二次創作小説(新・総合)
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- ポケットモンスター REALIZE
- 日時: 2020/11/28 13:33
- 名前: ガオケレナ (ID: qiixeAEj)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12355
◆現在のあらすじ◆
ーこの物語に、主人公は存在しないー
夏の大会で付いた傷も癒えた頃。
組織"赤い龍"に属していた青年ルークは過去の記憶に引き摺られながらも、仲間と共に日常生活を過ごしていた。
そんなある日、大会での映像を偶然見ていたという理由で知り得たとして一人の女子高校生が彼等の前に現れた。
「捜し物をしてほしい」という協力を求められたに過ぎないルークとその仲間たちだったが、次第に大きな陰謀に巻き込まれていき……。
大いなる冒険が今、始まる!!
第一章『深部世界編』
第一編『写し鏡争奪』>>1-13
第二編『戦乱と裏切りの果てに見えるシン世界』>>14-68
第三編『深部消滅のカウントダウン』>>69-166
第四編『世界終末戦争』>>167-278
第二章『世界の真相編』
第一編『真夏の祭典』>>279-446
第二編『真実と偽りの境界線』>>447-517
第三編『the Great Journey』>>518-
Ep.1 夢をたずねて >>519-524
Ep.2 隠したかった秘密>>526-534
Ep.3 追って追われての暴走>>536-
行間
>>518,>>525,>>535
~物語全体のあらすじ~
2010年9月。
ポケットモンスター ブラック・ホワイトの発売を機に急速に普及したWiFiは最早'誰もが持っていても当たり前'のアイテムと化した。
そんな中、ポケモンが現代の世界に出現する所謂'実体化'が見られ始めていた。
混乱するヒトと社会、確かにそこに存在する生命。
人々は突然、ポケモンとの共存を強いられることとなるのであった……。
四年後、2014年。
ポケモンとは居て当たり前、仕事やバトルのパートナーという存在して当然という世界へと様変わりしていった。
その裏で、ポケモンを闇の道具へと利用する意味でも同様に。
そんな悪なる人間達<闇の集団>を滅ぼすべく設立された、必要悪の集団<深部集団>に所属する'ジェノサイド'と呼ばれる青年は己の目的と謎を解明する為に今日も走る。
分かっている事は、実体化しているポケモンとは'WiFiを一度でも繋いだ'、'個々のトレーナーが持つゲームのデータとリンクしている'、即ち'ゲームデータの一部'の顕現だと言う事……。
はじめまして、ガオケレナです。
小説カキコ初利用の新参者でございます。
その為、他の方々とは違う行動等する場合があるかもしれないので、何か気になる点があった場合はお教えして下さると助かります。
【追記】
※※感想、コメントは誠に勝手ながら、雑談掲示板内にある私のスレか、もしくはこの板にある解説・裏設定スレ(参照URL参照)にて御願い致します。※※
※※2019年夏小説大会にて本作品が金賞を受賞しました。拙作ではありますが、応援ありがとうございます!!※※
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.195 )
- 日時: 2019/01/21 14:02
- 名前: ガオケレナ (ID: xrRohsX3)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
被っていた帽子が吹き飛ばされた。
この部屋の奥は暗闇しかない。この部屋がどのくらい遠いのかも暗黒に染まっているせいで分からない。帽子はそこまで行ってしまった。
ダメージを受け、後方、ジェノサイドのいる方向へとバンギラスが飛んでくる。
(や、やべえ……!?)
だがそう思ったのは一瞬だった。たとえバンギラスが自分にのしかかられても何ともない。
何故ならバンギラスに化けたゾロアークなのだから。
しかも吹っ飛ばされている途中に、水に濡れて消えるインクのようにその身体も徐々に本物の姿へと戻ってゆく。
「ぐわっ!」
ドシャ、と体力が残り一のゾロアークが吹っ飛んだ先のジェノサイドと衝突、彼はゾロアークに押し潰される。
「いっ……いってぇ……くそ、大丈夫かよゾロアーク」
息が絶え絶えであった。それもそのはず、ゾロアークの体力はあと一しかないのだから。
(きあいのタスキで体力が残ったはいいけど……このまま逆転するのは無理だな。クソッ、あいつ俺が'カウンター'使うのを予想してやがったな!)
「バンギラス見りゃ分かる」
何とかして体の上のゾロアークをどかし、自分は立ち上がった。
「分かるだぁ?見分けなんてつかねーじゃんかよ」
「本気で言っているのなら笑うぞ?本来幻影に実体はない。あくまで"化かしているだけ"だ。魅せる能力は素晴らしいがそれに威力はない。これと見つめた時、お前は一度はこう思ったはずだ」
キーシュは一息置く。ジェノサイドの様子を伺うが何ともない様子だ。
「どうやったら化かしつつ攻撃できるか、とな」
ジェノサイドは思わず聞こえない程度に小さく舌打ちする。見破れていた、と。
「この問題を解決することは出来ない。何故なら、どう頑張っても幻影に実体を持たせることは不可能だからだ。でも似たような事は出来る。化けるポケモンが使える技を使ってしまえば、傍から見れば化けたポケモンが実体を伴った技を打っているように見えるだろ?お前のバンギラスが'だいもんじ'ではなく'かえんほうしゃ'を打った理由は安定を求めるためじゃねぇ。ゾロアークが覚えている技だったから。そうだろ?」
「よく分かってんジャン。そんなお前だからこそゾロアークの'カウンター'を分かっているうえで物理技叩くと思ったのに」
「俺はそれが予想の範疇ならば絶対に負けることはない。何故だか分かるか?いくらでも対策できるからだ」
ジェノサイドは苦し紛れに笑ってみせる。それに意味はあるのか。自分でも分からなかった。
改めて状況を見てみる。
キーシュのジャローダは何とか倒した。今出ているのはメガシンカしたボーマンダ。
対してジェノサイドは体力が1のゾロアーク。ゾロアークで倒すのは不可能だ。'ふいうち'でも叩けばダメージは与えられるだろうが無いよりはマシだ。
問題はその後。
キーシュは考えられる事すべてを対策した上での行動を取ってくる。真正面から、正攻法で当たっていくのは無謀だろう。
思考を巡らす中、ふと"それ"が過るが。
(いいのか……?あれを使って……。まだあれは確信が持てていない……)
ゾロアークが命令無しに動いた。
主人と思いがシンクロしたのだろう。'ふいうち'を打たんとボーマンダ目掛けて飛び掛った。
「ほう、命令無しに動けるか。珍しいな」
その光景に驚きはするも、やる事など見えていた。
ゾロアークの肘を使った'ふいうち'が分厚い翼に当たる。やはりというか、ダメージになっているかどうかも怪しかった。
「'ハイパーボイス'」
翼に攻撃を与えたゾロアークは足場のない宙に漂っている。
躱せるはずもなく、爆音を伴った衝撃波がゾロアークを包み、吹き飛ばす。
勇猛果敢に挑みに行ったゾロアークは、転がった形で主人の元へ戻ってきた。
「これでテメェのも倒れた……五分五分ってところか」
聞く耳を持たず、ジェノサイドは苦悩する。どうするべきかと。
「オイ聞いてんのかよ!テメェのゾロアークはとっくに倒れてんだよ。早くボール戻せ」
そう言われてやっとゾロアークをまだ戻していないことに気づいた。
「あ、あぁ。すまない」
戸惑いながらジェノサイドはゾロアークのダークボールを取り出して今度こそ戻す。
急いで戻そうとする手が他のボールにあたり、その拍子にポケットにあった他のボールが辺りに散乱してしまった。
「あっ、くそ……」
慌ててそれらを拾い上げてすべてしまう。手も顔も汗みれだ。
その慌てようを見てキーシュはつい鼻で笑う。
「焦っているねぇジェノサイド……実に滑稽だ」
今のところ手が無いわけではない。だが、本当にそれが通用するのか分からない。
だからこそ、ジェノサイドはまだ悩む。
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.196 )
- 日時: 2020/02/27 12:33
- 名前: ガオケレナ (ID: 3T3.DwMQ)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
いくら時間が経ってもジェノサイドはポケモンを出さない。
その変な様子に素人たちや、ジェノサイドの仲間たちもそのおかしさに気づく。
「リーダー……いつになったらポケモン出すんですかね」
「レン?どうかしたの?何か様子がおかしいけど」
「香流さん、でしたっけ?あの様子をどう思います?」
「え?えっと……レンの読みが'ハイパーボイス'によって外れた事を考えると、手が無いのかも……しれない。こっちも詳しい事は知らないけどメガボーマンダはかなり、その……ヤバいから」
「僕も同じ考えです。このままじゃリーダーは……」
何を仲良くゼロットに味方した、リーダーの友達と話をしているんだと心の中で突っ込みつつ、ハヤテは胸ポケットに隠していた物に触れる。無いとは思っていたが、もしもバトルでジェノサイドが勝てなかった時、使おうと思っていたヤツだ。
「オイオイどうしたジェノサイドォ!!まさかもう使えるポケモンが居ないってのかぁ!?だったらこの勝負は俺の勝ちのようだな?あぁ!?」
威圧的に見せる事で更なる焦りを誘ったキーシュだが、まともにこっちを見ていないせいで通用したか分からない。表情に変化はないが手は震えていた。
(やったか)
思わずニヤッと八重歯を見せ笑う。だが、ジェノサイドの様子はまだおかしかった。
キーストーンが埋め込まれている白い杖、メガワンドを天井に、正確に言えば破壊し、上の階まで続き、さらに破壊した窓の外。
夜空に向けて掲げていたからだ。
「この後に及んでまだやるか……」
「やるさ。これにより勝敗が決まるとしたら尚更な」
淡く、薄くだがキーストーンが反応している。
つい、杖の先をキーシュは見た。
崩れていない天井を示しているが、もっと深く見るならば、上階、さらにジェノサイドたちが無理矢理突破した窓の先。
無数に広がる闇の空を示しているのだ。
まともにやりあっては勝ち目がない。いや、ジェノサイド程のポテンシャルならば本来はあるだろうがそれよりも「使えば勝てる」という意味でこちらを使うことに決めた。
使えば、勝てるかどうかは分からないが手頃なポケモン。
使えば、勝てるがその力が確実に使えるか分からないポケモン。
本来だったらどちらを選ぶか。本来のジェノサイドならば前者を選ぶだろう。
だが、今はそうには行かなかった。
焦りと緊張と興奮。理性よりも勝るそれらがあった。
まともな思考回路など持ち合わせていない。さらに、"それ"を使いたいという好奇心もあった。
もう後戻りはしない。
「来い……。頼む、来てくれ……」
叫ぶように、ジェノサイドは到来を望む。
「さぁ来い!俺の最終兵器!!」
変化はない。誰もがそう思った。
キーシュですらも思っただろう。
小さく笑うと、彼はまともに勝負する気が失せたのか、玉座へと戻りゆったりと座ろうかと考えた時だった。
「ーッ!?」
微かだが風を切る音がする。気がした。
気のせいにも思えたがタイミングを考えると嫌な予感がする。
キーシュは玉座に座ると、自らの仲間のもとを向くと命令するかのように叫ぶ。
「おめぇら静かにしろ!」
その叫びに驚いたゼロットの構成員と、それまで他愛もない会話をしていた吉川や香流、ミナミとケンゾウの言葉も止み、この部屋から音がなくなった。
その瞬間無音となった部屋に一層、風を切るような音が響く。
(来た……のか!?)
(奴の言った最終兵器とは何だ。空に向って吠えたと言うことは手元のボールには居なかったポケモンと言うのか。そもそもこの風……。普通じゃねぇ。来たのか、奴のポケモンが)
ジェノサイドが空けた穴から入ってきたのか、この広い部屋全体に風がなだれ込んでくる。
「うわっ!!」
合図も前振りもなく急に発生した突風に、近くにいた石井らが驚きひっくり返った。
問題はその風の発生源に実体がないということだからだ。
「まさか……またイリュージョンか!?」
キーシュは今起きた異変がゾロアークの仕業だとまず最初に思った。
ゾロアークが実は倒れておらず、ボールに戻した光景すらも幻影だとすると有り得ない話ではない。
だが。
(さすがにもうゾロアークは来ねぇ。俺のボーマンダはジェノサイド対策の為に裏の裏を掻いた特別仕様だ。奴が裏の裏の裏を掻ける技術をこんな状況で生み出せるはずがねぇ。そもそも人間の精神的な構造上無理だ。と、すればやはり新手)
今でも突風はあちこちに起きているのか、そこらに突っ立っている人の服がなびいたり、終いには吹っ飛んでる輩もいる。
そのよく分からない光景を目にしたキーシュは。
「何がどうなってやがる……この風は何だ。何故奴等は吹っ飛んでいる……どういう事だ答えろジェノサイ……ッ!」
言っている途中にふと気づく。
(待て、奴はコイツを呼び出す時に何と言った……?)
キーシュは座りながら辺りを見る。
至るどころに風が発生している。
自分の髪もなびいて仕方が無い。
(飛んでいるのか!?この空間を、縦横無尽に!!)
ともするならば、その姿が無ければおかしい。イリュージョンでもないとすればその姿は。
(何らかの方法で姿を見せなくしているのか?どうやって?透明とかか?)
透明、というワードが思い付いた瞬間、キーシュは目を丸くした。
当てはまるポケモンに限りがあるからだ。
「ジェノサイド……てめぇ、ラティ兄妹でも呼び出してんのか」
ジェノサイドは反応しない。掲げた杖を下げて顔も俯いている。
「答えろ!!てめぇは……このバトルにおいて何を呼び出した!!」
キーシュは椅子から立ち上がりながら怒鳴る。それでも変化はない。
代わりに帰ってきたのは、大人しすぎる彼の態度以外何も無かった。
「見せてやろうか?俺の切り札にしてお前への唯一の対抗馬を」
言うと、白く光る粒子のようなものを纏ってその真なる姿を見せる。
流線型なボディ。赤く光る翼。
正真正銘にして本物のラティアスだった。
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.197 )
- 日時: 2019/01/21 14:17
- 名前: ガオケレナ (ID: xrRohsX3)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
準伝説。その入手難易度と理想の形を求めるまでの難しさからこの世界においてほとんど姿を見なかったポケモンたちだ。
ジェノサイドもキーシュも、これまでの深部の生活において初めて見たことだろう。
そもそもな話、ミュウツーのように本来であればこの世界で実体化させることは不可能な存在だ。
「ラティアス……。テメェ、扱えるのかよ」
「でなければ頑張って理想個体出そうだなんて思わねーよ」
「ラティアス……?アイツ、いつの間にそんな物を持ってたってのよ」
「リーダーってそこまではストーリー進んでたんすね」
XYしか持っていない石井と吉川にはケンゾウとミナミの会話が分からないが、ORASになるとストーリーを進めるだけで無条件でラティアスかラティオスが手に入る。ジェノサイドが今ラティアスを持つと言うことはアルファサファイアか。
しかし、ジェノサイドはそこで止まらなかった。
再び杖を振る。
今度は完全に反応していた。
「ありがとよ。塩谷のおっちゃん。あの時貰った石はこいつのだったんだな」
「てめぇ……!?まさかもうラティアスナイトを手に入れているってのか!?」
間髪を入れずにメガシンカが始まる。
赤いボディが濃い紫へと変貌したメガラティアスの姿がそこにあった。
「ちょっと待って!リーダーはいつラティアスナイトを手に入れたのよ!!」
状況が追い付かず、ミナミはケンゾウのもとへ走り、彼の肩をがくんがくん揺らす。
「わ、わけわかんねーよ……てかやめやめ……やめろ!!俺だって分かんねーよ!」
手を払ってミナミの暴走を止めた。
「ラティアスナイト……。ハヤテさん、だっけ?この世界でメガシンカを使うにはこの世界でまた別にメガストーンを探さなきゃいけないんですよね?」
香流は隣にいるハヤテに質問した。最早敵同士という感覚がないように思えてしまう。
「あ?あぁ。そのポケモンに合ったメガストーンを探さなきゃいけませんよ。それがどうかしたのですか?」
「いや……レンはメガストーン見つけた時はいつも報告してくれたけど……ラティアスナイトの時は報告が無かったから……」
香流は思いつく限りの、高野に関する出来事を思い出してみる。
いつしか、皆で横浜に行ったあの時の風景が蘇った。
「まさか、あの時の!?」
ジェノサイドが初めて塩谷と会った時。彼から頼み事を引き受けた時に貰った物がある。
その時は何か分からなかったが……。
「あれがラティアスナイトだったのか!!」
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.198 )
- 日時: 2019/01/21 14:22
- 名前: ガオケレナ (ID: xrRohsX3)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
メガラティアスVSメガボーマンダ。
勝ち目のない戦いが一気に互角の戦いへと変化した。
(メガボーマンダの素早さの種族値は120。対してメガラティアスは110。たとえメガシンカしても怖くもなんともねェよ!)
「ボーマンダ!'ハイパーボイス'だ」
呼応するかのようにボーマンダは再び爆音と衝撃を呼び起こす。
避ける範囲が見当たらないため、いくらラティアスと言えどもダメージ必至。キーシュはそう思っての技のチョイスだっただろう。
だからこそ、放たれる前にラティアスは動く。
ボーマンダに迫り、後ろに回り込む形で、'ハイパーボイス'を完全に躱す。
その軽やかな身のこなしは見る者を虜にする。あまりにも理想的な動きだからだ。
「!?」
「すげぇ……」
後ろに佇むことにより、キーシュのすぐ目の前がラティアスだ。
ラティアスはキーシュを睨んだかと思うと、ボーマンダに向って翼から白い玉を発射した。
直撃と同時にボーマンダの周りに、文字通り霧が出現する。
「今のは!?」
「'ミストボール'だ」
翼を広げ、ボーマンダを包み込もうとした時だ。舞った白い羽毛が一箇所に集まり、白い玉となると、それを思い切りボーマンダに当てたのだ。
当たった瞬間、まるで中身が破裂するかのようにボーマンダの周りだけだが薄い霧が表れる。
「ゲームでは弱い技だが、実際にはこんな使い方があるんだぜ?」
「っざけんじゃねぇよ……ナニ準伝呼び出してテンション上がっちゃってんだよ。勝負はまだまだここからだろうが!!」
ボーマンダが急上昇し、霧から抜ける。
だが、既にラティアスの姿はない。
キーシュは軽く舌打ちした。
「また屈折で姿消したか」
「いや、いるよ?そこに」
気づいた時にはボーマンダの目の前にいた。
すぐさま'ミストボール'を放ち、ボーマンダの死角を狙おうとする。
だが、今度は避けられる。
さらに上へと飛んだことで霧の玉から逃れることができた。
しかし。
ボーマンダがどんなに避けても、どれほど逃げて隙を突こうとしても、ラティアスが先回りして逆に狙われる。
「くそっ、はえぇ……」
本来ならば遅いはずのラティアスに押されているのが何より腹立たしい。何故ラティアス如きに負けるのかと。
(いや、違う。ラティアスが速いんじゃねぇ。動きを変えているだけだ!)
メガラティアスとは、体が小さい分小回りが利くことに何よりの利点がある。
例え自分より速いポケモンが相手でも、回り込み、死角を取ることで速さには負けててもリザルトでは勝ってしまう。
('じしん'は効かねぇ。'ハイパーボイス'も避けられる。ともなれば……直接ブチ当てるしかねぇっ!!)
キーシュは叫ぶように「'げきりん'」と命令する。
ボーマンダは血が上るような顔をしたかと思うと、爪を光らせ、手当り次第に暴れだした。
とにかくその爪にあたるモノすべてに斬撃を与える。ラティアスも例外ではなかった。
周りが見えないながらもボーマンダはラティアスを捉えると一直線に進み、その竜爪がラティアスを掴み、思い切り斬付ける。
のが理想だった。
ラティアスはすべてそれらを避けてしまう。ボーマンダが爪を、翼を、尻尾をぶち当てようとしてもそれらすべてを軽々と避けてしまう。
まるでインファイトを繰り広げているような、拳一つ一つの攻撃を避けていくように。軽やかな、まるで何かのリズムでも取っていそうな動き方でもしているかのように。
「くそっ、全然当たらねぇじゃねぇか!!」
イライラが募り、その怒りをジェノサイドに向ける。
「一体何なんだあの動き、あの力は!本当にラティアスかよ!!」
「どこからどう見てもラティアスに決まってんだろ。そこらのドラゴンポケモンにやられるようじゃ準伝なんて言えねぇからな」
「てめっ……」
勝負投げ出してジェノサイド直接攻撃しようか思った時だ。
ボーマンダの猛攻がいきなり止まる。
よく見ると、疲れ果てて床へと降りようとしていた。
「お前、こんな時に……早く立て直せ!来るぞラティアスが!!」
ボーマンダが床の上で息を切らしている所をまるで狙っていたかのように、ラティアスが空中にてピタリと止まる。
ジェノサイドもこの瞬間を待っていた。
だからこそ、今度こそ勝利を確信して命令する。
「'りゅうせいぐん'」
- Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.199 )
- 日時: 2019/01/21 14:30
- 名前: ガオケレナ (ID: xrRohsX3)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
この世界で'りゅうせいぐん'を打てばどうなるだろうか。大体の人間は考える。
ゲームでは広い空から文字通り隕石が降ってくる。それを直接相手に叩く感じだ。
ではこの世界も同様なのか?その場合、屋内で放てばどうなるのだろうか?
答えは単純かつ分かりやすいものだった。
アニメの描写と同様に、そのポケモンの体内から莫大なエネルギーが空へと放たれていくように飛んでいき、それが無数に分裂して相手を叩き込む。
この技だけではない。大体の技がアニメを参考にしている節がある。
ラティアスから放たれた金色の流星は広がるだけ広がって空間に撒き散らされ、無差別に地上へと落下する。
コンクリートがそんなものに耐えられるか分かったものじゃない。
それ以前にボーマンダが逃げることができない。
二つの不安がキーシュを過る。
疲れて床にのびて休んでいるボーマンダに何が命令しようかと叫ぼうとした時。
無数の隕石が着弾した。
ドン、ドドン!!と途切れることなく爆発を起こす。
床が破壊されているせいか、細かい砂利と砂煙が大量に舞う。
目の前の状況も分からなくなった。
「うわあぁ!!」
「叫んでないで早く逃げろ!危ねぇぞここは!」
聞いたことのある声が段々と遠ざかって行った。ここを危険と判断するのが遅すぎると言いたくもなる。
勝敗は煙が晴れずとも分かっていた。
とにかく今はヤツらの安全の確保が先か。
運命を変えるであろう煙がついに消えた。
キーシュのボーマンダは先程から同様にのびていたが、起き上がることはなかった。
逆にラティアスはピンピンしながら宙を舞っている。
「勝負有りだな。この結果、深くテメェの胸に刻みつけておけ」
言いながらジェノサイドは機を伺いながらラティアスを一旦ボールに戻す。お互いに残り一体控えているからだ。
当のキーシュは'りゅうせいぐん'の爆風に巻き込まれたのか、地べたに座りこんでいる。
返事はない。生きているだろうが、ラティアスを出されたのがそんなにショックだったのか、一切喋ろうともしなかった。
呆然と二人を見つめるゼロットの構成員をよそに、ジェノサイドは彼の仲間と友達を探し、背を向けたときだ。
何やら笑い声がする。
「フ、フフ……」
ジェノサイドの後ろからしたという事は声の主はキーシュか。
「フフフ……ジェノサイド……テメェは何も分かっちゃいねぇな」
声のトーンと笑い方が気に食わない。
冷めた目をしながらジェノサイドはキーシュを見る。
「何がだ?準伝使ったとはいえ、勝負はまだ続いている。最後のポケモンはどうした?」
「やっぱり分かってねぇな……お前、少しはおかしいと思わなかったのかよ?」
ありがちな言い訳かと呆れ、聞く耳を持つもんかと無視しようとする。
「何で一切関わりのねぇ俺が……テメェの基地の居場所を見つけ、それを写真として貼り付けることが出来たのかってな」
一瞬動きが止まった。が、結局は一瞬だった。理由はひとつ。
「安っぽい脅しだな。だから何だってんだよ。俺の情報なんざ既にダダ漏れしてんだよ」
「良かったのかぁ?大人数でこんなトコまで来ちゃってさぁ……」
キーシュの声色が急に変化した。そのせいかジェノサイドも段々と心拍数が上がっていく。
さらにそれを煽るかのように、タイミングが良すぎるんじゃないかと思えるくらいに、ジェノサイドの携帯が鳴った。
(なんだ……?レイジ!?)
表示された名前を見て驚愕する。彼は基地で居留守しているからだ。
画面とキーシュを交互に見た後、通話ボタンを押した。
「もしもし……」
「大変ですリーダー!!何者かが我々の基地に攻撃をしかけています!聴こえますか!?今工場跡の方で爆発が……」
同時に爆音のような、炎が暴れている音も微かに聴こえる。
「どういう……事だよ……」
その最中、ハッとしてキーシュの方へ向く。
彼は待ってましたとばかりに口が裂けるかのように笑うと、こう言った。
「少しは思ったりしなかったのか?もしも、オレ達が……ゼロットがブラフだったら……ってなぁ?」
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