゃん?とにかく……何が起きているのか話してもらうわよ?」
「うわぁ……逃げればよかった」
「もう一度言ってみて?」
ゴメンナサイナンデモナイデスと小声かつかなりの早口で念仏のように唱えるリョウ。
三人が今話し合いのために談話室へ行こうと入口を潜ろうとすると、
「あっ、」
一人の新たな影が迫って来た。
「レン。おかえり」
「お、おう。ただいま……」
大学の講義を終えた高野洋平が帰って来た。
「火曜ってサークル無かったっけ?行かなかったの?」
「あんな事があった直後だ……気まずくて行けねぇよ」
さらっと言うと三人の隙間を抜けてそそくさと建物の中へ入ってゆく。
異国での一件以降、彼は元気が無かった。
この世界に通じていない人間が「あの人は嘗てこの世界で最も強い人だったんだよ」と知らされると恐らく誰もが驚く事だろう。それ程までに面影はもう無かった。
ーーー
基地に戻ってから三時間程が経過した。
ルークと雨宮が一つの部屋に集まってゲームをしているのは、ついさっきのバトルが少なからず影響しているのだろう。
時折会話を挟みつつポケモンの育成に励んでいた。
時計を見れば十五時を過ぎたところだった。
ノックもせずにリョウが入って来る。
「もう〜……勘弁してくれよ〜〜ルークぅ……雨宮ぁ……」
ハットが頭からズレた状態で、長時間重い荷物を肩に背負った後みたいな顔をした彼が開いた扉に背中を預けて寄りかかった。
「お前どこに居たんだ?」
「どこに居たじゃないよずーっと話してたんだよ!!さっきの女の子とさ!!」
「へぇー……」
既に二人の興味は失せていた。と、言うより目の前の画面に移っている。
リョウは、なんて奴等だと内心で思いつつハットの位置を元に戻す。
「ミナミちゃんが色々聞いてくれたよ。何処から来たのかとか、何を求めたりとかさ」
「あっそ」
「……」
そんな単調な返事しか出来ないのならばいっその事無言で聞いていてくれと言いたくなる気持ちを抑えつつ、リョウは続けた。
ちなみに彼の体勢がそのままなので、ドアは開けっ放しである。
「保科萌花……。言いにくいな、もえちゃんでいいや……。その、もえちゃんは都内の高校在住の一年生で、なんて言ったっけなー。ちょっと難しそうな名前の学校の……えっと……稜爛高校!そこの一年生なんだとさ!」
「なんだと?」
ルークは反射的にゲームを操作する指の動きを止め、見開いた目でリョウを見た。
「オマエ、今何て言った……?」
「えっ、だから……りょうらん高校って……」
「稜爛高校だと?俺の知っている制服じゃなかったぞ?」
「えっ、そこォ!?」
3DSを閉じてルークは立ち上がった。
口元を手で押さえて、あたかも悩む仕草をしつつ。
「制服のデザインが変わっただけか……?いや、言っても2年だろ……?たまたま変わっただけか」
「あのー、ルーク?どうしたの?」
「俺、その高校出身だわ」
思わず雨宮も手を止めた。
リョウも間抜けな顔を曝け出して驚く。
「え、ええぇぇぇっっ!?」
「だが妙だ……。奴は一年だろ?俺は二年前に卒業している。何処で知り得たんだ?」
「あっ、それに関しては〜……」
リョウが三時間掛けて得た情報のため説明を始めた。
稜爛高校には夏の大会にも出た程のポケモンの強い同好会があるのだという。
"ある理由"でそこを訪ねた保科が、『ポケモンの強い人は誰か』を訊いたとのことだった。
「そこの会員曰く、『それはジェノサイドだ』って言ったんだが、もえちゃんはそんなの知る訳がない。明確な答えを出せなかった会員たちは悩んだ挙句、そんな彼と大会時同じメンバーだった女の子?とルークの名を挙げたんだとさ」
「おいちょっと待て。……じゃあ何だ?本来であればジェノサイドの野郎が適任だったって事か?」
とんだとばっちりを食らったようだった。
本当にポケモンの強い人を求めるのならば高野の元へと行けばよかったのだが、どういう訳か、果たしてどのような手がかりを掴んだのか、こうして自分たちの前に姿を現した。
「なんだそりゃ……。それで?目的は?」
「目的はー……。何だかなぁ……。もえちゃんが持つ、ポケモンの中古ROMの元の持ち主を探して欲しいとかで……」
「はぁ?それ強い弱い云々関係ねーじゃん!!」
決してリョウは嘘を言っている訳ではない。
言われたこと、聞いたことをそのまま彼らに伝えているに過ぎないのだ。
なので、ルークが怒りや不満を示しても、リョウにとってはどうしようも無いしどうも出来ない。
「でも実際にもえちゃんはそう言ってるぜ?」
「おい、それって持ち主を探しに色々出掛けるってことか?」
珍しく雨宮が口を開く。
「それで車出せなんて言っても……無理だからな?」
「そこまでは言ってねぇだろうが」
長時間移動するとなると車の負担も掛かるしガソリン代などの金も掛かる。
持ち主ゆえ雨宮は少し嫌な予感を覚えたのだ。
「んで、それからお前はどうしたのさ?」
「オレ?オレはミナミちゃんが戻っていいって言うから今此処に来ただけさ?その後は二人で少し話をしたらしいぜ?」
「そぉかよ……」
ルークは少し考え、遥か彼方の景色を見つめるような、遠い目をして軽く息を吐く。
「よし、俺も色々尋ねたい事があるしな……。少し話でもするかな」
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