二次創作小説(新・総合)
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- ポケットモンスター REALIZE
- 日時: 2020/11/28 13:33
- 名前: ガオケレナ (ID: qiixeAEj)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12355
◆現在のあらすじ◆
ーこの物語に、主人公は存在しないー
夏の大会で付いた傷も癒えた頃。
組織"赤い龍"に属していた青年ルークは過去の記憶に引き摺られながらも、仲間と共に日常生活を過ごしていた。
そんなある日、大会での映像を偶然見ていたという理由で知り得たとして一人の女子高校生が彼等の前に現れた。
「捜し物をしてほしい」という協力を求められたに過ぎないルークとその仲間たちだったが、次第に大きな陰謀に巻き込まれていき……。
大いなる冒険が今、始まる!!
第一章『深部世界編』
第一編『写し鏡争奪』>>1-13
第二編『戦乱と裏切りの果てに見えるシン世界』>>14-68
第三編『深部消滅のカウントダウン』>>69-166
第四編『世界終末戦争』>>167-278
第二章『世界の真相編』
第一編『真夏の祭典』>>279-446
第二編『真実と偽りの境界線』>>447-517
第三編『the Great Journey』>>518-
Ep.1 夢をたずねて >>519-524
Ep.2 隠したかった秘密>>526-534
Ep.3 追って追われての暴走>>536-
行間
>>518,>>525,>>535
~物語全体のあらすじ~
2010年9月。
ポケットモンスター ブラック・ホワイトの発売を機に急速に普及したWiFiは最早'誰もが持っていても当たり前'のアイテムと化した。
そんな中、ポケモンが現代の世界に出現する所謂'実体化'が見られ始めていた。
混乱するヒトと社会、確かにそこに存在する生命。
人々は突然、ポケモンとの共存を強いられることとなるのであった……。
四年後、2014年。
ポケモンとは居て当たり前、仕事やバトルのパートナーという存在して当然という世界へと様変わりしていった。
その裏で、ポケモンを闇の道具へと利用する意味でも同様に。
そんな悪なる人間達<闇の集団>を滅ぼすべく設立された、必要悪の集団<深部集団>に所属する'ジェノサイド'と呼ばれる青年は己の目的と謎を解明する為に今日も走る。
分かっている事は、実体化しているポケモンとは'WiFiを一度でも繋いだ'、'個々のトレーナーが持つゲームのデータとリンクしている'、即ち'ゲームデータの一部'の顕現だと言う事……。
はじめまして、ガオケレナです。
小説カキコ初利用の新参者でございます。
その為、他の方々とは違う行動等する場合があるかもしれないので、何か気になる点があった場合はお教えして下さると助かります。
【追記】
※※感想、コメントは誠に勝手ながら、雑談掲示板内にある私のスレか、もしくはこの板にある解説・裏設定スレ(参照URL参照)にて御願い致します。※※
※※2019年夏小説大会にて本作品が金賞を受賞しました。拙作ではありますが、応援ありがとうございます!!※※
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.90 )
- 日時: 2019/01/03 15:16
- 名前: ガオケレナ (ID: FBVqmVan)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
銃弾が放たれる前にジェノサイドは動く。
そのポケモンは、「ゾ……ソーナンスのカウンターか!?」と直前に呟いたレイジとミナミを、その真横に位置するジェノサイドにそれぞれ腕を向ける。赤黒いエネルギーが生み出されている。'ナイトバースト'だ。
その衝撃波はソーナンスに化けたゾロアークの右腕と左腕からそれぞれ分離して放たれた。
右腕の衝撃波によりミナミとレイジが。
左腕の衝撃波によりジェノサイドがそれぞれ吹っ飛ばされ、5メートル前後まで離れる 。
「えっ、」
「えっ、ちょっ、待っ!!……」
「……」
一瞬だけ宙に浮き、そこからは地面に引き摺られる三人ではあったが、5メートル程度で済んだということはかなり威力は減らされている。
彼らを吹き飛ばした'ナイトバースト'は、余ったエネルギーで銃弾をも吹っ飛ばそうと両腕を合わせ、前方に放つ。射程圏内には杉山もいた。
直ぐ様直撃音が響く。銃声よりも大きかった。
「うっ……」
「痛っ……ジェノサイドさんん?……これは一体どういうことですか……?」
地面に転がるレイジが聴こえたかどうか分からない声を離れたジェノサイドに向ける。
黙って引っくり返っていたジェノサイドは保っていた沈黙を破る。聴こえていたようだ。
「銃弾を避けるためだ。当たって死ぬのと比べたらマシだろ」
「いや、そうですけど……」
話していた時だった。ソーナンス(に化けたゾロアーク)の前方から異様な風を切る音を捉える。
それに気づいたジェノサイドが立ち上がり、もとに立っていた地点に戻る。
本来ならば吹き飛ばされているはずの杉山が涼しい顔でその場に留まっていたのだ。
吹き飛ばされていたのは彼の従者のみ。そこらの地面に横たわっている。
「君がゾロアークを使うことくらい知っているさ。その特性もね」
杉山が'ナイトバースト'の餌食とならなかった理由。それもすぐ分かった。
「ゾロアークの特性は'イリュージョン'。簡単に言ってしまえば化ける能力。少し詳しく言うならば幻影、つまり幻を見せる能力だ」
杉山を守った正体。衝撃波を防ぎ、軌道を逸らした正体。
「だが、所詮は幻。そこに実体はない。ゾロアークが本来覚えない'ミラーコート'を、ゾロアークがソーナンスに化けることで幻の'ミラーコート'を展開することはできる。だが、幻だ。'ミラーコート'を見せることはできるけど、それで実際に特殊技を跳ね返せるかと言われたらそうはいかない。あくまで見せて化かすだけの特性だからね。だから君はさっき'ナイトバースト'で味方を吹き飛ばす形で銃弾から守ったんだろう?」
ルカリオ。
波動を操り、無理矢理軌道を修正する形で自らの主を守ったのだった。
ジェノサイドはその正体に舌打ちを発する。
「ハッ、よく分かってんじゃねぇか。今まで俺に噛みついたアホ共はこの化かしで無事に事故っていったもんさ。だが、単なる化かしで四年もの間頂点に立つことができるか?できねぇだろ。そこには俺なりの戦略があんだよ」
ジェノサイドは普段から対象を化かす。大体はこれに嵌まり倒れていくが中には騙されない人間もいる。
だが、ジェノサイドの強さはその後に発揮される。
ジェノサイドが得意とするのは、あからさまな化かしではなく、“本物か嘘か分からないイリュージョン”にある。
その為、本物か幻か見定めることができない対象者には心理的なロックがかかってしまう。
結局対象者は「ゾロアークである」と判断した場合と「ゾロアークではない」と判断した二択に迫られるので、後はジェノサイドがどちらのパターンにも対応できる手を打てばいい話。
彼が最強だと謳われた理由には、このような仕掛けがあったのだ。
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.91 )
- 日時: 2019/01/03 15:32
- 名前: ガオケレナ (ID: FBVqmVan)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
杉山がそこまで把握しているかと言われたら分からないが、今一番の脅威である銃は失せた。
あとはルカリオを倒すだけか。
「'かえんほうしゃ'」
ゾロアークだと既にバレているため、惜しみ無く技を放つことができる。ルカリオの弱点技ならば尚更だ。
だが。
「避けるんだルカリオ」
遥か上空を跳び、'かえんほうしゃ'を軽々と避ける。
このままではジリジリと迫ってくる。格闘技の一つでも放たれたら勝てる見込みはなくなる。
(来るとしたら'インファイト'か……準備しとかねーと……)
ゾロアークはルカリオに合わせて後ろへと下がるが、ルカリオの近づくペースの方が早い。逃げるのは無理なようだ。
'インファイト'が来る。そう悟った時だった。
「ルカリオ!'しんそく'だ!」
えっ、と思わず声が出てしまい、反射的に目を丸くさせてしまう。
その速すぎる動きがゾロアークを狙う。
一瞬のうちに連打を食らうゾロアークは、襷を失ってしまう。だが。
(受けた技は格闘技じゃなくとも、物理技!!ならば……っ!)
ゾロアークの腕がルカリオを掴み、逃げられなくする。そして。
「'カウンター'!!」
掴んで命令を受け、技を放つまでおよそ0.7秒。
'しんそく'に負けず劣らずのスピードで打たれた'カウンター'は確実にルカリオを捉えていた。
衝撃により、ゾロアークの腕からするりとルカリオが離れ、吹き飛ぶ。
ルカリオは杉山の足元まで飛び、そこで倒れる。
「どちらにせよ物理技じゃねーかバーカ」
「議員に向かって画面越しでなく面と向かって言ってきたのは君が初めてだよ。だが僕がバカだったら議員にはなれないだろう?」
ルカリオは、立ち上がる。
「!?」
「全部が全部倒すための技だと思わないことだね、おバカさん」
見ると、ゾロアークも疲弊している様子はない。対してダメージを受けていないようだ。
「まさか、'カウンター'まで予想していたとはな……」
「予想じゃないよ、知っていたんだよっ!!」
叫びながら、杉山は右腕を頭上に挙げ、曲げる。
腕時計を見る格好を高くした感じだ。
「さて未熟なジェノサイド君……僕は議員だ。これがどういう意味か分かるかなぁ!?」
「どういう……って特にそんなもの……」
言いかけたとき、その奇妙なポーズを前にあるワードが浮かぶ。
「まさか、お前その力を!?」
「やはりそれくらいは分かるか……まぁそれくらいは当然であってほしいよね」
腕から一瞬だったが、七色の光が瞬く。
「ちなみに、答えとしてはだね……議員ゆえ君たち貧乏人とは持ってるスペックも財も名誉も違うってことさ!!」
気づくのに遅かったことを後悔した。
杉山の右腕にはリングのようなものを着けていたのだ。そして放たれる七色の光。
「見せてあげよう、これがメガシンカだ!!」
眩しすぎる光がメガリングからルカリオへ、そしてその光は余計に眩しく放ちながらルカリオを包む。
ジェノサイドたちが目を開けたとき、気づいたときには。
目の前のメガルカリオが殺気を放ち、威圧感を魅せながら、そこに立っていた。
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.92 )
- 日時: 2019/01/03 15:44
- 名前: ガオケレナ (ID: FBVqmVan)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
目の前の光景にただただ驚くのみだった。
'イリュージョン'込みではメガシンカを見たのは二回目だが、純粋なメガシンカは初めてだ。気のせいではあるが、'イリュージョン'の時と比べて迫力が全然違うように見える。
(このタイミングでメガシンカだと……はっきり言って今のゾロアークだけで勝てる相手じゃない……)
ジェノサイドはこの時点で敗北を悟る。
だが。
この世界は勝つか負けるかですべてが決まる世界じゃない。
ジェノサイドは右手をローブのポケットに突っ込み、もぞもぞと動かす。
その中には自分のスマホが入っていた。
「ん?」
光を点滅させながら振動したのはレイジのスマホだった。
偶然ではなく、必然的に。
届いたのはメールだ。それも、ジェノサイドからの。
意外な行動に、レイジはスマホの画面と、自分の前に立ちメガルカリオの前に固まっているジェノサイドを交互に見る。
行動の意図が読めなかった。だが、その疑問はメールを開くと消滅する。
「にげろ」
メールには文にもなっていない、たった三文字で構成されている内容だ。
(逃げろ……?ジェノサイド……あなたは一体何を……?)
頭上を見上げると、戦闘前までジェノサイドが乗っていた彼のオンバーンが相変わらず空を漂っている。
(これに乗って逃げろ、と言うのですか!?)
不安そうに顔を前に戻すと、メガルカリオと杉山を睨んでいたジェノサイドの顔が少し後ろに、レイジとミナミをチラッと見る形で向いた。
その顔は、微かに笑っていた。
それを見て、レイジはすべてを悟る。
「リーダー!」
メガシンカに呆気に取られ、無防備に地べたに座っていたミナミの手を取る。
「頼みますよ、キルリア!」
ミナミを起こしたレイジは、自らのボールからキルリアを呼び出す。
彼の命令により、キルリアの'テレポート'で二人はオンバーンの真上に放り出された。
「うわっ!」
「っ……!?」
ぼすっ、と柔らかい毛皮に降り立ったことで面白い音を立てる。
のを見て、ジェノサイドは叫ぶ。
「逃げろ、オンバーン!」
「させませんよっ!!」
杉山が叫ぶと同時、オンバーンの漂う空中に、届く位置までメガルカリオがジャンプする。
一瞬で、二人の視界の前にメガルカリオが出現した。
「そこの二人を'はどうだん'で落としてあげなさい!」
命令を受け、地上に落ちるまでにメガルカリオは構え、二人に向かって技を放とうとする。
だが。
「敵を目の前にガラッガラだっつーの!!」
ジェノサイドのゾロアークが杉山本人に向かって走ってくる。腕から赤黒いエネルギーを集中させて。
「てめぇでも深部のルールぐらいは知ってるだろ!?だったら今この場で死んでもあの世で文句言うなよ!!」
メガルカリオが空中で'はどうだん'を放った瞬間、ゾロアークも'ナイトバースト'を杉山に放つ。
これで引き分け、いや、仮に命中して空から放り出された二人を助け出すことができればこちらの一方的な勝利だ。
結果には勝った、と思った瞬間。
オンバーンとレイジとミナミに直撃すると思った'はどうだん'が突如、不自然なカーブを描いてレイジとミナミを無視し、一直線に、ジェノサイドとゾロアークを狙うかのように真っ逆さまに落ちてきた。
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.93 )
- 日時: 2019/01/03 16:10
- 名前: ガオケレナ (ID: FBVqmVan)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「っ!?」
「えっ、なんで!?」
直前まで自分に命中すると思っていたレイジとミナミは意表を突かれた。
本来ならばおかしい軌道をなぞり、'はどうだん'はジェノサイドとゾロアークを狙う。
「くそっ!」
ジェノサイドを守る形でゾロアークが動き、'ナイトバースト'を放った。
だが遅い。
反応が遅れたため、直撃こそは避けたものの爆発の余波が彼らを襲う。
衝撃でジェノサイドが吹っ飛ぶ。
「ぐっ、くそっ……!?」
ゴロゴロと地面を四回転したところで止まる。
仰向けになることで空が望めた。
(あいつらは……?逃げられたか……!?)
彼らとオンバーンが漂っていた地点に目を動かすと、彼らの姿が無かった。
どうやら逃げ切ったようだ。
「'はどう……だん'は……必ず命中する技……端からあいつらを狙うつもりはなく、俺だけを狙って……」
息を切らしながら頭を上け、徐々に体を起こしていく。
珍しく杉山の反応がない。何があったのか、彼らに視線を移す。見ると、杉山が地面に突っ伏していた。
メガルカリオも、片膝をついて怯んでいる。
「なっ、なにが……?」
よく耳を澄ませると杉山が何やら呻いているが、何に苦しんでいるのかよく分からない。
状況に混乱している中、今度はジェノサイドのスマホが振動した。
「レイジ?」
レイジからの返信メールだった。
「爆発に乗じて彼とルカリオに私のキルリアの'でんじは'を撒きました。今のうちに逃げてください」
そう言えば、レイジはキルリアを使っていたはずだ。二人のバトル中に乱入とはルール違反もいいところだが、これが深部のやり方だ。誰も文句は言えないだろう。むしろ彼の助けがなければジェノサイドは無事ではなかったかもしれない。
チャンスは今しかない。すかさずジェノサイドはボールを取り出し、リザードンを呼ぶ。
飛び乗ると同時、メガルカリオも動いた。
無理して体を動かし、'はどうだん'を撃つ。
陸から離れる瞬間、ゾロアークをボールに戻す。空へと飛び立つことで'はどうだん'を躱す。
だが、後ろを振り向くと弾丸が曲がり、やはりこちらへと迫ってきている。
「波動の力か何か知らねーけど……やっぱり逃げても無駄ってことかよ!!」
'だいもんじ'を放ち、'はどうだん'と相打ちさせる。
互いに打ち消され、爆発と黒煙が発生した。
煙が晴れ、メガルカリオと杉山が空を眺めたとき、赤い龍のメンバーはおろか、ジェノサイドの姿すらもなくなっていた。
ーーー
「どうしたんですか!!そんな傷だらけになって!!」
基地に着くやいなやハヤテがジェノサイドたちの姿を見て珍しく声を荒げている。
「あぁ、ちょっとな。何度も爆発に巻き込まれて転がっただけだよ」
決してその中の一回は避けるとはいえ、自分がわざと爆発を起こして勝手に転んだなんて言えない。何だかこのタイミングで言うには情けなさすぎる気がした。
「杉山が……現れたんです……」
目立った傷はないものの、手足にガーゼを付け終えたレイジがジェノサイドの代わりに事情を説明し出した。
荷物を運び終えた時に杉山が来たこと。その杉山に命を狙われたこと。他の構成員は別のルートを使って車で移動できたこと。
そして。
「一番懸念すべきはこれからの事です。杉山の強制執行から逃げた場合どうなるのか分からないのです。今回と似たような前例を聞いたことがないので尚更です。そして、ジェノサイドさん。あなたもどうなってしまうのか……」
レイジは自分達の問題に関わってしまったジェノサイドの心配をしているようだった。
それは今自分達がいる『ジェノサイド』という組織の環境がなくなってしまうことへの懸念なのか、それとも単に心配してるだけなのかは分からないが。
「さぁな。あいつはとんでもないアホだったが仮にも議員だ。ジェノサイドぶっ壊せばどうなるのかそれくらいは分かってるだろう。ここを強制的に排除なんてことはしないだろうし、俺を殺そうとまでは……まぁそこは分からないけど」
杉山は確かに話の通じない人間だった。どれほどの正論を並べても聞く耳を持たないだろう。
かと言ってこのまま彼を好き勝手暴れさせてもいいのだろうか?
「ぶっちゃけて言うと、お前ら含むジェノサイドはアホの野郎とは何も関係がない。今回こそは仲間となった奴等の手助けという名目で接触こそはしたが、これからはそんなことも無いだろう。だから気にすることはない。そもそもあんな奴に気にすること自体が勿体ねぇよ」
「では、これからリーダーはこれから如何なさるんですか?」
「そうだな……とりあえず俺はメガストーン探しを続行するよ。新しい戦力を得たいからな。それから……」
ジェノサイドはレイジとミナミへと振り向く。
「お前たちは今やるべきこととして一刻も早く解散したことを議会に報告すること。本来ならば別の組織に入った際も報告しなきゃいけないけど、それはやらなくていいだろう。ほとんどの人間がそこまでしないからな」
「報告と言うより……書面ではなくネットから報告はしたのですが、それで済みますでしょうか?」
レイジが議会のサイトを開いて解散届なるものをジェノサイドに見せる。
ジェノサイドも詳しいことは知らないのでどこまでやればいいかは分からないが、届けるための手段は問わなくて結構だろう。
「じゃあ大丈夫だろう。とりあえず今は様子を見ておくから、お前たちはゆっくりしていてくれ。今まで追われて疲れただろう?何かあったらまた連絡する」
そう言ってジェノサイドは広いリビングから出ていった。
ーーー
「あなたたちのリーダーは……一体何を考えているのでしょうか?」
レイジが唐突に近くにいたハヤテを呼んだ。
「あの方は……明らかに私たちを疑っています。疑われるのは無理もないでしょうが、彼の考えていることが分かりません。疑うなら疑うでいいのですが、私たちを助けたりすれば、何だかんだで快く仲間として迎え入れられてもらっています。一体リーダーは何を思って行動しているのでしょうか?」
「あれがリーダーの性格ですよ」
すべてを知るハヤテだからこそ遠慮なくすべてに答えられる。
「リーダーは縄張り意識が強い人間です。彼にとっての縄張りは此処ですが、その縄張りを荒らす人間をとても嫌います。だから、自分を狙ってくる敵を最も嫌うんですよ」
「なるほど、だから私たちもかなり疑われているのですね」
レイジにも、自分は疑われているという自覚があった。ジェノサイドの態度があからさますぎるというのもあるが。
「えぇ。だから今回も、リーダーは進んで発生している問題に関わろうとしたのです。仲間であるあなたたちを守るために、仲間というテリトリーの一部を守るために」
「えっ、それじゃあ……」
「リーダーは仲間思いのとても優しい人間なんです。今はまだ疑いをかけられてしまいますが……それはその内解決してくれますよ。逆に今じゃないと見れないと思いますよ?素直になれないリーダーの姿」
思ったほど困難を伴う環境ではなさそうだ。それを知られたことが、レイジたち新人にとっての一番の収穫だ。
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.94 )
- 日時: 2019/01/03 16:26
- 名前: ガオケレナ (ID: FBVqmVan)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
ジェノサイドは、突然目を開けた。
既に全員寝静まっている夜中である。
彼は、今あるこの状況が恐ろしくなり反射的に目覚めてしまう。
「杉山は……議会の奴等は来てない……よな」
ゆっくりと体を起こし、部屋を出て外に繋がっている扉を開くと暫く眺める。
真っ暗で何も見えない闇を元々工場に付いていたライトの小さい光が照らしているだけだ。当然そこには何もない。
時間を確認したかったが、手元に時計もといスマホが無かった。一旦部屋に戻ると電気を付け、辺りを探すがやっぱり見つからない。
「おかしいな……皆で話した後は飯食ってそのままここに来て寝てたはずなのになぁ」
言いながら思い出す。
「あるとしたらリビングか!」
レイジたちと話をしていたリビング。そこに恐らく置き忘れたのだろう。
部屋の扉を開け、リビングのある上の階へと上がってゆく。流石に夜中だからか、かなり静かで自分の足音が他の部屋に伝わっているかが心配だった。
階段を上がり、少し廊下を歩くとそこがリビングだ。
扉を開けると、まず電気が付けっぱなしだった。
さらには、その場で寝ているのが数名。
辺りを見ると菓子の袋や空の紙コップが散乱していたので何かしら騒いだ後だったのだろう。それに疲れてその場で寝てしまったパターンなのは目に見えていた。いつもの事だからだ。
「ったく、これ誰が掃除するんだよ……俺はしねーけど」
寝ている人を避け、探すのに邪魔なゴミを捨てながらスマホを探すがやはり無い。
「おっかしいなー……ここら辺で集まってたからここにあるはずなのに……」
「リーダー、何してるんすか?」
壁に寄りかかり、寝ていたと思っていた構成員の一人のリョウからいきなり声をかけられた。不意に肩がビクつく。
「ん?あぁ、お前起きてたの……?本持ってるから読んでる途中で寝ているのかと思ってたよ」
ジェノサイドに声をかけてきたリョウは右手に本を持っていた。読んでいたであろうページを指で押さえ、閉じていることから寝ているものかと思っていた。
「いや、読んでいる途中で少し考え事をしていたもので」
「そうか。ならいいんだ」
ソファーのポケットやテーブルに顔を近づけるがやはり無い。
「おかしいな……」
「何か探し物ですか?」
「あぁ。俺のスマホが無いんだ。部屋にも此処にも無いからマジで困ってる。黒で結構画面デカいから分かるとは思うんだけどなぁ」
「スマホ……ですか」
リョウは何かを思い出すかのように天井を眺める。
そして、
「あ、そう言えば!ご飯食べて皆がここに集まったときにリーダーのスマホを見つけたとかで騒いでいましたよ」
「お前ら何やってんのさ。普通本人に伝えるだろ」
「結局、パスワード特定したいからとか言ってレイジさんたちが談話室に持っていったような……」
「ふっざけんな!!人の携帯をオモチャにしてんじゃねーよ!!」
言いながら、ジェノサイドはリビングを走り去る。
この基地に談話室は三ヶ所ある。
この階に二つと、下の階、個人の部屋がある階に一ヶ所。
どこにあるかは分からないがレイジらが持っていったのなら大体予想はつく。
彼らはこの階にある暖炉付きの談話室によく居座っているからだ。
「もしもそこにあったら明日レイジ達に説教だな、これ」
長い廊下を歩き、扉がいくつかあるうちの1つのドアノブを捻る。
ドアを開けた瞬間、暖炉特有の暖かさが伝わってきた。
部屋に入ると、そこのテーブルに確かにスマホらしき物体があるのが確認できた。
「よかった!あった!」
思わず駆け寄るが、何やら見慣れない人影がひとつ。
スマホに手が触れる前にジェノサイドの体がピタッと止まる。
その人影は暖炉の前、つまり暖炉とテーブルを挟む箇所にいたのだ。
そいつは、何故か下着姿だった。
それも女物の。
「えっ……?」
あまりにも予想外の出来事に目が点になる。
もしかしたら、いや、割りとマジでヤバいものを自分はこの目で見ているのではないだろうか?と。
あまりの出来事にスマホの事を忘れてしまい、ジェノサイドはそのまま扉の向こうへフェードアウト。
「……ごめん」
出てきた言葉がそれだけだった。
扉を静かに閉める。
すると、扉に寄りかかる形でジェノサイドは頭を抱えてしゃがみだす。
「何をやってるんだ……ってか何がどうなってるんだ……」
ジェノサイドという組織は男ばかりの集団だったが、それでも女がいないという訳ではなかった。
ほんの少人数、それも部屋の掃除や全員のご飯を作るといった裏方の作業しかしていない中に片手で数える程だったので注目すらされなかった。
それなのに、何故かこの部屋に少数である女がいた。しかもほぼ裸で、である。
「確率的にもおかしい」
そんなことを頭の中でグルグル駆け巡っている時だった。
部屋から声がした。
「別に気にしてないよー。あと服着るだけだから入っていいよ」
明るそうな声だった。さっきの人だろう。
「てか別に今入ってもいいよ。そんなの気にしない人だからさ」
いや、こっちが気にする。その旨を伝える。
「まぁ、ここって女子少なそうだもんね。そりゃ気にするか」
何だか下に見られているようで少しムッとするが事実だ。もう大丈夫と聞こえたので再度扉を開けた。
今度はちゃんとパジャマのような服を着ていた。
それを見て、ジェノサイドはあることに気づく。
「お前、まさか風呂入ってた?」
「うん。この部屋には洗面台とお風呂がついてるじゃん?だからさっき使わせてもらった。んで、出てみたのはいいけど思った以上にこの部屋暑くてね」
だから下着姿だったのか。にしてもあんまりである。男女比のこととか、皆の家でもあるわけだからあまり自分勝手な事はしないでもらいたい。そんな言葉がポンポン頭の中に浮かんでくるが、ジェノサイドはひとまず目の前のズボラな女にこう言い放った。
「お前、女子高出身だろ」
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